デジタルビジネスへの組織ロードマップ ·...
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今日、デジタル・ディスラプター企業が業種や規模の壁を越え、従来型のデジタル・トランスフォーマー企業の競合となっています。デジタル・ディスラプター企業は、フィジカルとデジタルのビジネスが融合した切れ目ない連続オペレーションを作り出し、顧客中心主義のアプローチをデジタルプラットフォームに統合した新たなハイブリッドモデルを可能にしました。初期のデジタル・トランスフォーメーションでは、従来の組織の事業やサービスの延長でイノベーション技術を活用していましたが、今日、これらの企業は、従来の組織構造を根本的に変革することに焦点をあわせなければならないことに気付きつつあります。すでに先進的な従来型企業は、エンドツーエンドの変革を成し遂げるための戦略を実施しており、成功への道が決して一つではないことは、明白です。このような戦略を企業が進める要因は4つあります。
全産業にわたるディスラプションの加速化
顧客とデータに焦点が移ることによるオペレーション変革
企業カルチャーの進化
集中型のデジタル事業推進グループの形成
次のフェーズに進むに際し、御社の組織はこれらの要因をどのように考えなければならないでしょうか?
デジタル・トランスフォーメーション:ザ・デジタル・ジャーニーこの 5 年間、従来型企業は CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)、データ・アナリティクス、テクノロジー・プラットフォームおよびイノベーション・ラボなど新たなデジタル・リソースや技術に多大な投資を行ってきました。一方で、これら企業のほとんどが目下こうして得たデジタル・ケイパビリティを自社の基幹ビジネスといかに連携させるか、またエンドツーエンドの変革に向けた総合的なアプローチをいかに推進していくか、に頭を悩ましていることが当社の調査から判明しています。最近のメディアの見出しからも明らかのように(例:フォード社、Jクルー社からウーバー社に至る企業での幹部職サクセッションの発表や、ウオルマート社やアマゾン社による同日買収発表など)、デジタル化は取締役会でよく議論になるテーマです。ますます多くの企業が真のデジタル化へ取り組み、競い合う中で、社会はデジタル・トランスフォーメーションの新たなフェーズに入ったといえます。当社ではこれを「デジタル・トランスフォーメーションの最終章」と呼んでいます。このレポートは当社のリサーチの結果であり、デジタル・トランスフォーメーションにおける将来の企業の在り方へのロードマップを示すものです。
調査の方法
当社はデジタル・トランスフォーメーションの将来、また組織アライメント及び企業カルチャー変革におけるベストプラクティスについて分析をするため、過去 18 か月にわたり、B2B、B2C企業のデジタル事業リーダー50名にインタビューを行い、デジタルに詳しいエグゼクティブ 1500 名以上を対象に調査を行いました。本テーマに関する当社の考え方は、この調査のフィードバックに加えて、当社が過去 5 年間に行った 1,000 件以上のデジタル関連サーチ及びアドバイザリー・プロジェクトから得た知見をもとに作成したものです。
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今日、デジタル・ディスラプター企業が業種や規模の壁を越え、従来型のデジタル・トランスフォーマー企業の競合となっています。デジタル・ディスラプター企業は、フィジカルとデジタルのビジネスが融合した切れ目ない連続オペレーションを作り出し、顧客中心主義のアプローチをデジタルプラットフォームに統合した新たなハイブリッドモデルを可能にしました。初期のデジタル・トランスフォーメーションでは、従来の組織の事業やサービスの延長でイノベーション技術を活用していましたが、今日、これらの企業は、従来の組織構造を根本的に変革することに焦点をあわせなければならないことに気付きつつあります。すでに先進的な従来型企業は、エンドツーエンドの変革を成し遂げるための戦略を実施しており、成功への道が決して一つではないことは、明白です。このような戦略を企業が進める要因は4つあります。
全産業にわたるディスラプションの加速化
顧客とデータに焦点が移ることによるオペレーション変革
企業カルチャーの進化
集中型のデジタル事業推進グループの形成
次のフェーズに進むに際し、御社の組織はこれらの要因をどのように考えなければならないでしょうか?
Step 1:アクセルを踏む
デジタル・ディスラプションは全ての産業で急速に進んでいます。�変革初期に遅れていた産業も、もはや例外ではありません。
消費財 生産財金融サービステクノロジー ヘルスケア
81%
NPO
76% 77%
72%
62% 63%
73%74%
65%
51%
55%56%
ディスラプション(現在まで)ディスラプション(今後12か月)
この結果に対し、2014年に同様のディスラプションを予測した経営幹部は、生産財企業で38%、テクノロジー企業で59%に過ぎませんでした。
業種別のディスラプション水準の現状と予測: 著しいデジタル・ディスラプションを経験または予期する経営幹部の割合
出典:RRA 2014 and 2017 Digital Pulse.
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Step 2:事業を見直す
企業が自社の事業を見直そうとすると、変革に必要となる重要な組織能力や�スキルに注目する必要性が生じてきます。
業 種 従来 将来 キースキルのギャップ
小売 量販店オムニチャネル、�パーソナライズ
ECプラットフォームの導入、�サプライチェーン、�予測分析
自動車 SUV ライドシェア、自動運転車ソフトウエア・エンジニアリング、�モビリティー、AI
生産財 機械 IOT、IOT デバイスセンサー・ソフトウエア、�データ・アナリティクス、�クラウド・サービス
教育 学校、教科書オンライン教育、�アダプティブラーニング
デジタルプラットフォーム、AI、�モバイル
テクノロジーハードウェア、�ソフトウェア
SaaS、AI�クラウド・ソリューション
製品、エンジニアリング、�新たなgo-to-marketケーパビリティ
銀行 支店FinTech、モバイル、�ブロックチェーン
モバイル・プラットフォーム、�サイバー・セキュリティー、�アルゴリズム投資・取引
ヘルスケア 薬品個別化医療、�コネクテッドヘルスケア
ゲノミクス、�データ・アナリティクス、�ウェアラブルデバイス、�IOT デバイス
消費財コンシューマー�ブランド
パーソナライズ・�ブランドエクスペリエンス
データ・アナリティクス、�Eコマース、サプライチェーン
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Step 3:組織を見直す
エンドツーエンドの変革には、カスタマージャニーに沿った組織の再構成が必要となります。�これまでに直接的な関係のなかった部門が、協業することが必須です。
マーケティング テクノロジー製品 サプライチェーン/オペレーション
必要となる組織能力
重要な考え方
• 顧客獲得/維持• モバイル/ソーシャル• データ・アナリティクス• ユーザーインサイト• オムニチャネル• コンテンツ・マーケティング
• モバイル/ウエブ・アプリ• ソフトウエア・エンジニアリング• DevOps• デジタル• クラウド/オープンソース• サイバー• データインテグレーション• マイクロサービス• テクノロジー・エコシステム
• デジタル・サプライチェーン• Eコマース• テクノロジーとプラットフォーム• 予想分析
• 定量的• ROIドリブン• 「Test and learn」指向• 革新力
• アジャイル• 機知豊富• ユーザー中心• ビジネス指向• 革新力
• データドリブン• リエンジニアリング指向• 顧客中心主義• 革新力
• データドリブン• 戦略性• マトリックス指向• デザインドリブン• 革新力
• 製品マネジメント• UI/UX• モバイル• デジタル・アセット・マネジメント• カスタマー・アナリティクス• オムニチャネル• アジャイル開発
組織を見直すと、既存組織の中に新しい機能が求められます。
新事業AIマーケティング オペレーションパートナー
CEO/取締役
営業 テクノロジー ベンダー 製品
人事
財務経理
お客様
トップダウンの意思決定 データドリブン・インサイトとの協力
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デジタル事業推進グループの詳細な構成と組織構造は各企業で異なりますが、一般的には、経営幹部の直属、また一部は CEO の直属となります。
• 鋭いビジネス感覚• テクノロジー活用• デジタル・トランスフォーメーション• データ/アナリティクス• ビジネスプロセス・リエン
ジニアリング• 事業改善• ステークホルダー/部門
横断の協力
職務
スキル/関与分野
CEO や経営幹部と連携して、すべてのデジタル戦略とプロダクト・ポートフォリオのロードマップを決定します。
リアルタイム分 析 の 能 力を向上させ、強力なビジネスユースケースを作り出すため、基盤データ・アーキテクチャをアップグレードします。
ソフトウェア活用企業が競争できるよう、エンドツーエンドの テクノロ ジ ー・プ ラ ットフォームとお客様向けのアプリケーションを開発します。
現行ビジネスへのカタリスト兼チャレンジャーで、新しいビジネスモデル、製品、サービスやプラットフォームをインキュベートします。
デジタルテクノロジーやプラットフォーム・インテグレーションを通して、イノベーション、製品、サービスとタレント獲 得 のため、パートナー、ベンダー、サプライヤー、お客様とともにエコシステムを構築します。
• ビジネス戦略• デジタル戦略• デジタル・アセット・マネ
ジメント• プロダクト・ロードマップ
/マネジメント• テクノロジー活用• カスタマー・エクスペリエ
ンス• UX
• 確実な事業理解• ユースケースの定義• アナリティクス・グループ
リーダシップ• アナリティクス・プラット
フォーム• 予測ケイパビリティ• データ・アーキテクチャ/
トポロジー• 第三者とのアナリティクス・
コラボレーション
• モバ イル/ウエブ・アプリケーション
• DevOps• ソフトウエア・エンジニアリング• スケーラブル・インフラ
ストラクチャ• レガシー・システムとイン
ターフェース可能• UI/UX• プロダクト/オペレーション・
インテグレーション
• ベンチャー経験• アジャイルプ ロダクト/
テクノロジー開発• 鋭いビジネス感覚• 新テクノロジーの深い知識• 迅速なチームビルディング• ビジネス・スケーリング• 本社とのバックオフィス・
インテグレーション
• ビ ジ ネ ス 開 発 と パ ートナーシップ
• エコシステム開発• API インテグレーション• パートナ ー/ベ ンダー・
マネジメント• 新テクノロジーの深い知識
CEO や経営幹部と連携する変革リーダーで、エンドツーエンドの変革とリエンジニアリングを統括します。
デジタル戦略/プロダクト・ロードマップ
データ・アナリティクス
デジタル・トランスフォーメーション・プログラム
・マネジメントプラットフォーム・
テクノロジーイノベーション、
ラボ/新事業エコシステム構築/パートナーシップ
エコシステム/パートナー
ビジネスユニット/ブランド
グループモデル
マーケティング/セールスオペレーション
財務経理技術/製品
人事サプライチェーン
組織部門
654321
61
23
45
Step 4:デジタル事業推進グループをデザインする
デジタル事業推進グループは、変革の核心となり、組織横断による団結と協力を推進します。
• 鋭いビジネス感覚• テクノロジー活用• デジタル・トランスフォーメーション• データ/アナリティクス• ビジネスプロセス・リエン
ジニアリング• 事業改善• ステークホルダー/部門
横断の協力
職務
スキル/関与分野
CEO や経営幹部と連携して、すべてのデジタル戦略とプロダクト・ポートフォリオのロードマップを決定します。
リアルタイム分 析 の 能 力を向上させ、強力なビジネスユースケースを作り出すため、基盤データ・アーキテクチャをアップグレードします。
ソフトウェア活用企業が競争できるよう、エンドツーエンドの テクノロ ジ ー・プ ラ ットフォームとお客様向けのアプリケーションを開発します。
現行ビジネスへのカタリスト兼チャレンジャーで、新しいビジネスモデル、製品、サービスやプラットフォームをインキュベートします。
デジタルテクノロジーやプラットフォーム・インテグレーションを通して、イノベーション、製品、サービスとタレント獲 得 のため、パートナー、ベンダー、サプライヤー、お客様とともにエコシステムを構築します。
• ビジネス戦略• デジタル戦略• デジタル・アセット・マネ
ジメント• プロダクト・ロードマップ
/マネジメント• テクノロジー活用• カスタマー・エクスペリエ
ンス• UX
• 確実な事業理解• ユースケースの定義• アナリティクス・グループ
リーダシップ• アナリティクス・プラット
フォーム• 予測ケイパビリティ• データ・アーキテクチャ/
トポロジー• 第三者とのアナリティクス・
コラボレーション
• モバ イル/ウエブ・アプリケーション
• DevOps• ソフトウエア・エンジニアリング• スケーラブル・インフラ
ストラクチャ• レガシー・システムとイン
ターフェース可能• UI/UX• プロダクト/オペレーション・
インテグレーション
• ベンチャー経験• アジャイルプ ロダクト/
テクノロジー開発• 鋭いビジネス感覚• 新テクノロジーの深い知識• 迅速なチームビルディング• ビジネス・スケーリング• 本社とのバックオフィス・
インテグレーション
• ビ ジ ネ ス 開 発 と パ ートナーシップ
• エコシステム開発• API インテグレーション• パートナ ー/ベ ンダー・
マネジメント• 新テクノロジーの深い知識
CEO や経営幹部と連携する変革リーダーで、エンドツーエンドの変革とリエンジニアリングを統括します。
デジタル戦略/プロダクト・ロードマップ
データ・アナリティクス
デジタル・トランスフォーメーション・プログラム
・マネジメントプラットフォーム・
テクノロジーイノベーション、
ラボ/新事業エコシステム構築/パートナーシップ
エコシステム/パートナー
ビジネスユニット/ブランド
グループモデル
マーケティング/セールスオペレーション
財務経理技術/製品
人事サプライチェーン
組織部門
654321
61
23
45
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Step 5:企業カルチャーの変革を推進する
組織の各チームは意思決定する権限をもち、またその権限を行使できますか?
取締役会では、ガバナンスについて多様な見解が出されていますか?
将来のCEOや経営幹部のサクセッション・プランには、今までの進捗を維持し、変革を推進し続ける
リーダーが含まれていますか?
企業カルチャーは、考え方の多様性を支援していますか?
企業カルチャーは、リスクテイクと失敗に対して寛容ですか?
現社員と新しい人材は、企業カルチャーの観点から融合していますか?
効率を改善するためにデータ・アナリティクスとAIを活用していますか?
アジャイルなプロセスと機能横断コラボレーションの構築に重点的に取り組む
変革の戦略に合ったサクセッション・プランに重点的に取り組む
自由闊達な企業カルチャーの構築に重点的に取り組む
進化しない企業カルチャーは、変革にとって重大な障壁です。今までにない変化のスピードから取り残された環境では、新しい目的を設定し、技術、プロセス、人材を育てることはできません。
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Step 6:取締役会を活性化する
取締役会の関与がますます緊要です。ガバナンスの鍵は、取締役会のコミットメントとエンゲージメントです。そして、ビジネスモデルの進化とサクセッション・プランニングを長期的視点から考えることが重要です。
ビジョン/ ストラテジー人材マネジメント
CEO の サクセッション・
プランニング取締役会の コミットメント
リスク・ マネジメント
組織/ 企業カルチャー資本配分
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著者
ヴォルフガング・バウリエデル (Wolfgang Bauriedel) :ラッセル・レイノルズ・アソシエイツのテクノロジーセクター、デジタル・トランスフォーメーションのプラクティスメンバー、ボストンオフィス所属。
リース・グロスマン (Rhys Grossman):ラッセル・レイノルズ・アソシエイツのデジタル・トランスフォーメーション、コンシューマー・デジタルメディアプラクティスの共同リーダー、ロンドンオフィス所属。
タック・リッカーズ (Tuck Rickards):ラッセル・レイノルズ・アソシエイツのデジタル・トランスフォーメーションプラクティスの共同リーダーおよびテクノロジーセクターのメンバー、サンフランシスコとボストン両オフィスで活動。
ノラ・ビスキン (Nora Viskin):ラッセル・レイノルズ・アソシエイツのデジタル・トランスフォーメーションプラクティスとダイバーシティープラクティスの調査リーダー、ボストンオフィス所属。
�� アトランタ�� カルガリー�� サンパウロ�� サンフランシスコ�� シカゴ�� スタンフォード�� ダラス�� トロント�� ニューヨーク�� パロアルト
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ラッセル・レイノルズ・アソシエイツは、取締役会、CEO、経営幹部に関するアセスメント、採用、サクセッションプランニングの分野における世界的リーダーです。全世界に400 人を超えるコンサルタントを擁し、あらゆる業界、地域における公的機関、民間企業、NPO にサービスを提供しています。ラッセル・レイノルズは、世界のビジネス環境を変容させるデジタル、経済、環境、政治のトレンドを見通し、今日の課題に取り組むことのできる、変革の時代に相応しい経営チームの確立をサポートしています。詳しくは、www.russellreynolds.com、Twitter(@RRAonLeadership)をご覧ください。
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