カオールのエレガンス...
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カオールでいち早く生産者元詰めワインを始めたパイオニア ラマルティーヌはカオールの中でも最も古い生産者の一つで 1883 年に設立されました。1920 年、19 世紀後半に蔓延したフィロキセラによって
壊滅してしまった畑の植え替えを行い、再建を行いました。その後、1953 年に自社で元詰めを行い、ボトルでワインを売り始めました。カオール
で当時 1,000 軒ほどあった生産者の中でも、元詰めをしていたのはわずか 5 軒から 10 軒ほどでした。
当時はボトル売りが珍しく、樽に詰めてレストランに売るのが主流でした。カオールが AOC に認定されたのが 1971 年ですから、それよりも 20
年も前に、いち早く元詰めを始めた先駆者と言えます。1975 年、私の父であるアラン ゲローが曽祖父からワイン造りを引き継ぎました。その当
時、葡萄畑は 10ha でしたが、その後栽培面積を広げ、現在(2017 年)は 37ha を所有するまでになりました。私は 2016 年に父アランからシャ
トーを引き継ぎました。
カオールの中でも海洋性気候の影響を受ける恵まれた気候 カオールは、フランスの南西地方の産地で、ちょうどボルドーとトゥールーズの中間に位置しています。カオールは西から東に 40km、蛇行する
ロット川沿いにワイン産地が広がっています。そのため、カオールといってもひとつではなく、多種多様な土壌、気候、テロワールがあります。
シャトー ラマルティーヌは、カオールのアペラシオンの中で最も西に位置する「ソトゥラック」にあります。
この西の端にあるという立地条件は葡萄栽培において大変重要なポイントです。アペラシオンの東側は大陸性気候の影響を受けますが、ソテュラッ
クのある西側は海洋性気候の影響を受けます。そのため収穫の時期には暖かく、葡萄が早く熟し、収穫は東のエリアよりも 1 週間ほど早くなりま
す。葡萄が早く熟すというメリットは、秋口になると気候が不安定になり、雨が降りますが、ソテュラックでは他よりも早く葡萄の収穫が出来る
ため、雨のリスクが少ないことです。こうした気候条件に支えられた安定性が、ラマルティーヌの特徴のひとつで、ワインにバランスとエレガンス
がもたらされます。
ソトゥラック N
シャトー ラマルティーヌ 来日ミニセミナー レポート
安定した気候とテラス式の畑、トップ生産者が生み出す
カオールのエレガンス
ボルドー カオール
2017 年 12 月弊社ショールームにて、フランスのカオールよりシャトー
ラマルティ―ヌの醸造家バンジャマン ゲロー氏を迎え、ミニセミナーを開
催いたしました。その内容をご紹介致します。
ロット川によって削られ、
侵食して生まれたテラス状の畑
葡萄畑は合計で 37ha、数百
年かけてロット川によって
削られ、浸食されて出来た
テラス(段々畑)に広がっ
ています。葡萄を栽培して
いるのは、2 段目から上の3
つのテラスです。1 段目は栽
培に適さないため、葡萄は
植えていません。
化学肥料の不使用、間引きにより葡萄の集約を高める 栽培には化学肥料や除草剤は一切使用していません。畑の畝と畝の間には 1 列ごとに草を生やしていま
す。そうすることで土中の根の競争を高め、収穫量をコントロールし、土中の水分量の調節を行ってい
ます。5 月から 7 月にかけて、風通しを良くするための除葉の作業、品質を上げるためにグリーンハー
ベストの作業を行います。マルベックは樹勢の強い品種のため、何もしないと 1 本に 13 房から 15 房を
実らせます。1 房当たりの葡萄の集約を高めるために、シャトー ラマルティーヌは 1 本につき 8~9
房、パルティキュリエールは 6~7 房、トップ キュヴェのエクスプレスィオンは 5 房に制限します。
醸造 収穫の 95%は機械摘みで行います。収穫
した葡萄はセラーに運ひ、振動式の選果
テーブルで、未熟果や不純物(枝や葉)
などを取り除きます。片側に 3 人ずつ、
合計 6 人でこの作業を行っています。
セヴェンヌの丘 畑とセヴェンヌの丘の間にロット川が流れている。
3つの土壌の個性を活かしたワイン造り それぞれのテラスは異なる土壌を持っています。ラマル
ティーヌでは個々の土壌の個性を生かしてワインを造っ
ています。フルーティさを求めるプレスティージュ ド
マルベック(FB-729)は主に 2 段目の畑からの葡萄、そ
の他のキュヴェは主に 3 段目、4段目のテラスの葡萄を使
用しています。
コンクリートタンク ステンレスタンク 選果テーブル
シャトーがある場所
ブレンドのためのテイスティングに最も力を注ぐ
ラマルティーヌの実力の秘密はここにあります 発酵は温度コントロール装置のついたステンレスタンクで行います。プレスティージュ ド マル
ベック(FB-729)とシャトー ラマルティーヌ(FB-730)の熟成にはコンクリートタンクも使用し
ます。コンクリートタンクで熟成させるメリットは、壁が厚いため、温度を一定に保つことが出来、
また微量の空気交換により、ワインは呼吸することが出来、ゆっくりと熟成します。キュヴェ パル
ティキュリエール(FB-731)は 2013 年まではバリックのみで熟成させていましたが、フードルも
使用するようになりました。
セラーの仕事の中で最も重要と言えるのが、ブレンドのためのテイスティングです。たとえば、シャ
トー ラマルティーヌ(FB-730)の場合、別々に醸造した 40 種類以上のサンプルを試飲してブレン
ドを決めています。ある時、香水メーカーの調香師がセラーに訪れて話をした際、我々とほとんど同
じような仕事をしているね、と言いました。
セラーには熟成用の樽が 300 樽あります。バリックは様々な樽メーカーのものを使用しています。
常に良い樽メーカーを探して、毎年1社から 2 社の新しい樽を試しています。
フードル
バリック
パルティキュリエールは「特別」という意味
タナの可能性を信じ、マルベックにブレンドした
渾身の 1本
カオール キュヴェ
パルティキュリエール 2011
※無くなり次第2012年ヴィンテージに切り替わります
シャトー ラマルティーヌを最も良く表現し
たワインといえます。最も樹齢の高い葡萄の
(1937 年植樹)半分を使用し、ラマルティー
ヌ全体の約 50%の生産量となります。3 段目
のテラスの畑の、土壌タイプ(粘土石灰岩、
石灰岩)からの葡萄を使っています。バリッ
クで 12~14 ヶ月熟成させています。その後
タンクにてブレンドします。カシスリキュー
ルのように凝縮されたアロマ。酸がしっかり
あるので、果実味の重さを引き締めています。
とても力強く、タンニンが口の中を覆いつく
します。若い内から飲め、寝かせることも出
来ます。このワインを造り始めた当時、マル
ベック+タナのブレンドは珍しく、そのこと
から「パルティキュリエール」(特別な)と名
付けました。
国/地域等:フランス/シュッド ウエスト
葡萄品種:マルベック 90%、タナ 10%
熟成:バリックで 12~14 ヶ月
品番:FB-731
JAN:4935919217316
容量:750ml
¥3,240(本体価格¥3,000)
赤・フルボディ
カオール プレスティージュ
デュ マルベック 2013 粘土石灰岩質と粘土砂質の、2 段目のテラスの畑の
葡萄を使っています。ステンレスタンクで、28 度に
温度管理しながら発酵します。その後、主にタンク
で熟成します。美しいチェリーレッド。上質な果実
の複雑な香り。絹のようなアタックの後に、まろや
かなタンニンが感じられます。肉付きがよく、しか
もエレガントで、香りとみごとな調和を見せます。
国/地域等:フランス/シュッド ウエスト
葡萄品種:マルベック 80%、メルロ 20%
熟成:タンク 品番:FB-729 JAN:4935919217293
容量:750ml
¥1,836(本体価格¥1,700)
赤・フルボディ
シャトー ラマルティーヌ
カオール 2012 粘土石灰岩土壌です。樹齢は 30~45 年です。収穫
量は 50hl/ha。デレスタージュしながら伝統的な方
法で発酵、22 日間醸しをします。2/3 をタンクで、
1/3 をバリックで 18~20 ヶ月熟成させます。濃い紫
色。集約されたプラムのような果実味。タンニンは
エレガントで、長い余韻があります。スタンダード
でもとても力強い味わいです。
国/地域等:フランス/シュッド ウエスト
葡萄品種:マルベック 90%、メルロ 10%
熟成:2/3 タンク、1/3バリックで 18~20ヶ月
品番:FB-730 JAN:4935919217309
容量:750ml
¥2,484(本体価格¥2,300)
赤・フルボディ
リーズナブルな価格ながら、ラマルティーヌのスタイルが楽しめる
スタンダードキュヴェですが、エレガンスと力強さはさすが
2011年ヴィンテージ
120 本限り