ワークシートchapter 2 67 ワークシート表示制御ダイア ログ...
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Chapter 2
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2ワークシート
Chapter
ワークシートの基本的な操作方法とASCIIデータのインポート方法などについて解説します。3次元データを扱う場合は、行列シートの項目を読みましょう。
ORIGIN6.0
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Chapter2 - 01 ワークシートの基本
ワークシートはグラフを作成するデータを格納するスペースです。入力するデータの容量に制限はありません。基本的にはハードウェアのメモリ容量に依存します。
ORIGINの初期画面には2列のデータセットA(X)とB(Y)が表示されます。図のようにサンプルデータを入力しましょう。
ワークシートへのデータ入力
A(X)やB(Y)のように縦に入力した列データのことをORIGINでは「データセット(Dataset)」と呼びます。ですからデータセットAといえば、図でA(X)のことを指します。この呼び方はORIGIN独自のスクリプト言語LabTalkでも頻繁に利用されますので、覚えておきましょう。
新規列の追加ダイアログ
ワークシートの余白を右クリックして、「新しい列の追加」でも列を追加することができます。この場合は、1列づつ追加されます。
新規に追加されるデータセットの変数タイプはすべてデフォルトでY(従属変数)になります。変数のタイプをXまたはZなどに変更する方法が、いくつかありますのでご紹介します。
1. 属性の変更をしたいデータセット名(C(Y))を右クリックして、メニューから「列XY属性の設定」を選び、そのサブメニューから属性を選びます。
ワークシートに列を追加する場合は、「列」メニューから「新規列の追加」を選択します。ダイアログに追加する列数を入力します。ここでは図のように2列のデータセットを追加します。
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2. 属性の変更をしたいデータセット名(C(Y))をクリックして列全体を選択し、「列」メニューから属性を選びます。
3. 属性の変更をしたいデータセット名(C(Y))を右クリックして、メニューから一番下にある「列フォーマット」を選びます。ワークシート列フォーマットダイアログが現れますので、設定項目の中の列のXY属性から属性を選びます。
列の属性を変更するだけなら、1または2の方法が簡単にできます。列の形式を詳細に設定する必要があれば3の方法を使います。
右クリックメニューで列の属性を変更
列メニューから列の属性を変更
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ワークシート列フォーマットダイアログ
ワークシート列フォーマットダイアログでは、次の項目について詳細な設定ができます。
データセット名変数の属性(X,Y,Zなど)データの種類と表示形式小数桁表示と有効桁数ラベル名列の幅
データの形式に関する詳細は、Chapter2-03「データの形式」を参照してください。LabTalkでデータセットを操作する場合はデータセットは英語表記とし、日本語の凡例表示が必要な場合はダイアログの一番下にあるの「列のラベル」に目的の名前を入力し、次の図のように列ラベルを付けます。
ラベルを付けたワークシート
ワークシートの表示形式
ワークシートの全体の表示に利用する文字の種類や、見出しなどの設定は次のダイアログで行います。「フォーマット」メニューの「ワークシートの表示属性」を選択するか、またはワークシート上の余白をダブルクリックしてください。ワークシートに使う文字の色、大きさ、見出し、背景など細かな調整を行えます。
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ワークシート表示制御ダイアログ
バージョン5.0では、複数のX列を使う場合に、このダイアログボックスで指定する必要がありました。バージョン6.0では複数のX列を自動的に判別しますので、指定する必要はありません。
ワークシートの余白
ワークシートの余白を利用して、ボタンコントロールを作成する方法を紹介しましょう。上記の「ワークシート表示制御」ダイアログの「ワークシートの大きさ」項目で「上余白」を「40」とします。OKボタンをクリックすれば、ワークシートに余白が作成されますので、テキストツール使って図のように表題を作ることができます。
余白にタイトルを付ける
?Hint
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Chapter2- 02 データセット
ORIGINのデータはすべてデータセットと呼ばれる単位で構成されています。データセットの名前と属性について解説します。
ORIGINの(行列シートではなく)ワークシートに入力されたデータはその列毎に、ひとつのマトマリとして取り扱われ、それはデータセットと呼ばれています。新規のワークシートを開くとデフォルトでA(X)およびB(Y)という空のデータセットが作成されます。データセットに入力できるデータ数に制限は無く、ハードウェアのメモリーが許す限りのデータを入力することができます。
データセットの列名をダブルクリックすると次に示すワークシートの列フォーマットダイアログが表示されます。
ワークシート列フォーマットダイアログ
列名
これがデータセットの名前となる訳ですが、基本的にこれは次に述べる理由から変更しないようにしましょう。データセット名はORIGINのスクリプト言語LabTalkでそのまま利用されます。例えば、ワークシートData1のデータセットAとデータセットBの演算を次のように行うことがあります。
Data1_B=Data1_A*10 /*データセットAを10倍し、データセットBとする*/
LabTalkでは特定の記号が使用できない規則があったり、基本的に日本語文字をサポートしていないので(たまたま使用しても問題が無いこともあります)、列名はそのままにしておき、「列のラベル」を利用するようにしましょう。実際にダイアログの「列のラベル」に文字を入力し、次のようなワークシートを作成してみましょう。
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ラベルを作成
データセットの属性
データセットはXYZの各変数、XYの各エラーバー、ラベル、無属性として利用することができます。XYZのいずれかに設定すれば、そのデータセットはグラフ中でXYZ軸のデータとなりますが、もちろん、グラフを作成した後でこれを自由に変更するもできます。エラーバーに関する詳細はChapter3-07「エラーバー」を参照してください。
属性の設定を行う
ラベル属性
「列のラベル」はデータセットの名前でした。次に各データポイントの値を説明するためのラベルデータセットについて説明します。ラベルは同じ行にあるデータセットのポイントを説明するためのもので、次のようにワークシート中に入力します。(L)は該当するデータセットがラベル属性であるを表わしています。
ラベルデータセットを追加
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これをグラフ化した結果を次に示します。
ラベルを追加したグラフ
グラフ上のラベルの表示に関する設定は、グラフ上のラベルをダブルクリックして次のダイアログを表示します。
作図の詳細ダイアログ
このダイアログでは、ラベルのフォント、色、大きさ、表示位置、ラベルの向き、ラベルの背景処理、オフセットなどを設定できます。
ラベルの位置調整は「位置揃え」項目と「オフセット」項目を使って行います。「位置揃え」で、データ点に対する基本的な位置を設定した後、オフセットを使って微妙な位置を調整します。ラベル表示位置は、軸上にラベルを表示します。
変更した結果を見るには、「適用」ボタンを押します。変更がグラフに反映されますが、このダイアログは閉じませんので、何度でも気に入るまで変更することができます。ダイアログを閉じるには、OKを押します。
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Chapter2- 03 データの形式
ORIGINでは、様々なデータ形式を扱うことができます。データ形式が正しくないと、ワークシート中で欠測値となり、正しいグラフを作成することができません。ORIGIN6.0では、データ形式のことをデータ型と呼んでいます。
ORIGINがサポートしているデータ型は次の通りです。デフォルトは「文字と数値」形式です。
数値 10進数、指数、工学表記を使ってデータを入力します文字 任意の文字列を入力します
時刻 時:分:秒などの形式で時刻を入力します日付 年/月/日などの形式で日付を入力します月 1月から12月までの月を入力します
曜日 日曜日から土曜日までの曜日を入力します文字と数値 数値と文字を同一のデータセット中に混在させることができます。
データ型および表示形式、列幅、データラベルは次のワークシート列フォーマットダイアログで行います。列名をダブルクリックするとワークシート列フォーマットダイアログが現れます。
ワークシート列フォーマット
例えば、次の図のように、文字と数字が混在しているデータセットAのデータ型は「文字と数値」になっています。
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サンプルデータ
このデータ型を「数値」に変更すると図のように文字の部分が「--」で表わされます。属性の異なるデータはワークシート中で欠測値とみなされ、「--」で表現されます。
データ型を数値に変更
その他、有効数字の設定、内部データの精度、列幅などを調整できます。
カスタム日時フォーマット(新機能)
ORIGIN6.0では、ユーザーが定義した形式の日時フォーマットを使用することができます。これを定義するには、オプションダイアログでその他のオプションタブをクリックして、右上側にあるカスタム日時フォーマットで行います。ここで定義した日時フォーマットは、ワークシート列フォーマットダイアログで、データ型を日付にして、表示フォーマットプルダウンメニューの一番下に現れます。
カスタム日時フォーマット
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時間データの取り込みに注意!例えば、次のような時間データのASCIIファイルを考えます。このASCIIファイルには時刻を示すデータが入っています。インポート機能を使ってこのファイルをインポートしたとき、データは正確にインポートされますが、データは記号(:)が混ざっているため、データ型は「文字」に設定されてしまいます。(列フォーマットダイアログを見ると「文字と数値」になていますが、ORIGINは「文字」として扱っています。)
!Attention
インポートしたデータ型を「時刻」に変更しないと、正確なグラフを得ることはできません。2つのグラフを比べて見ましょう。次ページの下側の図のようになれば、正解です!
表示フォーマット
時刻データを持つASCIIファイル
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データ型を変更していないグラフ(データ型「文字と数値」)
データ型を「時刻」にしたグラフ
両者の違いが分かるように、各データ点から垂線を下ろしています。時間の間隔が違うのがはっきりわかります。
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Chapter2- 04 データの加工と計算
ワークシートに入力したデータに演算を施す方法について解説します。
図のようなサンプルデータを準備してください。新規の列を追加する方法はChapter2-01「ワークシートの基本」を参照してください。
サンプルデータ
列値の設定
データセットB(Y)の値を使ってデータセットC(Y)の値を求めます。「列値の設定」という機能を使います。データセットC(Y)を右クリックして、「列値の設定」を選びます。または、列Cを選択して反転表示させ、「列」メニューから「列値の設定」を選択します。列値の設定ダイアログが表示されます。
列値の設定ダイアログ
まず、計算する範囲(行数)を設定します。開始行を1、終了行を6にします。Col(C)=の数式は次の式を利用します。
C(Y)を求める式:abs(col(B)-14)*10
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col(A)-col(B)を消去して、「関数挿入」ボタンの左側に「abs()」が表示されていることを確認して、「関数挿入」ボタンを押します。次に、「列名挿入」ボタンの左側にあるプルダウンボックスから「col(B)」を選び、「列名挿入」ボタンを押します。上の式が入力できたらOKボタンを押します。次のような計算結果になります。
列値の設定機能での計算結果
異なる行の値を使って計算を実行する
異なる行の値を利用して計算を行う場合は、次のようにインデックス番号iを利用します。例えば、A(X)の1行目の値と2行目の値の平均値をD(Y)に入力するとします。新規列D(Y)を作成して次の式を入力してください。
(col(A)[i]+col(A)[i+1])/2
小文字のiは行数を示す番号です。この計算結果は次の通りです。
異なる行データの計算
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計算されたワークシート
ソート(並べ替え)
あるデータセットをキーとしてワークシートデータのソートを行う方法について紹介します。ORIGIN6.0では、複数のキーを指定することができます。また、ワークシートまたは列の一部だけをソートする領域ソートの機能も付け加えられました。
初めにキーとなるデータセットを選択し、「解析」メニューから「ソート(領域)」、「ソート(列)」、「ソート(ワークシート)」のいずれかを選びます。さらに、それぞれのサブメニューとして、昇順/降順/カスタムがありますので、このいずれかのパターンで並べ替えることができます。
ソート(ワークシート)のメニューは常に選ぶことができますが、ソート(領域)/ソート(列)のメニューは、ワークシートの選択領域によって、選択できない場合があります。
列のソート
列値の設定で作成したデータセットC(Y)を並べ替えてみましょう。最初にC(Y)を選択し、「解析」メニューから「ソート(列)」の「昇順」を選びます。結果は次の通りです。選択した列だけが昇順でソートされています。
列ソートしたワークシート
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ワークシートのソート
次にワークシート全体をソートします。今度は列B(Y)を選択し、「解析」メニューから「ソート(ワークシート)」の「降順」を選びます。結果は次の通りです。選択したデータセットをキーとしてワークシート全体が降順でソートされています。
B(Y)をキーとしてワークシート全体をソート
領域のソート
ワークシートの一部をソートします。図のように領域を選択します。(1つの列の領域でも構いません。)「解析」メニューから「ソート(領域)」の「昇順」を選びます。選択した領域だけが昇順に並べ替えられました。
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カスタムソート
複数のキー使って、ソートするにはカスタムソート選択します。それぞれのキーに対して、昇順/降順を割り当てることができます。
階層化ソートダイアログボックス
ダイアログボックスの左側にある列選択で、第1キーを選択し、昇順または降順のボタンを押します。同様に、第2キーを選択し、昇順または降順のボタンを押します。キーとして使用しないものは、そのまま残しておきます。
また、欠損値を最小にするか最大にするかというオプションや、列または領域のカスタムソートでは、ワークシート全体または選択した列をソートの対象とすることもできます。
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データセットC(Y)を規格化
規格化
これはデータセットの値をダイアログに入力した値で一律に除算する機能です。統計の手法として一般的に利用される規準化(標準偏差1,平均値を0にする)とは異なります。注意してください。
規格化のダイアログボックス
実際に上の例で利用したワークシートのC(Y)の規格化を行いましょう。C(Y)を選択して、「解析」メニューから「規格化」を選び、現れたダイアログボックスに20(最大値)と入力し、規格化を実行します。結果は次の通りです。
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Chapter2- 05 ASCIIファイルのインポート
ASCII形式で保存された実験データをORIGINへインポートする方法について解説します。
ASCIIファイルASCII ファイルはごく一般的にデータの保存形式として利用されているファイル形式です。
WindowsのパソコンでASCIIファイルの中身を見る場合は、拡張子をtxt、dat、csvなどにします。そうすれば、様々なアプリケーション(ワープロソフトや表計算ソフト)で中身を簡単に表示することができます。ASCIIファイルと同じく、実験データの処理に利用されるファイル形式としてバイナリ形式が
あります。これは数値データをバイトオーダーで表現しているので、ASCIIのようにワープロソフトや表計算ソフトで中身を見ることはできません(ただし、データ容量は大変コンパクトになります)。ORIGINの上位バージョン、ORIGIN Professionalであればバイナリ形式のデータのファイルを操作することができます。
インポートメニュー
次のようなファイルをメモ帳で作ってください。データの区切り(横の間隔)はタブを使ってく
ださい。ASCIIファイルの例
ORIGINの「ファイル」メニュー
の「インポート」から「ASCII単一ファイル」を選択します。ASCIIのインポートダイアログが開きますので、ファイルの種類を*.txtに変えて、data.txtがあるフォルダに移動します。ファイルの種類は、デフォルトで、*.dat, *.txt, *.csvになっています。しかし、これら以
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外の拡張子を使っている場合があります。例えば、Excelでスペース区切りのテキストファイルは、 *.prnを使用します。ORIGIN6.0では、ASCIIファイルインポート/エクスポート時に使用するファイル拡張子を登録することができます。拡張子を登録するには、「ツール」メニューの「オプション」で、オプションダイアログを開き、「ファイルの格納場所」タブをクリックします。その下側にあるASCIIファイルタイプの設定で、「追加」ボタンを押します。現れたダイアログボックスの説明欄に登録する拡張子を説明する言葉を入力し、
?Hint
インポートメニュー
ASCIIのインポートダイアログ
拡張子の登録
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拡張子欄に拡張子を入力します。図のように説明欄にも拡張子を入れておきましょう。ファイルのインポートダイアログのファイルの種類プルダウンボックスに現れるのは、説明欄に入力した文字列です。拡張子欄に入力した拡張子は、ORIGINが内部的に使用しているだけで、ユーザー
には見えません。先ほど作成したASCIIファイル(data.txt)を選択して下さい。このコマンドで簡
単にインポートできるはずです。インポートされたASCIIファイル
ASCIIオプション
登録した拡張子がインポートダイアログに現れる
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ASCIIオプションダイアログ
このダイアログの項目につ
いて説明します。
1.ファイル構造
区切り、区切り記号データの区切りを指定します。スペース、タブ、カンマなど一般的な区切り記号(デリミタ)以外の記号を利用している場合は"その他"に設定し、隣のボックスにその記号を入力します。
固定、列の幅ASCIIファイルを区切り記号ではなく、半角の桁数で強制的に区切ってインポートします。
数値列・テキスト列の自動判別デフォルトでは3行に設定されています。データの最初の3行から基本的なデータセットの形を判断します。
数値フィールドに数値以外を検出したときの処置ASCIIファイルのデータを読み込んでいるときに、数値以外のデータが含まれている場合の処理を決めます。ここでは
A.インポートの中断B.欠損値として入力C.新規のワークシート/列を作成D.ヘッダラベルに付加
の4つの処理方法が用意されています。デフォルトでは、欠損値として入力になります。
2. ファイルヘッダスキップするメインヘッダの行数ヘッダとしてスキップする行数を指定し、それらの行を読み飛ばします。一度、テキストエディタでASCIIファイルを開き、行数を数えましょう。
スキップするヘッダの行数を自動決定ファイルから自動的にヘッダの行数を判断し、ヘッダ部分を読み飛ばします。
スキップするサブヘッダの行数サブヘッダとして指定した行数分を読み飛ばします。
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「数値フィールドに数値以外を検出した時の処置」で、Cの「新規のワークシート/列を作成」について簡単に説明します。1つのASCIIファイル中に2つ以上の観測データが記号で区切られて入力されている場合を考えます。この機能を使うことでデータは2枚のワークシートに自動的に分離してインポートされます。
図のようなファイルを作成し、data2.txtという名前で保存してください。
次に、ORIGINの「ファイル」メニューの「インポート」から「ASCIIオプション」を選んでください。「数値フィールドに数値以外を検出した時の処置」で、「新規のワークシート/列を作成」を選び、さらに、「その他のオプション」ボタンを押し、データインポートオプションダイアログの「ヘッダ行があるだけ、それらを列ラベルとする」のチェックを外します。
OKボタンを押し、ASCIIインポートオプションダイアログに戻り、「インポート開始」ボタンを押します。ASCIIのインポートダイアログで、先ほど作成したASCIIファイル(data2.txt)を選択して下さい。
サンプルファイル
インポートオプションダイアログ
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2つのワークシートに分離
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Chapter2- 06 ASCIIファイルのヘッダ情報
ASCIIファイルをインポートするときにファイルのヘッダ情報は欠落しているように見えます。しかし、実際にはORIGINのシステム変数%Zに格納されています。ASCIIファイルのヘッダには実験を行ったときの条件や、日時など実験に関する付帯的な情報が格納されています。グラフを作成した時点で、このヘッダ情報を注釈としてグラフに書き添える場合があります。実際に次のファイルをメモ帳で作成して、それをインポートし、最後にグラフ上にヘッダー情
報を書いてみましょう。1.下図のテキストファイルをメモ帳で作成します。
サンプルASCIIファイル
これに適当な名前を付けて保
存します。ここでは、data.txtという名前にしています。
2.ORIGINの「ファイル」メニューの「インポート」から」「ASCIIオプション」を選択します。3.ASCIIインポートオプションダイアログでデータの区切りをコンマにします。
ASCIIインポートオプションダイアログ
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スキップするメインヘッダの行数を指定すると、そのヘッダ部は単純にスキップされ、%Zには格納されません。ここは「0」のままにしておきましょう。!Attention
4.次に、「その他オプション」ボタンを押し、「最初にヘッダ行があれば、それを列名とする」と「ヘッダ行があるだけ、それらを列ラベルとする」のチェックを外します。
OKを押して、ASCIIインポートオプションダイアログに戻ります。
5.「インポート開始」ボタンを押し、ASCIIのインポートダイアログで目的のファイルを選択します。
ASCIIのインポートダイアログ
6.これをインポートすると次の図のようにデータが取り込めます。
データインポートオプションダイアログ
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インポートしたデータ
7.このワークシートから散布図を作ります。B(Y)をクリックして反転表示させ、「作図」メニューから「散布図」を選びます。
8.散布図が出来上がったら、スクリプトウィンドウを開き、次のコマンドを実行します。
スクリプトウィンドウを開くには、「ウィンドウ」メニューの「スクリプトウィンドウ」を選ぶか、標準ツールバーの「スクリプトウィンドウ」を選びます。(シートカットキーAlt+3でも表示/非表示を切り替えられます。)
label -q 2 -s %z
入力したら、%zの後ろにカーソルがあることを確認して、Enterキーを押します。作成した図に自動的にヘッダのテキスト情報が貼り付けられます。
スクリプトを使ってヘッダのコピーを行う
スクリプトウィンドウ
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この様にして貼りつけたテキストはもちろん編集可能です。実際、貼り付けられたテキスト部分をダブルクリックしてください。テキスト編集のためのダイアログボックスが表示されます。
目的の行だけを取り出す
%Zに格納した複数行のテキストのうち、目的の行のデータだけが必要な場合はLabTalkスクリプトの@nによる置換表記を利用します。3行目のデータだけが必要な場合は
%A=%[%Z,@3]
のように記述して、%Zの3行目を%Aに代入します。変数%Aには「Sampling Ratio 60Hz」という文字列だけが格納されます。
%A=%[%Z,@3];label -q 2 -s %A;
と記述して、この2行を選択し、Enetキーを押せば、グラフ上には「Sampling Ratio 60Hz」という文字列だけが表示されます。
LabTalkについての詳細は、Chapter8「LabTalk」を参照してください。
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ASCIIファイルの一括インポートChapter2- 07
複数のASCIIファイルを一度の操作でORIGINへインポートする方法について解説します。
これは、ORIGIN6.0の新機能で、大量のデータファイルを扱うには非常に便利な機能です。(1つのASCIIファイルをインポートする方法については、Chapter2-06「ASCIIファイルのインポート」を参照してください。)
インポートするデータの作成メモ帳を使って、インポートするデータを作成します。次の図を参考にして、データを作成し、保存してください。ここでは、同じフォルダに保存しますが、異なるフォルダでも構いません。
ファイル名Data1.txtデータはタブ区切り
ファイル名Data2.txtデータはスペース区切り
ファイル名Data3.txtデータはコンマ区切り
次にORIGINの「ファイル」メニューの「インポート」から「ASCII複数ファイル」を選びます。複数のASCIIのインポートダイアログで、ファイルの種類を*.txtにして、作成したASCIIファイルがあるフォルダに移動します。
目的のASCIIファイルを選択し、「ファイルの追加」ボタンを押します。ダイアログの下側に、選択したファイル名が現れます。異なるフォルダにあるファイルを追加するには、ファイルの場所を移動して、「ファイルの追加」ボタンを押します。
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複数のASCIIのインポートダイアログ
ファイル名が連続して並んでいるファイルを選択するには、shiftキーを押しながらクリックします。ファイル名が不連続に並んでいるファイルを選択するには、Ctrlキーを押しながらクリックします。
インポートしたいすべてのファイル名がダイアログの下側に現れたら、OKボタンを押します。今は、「各々を現ワークシートの列として追加」のチェックは付けておきます。図のようにインポートされます。
複数のASCIIファイルを1つのワークシートにインポート
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次に複数のASCIIファイルをそれぞれ新規にワークシートを作成して、インポートします。データは同じものを使用します。ORIGINの「ファイル」メニューの「インポート」から「ASCII複数ファイル」を、複数のASCIIのインポートダイアログで、目的のASCIIファイルを選択し、「ファイルの追加」ボタンを押します。今度は、「各々を現ワークシートの列として追加」のチェックを外します。すると、「テンプレート」という項目が現れます。
ORIGINのワークシートは、テンプレートとして、様々な設定を持たせることができます。通常ORIGINを起動して現れるワークシートは、デフォルトでORIGINという名前のテンプレートを使用しています。異なるテンプレートにインポートする場合には、各ASCIIファイルのテンプレート名をダブルクリックして、異なるテンプレートを選び、インポートします。ここでは、デフォルトのORIGINを使用します。
ワークシートテンプレートの詳細については、Chapter2-14「ワークシートテンプレート」を参照してください。OKボタンを押します。図のように別々のワークシートにインポートされます。
別々のワークシートにインポート
インポートするファイル毎にテンプレートを指定できる
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Chapter2- 08 Excelワークブック
ORIGINのプロジェクトファイルとExcelワークブックの関係について解説します。
ワークブックとは
ORIGIN v5.0からExcelのワークブックを直接、取り扱えるようになりました。ここでワークブックとは一般的にExcelのファイルのことを指します。ワークブックは複数枚のExcelワークシートから構成されています。このような形式のExcelファイルをワークブック形式と呼びます。
ORIGINのプロジェクトファイルとExcelのワークブック
ExcelのファイルをORIGINで利用するためのインポート方法については、既にChapter1-09「MSExcelデータ」の項目で解説いたしました。ここでは、既にインポートしたExcelワークブックや、ORIGINのプロジェクトファイル中で新規作成したExcelワークブックの保存方法やリンクの関係について解説します。
新規にExcelワークブックを作成する
ORIGINを起動した状態で、Excelのワークブックアイコンをクリックし、次のようなサンプルデータを入力します。
新規Excelウィンドウアイコン
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サンプルデータを入力する
「作図」メニューから「線+シンボル」を選択します。
作図データ選択ダイアログ
このダイアログボックスが開いている状態で、X変数に相当するデータ列(ここでは1,2,3)を選択し、ダイアログのXボタンをクリックします。同様にY変数の設定を行います。そして、「プロット」ボタンをクリックすれば、すぐにグラフが出来上がります。ダイアログボックスは、開いたままになりますので、「閉じる」ボタンを押してください。
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グラフが出来上がった状態で「ウィンドウ」メニューを見てください。Data1、Book1、Graph1というウィンドウが作成されていることが分かります。
Excelワークブックを外部ファイルとして保存するORIGIN内で作成されたExcelワークブックはデフォルトでORIGINの内部ファイルとして保存されます。このExcelワークブックをExcelで編集する必要がある場合には、外部ファイルとして保存しなければなりません。プロジェクトとリンクした外部ファイルとして保存するには、次のように操作します。
はじめに目的のワークブックを画面上に表示します。マウスをワークブックのタイトルバーに移動し、マウスの右ボタンをクリックします。
Excelウィンドウのタイトルバーで右クリック
メニューから「プロパティ」を選択します。「ワークブックの特性」ダイアログが表示されます。保存方法を「外部」としてください。
Excelウィンドウから作成したグラフ
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ワークブックの特性ダイアログ
外部出力されたファイルには自動的にリンクが設定されます。リンクされたワークブックの保存先は、Excelワークブックを表示した状態であれば、「ウィンドウ」メニューの「ORIGINオプション」を選択し、「オプション」ダイアログボックスの「ファイルの場所」タブで設定します。(ORIGINワークシート、グラフが表示されている状態であれば、「ツール」メニューの「オプション」を選びます。)
ウィンドウメニュー
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オプションダイアログのファイルの格納場所
実際に外部出力したExcelのファイルを、Excelで開き、データを更新してください。デフォルトでは、グラフの更新のみで軸の更新はされません。軸も更新させるには、軸をダブルクリックして現れる軸ウィンドウダイアログボックスの「スケール」タブの「再スケール方式」で「自動」を選択します。再びORIGINのプロジェクトファイルを開いたときにグラフが更新されていることが確認できます。
Excelファイルのバックアップワークブックを内部保存しておくが、念のために別のファイルとしてバックアップしておきたい場合は、Excelワークブックのタイトルバーを右クリックして、メニューの一番上にある、「ワークブックの新規保存」を使います。標準のExcelファイルとして保存するダイアログが表示されます。
ファイル名を付けて保存するダイアログ
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Chapter2- 09 アプリケーションファイルのインポート
ORIGINでインポートできるその他のアプリケーションのデータファイルとその方法について解説します。ORIGINにはASCIIファイル以外にも技術者が比較的よく利用するアプリケーションのデータファイルを直接インポートする機能が備わっています。
ORIGINインポートメニュー
Lotus(WK?)表計算ソフトの定番Lotus1-2-3のファイルをインポートできます。
Excel(XLS)マイクロソフト社のExcelのデータファイルをインポートできます。このメニューはExcelの古い(ブック形式になる前の)バージョンをインポートするときに使います。ブック形式のExcelファイルをインポートする場合は「ファイル」メニューの「Excelを開く」を利用してください。
dBASE(DBF)データベースソフトのdBASEのデータファイルをインポートできます。この形式はデータベースのスタンダードとなっていたので、この形式でファイルを保存できるソフトは今でも多く存在します。
DIFデータベースファイルの一形式。
LabTechこれは米国LabTech社のソフトウェア、LabTechシリーズのデータファイル形式です。LabTach社の製品はhttp://www.labtech.comをご覧ください。
サウンド(WAV)音声情報の汎用的なファイル形式です。
Mathematica数式処理ソフトウェアの定番ソフトです。理数系のユーザなら一度は触れてみたいソフトかも?
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KaleidaGraphWindowsおよびMacintoshで利用可能な技術者向け2Dグラフ作成ソフトです。
pClampこれは米国Axon社のソフトウェア、pCLampのデータファイル形式です。Ver5.0までは、別売のモジュールとして提供されていましたが、Ver6.0からは、標準機能として提供されます。Axon社の製品はhttp://www.axon.comをご覧ください。
上位バージョンのORIGIN Professionalでは、さらに、ODBCというメニューがあります。ODBCとは、Open Data Base Connectivityの略で、共通のプログラムインターフェースを提供するライブラリのことです。1つのプログラムで様々なODBC準拠のデータベースソフトとデータのやり取りができるというメリットがあります。今では、ほとんどのデータベースソフトはODBCに準拠しています。ORIGIN Professionalでは、このデータベースからデータをインポートしてグラフ作成、データ解析ができます。
インポートが出来ない!?実際にデータファイルをインポートしてみると、それがうまくインポートできない場合があります。そのような場合は一度、テキストファイル形式(ASCII)やExcelまたはLotusファイルなど、一般的になっているファイル形式に変換してみましょう。そして、そのファイルを改めてORIGINにインポートしてみましょう。
バイナリファイルは?測定器から得られた実験データ、特に多チャンネルのサンプリングデータにはASCIIではなくバイナリ形式が良く利用されます。標準のORIGINでバイナリファイルを読み込むことはできません。そのためには上位バージョンのORIGIN Professionalが必要です。
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Chapter2- 10 データセットのグループ化
ワークシートに入力したデータ列はデータセットと呼ばれ、グラフの作成方法によってはこれらが自動的にグループ化される場合があります。
グループ化グループ化されたデータセットは、任意のシンボルや線の種類など属性を変更すると、これがグループ内のすべてのデータセットに適用されます。ただし、それはすべてを同じ属性にすることもできますし、同じ属性にせず、作図の詳細ダイアログボックスのドロップダウンリストの順に割り当てることもできます。シンボルのタイプや色、線の種類や色など、どの項目をドロップダウンリストの順に割り当てたいかを選択することができます。詳細は、Chapter6-04「シンボルの編集」を参照してください。
ここでは、グループ化されたデータセットとはどういうものかを理解してください。
次のようなデータセットを準備してください。
サンプルデータ
上図のようにデータセット名B(Y)からD(Y)までをドラックして選択してください。この状態から「作図」メニューの「線+シンボル」を選択します。次のグラフが作成されます。
サンプルデータから作成したグラフ
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ここで画面の左上角にあるレイヤアイコンをダブルクリックします。
レイヤアイコン
レイヤダイアログボックス
ダイアログの左側のボックスに、このプロジェクト内の利用可能なデータセットが表示されています。グラフ中で利用されているデータセット名は、右側のボックスに表示されています。データセットの前に「g1」という文字がついています。これは、描画したデータがグループ1という名前でグループ化されていることを示しています。実際、この中の任意のデータセットをクリックすると、グループ全体が選択された状態(反転表示)になります。
データセットを選択したときのダイアログ
「キャンセル」ボタンをクリックしてダイアログを閉じます。グループ化されたデータセットのシンボルをグラフ上で変更してみましょう。データセットB(Y)の任意のシンボルをダブルクリックします。そして作図の詳細ダイアログで、シンボルタブをクリックし、プレビュー項目の▼印のボタンをクリックします。シンボルの形状を菱形(◆)にします。さらに、グラフの線タブをクリックし、接続線をスプラインに設定します。
Chapter 2
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作図の詳細ダイアログボックス- シンボル
作図の詳細ダイアログボックス- グラフの線
こうしてできたグラフは次のようになります。
グループ化されたデータセットのグラフ
ORIGIN6.0
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ただし、グループ化されているデータセットも、「作図の詳細」ダイアログの「グループ」タブにある「編集方式」を「独立」にすると、色、線の種類、シンボルなどを個別に変更することができます。このとき、データセットはグループ化を保ったままです。グループ化を解除するには次のように行います。
グループ化の解除
データセットのグループ化を解除する場合は、レイヤアイコンをダブルクリックしたときに表示される「レイヤ」ダイアログで、右側ボックスのグループ化されたデータセットを選択し、「非グループ化」ボタンをクリックします。これにより、データセットは独立して存在し、「レイヤ」ダイアログで自由に削除/追加を行えます。再度グループ化を行いたいときは、グループ化したいデータセットを選択し、「グループ化」ボタンを押します。
グループ化を解除したときのレイヤダイアログ
Chapter 2
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ASCII形式でのエクスポートChapter2- 11
ORIGINの中で作成したワークシートのデータをASCIIファイルとして保存する方法について解説します。
ORIGINのワークシートで作成したデータをASCII(テキスト形式)にして他のソフトウェアで利用する場合があります。いくつかの方法がありますが、それぞれに特徴がありますので、必要に応じて使い分けるのが良いでしょう。
クリップボードを使う
最初に次の図のようなサンプルデータを用意します。
サンプルデータ
このサンプルワークシートの全部または任意の範囲を選択して、メモ帳に貼りつけることができます。クリップボード経由のコピーでは、デリミタ(データの区切り)はタブになります。メモ帳に貼り付けた様子を次に示します。
データの一部を選択してメモ帳に貼り付け
ORIGIN6.0
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ASCIIエキスポートの機能を使う
前述のようにWindowsの標準的な機能を利用する方法もありますが、ORIGINにはASCIIファイルとして出力するためのメニューコマンドが用意されています。
「ファイル」メニューから「ASCIIエキスポート」を選択します。
出力されるASCIIファイルのファイル名を次のダイアログで決めます。
拡張子としてデフォルトでDAT、CSV、TXTから選択できます。ここではtest.datというファイル名にします。ファイル名を入力し、OKを押すと次のようなダイアログがあらわれます。
ファイルメニューから選択
エクスポートダイアログ
Chapter 2
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エクスポートオプションの設定
このダイアログで、「列の名前を含む」にチェックを付けると、列名がデータと共にASCIIファイルに出力されます。同様に「列ラベルを含む」は、列ラベルがデータと共にASCIIファイルに出力されます。選択範囲のエクスポートは、ワークシートの選択範囲のみをエクスポートします。
区切り、区切り記号で出力ファイル内で使用されるデミリタを指定します。
列名付きで出力したファイル
ORIGIN6.0
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Chapter2- 12 行列シート
等高線図や3D曲面図を作成するためのデータを入力する行列シートについて解説します。次の図はマイクロソフト社のExcelによる等高線図を作成するシートです。これと同じものをORIGINで作成する場合の方法を最初に紹介します。Excelのシート
Excelの場合は列AにY軸の値を、そして行1にX軸の値を入力し、簡単に等高線図を描くこ
とができます。
Excelの3D等高線グラフ
ORIGINの行列シートにはExcelのそれと比較して次のような特徴があります。
1. 行列シートの大きさ
を最初に決めておく必要がある。
2. XYの座標値はシート上には表示されない。Excelに比べれば操作性の面で設定が面倒ですが、その代わりに優れた補間計算の機
能を利用することができます。それでは実際にExcelのサンプルと同じグラフをORIGINで作成してみましょう。
Chapter 2
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「ファイル」メニューの「新規」から「行列」を選択します。新規ダイアログ
ORIGINの空の行列シートが作
成されます。
空の行列シート
ここで、行列の大きさ(次元)を設定します。「行列」メニューから「次数/座標値の設定」を選択します。入力するZデータの行列サイズを5*5と入力しますので、「次数」の「列」と「行」のそれぞれのボックスに5を入力します。
行列の次数/座標値ダイアログ
ORIGIN6.0
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次に、このダイアログの下側にある「座標値への対応づけ」を行います。これが、XおよびYの値となり、ここで設定したXおよびYの範囲が先ほど指定した行列サイズで等分され、XおよびYの座標軸となります。OKボタンをクリックすれば、5*5の大きさを持つ行列シートができます。行列シートのセルにExcelと同じサンプルを入力してください。
5*5の行列シートにZデータを入力
この状態で、「3D作図」メニューから「3D:カラーマップ曲面」を選択すれば、次の3D図が作成されます。
ORIGINの3D図
Excelでできるのは、ここまでです。ORIGINには、さらに、この曲面図を拡張する計算機能が用意されています。
Chapter 2
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行列データの拡張ORIGINには優れた補間計算の機能が用意されています。実際に、行列シートに戻って、「行列」メニューから「行列の拡張」を選択してください。
セルの拡張ダイアログ
これでOKボタンをクリックすれば、5*5の行列シートは補間計算が施され、10*10の行列シートに拡張されます。その時、ORIGINのグラフは自動的に更新され、より滑らかな曲面を持つ3D図が作成されます。
拡張された行列シートによる3D曲面図
ORIGIN6.0
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Chapter2- 13 行列への変換
XYZの列データから行列データへの変換方法、新機能であるXYデータから行列データへの変換方法について解説します。
この項目について練習する前に必ずChapter2-12「行列シート」の項目を一読してください。ここでは、行列シートに関する基本的な説明は省略します。等高線図や3D曲面図を作成する場合に、元データがXYZの3列の列データ(3要素データ)で与えられる場合、この変換機能を利用しなけば目的のグラフを作成することはできません。
3要素データの種類3要素データに規則性のあり/無しによって利用する方法がことなりますので注意が必要です。
規則性のある3要素データ(補間計算なし)次のようなデータを用意してください。規則性が必要なのはXY変数で、Z変数に規則性は必要ありません。
規則性のある3要素データ
規則性とは図のようにXYがそれぞれ一定の間隔で決まった座標位置をとり、欠測値のない状態をいいます。この図の場合とは逆にXとYが設定されている場合でもかまいません。ただし、1ヶ所でも間隔が異なっていたり、欠測値のある場合、変換処理は実行できません。その時は次に説明する方法を使用してください。
これを行列シートに変換する場合はZ変数を選択し(反転表示)、「編集」メニューから「行列に変換」の「標準配置データの変換」を選択します。すぐに次に示す行列シートが作成されます。
Chapter 2
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行列に変換するメニュー
作成された行列シート
この行列シートはワークシート上のデータを規則正しく、行列シートに置き換えたもので補間計算は実行されていません。
規則性のない3要素データ(補間計算あり)最初に規則性の無い次のデータを用意します。
サンプルデータ
Z変数を選択し、「編集」メニューから「行列に変換」の「ランダム配置データの変換」を選択します。次のダイアログが表示されます。
ORIGIN6.0
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行列への変換(グリッディング)ダイアログ
作成される行列の行数及び列の設定、検索半径、滑らかさグリッド法の選択を行います。基本的にはデフォルトの状態でOKボタンを押してください。作成される行列の網目を細かくする場合は行/列数を増やし、また、より滑らかな曲面を得る場合は「滑らかさ」の値を0.5までの範囲で、小さくしてみましょう(最大値は1.2程度までとします)。OKボタンクリックすれば、ORIGINは補間計算を実行し、各格子点におけるZ値を算出します。
グリッディングした行列シート
グリッディングの計算に利用されている数学的手法に関しては「Statistics and Data Analysisin Geology」John Wiley & Sons, Inc. Second Editionを参照してください。
Chapter 2
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Chapter2- 14 ワークシートテンプレート
ワークシートテンプレートの機能と便利な利用方法について解説します。これを活用するとORIGINが非常に使いやすくなります。
ワークシートテンプレートとはORIGINを起動したときに最初に画面に表示されるワークシートも、実はORIGIN.otwというワークシートテンプレートを開いたものです。このテンプレートはORIGIN6.0をインストールしたフォルダの中に多数用意されています。
ワークシートテンプレートには「otw」という拡張子が付いています。これらは主に統計機能や解析機能をORIGINで実行したときに、その結果を表示するために使われています。
保存されるもの
テンプレートには次の属性が保存されます。
(1) 列数(2) 列ラベル(3) 列名(4)ワークシート表示制御ダイアログボックスの内容
「フォーマット」メニューから「ワークシートの表示属性」を選択すると表示されます。
ORIGINをインストールしたフォルダにあるワークシートテンプレート
ORIGIN6.0
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(5)ページカラーダイアログボックスの内容ワークシート表示制御ダイアログボックスの「ページカラー」ボタンをクリックすると表示されます。
ワークシート表示制御ダイアログ
ページカラーダイアログ
Chapter 2
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(6)ワークシートの列フォーマットダイアログボックスの内容列名をダブルクリックすると表示されます。
(7)ASCIIインポートオプションダイアログの内容「ファイル」メニューの「インポート」から「ASCIIオプション」を選択すると表示されます。
ワークシート列フォーマットダイアログ
ASCIIインポートオプションダイアログ
ORIGIN6.0
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(8)データインポートオプションダイアログの内容ASCIIインポートオプションダイアログから「その他のオプション」ボタンを押すと表示されます。
(9)列値の設定ダイアログボックスの内容
列を選択し、「列」メニューから「列値の設定」を選択すると表示されます。
(10)ワークシートデータの選択条件ダイアログボックスの内容
「解析」メニューから「データの抽出」を選択すると表示されます。
データインポートオプションダイアログ
列の設定ダイアログ
ワークシートデータの条件選択ダイアログ
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(11)ワークシートスクリプトに記述したスクリプト内容「ツール」メニューから「ワークシートスクリプト」を選択すると表示されます。
テンプレートの保存方法
前述の各項目について編集を施し、それをワークシートテンプレートとして保存するには、「ファイル」メニューから「テンプレートの新規保存」を選択します。
テンプレートを保存するダイアログが表示されます。保存する際はデフォルトで「origin.otw」というファイル名になります。このまま上書き保存すると、次回以降、このワークシートテンプレートが新規作成やインポートの際に利用されます。ASCIIファイルのインポートオプションを変えたテンプレートをいくつか作成し、ASCIIファイルの一括インポートなどで利用することができます。
ワークシートスクリプトダイアログ
テンプレートに名前を付けて保存
ORIGIN6.0
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