市民プール建設基本構想・基本計画 ·...

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市民プール建設基本構想・基本計画 平成24年8月 防府市教育委員会 教育部スポーツ振興課

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市民プール建設基本構想・基本計画

平成24年8月

防府市教育委員会

教育部スポーツ振興課

目 次

○ 策定にあたって

Ⅰ 新しいプール建設の背景となる現状と課題

1 閉鎖までの経緯(旧プール)

2 利用状況(旧プール)

3 防府市の将来人口見込み

4 市民ニーズの把握

4-1 市民アンケート調査

4-2 防府市プール施設整備検討委員会からの提言

4-3 市議会の附帯決議

4-4 関係団体からの要望

Ⅱ 新しいプール施設の基本的な考え方

1 第四次総合計画における位置づけ

1-1 基本方針

1-2 施策の展開

1-3 目標指標

2 新しいプール施設整備事業のコンセプト

3 新しいプール施設に求められる機能

3-1 気軽に水に親しめる施設

3-2 様々な年代で楽しめるレクリエーション機能を持つ施設

3-3 健康・体力づくりの場として利用できる施設

3-4 高齢者や障害のある人に配慮した施設

3-5 市民の水泳大会等の開催に配慮した施設

3-6 環境に配慮した施設

3-7 安全・衛生管理に配慮した施設

3-8 経済的で効率的な維持管理ができる施設

・・・・・・・・・・・・・・・ 1

・・・・・・・・・・・・・・・ 2

・・・・・・・・・・・・・・・ 3

・・・・・・・・・・・・・・・ 3

・・・・・・・・・・・ 7

・・・・・・・・・・・ 8

・・・・・・・・・・・・・・・ 1

・・・・・・・・・・・ 8

4 事業推進のための補完事業

4-1 健康増進

4-2 スポーツ活動の推進

Ⅲ 全体計画

1 建設地

2 プールの形態

3 プールの種類及び配置

3-1 プールの種類

3-2 プールの配置

4 管理棟及び附帯施設

5 管理運営形態

6 建設スケジュール

【 検討事項 】

Ⅰ 屋外プール、屋内温水プール、屋内・屋外併設プールの比較、検討

Ⅱ 建設地の検討

Ⅲ 省エネルギー対策

Ⅳ 高齢者や障害者への対応

〔参考資料(別冊)〕

1 旧プールの状態

2 周辺プール施設位置図

3 提言書(写)

4 附帯決議(写)

5 全国自治体プール施設調査表一覧

6 プール形態別建設費及びランニングコスト内訳

・・・・・・・・・・・・・・・ 11

・・・・・・・・・・・・・・・ 11

・・・・・・・・・・・・・・・ 11

・・・・・・・・・・・・・・・ 12

・・・・・・・・・・・・・・・ 13

・・・・・・・ 14

・・・・・・・・・・・・・・・ 29

・・・・・・・・・・・・・・・ 31

・・・・・・・・・・・・・・・ 33

・・・・・・・・・・・・・・・ 12

・・・・・・・・・・・・・・・ 10

1

○ 策定にあたって

財団法人防府スポーツセンタープールは、昭和50年の開設以来、夏休み

期間中の気軽に水に親しめるレクリエーション施設として、幼児、小学生及

びその保護者を中心に多くの市民に利用されてきました。 昨年度、老朽化によりこのプールを閉鎖したことに伴い実施した市民アン

ケート調査では、新しい市民プールに対する市民ニーズは極めて高いことが

分かりました。 その後、市民プールについて、広く市民の意見、要望等を反映させるため

有識者や各種関係団体等から選出された委員からなる「防府市プール施設整

備検討委員会」を設置して協議をお願いし、新しいプールについての提言書

が市長へ提出されました。 この提言書を受け、市としては早期に新しい市民プールを建設することを

目指し、本年4月から防府市体育施設整備計画等検討委員会(庁内委員会)

において検討を重ね、新しいプール施設の基本的な考え方や全体計画をまと

めた市民プール建設基本構想・基本計画を策定しました。 Ⅰ 新しいプール建設の背景となる現状と課題

1 閉鎖までの経緯(旧プール) 財団法人防府スポーツセンタープールは、昭和50年5月に50mプール

徒渉プール(子どもプール)、管理棟を建設した後、昭和59年3月に25m

プールを建設しています。 【施設の概要】 施設内容 管理棟(事務室、更衣室、シャワー室等)鉄骨平屋建 450㎡ 50mプール 防水モルタル 9コース(水深 1.2m~1.5m) 徒渉プール(子どもプール)磁器タイル(水深 0.3m~0.6m) 25mプール 防水アルミ 7コース(水深 0.9m~1.1m) 敷地面積 12,460㎡ 施設面積 7,854㎡ 総事業費 254,360千円 旧プールは、平成13年度頃から老朽化が目立ち始め、漏水等の維持補修

費が増加していました。

2

主な改修・修繕は次のとおりです。

平成14年度 50mプール漏水修理工事 平成16年度 プール管理棟換気設備工事 平成17年度 プール管理棟防水シート張替え工事 平成18年度 プール管理棟防水シート張替え工事 平成19年度 50mプール漏水補修工事 平成20年度 プール給排水管工事 これまでの修理等で、約67,700千円の経費をかけています。

近年、施設の老朽化が目立つようになり、予想以上に施設の傷みが進行し

ていることから、平成23年1月にプール耐用年数調査の業務委託をしまし

た。4月の中間報告では「4つのプール施設全てにおいて施設全体の老朽化

が深刻な状況にあり、利用者の安全性を確保することは困難な状況である。」

との報告が出され、財団法人防府スポーツセンターにおいて検討した結果、

利用される皆様の安全性の確保が第一であるとの判断から、平成23年4月

にプールの閉鎖に踏み切りました。 閉鎖したプールの状態は、参考資料1のとおりです。

2 利用状況(旧プール) 財団法人防府スポーツセンタープールの利用者の推移については、プール を開設した当初、増加傾向にありましたが、昭和59年度の61,417人 をピークに減少し、平成22年度には、17,434人となっています。

減少の主な要因としては、レジャーの多様化や近隣市に公設プールが整備 されたことなどが考えられます。(参考資料2) なお、利用者の大半は、開設時から小人(中学生以下)となっています。

利用者の推移

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

45,000

50,000

S50 S51 S52 S53 S54 S55 S56 S57 S58 S59 S60 S61 S62 S63 H1 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22

(人)

小人

大人

3

3 防府市の将来人口見込み 防府市の人口については、平成22年9月末に118,764人でしたが、

防府市総合計画の人口見通しでは、平成27年には116,400人、平成

32年には113,400人へと減少する見込みです。 また、今後も少子高齢化が進んでいく見込みとなっています。

平成22年

02,0004,0006,000

0~4

10~14

20~24

30~34

40~44

50~54

60~64

70~74

80~84

0 2,000 4,000 6,000

平成27年

02,0004,0006,000

0~4

10~14

20~24

30~34

40~44

50~54

60~64

70~74

80~84

0 2,000 4,000 6,000

平成32年

02,0004,0006,000

0~4

10~14

20~24

30~34

40~44

50~54

60~64

70~74

80~84

0 2,000 4,000 6,000

4 市民ニーズの把握

4-1 市民アンケート調査

財団法人防府スポーツセンタープールの閉鎖が決定されたことに伴い、

今後のプール施設整備の参考とするため、市民の皆様にアンケート調査を

実施しました。 アンケート調査の概要は次のとおりです。 (実施期間)平成23年6月29日~平成23年7月13日 (対象者) 一 般 1,201人(18歳以上70歳未満、無作為抽出)

保護者 670人(市内各小中学校、幼稚園、保育園) 中学生 864人(各学校1年~3年、各学年1クラス)

小学生 1,248人(各学校4年~6年、各学年1クラス) 合 計 3,983人に配布 (回答者数)一 般 518人( 43%) 保護者 670人(100%)

中学生 864人(100%) 小学生 1,248人(100%)

(合計) 3,300人

男性 女性

4

アンケート調査の回答は、次のとおりです。 1 あなたのことについてお尋ねします。

① あなたの性別は 1 男性 42.18% 2 女性 57.82% ② あなたの年齢は 1 小学生 37.84% 2 中学生 26.20%

3 10歳代 0.36% 4 20歳代 3.79% 5 30歳代 13.77% 6 40歳代 9.37% 7 50歳代以上 8.67%

③ 居住地区はどこですか 1 牟礼 12.77% 2 松崎 5.55% 3 佐波 7.61%

4 勝間 4.09% 5 華浦 7.64% 6 新田 5.76% 7 野島 0.33% 8 向島 1.70% 9 中関 8.95%

10 華城 6.76% 11 西浦 8.92% 12 右田 11.86% 13 富海 3.46% 14 小野 5.85% 15 大道 8.67% 2 (財)防府スポーツセンタープールの利用についてお尋ねします。

2-①防府スポーツセンタープー

ルに行ったことはありますか?

2-②どのプールを主にご利用になりましたか?

(複数回答可)

ある 無い 50mプール 25mプール 子ども用プール

項目

対象

(件数) (%) (件数) (%) (件数) (%) (件数) (%) (件数) (%)

一 般 301 58.11% 217 41.89% 135 23.48% 223 38.78% 217 37.74%

保護者 445 66.62% 223 33.38% 174 21.51% 307 37.95% 328 40.54%

中学生 610 70.77% 252 29.23% 486 38.51% 493 39.07% 283 22.42%

小学生 814 65.33% 432 34.67% 341 22.96% 702 47.27% 442 29.77%

3 今後のプールについてお尋ねします。

3-①これからも防府市に市民プールが必要と思いますか?

必要 どちらかといえば必要

どちらかといえば不要 不要 無回答

項目

対象

(件数) (%) (件数) (%) (件数) (%) (件数) (%) (件数) (%)

一 般 282 54.44% 166 32.05% 44 8.49% 18 3.48% 8 1.54%

保護者 399 59.55% 230 34.33% 27 4.03% 2 0.30% 12 1.79%

中学生 495 57.29% 280 32.41% 43 4.98% 30 3.47% 16 1.85%

小学生 993 79.57% 196 15.71% 20 1.60% 33 2.64% 6 0.48%

5

3-②今後プールを造るならどのようなプールがいいですか?

競技を重視したプール 娯楽を重視したプール その他 その他再掲(競技・娯楽

両方)

項目

対象

(件数) (%) (件数) (%) (件数) (%) (件数)

一 般 40 9.11% 336 76.54% 63 14.35% 25

保護者 22 3.44% 541 84.66% 76 11.90% 51

中学生 71 8.98% 665 84.07% 55 6.95% 30

小学生 145 12.12% 940 78.60% 111 9.28% 85

3-③どのようなプールがあったらいいと思いますか?(複数回答可)

50mプール 25mプール 子ども用プール その他 項目

対象 (件数) (%) (件数) (%) (件数) (%) (件数) (%)

一 般 227 22.95% 278 28.11% 361 36.50% 123 12.44%

保護者 239 17.48% 427 31.24% 564 41.26% 137 10.02%

中学生 611 37.14% 514 31.25% 309 18.78% 211 12.83%

小学生 738 27.04% 831 30.45% 551 20.19% 609 22.32%

3-③その他の主な内容(複数回答可)

ウォータースライダー・すべり台

温水・ 屋内プール 波 リングプール・

流れるプール 歩く 項目

対象

(件数) (件数) (件数) (件数) (件数)

一 般 38 55 4 35 5

保護者 62 51 3 51 2

中学生 122 19 9 71 1

小学生 368 93 49 245 1

以上のアンケート調査結果を見ると、プールの必要性を感じている市民

は約90%と極めて高い結果となっています。 また、プールの機能・形態は、娯楽を重視する回答が多い結果となって

います。

6

なお、プールの種類では、50mプールや25mプールを必要とした回

答が多くなっていますが、これは、回答者における小中学生の割合が高か

ったことによると考えられます。一般や保護者からは、子ども用プールを

必要とする回答が多い結果となっています。

4-2 防府市プール施設整備検討委員会からの提言

防府市の新しいプール施設の基本構想を策定するにあたり、広く各関係

団体等の意見、提言等を反映するため、防府市プール施設整備検討委員会

を設置しました。 本委員会は、有識者並びに体育協会をはじめとする各種団体等から選出

された委員で構成され、平成23年7月22日から計5回の委員会を開催

した後、平成24年3月30日に委員長から市長へ「新しいプール施設に

ついての提言」が提出されました。 提言の内容は、新しいプールの必要性、建設位置、プールの形態、プー

ルの種類など、新しいプール施設の方向性をまとめられたものです。 提言書は、参考資料3のとおりです。

4-3 市議会の附帯決議 平成24年3月の市議会定例会において、「平成24年度防府市一般会計

予算のプール建設事業に関する附帯決議」が議決されました。 この決議では、平成24年度防府市一般会計予算の執行にあたっては、

次のことに留意することとされています。 1 今後は、屋内温水プールも含めて検討すること。 2 教育委員会と議会の意思疎通を十分に図るため、プール施設整備検

討委員会、庁内検討会議等の内容を直ちに議会教育民生委員会所管事

務調査で報告すること。 3 今後の事業実施にあたっては、議会との合意形成を得ること。 附帯決議は、参考資料4のとおりです。 4-4 関係団体からの要望

平成8年度に防府市水泳連盟から、温水プールの建設についての要望書

が市に提出されています。 また、昨年のプール閉鎖以降、多くの市民の皆様や関係団体から、市民

プールの早期建設の要望があります。

7

Ⅱ 新しいプール施設の基本的な考え方

1 第四次総合計画における位置づけ

本市においては、平成23年3月に「第四次防府市総合計画」を策定し、

スポーツ振興の基本方針を掲げ、その実現のための方策を次のとおり定めて

います。

1-1 基本方針

防府市はスポーツ振興の基本方針を、「スポーツの振興、健康づくり、絆

づくりのため、幅広い世代がスポーツと多様に関わることのできる機会を

提供するとともに、市民が主体となった新たな生涯スポーツの仕組みづく

りやスポーツボランティアの育成を進めます。また、スポーツ施設の計画

的な整備、拡充と効率的な活用を図ります。」としています。

1-2 施策の展開

基本方針に基づき、次の視点を踏まえスポーツの振興を図ることとして

います。

① スポーツ活動の推進(スポーツに親しむ機会の提供、生涯スポーツの推

進、健康づくりメニューの提供、スポーツ推進計画の策定等)

② スポーツ団体の支援・育成(団体組織の育成・充実、地域における指導

者等の確保、スポーツボランティアの育成)

③ スポーツ施設の充実(スポーツ施設の整備・拡充、スポーツ施設管理の

充実、学校施設開放等)

1-3 目標指標

基本方針に基づき、市民満足度指標及び目標指標を定めています。

① 市民満足度指標

「生涯にわたりスポーツに親しめる環境が整っている」と思う市民の

割合 現状(平成22年)37% → 目標(平成32年)60%

② 目標指標

・スポーツ施設利用者数(年間)

現状(平成21年)254,000 人 → 目標(平成32年)320,000 人

・総合型地域スポーツクラブ設置数(延べ数)

現状(平成21年) - → 目標(平成32年)3団体

8

2 新しいプール施設整備事業のコンセプト

防府市プール施設整備検討委員会において、市民アンケート調査の結果

等を参考に協議、検討し、提出された提言書によると、多くの市民が安全

で気軽に水に親しみ、泳力の向上を図ることができる環境を提供する必要

があり、特に、子どもたちにとってプールは、夏季の楽しみで、家族との

絆づくりの場であるとともに、泳力向上のみならず、強い身体とたくまし

い精神力の養成に極めて効果的であるとされています。

防府市体育施設整備計画等検討委員会において、市民アンケート調査の

市民ニーズ、防府市プール施設整備検討委員会からの提言書を踏まえ、プ

ール形態別の比較、検討等を行った結果、新しいプール施設は屋外プール

とし、事業コンセプトは次のとおりとします。

① 水に親しむ

幼児から高齢者まで幅広い世代が、夏季に安全で気軽に水に親しめ

るプール施設

② 水で楽しむ

夏季の身近なレクリエーションの場として、家族や友達などと一緒

に楽しめるプール施設

③ 水で健康・体力づくり

子どもから大人まで、夏季に水泳を通して、健康・体力づくりを図

ることができるプール施設

3 新しいプール施設に求められる機能

事業のコンセプトを踏まえ、施設整備にあたって次の機能について配慮し

ます。

3-1 気軽に水に親しめる施設

多くの市民が安全に水に親しみ、また誰でも気軽に利用ができる施設と

なるよう配慮します。

9

3-2 様々な年代で楽しめるレクリエーション機能を持つ施設

市民のニーズの高い、娯楽性の高い種類のプールを設置し、楽しく過ご

せる施設となるよう配慮します。

3-3 健康・体力づくりの場として利用できる施設

幅広い世代が、様々な種類のプールを利用することにより、健康・体力

づくりが出来る施設となるよう配慮します。

3-4 高齢者や障害のある人に配慮した施設

高齢者や障害のある人を含め、誰もが使いやすい施設となるようバリア

フリーに配慮します。

3-5 市民の水泳大会等の開催に配慮した施設

市民の水泳大会等が開催できるようコース数、水深等の確保に配慮しま

す。

3-6 環境に配慮した施設

太陽光などの自然エネルギーを利用した、環境にやさしい施設となるよ

う配慮します。

3-7 安全・衛生管理に配慮した施設

プール施設における安全管理、救護・救命用具の整備、監視体制の整備、

緊急時の処置などハード、ソフト両面に配慮します。

3-8 経済的で効率的な維持管理ができる施設

デザイン優先ではなく、経済的で効率的な維持管理ができる施設となる

よう配慮します。

10

4 事業推進のための補完事業

防府市プール施設整備検討委員会からの提言書では、健康増進やスポーツ

活動推進の視点からの意見、要望もあり考慮する必要があります。

健康増進やスポーツ活動推進のため、一年を通して利用できる民間事業者

の屋内温水プールを活用した施策を検討します。

4-1 健康増進

高齢者の健康増進のため、室内温水プールを持つ民間事業者の協力を得

て、既に実施されている介護保険や国民健康保険の事業に加えて健康増進

の視点からの新たな施策を検討します。

4-2 スポーツ活動の推進

スポーツ活動推進の視点から、水泳競技人口の増加や小中学生等の競技

力アップのため、室内温水プールを持つ民間事業者との連携による活動の

支援を検討します。

11

全体計画

1 建設地

建設候補地については、3候補地について検討した結果、財団法人防府ス

ポーツセンタープール跡地を建設地とします。

場 所 財団法人防府スポーツセンタープール跡地

(面積 7,854 ㎡)

2 プールの形態

プールの形態について、屋外・屋内温水・屋内屋外併設の3形態別の比較、

検討により総合的に判断した結果、屋外プールを建設することとします。

形 態 屋外プール

3 プールの種類及び配置

3-1 プールの種類

プールの種類については、25mプール、子どもプールに加えて、レジ

ャー機能を持つ流水プールやウォータースライダーを配置します。

25mプール

競技大会を考慮し、7コースを設置します。

(公認は取得しません。)

水深は、通常時 110cm 程度とします。

子どもプール

施設面積は、300 ㎡程度とし、小規模すべり

台など水遊具を設置します。

水深は、50cm 程度とします。

流水プール

長さ 110m程度の流水プールを設置します。

事故防止のため、流速は緩やかなものとし

ます。

種類

ウォータースライ

ダー

子供向けのスライダーを設置します。

安全性の高いものとします。

12

3-2 プールの配置

プールの配置については、「安全性」と「利便性」に配慮するよう、設計

の中で検討します。

〔安全性〕

・死角が生じないよう、監視員を配置できること。 ・各プールの配置は、各プールを利用する年齢に応じた動線を考慮

すること。 ・段差等は必要 低限とすること。

〔利便性〕

・利用者の休憩と見守りスペースを考慮し、プールサイドは十分な

広さとすること。 ・各プール間は、容易に移動できるよう配置すること。

4 管理棟及び附帯施設

管理棟及び設置を推進する主な附帯施設は、次のとおりです。

〔管理棟〕

建築面積は500㎡程度とし、事務室、更衣室、トイレ等を備え、省

エネルギーやバリアフリーに配慮した管理棟とします。

〔附帯施設〕

・省エネルギー対策として、管理棟の電力供給ための太陽光発電システ

・高齢者や障害者への対応として、多目的トイレや多目的更衣室

・熱中症対策として、プールサイドにシェルターやパーゴラ(日除け、

休憩施設)

5 管理運営形態

スポーツセンターに集積するスポーツ施設については、一括して指定管理

で運営する方針です。現在、スポーツセンターの主な施設の指定管理は、平

成26年度までとなっていますので、平成27年度からの新たな指定管理の

中では新しいプールを対象とすることも検討します。なお、平成26年度は、

直営での対応を考えます。

13

6 建設スケジュール

市民プール建設は、下記のスケジュールで実施する予定です。

H24. 6 月~H24. 8 月 財団法人防府スポーツセンタープール跡地の地

質調査

H24.10 月~H25. 3 月 基本設計・実施設計業務委託

H25. 1 月~H25. 3 月 財団法人防府スポーツセンタープール解体工事

H25. 7 月~H26. 3 月 新しいプール建設工事

H26. 7 月 オープン

検 討 事 項

Ⅰ 屋外プール、屋内温水プール、屋内・屋外併設プールの比較、検討

1 周辺の公設プールの現状

2 他自治体の事例による比較

2-1 プール形態別の現状と課題

3 プール形態別の建設費及びランニングコスト

3-1 屋外プール

3-2 屋内温水プール

3-3 屋内・屋外併設プール

3-4 3形態の比較

4 民間プール事業者への影響

5 財政状況

6 プール形態の方向性

6-1 市民ニーズへの対応(市民アンケート及び提言書)

6-2 財政負担の試算

6-3 プール施設を取り巻く環境への対応

6-4 プール形態の検討結果

Ⅱ 建設地の検討

Ⅲ 省エネルギー対策

1 余熱利用

2 太陽光発電

Ⅳ 高齢者や障害者への対応

・・・・・・・・・・・・・・・ 14

・・・・・・・・・・・・・・・ 15

・・・・・・・ 17

・・・・・・・・・・・・・・・ 22

・・・・・・・・・・・・・・・ 23

・・・・・・・・・・・・・・・ 25

・・・・・・・・・・・・・・・ 29

・・・・・・・・・・・・・・・ 31

・・・・・・・・・・・・・・・ 33

14

Ⅰ 屋外プール、屋内温水プール、屋内・屋外併設プールの比較、検討

1 周辺の公設プールの現状

近隣市における屋外公設プールは、やまぐちリフレッシュパークプール、

永源山公園プールがあり、屋内温水プールでは、山口きらら博記念公園水泳

プール、山口市小郡屋内プール及び下松市温水プールがあります。

なお、屋内・屋外併設のプールは近隣にはありません。

屋外プール

周南市の永源山公園プールは、平成2年に建設されており、25mプール

に加え、流水プール、ウォータースライダー、幼児プールが配置され、家族

連れを中心に本市の市民も多く利用しています。レジャー性の高い、流水プ

ールやウォータースライダーが好評です。 山口市のやまぐちリフレッシュパークプールは、昭和54年に50mプー

ル、昭和56年に25mプールが建設されています。

両施設とも、利用者数については、ここ数年は横ばい状況にあり、利用者

は小中学生が中心となっています。

屋内温水プール

山口きらら博記念公園水泳プールは、山口国体の水泳会場として平成23

年3月に建設され、県内初の日本水泳連盟公認50m(10 コース)、25m(10

コース)を備え、各種水泳競技(競泳、水球、シンクロ)の試合が開催可能

な施設です。

山口市の小郡屋内プールは、平成3年に建設され25mプール、子どもプ

ールを備えています。1年間を通して利用できますが、夏季の利用者数に比

べ、冬季の利用者数がかなり少ない状況です。ここ数年の利用者数は、横ば

いで、一般(高校生以上)と小中学生の割合は、ほぼ同じです。

下松市温水プールは、ごみ焼却施設(3市1町のごみ処理施設)の余熱を

利用している温水プール施設で、平成8年に建設されています。利用者数は

ここ数年、横ばいの状況にありますが、年間を通して幅広い年齢層に利用さ

れています。

15

2 他自治体の事例による比較

全国の自治体のプール施設調査結果は、参考資料5のとおりですが、プー

ル形態別に標準的な事例を比較した場合は、次のとおりです。

プール形態 屋外 屋内温水 屋内・屋外併設

施設名 Aプール Bプール Cプール

建設年月 平成 2 年 平成 16 年 3 月 平成 9 年 3 月

建設費 ― 769,000(千円) 1,000,000(千円)

構造 鉄骨造(管理棟) 地上1階・地下1階鉄筋コンクリ

ート(一部鉄骨造) 鉄骨造一部木造2階建て

建築面積 ― 1,950 ㎡ 2,239 ㎡

延床面積 約 4,500 ㎡(施設面積) 2,258 ㎡ 12,198 ㎡(敷地面積)

施設内容 25m×6 コース 25m×4 コース 25m×6 コース(屋内)

流水プール(135m) 流水プール(32m) 流水プール(120m)(屋外)

幼児用プール(130 ㎡) 子どもプール 児童用プール(屋外)

滝プール(幼児用) 採暖室 幼児用プール(屋外)

ウォータースライダー(50 ㎡、6 連) リラクゼーションプール ウォータースライダー(屋内)

ジャグジーほか 歩行者専用プール(屋内)

採暖室

開設期間 7 月 21 日~8 月 31 日 4 月 1 日~3 月 31 日 4 月 1 日~3 月 31 日

(毎週月曜日、年末年始は休館) (毎週金曜日、年末年始は休館)

屋外は 7 月~8 月

利用者数

15,889 人

86,136 人 125,841 人

利用料金 高校生以上 600 円 高校生以上 550 円 高校生以上 500 円

小中学生 200 円、4歳以上 100 円 中学生以下 300 円 小中学生 250 円

指定管理料

(市負担)

5,102,174 円 28,100,000 円 49,254,000 円

16

2-1 プール形態別の現状と課題

全国の公設プール調査結果に基づき、プール形態別に現状や課題をまと

めると次のとおりです。

屋外プール

屋外プールについては、最近の建設事例はありませんが、レジャー志向

に対応するため、流水プールやウォータースライダーなどを設置すること

によって、幅広い年齢層に利用してもらえるように努めています。

屋外プールは、建設費を低く抑えられ、夏季の開設となるため、人件費

等のランニングコストについても抑制されていますが、自主事業等の展開

が困難なこともあり、一般的には数百万円の指定管理料が支払われていま

す。

屋内温水プール

屋内温水プールについては、直近では平成24年3月に下関市菊川温泉

プールが改築されています。殆どの屋内温水施設が、指定管理者により管

理運営されており、25mプール、幼児・児童用プール、トレーニングジ

ムを備えている施設が一般的と言えます。建築面積は、2000㎡前後の

施設が多く、建設費を抑制しているようです。

また、年間を通しての営業になるので、人件費や光熱水費等の経費が嵩

むため、各種教室やトレーニングジムとのセット料金、会員制度などの営

業活動が展開されていますが、一般的には、3,000万円前後の指定管

理料が支払われています。

屋内・屋外併設プール

屋内・屋外併用プールについては、全国的に見ても施設数は僅かですが、

屋外でのレジャー施設と年間通して利用できる温水プールの併設により、

多くの集客ができます。

しかしながら、一般的には、建設費、ランニングコストともに屋内温水

プールより多額となり、利用料金を低額に設定することが困難であり、指

定管理料もかなりの高額になっています。効果的な自主事業の展開等、経

営努力が必要となります。

17

3 プール形態別の建設費及びランニングコスト

全国の公設プール施設調査の結果を参考に、プール形態別の標準的な機能

を持つプール施設を財団法人防府スポーツセンターのプール跡地に設置した

場合の建設費及びランニングコスト(維持管理経費)を試算し、比較した結

果は次のとおりです。(参考資料6)

3-1 屋外プール(イメージ図)

〔主な施設〕

●25mプール 7コース(通常 水深110cm) ●子どもプール 約300㎡ ●流水プール 約110m ●ウォータースライダー 30m級1レーン ●管理棟 約500㎡

〔施設面積〕 約7,800㎡ 〔建設費〕

約577,000(千円) 〔年間維持管理経費〕

約 14,200(千円)

子どもプール

流水プール

25メートル プール

ウォーター

スライダー

18

3-2 屋内温水プール(イメージ図)

〔主な施設〕 ●25mプール 7コース(通常 水深110cm) ●子どもプール 約100㎡ ●採暖室 ●多目的スペース ●事務室

〔建築面積〕 約2,000㎡ 〔建設費〕

約791,000(千円) 〔年間維持管理経費〕

約 58,900(千円)

屋内温水プール

事務室

25mプール7コース

多目的更衣室

多目的

スペース 子ども

プール

(拡大図)

19

3-3 屋内・屋外併設プール(イメージ図)

〔主な施設〕 屋内(約2,000㎡)

●25mプール 7コース(通常 水深110cm) ●子どもプール 約100㎡ ●採暖室 ●多目的スペース ●事務室

屋外 ●流水プール 約110m ●子どもプール 約300㎡ ●ウォータースライダー 30m級1レーン

屋内温水プール

事務室

25mプール7コース

多目的更衣室

子どもプール

ウォーター

スライダー

流水プール

多目的

スペース 子ども

プール

(拡大図)

20

〔施設面積〕 約7,800㎡ 〔建設費〕

約1,112,000(千円) 〔年間維持管理経費〕

約 70,500(千円)

3-4 3形態の比較

プール形態 屋 外 屋内温水 屋内・屋外併設

建設費 577,000(千円) 791,000(千円) 1,112,000(千円)

構 造 鉄骨平屋造

(管理棟) 鉄骨平屋造 鉄骨平屋造

建築面積 約 500 ㎡(管理棟) 約 2,000 ㎡ 約 2,000 ㎡

施設面積 約 7,800 ㎡ 約 2,000 ㎡ 約 7,800 ㎡

主な施設内容

・25m×7 コース

・子どもプール

・流水プール

・ウォータースラ

イダー ・管理棟

・25m×7 コース

・子どもプール

・採暖室

・多目的スペース

・事務室

(屋内)

・25m×7 コース

・子どもプール

・採暖室

・多目的スペース

・事務室

(屋外)

・流水プール

・子どもプール

・ウォータースラ

イダー

開設期間 60 日 305 日 305 日

(屋外は 60 日)

維持管理経費

(歳出額) 14,200(千円) 58,900(千円) 70,500(千円)

利用料

(歳入額) 4,600(千円) 24,800(千円) 26,300(千円)

※収支差額

(指定管理料) 9,600(千円) 34,100(千円) 44,200(千円)

※ 収支差額 = 歳出額(維持管理経費) ― 歳入額(利用料)

21

3つのプール形態のメリット、デメリットは次のとおりです。

形態 メリット デメリット

屋外プール ○施設面積が広く確保でき

るため、市民ニーズの高い

レジャー性をもつ種類の

プール(流水プール、ウォ

ータースライダーなど)を

設置しやすい。

○多くの種類のプールを配

置して、2つの形態に比

べ、建設費が抑制できる。

○短期間の営業であり、ラン

ニングコストが抑制でき

る。

○利用料金が比較的安く設

定できる。

●年間を通してサービスがで

きないため、健康増進や水

泳競技で利用される方に

は、不便である。(夏季2ヶ

月程度の営業)

●短期間の営業なので、各種

講座、教室などの自主事業

が展開しづらい。

●天候の影響を受ける。

屋内温水プール ○年間を通して計画的に利

用できるため、競技力向上

や健康増進を図るために

利用しやすい施設である。

○天候等に影響されず、良好

な環境でプール等が利用

できる。

○各種講座、教室などの自主

事業が展開できる。

●施設面積の割りに建設費が

高額となり、屋内に多くの

種類のプールを設置するこ

とができない。

●施設の規模が小さいため、

夏季の集客能力に課題があ

る。

●人件費や光熱水費などのラ

ンニングコストが高額とな

り、財政負担が大きい。

●市内のプール事業者の経営

を圧迫する可能性がある。

屋内・屋外併設

プール

○夏季には、各種プールを利

用でき、更に、年間を通し

て計画的に利用できるた

め、競技力向上や健康増進

を図るために利用しやす

い施設である。

○天候に影響されず、良好な

環境でプール等が利用で

きる。

○各種講座、教室などの自主

事業が展開できる。

●屋外、屋内温水プールより、

建設費やランニングコスト

がかなり高額となり、財政

負担が大きい。

●市内のプール事業者の経営

を圧迫する可能性がある。

22

4 民間プール事業者への影響

市内において、25m(7コース)の屋内温水プールを設置している民間

事業者2社に対し、本市の新しいプールの建設事業についてのご意見をお聞

きしたところ、次のような回答がありました。

① 防府市が温水プールを建設し、事業を展開する場合の貴社への影響に

ついて(意見、要望等)

・夏のプールは、ほとんど子ども利用であり、その点では、当社に影響は

ないと思われます。しかしながら、水泳中心の150名程度の会員が、

室内温水プールの利用料の設定によっては、退会される可能性はありま

す。会員の減少により、当社は大幅な赤字になる可能性があります。 ・市内には、民間の温水プール施設が2施設あり、これ以上の温水プール

建設は、民業圧迫以外の何物でもありません。 ・何より温水プールは、建設コスト及び運営コストが非常にかかり、市の

財政にも悪影響を与えるのは必至です。

② 防府市が屋外プールを建設し、事業を展開する場合の貴社への影響に

ついて(意見、要望等)

・屋外プールの利用は、子ども中心なので、当社には影響はありません。

遊戯性のある多種多様なプールを望みます。 ・過去、数十年間に渡り屋外プールが存在してきたことを考慮いたします

と、夏期のみに利用される屋外プールであれば、あったとしても許容で

きると思われます。

③ その他の意見

・民間は民間として、公共は公共として、各々がやるべき範囲があると思

いますので、お互いの良さを活かして地域住民の方々の健康増進に寄与

していければ、よろしいのではないかと存じます。建設コストは、屋外

限定でなるべく低建設費、低運営費にすべきではないでしょうか。

23

5 財政状況

本市の財政状況は、直近の財政指標を見ると、財政状況は概ね健全と言え

ます。しかしながら、税収の伸びが見込めないことや経常収支比率が高くな

り、財政の硬直化が進んでいることなど不安要素も多く抱えています。今後、

財政運営が厳しくなることは、中期財政計画においても予想されています。

人口、市税、扶助費及び地方債残高の見込みは次のとおりです。

職員課 行政改革・経営品質向上推進室 - 3 -

人口と世帯数の推移

119,964 119,682 119,650 119,743119,267

118,764 118,512

116,400

113,400

53,000

54,00053,55050,928 51,591 52,127 52,785 53,034 53,220

110,000

112,000

114,000

116,000

118,000

120,000

122,000

H17年 H18年 H19年 H20年 H21年 H22年 H23年 H27年 H32年

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

90,000

人口 世帯数

【出典】 H17~H23までは実績(住民基本台帳+外国人登録)、H27~H32は第四次防府市総合計画(企画政策課)

(単位:人) (単位:世帯)

例年、減少傾向にあります。例年、減少傾向にあります。

職員課 行政改革・経営品質向上推進室 - 9 -

市税収入額の推移

3,922 4,093 4,5185,608 5,765 5,686 5,186 5,095 5,338 5,280

1,418 1,6222,199

2,552 2,1621,000 1,482 1,172 1,190 1,208

8,460 8,3307,981

8,156 8,463

8,488 8,2087,947 7,680 7,533

16,082 16,31416,921

18,566 18,639

17,331 17,02616,146 15,89516,243

0

5,000

10,000

15,000

20,000

16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 23年度 25年度 27年度

個人市民税 法人市民税 固定資産税 その他

【出典】 17年度~H22年度までは決算状況カード、23年度~27年度は防府市中期財政計画(財政課)

(単位:百万円)

2020年度をピークに年度をピークに

約27億円減少約27億円減少!!

経済情勢の影響が大きく不安定経済情勢の影響が大きく不安定!!

24

● 方向性

歳入においては、税収の増が見込めない上、歳出では扶助費や地方債残

高の増加が見込まれており、更には、新しい廃棄物処理施設や公共施設の

耐震化事業など多額の投資的経費が今後必要とされるため、新たに建設事

業を進めていく場合には、十分な費用対効果の検討とともに、事業費の限

度額を設定する必要があります。

職員課 行政改革・経営品質向上推進室 - 12 -

扶助費と構成比の推移

5,950 6,1285,800

6,379 6,2166,796

8,413

9,2398,827 9,030

16.4 16.1 16.718.6 18.2

16.5

22.4

25.3

21.6

24.9

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 23年度 25年度 27年度

10.0

20.0

30.0

40.0

扶助費 構成比

(単位:百万円) (単位:%)

2020年度年度からから

約30億円増加約30億円増加!!

■少子化以上に高齢化が進んでいくと予想される。

■高齢化率でいうと、17年に22.1%でしたが、27年には 28.9%( 6.8ポイント上昇)になると見込まれており、高齢化率が25%を超える超高齢社会に突入すると見込んでいる(高齢者数は、7,000人増)。

【出典】 17年度~H22年度までは決算状況カード、23年度~27年度は防府市中期財政計画(財政課)

職員課 行政改革・経営品質向上推進室 - 15 -

地方債残高の推移

40,24839,123

37,336

35,076

33,409

35,683 35,570 35,862

41,012

39,660

25,000

30,000

35,000

40,000

45,000

16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 23年度 25年度 27年度

(単位:百万円)

【出典】 普通会計決算状況(~H22)及び防府市中期財政計画(H23~) (財政課)

25

6 プール形態の方向性

新しいプールの形態を決めるために、市民ニーズ、財政負担及びプール施

設を取り巻く環境の視点から、下記のとおり検討しました。

6-1 市民ニーズへの対応(市民アンケート及び提言書)

市民アンケートでは、約90%の方が新しいプールの必要性を感じられ

ており、プールの種類は、娯楽を重視したプールを希望されている方が約

80%となっています。

市民アンケートで、要望の多かった流水プールやウォータースライダー

などの種類のプールを設置するためには、かなり広い施設面積が必要とな

ります。

また、娯楽を重視する意見のほかに、競技志向、健康増進などの様々な

ニーズがあり、コスト面を考慮しなければ、年間利用できる屋内・屋外併

設プールがより市民ニーズを満たす形態と考えられます。

なお、有識者や各関係団体から選出された委員で構成する防府市プール

施設整備検討委員会からの提言書では、建設費、規模、種類、維持管理経

費並びに利用者負担を勘案し、屋外プールとすることが望ましいとされて

います。

6-2 財政負担の試算

本市の財政状況は、現在は堅調であるものの、今後の見通しは大変厳し

いものがあります。

安定した財政運営を継続していくため、行財政改革を推進している状況

の中、各種事業を遂行する上で、十分なコスト意識を持つことが必要とな

ります。

下記のとおり、建設費や維持管理経費(ランニングコスト)等を試算し、

プール形態別に市の財政負担を比較、検討しました。

① 建設費及び維持管理経費等

プール形態別の標準的な機能を持つプール施設における建設費や維持管

理経費等を全国の公設プール調査の結果等を基にして試算したものです。

建設費や維持管理経費(ランニングコスト)の内訳は、参考資料5のと

おりです。

なお、ここでいう収支差額とは、維持管理経費(ランニングコスト)か

ら利用料を差し引いた金額で、実質の赤字額であり、毎年、市の財政負担

となるものです。

26

〔建設費(試算)〕

プール形態 建設費

屋外プール 577,000 千円

屋内温水プール 791,000 千円

屋内・屋外併設プール 1,112,000 千円

〔維持管理経費等(試算)〕

プール 形 態

利用者総 数(見込み)

利用料金

開設 期間

維持管理 経費

利用料 ※ 収支 差額

屋 外 プール

19,200人 大人 400 円子ども 200 円

60 日14,200 千円

4,600 千円

9,600 千円

屋内温水 プ ー ル

54,725人

大人 600 円子ども 300 円(7 月~8月) 大人 500 円子ども 250 円

305 日58,900 千円

24,800 千円

34,100千円

屋内・屋外併設プール

60,485人

大人 600 円子ども 300 円(7 月~8月) 大人 500 円子ども 250 円

305 日70,500千円

26,300 千円

44,200千円

※ 収支差額 = 歳出額(維持管理経費)― 歳入額(利用料)

② 利用者一人当たりのコスト

維持管理経費(ランニングコスト)について、全額を利用者負担にした

場合、一人当たりのコスト、一人当たりのコストに対する利用者負担分及

び市財政負担分は、概ね次のとおりになります。

一人当たりのコスト = 維持管理経費 ÷ 利用者総数(見込み)

利用者負担分 = 利用料 ÷ 利用者総数(見込み)

市財政負担分 = 収支差額 ÷ 利用者総数(見込み)

プール形態 一人当たりのコスト(利用者負担分+市財政負担分)

屋外プール 739 円 (239 円+500 円)

屋内温水プール 1,076 円 (453 円+623 円)

屋内・屋外併設プール 1,164 円 (434 円+730 円)

27

③ 今後の財政負担

建設費及び毎年の収支差額(市の財政負担分)の合計額が、今後の市財

政負担となりますが、3つの形態を比較した場合、屋外プールがコストを

最も低く抑えることができます。特に、収支差額については、毎年継続し

ていく財政負担となりますので、十分に考慮する必要があります。

また、維持管理経費を基に一人当たりのコスト等を試算した場合につい

ても屋外プールが最も負担が小さくなっています。

市の中期財政見通しにおいて、将来の厳しい財政状況が見込まれている

中、夏季限定にはなりますが、将来の財政負担を考慮すると屋外プールが

適当と考えます。

6-3 プール施設を取り巻く環境への対応

近年、プール施設利用者は、運動や遊び、健康管理やリフレッシュなど

様々な目的により、近隣のプール施設を選択して利用されており、公共交

通機関の発達や自家用車の普及により、行動範囲も広がっています。 隣接の山口市には、日本水泳連盟公認の50m、25mプールを備え、

各種水泳競技の大会が実施できる県営の大規模な屋内温水プールが建設さ

れ、本市を含め多くの県民の方々がこのプールを利用されています。 また、高齢者の方々を主とした国民健康保険や介護保険の事業が市内の

民間プール事業者や社会福祉法人の温水プールで実施されています。 このような環境の中、プール利用者の多様なニーズを全て満たすプール

施設の建設は、コスト面などを考慮すると厳しい状況にありますので、周

辺のプール施設との共存という視点により、周辺のプール施設との役割分

担が重要であると考えます。このことは、周辺のプール施設で対応可能な

市民ニーズや市内の温水プールを持つ民間事業者と連携することで対応可

能な市民ニーズについては、それぞれのプール施設で分担していこうとい

うものです。 新しい市民プールの機能別の位置づけを次のとおりとし、周辺の屋内温

水プール施設(民間プールや公設プール)との役割分担を図ります。

県立プール(公式の水泳競技大会)

新しい市民プール(市民の水泳大会)

民間プール(介護保険、国保事業等)

新しい市民プール(軽運動)

民間レジャープール

新しい市民プール

競技機能

健康増進機能

親水・レジャー 機能

28

以上のとおり、周辺プール施設との共存の視点から、近隣市や市内の屋

内温水プールとの役割分担を図ることを考慮しますと、屋外プールが適当

と考えます。

6-4 プール形態の検討結果

屋外、屋内温水、屋内・屋外併設の3つのプール形態について、様々な

観点から比較し、新しいプール施設の形態を決めるために行いました上記

の 6-1~6-3 の検討を踏まえ、検討結果をまとめました。

3つのプール形態を比較すると、屋外プールについては、広い敷地を有

効活用し、多くの種類のプールを配置でき、コストを抑制できますが、夏

季限定となります。 屋内温水プールについては、年間を通して利用できますが、施設規模の

割りに建設費が高いため、多くの種類のプールを配置することが困難であ

り、維持管理経費も高額となります。 屋内・屋外併設プールについては、屋外プールと屋内温水プールの両方

の機能を持ち、様々な市民ニーズに応えることができますが、将来の財政

負担がかなり大きくなります。

3つのプール形態には、それぞれメリット、デメリットがありますが、

プール利用者の多様なニーズを全て満たすプール施設の建設は、コスト面

などを考慮すると厳しい状況にありますので、建設に当っては、市民ニー

ズの高いものを優先的に考えるとともに、近隣市や市内のプール施設との

共存を図る視点が重要と考えます。

市民ニーズへの対応、財政負担及びプール施設を取り巻く環境への対応

についての検討を踏まえ総合的に判断した結果、広い敷地面積を有効に活

用し、市民ニーズの高いレジャー性を持つ多種類のプールを配置すること

により市民満足度の向上を図るとともに、将来の財政負担の抑制や周辺の

プール施設との共存を考慮すると、屋外プールが適当と考えます。 なお、市民プール施設に関する公共の守備範囲を十分検討した上で、多

様な市民ニーズに対応するために、市内の民間事業者が設置運営されてい

る屋内温水プールの活用について検討します。

29

Ⅱ 建設地の検討

建設地については、市の所有地3箇所について、検討をしました。

■ プール建設候補地 1

住 所 国分寺157-11 取得年月日 昭和29年8月23日

面 積 8,743㎡

メリット デメリット

・プールを建設するにはある程度のスペ

ースがある。

・住宅街がやや離れているため、周辺地

域に対する環境等の影響は少ないと思

われる。

・プール建設予定地までの道路が狭く車が離合

しにくい。道路を拡幅する必要がある。

・駐車場を整備する必要がある。

■ プール建設候補地 1

住 所 国分寺町157-11

面 積 8,743㎡

メリット デメリット

・プールを建設するための面積はある程

度確保できる。

・住宅街がやや離れているため、周辺地

域に対する環境等の影響は少ないと

思われる。

・プール建設予定地までの道路が狭く車が離合

しにくい。建設する場合は、道路を拡幅する

必要がある。

・駐車場を整備する必要がある。

候補地1

候補地2

候補地3

30

■ プール建設候補地 2

住 所 八王子1丁目1322-8外

面 積 4,147.36㎡

メリット デメリット

・市街地にあり、駅に近いため交通アク

セスが良い。

・駐車場を整備する必要がある。

・市の中心部にあるため、周辺地域に対する環

境等を十分精査する必要がある。

・面積が狭く、プールの規模はかなり限定され

る。

■ プール建設候補地 3

住 所 財団法人防府スポーツセンタープール跡地

面 積 7,854㎡

● 方針(決定事項)

建設候補地については、民間の物件も考えられますが、土地購入費等のコ

スト面を考慮し、候補地に入れていません。

3候補地のメリット、デメリットについて総合的に判断すると、ソルトア

リーナ防府を中心に各種スポーツ施設が集中し、利用者のための駐車場が整

備され、また、近隣に騒音等の影響が少ないため、プール建設候補地3の財

団法人防府スポーツセンタープール跡地を建設地として計画を進めています。

なお、地盤が塩田跡地であるため、地質調査、工法等の対応は十分考慮す

る必要があり、既に地質調査を実施しています。平成24年8月末には、調

査結果が出る予定です。

メリット デメリット

・ソルトアリーナをはじめとする市の体

育施設はこの周辺に集中している。

・今まで、プールが存在していたことか

ら、周辺地域への環境問題が発生する

可能性は少ない。

・駐車場が既に完備している。

・塩田跡地なので、地質調査等の対応が必要で

ある。

31

Ⅲ 省エネルギー対策

1 余熱利用

廃棄物処理場の余熱を利用する温水プール施設については、新しい廃棄

物処理施設の建設計画の策定段階(平成18年度)において、県内の直営

事例や県外のPFI事例を整理し、温水プール施設の費用対効果について

検討しています。

直営事例では、

1年間の利用者数は 55,000~128,000 人、これに要する一般財源額

は 50,000~100,000 千円となっており、それぞれ施設の周辺人口に比

例する傾向がみられます。

迷惑施設の立地に伴う地元対策という共通課題を、許容可能なコス

トの範囲で直営事業により克服しようという姿勢がうかがえます。

PFI 事例では、

各施設の機能・規模に応じ、1年間に要する一般財源額は 138,000

~257,000 千円となっています。

PFI 事業においては、初期投資費用の抑制と、利用者満足度の向上へ

の創意工夫が求められる中、運営面の充実(インストラクターの配置

など)に向けた相応の財源を投入しています。

各事例とも、程度の差こそあれ地元対策を背景としており、費用対効果

があるとは言い難い。

● 方向性(平成18年度検討結果)

他自治体の事例によると、初期投資費用やランニングコストが大きく、

費用対効果は小さい。本市の新しい廃棄物処理施設の熱源利用の方策とし

ては、発電が適当であり、熱源を無駄なく電力に転換すべきで、発電され

た電力は、近接施設間で使用することにより、トータルとしてのコストダ

ウンを追及します。よって、新しいプール施設には、余熱利用は実施しな

いこととします。

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2 太陽光発電

太陽光発電の基本的なシステムは、太陽電池モジュールが太陽光エネル

ギーを受けて発電した直流電力を、パワーコンディショナーにより交流電

気に交換し、施設内の負荷設備へ電気を供給する流れとなっています。

太陽光発電システムの導入については、温室効果ガスの削減等のメリッ

トがありますが、初期投資等の課題があるので先進地事例で費用対効果を

検討しました。

【先進地事例】

〔施設規模〕

建築面積 1,985 ㎡、延床面積 2,661 ㎡

温水プール 25m×6コース、歩行用プール 23m×3m

幼児・児童用プール 10m×5m、採暖室、トレーニ

ング室等

太陽光発電システム 初期投資 約40,000千円

規格 40kW

年間発電量(試算値) 約40,000kWh/年

売電した場合 168 万円/年 40,000kwh×42 円

〔現状〕

エコ対応施設としての宣伝効果はあるが、プールの電力消費量は

空調、水温調整等に膨大な電力を消費するため、太陽光発電では、

ほとんど賄えない状態である。

〔単純償却年数〕

全て売電した場合 約24年間

〔耐用年数〕

ソーラーパネル 20年程度、付属機器 10年程度

● 方向性

太陽光発電システムの設置費は、以前より低額となっていますが、日照

等に依存せざるを得ないため出力が不安定で、安定した電力が必要な場合

には、一般電力と連携して使用する必要があります。また、余剰電力の買

取については、本年7月から「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」

が導入されおり、今後の動向を注視していく必要があります。

コスト面から見ると、規格の大きい発電システムの導入は困難と考えま

すが、自然エネルギーを有効活用し環境にやさしいプール施設にすること

は重要であるため、室内灯や施設周辺の街灯などのための太陽光発電シス

テムの導入を進めます。

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Ⅳ 高齢者や障害者への対応

不特定の利用者が予想される施設については、誰もが不自由なく、使いや

すい環境づくりが必要となります。

ハード面やソフト面については、以下のものが考えられます。 【ハード面】 建築部位、個所 項目 対応

駐車場 障害者用駐車スペースの設

玄関にアプローチしやすい位置に設

け、段差等を設けない。

エントランス

スロープ等の配慮 段差を解消するためスロープの設置。

ホール

案内・受付カウンター カウンターは座位カウンターを標準

とする。

・手すりの設置 ・必要な個所に連続的に設置。

・幅員 ・通行に支障のない通路幅員の確保。

通路

・誘導用ブロックの敷設 ・入り口が分かりにくい場合に設置。

多目的更衣室 車いす使用者等への配慮 障害者用のトイレ、シャワーを更衣室

の中、またはすぐ近くに配置。

シャワー室・

足洗場

・車いす使用者等への配慮

・手すりの配置

・床材の配慮

・車いすでも通行可能な床面構造とす

る。

・滑りにくい床材を使用。

多目的トイレ 乳幼児、障害者への配慮 ・車いすの方に配慮した広いスペース

を確保。

・手すり、操作ボタンの位置に留意。

・汚物流しを設置。

プール ・床材の配慮

・手すりの設置

・入水方法の考慮

・滑りにくい床材を使用。

・車いす使用者にも入水しやすいスロ

ープ形式をとる。 ・歩行専用プールの設置。

・プール用車いすの準備。

主要個所に視覚、聴覚障害

者に配慮

非常通報設備、文字情報設備等の表示

についての対応。

出入口は2方向確保 可能な限り高齢者、障害者等の避難に

配慮。

共通事項

誘導・案内サイン わかりやすい位置かつ通行に支障が

ない位置に配置。

【ソフト面】

・ 高齢者の介護予防や健康増進事業としての各種教室、講習会の開催。

・ 高齢者や障害者の利用料金の割り引き。

● 方向性

プールという多少特殊な環境において、ハード面の制約をすべて解消する

ことは現実的にはかなり困難ですが、それを少しでも軽減するとともに、施

設運営や職員のサービスなどによる対応を検討します。