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第178回NTT病院健康セミナー
リウマチ膠原病について
2015年1月17日NTT東日本札幌病院リウマチ膠原病内科
笠原英樹
インフルエンザ
検査キット陽性
インフルエンザ
免疫細胞
110番 ナチュラルキラー細胞
好中球 マクロファージ
指令所
パトロール
パトロール部隊
職務質問して怪しければ、逮捕
細菌などを食べて殺す
細菌・ウィルス・死んだ細胞など食べて殺す腫瘍細胞や
ウィルス感染細胞を殺す
110番
警察無線
そうか、逃げた犯人の特徴は・・・だな。
指名手配。特殊部隊と狙撃犯の手配もお願いします。
(指令官)
敵の特徴は・・・だな。指名手配。特殊部隊と
狙撃犯の手配もお願いします。
ヘルパーT細胞(司令官)
B細胞細胞障害性T細胞(特殊部隊)
形質細胞(狙撃部隊)
抗体(狙撃)
樹状細胞(鑑識係)
インフルエンザウィルス感染細胞
炎症性サイトカイン(IL-1β ,TNF-α, IL-6など)
メモリーB細胞
(記憶係)
変身
免疫細胞の役割
警察組織 免疫システム 役割
パトロール 好中球ナチュラルキラー細胞マクロファージ
体中を常にパトロールをし不審者を見つけたら職務質問自分以外の細菌やウィルス、癌細胞を逮捕・攻撃
交番 リンパ節 T細胞とB細胞の情報交換
110番司令室 ヘルパーT細胞 指令官
鑑識係 樹状細胞マクロファージ
指紋などを分析して、犯人の特徴を指令官に伝える
特殊部隊 細胞障害性T細胞 特定の犯人のみを攻撃
狙撃班 B細胞、形質細胞 抗体で特定の敵を狙い撃ち
調書記録 メモリーB細胞 前科のある犯人を狙い撃ち
インフルエンザパトロール部隊 狙撃部隊(B細胞)→抗体(IgG)
特殊部隊(細胞障害性T細胞) メモリIB細胞が記憶
サイトカインとは
サイトカインとは、免疫システムの細胞から分泌される蛋白質で、特定の細胞に情報を伝えるものをいう。つまり、細胞同士の言語と言えるものです。
関節リウマチで重要な役割を果たすサイトカインは、IL-1,IL-6,TNF-αなどがあります。
戦闘準備!目標は・・
IL-6
TNF-α TNF-α
IL-6
言語
炎症性サイトカインのはたらき
CRP↑ 白血球↑
インフルエンザワクチン
2抗体ができるまでに
2週間かかる
免疫システムは色々な役割の細胞の連携プレーでできている
正常な免疫システム
僕らの体や周囲には、ばい菌やウィルスがいっぱい。でも、それらを気にせずに生きていけるのは、免疫ががんばってくれているから。
カビ細菌
ウィルス カビ
細菌
ウィルス
免疫細胞の教育
胸腺学校
卒業不可
卒業不可
卒業(2%くらい)
正常な免疫システム
正規軍(正常な免疫)
反乱軍(自己免疫)
敵 ウィルス、細菌、癌細胞など自分の体以外の異物全て
自分の体の正常な細胞など
自己免疫疾患とは?
正規軍(正常な免疫)
反乱軍(自己免疫)
自己抗体
言語(サイトカイン)は共通
「リウマチ」ってどういう病気?
• 「リウマ」=ギリシャ語で「流れる」• ヒポクラテスが、紀元前400年頃に、「脳から悪い液体が流れ出て、関節や筋肉を経て、体中に移っていく病気」=「リウマティスモ」と呼んだのが、「リウマチ」の起源。
「リウマチ」=関節や筋肉が痛くなる病気の総称例 関節リウマチ、変形性関節症痛風・偽痛風、溶連菌感染後反応性関節炎など
膠原病ってどんな病気?いえ領域名
膠原病関節リウマチ全身性エリテマトーデス強皮症皮膚筋炎・多発性筋炎シェーグレン症候群混合性結合組織病
:
ヨーロッパイギリスフランスドイツイタリアスペインポルトガル
消化器疾患胃潰瘍大腸ポリープ膵炎
:
アジア日本韓国台湾
膠原病ってどんな病気?
膠原病とは、病理学者Paul Klemperer(1887-1964年)が、1942年に提唱した病気の考え方です。
膠原病の特徴1.全身の炎症性疾患
発熱、体重減少、倦怠感、易疲労感
2.多数の臓器に同時に症状が現れる皮膚、関節、筋肉、腎臓、肺、心臓、神経、消化器、血液
3.慢性疾患再燃と寛解を繰り返す
4. 「結合組織」が病変の中心であり、顕微鏡で観察すると「フィブリノイド壊死」が共通して見られる
5.原因不明or免疫の異常で起こる(自己免疫疾患)
自己免疫性疾患
リウマチ性疾患 結合組織疾患
膠原病関節リウマチなど
免疫の異常で自分で自分の体を攻撃してしまう病気
バセドウ病重症筋無力症など
関節や筋肉が痛くなる病気
変形性関節症痛風など
細胞と細胞、内臓と内臓の隙間を埋める組織の病気
マルファン症候群結節性硬化症など
反乱軍(自己免疫)
関節リウマチ
「滑膜」に炎症を来たし、関節が腫れて痛くなり、骨が溶けて変形する病気
自己抗体抗CCP抗体リウマトイド因子(RF)
皮下結節
目;強膜炎
RA患者の関節の変化Patient age: 50 yrs. Patient age: 66 yrs. Patient age: 45 yrs.
罹病期間1.5年 罹病期間12.5年 罹病期間21年
関節エコー検査
関節エコー検査
関節(滑膜)の腫れや火事が強い
将来の関節破壊のリスクが高い=
関節炎=関節の火事
B細胞キラーT細胞(特殊部隊)
ヘルパーT細胞(司令官)
自己抗体産生
リウマチ因子(RF)抗CCP抗体
自己と類似した異物
攻撃命令
樹状細胞(伝令係)
形質細胞(ミサイル部隊)
関節リウマチの発症機序とは?自己免疫
環境因子;70-80%
歯周病
喫煙
腸内細菌
ウィルス感染、細菌感染シリカ、化学物質、性ホルモン(エストロゲン)
遺伝因子;20-30%
HLA-DRB1*0405(日本人)*0401,*0101,*0404PADI4など
抗CCP抗体産生
菌体成分DNA
シトルリン化蛋白の産生シトルリン化蛋白の産生
全身性エリテマトーデス
反乱軍(自己免疫)
全身の様々な場所に炎症を起こす病気。
自己抗体抗核抗体抗DNA抗体抗Sm抗体など
全身性エリテマトーデス
強皮症
反乱軍(自己免疫)
皮膚や内臓が硬くなる病気。
自己抗体抗核抗体抗Scl-70抗体抗セントロメア抗体RNAポリメラーゼIII抗体
関節痛
強皮症
指から手背の皮膚硬化 指先の潰瘍
レイノー現象
皮膚生検
強皮症 正常の皮膚
レイノー現象
冷水負荷サーモグラフィー負荷前
負荷直後
5分後
正常な皮膚温
正常な人は、爪と指の根元から皮膚温が回復し始め、5分後には元の皮膚温に近いくらいまで回復する。
冷水負荷4℃の冷水に10秒両手をつける
負荷前
負荷直後
5分後
10分後
15分後
20分後
レイノー現象(治療前)
負荷前
負荷直後
5分後
10分後
15分後
20分後
レイノー現象(治療後)
食道通過時間(正常)
直後 10秒後 20秒後 30秒後
食道通過時間(延長)
直後 10秒後 20秒後 30秒後
皮膚筋炎・多発性筋炎
反乱軍(自己免疫)
皮膚や筋肉に炎症を起こし、筋肉が壊れて筋肉痛や筋力低下を起こす病気。
自己抗体抗核抗体Jo-1抗体CADM抗体など
皮膚筋炎・多発性筋炎
リウマチ性多発筋痛症
反乱軍(自己免疫)
65歳以上の高齢者に肩や股関節周囲の滑液包炎や付着部、筋肉に炎症を起こす病気。
自己抗体なし
ベーチェット病
反乱軍(自己免疫)
口内炎や外陰部の潰瘍,皮疹やぶどう膜炎などをそれぞれ繰り返す慢性の全身の炎症を起こす病気。
自己抗体なし
ベーチェット病
毛嚢炎 結節性紅斑
ぶどう膜炎 口内炎
結節性紅斑
【原因】1.感染症
a.細菌感染 溶連菌感染、ブドウ球菌感染、結核、ハンセン病エルシニア、サルモネラ、ブルセラ
b.真菌感染 白癬菌、コクシジオイデス、ヒストプラズマc.スピロヘータ 梅毒d.ウィルス 流行性耳下腺炎、風疹e.クラミジアf.リケッチア
2.薬剤 サルファ剤、ヨード剤、ブロム剤、金製剤、経口避妊薬3.悪性疾患 白血病(小児のAML,CMLなど),、癌4.膠原病類縁疾患 ベーチェット病、サルコイドーシス、RA5.慢性腸疾患 クローン病、潰瘍性大腸炎
結節性紅斑は、下腿に境界不明瞭な円型の触ると痛い腫れを伴う発疹1-2週間で自然に消える。
血管炎
反乱軍(自己免疫)
血管に炎症を起こし、出血や血管が詰まることで、様々な症状を起こす病気。
MPO-ANCAPR3-ANCA
大動脈炎症候群
結節性多発動脈炎にみられた壊疽
顕微鏡的多発血管炎の紫斑
正規軍(正常な免疫)
反乱軍(自己免疫)
ステロイド・免疫抑制剤
反乱軍だけ狙い撃ちできる薬があればいいのですが・・残念ながらありません。
正規軍(正常な免疫)
反乱軍(自己免疫)
ステロイド・免疫抑制剤
病気が良くなる
正規軍(正常な免疫)
反乱軍(自己免疫)
ステロイド・免疫抑制剤
感染症のリスクが高くなる 病気が良くなる
膠原病にならないためにできること
・規則正しい生活・ストレスを避ける・タバコを吸わない・過度な飲酒は避ける・感染症にかからないよう、日頃から手洗い・うがいをして注意する・紫外線を浴びすぎない・虫歯や歯周病にならないようにする
確立された予防法はありません。