コーヒーかすの植物に対する促進効果と抑制効果 相...

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コーヒーかすの植物に対する促進効果と抑制効果 相本沙貴 板橋美和 遠藤史織 福本ゆり 神奈川県立厚木高等学校 2 H 1 Abstract We want to use coffee grounds to reduce garbage. So first we search the effect on radish sprout by hydroponic cultivation. Coffee grounds were supposed to have an inhibitory effect on plant germination and growth, so we conducted an experiment to grow cucumber and kidney beans on the soil. From the results, it was found that coffee grounds is suitable for weeding. Because similar effect was seen also on the soil. 背景 コーヒー豆はコーヒーの抽出に使われるとかすとなって破棄されていて、年間発生推定量は 600,000 t といわれている。そのことから,破棄せずに有効的に利用できる方法を考えた。 目的 植物を育てる際にコーヒーかすを使い,植物の成長にどのような効果を与えるのか調べ,具体的な 方法を提案する。 既知の知見及び先行研究 1 m 四方の土地にコーヒーかすを撒いたところと撒かないところを作り,アルファルファ,ギニア グラス,クロタラリア(マメ科),ソルガム,ヒマワリ,エンバク,オオムギ,ライムギを育てたと ころ 1 年目ではカフェイン,ポリフェノールの影響で植物の発芽,成長が抑制された。しかし 2 年 目ではカフェインポリフェノールが微生物によって分解され植物の成長が促された。栽培試験全体 を通して、クロタラリア(マメ科)、ライムギ、エンバクは、生育阻害効果を受けにくいことがわ かりました。 仮説 先行研究より,コーヒーかすは植物の発芽を妨害すると考えた。また,ある程度成長した植物には 肥料としての効果を発揮するとされる。マメ科の植物はコーヒーかすの発芽の妨害を受けないと考 えられる。 方法 1 準備 コーヒーかす,スポンジ,ペットボトルの底,土,カイワレ大根の種子(14 粒),インゲン豆の種 子(3 粒),きゅうりの種子(11 粒) 2 操作 ①カイワレ大根の種にコーヒー(液体),コーヒーかすからの抽出液,水をあたえ水耕栽培を行い, 発芽に与える影響をみる。 ②発芽後のカイワレ大根にコーヒー(液体),コーヒーかすからの抽出液,水をあたえ水耕栽培を行 い,成長に与える影響をみる。 ③マメ科(インゲン豆)と,その他の科の植物(きゅうり)にコーヒーかすを土に加えて栽培を行い, 発芽に影響を与えるのかみる。

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コーヒーかすの植物に対する促進効果と抑制効果

相本沙貴 板橋美和 遠藤史織 福本ゆり

神奈川県立厚木高等学校 2 年 H 組 1 班

Abstract

We want to use coffee grounds to reduce garbage. So first we search the effect on radish

sprout by hydroponic cultivation. Coffee grounds were supposed to have an inhibitory effect on

plant germination and growth, so we conducted an experiment to grow cucumber and kidney

beans on the soil. From the results, it was found that coffee grounds is suitable for weeding.

Because similar effect was seen also on the soil.

背景

コーヒー豆はコーヒーの抽出に使われるとかすとなって破棄されていて、年間発生推定量は

600,000 tといわれている。そのことから,破棄せずに有効的に利用できる方法を考えた。

目的

植物を育てる際にコーヒーかすを使い,植物の成長にどのような効果を与えるのか調べ,具体的な

方法を提案する。

既知の知見及び先行研究

1 m四方の土地にコーヒーかすを撒いたところと撒かないところを作り,アルファルファ,ギニア

グラス,クロタラリア(マメ科),ソルガム,ヒマワリ,エンバク,オオムギ,ライムギを育てたと

ころ 1年目ではカフェイン,ポリフェノールの影響で植物の発芽,成長が抑制された。しかし 2年

目ではカフェインポリフェノールが微生物によって分解され植物の成長が促された。栽培試験全体

を通して、クロタラリア(マメ科)、ライムギ、エンバクは、生育阻害効果を受けにくいことがわ

かりました。

仮説

先行研究より,コーヒーかすは植物の発芽を妨害すると考えた。また,ある程度成長した植物には

肥料としての効果を発揮するとされる。マメ科の植物はコーヒーかすの発芽の妨害を受けないと考

えられる。

方法

1準備

コーヒーかす,スポンジ,ペットボトルの底,土,カイワレ大根の種子(14 粒),インゲン豆の種

子(3 粒),きゅうりの種子(11 粒)

2操作

①カイワレ大根の種にコーヒー(液体),コーヒーかすからの抽出液,水をあたえ水耕栽培を行い,

発芽に与える影響をみる。

②発芽後のカイワレ大根にコーヒー(液体),コーヒーかすからの抽出液,水をあたえ水耕栽培を行

い,成長に与える影響をみる。

③マメ科(インゲン豆)と,その他の科の植物(きゅうり)にコーヒーかすを土に加えて栽培を行い,

発芽に影響を与えるのかみる。

Page 2: コーヒーかすの植物に対する促進効果と抑制効果 相 …コーヒーかすの植物に対する促進効果と抑制効果 相本沙貴 板橋美和 遠藤史織

結果

①コーヒーとコーヒーかすを与えることによって,発芽率は低くなった。

表 1 カイワレ大根の発芽率

発芽率(%)

コーヒー 64

コーヒーかす 57

水 86

②コーヒーとコーヒーかすを与えることによって,成長に変化はなかった。

表 2 カイワレ大根と平均の長さ

平均の長さ(cm)

コーヒー 5

コーヒーかす 5

水 6.5

③マメ科のインゲン豆の発芽は促進させたが,ウリ科のきゅうりの発芽は抑制した。

表 3 インゲン豆ときゅうりの発芽率

発芽(%)

インゲン豆 土 33

コーヒーかす+土 67

きゅうり 土 100

コーヒーかす+土 78

考察

表1,表2より,コーヒーには植物の発芽を抑制する効果があるが,植物の成長には影響を及ぼさ

ない ことがわかる。これは表3から土での栽培でも同様であるといえるが,マメ科の植物に対し

ては発芽を促 成する効果があることがわかる。

結論

コーヒーかすはマメ科以外の植物の発芽を抑制するが,成長には影響を及ぼさない。このことから

コーヒーかすは容易に手に入れることができ、安全性も高く、生産効率も高いので、安価な除草剤

として活用することができる。

参考文献

UCC good coffee smile <https://www.ucc.co.jp/company/research/residue/03.html>

Hack Coffee Beans <http://hackcoffeebeans.com/coffeegrounds/>

Gigazine <https://www.google.co.jp/amp/s/gigazine.net/amp/20140908-reason-coffee-has-

caffeine>

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かん水を使わない麺は中華麺に近づけられるか?

波多野瑞穂 早川舞衣 安江華鈴 山本夢

神奈川県立厚木高等学校 2年 H組 2班

Abstract

In Chinese noodles harmful substances called kannsui are used. Therefore, we conducted

experiments to bring closer to the elasticity of Chinese noodles, using substances that are more

harmless and substitute for rice. As a result of experiments using Konjac's pH close to kannsui’s

pH, I succeeded in the experiment.

背景

中華麺には、かん水という物質が使われている。かん水とは原材料がアルカリ性の物質であり、少なか

らず害がある。そこで、害をより抑えられるかん水に代わる物質で、中華麺に近い麺を作ることは出来

ないかと考えた。

目的

中華麺に近い弾力の麺を、かん水の代用となる物質を用いて作成する。

既知の知見及び先行研究

かん水とは、麺に独特の食感や喉越し、色味や匂いを与える添加物である。原材料として炭酸カリウ

ム、炭酸水素ナトリウム、リン酸二ナトリウムなどが含まれるアルカリ性物質である。(参考文献:

http://portal.nifty.com/kiji/160802197105_1.htm)

また、グルテンのドウ(小麦粉を水で練ってできる塊)はかん水の pHなどによって変化するため、中華

麺の独特の弾力はかんすいのアルカリ性によるものと考えられる。(参考文献:

https://www.glico.com/nutrition/tabemono/material/01/02/index.html)

仮説

かん水がアルカリ性物質であることから、何かしらのアルカリ性物質を用いれば、中華麺の弾力に近づ

けられる。 アルカリ性食品として知られるカシューナッツ、アーモンド、かぼちゃの種、わかめの pH

を調べた。それぞれを粉末状にし、水によく溶かしたものの pHをリトマス紙を用いて調べた。

表 1 アルカリ性食品の pH

カシューナッツ アーモンド かぼちゃの種 わかめ

6 6~7 5 5~6

これらは強アルカリ性は示さなかったため、アルカリ性加工食品に注目した。 そのなかでも、こんに

ゃくが強アルカリ性食品であると判明したため、かん水の代わりとして実験する。

図1 かん水とこんにゃくの pHを比べたもの

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表 2 こんにゃくの pH

こんにゃくペースト こんにゃく水 こんにゃく保存水 かん水

11~12 11~13 11~13 14

こんにゃく保存水は、こんにゃくを長期保存するために作られるアルカリ性水溶液であり、化学物質を

使用していることが分かった。今回実験の趣旨には反するため使用しない。

方法

1準備

中華麺の材料

・強力粉、薄力粉 各 25g

・塩 1g

・水 23mL

・かん水 1g

・こんにゃく水…こんにゃくをミキサーにかけたものを搾り取ったもの

・こんにゃくペースト…こんにゃくをミキサーにかけて、汁状にしたもの

実験器具

・ばねばかり

・パスタマシーン

2操作

①強力粉、薄力粉、塩、水を混ぜてこね、4種類の麺を作る。材料と同時にアルカリ性物質を加える。

1,かん水 2,こんにゃく水 3,こんにゃくペースト 4,アルカリ性物質なし

②①の生地を 10分間寝かせる。

③パスタマシーンを使い、生地が厚さ 7 mmになるように伸ばす。

図 3 使用したパスタマシーン

④ばねばかりを使って麺を引っ張り、麺が切れる瞬間のばねばかりの値を計測する。10回繰り返し平均

をとる。

図 4 麺を引っ張り弾力を測る様子

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⑤麺を茹で、④と同様に麺の弾力を測定する。

結果

図 5 茹でた後の麺(左からかん水無し、こんにゃく水、こんにゃくペースト、かん水有り)

図 6 茹でた後の水(左からかん水無し、こんにゃく水、こんにゃくペースト、かん水有り)

図 7 弾力の違い

考察

茹でる前は かん水との弾力の差は 19~24N だが、茹でた後は 2.0~3.0Nに収まった。このことから pH

は茹でる前は弾力の変化に作用しないが、茹でることで作用する。

結論

こんにゃくを使えば弾力を近づけることは出来る。

参考文献

著者:itscom ラーメンの「かん水」を使い分ける実験<

http://portal.nifty.com/kiji/160802197105_1.htm>

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建造物の色相と都市温度の関係

佐藤 稜真 井久保 聖二 岩田 悠花

熊見 祐希 田中 利典 山田 春月

神奈川県立厚木高等学校 2年 H組 3班

Abstract

Global warming is related to environmental problems. We focused on, especially, the Heat-island

phenomenon and observed the temperature transition in each environment having different-colored

buildings. The hypothesis stood that red was high. Therefore, in the experimental method, we made

colored building model and the temperature change by time was investigated. At this time, the

number of times was small and it was hard to make a firm experiment, the red color resulted in

little higher temperature than the cobalt color.

背景

近年,様々な環境問題が現れており、その中でも都市環境にまつわる諸問題は顕著である。私たちはその

うちのヒートアイランド現象に着目し,色相をテーマに研究を進めた。

目的

建造物の色相の違いによる地表温度の変化を観察し,相関を見いだす。また,高温化の対策になる理想の

環境を調べる。

先行研究

《色の明度について 既知の知見》

・光の反射率は色の明度によって変わり、基本的に 黒に近い暗い色ほど光を吸収しやすいため反射率

が低く、反対に白に近い明るい色であるほど反射率は高い。

⇒より多くの太陽光つまり熱エネルギーを反射する 明るい色の建物ほど、付近の地表温度は高くな

る。

《色相と赤外線について》

・ヒートアイランドの直接的な原因はアスファルトの高温化である。

・赤外線は物体の温度を上昇させる性質をもち、色相として赤に近いほど赤外線に似た波長の光を反

射すると考えられる。

仮説

建造物の色相が赤に近いほど地表温度は高くなりやすい。

方法

1.準備

牛乳パック (1000 mL・500 mL), イベントカラー (赤・青・緑・白・黒), サーモグラフィ

2.操作

①牛乳パック(1000 mL・500 mL)を組み合わせ,3種類の高さ(L.M.S)の建造物を用意する

(Fig1)。

②日の当たるコンクリートの上に Lサイズ 4個,Mサイズ 3個,Sサイズ 2個を 1 m四方の敷地に組み

立てる(Fig2)。

③サーモグラフィで地表温度を測定する。

④1~4を建造物の表面色を変えて行う。

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Fig.1 実験で使用した建造物のモデル ※表示色は牛乳パックの規格を区別するためのもの

Fig.2 実験時の建造物モデルの配置

結果

Table.1 地表温度の変化(黒・白) 1回目 Table.2 同・2回目

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Table.3 地表温度の観測(赤・青) Table.4 地表温度の観測(赤・緑)

考察

明度の違いによる地表温度の変化の特徴は、黒・白 の観測にて顕著に表れている。赤・青 , 赤・緑 の計

測結果は概ね仮説通りであった。しかし、試行回数が1回と少ないのでほかの要因や偶然の可能性も捨

てきれない。

結論

建造物の色と地表温度の間には、色の明度においては明白な、しかし色相の面では一概にそうと断定

できないだけの相関がみられる。

参考文献

・三根晴雄「ヒートアイランド現象とその影響」

http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn0406pdf/ks0406005.pdf

・首都大学東京 都市環境学部 都市環境科学研究科

「既成市街地における隣棟間隔ならびに建物隣接空地の定量化」

http://www.ues.tmu.ac.jp/cus/archives/cn17/pdf/85-05.pdf

・環境省「ヒートアイランド対策大綱」

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天然赤系色素による赤色のチョコレートの作製

小高聡子 唯野まどか 宮崎優南 上原綾華 関山舞美 福田璃乃

神奈川県立厚木高等学校 2年 H組 4班

Abstract

There are many red colorings which have carcinogenic substance,therefore,we tried to red coloring

from substances that do not contain carcinogens,for example,tomato,apple and paprika.As

understood from various literatures,not being able to color oil-soluble foods flom water-soluble

coloring,we decided to make a oil-soluble coloring and color the white chocolate.We could make safe

coloring from paprika in two experiments.It did not work well with apples,and the chocolate

softened with tomatoes.The reason for this result is that paprika had an oil-soluble dye and another

do not have it.

背景

赤系着色料の中には発がん性物質を含むものがある。このことから 現高校3年生の先輩方は,野菜か

ら赤色の着色料を取り出そうとしていたが失敗していた。私たちはこれらを踏まえて,既成の着色料の

なかでも種類が少ない脂溶性天然赤系着色料を食べ物から抽出しようと考えた。また,脂溶性のものは

水溶性のものとは混ざり合わないため,乳化作用をもつ食材の利用も視野に入れて実験をすることにし

た。

目的

赤色に染める色素を身近な天然素材から抽出し,脂溶性の食材を赤色に染める。

既知の知見及び先行研究

・天然赤系色素は存在しているが,ほとんど脂溶性のものに着色できない。

・脂溶性の着色料しかチョコレートなどの脂溶性のものに溶けない。

・現在,主に使用されている天然の赤系色素は水溶性である。

・卵黄には乳化作用がある。乳化とは水と油のように本来混じりあわないものを界面活性剤を使用する

ことできれいにまざりあうことを示す。

仮説

脂溶性ビタミンを含む赤色の食品から抽出した色素は脂溶性となる。

脂溶性の色素ならチョコレートに着色できる。

方法

<実験 1>

1. 準備

りんごの皮,トマト,赤パプリカ,ホワイトチョコレート(以下チョコとする),油,水,凍結乾燥

機,バット,ラップ,ガスコンロ,鍋,包丁,まな板,プラスチックコップ,すり鉢,すりこ木,

ガーゼ

簡単に入手できる食材を使用しようと考え,りんごの皮,トマト,赤パプリカから赤色色素を抽出す

ること にした。

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2. 操作

りんごの皮,赤パプリカ,トマトから赤色素を取り出す。

(1) りんごの皮について

①りんごの皮を半分に分ける。

②一方を凍結乾燥機にかける。

③鍋に残りのりんごの皮を入れ,水を浸るくらい加えてから沸騰しないように弱火で煮詰める。

水に色がついたら火を止める。この色水を液体とする。

④②で凍結乾燥機にかけたものをすりつぶす。これを粉末とする。

⑤それぞれをチョコ,水,油に溶かす。

(2) 赤パプリカについて

①細かく切って半分に分ける。

②一方を凍結乾燥機に入れる。

③鍋に残りの赤パプリカを入れ,水を浸るくらい加えてから沸騰しないように弱火で煮詰める。

水に色がついたらとめる。この色水を液体とする。

④②で凍結乾燥機にかけたものをすりつぶす。これを粉末とする。

⑤それぞれをチョコ,水,油に溶かす。

(3)トマトについて

①細かく切って半分に分ける。

②一方を凍結乾燥機に入れる。

③鍋に残りのトマトを入れ,水を浸るくらいに加えて沸騰しないように弱火で煮詰める。

水に色がついたらとめる。

④③で煮詰めた残りの固体をガーゼでこす。こされた色水を液体とする。

⑤②で凍結乾燥機にかけたものをすりつぶす。これを粉末とする。

⑥それぞれをチョコ,水,油に溶かす。

結果

1. 粉末について

(1) 水と混合した場合 (図 1)

りんごの皮,赤パプリカ,トマトのすべてが分離した。

赤パプリカ,トマトの溶液には薄く赤色がついた。

(2) 油と混合した場合 (図 2)

りんごの皮,赤パプリカ,トマトのすべてが分離した。

赤パプリカの溶液のみ赤色がついた。

図 1 水と混合したもの

左からりんごの皮,トマト,

赤パプリカ

図 2 油と混合したもの

左からトマト,りんごの皮,

赤パプリカ

図 3 チョコと混合したもの

左からトマト,りんごの皮,

赤パプリカ

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(3) チョコと混合した場合 (図 3)

りんごの皮,赤パプリカ,トマトのすべてが分離した。

赤パプリカ,トマトの溶液にはオレンジ色がついた。

2. 液体について

(1) 水と混合した場合 (図 4)

すべて完全に混ざり、水溶液となった。

りんごの皮,トマト,赤パプリカのすべてに色がついた。

(2) 油と混合した場合 (図 5)

すべて分離した。

(3) チョコと混合した場合 (図 6)

赤パプリカを混合したものはどろどろした。

トマトとりんごの皮を混合したものはさらさらした。

りんごの皮は紫色,トマトは薄い黄色,赤パプリカはオレンジになった。

すべてにおいて市販のチョコのようには固まらなかった。

考察

1. 粉末について

水と混合したときに赤パプリカとトマトの溶液には色がついたことからこの2つからは水溶性 の

赤色素が取り出せたといえる。トマトの主な赤色素は水溶性のリコピンであるので,今回トマトか

ら取り出せた色素はリコピンである。赤パプリカの主な赤色素は脂溶性のカプサンチンであるので,

今回赤パプリカから取り出せた色素はカプサンチンではない,別の水溶性赤色素だといえる。また,

りんごの皮の溶液に色はつかなかったので,色素は取り出せなかったと思われる。

油と混合したときに関しては赤パプリカのみ色がついたことから脂溶性赤色素のカプサンチンの

作用が確認でき,水溶性色素は油とは混ざらないことも確認できた。しかし,チョコと混合したと

きは赤パプリカだけでなくトマトでも色がついた。水溶性のリコピンで色がついた理由はわからな

い。

2. 液体について

水と混合したときはすべてに色がついた。これは,水溶液と水を混ぜたからだと思う。油と混合

したときにすべてが分離したのは,水と油は混ざらないからである。しかし,赤パプリカの溶液に

も色がついていないことからカプサンチンが作用してないと考えられるが,これがなぜかはわから

ない。

チョコと混合したときはすべてに色がついたが,赤パプリカと混合したものが一番濃い色となっ

たので,カプサンチンが作用したといえる。りんごの皮とトマトについても色がついたのは,色水

図 4 水と混合したもの

左からりんごの皮,トマ

ト,赤パプリカ

図 5 油と混合したもの

左からりんごの皮,トマ

ト,赤パプリカ

図 6 チョコと混合したも

左からりんごの皮,トマ

ト,赤パプリカ

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を混ぜたときにその色が消えることは考えられないからだと思う。ただ,色が薄かったことから水

溶性赤色素はチョコの着色に不向きであることがわかった。

いずれも市販のチョコのように固まらなかったのは,水と油が混ざり合わないように水溶性の抽

出液と脂溶性のチョコレートが混ざり合わなかったからであると思われる。ここで,卵黄の乳化作

用を利用することがこの問題を解決するのに有効だと考え,もう一度実験をすることにした。

方法

<実験 2>

1. 準備

トマト,赤パプリカ,ホワイトチョコレート(以下チョコとする),油,水,ラップ,ガスコンロ,鍋,

包丁,まな板,プラスチックコップ,すり鉢,すりこ木,ガーゼ,トレー,ミキサー,スプーン

2. 操作

①パプリカとトマトのみ<実験1>と同様に水で抽出

*トマト:9分 55秒,パプリカ:11分 57秒

②それぞれの抽出液をミキサーにかける

③抽出液をチョコと卵黄とともに混ぜる

結果

<実験 2>

(1) パプリカ(ミキサー)について (図 7, 8)

チョコに着色することができた。表面に凹凸とパプリカの粒が見られパプリカを混合した時と同

じような硬さだった。

パプリカの味とともに苦味が感じられた。

(2) パプリカ(液体)について (図 7, 8)

チョコに着色することができた。表面に凹凸が見られトマトより硬さがあった。

チョコの味がした。後味までパプリカの味を感じさせなかった。

周りに出た白い物体はチョコを薄めたような味がした。

(3) トマトについて (図 7, 8)

チョコに着色することができた。見た目はなめらかで適度なやわらかさがあった。

チョコの味がした。後味もトマトが使われていることを知らなければトマトの味を感じさせない程

度だった。

図7 チョコと混合したもの

左からパプリカ(ミキサー),

パプリカ(液体),トマト

図8 チョコと混合したもの(断面)

左からパプリカ(ミキサー),パプ

リカ(液体),トマト

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考察

トマトとパプリカで<実験1>よりはっきりとチョコに着色できたのは,仮説通り卵黄の持つ乳化作用

により,水溶性の抽出液と油溶性のチョコが混ざりあったからだと考えられる。

また,上記の理由により水溶性と油溶性が混ざり合い,チョコが固まったと考えられた。

トマトとパプリカは同じ実験をしたにもかかわらず,パプリカを混ぜたチョコのみ表面に凹凸ができた

のは,パプリカに含まれているたんぱく質の量 が多いからだと考えられる。

結論

脂溶性ビタミンの色素であっても,水で抽出すると抽出液は水溶性となった。これに乳化作用をもつ卵

黄を混ぜることで抽出液とチョコを混ぜ合わせることができ,チョコに着色することができた。

参考文献

三菱ケミカルフーズ株式会社/着色料赤色系

<http://www.mfc.co.jp/product/tyakusyoku/red/index.html>

本当は怖い天然着色料コチニール色素

<https://matome.naver.jp/odai/2145275598022004501>

MSDマニュアル家庭版/ビタミンの概要

<https://www.msdmanuals.com/ja-jp>

キリヤ;天然色素ーキリヤ化学

<http://www.kiriya-chem.co.jp/tennen/tennen.html>

プラス卵

<http://plus-tamago.net/b03tokusei.html>

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染料の種類をさらに豊富に

-醤油染めにおける媒染剤・乾燥方法の検証-

相原 唯祈・今井 駿佑・中村 朋哉・人見 駿介・和田 夢人・渡部 圭也

神奈川県立厚木高等学校 2年 H組 5班

Abstract

We wondered if there was a dye that we can find and use easily. Therefore, we have decided

to find a dye from soy sauce. To find that color, we dyed clothes with alum solution and

milk. However, we have failed to find such a dye.

背景

食べ物をこぼすと油などの汚れはなかなかとれない。そこで逆に、食べ物や調味料など汚れの落ちにく

いことからそれらを染料として利用しようと考えた。

目的

前述の通り身近な食べ物や調味料に染料としての利用価値を見出す。今回私たちは、身近な調味料と

して醤油を採用した。

既知の知見及び先行研究

衣服を染色する有名な方法として草木染めやコーヒー染めというものがある。コーヒー染めにおいて

は、加熱したコーヒーに布を浸した後、媒染剤であるミョウバンに浸すことで色落ちを防いでいる。牛乳

もミョウバンと同じような働きをすることが知られている。コーヒーは醤油と同じ色素(メラノイジン)がふくま

れている。

仮説 1

ミョウバンを媒染液として用いることでよく染まる。

仮説 2

牛乳を媒染液として用いることでよく染まる。

方法 1

1. 準備

キッコーマン しょうゆ(濃口・薄口)

コーヒー (無糖)

綿 100 %の布 (10 cm×10 cm)

ミョウバン (10 g)

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2. 操作

①醤油やコーヒーを布が完全に浸る程度まで鍋にいれ、4 分加熱する。

②水 200 gにミョウバン 10 gを加えた水溶液に、染色した布を浸して 4 分放置する。

③流水で洗い流し絞った後、染まりを確認する。

また、操作 2の操作の後にドライヤーで乾かす操作を追加した実験を行った。

方法 2

1. 準備

先ほどのミョウバン 10 gの代わりに牛乳 20 mL(シャーレに入れた布がちょうど浸される程度の量であ

る)を用意する。

2. 操作

①布を牛乳につけた後に乾かす。

②醤油を1の布が完全に浸るまで鍋にいれ、4分間加熱する。

③流水で絞った後、染まりを確認する。

結果 1

操作 2までは、布に醤油の色が染みたように見えた(図 1)。しかし、布を洗い流すと最終的にほぼ元の

色または若干黄ばんだ色になってしまった(図 2)。ドライヤーで乾かしたものは前のものと比べると若干

染まりは良かったが、それでも市販の染物のようにはならなかった(図 3)。

図 1 左:コーヒー 右:醤油 図 2 洗ったもの 図 3 乾かしたもの

結果 2

ミョウバンを用いたときと同様に、最初は染まったように見えたが、最終的には黄ばんだ色になり、目的

の色にはならなかった(図 4)。

図4

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考察

ミョウバンを媒染剤として使用したら、あまり染まらなかったのでミョウバンは醤油染めの媒染剤として適

さない。牛乳も同様である。

結論

ミョウバンと牛乳は醤油染めの媒染剤として適さない。

参考文献

メイラード反応-wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83

%89%E5%8F%8D%E5%BF%9C#メラノイジン

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ココアを透明に

小俣圭輝 冨安泰成 大野成輝 平林拓人 山口晃太郎

神奈川県立厚木高等学校 2年 H組 6班

Abstract

Our experiment is to make cocoa clear.We filter cocoa and distill it to do. As a result, it is clear but

it does not taste good. So we tried to make it delisious.

背景

最近話題の味のついた透明な飲み物を見てなぜ透明なのに味がついているのかということに疑問を持っ

た。今発売されている飲み物以外にも透明にできるのかと思った。

目的

ココアをろ過すれば透明になるのかということを知りたい。歯が黄ばまず、外出先でこぼしてしまって

も目立たないココアをつくりたい。

既知の知見及び先行研究

すでに何種類かの透明なジュースがある。

透明な紅茶は高濃度アロマ抽出製法(蒸留のようなもの)でできていて香りが大事となっている。

牛乳を浄水器でろ過すると生臭い水ができる。

仮説

ココアを蒸留またはろ過することで透明なココアをつくることができる。

方法

1準備 ココアパウダー ガスバーナー 枝つきフラスコ リービッヒ冷却器 ビーカー 砂糖 塩

ペットボトル 砂利 ガーゼ 糸 綿 活性炭 ろ紙 セロハン

2操作

実験①

枝つきフラスコにココア(140 mL)を入れ、リービッヒ冷却器を使って蒸留する。発生し

た液体を集める。

実験②

身近なものを使って簡易ろ過装置を作る。

ペットボトルに煮沸殺菌した砂利、綿、糸、活性炭、わ紙を入れて、ろ過器をつくりろ過した。

実験③

ココア(150 mL)を遠心分離機にかける。

実験④

セロハンにココアを入れ、透析できるか調べる。

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図1 図2 図3

手作りろ過器 遠心分離機 蒸留の様子

結果

実験①

蒸留したことで透明になり、匂いもついた。砂糖をいれることで美味しくなり、本物には劣るが、ココ

アに近づいた。塩もいれたらより美味しくなった。

実験②

少しろ過できたが、うすくにごり、透明にはならなかった。味はろ過する前よりだいぶ薄くなった。ろ

紙にこびりついていた残留物は、チョコの見た目で味のないものができていた。

実験③

遠心分離機にかけたが全く分離しなかった。

実験④

チンダル現象は確認できたがそもそも中身が溶け出してこなかったので、透析することが出来なかっ

た。

考察

蒸留したときに、ココアの中の味の成分が熱で変質している可能性がある。

ろ過器によるろ過は熱は加わらないが、目が細かくなかったので、色が十分に薄くならなかった。

結論

・蒸留によりココアの香りがついた透明な液体はできたが味は本物には及ばない。

・ろ過は味はココアと似ていたが完全に透明にすることはできなかった。

参考文献

わっきー TV<https://www.youtube.com/channel/UCvF9_9I_6tfl0NmXN0yS1Kw>

透明な飲み物 作り方<https://kirakira-plus.com/archives/762>

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骨伝導イヤフォンの改良研究

-Research for improvement of bone conduction earphone-

福原 暖 菊池 秋志 亀田 敬義 春本 正和 鈴木 悠介 伊久美 玲音 神奈川県立厚木高等学校 2年 H組 7班

Abstract

Bone conduction earphones are said to be able to improve the hearing ability of some deaf

people.We are trying to miniaturize the earphone and make it inconspicuous, familiarizing the

earphone.We have succeeded in making a prototype with relatively small motor,nevertheless that

conducts too little sound.

背景

外耳の異常が原因の難聴(伝音性難聴)を患っている人へ目立たないかつ効果の高い補聴器を提供するた

め,骨伝導現象を用いたインナーイヤーヘッドフォンの作成及びこれの改良に取り組む。

目的

小型のモーターを用いた,簡易的な骨伝導イヤフォンを作成した上で,作成したイヤフォンの改良と,

市販品の改善点の提案を図る。

既知の知見及び先行研究

切替一郎の論文より,頭蓋骨,特に側頭骨の周囲にヒトの可聴音域で振動する物体を当てると,聴覚信

号に直接,即頭骨の振動が信号として伝わり,音として脳で感知することができる。この場合,通常の

空気伝導によるものと異なり,外耳道及び鼓膜を経由せず,頭蓋骨から蝸牛へ音が固体の振動として伝

わる。これを骨伝導と称する。

仮説

・今回実験で再現する骨伝導イヤフォンの構造はモーターと導線のみであり,単純な構造であることか

ら十分に小型化が可能である。

・上記より,小型化に成功すれば,耳にはめる必要がなくより目立たないイヤフォンが完成する。 ・このイヤフォンは伝音の経路に鼓膜を含まず耳小骨に直接振動を伝えるため,鼓膜など外耳部に異常

を持つ伝音性難聴の患者も使用が可能である。

方法

1準備

uxcell 製小型モーター(DC3.7-4.2V 41000-46000rpm) イヤフォンプラグ付コード プラ板

エポキシパテ はんだ

2操作

プラ板で組んだ筐体に小型モーターをパテで固定(図 2)し,モーター,コード,イヤフォンプラグを

はんだ付けによって接続,完成品(図1)をスマートフォンにつなぎ適当な曲を試聴する。

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結果

音を聞き取ることができた。 ただし,スマートフォンの音量を最大にしても聞こえる音はとても小さ

く,700Hz 前後の音域での減衰が激しく,音質も悪いように聞こえた。また,接続不良かは不明だが,片

方のモーターが回転しなかった。

考察

音量が小さかった実験結果への原因として,

・モーターの出力が小さい

・パテが振動を小さくしている

・耳に当てる位置が悪い

などの理由が挙げられる。

これらから,各原因への対策として,

・外部電力を用いたアンプを回路中に接続する。

・固化時により摩擦抵抗が小さく,振動の伝導性に優れたパテを使用する。

・イヤーフックを使い,適切な位置でモーターユニットを固定できるようにする。

等の方法で改善をしていく。

また,一つの大きく異なる方法として,圧電素子(ピエゾ素子)を用いたスピーカーユニットを用いて振

動を生み出すシステムを用いることも検討していく。

追記

圧電素子を用いたスピーカーユニットは,構造上 1000Hz以上の音のみ抽出され運動エネルギーとなる

為,実用的な音楽のリスニング用途には向かないことから,通常のモーターと組み合わせたハイブリッ

ドシステムでの使用が必至であると判明した。実用的な解像度の高いユニットの完成へ向け,改良研究

に勤しむ所存である。

結論

以上より,複数の点において改善すべき事項は発見されたが,この事項などから 2018 年現在実用化また

は販売されている骨伝導イヤフォンが持つ水準を満たせておらず,市販されている小型のモーターを用

いた先進的な改良研究は難しいと結論付けられた。

今後進めるべき研究方針としては,モーターを小型化した上での音質改善ではなく,より大きなサイズの

モーター若しくは圧電素子のようなユニットを用いて検証を行うべきであると考える。

図 1

図 2

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参考文献

・“伝音機構と骨導に関する基礎的研究” 切替一郎 1957 年 60巻 12号 p1,786‐1,795

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka1947/60/12/60_12_1786/_article/-char/ja/

・“骨導聴覚の伝導経路に関する一考察” 神尾友彦

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka1947/71/8/71_8_1112/_pdf

・“骨伝導のしくみ”ゴールデンダンス株式会社

http://goldendance.co.jp/boneconduct/01.html

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本の雪崩を防ぐ

-日常生活のストレスを減らしたい-

吉村日菜子 野沢美波 臼井碧香

神奈川県立厚木高等学校 2年 H 組 8 班

Abstract

We want to reduce stress from avalanche of books and increase power of concentration.So we

researched how to range books and which shape of bookstands are strong. According to preceding

studies,we found the bookstand of shape of T is stronger than the one of shape of L,and the larger

the length of books are, the easier they collapse.And tendency of their bending is related to their

falling down.We thought that we can prevent avalanche of books by using a bookstand of shape of T.

And also we thought we can prevent the situation by arranging books at both ends of all books that

don’t bend.In our experiment we used a bookstand of shape of T, seventeen books and smartphones.

We researched tendency of their bending by using smartphones.According to the research, we

rearranged books.Next, from books’ length, we rearranged books.In all our experiment,we randomly

selected the book to pull up.It is an index how many books can be pulled up in a way of arranging.

Through the results,when hard books are placed at both sides of all the books.Lateral frictional force

of the book can influence them.At one side there is nearest the bookstand, a small book, and next to

it, a large book,each is placed, then they are most hard to falling down.

背景

本の雪崩が起きることによるストレスを軽減し勉強や仕事への集中力を高める。

目的

本の雪崩が起きない本の並べ方及びブックスタンドの形状を考え、最も崩れない本の並べ方を知る。

既知の知見及び先行研究

ブックスタンドは T字型と L字型があり、T字型のほうが本を強く支えることができる。本の縦の長さ

が長いほうが重心が高くなるので倒れやすい。本が倒れる要因の中には本を立てたときのしなりも関係

している。

仮説

ブックスタンドは T字型のものを使い、両端の本を低く、しならない硬い本にすると、本の雪崩は起き

にくい。

方法

1準備 机 教科書・参考書(日本史通覧、家庭科基礎、家庭科基礎学習ノート、アカデミア世界史、

要説世界史、POLESTAR English Communication、探究古典 B 古典編、新明説漢文、ニューグローバル、

新探究現代文 B、チャート式数学ⅡB、国語便覧、エクセル化学総合版、エクセル化学総合版 解答編、

新日本史資料集成、チャート数学ⅠA、ニューグローバル 解答編、計 17冊) ブックスタンド T字型

スマートフォン(ルーレットアプリ用)

2操作

それぞれ実験の並べ方で並んだ本をブックスタンドの方から 1~17の番号をつける(図 1参照)。スマー

トフォンのルーレットアプリを使用して1~17の出た番号に該当する本を抜いていく。ただし、本を一

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冊抜くごとに本の番号は付け直しとなる。何冊抜いた時点で本が雪崩を起こしたかについての計測を1

0回施行し、その平均値を出す。

〈図 1 本の番号のつけ方〉

実験を行った並べ方は以下のとおりである。

[実験1 本の高さ]

高さを考慮した3種類の実験を行った。

実験1① B低い本→高い本

実験1② B高い本→低い本

実験1③ B高い本低い本高い本低い本高い本.....低い本低い本低い本.....

[実験2 本の硬さ]

実験の結果において本のやわらかさ、硬さなどとの関連性を見つけるために、使う資料を「やわらかい

(S)」、「ふつう(O)」、「かたい(H)」に分類した。本の縦の長さから 7cm の場所に印をつけて印を机

の端にあわせる。できた本のしなりを()はかる。測定の結果しなりが 20°以上の本を「やわらかい

(S)」、しなりが 15°以上 20°未満の本を「ふつう(O)」、しなりが 15°未満の本を「かたい(H)」と分

類して以下の実験を行った。(図 2参照)

実験2①ブックスタンド(以下 Bとする)HOSOHOSOHOSOH....

実験2② BHHOOOOOOOSSSOOOOOOOOHH

実験2③ BHHOSOSOSOSOSOSOSOSOHH

〈図2 本のしなりの角度〉

[実験3 実験1、実験2を元により崩れない組み合わせを考えた]

実験3① 実験1②のニューグローバルをチャートⅡBに変える。

実験3② 実験3①を抽選で日本史通覧が出ても抜かないようにしながら同様に行う。

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実験3③ 実験3②を端を日本史通覧にして同様に行う。

実験3④ B低い本→高い本→国語便覧日本史通覧ニューグローバル

実験3⑤ B低い本→高い本→現代文家庭科基礎(茶色)古典

結果

《有効数字 2 桁 単位:冊》

実験1

①3.0 ②4.5 ③3.3

実験2

①3.7 ②5.3 ③5.7

実験3

①5.1 ②6.0 ③4.9 ④11 ⑤7.0

考察

実験 1の高さの実験では①より実験②のほうが数値が高かったのは、本を抜くことによってかかる重心

の位置がブックスタンド側の本を高いものにすることによって低くなり倒れにくくなったと考えられ

る。(図3参照)

<図3 高い本→低い本、低い本→高い本と置いたときの重心の比較 >

実験2のほんの硬さによる実験からは、①と②③で数値が大きく離れたことから端の本を固い本にする

ことによって雪崩がおきにくくなることがわかる。だが、②と③の間では結果に差がほとんど出なかっ

たため、端の本で以外での本の倒れ方と本の硬さの関係性は見受けられなかった。

実験3の①では実験1で最も結果が高かった②でブックスタンドと逆側の端においていた本であるニュ

ーグローバル回答編はやわらかい本であり、劣化によって不安定になって倒れる原因になっていたので

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同じ大きさで硬い本であるチャートⅡBを使うことにした。すると端の本が安定し、結果が伸びたと考

えられる。

次に、これまでの経過を観察して、日本史通覧を抜くと、本が倒れやすいということに気づいたので、

実験3の②以降は日本史通覧を固定し、ルーレットで当たったとしても抜かない実験を行うことにし

た。予想通り日本史通覧を抜かなかった場合の記録は安定した。これは日本史通覧の本の側面の摩擦が

大きいことが要因として考えられる。実験3②から日本史通覧を端に置くとより結果が伸びるのではな

いかと考察し、実験3③では日本史通覧を端において実験3②と同様に十回施行した。しかし、実験3

②より実験3③のほうが結果が低かった。ここから[低い、高い、低い]というほんの組み合わせがブッ

クスタンド側にあることが重要なのではないかと考え、実験7,8を行った。ブックスタンド側の本を

大、小、大で固定することにより本を抜いても安定したのは、ブックスタンドにかかる重心の当たる面

積が広がり、力が分散されることが要因である。(図5参照)

〈図 5 ブックスタンド側にある本〉

結論

ブックスタンドは T字型を使用し、[低い 高い 低い]の大きさの本をブックスタンド側に置いた後

(高い本は摩擦力の高い本だとなおよい)、高い本→低い本の順番で置くことで本を抜いた場合に本の

雪崩を防ぐことができる可能性が高い。

参考文献

「物理のかぎしっぽ」http://hooktail.org/misc/index.php?%C2%E5%BF%F4%B3%D8