アンモニア直接燃焼によるガスタービン システムの提 …2 combined cycle gas...

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低炭素社会の実現に向けた 技術および経済・社会の定量的シナリオに基づく イノベーション政策立案のための提案書 国立研究開発法人科学技術振興機構 低炭素社会戦略センター Proposal Paper for Policy Making and Governmental Action toward Low Carbon Societies アンモニア直接燃焼によるガスタービン システムの提言(Vol.2) Turbine System driven by Direct Combustion of Rich Ammonia (Vol.2): 令和 2 年 1 月 LCS-FY2019-PP-02

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低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づく

イノベーション政策立案のための提案書

国立研究開発法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センター

Proposal Paper for Policy Making and Governmental Actiontoward Low Carbon Societies

アンモニア直接燃焼によるガスタービンシステムの提言(Vol.2)

Turbine System driven by Direct Combustion of Rich Ammonia (Vol.2):

令和2年 1月

LCS-FY2019-PP-02

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低炭素社会実現に向けた政策立案のための提案書アンモニア直接燃焼によるガスタービンシステムの提言(Vol.2)令和2年 1月

低炭素社会実現に向けた政策立案のための提案書 アンモニア直接燃焼ガスタービンシステム(Vol.2) 令和 2 年 1 月

燃焼 ガスとして CO2を出さない アンモニアは、 化 に比して に する燃料の

比 が大きい。したがって、 アンモニアは の 流体として を するタービン

評価法が 用できない。この を するために、ガスタービンシステムの新しい

法を開発した。この方法では、化学 化を 多成 流体に して エ ル ー 化法によ

る化学平 計 を い、 過程、燃焼過程、 よ タービンに ける 過程のエンタル ー

化に基 いて出力と を評価する。 この新しい方法を用いて、2018 年 12 月に提案したアンモニア過剰燃焼タービンによるコンバ

インドサイクルの出力と を評価した。アンモニア過剰燃焼タービンにより NO 燃焼が可

能であり、燃焼 ガス の を 燃焼さ るコンバインドサイクルにより 燃焼 のシステ

ムが 可能であることが された。た し、 開発した方法と比べて、 年度用いた

法による出力の計 値は過 評価されていることが かった。アンモニアを燃料とした 、

タービンの 度を 2,000 K、 力比の を 25 とすると、 ガス 0.6、 比 1.1 の

時にコンバインドサイクルの 60 を 成できることが かった。 比 のために、 の燃料過剰燃焼タービンシステムに いて 検討した。 の 燃料

過剰燃焼により NO を実現できるが、 を ガスによる めて多 な ガス

(Exhaust gas recirculation, EGR)が必要であること、 よ 燃焼 が なることから、アンモ

ニア専焼タービンに する 性は められなかった。

S u m m a r y The conventional method for evaluating the power and thermal efficiency of a gas turbine system often assumes that the working fluid is air. This is due to the very low fuel to air ratio of hydrocarbon fuels. However, the fuel to air ratios of H2 and NH3 are larger than those of conventional hydrocarbon fuels. Therefore, the applicability of the assumption of air as the working fluid for H2 or NH3 is questionable. We developed a new scheme based on the Gibbs free energy minimization for all the processes involved in the gas turbine system. The output power and thermal efficiency are evaluated based on the enthalpy changes of the multi-component working fluid using chemical reactions. The new scheme was applied to validate the concept proposed in our previous LCS report (LCS-FY2018-PP-03) in which we proposed the concept of a fuel-rich NH3 combined cycle turbine system. In this study, it was confirmed that a very low NO emission and highly efficient gas turbine system could be developed by the fuel-rich combustion of NH3. Moreover, it was identified that exhaust gas recirculation (EGR) was essential to reduce the turbine inlet temperature below the heat-resistant temperature of the system. Furthermore, the output power of the system was largely underestimated by the conventional method used in our previous report. With a value of 2000 K for the heat-resistant temperature of the turbine and the upper limit of the pressure ratio 25 of the compressor and turbine, the thermal efficiency of the combined cycle was identified to be 0.6 with equivalence and EGR ratios of 1.1 and 0.6, respectively. H2 combined cycle gas turbine processes that operated in fuel-rich conditions were also studied. The fuel-rich H2 combustion resulted in very low NO emission. Very high EGR ratios for H2 combustion with high equivalence ratios were required to maintain the turbine inlet temperature below 2000 K. Because of these high EGR ratios and high equivalence ratios, the conclusion was reached that the thermal efficiency of the H2 combined cycle was lower than that of the NH3 fuel-rich combined cycle.

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低炭素社会実現に向けた政策立案のための提案書アンモニア直接燃焼によるガスタービンシステムの提言(Vol.2)令和2年 1月

低炭素社会実現に向けた政策立案のための提案書 アンモニア直接燃焼ガスタービンシステム(Vol.2) 令和 2 年 1 月

1. は めに ................................................................................................................................................. 1 2. アンモニア過剰燃焼コンバインドサイクルシステムと計 方法 ................................................... 2

2.1 コンバインドサイクルシステムの 成 ........................................................................................ 2 2.2 化学平 計 .................................................................................................................................. 5 2.3 タービン出力と の計 ....................................................................................................... 7

3. 結果 よ ..................................................................................................................................... 8 3.1 コンバインドサイクルの 過程の と化学 成の計 ................................................. 8 3.2 法によるガスタービンの出力評価法との比 .................................................................. 10 3.3 力比= 25 としたときのコンバインドサイクルの出力と ........................................... 11 3.4 出力と の 化と コンバインドサイクルとの比 ............................................... 15

4. 結 ...................................................................................................................................................... 17 5. 政策立案のための提案 ....................................................................................................................... 18 参 ................................................................................................................................................... 18

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低炭素社会実現に向けた政策立案のための提案書 アンモニア直接燃焼ガスタービンシステム(Vol.2) 令和 2 年 1 月

低炭素社会実現に向けた政策立案のための提案書 アンモニア直接燃焼ガスタービンシステム(Vol.2) 令和 2 年 1 月

1

1 . めに

年、アンモニアはエ ル ー リアとしての なら 、発電用大 ガスタービン燃料とし

て 大きな を めている[1]。アンモニアは に比してエ ル ー密度が 、 た 化し

すいのでエ ル ー リアとして れているが、 方で しに 、燃焼速度が遅い、な

ど燃料として 用しに い がある。 た、 のガスタービン燃焼のよ な 過剰燃焼では

めて多 の NO が 成される。こ したアンモニア燃焼の 点が でき、発電用大 ガス

タービンを ー ンフリーアンモニア専焼で できればCO2ゼロエミッション 会実現に け

た重要なブレークスルー技術となり る。このよ な 点から、 会 ンター(LCS)ではアンモニア専焼ガスタービンの実現可能性の検討を進めて り、アンモニア燃焼の化学 応

的な [2]に基 いて、 年度の政策提案書[3]で「アンモニア過剰燃焼によるガスタービン」

とい 新しいコン プトを提案した。 アンモニア過剰の(すなわ 比 1)が 1 以 の)燃焼に いては、 成する NO は NH よ

NH2 ジ ルとの 応により N2 に され、燃焼 ガス には NO は と ど れない。

た、燃料が過剰であるために 化され に ったアンモニアは して N2 と H2 となる[2]。この燃焼 ガス の H2 をコンバインドサイクルのスチームタービン 用燃料として 用する

ことにより、さらに な発電システムが できる。た し、 比が大き なるとタービ

ン 度( 燃焼器出 度)がタービンブレードの 度以 になってし 。2018 年 12月に LCS が提案したシステムでは、この を ガス (Exhaust Gas Recirculation, EGR)に

より した。すなわ 、アンモニア過剰燃焼コンバインドシステムの 的な ガスは N2 と

H2O の となるため、 を ない ガス(N2)を用いた EGR により、 比を えることな

燃焼 度をタービンブレードの 度以下とすることが可能となる[3]。 化 を燃料とするガスタービンは 過剰 で されている。 化 燃焼では、

燃料/ 比が さい。 えば化学 燃焼の 、 に して タンは 0.5 で、プロパンで

は 0.2 である。 過剰下では に する燃料 はさらに ない。このために、ガスタービ

ンの出力 の評価に いては、 流体を と なす方法が 的であった。しかしな

がら、H2 NH3 を燃料とする には が なる。H2 の 、化学 燃焼では に し

て 2 、NH3では 1.5 の燃料が必要で、燃料 は に して できない。このよ な燃料、

あるいは 比が大きい( 燃比が さい) に しては、 流体を とする な方法

の 性は必 し らかでない。さらに、 化 燃料では、燃料過剰のガスタービンはこれ

でに検討されていない。これは燃料過剰下では が 成するためである。 方で、H2 NH3を

燃料とする には 成の はないが、これ で燃料過剰 でのガスタービンが検討され

た はない。これは、 的には燃料過剰 では が 下し、燃費が なるからである。

しかしながら、燃料過剰 では 化 が するので、 の N2 化されに 、Thermal NO の 成が な なると される。現 検討されている H2、NH3ガスタービンは 過剰

での が されていて、多 の NO 成が となっている。H2、NH3を燃料とするガス

タービンに いては、燃料過剰燃焼 に いて 的な検討が必要である。

1) 比 ( 燃焼に必要な のモル数)/(実 の が のモル数) ( 燃焼に必要な燃料

のモル数)/(実 の 比が 燃料のモル数)

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低炭素社会実現に向けた政策立案のための提案書 アンモニア直接燃焼ガスタービンシステム(Vol.2) 令和 2 年 1 月

2

タービンの は、 流体を(比 の) とし、燃焼器に ける発 は 発

(LHV)2)に基 いて評価するのが 的である[4,5]。 この方法は、 の 過剰燃焼タービンの には大きな は ないが、燃料過剰

では 応 が過大評価される。実 の燃焼では H2O、N2、( 化 燃料では CO2)以 の ジ

ル NO などの燃焼 成物が 成するので、発 は LHV より さ なる。特にここでの検討

のよ に 流体 の燃料比 が大きい には LHV に基 き燃焼 度を評価すると 度が

なりす る。これを けるために、 年度の政策提案書では燃焼器に ける発 は化学平 計

により めた。これにより燃料過剰 で 発 はより に められるが、 流体は

であると していた。 年度はこの方法をさらに発 さ て、タービンサイクル(Brayton Cycle)の ての過程(コ

ンプレッサー、燃焼器、タービン)に して ブス エ ル ーを 化することにより化学

成とエンタル ーなどの を める方法を用いた。この方法では 流体を と す

る必要はな 、燃料と の多成 流体の 力学 が ての過程で厳密な 力学に基 いて

評価されるため、より な が評価できる。この方法を用いたコンバインドサイクルの新

規 プロ ムを開発した。これを用いて 年度提案したシステムの出力と を 評価し、

の方法[5,6]の H2 よ NH3 過剰 の 用の 性を検証した。さらにこれ でに検討

されていない の燃料過剰 でのガスタービンシステムによるコンバインンドサイクルに

いて 検討し、アンモニア過剰燃焼コンバインドサイクルとの比 を った。

2 . アンモニア 燃焼 ン ン システム

2.1 ン ン システムの 検討するコンバインドサイクルの 要を 1 に示す。コンバインドサイクルはガスタービンシ

ステム(Brayton Cycle)で 成される U pper Cycle と タービンシステム(Rankin Cycle)で 成される Bottom Cycle の に けられる。

2) 発 (LHV, Lower Heating Value)= (298 K, 1 bar)に ける 応 の発 で、 成する

が 体の を 発 とい 。アンモニアの は、 応 NH3+ 0.75O2= 0.5N2+ 1.5H2O の 応 で、382 kJ/mol である。

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低炭素社会実現に向けた政策立案のための提案書 アンモニア直接燃焼ガスタービンシステム(Vol.2) 令和 2 年 1 月

2

タービンの は、 流体を(比 の) とし、燃焼器に ける発 は 発

(LHV)2)に基 いて評価するのが 的である[4,5]。 この方法は、 の 過剰燃焼タービンの には大きな は ないが、燃料過剰

では 応 が過大評価される。実 の燃焼では H2O、N2、( 化 燃料では CO2)以 の ジ

ル NO などの燃焼 成物が 成するので、発 は LHV より さ なる。特にここでの検討

のよ に 流体 の燃料比 が大きい には LHV に基 き燃焼 度を評価すると 度が

なりす る。これを けるために、 年度の政策提案書では燃焼器に ける発 は化学平 計

により めた。これにより燃料過剰 で 発 はより に められるが、 流体は

であると していた。 年度はこの方法をさらに発 さ て、タービンサイクル(Brayton Cycle)の ての過程(コ

ンプレッサー、燃焼器、タービン)に して ブス エ ル ーを 化することにより化学

成とエンタル ーなどの を める方法を用いた。この方法では 流体を と す

る必要はな 、燃料と の多成 流体の 力学 が ての過程で厳密な 力学に基 いて

評価されるため、より な が評価できる。この方法を用いたコンバインドサイクルの新

規 プロ ムを開発した。これを用いて 年度提案したシステムの出力と を 評価し、

の方法[5,6]の H2 よ NH3 過剰 の 用の 性を検証した。さらにこれ でに検討

されていない の燃料過剰 でのガスタービンシステムによるコンバインンドサイクルに

いて 検討し、アンモニア過剰燃焼コンバインドサイクルとの比 を った。

2 . アンモニア 燃焼 ン ン システム

2.1 ン ン システムの 検討するコンバインドサイクルの 要を 1 に示す。コンバインドサイクルはガスタービンシ

ステム(Brayton Cycle)で 成される U pper Cycle と タービンシステム(Rankin Cycle)で 成される Bottom Cycle の に けられる。

2) 発 (LHV, Lower Heating Value)= (298 K, 1 bar)に ける 応 の発 で、 成する

が 体の を 発 とい 。アンモニアの は、 応 NH3+ 0.75O2= 0.5N2+ 1.5H2O の 応 で、382 kJ/mol である。

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3

Ex h a u s t

Air

15 

N 2, H 2O 4’

F u e l ( N H 3 )

2s

22' 3

4s

4

EGR( N 2) Air6

789

B o t t o m C y c l e(Ra n k i n C y c l e )

U p p e r C y c l e( B r a y t o n C y c l e )

C o m b u s t o r

Ga sTu r b i n e

S t e a mTu r b i n e

N 2, H 2, H 2O

B o i l e r

H 2O

C o m p r e s s o r

1 アンモニア 燃焼 ン ン システムの

( ) U pper Cycle 大 (P 1 = 1 bar)の と、EGR ガスを 器 1 により する。 の では、 イ

ー ガス(N2と H2O)の をコン ンサーに して H2O を し、N2の で EGR をかけると

した。(H2O を ガスにより EGR をかけること 可能である。H2O を ガスの方が

N2 の より比 が大きいため 度を 下さ る 果は大きいが、 が となる可能性があ

る。)EGR は、 1 のガス の EGR ガスのモル で した。 1 の 力は 1 bar である。この ガスをコンプレッサーにより する。この 過程は 過程( エント

ロ ー )1= > 2s とコンプレッサーの などの 過程を するための 力 の

過程 2s= > 2 とに けて えることができる。 の 度、エンタル ーなどの は、

の 力が されればエントロ ーS と 力 P を した化学平 計 により めること

ができる。た し、コンプレッサーの 流体が と の であるため、コンプレッサー

のガス 成は であるとした。コンプレッサーの 力比を P 2 1 とすると、 𝑠𝑠𝑠𝑠 = × であり、

た P 2 = P 2 s である。 2 の 度𝑇𝑇𝑇𝑇 は、コンプレッサーの を 𝑐𝑐𝑐𝑐として から めら

れる。 は 的な値として 0.85 とした。

𝑐𝑐𝑐𝑐 = (1)

の 2 のエンタル ー、エントロ ーなどの 力学 は、 度 T2 と 力 P 2

を した化学平 計 により められる。 コンプレッサーにより されたガスは、 器で燃料(NH3)と され、 2'になる。

される燃料はすでに 度 T2 と 力 P 2 の に加 、 されていると した。 2'の燃料は ・ で燃焼する。燃焼 の 3 のガス 成 よ 度、エントロ ー

などの は 力 P よ エンタル ーh が された化学平 計 により めることができ

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4

る。 ・ の燃焼であるので エンタル ー燃焼となり、燃焼器 と燃焼器出 のエンタ

ル ーは しい(ℎ = ℎ )。 を 流体と した なタービン 計 に いては、

流体の 成は 化しないので、 (sensible enthalpy)の 化の から燃焼 度と を計

するが、本方法は chemical enthalpy と sensible enthalpy の 方を してエンタル ー を計

するより厳密な 化となって り、 の方法とはこの点で なる。 3 の燃焼ガスによりタービンを する。タービン コンプレッサーと に、 エント

ロ ー( ) と、 などによる の 過程に けて える。3= > 4s の過程は

エントロ ー であり、 4s の化学 成 よ 、 度、エンタル ーなどの は 力

P 4 s = 1 bar とエントロ ーを した化学平 計 により めることができる。コンプレッサーの

とは なり、タービン 度(T3)が OH などの ジ ル NO などの燃焼 成物が

タービンに流 するために、タービン での化学 成 化 する必要がある。 過程

による 度 T4 はタービンの ηtから められる。

= (2)

タービン の値は 0.8 とした。 た P 4 = P 4 s = 1 bar である。 タービンからの の ガスは Bottom Cycle の タービンシステムの 流体( )

と を 。ガスタービンの燃料の 比が 1 より大きい には、タービン ガスに H2が

れている。この ガス の H2 のモル が 0.01 より大きい には、この ガスと と

の 比が 1 になる の の を する。 器出 4'では 体のエンタル ーが

であるので( と ガスは 理 体であると しているので )、このエンタル

ーの値から の 度を めることができる。 このモル 1% 以 の を ガスは イ ーで 燃焼するが、燃焼 度と

ガス 成、 は平 計 により評価する。 の イ ー出 度 T5 は 400 K とする。 に、 力学 ( 度 T、体 V、 力 P、 エ ル ーU 、エンタル ーH、エント

ロ ーS)の の の を すれば の (化学 成 他の )は る。 1 の

U pper Cycle に いて、 過程の と を めるために必要な を 1 に とめた。

1 U p p e r C y c l e ( B r a y t o n C y c l e )

1 = > 2 s c o m p r e s s o r P 1 = 1 b a r , P 2 s = r P 1 P , S 2 s = > 2 n o n - i s e n t r o p i c T 2 = T 1 + ( T 2 s - T 1 ) / C P , T 2 = > 2 ' m i x e r i d e a l m i x i n g 2 ' = > 3 c o m b u s t o r P 2 ' = P 3 P , H 3 = > 4 s g a s t u r b i n e P 4 s = 1 b a r P , S 4 s = > 4 n o n - i s e n t r o p i c T 4 = T 3 + ( T 4 s - T 3 ) t P , T 4 = > 4 ' m i x e r i d e a l m i x i n g 4 ' = > 5 b o i l e r P 4 ' = P 5 P , H

( )Bottom Cycle コンバインドサイクルの トムサイクルとして、 を 流体とするスチームタービン

を える。ここでは、600 25 MPa の U SC(U ltra Supercritical)スチームタービンを した。

イ ーに ける U pper Cycle との により、 流体は 1 の 6 の に加 される。こ

の流体をスチームタービンで エントロ ー( ) さ て を り出す。タービン出

では 力は 250 bar から 0.05 bar で 下した ( 7)となるが、この はコン ンサー

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る。 ・ の燃焼であるので エンタル ー燃焼となり、燃焼器 と燃焼器出 のエンタ

ル ーは しい(ℎ = ℎ )。 を 流体と した なタービン 計 に いては、

流体の 成は 化しないので、 (sensible enthalpy)の 化の から燃焼 度と を計

するが、本方法は chemical enthalpy と sensible enthalpy の 方を してエンタル ー を計

するより厳密な 化となって り、 の方法とはこの点で なる。 3 の燃焼ガスによりタービンを する。タービン コンプレッサーと に、 エント

ロ ー( ) と、 などによる の 過程に けて える。3= > 4s の過程は

エントロ ー であり、 4s の化学 成 よ 、 度、エンタル ーなどの は 力

P 4 s = 1 bar とエントロ ーを した化学平 計 により めることができる。コンプレッサーの

とは なり、タービン 度(T3)が OH などの ジ ル NO などの燃焼 成物が

タービンに流 するために、タービン での化学 成 化 する必要がある。 過程

による 度 T4 はタービンの ηtから められる。

= (2)

タービン の値は 0.8 とした。 た P 4 = P 4 s = 1 bar である。 タービンからの の ガスは Bottom Cycle の タービンシステムの 流体( )

と を 。ガスタービンの燃料の 比が 1 より大きい には、タービン ガスに H2が

れている。この ガス の H2 のモル が 0.01 より大きい には、この ガスと と

の 比が 1 になる の の を する。 器出 4'では 体のエンタル ーが

であるので( と ガスは 理 体であると しているので )、このエンタル

ーの値から の 度を めることができる。 このモル 1% 以 の を ガスは イ ーで 燃焼するが、燃焼 度と

ガス 成、 は平 計 により評価する。 の イ ー出 度 T5 は 400 K とする。 に、 力学 ( 度 T、体 V、 力 P、 エ ル ーU 、エンタル ーH、エント

ロ ーS)の の の を すれば の (化学 成 他の )は る。 1 の

U pper Cycle に いて、 過程の と を めるために必要な を 1 に とめた。

1 U p p e r C y c l e ( B r a y t o n C y c l e )

1 = > 2 s c o m p r e s s o r P 1 = 1 b a r , P 2 s = r P 1 P , S 2 s = > 2 n o n - i s e n t r o p i c T 2 = T 1 + ( T 2 s - T 1 ) / C P , T 2 = > 2 ' m i x e r i d e a l m i x i n g 2 ' = > 3 c o m b u s t o r P 2 ' = P 3 P , H 3 = > 4 s g a s t u r b i n e P 4 s = 1 b a r P , S 4 s = > 4 n o n - i s e n t r o p i c T 4 = T 3 + ( T 4 s - T 3 ) t P , T 4 = > 4 ' m i x e r i d e a l m i x i n g 4 ' = > 5 b o i l e r P 4 ' = P 5 P , H

( )Bottom Cycle コンバインドサイクルの トムサイクルとして、 を 流体とするスチームタービン

を える。ここでは、600 25 MPa の U SC(U ltra Supercritical)スチームタービンを した。

イ ーに ける U pper Cycle との により、 流体は 1 の 6 の に加 される。こ

の流体をスチームタービンで エントロ ー( ) さ て を り出す。タービン出

では 力は 250 bar から 0.05 bar で 下した ( 7)となるが、この はコン ンサー

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で ・ して 化する( 8)。 ンプにより 250 bar の で ( 9)された は イ ーでの で 6 に る。 過程の を し、P 6 = 250 bar、T6 = 600= 873.15 K、P 7 = 0.05 bar とすると、 の 度、 力、エンタル ー、エントロ ーは NIST ス

チームテーブル[6]に基 いて計 できる。 に ける を 2 に示す。

2 B o t t o m C y c l e ( U S C S t e a m C y c l e ) s t a t e T [ K ] P [ b a r ] h [ k J / k g ] s [ k J / k g K ]

6 8 7 3 .1 5 2 5 0 3 , 4 9 3 .5 6 .3 6 4 7 3 0 6 .0 3 0 .0 5 1 , 9 3 8 6 .3 6 4 8 3 0 6 .0 3 0 .0 5 1 3 7 .8 0 .4 7 6 9 3 0 6 .7 9 2 5 0 1 6 3 .3 0 .4 7 6

2.2 で べたよ に、新規に提案する方法ではガスタービンサイクルの化学平 計 が必要と

なる。化学平 は の の を すれば る。 1 に示すよ にガスタービンサ

イクルでは 力 P と、 と の としてエンタル ーh 、エントロ ーs 、あるいは 度

T の の を した平 計 が必要である。平 の化学 成と は ブス エ

ル ーの 値( 値)を めることによって することができる。Gordon と McBride[7]によって提案された方法にしたがって平 計 を実施し、 1 のコンバインドサイクルの と

タービン出力を計 するプロ ムを 成した。ここでは用いた平 計 の方法[7]の を べ

る。 ガスタービンサイクルの 流体が N の化学 から 成されるとし、 化学 の 重

たりのモル数を n j 、 モル数を n [kmol/kg]とする。 = ( = 1, , ) (3)

た、 に れる の数を L とし、化学 j の i(i = 1,… ..,L)の数を a i j とする。 に

れる i の のモル数を b i , た の 値を b i0 とすると、化学 応によって の数は

わらないので、 の の が成り立 。 = = ( = 1, , ) (4)

体の ブスエ ル ーg [kmol/kg]は化学 j の化学 テンシ ルを j とすると = (5)

である。ここで化学 テンシ ルは で えられる。

=𝑛𝑛𝑛𝑛 , ,𝑛𝑛𝑛𝑛

= + 𝑇𝑇𝑇𝑇ln 𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛

+ 𝑇𝑇𝑇𝑇ln (6)

(5) の ブスエ ル ーが になる を (4)の とで めるために、Lagrange の数法を用いる。すなわ 数を i(i = 1,… .,L)として、Lagrange 数 G の 値を める。

, = + ( ) (7)

(7) の が 値ではゼロになるから

= + + = 0 (8)

(8) より

+ ln 𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛

+ ln + = 0 ( = 1, , ) (9)

= 0 ( = 1, , ) (10)

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低炭素社会実現に向けた政策立案のための提案書アンモニア直接燃焼によるガスタービンシステムの提言(Vol.2)令和2年 1月

低炭素社会実現に向けた政策立案のための提案書 アンモニア直接燃焼ガスタービンシステム(Vol.2) 令和 2 年 1 月

6

を得る。(9) よ (10) は n j と 数 i を 数とする 方程 であるが、これらを

された の とで けば平 の化学 の 成 n j が得られる。 度 T0 よ 力 P 0 が

されたときの は

𝑇𝑇𝑇𝑇 = 𝑇𝑇𝑇𝑇 , = (11)

力とエンタル ーが された の は ℎ = = ℎ , = (12)

H j0 は化学 のモル エンタル ーである。 力とエントロ ーが された は

= = , = (13)

= ln 𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛

ln (14)

が となる。S j0 は化学 のモル エントロ ーである。

(11)、(12)、(13) のい れかの の下で、 方程 (9)、(10)を Newton-Rapson 法により

が、 性が いため、∆ ( = 1, , ),∆ ln , = 𝑇𝑇𝑇𝑇 ,∆ln𝑇𝑇𝑇𝑇を り し計 の 数と

して用いる。 出過程は するが、以下の Newton-Rapson 法のための が得られる[7]。

+ ∆ ln +𝑛𝑛𝑛𝑛

∆ ln𝑇𝑇𝑇𝑇 = + 𝑛𝑛𝑛𝑛

( = 1, , L) (15)

+ ∆ ln +𝑛𝑛𝑛𝑛

∆ ln𝑇𝑇𝑇𝑇 = + 𝑛𝑛𝑛𝑛 (16)

𝑛𝑛𝑛𝑛+

𝑛𝑛𝑛𝑛∆ ln +

𝑛𝑛𝑛𝑛 , +𝑛𝑛𝑛𝑛

∆ ln𝑇𝑇𝑇𝑇

= ℎ ℎ +𝑛𝑛𝑛𝑛

(17)

𝑛𝑛𝑛𝑛 + 𝑛𝑛𝑛𝑛 ∆ ln +𝑛𝑛𝑛𝑛

∆ ln𝑇𝑇𝑇𝑇

= 𝑠𝑠𝑠𝑠 𝑠𝑠𝑠𝑠 + + 𝑛𝑛𝑛𝑛 (18)

度と 力が された ( (11))は (15)と(16)を用いて 計 を い、 力とエン

タル ーが された ( (12))は(15)、(16)、(17) を用い、 力とエントロ ーが えら

れた は(15)、(16)、(18) を用いて な 値を えて り し計 を 。 これらの計 を に必要な、化学 j のモル 比 、モル エンタル ー、モル

エントロ ーは 度の多 として のよ に えられている(NASA の )[7,8]。

, = , + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 (19)

= , + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , (20)

= , ln𝑇𝑇𝑇𝑇 + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , (21)

a 1 - a 7 の 化学 に いての 度 数の値は ANSYS Chemkin の ータベースの値[8]を用いた。

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6

を得る。(9) よ (10) は n j と 数 i を 数とする 方程 であるが、これらを

された の とで けば平 の化学 の 成 n j が得られる。 度 T0 よ 力 P 0 が

されたときの は

𝑇𝑇𝑇𝑇 = 𝑇𝑇𝑇𝑇 , = (11)

力とエンタル ーが された の は ℎ = = ℎ , = (12)

H j0 は化学 のモル エンタル ーである。 力とエントロ ーが された は

= = , = (13)

= ln 𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛𝑛

ln (14)

が となる。S j0 は化学 のモル エントロ ーである。

(11)、(12)、(13) のい れかの の下で、 方程 (9)、(10)を Newton-Rapson 法により

が、 性が いため、∆ ( = 1, , ),∆ ln , = 𝑇𝑇𝑇𝑇 ,∆ln𝑇𝑇𝑇𝑇を り し計 の 数と

して用いる。 出過程は するが、以下の Newton-Rapson 法のための が得られる[7]。

+ ∆ ln +𝑛𝑛𝑛𝑛

∆ ln𝑇𝑇𝑇𝑇 = + 𝑛𝑛𝑛𝑛

( = 1, , L) (15)

+ ∆ ln +𝑛𝑛𝑛𝑛

∆ ln𝑇𝑇𝑇𝑇 = + 𝑛𝑛𝑛𝑛 (16)

𝑛𝑛𝑛𝑛+

𝑛𝑛𝑛𝑛∆ ln +

𝑛𝑛𝑛𝑛 , +𝑛𝑛𝑛𝑛

∆ ln𝑇𝑇𝑇𝑇

= ℎ ℎ +𝑛𝑛𝑛𝑛

(17)

𝑛𝑛𝑛𝑛 + 𝑛𝑛𝑛𝑛 ∆ ln +𝑛𝑛𝑛𝑛

∆ ln𝑇𝑇𝑇𝑇

= 𝑠𝑠𝑠𝑠 𝑠𝑠𝑠𝑠 + + 𝑛𝑛𝑛𝑛 (18)

度と 力が された ( (11))は (15)と(16)を用いて 計 を い、 力とエン

タル ーが された ( (12))は(15)、(16)、(17) を用い、 力とエントロ ーが えら

れた は(15)、(16)、(18) を用いて な 値を えて り し計 を 。 これらの計 を に必要な、化学 j のモル 比 、モル エンタル ー、モル

エントロ ーは 度の多 として のよ に えられている(NASA の )[7,8]。

, = , + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 (19)

= , + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , (20)

= , ln𝑇𝑇𝑇𝑇 + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , (21)

a 1 - a 7 の 化学 に いての 度 数の値は ANSYS Chemkin の ータベースの値[8]を用いた。

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7

2.3 タービン の ( )ガスタービン(Brayton Cycle)の出力と [9]

1 の k に ける 流体の 重 たりのエンタル ーh k [kJ/kg]は (sensible enthalpy)と化学エンタル ー(chemical enthalpy)の として以下の で される。

ℎ = ℎ𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑛𝑛𝑛𝑛𝑠𝑠𝑠𝑠, + ℎ𝑐𝑐𝑐𝑐ℎ𝑠𝑠𝑠𝑠𝑒𝑒𝑒𝑒, = ,, 𝐶𝐶𝐶𝐶𝑝𝑝𝑝𝑝, (𝑇𝑇𝑇𝑇) 𝑇𝑇𝑇𝑇 + , ∆ , (22)

x k , j は k に ける化学 のモル 、WM k は平 (WM k [kmol/kg]= 1/n)である。

た、化学 の 成エンタル ー∆ , は、NASA の ( (20))では 度𝑇𝑇𝑇𝑇 =273.15 に けるエンタル ーと しい。したがって ∆ , = (293.15 ) (23)

である。燃焼器の燃焼によってガスタービンサイクルに 力される q i n [kJ/kg] は 3 と 2'の の であるから 𝑛𝑛𝑛𝑛 = ℎ𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑛𝑛𝑛𝑛𝑠𝑠𝑠𝑠, ℎ𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑛𝑛𝑛𝑛𝑠𝑠𝑠𝑠, (24)

コンプレッサーに してなされた は( めて) 𝑐𝑐𝑐𝑐 = (1 𝑠𝑠𝑠𝑠 ) × (ℎ ℎ ) (25)

である。Y f u e l は 2'に ける燃料の (= Y N H 3)である。タービンがなした は

= ℎ ℎ (26)

であるから、 のガスタービンの は = 𝑐𝑐𝑐𝑐 (27)

である。ガスタービンの はしたがって

= (28)

となる。 ( )スチームタービン(Rankin Cycle)の出力と スチームタービンの のエンタル ーは 2 に とめられている。この から

スチームタービンがなした は

𝑠𝑠𝑠𝑠 = ℎ ℎ = 1555.5 [kJ/kg-water] (29)

ンプでの は

𝑝𝑝𝑝𝑝 = ℎ ℎ = 25.52 [kJ/kg-water] (30)

イ ーでの によってこのサイクルに 力された は

𝑛𝑛𝑛𝑛,𝑠𝑠𝑠𝑠 = ℎ ℎ = 3330.2 [kJ/kg-water] (31)

したがって、 は

𝑠𝑠𝑠𝑠 =,

= 0.459 (32)

である。 ( )コンバインドサイクル 体の出力と ガスタービン 流 を m gt、スチームタービンの 流 を m s t [kg/s]とする。 た イ ーで

の の を ηh とする。ここでは ηh の 的な値として 0.75 を用いた。 イ ーでの バ

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8

ンスから ℎ (ℎ ℎ ) = 𝑠𝑠𝑠𝑠 (ℎ ℎ ) (33)

ガスタービンシステムとスチームタービンシステムでは 流体が なるため、コンバインドサ

イクル 体の は たりの出力では でき 、 時間 たりの出力を えなければ

ならない。ガスタービンシステムの 時間 たりの出力は

𝑠𝑠𝑠𝑠 = [kJ/s] (34)

スチームタービンの 時間 たりの出力は

𝑠𝑠𝑠𝑠 = 𝑠𝑠𝑠𝑠 𝑠𝑠𝑠𝑠 [kJ/s] (35)

である。コンバインドシステムに する 時間の 力は、燃焼器に ける 力と イ ー

での 力の になる。燃焼器に ける 時間 たりの 力は

𝑛𝑛𝑛𝑛,𝑐𝑐𝑐𝑐 𝑒𝑒𝑒𝑒 = 𝑛𝑛𝑛𝑛 = (ℎ𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑛𝑛𝑛𝑛𝑠𝑠𝑠𝑠, ℎ𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑛𝑛𝑛𝑛𝑠𝑠𝑠𝑠, ) [kJ/s] (36)

イ ーでのシステムに する 力は

𝑛𝑛𝑛𝑛, 𝑠𝑠𝑠𝑠 = (ℎ𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑛𝑛𝑛𝑛𝑠𝑠𝑠𝑠, ℎ𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑛𝑛𝑛𝑛𝑠𝑠𝑠𝑠, ) [kJ/s] (37)

である。ここで m 4 'は 4'に ける 流 で、m gt と ガス の H2 を 比で 燃焼さ

るために加えた の 流 の である。h s e n s , 4 " は イ ーで H2 を なしに燃焼さ たと

きの である。( ガス の H2 が 1% 以下であるときは イ ーでの燃焼はないのでℎ𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑛𝑛𝑛𝑛𝑠𝑠𝑠𝑠. =ℎ𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑛𝑛𝑛𝑛𝑠𝑠𝑠𝑠, である。)コンバインドサイクル 体の は

=, ,

(38)

で えられる。 以下の計 では て = 300 [kg/s]とした。

3 . 考

3 .1 ン ン の の の に べた方法により、 1 のコンバインドサイクルの出力と を計 するプロ ム

を 成した。このプロ ムにより計 した、ガスタービンサイクル(U pper Cycle)の (

1 の 1 から 5)の の を 3 に示す。 3 は 力比 25 で、EGR を 0.4、 比 1.2 とした の計 である。 力以 の

数( 2 参 )を で示してある。1 の からは めて、1= > 2s はコンプレッサーでの

エントロ ー ( )過程である。 2 は (1)のコンプレッサーの比 によ

り る 度 よ 力を した平 計 によりエンタル ーとエントロ ーが る。

2’ では燃料(NH3)とコンプレッサーからの された 体の によりエンタル ー、エントロ

ーが 化する。2’ = > 3 は 力 、 エンタル ー( )燃焼過程である。 エンタル ーは

であるが、sensible enthalpy h s は大き なっている。この h s の 化は、燃焼による chemical enthalpy 化と り っている。燃焼平 度( タービン 度)はこの 、2,052 K であ

る。3= > 4s はタービンに ける エントロ ー( ) 過程で、 力は 1 bar で 下する。

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9

3 の ( = 2 5 = 1 .2 E G R = 0 .4 )

s t a t e T ( K ) P ( b a r ) h ( k J / k g ) hs ( k J / k g ) s ( k J / k g - K )

1 I n l e t 2 9 8 .1 5 1 0 .0 4 0 6 .8 9

2 s I s e n t r o p i c C o m p r e s s i o n 7 3 0 .6 2 5 4 5 3 .6 4 5 3 .6 6 .8 9

2 N o n - i s e n t r o p i c 8 0 6 .9 2 5 5 3 7 .7 5 3 7 .6 7

2 ' F u e l M i x i n g 8 0 6 .9 2 5 2 9 6 .4 6 3 3 .5 7 .8

3 A d i a b a t i c C o m b u s t i o n 2 , 0 5 2 .3 2 5 2 9 6 .4 2 , 5 1 4 .2 4 9 .4 4

4 s I s e n t r o p i c E x p a n s i o n 9 9 8 .2 1 - 1 , 3 0 8 .7 9 1 0 .7 9 .4 4

4 N o n - i s e n t r o p i c 1 , 2 0 9 .4 1 - 1 , 0 0 6 .3 1 , 2 1 3 .2 9 .7 2

4 ' A i r M i x i n g 1 , 1 1 9 .8 1 - 9 0 8 .7 1 , 0 6 2 .4 9 .4 8

4 " A d i a b a t i c C o m b u s t i o n 1 , 4 0 2 .1 1 - 9 0 8 .7 1 , 4 5 6 .2 9 .6 4

5 B o i l e r o u t l e t 4 0 0 1 - 2 , 2 4 3 .9 7 1 2 1 .2 6 8 .0 1

4s= > 4 は (2)のタービンの による 度 化の過程で、 度と 力を した平 計

により 数が計 される。 4’ は、 燃の を燃焼さ るための 加の の 過

程である。タービンからの ガス の が 1% 以下の時には イ ーで燃焼は しで、

と トムサイクルのスチームとの の が われる。4’ = > 4”は 加の と ガス の

( 度が 1% 以 の )との エンタル ー( )燃焼である。 4”の計 は Bottom cycle との を評価するために必要である。 、 5 の 度(400 K)、 力(1 bar)のガスが 出される。 燃焼器での燃焼平 成(タービン のガス 成)を 比に してプロットした結果を

2 に示す。この時の燃焼器 度( タービン 度)は 出の 3 に示されている。

2 燃焼 に け ガス の ( 2 5 E G R 0 .0 P 3= 2 5 b a r )

1 .0E- 06

1 .0E- 05

1 .0E- 04

1 .0E- 03

1 .0E- 02

1 .0E- 01

1 .0E+ 00

0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 .0 1 .1 1 .2 1 .3 1 .4 1 .5

Mol

e fr

actio

ns

Eq u i v a l e n c e r a t i o

H 2O 2N 2HOO HH O 2H 2OH 2O 2N H 3N ON O 2

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8

ンスから ℎ (ℎ ℎ ) = 𝑠𝑠𝑠𝑠 (ℎ ℎ ) (33)

ガスタービンシステムとスチームタービンシステムでは 流体が なるため、コンバインドサ

イクル 体の は たりの出力では でき 、 時間 たりの出力を えなければ

ならない。ガスタービンシステムの 時間 たりの出力は

𝑠𝑠𝑠𝑠 = [kJ/s] (34)

スチームタービンの 時間 たりの出力は

𝑠𝑠𝑠𝑠 = 𝑠𝑠𝑠𝑠 𝑠𝑠𝑠𝑠 [kJ/s] (35)

である。コンバインドシステムに する 時間の 力は、燃焼器に ける 力と イ ー

での 力の になる。燃焼器に ける 時間 たりの 力は

𝑛𝑛𝑛𝑛,𝑐𝑐𝑐𝑐 𝑒𝑒𝑒𝑒 = 𝑛𝑛𝑛𝑛 = (ℎ𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑛𝑛𝑛𝑛𝑠𝑠𝑠𝑠, ℎ𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑛𝑛𝑛𝑛𝑠𝑠𝑠𝑠, ) [kJ/s] (36)

イ ーでのシステムに する 力は

𝑛𝑛𝑛𝑛, 𝑠𝑠𝑠𝑠 = (ℎ𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑛𝑛𝑛𝑛𝑠𝑠𝑠𝑠, ℎ𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑛𝑛𝑛𝑛𝑠𝑠𝑠𝑠, ) [kJ/s] (37)

である。ここで m 4 'は 4'に ける 流 で、m gt と ガス の H2 を 比で 燃焼さ

るために加えた の 流 の である。h s e n s , 4 " は イ ーで H2 を なしに燃焼さ たと

きの である。( ガス の H2 が 1% 以下であるときは イ ーでの燃焼はないのでℎ𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑛𝑛𝑛𝑛𝑠𝑠𝑠𝑠. =ℎ𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑛𝑛𝑛𝑛𝑠𝑠𝑠𝑠, である。)コンバインドサイクル 体の は

=, ,

(38)

で えられる。 以下の計 では て = 300 [kg/s]とした。

3 . 考

3 .1 ン ン の の の に べた方法により、 1 のコンバインドサイクルの出力と を計 するプロ ム

を 成した。このプロ ムにより計 した、ガスタービンサイクル(U pper Cycle)の (

1 の 1 から 5)の の を 3 に示す。 3 は 力比 25 で、EGR を 0.4、 比 1.2 とした の計 である。 力以 の

数( 2 参 )を で示してある。1 の からは めて、1= > 2s はコンプレッサーでの

エントロ ー ( )過程である。 2 は (1)のコンプレッサーの比 によ

り る 度 よ 力を した平 計 によりエンタル ーとエントロ ーが る。

2’ では燃料(NH3)とコンプレッサーからの された 体の によりエンタル ー、エントロ

ーが 化する。2’ = > 3 は 力 、 エンタル ー( )燃焼過程である。 エンタル ーは

であるが、sensible enthalpy h s は大き なっている。この h s の 化は、燃焼による chemical enthalpy 化と り っている。燃焼平 度( タービン 度)はこの 、2,052 K であ

る。3= > 4s はタービンに ける エントロ ー( ) 過程で、 力は 1 bar で 下する。

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低炭素社会実現に向けた政策立案のための提案書 アンモニア直接燃焼ガスタービンシステム(Vol.2) 令和 2 年 1 月

10

比 1 を に平 化学 成は大き なる。 比 1 以下( 過剰)では、 燃の O2と

と に NO の 成 が多い(1,000 ppm 以 )が、 比 1 以 では NO の 成 は大 に す

る。 た、燃焼 度が いことから OH ジ ル H 原 度 い。 比 1 以 (燃料過剰)

になると、H2の 成 が多 なる。 比 1.1 1.5 の では 3 10% 程度の 燃の H2が 成す

る。 燃の NH3 比 1 以 では 加するが、 の は平 値としては多 はな 10 ppm 以

下程度である。た し、平 計 ではな 、 応速度 的な検討によると、 流燃焼 では

比 1 以 では 燃の NH3の は平 値に比べてはるかに多い[2]。 3 .2 に ガスタービンの の

なガスタービンサイクル(Brayton Cycle)の出力評価法[4,5]では、 流体を比 の

と し、燃料の燃焼 によって 流体が過 されてタービン 度が する、として

タービン出力 よ が評価される。 年度の LCS の提案書[3]に いて 、燃焼による 度

は化学平 計 に基 いて評価した のの、コンプレッサー よ タービンの (エンタ

ル ー 化)は比 の 流体( )に基 いて評価した。この方法では、 流体の

成は であり、エンタル ー 化は て sensible enthalpy の 化と な る。すなわ ∆ℎ𝑐𝑐𝑐𝑐ℎ𝑠𝑠𝑠𝑠𝑒𝑒𝑒𝑒 = 0, ∆ℎ = ∆ℎ𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑛𝑛𝑛𝑛𝑠𝑠𝑠𝑠 = 𝐶𝐶𝐶𝐶𝑝𝑝𝑝𝑝∆𝑇𝑇𝑇𝑇 (38)

である。したがって、ある過程( えばコンプレッサー タービンに ける エントロ ー ・

過程)の は比 と 度 化の で えられる。この 法とここで提案する ての過程

に いて平 計 を 方法では、タービン出力の値が大 に なる がある。この いに

いて する。 4 に Brayton Cycle の に ける 度とエンタル ー よ ガスタービン出力を 法

と本提案の方法とで計 した を示す。

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低炭素社会実現に向けた政策立案のための提案書 アンモニア直接燃焼ガスタービンシステム(Vol.2) 令和 2 年 1 月

11

4 の ( = 2 5 = 1 E G R = 0 の )

の 提案書の

s t a t e T Cp h T Cp h hsens

K k J / k g - K k J / k g K k J / k g - K k J / k g k J / k g

1 3 0 0 1 .0 0 4 8 3 0 1 .4 2 9 8 .1 5 1 .0 1 0 .0 3 0

2 8 6 5 .7 1 .0 0 4 8 8 6 9 .8 8 0 4 .9 7 1 .0 9 5 3 2 .7 7 5 3 2 .7 4

2 "

8 0 4 .9 7 1 .3 8 2 5 8 .8 9 6 4 1 .3 6

3 2 , 4 7 2 .8 1 .0 0 4 8 2 , 4 8 4 .6 2 , 4 3 6 .0 3 1 .6 8 2 5 8 .8 9 3 , 1 8 9 .1 7

4 1 , 2 0 8 .8 1 .0 0 4 8 1 , 2 1 4 .6 1 , 5 0 8 .8 1 1 .5 5 - 1 , 3 4 2 .9 2 1 , 6 7 8 .0 1

Wc ( k J / k g ) Cp( T2-T1) = 5 6 8 .5 4 5 7 .1 5 ( e q .2 5 )

Wt ( k J / k g ) Cp( T3-T4) = 1 , 2 7 0 1 , 6 0 1 .8 1 ( e q .2 6 )

Wgt ( k J / k g ) Wc+Wt = 7 0 1 .6 1 , 1 4 4 .6 6 ( e q .2 7 )

4 の Wc、Wt、 よ Wgt は 流体 1 kg たりのコンプレッサー、タービン、 よ Brayton

Cycle 体の である。 法のエンタル ーは、比 と 度の で されるエンタル ー

であるが、本方法では NASA の ータベース[7,8]に った (理化学での 的な )のエ

ンタル ーであり、 での N2、O2 のエンタル ーは 成エンタル ーに し (

(23))したがって からゼロとなる。 法の比 の での 、 過程の 度と、本

方法の平 計 の結果( エ ル ー の 度)とが なる原因としては、本方法で比

の 度 性を していることの 果が大きい。本方法では化学 応による 流体の 成

化を して り、化学エンタル ーと (sensible enthalpy)は なる。 エンタル ーの

値 法の値とは大き なっている。 の結果として、 法で得られる は大 に過

評価となっている。 化 の燃料過 での燃焼では 法と本方法の いは さいが、

アンモニアのよ な化学 の燃料が ( )に して 的に多い燃料の には、

法で評価した はここで示したよ に大 な過 評価となることがあるので が必要で

ある。

3 .3 = 25 た の ン ン の 3 に 力比が 25 で EGR を えたときのタービン 度 T3 を 比の 数としてプロ

ットした を示す。 タービン 度はタービンブレードの 度以下である必要がある。タービンの は

度が い ど なるが、現 1,700 ガスタービンの開発が進められていて、タービンの

度を さ る が続いている。ここではタービン 度の を2,000 Kと した。

ガス を わ (EGR= 0)コンプレッサーの 力比を 25 とした は 比 0.6 以 の

ての で燃焼 度は 2,000 K 以 になる( 3)。したがって、タービン 度をタービンブ

レードの 度以下とするためには、 力比を下 るか、 は EGR により燃焼 度を する

必要がある。ここでは 力比を 25 として、EGR により 度 下を る方法を検討する。 比

が 1 以下( 過剰)では 2 に示されるよ に燃焼 ガス に 燃の O2が多 に れる。

比を え に EGR をかけるためには燃焼 ガス の を しなければならないので現実

的ではない。 方で 比が 1 より大きい (燃料過剰 )は燃焼 ガス の 燃の は

1% 以下であり、特に 比 1.1 以 では 0.01% 以下となる。したがって 比 1 以 の には

コン ンサーにより ガス の H2O を することによって N2 の で EGR をかけることがで

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10

比 1 を に平 化学 成は大き なる。 比 1 以下( 過剰)では、 燃の O2と

と に NO の 成 が多い(1,000 ppm 以 )が、 比 1 以 では NO の 成 は大 に す

る。 た、燃焼 度が いことから OH ジ ル H 原 度 い。 比 1 以 (燃料過剰)

になると、H2の 成 が多 なる。 比 1.1 1.5 の では 3 10% 程度の 燃の H2が 成す

る。 燃の NH3 比 1 以 では 加するが、 の は平 値としては多 はな 10 ppm 以

下程度である。た し、平 計 ではな 、 応速度 的な検討によると、 流燃焼 では

比 1 以 では 燃の NH3の は平 値に比べてはるかに多い[2]。 3 .2 に ガスタービンの の

なガスタービンサイクル(Brayton Cycle)の出力評価法[4,5]では、 流体を比 の

と し、燃料の燃焼 によって 流体が過 されてタービン 度が する、として

タービン出力 よ が評価される。 年度の LCS の提案書[3]に いて 、燃焼による 度

は化学平 計 に基 いて評価した のの、コンプレッサー よ タービンの (エンタ

ル ー 化)は比 の 流体( )に基 いて評価した。この方法では、 流体の

成は であり、エンタル ー 化は て sensible enthalpy の 化と な る。すなわ ∆ℎ𝑐𝑐𝑐𝑐ℎ𝑠𝑠𝑠𝑠𝑒𝑒𝑒𝑒 = 0, ∆ℎ = ∆ℎ𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑛𝑛𝑛𝑛𝑠𝑠𝑠𝑠 = 𝐶𝐶𝐶𝐶𝑝𝑝𝑝𝑝∆𝑇𝑇𝑇𝑇 (38)

である。したがって、ある過程( えばコンプレッサー タービンに ける エントロ ー ・

過程)の は比 と 度 化の で えられる。この 法とここで提案する ての過程

に いて平 計 を 方法では、タービン出力の値が大 に なる がある。この いに

いて する。 4 に Brayton Cycle の に ける 度とエンタル ー よ ガスタービン出力を 法

と本提案の方法とで計 した を示す。

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低炭素社会実現に向けた政策立案のための提案書 アンモニア直接燃焼ガスタービンシステム(Vol.2) 令和 2 年 1 月

12

き、 比を えることな 燃焼 度を 下さ ることができる。 た EGR= 0.6 の には

比 1.1 以 でタービン 度を 2,000 K 以下とすることができる。EGR= 0.4 では 比 1.3 以

である。

3 燃焼 (タービン ) ( 2 5 ガス 3 0 0 k g / s )

1 の 2'(燃焼器 )に ける 流体の流 を 300 kg/s としたときのガスタービン出

力を 4 示す。 比 1 では EGR なしで 大の出力となる(343 MW)が燃焼 度はタービンの

度をはるかに えている。 比が 1 より大きな では出力の 比 性は さい。

タービン 度が 2,000 K以下とい の下では、EGR= 0.2、 比 1.53で 280 MW、EGR= 0.4、比 1.31 で 248 MW、EGR= 0.6、 比 1.08 で 222 MW である。

EGR をかけることにより、燃焼 度が下がるのでガスタービン出力は 下する。 4 にはター

ビン 度が 2,000 K となる点 示してある。(EGR= 0 の は 2,000 K となる 比は 1.6 以

となり 4 には示してない。)タービン 度が で 、EGR が多い どガスタービン

出力が 下しているのが かる。 5 にコンバインドサイクルの 出力(ガスタービンとスチームタービンの出力の )を示す。 比 1 以 で 比とと にガスタービン出力は 下する( 4)のに し、 出力が 加し

ている( 5)のはガスタービン ガス の 燃の を イ ーで燃焼することによりスチー

ムタービン出力が 加するためである。( 燃の は 比の 加とと に 加する。) 5で タービン 度が 2,000 K となる点の出力値をプロットしてある。燃焼 度(タービン

度)が 2,000 K であって 、EGR の 加に い 出力は大 に 下している(ガスタ

ービン出力の 下( 4)より 大きい)。これは EGR の 加に スチームタービン出力の

下が大きいからである。

1 , 400

1 , 600

1 , 8 00

2, 000

2, 200

2, 400

2, 600

0.5 0.7 0.9 1 .1 1 .3 1 .5

T3(K

)

Eq u i v a l e n c e r a t i o

EGR=0EGR=0.2EGR=0.4EGR=0.6

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低炭素社会実現に向けた政策立案のための提案書

アンモニア直接燃焼ガスタービンシステム(Vol.2)令和 2 年 1 月

13

4 ガスタービン ( 2 5 ガス 3 0 0 k g / s )

5 ン ン の ( 2 5 ガス 3 0 0 k g / s )

0

5 0

1 00

1 5 0

200

25 0

3 00

3 5 0

400

0.5 0.7 0.9 1 .1 1 .3 1 .5

Wgt

(MW

)

Eq u i v a l e n c e Ra t i o

T3 =2,000EGR=0EGR=0.2EGR=0.4EGR=0.6

0

1 00

200

3 00

400

5 00

600

7 00

0.5 0.7 0.9 1 .1 1 .3 1 .5

Wto

tal

(MW

)

Eq u i v a l e n c e Ra t i o

T3 =2,000 KEGR=0EGR=0.2EGR=0.4EGR=0.6

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12

き、 比を えることな 燃焼 度を 下さ ることができる。 た EGR= 0.6 の には

比 1.1 以 でタービン 度を 2,000 K 以下とすることができる。EGR= 0.4 では 比 1.3 以

である。

3 燃焼 (タービン ) ( 2 5 ガス 3 0 0 k g / s )

1 の 2'(燃焼器 )に ける 流体の流 を 300 kg/s としたときのガスタービン出

力を 4 示す。 比 1 では EGR なしで 大の出力となる(343 MW)が燃焼 度はタービンの

度をはるかに えている。 比が 1 より大きな では出力の 比 性は さい。

タービン 度が 2,000 K以下とい の下では、EGR= 0.2、 比 1.53で 280 MW、EGR= 0.4、比 1.31 で 248 MW、EGR= 0.6、 比 1.08 で 222 MW である。

EGR をかけることにより、燃焼 度が下がるのでガスタービン出力は 下する。 4 にはター

ビン 度が 2,000 K となる点 示してある。(EGR= 0 の は 2,000 K となる 比は 1.6 以

となり 4 には示してない。)タービン 度が で 、EGR が多い どガスタービン

出力が 下しているのが かる。 5 にコンバインドサイクルの 出力(ガスタービンとスチームタービンの出力の )を示す。 比 1 以 で 比とと にガスタービン出力は 下する( 4)のに し、 出力が 加し

ている( 5)のはガスタービン ガス の 燃の を イ ーで燃焼することによりスチー

ムタービン出力が 加するためである。( 燃の は 比の 加とと に 加する。) 5で タービン 度が 2,000 K となる点の出力値をプロットしてある。燃焼 度(タービン

度)が 2,000 K であって 、EGR の 加に い 出力は大 に 下している(ガスタ

ービン出力の 下( 4)より 大きい)。これは EGR の 加に スチームタービン出力の

下が大きいからである。

1 , 400

1 , 600

1 , 8 00

2, 000

2, 200

2, 400

2, 600

0.5 0.7 0.9 1 .1 1 .3 1 .5

T3(K

)

Eq u i v a l e n c e r a t i o

EGR=0EGR=0.2EGR=0.4EGR=0.6

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14

6 ン ン の ( 2 5 ガス 3 0 0 k g / s )

6 に (37)により 出したコンバインドサイクル 体の を示す。出力は EGR の 加

とと に するが、 の EGR に する 性は さい。タービン 度が 2,000 K と

なる点に ける を比 すると、EGR の 加に い 出力は 下する( 5) のの、

は 加する。これは EGR の 加とと に燃料 が 下するためで、 燃料 たりの出

力は EGR が い方が なるためである。た し、EGR を 0.6 以 にすると 2,000 K となる

比が 1 以下となり、 燃の H2を 用できな なる。 7 に NO 度の平 値を 比の 数としてプロットした を示す。NO は燃焼器に いて

成するが、いった 成した 度が で 下して の 度の平 値 で する

でには に に い時間を必要とする。さらに、 比 1.1 以 で EGR をかけた には

1 の イ ー での の 比燃焼によって NOが 成する。これらの 成した NO は、

5 の (T= 400 K)で 平 値 では しないと えられる。したがって、 ガス の NO度はここでは燃焼器出 に ける NO 平 度、 し は イ ーに ける NO 平 度の大き

い方(すなわ コンバインドサイクル での NO の平 度の 大値)を燃焼 ガス の NO度と した。 では 比 1 以下で( 的に) ガス の を して N2 の で EGRをかけたとしたときの NO 度 参 のために示してある( )。 に示されるよ に 過剰

では NO 度は 1,000 ppm 以 であるが、 比が 1 以 では 比の 加とと に大 に

する。 比 1.2 以 で NO が 加しているのは イ ーに ける 燃焼により Thermal NOが 加するためであるが、 イ ー 度は燃焼器 度に比すると れ ど ないので の 加

は かである。

0.5 00.5 20.5 40.5 60.5 80.600.620.640.660.68

Ther

mal

Eff

icie

ncy

Eq u i v a l e n c e Ra t i o

T3 =2,000 KEGR=0EGR=0.2EGR=0.4EGR=0.6

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15

7 ン ン に け N O の ( 2 5 )

3 .4 の 素 ン ン の 7 から らかなよ に、アンモニア専焼タービンで NO 出を実現するためには 比 1

以 の燃焼 が必要である。 比 1 以 では発 する H2 の イ ーでの 燃焼により

的なコンバインドサイクルを実現でき、 た N2の による EGR を 用して燃焼 度 が可能

となるなどの 点がある。 よ コンバインドサイクル出力は、 比、EGR 、 力比

の 数となるので、これらのパ ータを 化さ たとき、出力と がどのよ に わるの

かを べる必要がある。

5 にガスタービン 度を 2,000 K としたときの出力と を EGR と 力比を 数と

して計 した を示す。 比は EGR 、 力比を すると燃焼 度を しているので

的に る。 力比を 25 とした 、 5 と 6 から かるよ に、 比 1 以 で出力は

比が い方が大き なるのに して は 比では 下する。タービンの 度

(T3< 2,000 K)を たすためには EGR が必要であるが、EGR を ると T3= 2,000 K となる

比は大き なる。EGR= 0.2 では 比は 1.52 と大き 燃料の が多いので 504MW の出力が得

られるが、 は 0.53 である。EGR= 0.6 では 比 1.08 で出力は(燃料 が ないので 下

し)340MW になるが、 は 0.6 である。すなわ 、 あるいは燃費は EGR が多

い方が である。

T=2000K

EGR=0

EGR=0.2L

EGR=0.4L

EGR=0.6L

EGR=0.2

EGR=0.4

EGR=0.6

EGR=0.2

EGR=0.4L

EGR=0.4

EGR=0.6L

EGR=0.2

EGR=0

T=2000K

EGR=0.4

EGR=0.6

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アンモニア直接燃焼ガスタービンシステム(Vol.2)令和 2 年 1 月

14

6 ン ン の ( 2 5 ガス 3 0 0 k g / s )

6 に (37)により 出したコンバインドサイクル 体の を示す。出力は EGR の 加

とと に するが、 の EGR に する 性は さい。タービン 度が 2,000 K と

なる点に ける を比 すると、EGR の 加に い 出力は 下する( 5) のの、

は 加する。これは EGR の 加とと に燃料 が 下するためで、 燃料 たりの出

力は EGR が い方が なるためである。た し、EGR を 0.6 以 にすると 2,000 K となる

比が 1 以下となり、 燃の H2を 用できな なる。

7 に NO 度の平 値を 比の 数としてプロットした を示す。NO は燃焼器に いて

成するが、いった 成した 度が で 下して の 度の平 値 で する

でには に に い時間を必要とする。さらに、 比 1.1 以 で EGR をかけた には

1 の イ ー での の 比燃焼によって NOが 成する。これらの 成した NO は、

5 の (T= 400 K)で 平 値 では しないと えられる。したがって、 ガス の NO度はここでは燃焼器出 に ける NO 平 度、 し は イ ーに ける NO 平 度の大き

い方(すなわ コンバインドサイクル での NO の平 度の 大値)を燃焼 ガス の NO度と した。 では 比 1 以下で( 的に) ガス の を して N2 の で EGRをかけたとしたときの NO 度 参 のために示してある( )。 に示されるよ に 過剰

では NO 度は 1,000 ppm 以 であるが、 比が 1 以 では 比の 加とと に大 に

する。 比 1.2 以 で NO が 加しているのは イ ーに ける 燃焼により Thermal NOが 加するためであるが、 イ ー 度は燃焼器 度に比すると れ ど ないので の 加

は かである。

0.5 00.5 20.5 40.5 60.5 80.600.620.640.660.68

Ther

mal

Eff

icie

ncy

Eq u i v a l e n c e Ra t i o

T3 =2,000 KEGR=0EGR=0.2EGR=0.4EGR=0.6

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アンモニア直接燃焼ガスタービンシステム(Vol.2)令和 2 年 1 月

16

5 タービン 2 , 0 0 0 K た の

燃 E G R b )

(M W ) N O

( p p m ) N H 3 2 5 0 .6 1 0 3 1 8 0 .6 3 4 , 3 2 4 N H 3 2 5 1 .5 2 0 .2 5 0 4 0 .5 3 4 1 N H 3 2 5 1 .3 1 0 .4 4 1 7 0 .5 6 9 .6 N H 3 2 5 1 .0 8 0 .6 3 4 0 0 .6 0 1 3 N H 3 2 0 0 .6 4 1 0 3 2 4 0 .6 1 4 , 1 3 5 N H 3 2 0 1 .6 7 0 5 8 1 0 .5 0 1 0 9 N H 3 2 0 1 .4 5 0 .2 4 8 2 0 .5 3 3 8 N H 3 2 0 1 .2 2 0 .4 3 9 5 0 .5 6 7 .6 H 2 2 5 0 .4 7 0 2 9 6 0 .6 1 5 , 3 1 4 H 2 2 5 1 .7 4 0 .8 a ) 5 0 6 0 .5 0 4 8 .8 H 2 2 5 1 .4 6 0 .9 a ) 4 3 4 0 .5 3 5 2 .4 H 2 2 0 0 .4 9 0 3 0 3 0 .6 0 5 , 1 8 9 H 2 2 0 1 .7 9 0 .7 a ) 5 3 0 0 .4 9 8 0 H 2 2 0 1 .5 1 0 .8 a ) 4 5 7 0 .5 1 2 9 .1

a ) E G R ガス : N 2 / H 2 = 0 .7 5 / 0 .2 5 b ) U p p e r C y c l e の 3 0 0 k g / s

力比を えた に いて べるために、 5 には 力比を 20 とした の結果 示して

ある。 力比 20 の には EGR をかけな て 比を 1.67 で るとタービン出 度を

2,000 K とすることができて、この は 580 MW と大きな出力が得られるが、 は 0.5 と

なる(燃料 が多 なり燃費が なる)。 燃焼 度で比 すると EGR を大き した方

が出力は さ なるが は がる( 5)結果となっていて、これは 力比 25 の と

である。

参 のために、 過剰 下での出力と 5 に示した。 過剰 では EGR に

よる 度 はできないが、 比 0.61 でタービン 度を 2,000 K とすることができる。し

かしこの には NO 平 値は 4,324 ppm と めて なる。 ガスタービンサイクルの 力比の を 25、タービン 度を 2,000 K と すると、この

の下でアンモニア過剰燃焼タービンの は EGR 0.6 の時 なる。この時の

NO 出 (平 値)は 13 ppm 程度と い。 計 方法により燃料をH2としたときの計 5に示した。EGRをかけない 、

燃焼 度を 2,000 K とするためには 比を する必要がある。 力比 25 ではこの 比は

0.47 でこの時の出力は 296 MW であるが、NO 出 は 5,341 ppm である。 H2を燃料とした で 、 比であれば燃焼 度を 2,000 K 程度 で て 出 NO を

さ ることが可能である。 えば 力比 25 の 、N2の で EGR 0.9 で できれば

比 1.7 程度で 出 NO を 50 ppm(バー ーでの 剰 H2燃焼により 成)程度にすることが可能

である。しかし 比 1.7 としてバー ーで 比燃焼すると、 出ガス 成 の H2O の比 が

なり( えば N2/H2O= 0.7/0.3 程度)、EGR を 0.9 とすることはできない。 こで、 ガス

の H2O を の EGR ガスとして 用することを える。 比の 燃焼での

的な ガス 成として N2/H2O= 0.75/0.25 を し、この ガスを用いて EGR を実施した

として計 を った結果を 5 に示した。 を燃料として 出 NO を えるために 比で

ガスタービンを するためには、 力比 25 の は EGR を 0.8 以 、 力比 20 の で

0.7 以 とする必要がある。 えば 力比 20 の 、EGR 0.7 で 比を 1.79 とすれば、コン

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低炭素社会実現に向けた政策立案のための提案書

アンモニア直接燃焼ガスタービンシステム(Vol.2)令和 2 年 1 月

17

バインドサイクル出力として 530 MW が得られるが、 は 0.49 と 燃費が なる。な

、 5 の 比 1 以 の 燃焼の NO 出 は、 てバー ーでの 剰 燃焼により 成

される NO である。

.

LCS では 年度に燃料過剰燃焼 NH3専焼タービンの提案を ったが、 こで用いられた出力と

評価法は 流体を と する からの 法であった。本年度は、この過程を用

い に物理化学的により厳密な方法を開発した。すなわ 、 年度提案したコンバインドサイク

ルをより に検討し、コンプレッサー、燃焼器、タービン ての過程に いて多成 化学 の

化学平 計 を 新規のガスタービン 法を提案した。この方法を用いたコンバインドサイ

クルの プロ ムを開発し、 年度提案したシステムの出力と を 評価した。 た、

を燃料としたコンバインドサイクルに いて、 めて燃料過剰 でのガスタービンサイク

ルを検討し、アンモニアとの比 を った。 の結果、以下の結 が得られた。

(1) 年度提案した燃料過剰アンモニア専焼コンバインドサイクルの は、新規の方法を用い

て 成立することが かめられた。た し、 年度の な方法は、タービン出力を大 に(30%程度)過 評価して り、 提案したより厳密な方法の方が大きな出力を える。

(2) ガスタービンの 度を 2,000 K、 力比の を 25 とした 、 過剰アンモニアタ

ービンコンバインドサイクルでは 0.63 であるが NO の平 度は 4,300 ppm 程度である。

方、EGR による燃料過剰アンモニアタービンコンバインドサイクルでは 比 1.1 程度で

0.60が得られ、 の時の NO 出 は 13 ppm と 過剰 に比べて 2 程度 ない。

(3) 比 のために った 専焼タービンコンバインドサイクルでは、 の 過剰タービン

の は 比 0.47 で 0.61 が得られたが、NO 平 度は 5,300 ppm と に い。

(4) タービンの で 、アンモニア に燃料過剰専焼タービンコンバインドサイクルが

可能であることを めて示した。 の で 、燃料過剰にすれば Thermal NO の 成は数

ppm 程度に えることができる。この は、燃焼 度をタービン 度以下とするために

と からなる燃焼 ガスの EGR が必要である。 えば、 力比 25 の 、 比 1.74、EGR0.8 で 0.5 が得られ、この時の NO 出 は 49 ppm 程度である。

(5) 燃料過剰の NO コンバインドサイクルは、NH3 よ H2の 方の に可能である。

(6) H2の には、H2O を ガスの多 の EGR(EGR 0.7 0.9 程度)が必要となるこ

と、 よ NO 燃焼を可能とした の が 50% 程度と いことから、NH3に して

性は められない。

開発した方法とプロ ムにより、 よ アンモニアの燃料過剰ガスタービンシステ

ムを用いたコンバインドサイクルの と 燃料重 たりの出力(MJ/kg)は評価可能と

なった。 、これを用いてアンモニア過剰燃焼コンバインドサイクルのコスト評価を実施する

である。

低炭素社会実現に向けた政策立案のための提案書

アンモニア直接燃焼ガスタービンシステム(Vol.2)令和 2 年 1 月

16

5 タービン 2 , 0 0 0 K た の

燃 E G Rb )

(M W )N O

( p p m )N H 3 2 5 0 .6 1 0 3 1 8 0 .6 3 4 , 3 2 4N H 3 2 5 1 .5 2 0 .2 5 0 4 0 .5 3 4 1N H 3 2 5 1 .3 1 0 .4 4 1 7 0 .5 6 9 .6N H 3 2 5 1 .0 8 0 .6 3 4 0 0 .6 0 1 3N H 3 2 0 0 .6 4 1 0 3 2 4 0 .6 1 4 , 1 3 5N H 3 2 0 1 .6 7 0 5 8 1 0 .5 0 1 0 9N H 3 2 0 1 .4 5 0 .2 4 8 2 0 .5 3 3 8N H 3 2 0 1 .2 2 0 .4 3 9 5 0 .5 6 7 .6H 2 2 5 0 .4 7 0 2 9 6 0 .6 1 5 , 3 1 4H 2 2 5 1 .7 4 0 .8 a ) 5 0 6 0 .5 0 4 8 .8H 2 2 5 1 .4 6 0 .9 a ) 4 3 4 0 .5 3 5 2 .4H 2 2 0 0 .4 9 0 3 0 3 0 .6 0 5 , 1 8 9H 2 2 0 1 .7 9 0 .7 a ) 5 3 0 0 .4 9 8 0H 2 2 0 1 .5 1 0 .8 a ) 4 5 7 0 .5 1 2 9 .1

a ) E G R ガス : N 2 / H 2 = 0 .7 5 / 0 .2 5 b ) U p p e r C y c l e の 3 0 0 k g / s

力比を えた に いて べるために、 5 には 力比を 20 とした の結果 示して

ある。 力比 20 の には EGR をかけな て 比を 1.67 で るとタービン出 度を

2,000 K とすることができて、この は 580 MW と大きな出力が得られるが、 は 0.5 と

なる(燃料 が多 なり燃費が なる)。 燃焼 度で比 すると EGR を大き した方

が出力は さ なるが は がる( 5)結果となっていて、これは 力比 25 の と

である。

参 のために、 過剰 下での出力と 5 に示した。 過剰 では EGR に

よる 度 はできないが、 比 0.61 でタービン 度を 2,000 K とすることができる。し

かしこの には NO 平 値は 4,324 ppm と めて なる。

ガスタービンサイクルの 力比の を 25、タービン 度を 2,000 K と すると、この

の下でアンモニア過剰燃焼タービンの は EGR 0.6 の時 なる。この時の

NO 出 (平 値)は 13 ppm 程度と い。

計 方法により燃料をH2としたときの計 5に示した。EGRをかけない 、

燃焼 度を 2,000 K とするためには 比を する必要がある。 力比 25 ではこの 比は

0.47 でこの時の出力は 296 MW であるが、NO 出 は 5,341 ppm である。

H2を燃料とした で 、 比であれば燃焼 度を 2,000 K 程度 で て 出 NO を

さ ることが可能である。 えば 力比 25 の 、N2の で EGR 0.9 で できれば

比 1.7 程度で 出 NO を 50 ppm(バー ーでの 剰 H2燃焼により 成)程度にすることが可能

である。しかし 比 1.7 としてバー ーで 比燃焼すると、 出ガス 成 の H2O の比 が

なり( えば N2/H2O= 0.7/0.3 程度)、EGR を 0.9 とすることはできない。 こで、 ガス

の H2O を の EGR ガスとして 用することを える。 比の 燃焼での

的な ガス 成として N2/H2O= 0.75/0.25 を し、この ガスを用いて EGR を実施した

として計 を った結果を 5 に示した。 を燃料として 出 NO を えるために 比で

ガスタービンを するためには、 力比 25 の は EGR を 0.8 以 、 力比 20 の で

0.7 以 とする必要がある。 えば 力比 20 の 、EGR 0.7 で 比を 1.79 とすれば、コン

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1 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)低炭素社会戦略センター(LCS)

低炭素社会実現に向けた政策立案のための提案書アンモニア直接燃焼によるガスタービンシステムの提言(Vol.2)令和2年 1月

低炭素社会実現に向けた政策立案のための提案書

アンモニア直接燃焼ガスタービンシステム(Vol.2)令和 2 年 1 月

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5. 政策立案のための提案

燃料過剰アンモニア専焼タービンによるコンバインドサイクルはCO2フリーな大出力発電シス

テムとして重要であり、実現できればCO2ゼロエミッション技術の大きなブレークスルーになる。

本提案では、物理化学的により厳密な評価方法によって、さらに大きな出力が得られる可能性が

示された。アンモニアの燃焼速度が他の燃料に比して遅いことに起因する新規燃焼器の設計が必

要であることなど、開発には多大な費用と時間がかかる。したがって、国家プロジェクトとして

開発を進める必要があり、引き続いて以下の 2 点を提案する。

<政策提案 1>  燃焼工学、数値流体力学、タービン工学、化学工学の専門家からなるチームによりアンモニア

過剰燃焼コンパインドサイクルの実現可能性検証を 1 年程度の時間をかけて実施すべきである。

特にタービン用燃焼器のシミュレーションによる設計・検証が必要である。

<政策提案 2> 政策提案 1 の結果を受けて、実現可能性検討に加わった専門家に加え、タービン発電システム

開発に実績のある複数の企業の参画を得て、国家プロジェクトとしてアンモニア専焼発電システ

ムの開発を実施すべきである。

参考文献

[1] A. Valera-Medina, H. Xiao, M. Owen-Jones, W.I.F. David and P.J. Bowen, “Ammonia for power”,Progress in Energy and Combustion Science, 69, p. 63-102, 2018.

[2] J. Otomo, M. Koshi, T. Mitsumori, H. Iwasaki and K. Yamada, "Chemical kinetic modeling of ammoniaoxidation with improved reaction mechanism for ammonia/air and ammonia/hydrogen/air combustion",Int. J. Hydrogen Energy, 43, p. 3004-3014, 2018.

[3] イノベーション政策立案のための提案書(技術開発編)“アンモニア直接燃焼によるガスター

ビンシステムの提言”, 平成 30 年 12 月, LCS-FY2018-PP-03.[4] H. Cogen and P.V.Straznicky, 藤原仁志訳 「ガスタービンの基礎と応用」, 東海大学出版,2017.[5] 日本ガスタービン学会編, 「ガスタービン工学」,2017.[6] National Institute of Standards and Technology. NIST Chemistry WebBook, SRD 69 - Thermophysical

Properties of Fluid Systems 2018. https://webbook.nist.gov/chemistry/fluid/.[7] S. Gordpn and B.J. McBride “Computer Program for Calculation of Complex Chemical Equilibrium

Compositions and Applications.” NASA Reference Publication 1311, 1994.[8] Ansys Inc. ANSYS CHEMKIN PRO version 18.1 2019.[9] M. Keller, M. Koshi, J. Otomo, T. Mitsumori, H. Iwasaki, and K. Yamada. “Thermodynamic evaluation

of open cycle gas turbines with carbon-free fuels H2 and NH3 at high temperatures.”, J. Therm. Sci.Technol., 14(2), Paper No.19-00167, 2019. DOI:10.1299/jtst.2019jtst0015.

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低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づく

イノベーション政策立案のための提案書

本提案書に関するお問い合わせ先●提案内容について ・ ・ ・ 低炭素社会戦略センター 副センター長 越 光男 (KOSHI Mitsuo)

●低炭素社会戦略センターの取り組みについて ・ ・ ・ 低炭素社会戦略センター 企画運営室 

〒102-8666 東京都千代田区四番町5-3 サイエンスプラザ4 階

TEL :03-6272-9270 FAX :03-6272-9273 E-mail :

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引用を行う際は、必ず出典を記述願います。

アンモニア直接燃焼によるガスタービンシステムの提言(Vol.2)

令和 2年 1月

Turbine System driven by Direct Combustion of Rich Ammonia (Vol.2):

Proposal Paper for Policy Making and Governmental Actiontoward Low Carbon Societies,

Center for Low Carbon Society Strategy,Japan Science and Technology Agency,

2020.1

国立研究開発法人科学技術振興機構 低炭素社会戦略センター