ダイハツ工業株式会社 エンジン電子制御装置の構造...

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1 ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式 エンジン型式 適用時期 出 典 資 料 ミラ イース DBA-LA300S DBA-LA310S KF(N/A) 2011.9~ 新型車解説書 No.1 (EK211E) 新型車解説書 No.2 (EK221E) 修理書 No.1 A巻 (JK211KA) 修理書 No.2 (JK221E) エンジン電子制御装置の構造・機能及び故障診断 1 システムの概要 KF(N/A)エンジンは,低燃費,低振動,低騒音,小型軽量化をねらいに新開発した直列3気筒エンジンで ある。 KF(N/A)エンジンは,次の環境性能に対応している。 ① 2WD 車,4WD 車共にガソリン乗用車の平成 17 年基準排出ガス 75% 低減レベルを『JC08H モード +JC08C モード』で達成している。 ②「エネルギ使用の合理化に関わる法律」に基づく2015年(平成27年)燃費基準に対して,2WD車,4WD車共 に 2015 年(平成 27 年)燃費基準 20% を達成している。 1 ) 特 徴 ⑴ 低燃費 イDVVT(可変バルブ・タイミング)機構付きDOHC4バルブの動弁機構と高効率ストレート吸気ポートの採 用により吸排気効率を向上した。EGR システムの採用によるポンピング・ロスの低減,エキゾースト・バ ルブ遅開き化による排気損失の低減,及び電子スロットル・ボデーによるきめ細かな空燃比制御などにより, 高性能・低燃費・低エミッション化の両立を図った。 ロ高着火性イリジウム・スパーク・プラグの採用,インジェクタ噴霧微粒化,燃焼室形状の最適化,及びピス トン頂面を斜めスキッシュ構造にすることよって,燃焼に最適なタンブル流を発生させ燃焼効率の向上を 図った。 ハピストン・リングの薄幅化により張力を低減し,スカート部に樹脂コートを追加することによりシリンダ・ ボアとのフリクションを低減している。 ニオフセット・クランクの採用により,ピストンのスラスト荷重を軽減し,フリクション・ロスの低減を図っ た。 ホエンジンの圧縮比を上げることにより,燃費を向上させた。 ⑵ 低振動・低騒音 イアルミ・オイル・パンの採用により,エンジンの振動を低減している。 ロ高剛性アルミ・ブロックにより,エンジンの振動低減及び結合剛性を向上している。 ハ鍛造イーチ・バランス・クランクシャフト(各気筒にバランスをとったクランクシャフト)により,打音,曲 げ振動を低減している。 ニエンジン・マウント・ブラケット(RH)をタイミング・チェーン・カバーと一体化することにより,振動を 低減している。

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ダ イ ハ ツ 工 業 株 式 会 社

通 称 名 車 両 型 式 エンジン型式 適 用 時 期 出 典 資 料

ミラ イース DBA-LA300SDBA-LA310S KF(N/A) 2011.9~

新型車解説書 No.1 (EK211E)新型車解説書 No.2 (EK221E)修理書 No.1 A巻 (JK211KA)修理書 No.2 (JK221E)

エンジン電子制御装置の構造・機能及び故障診断

1 システムの概要

KF(N/A)エンジンは,低燃費,低振動,低騒音,小型軽量化をねらいに新開発した直列3気筒エンジンである。KF(N/A)エンジンは,次の環境性能に対応している。

①2WD車,4WD車共にガソリン乗用車の平成17年基準排出ガス75%低減レベルを『JC08Hモード+JC08Cモード』で達成している。

②「エネルギ使用の合理化に関わる法律」に基づく2015年(平成27年)燃費基準に対して,2WD車,4WD車共に2015年(平成27年)燃費基準20%を達成している。

1) 特 徴

⑴ 低燃費

イDVVT(可変バルブ・タイミング)機構付きDOHC4バルブの動弁機構と高効率ストレート吸気ポートの採用により吸排気効率を向上した。EGRシステムの採用によるポンピング・ロスの低減,エキゾースト・バルブ遅開き化による排気損失の低減,及び電子スロットル・ボデーによるきめ細かな空燃比制御などにより,高性能・低燃費・低エミッション化の両立を図った。ロ高着火性イリジウム・スパーク・プラグの採用,インジェクタ噴霧微粒化,燃焼室形状の最適化,及びピストン頂面を斜めスキッシュ構造にすることよって,燃焼に最適なタンブル流を発生させ燃焼効率の向上を図った。ハピストン・リングの薄幅化により張力を低減し,スカート部に樹脂コートを追加することによりシリンダ・ボアとのフリクションを低減している。ニオフセット・クランクの採用により,ピストンのスラスト荷重を軽減し,フリクション・ロスの低減を図った。ホエンジンの圧縮比を上げることにより,燃費を向上させた。⑵ 低振動・低騒音

イアルミ・オイル・パンの採用により,エンジンの振動を低減している。ロ高剛性アルミ・ブロックにより,エンジンの振動低減及び結合剛性を向上している。ハ鍛造イーチ・バランス・クランクシャフト(各気筒にバランスをとったクランクシャフト)により,打音,曲げ振動を低減している。ニエンジン・マウント・ブラケット(RH)をタイミング・チェーン・カバーと一体化することにより,振動を低減している。

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⑶ 小型・軽量化

イ直打式DOHCの採用により,シリンダ・ヘッド周りの小型軽量化を図った。ロインテーク・マニホールド,スロットル・ボデー,シリンダ・ヘッド・カバーなどの樹脂化により,軽量化を図った。ハシリンダ・ブロックのアルミ・ダイキャスト化により,軽量化を図った。

2 構造・機能

1) 構成部品の配置(図-1,2,3)

図-1 構成部品の位置

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図-2 システム図

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図-3 排出ガス浄化装置位置

2) 構成部品の構造・機能

名 称 機   能エンジン・コントロール・コンピュータ

燃料噴射制御,電子進角制御,可変バルブ・タイミング制御,電子スロットル・システム制御,EGR制御,エバポ・パージ制御などを行う。

DLC以下のような点検が行える。・ダイアグノーシス表示・オキシジェン・センサ(フロントO2センサ)状態表示

バキューム・センサ(吸気管圧力,吸気温一体型センサ)

吸気管圧力,吸気温一体型センサは,インテーク・マニホールド内の吸気管圧力と吸入空気温度を検出する。

エンジン回転センサ クランク角度を検出するためクランクシャフト前部にシグナル・ロータを取り付け,このシグナル・ロータに設けられた突起に対応するエンジン回転センサを設けている。

カム角センサ カムシャフト№1とクランクシャフトの位相を検出するため,カムシャフト№1後部に突起を設け,シリンダ・ヘッド後部にカム角センサを取り付けている。

水温センサ 冷却水温を検出するセンサで,温度によって抵抗値の変化するサーミスタを内蔵している。サーミスタの信号はエンジン・コントロール用として使用されている。

ノック・センサ

非共振型のフラット・ノック・センサの採用により,ノック検出精度の向上を図っている。ノッキングの発生によって起こるシリンダ・ブロックの振動から間接的にノッキングの発生を感知する。センサには圧電素子が内蔵されており,シリンダ・ブロックの振動を電気的な信号に変換している。

アクセルレータ・ペダル(アクセル・ポジション・センサ)

アクセル・ペダル踏み込み量を検出する。センサ出力特性の異なる2系統センサとし,各センサに対してVC電源,アースを独立させ,信頼性を確保している。磁界の強さを電気信号として取り出すことのできるホール素子を使用した非接点式センサで,アクセル開度と連動して変化する磁界角度の変化により開度を検出している。

スロットル・ボデー(スロットル・ポジション・センサ)

スロットル・モータで作動するスロットル・バルブ開度を検出する。センサ出力特性の異なる2系統センサとし,信頼性を確保している。磁界の強さを電気信号として取り出すことのできるホール素子を使用した非接点式センサで,スロットル・バルブ開度と連動して変化する磁界角度の変化により開度を検出している。

EGRバルブ(ステッパ・モータ式)

ロータは,ステータ・コイルに送られるエンジン・コントロール・コンピュータからの信号により,一定角度だけ正転する。ロータとバルブはネジかん合になっており,バルブはロータの回転量だけ前後に移動する。これによりバルブとボデーの隙間を変化させてEGRガス量を制御している。

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ダイハツ

名 称 機   能

オキシジェン・センサ(フロント)

エキゾースト・マニホールドに取り付けられており,排気ガス中の酸素濃度をセンサ自身に発生する起電力の大きさによって検出する。酸素濃度が小さいほど起電力が大きくなり,空燃比が濃い状態(リッチ)であることを表す。

オキシジェン・センサ(リヤ)エキゾースト・パイプに取り付けられており,触媒通過後の排気ガス中の酸素濃度をセンサ自身に発生する起電力の大きさによって検出する。酸素濃度が小さいほど起電力は大きくなる。

車輪速センサABS・ECU(VSC非装着車)又はVSC・ECU(VSC装着車)に入力された車輪速信号がABS・ECU(VSC非装着車)又はVSC・ECU(VSC装着車)において車速信号に変換され,CAN通信にてエンジン・コントロール・コンピュータに入力する。

ニュートラル・スタート・スイッチ

シフト位置を検出し,CVTコントロール・コンピュータへシフト位置信号を送信している。CVTコントロール・コンピュータは,シフト位置情報をCAN通信にてエンジン・コントロール・コンピュータに送信する。

オイル・コントロール・バルブ(OCV)

オイル・コントロール・コンピュータからのデューティ信号により,コントロール・バルブをON,OFFして可変バルブ・タイミング・コントローラに作用する油圧を調整し,吸気バルブの開閉時期が目標値になるよう制御する。

バキューム・スイッチング・バルブ(エバポ・パージ用VSV)

エンジン・コントロール・コンピュータからのデューティ信号によりソレノイドを制御し,エンジン燃焼室に導く燃料蒸発ガスの量を制御している。

バッテリ電流・バッテリ温度一体型センサ

エンジン熱の影響を受けにくいバッテリのマイナス側ターミナルに取り付けられている。バッテリ電流センサ部は,バッテリの充放電電流量を検出している。バッテリ温度センサ部は,バッテリ周辺の雰囲気温度(液温)を検出している。

メイン・リレー IGスイッチONのときにエンジン・コントロール・コンピュータは電源を供給する。

スタータ・リレー エンジン・コントロール・コンピュータからの信号によってONし,スタータへ電源を供給する。

フューエル・ポンプ・リレー IGスイッチONのときにエンジン・コントロール・コンピュータからの信号によってONし,フューエル・ポンプに電源を供給する。

ラジエータ・ファン・リレー ラジエータ・ファン・モータ制御の実施条件成立時にエンジン・コントロール・コンピュータからの信号によってONし,ラジエータ・ファン・モータに電源を供給する。

マグネット・クラッチ・リレー

マグネット・クラッチ制御の実施条件成立時にエンジン・コントロール・コンピュータからの信号によってONし,エアコン用コンプレッサ・マグネット・クラッチに電源を供給する。また,エアコン・カット制御の実施条件成立時にはエンジン・コントロール・コンピュータからの信号によってマグネット・クラッチ・リレーをOFFし,エアコン用コンプレッサ・マグネット・クラッチの電源を遮断する。

3) 制御内容

⑴ 燃料噴射制御(EFI)

イ 概 要

・燃料噴射制御は,吸気管圧力とエンジン回転速度によって求められる吸入空気量をもとに各センサからの信号で運転状況を感知し,運転状況に適した空然比になるよう燃料噴射量(インジェクタヘの通電時間)を制御している。・燃料噴射は,エンジン回転に同期させた間欠噴射を採用し,全気筒独立噴射を行う。・燃料の噴射方式には,エンジンの回転信号に合わせて燃料を噴射する同期噴射と,急加速時等でエンジン回転の信号に関係なく燃料を噴射する非同期噴射がある。また,エンジン及び触媒保護のため,運転状態に応じてフューエル・カットを行っている。ロ 噴射方式

⒜ 同期噴射

① 概 要

・エンジンの回転信号に同期して行われる噴射で,始動時噴射と始動後噴射がある。・始動時,始動後の判定はエンジン回転速度によって行う。

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② 始動時噴射(図-4)

エンジン回転センサからの信号(気筒判別信号)をもとに気筒を判別し,気筒判別完了後,その情報により各気筒それぞれに独立噴射を行う。

図-4 始動時噴射

③ 始動後噴射(図-5)

回転信号(N信号)による気筒情報により各気筒それぞれに独立噴射を行う。

図-5 始動後噴射

ハ 噴射量の決定(同期噴射時の噴射時間)

⒜ 始動時噴射時間

① 概 要

冷却水温によって決まる始動時基本噴射時間と各種補正係数及び無効噴射時間によって決定する。始動時噴射時間=始動時基本噴射時間×各種補正係数+無効噴射時間② 始動時基本噴射時間(図-6)

冷却水温によって決定される。エンジンが冷えているほどインテーク・マニホールド内壁に付着したガソリンが気化しにくくなるため,低温側の噴射量は多く設定している。

図-6 始動時基本噴射時間

③ 始動時回転補正係数

冷却水温が低い始動時にエンジン回転速度に応じた補正を行って始動を良好にしている。④ 始動時大気圧補正係数

大気圧に応じた補正を行って始動を良好にしている。⑤ 始動時噴射回転補正係数

始動時噴射回転を計測し,回転に応じて噴射時間を減少する。⑥ 吸気温補正係数

吸入空気温度の違いによる空気密度の違いを補正するための係数である。

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⑦ 無効噴射時間(図-7)

インジェクタは通電しても瞬時には開弁せず噴射しない時間があり,噴射しない時間を無効噴射時間と呼ぶ。無効噴射時間はバッテリ電圧によって異なり,バッテリ電圧が高いほど短く,低いほど長くなる。このためインジェクタヘの通電時間は,常に測定しているバッテリ電圧に応じた無効噴射時間を,実際に噴射させる時間に加えている。 図-7 無効噴射時間

⒝ 始動後噴射時間

① 概 要

始動後基本噴射時間と各種補正及び無効噴射時間によって決定する。始動後噴射時間=始動後基本噴射時間をもとに各種の補正を行った時間+無効噴射時間② 始動後基本噴射時間

吸気管圧力とエンジン回転速度によって決定される噴射時間である。③ 吸気温補正係数

吸入空気温度の違いによる空気密度の違いを補正するための係数である。④ フューエル・カット復帰時増量補正係数

フューエル・カットからの復帰時,エンジン回転速度の低下が大きいとき燃料噴射量を増量補正するための係数である。⑤ 暖機増量補正係数(図-8)

冷却水温によって決まる係数で,冷機時のための増量補正である。暖機が終わるまで行われる。

図-8 暖機増量補正係数

⑥ 始動後増量補正係数

エンジン始動直後にエンジン回転速度を安定させるため,エンジン始動時に冷却水温に応じて増量係数初期値を決定し,始動後噴射ごとに減量する。⑦ 過渡時空燃比補正噴射時間

過渡時の空然比を補正するもので,冷却水温等により決定する。⑧ 空燃比フィードバック補正係数

暖機後のエンジン運転中,オキシジェン・センサ(O2センサ)からの信号により混合気のリッチ,リーン状態を判定し,燃料噴射量を増減する。燃料噴射を増減することにより,三元触媒の浄化性能の高い理論空然比近傍の狭い範囲に空燃比を制御する。⑨ パワー増量補正係数

高負荷運転時,吸気管圧力及びエンジン回転速度に応じて噴射量を増量する。⑩ 再始動後増量補正係数

再始動時に冷却水温により初期値を決定し,噴射ごとに減量する。

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⑪ 大気圧補正係数

大気圧に応じた補正を行う。⑫ 水温補正係数

高負荷,高回転運転時に冷却水温に応じて噴射量を補正する。⑬ 低回転補正係数

低回転時に増量する。⑭ ノック・フィードバック時補正係数

ノック・フィードバック時の点火時期の遅角量が大きいときに噴射量を増量する。⑮ 無効噴射時間

始動時噴射時間の無効噴射時間の項を参照(⒜始動時噴射時間の⑦を参照)ニ 噴射量の決定(非同期噴射時の噴射時間)

⒜ アイドル・スイッチ変化時非同期噴射

アイドル状態からスロットル・バルブを開いたとき,全気筒同時に一回,一定時間噴射する。⒝ 吸気管圧力変化時非同期噴射

吸気管圧力の増加割合に応じて,全気筒同時に一定時間噴射する。⒞ フューエル・カット復帰時非同期噴射

フューエル・カット復帰時,エンジン回転速度の低下速度が大きいとき,一定時間噴射する。⒟ エアコン“ON”時非同期噴射

マグネット・クラッチが“OFF”→“ON”になったとき,一定時間噴射する。⒠ パワステ“ON”時非同期噴射

ステアリング操作時,EPSコンピュータから信号があったとき,一定時間噴射する。⒡ スタータ“ON”時非同期噴射

スタータを“OFF”→“ON”にしたとき,一定時間噴射する。ホ フューエル・カット

⒜ 減速時フューエル・カット(図-9)

減速時,スロットル・バルブが設定開度以下で,エンジン回転速度が設定回転速度以上の場合に,インジェクタヘの駆動信号を遮断し,フューエル・カットを行う。

図-9 減速時フューエル・カット

⒝ 触媒過熱フューエル・カット

エンジン回転速度と吸気管圧力に応じてフューエル・カットを行い,触媒の過熱を防止する。⒞ 過回転時フューエル・カット

エンジン回転速度が設定値以上になったとき,フューエル・カットを行う。⒟ NDシフト時フューエル・カット

エンジン回転速度が設定値以上でシフト・ポジションをN→Dにしたときにフューエル・カットを行い,CVTを保護する。

⒠ NRシフト時フューエル・カット

走行中,シフト・ポジションをN→Rにしたときにフューエル・カットを行い,CVTを保護する。

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⑵ 電子進角制御(ESA)

イ 概 要(図-10)

・エンジン・コントロール・コンピュータがカム角センサとエンジン回転センサからの信号による気筒判別完了後にエンジンの状態に応じて最適な点火時期を算出し,制御する電子進角システム(ESA)を採用した。・全車にイオン電流燃焼制御システムを採用し,冷間時は燃焼室内のイオン電流を検出することで燃焼状態が最適になるように点火時期を制御している。・ESAはエンジンの回転信号に同期した固定進角と,エンジン回転速度と吸気管圧力によって決定される演算進角の二つに分類される。

図-10 電子進角制御

ロ 点火時期の決定

⒜ 固定進角

始動時には回転信号に同期したBTDC5°の固定進角を行う。また,EFI-T端子短絡状態時には回転信号に同期したBTDC10°の固定進角を行う。

⒝ 演算進角

固定進角時以外の状態においては,点火時期は吸気管圧力,エンジン回転速度などにより,エンジンの状態に応じて決定される。点火時期進角=基本進角±各種補正進角⒞ 進角制御

① 基本進角

エンジン回転速度と吸気管圧力により決定される点火時期進角である。② 水温補正進角

冷却水温と吸気管圧力により決定される点火時期進角である。③ アイドル安定化補正進角

アイドリング時アイドル回転速度が落ち込んだ場合は進角し,上昇した場合は遅角する。

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④ 過渡補正進角

走行中のスロットル開度及び吸気管圧力の急激な変動に応じて進角値を補正する。⑤ トルク・リダクション補正進角

低速からの急加速時,P又はNレンジから他のレンジにシフト時に点火時期を遅角させてエンジン・トルクを下げ,変速ショックを低減する。⑥ 通電時間制御

イグニション・コイルヘの通電時間は,エンジン回転速度及びイグニション・コイルヘの電源電圧に応じて制御している。⑦ ノック補正進角

ノック・センサの信号によってノッキング発生と判断したときは直ちに遅角し,一定時間ノッキングが発生しなかった場合は,再びノッキングが発生するまで徐々に進角する。このことにより,常に最適な点火時期に制御することができる。また,エンジンに悪影響を及ぼさないよう,補正値には制限を設けている。⑧ 内部EGR補正進角

可変するバルブ・タイミングに応じた点火時期進角補正を行う。⑶ 可変バルブ・タイミング制御

イ 概 要(図-11)

・吸気管圧力・吸気温一体型センサ,水温センサなどからの信号及びエンジン回転速度に応じてエンジン・コントロール・コンピュータが,オイル・コントロール・バルブを“ON”,“OFF”させ,可変バルブ・タイミング・コントローラに作用する油圧を調整することによりカムシャフトとの位相を変化させ,吸気バルブの開閉時期が最適になるよう制御する。吸気バルブの開閉時期はカム角センサで検知し,ずれがあった場合は補正する。・可変バルブ・タイミング制御では,バルブ・タイミングを連続可変制御できるため,全運転領域で最適なバルブ・タイミングに設定することができる。・バルブ・タイミングは,エンジン・コントロール・コンピュータにて3種類の制御モードで制御している。

図-11 可変バルブ・タイミング制御

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ロ バルブ・タイミング制御モード

⒜ 強制最遅角モード

カムシャフトNo.1による吸気バルブの開閉時期を強制的に最遅角させるモードで,始動時やバッテリ電圧が設定値より低くなったときに,このモードにてオイル・コントロール・バルブを制御する。⒝ 0℃A保持モード

目標変位角が0℃Aであるときにこのモードで制御する。(目標変位角については,次のフィードバック・モードの項を参照)⒞ フィードバック・モード

① 目標変位角の決定

目標変位角は,スロットル・バルブ開度,吸気管圧力,大気圧,エンジン回転速度,冷却水温に応じて決定している。② オイル・コントロール・バルブ駆動デューティ比の決定

目標変位角とカム角センサからの信号をもとにエンジン回転速度,冷却水温に応じてデューティ比を決定している。

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⑷ 電子スロットル・システム制御

イ 概 要(図-12)

・電子スロットル・システムは,エンジン・コントロール・コンピュータがアクセル・ペダルの踏み込み量をアクセル・ポジション・センサで検出し,アクセル・ペダル開度に対するスロットル・バルブ開度をスロットル・モータで制御するシステムである。・運転状況に応じ,最適なスロットル・バルブ開度に制御することにより,ドライバビリティを損なうことなく燃費を向上させる。・スロットル・ポジション・センサ及びアクセル・ポジション・センサは2系統化し,万が一のトラブル時でも回避走行できるようにしている。

図-12 電子スロットル・システム制御

ロ アイドル回転速度制御

⒜ 概 要

エンジン冷却水温に応じたファースト・アイドル回転速度,エンジン暖機後のアイドル回転速度を制御する。燃料噴射量及びスロットル開度によりアイドル回転速度を制御する。⒝ 始動時制御

エンジン始動時,スロットル・バルブを開けることにより空気量を多くし,エンジンの始動性向上を図る。⒞ 予測制御

以下の信号を検出したとき,スロットル・バルブ開度を制御することにより,回転変動を抑える。①アイドリング回転速度の変化が予測されるとき②電気負荷が変化したとき

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③エアコン・スイッチを切り替えたとき④シフト・レンジを切り替えたとき(N→D,D→N)⒟ 減速時制御

減速時スロットル・バルブを開いて空気流量を増やすことにより,インテーク・マニホールド内負圧を下げ,燃焼室に吸引されるオイルの消費量低減と,急激なエンジン回転速度の落ち込みによるエンスト防止及び,ドライバビリティの向上を図る。⒠ 始動時制御

ある一定時間エンジン回転速度を計測して,目標回転速度との差がある場合にスロットル・バルブ開度を制御することにより,アイドル回転速度を目標値制御する。⑸ EGRステッパ・モータ制御

イ 概 要(図-13)

エンジン回転速度,スロットル・ポジション・センサ,吸気管圧力・吸気温一体型センサ,ABS・ECU(VSC非装着車),VSC・ECU(VSC装着車)及び水温センサからの信号に応じて,エンジン・コントロール・コンピュータはEGR用ステッパ・モータを駆動させ,EGRバルブの開度を制御することにより最適なEGR量を決定する。

図-13 EGRステッパ・モータ制御

⑹ スタータ制御

イ 概 要(図-14)

・エンジン・コントロール・コンピュータは,IGスイッチ(キー・フリー・システム非装着車)又はキー・フリーECU(キー・フリー・システム装着車)からスタート信号(STSW)が入力されると,スタータ・リレーに作動信号(STR+,SL)を送り,スタータを駆動する。・スタータ始動後,エンジン・コントロール・コンピュータは,完全作動開始を検知するまでスタータ・リレーNo.1及びスタータ・リレーNo.2に作動信号を送り続ける。クランキング開始後,エンジン・コントロール・コンピュータは,エンジン回転センサ信号よりエンジン回転速度が規定値に達したことを検知すると,エンジン始動成功と判断しスタータ・リレーヘの信号出力を停止する。・エンジン・コントロール・コンピュータによるスタータ制御(クランキング・ホールド)時間と完全作動開始判定回転速度は,エンジン冷却水温に応じて決定する。

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図-14 スタータ制御

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⑺ バキューム・スイッチング・バルブ(エバポ・パージ用VSV)制御

イ 概 要(図-15)

以下の条件がいずれも成立したとき,エンジン・コントロール・コンピュータがバキューム・スイッチング・バルブ(エバポ・パージ用VSV)を“ON”(デューティ制御)することで,燃料蒸発ガスを燃焼室ヘパージする。①エンジン暖機後②空燃比フィードバック中であるとき③アクセルを踏んでいるとき④エンジン・コントロール・コンピュータ内部で学習の実施中でないとき

図-15 バキューム・スイッチング・バルブ制御

ロ 燃料蒸発ガス排出制御装置(図-16)

・フューエル・タンク内で発生した燃料蒸発ガスを,チャコール・キャニスタに吸着させている。・吸着させた燃料蒸発ガスは,エンジン回転中にインテーク・マニホールドに吸い込んで燃焼させる。

図-16 燃料蒸発ガス排出制御装置

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ダイハツ

3 点検・整備

1) 故障コードの表示・消去方法

⑴ ダイアグノーシス・コード表示方法

イ DS-Ⅱによる表示(図-17,18)

①車両を停止状態にする。②IGスイッチ“LOCK”後,DS-ⅡをDLCに接続する。③IGスイッチ“ON”後,DS-Ⅱを使用して,ダイアグノーシス・コードを読み取る。

表示項目 内 容

現在ダイアグ・コード数 異常を示すダイアグノーシス・コードを表示

過去ダイアグ・コード数現在ダイアグノーシス・コードが正常復帰した後,過去ダイアグノーシス・コードとして表示

ペンディング・コード数

仮異常※を示すダイアグノーシス・コードを表示。異常であることは確定していないが異常の可能性を知ることができる。

※:故障評価方法が2トリップ以上のダイアグノーシス・コード(P0011/73など)において,1トリップ目の異常をエンジン・コントロール・コンピュータが記憶する。

図-17 DS-Ⅱによる表示

参考  ・トリップとはIGスイッチ“ON”から次のIGスイッチ“ON”までの運転サイクルのことをいう。

・故障評価方法が2トリップのダイアグノーシス・コードとは,1トリップ目で異常を検出し,2トリップ目

でも再度異常を検出したときに,ダイアグノーシス・コードを出力するもののことをいう。

・この場合,1トリップ目での異常検出は仮異常として扱われるため,ダイアグノーシス・コードは出力しな

いが,DS-Ⅱを用いることによって仮異常を検出している状態かどうかを確認することができる。(ペン

ディング・コード確認)

図-18 トリップ確認

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ダイハツ

ロ エンジン・チェック・ランプによる表示(図-19)

①車両を停止状態にする。②SSTを使用し,IGスイッチ“ON”の状態でDLCのEFI-T(12)~E(4)端子間を短絡させる。注意  ・DLCの短絡には必ず指定のSSTを使用する。

・短絡位置を間違えると故障の原因となるので絶対に間違えない。

SST  09991-87403-00009991-87404-000

参考  SST(エンジン・コントロール・システム・インスペクション・ワイヤ)を使用しない場合は,DLCをブラケッ

トより取り外して作業を行い,作業後はブラケットに確実に固定する。

③コンビネーション・メータ内のエンジン・チェック・ランプを点滅し,ダイアグノーシス・コードが表示される。参考  ダイアグノーシス・コードの表示は記憶しているすべてのコードを小さな番号順に繰り返し表示する。

図-19 エンジン・チェック・ランプによる表示

⑵ ダイアグノーシス・コード消去方法

イ DS-Ⅱによる消去

参考  ・異常コード発生箇所を点検修理したときは,次に示す方法でECUの記憶しているコードの消去を行う。

・エンジン始動中では消去できないコードがあるので,必ずIGスイッチ“ON”にして消去を行う。

・異常コードが消去できない場合は再び異常コード発生箇所の点検修理を行う。

・異常コードの消去を行うとフリーズ・フレーム・データも消去されるので,事前に消去してよいか確認する。

①車両を停止状態にする。②IGスイッチ“LOCK”後,DS-ⅡをDLCに接続する。③IGスイッチ“ON”後,DS-Ⅱを使用して,ダイアグノーシス・コードを消去する。ロ ヒューズ抜き取りによる消去

①車両を停止状態にする。②IGスイッチを“LOCK”にし,EFIヒューズを60秒間以上抜き取る。③記憶されているコードはIGスイッチを“LOCK”にし,EFIヒューズを60秒間以上外すことで消去できる。注意  バックアップ・ヒューズを取り外す場合は,念のためにほかのシステムのダイアグノーシス・コードを出力し,

確認し記録する。

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ダイハツ

参考  ・EFIヒューズはエンジン・ルーム内(リレー・ブロック内)にある。

・目安として,約60秒程度で消去できるが場合によっては,それ以上かかることがある。

・バッテリ電源,ヒュージブル・リンクなどのバックアップ回路の接続を切った場合も消去されるが消去に

要する時間が長くなることがある。

⑶ ダイアグノーシス・コード一覧

コードNo. ウォーニング表示(あり:○,なし:×)

コード記憶(あり:○,なし:×)

診断内容 故障評価方法4桁※1 2桁 診断系統 診断項目

P0010 74 ○ ○ OCV制御系統 オイル・コントロール・バルブ制御用電圧に異常が発生したとき 1トリップ

P0011 73 ○ ○ VVT制御(進角フェイル)

可変バルブ・タイミングの進角フェイルが検出されたとき・オイル・コントロール・バルブ異常,オイル通路の異物侵入

2トリップ

P0012 73 ○ ○ VVT制御(遅角フェイル)

可変バルブ・タイミングの遅角フェイルが検出されたとき・オイル・コントロール・バルブ異常,オイル通路の異物侵入

2トリップ

P0016 62 × ○バルブ・チェーン・タイミング・フェイル

カム角センサとエンジン回転センサのずれを5回連続して検出したとき・タイミング・チェーンの伸び

5トリップ

P0016 75 ○ ○バルブ・チェーン・タイミング・フェイル

バルブ・タイミングの異常が2回連続して発生したとき・タイミング・チェーンの伸び,誤組み付け,歯とび

2トリップ

P0070 46 × ○ A/C 外気温センサ

外気温センサからの信号に異常が発生したとき・センサの故障,信号系統の断線,短絡など

1トリップ

P0105 31 ○ ○ 吸気管圧力センサ信号系統

吸気管圧力・吸気温一体型センサ(吸気管圧力センサ部)からの信号に異常が発生したとき・センサの故障,信号系統の断線,短絡など

1トリップ

P0110 43 ○ ○ 吸気温センサ信号系統

吸気管圧力・吸気温一体型センサ(吸気温センサ部)からの信号に異常が発生したとき・センサの故障,信号系統の断線,短絡など

1トリップ

P0115 42 ○ ○ 水温センサ信号系統

水温センサからの信号に異常が発生したとき・センサの故障,信号系統の断線,短絡など

1トリップ

P0122 41 ○ ○メイン・スロットル・センサ信号系統(Low)

メイン・スロットル・センサからの信号に異常が発生したとき・センサの故障,信号系統の断線,短絡など

1トリップ

P0123 41 ○ ○メイン・スロットル・センサ信号系統(High)

メイン・スロットル・センサからの信号に異常が発生したとき・センサの故障,信号系統の断線,短絡など

1トリップ

P0130 21 ○ ○ フロントO2 センサ信号系統

フロントO2センサからの信号に異常が2回連続して発生したとき・センサの故障,信号系統の断線,短絡など

2トリップ

※1:故障診断装置を使用した場合の出力コードを示す。

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ダイハツ

コードNo. ウォーニング表示(あり:○,なし:×)

コード記憶(あり:○,なし:×)

診断内容 故障評価方法4桁※1 2桁 診断系統 診断項目

P0133 21 ○ ○ フロントO2 センサ応答性

フロントO2センサからの信号に異常が発生したとき・センサの故障,信号系統の断線,短絡など

2トリップ

P0135 23 ○ ○フロントO2 センサ・ヒータ信号系統

フロントO2センサ・ヒータ信号に異常が発生したとき・フロントO2センサ・ヒータ系統の断線,短絡など

2トリップ

P0136 22 ○ ○ リヤ O2 センサ信号系統

リヤO2センサからの信号に異常が2回連続して発生したとき・センサの故障,信号系統の断線,短絡など

2トリップ

P0141 24 ○ ○ リヤO2センサ・ヒータ

リヤO2センサ・ヒータ信号に異常が発生したとき・リヤO2センサ・ヒータ系統の断線,短絡など

2トリップ

P0171 25 ○ ○ 燃料系(リーン異常)

燃料系統の異常で空燃比が2回連続してリーン側にずれているとき・燃圧異常,インジェクタ,O2センサ異常など

2トリップ

P0172 26 ○ ○ 燃料系(リッチ異常)

燃料系統の異常で空燃比が2回連続してリッチ側にずれているとき・燃圧異常,インジェクタ,O2センサ異常など

2トリップ

P0222 41 ○ ○サブ・スロットル・センサ信号(Low)

サブ・スロットル・センサからの信号に異常が発生したとき・センサの故障,信号系統の断線,短絡など

1トリップ

P0223 41 ○ ○サブ・スロットル・センサ信号(High)

サブ・スロットル・センサからの信号に異常が発生したとき・センサの故障,信号系統の断線,短絡など

1トリップ

P0300 17 ○※2 ○ 失火イオン失火検出システムからの信号に異常が発生したとき・複数気筒失火検知

2トリップ

P0301 17 ○※2 ○ 失火(#1気筒)イオン失火検出システムからの信号に異常が発生したとき・#1気筒失火検知

2トリップ

P0302 17 ○※2 ○ 失火(#2気筒)イオン失火検出システムからの信号に異常が発生したとき・#2気筒失火検知

2トリップ

P0303 17 ○※2 ○ 失火(#3気筒)イオン失火検出システムからの信号に異常が発生したとき・#3気筒失火検知

2トリップ

P0325 18 ○ ○ ノック・センサ信号系統

ノック・センサからの信号に異常が発生したとき・センサの故障,信号系統の断線,短絡など

1トリップ

P0335 13 ○ ○ エンジン回転センサ信号系統

エンジン回転センサからの信号に異常が発生したとき・センサの故障,信号系統の断線,短絡など

1トリップ

P0340 14 ○ ○ カム角センサ信号系統

カム角センサからの信号に異常が発生したとき・センサの故障,信号系統の断線,短絡など

1トリップ

※1:故障診断装置を使用した場合の出力コードを示す。※2:触媒が溶損するおそれのある失火を検出した場合は,故障評価方法に関係なく点滅を行う。

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ダイハツ

コードNo. ウォーニング表示(あり:○,なし:×)

コード記憶(あり:○,なし:×)

診断内容 故障評価方法4桁※1 2桁 診断系統 診断項目

P0400 79 ○ ○ EGR機能故障 EGRガスの流量に異常が発生したとき 2トリップ

P0403 79 ○ ○ EGR断線ステッパ・モータ式EGRバルブ検出信号に異常が発生したとき・信号系統の断線,短絡など

1トリップ

P0420 27 ○ ○ 触媒劣化

エンジン暖機後約80km/hで定常走行中,リヤO2センサ出力のリーン/リッチ切り替わり周期が短いとき・センサの故障,触媒異常など

2トリップ

P0443 76 ○ ○ エバポ・パージVSV

エバポ・パージ用VSV検出信号に異常が発生したとき・信号系統の断線,短絡など

2トリップ

P0500 52 ○ ○ 車速信号系統

車速センサからの信号に異常が発生したとき・センサの故障,信号系統の断線,短絡など

2トリップ

P0512 54 ○ ○ スタータ信号系統

スタータからの信号に異常が発生したとき・信号系統の断線,短絡など

2トリップ

P0515 39 × ○ バッテリ温度センサ異常

バッテリ温度検出信号系統に異常が発生したとき・信号系統の断線,短絡など

1トリップ

P0530 47 × ○ 冷媒圧センサ信号系統

冷媒圧センサからの信号に異常が発生したとき・センサの故障,信号系統の断線,短絡など

1トリップ

P0535 44 × ○ A/C エバ温センサ信号系統

エアコン・エバポレータ温度センサからの信号に異常が発生したとき・センサの故障,信号系統の断線,短絡など

1トリップ

P0560 61 ○ ○ バックアップ電源断線

ECUバックアップ電源系統に異常が発生したとき・バックアップ電源系統の断線,短絡など

1トリップ

P0603※3 83 × ○

キー・フリー・システム/イモビライザ・システム通信系統(ECU異常)

キー・フリーECUとの通信におけるコードの照合がEFI・ECU内部の故障によりできないとき

1トリップ

P0607 41 ○ ○ ECU内部異常 ECU内部異常を検出したとき 1トリップP0620 28 × ○ ALTC異常 - 1トリップ

P0622 28 × ○オルタネータF-duty 信号系統

オルタネータF-duty信号に異常が発生したとき・信号系統の断線など

1トリップ

P0850 56 × ○ PNレンジ系統(断線異常)

CVT/eco・IDLE・ECUからの信号に異常が発生したとき・シフト・ポジション・スイッチ不良,ケーブル調整異常,信号系統の断線など

2トリップ

P0850 56 × ○ PNレンジ系統(短絡異常)

CVT/eco・IDLE・ECUからの信号に異常が発生したとき・シフト・ポジション・スイッチ不良,ケーブル調整異常,信号系統の短絡など

3トリップ

※1:故障診断装置を使用した場合の出力コードを示す。※3:キー・フリー・システム装着車

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ダイハツ

コードNo. ウォーニング表示(あり:○,なし:×)

コード記憶(あり:○,なし:×)

診断内容 故障評価方法4桁※1 2桁 診断系統 診断項目

P0AC0 38 × ○ 電流センサ異常バッテリ電流検出信号系統に異常が発生したとき・信号系統の断線,短絡など

1トリップ

P1399 36 ○ ○ イオン電流システム

イオン電流検知信号に異常が発生したとき・信号系統の断線,短絡など

2トリップ

P1400 36 × ○ イオン電流システム(#1気筒)

#1気筒のイオン電流検知信号に異常が発生したとき・信号系統の断線,短絡など

2トリップ

P1401 36 × ○ イオン電流システム(#2気筒)

#2気筒のイオン電流検知信号に異常が発生したとき・信号系統の断線・信号系統の断線,短絡など

2トリップ

P1402 36 × ○ イオン電流システム(#3気筒)

#3気筒のイオン電流検知信号に異常が発生したとき・信号系統の断線・信号系統の断線,短絡など

2トリップ

P1546 55 × ○ スタータ信号(出力)

スタータ・リレー駆動出力に異常が発生したとき・スタータ・リレー出力回路,出力モニタ回路の異常

1トリップ

P1603 - × ○ エンスト検出 - 1トリップP1604 - × ○ 始動不良 - 1トリップP1605 - × ○ アイドル不安定 - 1トリップ

P2101 41 ○ ○スロットル・モータ駆動回路異常

スロットル・モータ駆動回路に異常が発生したとき 1トリップ

P2102 41 ○ ○スロットル・モータ・リレーOFF異常

スロットル・モータ・リレー励磁側“ON”の状態で,モータ電源電圧を出力していないとき

1トリップ

P2103 41 ○ ○スロットル・モータ・リレーON異常

スロットル・モータ・リレー励磁側“OFF”の状態で,モータ電源電圧が出力されているとき

1トリップ

P2111 41 ○ ○ スロットル・バルブ開固着

スロットル・バルブの開固着を検出したとき 1トリップ

P2119 41 ○ ○ スロットル・システム異常

目標スロットル・バルブ開度と実スロットル・バルブ開度のズレが発生したとき

1トリップ

P2122 69 ○ ○メイン・アクセル・センサ信号系統(Low)

メイン・アクセル・センサからの信号に異常が発生したとき・センサの故障,信号系統の断線,短絡など

1トリップ

P2123 69 ○ ○メイン・アクセル・センサ信号系統(High)

メイン・アクセル・センサからの信号に異常が発生したとき・センサの故障,信号系統の断線,短絡など

1トリップ

P2127 69 ○ ○サブ・アクセル・センサ信号系統(Low)

サブ・アクセル・センサからの信号に異常が発生したとき・センサの故障,信号系統の断線,短絡など

1トリップ

P2128 69 ○ ○サブ・アクセル・センサ信号系統(High)

サブ・アクセル・センサからの信号に異常が発生したとき・センサの故障,信号系統の断線,短絡など

1トリップ

※1:故障診断装置を使用した場合の出力コードを示す。

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ダイハツ

コードNo. ウォーニング表示(あり:○,なし:×)

コード記憶(あり:○,なし:×)

診断内容 故障評価方法4桁※1 2桁 診断系統 診断項目

P2135 41 ○ ○ スロットル・センサ特性異常

メイン・スロットル開度とサブ・スロットル開度の差が所定値以上のとき 1トリップ

P2138 69 ○ ○ アクセル・センサ特性異常

メイン・アクセル開度とサブ・アクセル開度の差が所定値以上のとき 1トリップ

P2226 32 ○ ○ 大気圧センサ信号系統

エンジン始動後,大気圧センサからの信号が一定時間以上連続して出力されていないとき

1トリップ

U0001 88 ○ ○ CAN通信系統

すべてのCAN信号構成ECUとの通信確立履歴がないとき・EFI・ECUのCAN通信端子の配線の断線など

1トリップ

U0101 82 ○ ○EAT/DCVT通信系統(受信異常)

CVT・ECUからの通信信号が受信できないとき・EFI・ECU~CVT・ECU間の配線の断線,短絡など

1トリップ

U0101 85 ○ ○ EAT通信系統(送信異常)

CVT・ECUへの通信信号が送信できないとき・EFI・ECU~CVT・ECU間の配線の断線,短絡など

1トリップ

U0121 86 ○ ○ ABS通信系統

ABS・ECUからの通信信号が受信できないとき・EFI・ECU~ABS・ECU間の配線の断線,短絡など

1トリップ

U0156 87 ○ ○ メータ通信系統

メータECUからの通信信号が受信できないとき・EFI・ECU~メータECU間の配線の断線,短絡など

1トリップ

U0164 89 ○ ○ A/C 通信系系統

オート・エアコン・アンプリファイヤからの通信信号が受信できないとき・EFI・ECU~オート・エアコン・アンプリファイヤ間の配線の断線,短絡など

1トリップ

U0167※3 81 × ○

キー・フリー/イモビライザ・システム通信系統(コード不一致,通信エラー)

キー・フリーECUとの通信エラー時,又はコード照合において不一致になったとき

1トリップ

U1103 84 ○ ○ エコラン通信(受信)

eco・IDLE・ECUからの通信信号が受信できないとき 1トリップ

※1:故障診断装置を使用した場合の出力コードを示す。※3:キー・フリー・システム装着車

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ダイハツ

2) 外部診断器及び車載故障診断装置の活用による点検・整備

エンジン系統に不具合が発生し,エンジン警告灯(車載故障診断装置)の点灯,外部診断器によりダイアグノーシス・コードが出力された場合には,ダイアグノーシス・コード一覧表の項目に従って点検・整備を行う必要がある。ここでは,以下に示すエンジン回転センサ信号系統異常,スタータ信号系統異常,アクセル・センサ特性異常を例とした点検・整備方法を説明する。ⅰ) エンジン回転センサ信号系統①症状:エンジン警告灯点灯,ダイアグノーシス・コードP0335(4けた)/13(2けた)出力   エンジン始動しない②故障原因:エンジン回転センサ信号線の短絡③点検方法:外部診断器を使用しない場合ⅱ) スタータ信号系統①症状:エンジン警告灯点灯,ダイアグノーシス・コードP0512(4けた)/54(2けた)出力   クランキング異常②故障原因:信号線の断線③点検方法:外部診断器を使用する場合ⅲ) アクセル・センサ系統異常①症状:エンジン警告灯点灯,ダイアグノーシス・コードP2138(4けた)/69(2けた)出力   出力不足,加速不良②故障原因:アクセル・センサ不良(サブ側特性不良)③点検方法:外部診断器を使用する場合⑴ エンジン回転センサ信号系統異常(図-20)

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ダイハツ

③次の点について確認する。ⓐ図中の気筒判別信号(A),(B)がそれぞれ出ている。ⓑエンジン回転速度が高くなるにつれて,波形周期が短くなる。▼OKの場合は,⒝へ進む。▼NGの場合は,⒞へ進む。

図-20 エンジン回転センサ信号系統

イ 症 状

エンジン警告灯点灯,ダイアグノーシス・コードP0335(4けた)/13(2けた)出力,エンジン始動しない

ダイアグノーシス・コード 診断項目 診断内容

P0355(外部診断器使用)13(車載故障診断装置使用)

エンジン回転センサ信号系統

〈モニタ領域〉・バッテリ電圧が約8V以上・エンジン・クランキング中〈判定条件〉・エンジン回転センサ信号入力がない状態が約2秒以上継続

ロ 原因説明

クランク角度を検出するためにクランクシャフト前部にシグナル・ロータを取り付け,このシグナル・ロータに設けられた突起に対応するエンジン回転センサを設けている。クランクシャフトが回転するとシグナル・ロータに設けられた突起とエンジン回転センサ間のエア・ギャップが変化することで磁束が変化しパルスを発生する。このパルス間隔によってエンジン回転速度を算出する。センサ系統に断線などの不具合が発生すると,エンジン回転センサからの入力信号途絶を検出し,ダイアグノーシス・コードを記憶すると共に,エンジン警告灯を点灯させユーザに警告する。ハ 点検方法

〈外部診断器を使用しない場合〉

⒜ 現象確認(図-21)

①SSTを接続する。SST:09842-97209-000

②オシロスコープを使用して,次の端子間の出力波形を点検する。・SST49(N1+)~SST90(N1-)間

時間軸 10ms/DIV電圧軸 2V/DIV測定条件 エアコン“OFF”,電気負荷なし,アイドリング時

エアコン“OFF”:エアコン・スイッチ(ACSW),ブロワ・スイッチ(BLW),マグネット・クラッチ(MGC)がすべて“OFF”の状態。参考  波形は特定できないが,図のような波形(一例)が出る

ことを確認する。

図-21 現象確認

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ダイハツ

⒝ 再現手法の実施

①現象確認で異常がない場合は,以下のいずれかの状態にある。ⓐこの系統に不具合が発生していたが,現在は正常な状態に戻ってしまっているⓑEFI・ECU(電源系を含む)の異常

②ダイアグノーシス・コードを消去する。③フリーズ・フレーム・データ,問診内容などを参考に,再現手法を用いて引き続き点検を実施し異常がないかを確認する。参考  点検で異常が確認できないにもかかわらず,ダイアグノーシス・コードが再出力される場合は,EFI・ECU(電

源系不良,コネクタ接触不良含む)の異常が考えられる。

⒞ 不具合原因推定

⒜で測定したEFI・ECU端子入力信号より不具合原因を推定する。不具合原因推定表

EFI・ECU入力電圧 不具合原因

約0V

信号線不良(断線,地絡)センサ取り付け状態不良センサ異物付着

シグナル・ロータ不良

その地異常・パルス波形の入力電圧が低いとき・パルス波形にノイズがあるとき 

コネクタ接触状態不良センサ取り付け状態不良 センサ異物付着

シグナル・ロータ不良シールド線不良

▼⒟へ進む⒟ エンジン回転センサ点検

①エンジン回転センサ接続コネクタの接触状態を点検する。基準:異常なし

②エンジン回転センサの取り付け状態を点検する。基準:異常なし

③エンジン回転センサの単体点検を行う。▼OKの場合は,⒠へ進む。▼NGの場合は,コネクタの接触状態又はセンサ取り付け状態を修理,もしくはエンジン回転センサを交換し⒣へ進む。

⒠ ワイヤ・ハーネス点検

①EFI・ECU及びエンジン回転センサのコネクタ接触状態を点検する。基準:異常なし

②次の車両ハーネス側コネクタ端子間の導通,短絡を点検する。ⓐ[信号線+(N1+)]EFI・ECU(49)~エンジン回転センサ(1)ⓑ[信号線-(N1-)]EFI・ECU(90)~エンジン回転センサ(2)ⓒ[アース線(E)]エンジン回転センサ(3)~ボデー・アース基準:導通あり かつ 短絡なし

▼OKの場合は,⒡へ進む。▼NGの場台は,アース線,信号回線又はコネクタを修理,交換し⒣へ進む。

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ダイハツ

⒡ その他要因点検

①エンジン回転センサに異物が付着していないか目視により点検する。基準:異物の付着がない

②クランクシャフトのシグナル・ロータ部に歯欠け又は変形がないかを目視により点検する。基準:歯欠け,変形がない

▼OKの場合は,⒢へ進む。▼NGの場合は,異物清掃又はクランクシャフトを交換し⒣へ進む。

⒢ EFI・ECUユニット回路点検

電源系統,アース系統及びコネクタ接触状態点検を行う。▼OKの場合は,EFI・ECUを交換し⒣へ進む。▼NGの場合は,不具合のあるハーネス又はコネクタを修理,交換し⒣へ進む。

⒣ 確認テスト(図-22)

①SSTを接続する。SST:09842-97209-000

②次の端子間について出力点検をオシロスコープにて行う。・SST49(N1+)~SST90(N1-)間

時間軸 10ms/DIV電圧軸 2V/DIV測定条件 エアコン“OFF”,電気負荷なし,アイドリング時

エアコン“OFF”:エアコン・スイッチ(ACSW),ブロワ・スイッチ(BLW),マグネット・クラッチ(MGC)がすべて“OFF”の状態。参考  波形は特定できないが,図のような波形(一例)が出る

ことを確認する。

③次の点について確認する。ⓐ図中の気筒判別信号(A),(B)がそれぞれ出ている。ⓑエンジン回転速度が高くなるにつれてに波形周期が短くなる。▼OKの場合は,終了。▼NGの場合は,⒟へ進む。

図Ⅱ-22 確認テスト

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ダイハツ

⑵ スタータ信号系統異常(図-23)

図-23 スタータ信号系統

イ 症 状

エンジン警告灯点灯,ダイアグノーシス・コードP0512(4けた)/54(2けた)出力,クランキング異常

ダイアグノーシス・コード 診断項目 診断内容

P0512(外部診断器使用)54(車載故障診断装置使用) スタータ信号

〈モニタ領域〉・エンジン始動後〈判定条件〉下記条件のいずれか・⑴スタータ・スイッチ信号“ON”が約30秒以上継続・⑵CVT/eco・IDLE・ECUによるスタータ駆動信号入力が30秒以上継続

ロ 原因説明

スタータ始動後,エンジン・コントロール・コンピュータは完全作動開始を検知するまでスタータ・リレーNo.1及びNo.2に作動信号を送り続ける。クランキング開始後,エンジン・コントロール・コンピュータは

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ダイハツ

エンジン回転センサ信号よりエンジン回転速度を規定値に達したことを検知すると,エンジン始動成功と判断し,スタータ・リレーへの信号を停止する。信号線に断線などの不具合が発生すると,入力信号途絶を検出し,ダイアグノーシス・コードを記憶すると共に,エンジン警告灯を点灯させユーザに警告する。ハ 点検方法

〈外部診断器(DS-Ⅱ)を使用する場合〉

⒜ 現象確認

①SSTを接続する。SST:09842-97209-000

②次の端子間について電圧の測定を行う。ⓐSST39(STSW)~SST20(E01)間 基準:・クランキング時:バッテリ電圧    ・クランキング時以外:0V付近

ⓑSST40(HGS1)~SST20(E01)間 基準:・アイドル・ストップ状態からエンジン再始動時:バッテリ電圧    ・アイドル・ストップ状態からエンジンが再始動時できないとき:0V付近

▼OKの場合は,⒝へ進む。▼NGの場合は,⒞へ進む。

⒝ 再現手法の実施

①現象確認で異常がない場合は,以下のいずれかの状態にある。ⓐこの系統に不具合が発生していたが,現在は正常な状態に戻ってしまっているⓑEFI・ECU(電源系を含む)の異常②ダイアグノーシス・コードを消去する。③フリーズ・フレーム・データ,問診内容などを参考に,再現手法を用いて引き続き点検を実施し異常がないかを確認する。参考  点検で異常が確認できないにもかかわらず,ダイアグノーシス・コードが再出力される場合は,EFI・ECU(電

源系不良,コネクタ接触不良含む)の異常が考えられる。

⒞ 不具合原因推定

⒜で測定したEFI・ECU端子入力信号より不具合原因を推定する。不具合原因推定表

EFI・ECU入力電圧 不具合原因

STSW

IGスイッチ“ON”時:バッテリ電圧 信号線不良(天絡)キー・フリー・システム不良

クランキング時:約0V

信号線不良(断線,地絡)電源線不良

コネクタ接触状態不良キー・フリー・システム不良

HGS1

IGスイッチ“ON”時:バッテリ電圧信号線不良(天絡)

スタータ・リレーNo.2不良eco・IDLEシステム不良

アイドル・ストップ状態からのエンジン再始動時:約0V

信号線不良(断線,地絡)コネクタ接触状態不良

スタータ・リレーNo.2不良eco・IDLEシステム不良

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ダイハツ

▼キー・フリー・システム非装着車は,⒟へ進む。▼キー・フリー・システム装着車は,⒠へ進む。

⒟ IGスイッチ点検(キー・フリー・システム非装着車)

①IGスイッチ接続コネクタの接触状態を点検する。基準:異常なし

②IGスイッチ取り付け状態を点検する。基準:異常なし

③IGスイッチの単体点検を行う。▼OKの場合は,⒠へ進む。▼NGの場合は,コネクタの接触状態又はIGスイッチ取り付け状態を修理,交換。もしくはIGスイッチを交換し⒣へ進む。

⒠ eco・lDLEシステム点検

①DS-Ⅱを使用して,eco・IDLEシステムのダイアグノーシス・コードを読み取る。②ダイアグノーシス・コードP0512/54(スタータ信号系統)が出力されないことを確認する。基準:出力されない

▼OKの場合は,⒡へ進む。▼NGの場合は,P0512/54(スタータ信号系統)の点検を行い⒣へ進む。

⒡ ワイヤ・ハーネス点検

①EFI・ECU,IGスイッチ又はキー・フリーECUのコネクタ接触状態を点検する。基準:異常なし

②次の車両ハーネス側コネクタ端子間の導通,短絡を点検する。ⓐ[電源線①(AM2)]IG・AM2ヒューズ~IGスイッチ(5)(キー・フリー・システム非装着車)ⓑ[電源線②(AM2)]AM2ヒュージブル・リンク~スタータ・リレーNo.1(3)ⓒ[信号線①(STSW)]EFI・ECU(39)~IGスイッチ(7)(キー・フリー・システム非装着車)ⓓ[信号線①(STSW)]EFI・ECU(39)~キー・フリーECU(B4)・(キー・フリー・システム装着車)ⓔ[信号線②(HGS1)]EFI・ECU(40)~スタータ・リレーNo.2(5)基準:導通あり かつ 短絡なし

▼OKの場合は,⒢へ進む。▼NGの場合は,電源線,信号線又はコネクタを修理,交換し⒣へ進む。

⒢ EFI・ECUユニット回路点検

電源系統,アース系統及びコネクタ接触状態点検を行う。▼OKの場合は,EFI・ECUを交換し⒣へ進む。▼NGの場合は,不具合のあるハーネス又はコネクタを修理,交換し⒣へ進む。

⒣ 確認テスト

①SSTを接続する。SST:09842-97209-000

②次の端子間について電圧の測定を行う。ⓐSST39(STSW)~SST20(E01)間 基準:・クランキング時:バッテリ電圧    ・クランキング時以外:0V付近

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ダイハツ

ⓑSST40(HGS1)~SST20(E01)間 基準:・アイドル・ストップ状態からのエンジン再始動時:バッテリ電圧    ・アイドル・ストップ状態からエンジンが再始動できない:0V付近

▼OKの場合は,終了。▼NGの場合キー・フリー・システム非装着車は,⒟へ進む。▼NGの場合キー・フリー・システム装着車は,⒠へ進む。

⑶ アクセル・センサ系統異常(図-24)

図-24 アクセル・センサ系統

イ 症 状

エンジン警告灯点灯,ダイアグノーシス・コードP2138(4けた)/69(2けた)出力,出力不足,加速不良

ダイアグノーシス・コード 診断項目 診断内容

P2138(外部診断器使用)69(車載故障診断装置使用)

アクセル・センサ特性異常

〈モニタ領域〉・バッテリ電圧が約6.2V以上・メイン・アクセル・センサ系統が断線,短絡していない・サブ・アクセル・センサ系統が断線,短絡していない〈判定条件〉・メイン・アクセル開度とサブ・アクセル開度の差が所定値以上の状態が約0.5秒以上継続

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ダイハツ

ロ 原因説明

アクセル・ポジション・センサは,アクセル・ペダルに取り付けられており,アクセル・ペダル踏み込み量を検出する。センサ出力特性の異なる2系統センサとし,各センサに対してVC電源,アースを独立させ,信頼性を確保している。アクセル・ポジション・センサは磁界の強さを電気信号として取り出すことのできるホール素子を使用した非接点式センサで,アクセル開度と連動して変化する磁界角度の変化により開度を検出している。信号線に断線などの不具合が発生すると,入力信号途絶を検出し,ダイアグノーシス・コードを記憶すると共に,エンジン警告灯を点灯させユーザに警告する。ハ 点検方法

〈外部診断器(DS-Ⅱ)を使用する場合〉

⒜ 現象確認

①DS-Ⅱを使用して,IGスイッチ“ON”,エンジン停止,アクセル・ペダル全閉時のデータ・モニタ[メインアクセルセンサ開度],[サブアクセルセンサ開度]を読み取る。基準:・10~20%[メイン・アクセル・センサ開度]

   ・25~35%[サブ・アクセル・センサ開度]

②DS-Ⅱを使用して,IGスイッチ“ON”,エンジン停止,アクセル・ペダルを徐々に踏み込んだときのデータ・モニタ[メインアクセルセンサ開度],[サブアクセルセンサ開度]を読み取る。基準:踏み込み量に応じて上昇する

③DS-Ⅱを使用して,IGスイッチ“ON”,エンジン停止,アクセル・ペダル全開時のデータ・モニタ[メインアクセルセンサ開度],[サブアクセルセンサ開度]を読み取る。基準:・65~75%[メインアクセルセンサ開度]

   ・80~90%[サブアクセルセンサ開度]

▼OKの場合は,⒝へ進む。▼NGの場合は,⒞へ進む。

⒝ 再現手法の確認

①現象確認で異常がない場合は,以下のいずれかの状態にある。ⓐこの系統に不具合が発生じていたが,現在は正常な状態に戻ってしまっている。ⓑEFI・ECU(電源系を含む)の異常。②ダイアグノーシス・コードを消去する。③フリーズ・フレーム・データ,問診内容などを参考に,再現手法を用いて引き続き点検を実施し異常がないかを確認する。参考  点検で異常が確認できないにもかかわらず,ダイアグノーシス・コードが再出力される場合は,EFI・ECU(電

源系不良,コネクタ接触不良含む)の異常が考えられる。

⒞ アクセル・センサ点検①

①アクセル・ペダルのコネクタ接触状態点検を行う。基準:異常なし

②アクセル・ペダルの取り付け状態を点検する。基準:異常なし

▼OKの場合は,⒟へ進む。

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ダイハツ

▼NGの場合は,コネクタ接触状態。もしくはアクセル・ペダルの取り付け状態を修理し⒢へ進む。⒟ ECU機能点検

①SSTを接続する。SST:09842-97209-000

②アクセル・センサのコネクタを切り離す。③1Gスイッチを“ON”にして,次の端子間について電圧の測定を行う。ⓐSST87(VCPA)~SST118(EPA)間ⓑSST86(VCPA2)~SST117(EPA2)間基準:約5V

▼OKの場合は,⒠へ進む。▼NGの場合は,⒡へ進む。

⒠ アクセル・センサ点検②

①アクセル・ペダルを正常品と交換する。②不具合現象が再現するか確認する。基準:不具合が再現しない

▼OKの場合は,もとのアクセル・ペダルを交換し⒢へ進む。▼NGの場合は,⒡へ進む。

⒡ EFI・ECUユニット回路点検

①電源系統,アース系統及びコネクタ接触状態点検を行う。▼OKの場合は,EFI・ECUを交換し⒢へ進む。▼NGの場合は,不具合のあるハーネス又はコネクタを修理,交換し⒢へ進む。

⒢ 確認テスト

①DS-Ⅱを使用して,IGスイッチ“ON”,エンジン停止,アクセル・ペダル全閉時のデータ・モニタ[メインアクセルセンサ開度],[サブアクセルセンサ開度]を読み取る。基準:・10~20%[メインアクセルセンサ開度]

   ・25~35%[サブアクセルセンサ開度]

②DS-Ⅱを使用して,IGスイッチ“ON”,エンジン停止,アクセル・ペダルを徐々に踏み込んだときのデータ・モニタ[メインアクセルセンサ開度],[サブアクセルセンサ開度]を読み取る。基準:踏み込み量に応じて上昇する

③DS-Ⅱを使用して,IGスイッチ“ON”,エンジン停止,アクセル・ペダル全開時のデータ・モニタ[メインアクセルセンサ開度],[サブアクセルセンサ開度]を読み取る。基準:・65~75%[メインアクセルセンサ開度]

   ・80~90%[サブアクセルセンサ開度]

▼OKの場合は,終了。▼NGの場合は,⒞へ進む。

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参 考

1) システム配線図

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2) コンピュータ・コネクタ端子配列図

端子番号 端子記号 端子名称 端子番号 端子記号 端子名称1 - - 41 - -2 - - 42 BLW ヒータ・ブロワ信号3 - - 43 STP ストップ・ランプ信号

4 - - 44 FPOF エアバッグ・フューエル・ポンプOFF要求信号

5 BAT バックアップ電源 45 - -6 CANL CAN通信LO 46 - -7 CANH CAN通信HI 47 MRO メイン・リレー8 LCAN CAN通信LO 48 N2+ カム角センサ(+)9 HCAN CAN通信HI 49 N1+ エンジン回転センサ(+)10 ETRB スロットル・モータ・リレー電源 50 - -11 - - 51 OX1 フロントO2センサ信号12 ETR スロットル・モータ・リレー 52 PIM 吸気管圧力センサ13 +BM スロットル・モータ電源 53 - -14 M- スロットル・モータ(-) 54 THW 水温センサ15 M+ スロットル・モータ(+) 55 THA 吸気温センサ16 - - 56 VC バッテリ電流センサ電源17 MR01 スロットル・モータ・アース 57 CM2 バッテリ電流センサ信号18 OXH1 フロントO2センサ・ヒータ 58 BATTP2 バッテリ温度センサ信号19 - - 59 OXH2 リヤO2センサ・ヒータ20 E01 パワー系アース 60 - -21 - - 61 IG3 イグニション・コイル(#3)22 #30 インジェクタ(#3) 62 IG2 イグニション・コイル(#2)23 #20 インジェクタ(#2) 63 IG1 イグニション・コイル(#1)24 #10 インジェクタ(#1) 64 ALTDO オルタネータ電圧制御出力25 - - 65 PRG エバポ・パージ用VSV26 OCV1 オイル・コントロール・バルブ 66 - -27 +B1 EFI・ECU電源 67 - -28 - - 68 EGR2 ステッパ・モータ式EGRバルブ229 ACSW エアコン・スイッチ 69 EGR1 ステッパ・モータ式EGRバルブ130 E24 冷媒圧センサ・アース 70 - -31 E23 外気温センサ・アース 71 ACAD 冷媒圧センサ出力32 - - 72 - -33 VCO 冷媒圧センサ電源 73 OUTT 外気温センサ34 FC2 フューエル・ポンプ・リレー 74 - -35 - - 75 - -36 MGC マグネット・クラッチ・リレー 76 SL スタータ・リレー駆動信号37 FAN1 ラジエータ・ファン・リレー 77 - -38 - - 78 - -39 STSW スタータ信号 79 - -40 HGS1 スタータ駆動人力 80 EFIT EFI-Tチェック端子

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端子番号 端子記号 端子名称 端子番号 端子記号 端子名称81 - - 109 - -82 - - 110 - -83 - - 111 - -84 ACEV エアコン・エバポレータ温度センサ 112 - -85 VPA メイン・アクセル・センサ出力 113 - -86 VCPA2 サブ・アクセル・センサ電源 114 REV エンジン回転信号87 VCPA メイン・アクセル・センサ電源 115 REV2 DLC(REV端子)

88 SI02 キー・フリー通信(キー・フリー・システム装着車) 116 E21 エバポレータ温度センサ・アース

89 N2- カム角センサ(-) 117 EPA2 サブ・アクセル・センサ・アース90 N1- エンジン回転センサ(-) 118 EPA メイン・アクセル・センサ・アース91 VCTA スロットル・センサ電源 119 VPA2 サブ・アクセル・センサ出力

92 VTA1/TVH メイン・スロットル・センサ出力 120 IGSW IGスイッチ

93 VCPM センサ電源(吸気管圧力センサ専用) 121 - -

94 E2PM センサ・アース(吸気管圧力センサ専用) 122 - -

95 E2G ノック・センサ・シールド線 123 ETA スロットル・センサ・アース96 OX2 リヤO2センサ信号 124 VTA2 サブ・スロットル・センサ出力97 - - 125 - -98 ICMB3 イオン電流燃焼制御信号(#3) 126 E2 エンジン・センサ・アース99 ICMB2 イオン電流燃焼制御信号(#2) 127 KNK ノック・センサ100 ICMB1 イオン電流燃焼制御信号(#1) 128 - -101 ALTDI オルタネータF-duty入力 129 - -102 - - 130 - -103 - - 131 - -104 - - 132 - -105 EGR4 ステッパ・モータ式EGRバルブ4 133 ALT オルタネータ・カット制御出力106 EGR3 ステッパ・モータ式EGRバルブ3 134 ATNE CVT用エンジン回転信号107 - - 135 - -108 STR+ スタータ・リレー - - -

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ダイハツ

3) ECU入出力信号基準値

点検系統 端子 測定条件 基準値

電源系27(+B1)~20(E01) IGスイッチ“ON”時

バッテリ電圧5(BAT)~20(E01) 常時

吸気管圧力センサ系93(VCPM)~94(E2PM) IGスイッチ“ON”時 4.5~5.5V

52(PIM)~94(E2PM)センサ大気開放時 3.1~4.1Vエンジン始動後 アクセル開度に応じて変化

スロットル・ポジション・センサ系 91(VCTA)~123(ETA) IGスイッチ“ON”時 4.5~5.5V

アクセル・センサ系87(VCPA)~118(EPA) IGスイッチ“ON”時 4.5~5.5V86(VCPA2)~117(EPA2) IGスイッチ“ON”時 4.5~5.5V

水温センサ系 54(THW)~126(E2) 暖機時(水温60~120℃) 0.3~1.3V吸気温センサ系 55(THA)~126(E2) 暖機時 0.5~4.3Vノック・センサ系 127(KNK)~126(E2) アイドリング時 約2.4V

エンジン回転センサ系 49(N1+)~90(N1-) アイドリング時 パルス発生カム角センサ系 48(N2+)~89(N2-) アイドリング時 パルス発生

フロントO2センサ系 51(OX1)~126(E2) 3000rpmで4分間保持 0.2~1.0V間で保持リヤO2センサ系 96(OX2)~126(E2) 3000rpmで4分間保持後 0.2~1.0V間を変動

インジェクタ系24(#10)~20(E01)

IGスイッチ“ON”時クランキング時

バッテリ電圧パルス発生23(#20)~20(E01)

22(#30)~20(E01)

点火系63(IG1)~20(E01)

IGスイッチ“ON”時クランキング時

0~0.11Vパルス発生62(IG2)~20(E01)

61(IG3)~20(E01)

イオン電流燃焼制御システム系100(ICMB1)~20(E01) アイドリング時

(エアコン“ON”時,電気負荷あり時)

パルス発生99(ICMB2)~20(E01)98(ICMB3)~20(E01)

フューエル・ポンプ系 34(FC2)~20(E01)フューエル・ポンプ停止状態 バッテリ電圧

アイドリング時(又はクランキング時) 1.2V以下

スタータ・スイッチ信号系 39(STSW)~20(E01)スタータ・スイッチ“ON”時 バッテリ電圧スタータ・スイッチ“OFF”時 0V付近

スタータ駆動出力系 108(STR+)~20(E01)スタータ・リレー駆動時 バッテリ電圧スタータ・リレー非駆動時 0V付近

エアコン入力信号系 29(ACSW)~20(E01)エアコン作動時 バッテリ電圧エアコン非作動時 0~0.5V

冷媒圧センサ系33(VCO)~30(E24) IGスイッチ“ON”時 4.75~5.25V71(ACAD)~30(E24) IGスイッチ“ON”時 3.1~4.1V

マグネット・クラッチ・リレー系 36(MGC)~20(E01)

エアコン・リレー“ON”時 0V付近エアコン・リレー“OFF”時 バッテリ電圧

ストップ・ランプ系 43(STP)~20(E01)ストップ・ランプ点灯時 バッテリ電圧ストップ・ランプ消灯時 0~0.5V

ブロワ系 42(BLW)~20(E01)

ヒータ・ブロワ・スイッチ“ON”時 0~0.5V

ヒータ・ブロワ・スイッチ“OFF”時 バッテリ電圧

ラジエータ・ファン制御系 37(FAN1)~20(E01)マグネット・クラッチ“ON”時 1V以下マグネット・クラッチ“OFF”時 バッテリ電圧

可変バルブ・タイミング制御系 27(+B1)~26(OCV1) アイドリング時 パルス発生エンジン回転出力系 114(REV)~20(E01) アイドリング時 パルス発生

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ダイハツ

点検系統 端子 測定条件 基準値バッテリ電流センサ系 57(CM2)~126(E2) 暖機後,アイドリング時 0.5~4.5V

バッテリ温度センサ系 58(BATTP2)~126(E2) IGスイッチ“ON”,エンジン停止時 0.5~4.5V

オルタネータ系

64(ALTDO)~126(E2)

アイドリング時(エアコン“OFF”時,電気負荷なし時)

パルス発生

アイドリング時(エアコン“ON”時,電気負荷あり時)

101(ALTDI)~126(E2)

アイドリング時(エアコン“OFF”時,電気負荷なし時)アイドリング時(エアコン“ON”時,電気負荷あり時)

ステッパ・モータ式EGRバルブ制御系

69(EGR1)~27(+B1)

クランキング時 パルス発生68(EGR2)~27(+B1)106(EGR3)~27(+B1)105(EGR4)~27(+B1)

アース系126(E2)~ボデー間

常時 導通あり20(E01)~ボデー間116(E21)~ボデー間

4) ECUデータ・モニタ参考値一覧

項目名称(短縮名称) 点検条件 参考値

燃料ステータス(バンク1)(FS1)

エンジン冷機時のオープン・ループ制御時 OL空燃比フィードバック制御実施中(エンジン暖機後,アイドル回転時など) CL

パワー増量制御,減速減量制御などのオープン・ループ制御時 OL-Drv

O2センサ異常時のオープン・ループ制御時 OL-Flt

計算ロード値(LOAD)

エンジン暖機後,アイドル回転時電気負荷なし 10~30%

エンジン暖機後,2000rpm時電気負荷なし,P又はNレンジ 15~25%

水温(ECT)

完全冷機状態IGスイッチ“ON”,エンジン停止 外気温とほぼ同じ

エンジン始動後 水温の上昇に応じて変化するエンジン完全暖機 85~105℃エンジン暖機後,ラジエータ・ファン作動時 102℃

短期燃料トリムバンク(SHRTFT)

中央値 0%

燃料増量補正時プラス表示

(+25%以上だとリーン異常の懸念あり)

燃料減量補正時マイナス表示

(-25%以上だとリッチ異常の懸念あり)

長期燃料トリムバンク(LONGFT)

中央値 0%エンジンの空燃比がリーン傾向にある場合 プラス表示エンジンの空燃比がリッチ傾向にある場合 マイナス表示

吸気管圧力(MAP)

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時 約101kPa(大気圧とほぼ同じ)エンジン暖機後,アイドル回転時電気負荷なし 32~52kPa

エンジン・レーシング 吸気管圧力に応じて変化するエンジン暖機後,4000rpm以上,アクセル全開走行時 90~112kPa

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ダイハツ

項目名称(短縮名称) 点検条件 参考値

エンジン回転数(Rpm)

水温約20℃,アイドル回転時電気負荷なし 1700~1900rpm

エンジン暖機後,アイドル回転時電気負荷なし 750~850rpm

エンジン暖機後,アイドル回転時エアコン“ON” 900~1000rpm

車速(VS)

IGスイッチ“ON”,停車時 0km/h走行中 スピードメータとほぼ同じ

点火時期進角(ITA)

クランキング時電気負荷なし,P又はNレンジ 3~7°

エンジン暖機後,アイドル回転時電気負荷なし,P又はNレンジ -4~2°

エンジン暖機後,2000rpm時電気負荷なし,P又はNレンジ 15~20°

T端子短絡,アイドル回転時 8~12°吸気温度(IAT) IGスイッチ“ON” 吸気口周辺温度と同じ

空気量(AFM)

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時 0g/sエンジン暖機後,アイドル回転時電気負荷なし,P又はNレンジ 0.5~1.5g/s

エンジン暖機後アクセル・ペダルを徐々に踏み込む電気負荷なし,P又はNレンジ

踏み込み量に応じて上昇する

メインスロットルセンサ開度(TP_M)

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時アクセル・ペダル全閉時 10~20%

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時アクセル・ペダルを徐々に踏み込む 踏み込み量に応じて上昇する

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時アクセル・ペダル全開時 75~85%

FrO2センサ出力電圧(O2FV)

エンジン暖機後,空燃比フィードバック制御中 0~1Vの間で周期的に変化するエンジン暖機後,車両停止P又はNレンジ素早いレーシングを約10回連続して実施

1V付近

エンジン暖機後,アイドル運転,車両停止アクティブ・テストでフューエル・ポンプを停止

0V付近(その後エンスト)

フューエル・カット走行時 0V付近

FrO2短期燃料補正(O2FP)

中央値 0%付近燃料増量補正時 プラス表示燃料減量補正時 マイナス表示

RrO2センサ出力電圧(O2RV)

エンジン暖機後,空燃比フィードバック制御中 0~1Vの間で緩やかに変化するエンジン暖機後,車両停止P又はNレンジ素早いレーシングを約10回連続して実施

1V付近(反応はフロントO2センサより

遅い)

エンジン暖機後,アイドル回転時,車両停止アクティブ・テストでフューエル・ポンプを停止

0V付近(その後エンスト)

(反応はフロントO2センサより遅い)

フューエル・カット走行時0V付近

(反応はフロントO2センサより遅い)

RrO2短期燃料補正(O2RP)

エンジン暖機後,3000rpm時(エンジン無負荷) 12.5~87.5%

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ダイハツ

項目名称(短縮名称) 点検条件 参考値エンジン始動後経過時間

(T_AES) - -

故障時走行距離(DWM) - -

EGR出力(EGRPCT)

アイドル回転時 0%・水温70℃以上に上昇後60秒以上経過・アイドル運転後,車速約60km/hで定常走行 15~35%

EGRエラー(EGRERR)

・水温70℃以上に上昇後60秒以上経過・アイドル運転後,車速約60km/hで定常走行 0%

エバポ・パージ出力(EVAP)

アイドル回転時 0%エンジン始動後約5分経過エンジン暖機後,2000rpm以上 パージ制御に応じて変化する

大気圧(BARO) IGスイッチ“ON” 大気圧と同等

電源電圧(VPWR)

IGスイッチ“ON”,エンジン停止,電気負荷なし 11~13Vアイドル回転時,電気負荷なし 12.5~15.5V

相対スロットル開度(TP_R)

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時アクセル・ペダル全閉時 0~10%

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時アクセル・ペダルを徐々に踏み込む 踏み込み量に応じて上昇する

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時アクセル・ペダル全開時 95~100%

サブスロットルセンサ開度(TP_S)

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時アクセル・ペダル全閉時 30~40%

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時アクセル・ペダルを徐々に踏み込む 踏み込み量に応じて上昇する※

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時アクセル・ペダル全開時 80~90%

メインアクセルセンサ開度(AP_M)

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時アクセル・ペダル全閉時 10~20%

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時アクセル・ペダルを徐々に踏み込む 踏み込み量に応じて上昇する

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時アクセル・ペダル全開時 65~75%

サブアクセルセンサ開度(AP_S)

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時アクセル・ペダル全閉時 25~35%

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時アクセル・ペダルを徐々に踏み込む 踏み込み量に応じて上昇する

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時アクセル・ペダル全開時 80~90%

目標スロットル開度(TP_T)

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時アクセル・ペダル全閉時 0~10%

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時アクセル・ペダルを徐々に踏み込む 踏み込み量に応じて上昇する

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時アクセル・ペダル全開時 90~100%

DTC消去後の経過時間(DTCC) - -

ISC学習値(DLRN)

初期値 0.8~1.6L/sバルブ開方向へ補正 数値増加

※:サブ・スロットル・センサ信号の特性上,途中からアクセル踏み込み量に応じて数値が上昇しなくなるが,これは異常ではない。

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ダイハツ

項目名称(短縮名称) 点検条件 参考値

ノック補正学習値(KNCV)

ノッキング及び出力不足などの症状が発生する場合は,同型の別車両と以下の数値を比較する。エンジン回転速度,計算ロード値,点火時期進角,ノック制御値,ノック補正学習値

パージ補正係数(FPG)

アイドル回転時 0%始動後約5分経過エンジン暖機後,2000rpm以上

エバポ・パージ出力に応じて変化する

ギア段信号(GEAR)

ギヤ位置:P,R,N,1速 1stギヤ位置:2速 2ndギヤ位置:3速 3rdギヤ位置:4速 4thギヤ位置:5速 5thギヤ位置:6速 6thギヤ位置:7速 7th

A/Cエバ温センサ(ACEV)

内気,MAX・COOL,A/C“OFF”の状態でしばらくブロワ“ON”にする 室内温度と同等

A/C冷媒圧センサ(ACEP)

A/Cコンプレッサ作動中 0~3.187MPa

アイドリング中,エアコン“ON”エアコン・コンプレッサ作動

(マグネット・クラッチ“ON”)に合わせて圧力が上昇する

ダイアグコード数(DIAG) - -

スタータ信号(STA)

クランキング時 ONクランキング時以外 OFF

アイドル信号(IDL)

アクセル・ペダル全閉時 ONアクセル・ペダル踏み込み時 OFF

エアコン信号(AC)

エアコン“OFF”時 OFFエアコン“ON”時 ON

電気負荷(DSW)

ヘッドランプ,デフォッガのいずれかが“ON”時 ONヘッドランプ,デフォッガのすべてが“OFF”時 OFF

ストップランプ信号(STP)

ブレーキ・ペダル踏み込み時 ONブレーキ・ペダルを離したとき OFF

パワステ信号(PST)

停車状態,ステアリング操舵時 ON停車状態,ステアリング非操舵時 OFF

ブレーキ負圧SW(BNPS)

・アイドル回転時・無負荷状態 OFF

・エンジン停止後・IGスイッチ“ON”・ブレーキ・ペダルを数回踏み込み時

ON

目標変位角(VTT)

エンジン暖機後,アイドル回転時エアコン“OFF” 0°

走行中 運転状態により変化するDレンジ・ストール・テスト時 0~60°

実変位角(VT)

エンジン暖機後,アイドル回転時エアコン“OFF” 0°

走行中 目標変位角に追従するDレンジ・ストール・テスト時 0~60°

制御デューティ比(DVT)

エンジン暖機後,アイドル回転時エアコン“OFF” 30~55%

Dレンジ・ストール・テスト時 40~60%

スタータリレー(STR)

クランキング時 ONクランキング時以外 OFF

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ダイハツ

項目名称(短縮名称) 点検条件 参考値

EGRステップ(EGRSTM)

アイドル回転時 4step・水温70℃以上に上昇後60秒以上経過・アイドル運転後,車速約60km/hで定常走行 17~37step

TVVT角度換算値(VTB)

エンジン暖機後,アイドル回転時電気負荷なし 45~55°

ISCデューティ比(ISCD)

冷機エンジン始動 水温上昇に伴い低下するエンジン暖機後,アイドル回転時電気負荷なし 0~20%

エンジン暖機後,アイドル回転時ヘッドライト“ON”,エアコン“ON”,P又はNレンジ 20~80%

始動時水温(ECT_S) - -

始動時吸気温(IAT_S) - -

噴射量(TAUX)

冷間始動時(エアコン“OFF”,Pレンジ,水温20℃) 0.07~0.77ml

エンジン暖機後,アイドル回転時(エアコン“ON”,Pレンジ,水温90℃) 0.07~0.15ml

エンジン暖機後,2500rpm時(エアコン“ON”,Pレンジ,水温90℃) 0.04~0.12ml

噴射時間(TAUZ)

冷間始動時(エアコン“OFF”,Pレンジ,水温20℃) 3~30ms

エンジン暖機後,アイドル回転時(エアコン“ON”,Pレンジ,水温90℃) 3~6ms

エンジン暖機後,2500rpm時(エアコン“ON”,Pレンジ,水温90℃) 2~5ms

#1気筒失火カウンタ(MFC1)

エンジン始動後5分以上経過後約30km/h定常走行又は約70km/h定常走行 0~8

#2気筒失火カウンタ(MFC2)

エンジン始動後5分以上経過後約30km/h定常走行又は約70km/h定常走行 0~8

#3気筒失火カウンタ(MFC3)

エンジン始動後5分以上経過後約30km/h定常走行又は約70km/h定常走行 0~8

VFモニタ(VF)

中央値 1付近エンジンの空燃比がリーン傾向にある場合 1より大きいエンジンの空燃比がリッチ傾向にある場合 1より小さい

トータル燃料補正量(TFC)

中央値 1燃料増量補正時 1より大きい燃料減量補正時 1より小さい

O2センサ信号(OX)

エンジン暖機後,空燃比フィードバック制御中 リーン⇄リッチの変化を周期的に繰り返す

エンジン暖機後,車両停止P又はNレンジ素早いレーシングを10回程度連続して実施

リッチ

エンジン暖機後,アイドル運転,車両停止アクティブ・テストでフューエル・ポンプを停止 リーン

フューエル・カット走行時 リーン

目標アイドル回転数(TIDL)

水温約20℃アイドル回転時電気負荷なし 1700~1900rpm

エンジン暖機後,アイドル回転時電気負荷なし 750~850rpm

エンジン暖機後,アイドル回転時エアコン“ON” 900~1000rpm

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ダイハツ

項目名称(短縮名称) 点検条件 参考値

充電制御バッテリ電流(CRNT)

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時電気負荷なし 0A以下

上記の状態から電気負荷を加えていく 電気負荷に応じてマイナス数値が増えていく

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時センサを通過させないようにしてバッテリを接続 約0A

エンジン始動直後,アイドル回転時電気負荷なし,エアコン負荷なしオルタ・カット制御非作動中(チャージ・ランプ点灯していない状態)

+側数値が増加→減少→安定

充電制御バッテリ液温(THB) IGスイッチ“ON” バッテリ周辺温度と同じ

オルタフィールドデューティ(ALTFD)

エンジン始動直後,アイドル回転時電気負荷なし,エアコン負荷なしオルタ・カット制御非作動中(チャージ・ランプが点灯していない状態)

一定値まで上昇後,安定する

エンジン暖機後,アイドル回転時電気負荷OFF→ON 上昇する

C端子デューティ(ALTCD)

エンジン始動直後,アイドル回転時電気負荷なし,エアコン負荷なしオルタ・カット制御非作動中(チャージ・ランプが点灯していない状態)

一定値まで上昇後,安定する

エンジン暖機後,アイドル回転時電気負荷OFF→ON 上昇する

外気温(ATS) IGスイッチ“ON” 外気温度と同等

ペンディングコード数(PDIAG) - -

トリップ数(TRIP) - -

IG-ON後経過時間(TIME) - -

DTC消去後の暖機回数(WDC) - -

DTC消去後の走行距離(DDC) - -

エンジン始動時間(AEST) - -

スタータOFF時回転速度(STER) エンジン始動直後 100~1200rpm

現トリップ中スタータON回数(STON) - -

前トリップ走行距離(PTRD) - -

前トリップ時冷却水温(THW) - -

前トリップ時吸気温度(RIAT) - -

前トリップ時外気温(RAMT) - -

スロットル開度(THOP)

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時アクセル全開 約87°

IGスイッチ“ON”,エンジン停止時アクセル全閉 約0°

車両停止,アイドル回転時 約0°

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ダイハツ

項目名称(短縮名称) 点検条件 参考値

ISC流量(ISCF)

冷機エンジン始動 0.5~11.4L/s暖機後,無負荷アイドル回転時 0.2~1.8L/s暖機後,アイドル回転時ヘッドライトON,A/C ONP又はNレンジ

0.3~6.3L/s

ISC開度(ISCO)

冷機エンジン始動 2.0~18.4°暖機後,無負荷アイドル回転時 1.0~6.5°暖機後,アイドル回転時ヘッドライトON,A/C ONP又はNレンジ

1.5~13.5°

アイドル不安定度(IDLINSTAB) - -

平均回転速度(AVES) - -

回転速度の分散(SQRpm) - -

ISCフィードバック量(ISCFB)

エンジン暖機後,アイドル回転時 -0.1~0.8L/sエンジン暖機後,アイドル回転時電気負荷やエアコンONによるアイドルアップ時 -0.4~1.5L/s

ISC電気負荷補正量(ELOCP)

アイドル回転時ヘッドライトOFF→ONエアコン負荷なし

0~1.5L/s

ISCエアコン補正量(A/CCP)

アイドル回転時エアコン負荷OFF→ON 0~7.0L/s

イモビフューエルカット状態(IMFC)

正常時 OFF異常時 ON

始動時間不良履歴(LTSH)

クランキング時エンジン回転速度が120rpm未満 ありクランキング時エンジン回転速度が120rpm以上 なし

始動後回転速度低下履歴(IRLH)

始動後,約2秒以内のエンジン回転速度が200rpm未満 あり始動後,約2秒以内のエンジン回転速度が200rpm以上 なし

VVT進角フェイル状態(VTAF)

正常時 OFFVVT進角異常時 ON

目標との最低偏差(DEV) - -

最低偏差時の回転速度(MDEV) - -

最低エンジン回転速度(FMIN) - -

デポジット損失空気量(DLFV) - -

高回転後経過時間(HEST) - -

ノック制御値(KNFB) - -

パージ率(PRF)

アイドル回転時 0%始動後約5分経過エンジン暖機後,2000rpm以上 パージ制御に応じて変化する

タービン回転速度(NT)

車両停車時 0rpmロックアップ走行中 エンジン回転速度とほぼ同じ

ロックアップ状態(L/U)

ロックアップ作動中 ONロックアップ非作動時 OFF

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ダイハツ

項目名称(短縮名称) 点検条件 参考値

シフトポジションPレンジ(P)

シフト・ポジションPレンジ時 ONシフト・ポジションPレンジ以外 OFF

シフトポジションRレンジ(R)

シフト・ポジションRレンジ時 ONシフト・ポジションRレンジ以外 OFF

シフトポジションBレンジ(B)

シフト・ポジションBレンジ時 ONシフト・ポジションBレンジ以外 OFF

シフトポジションNレンジ(N)

シフト・ポジションNレンジ時 ONシフト・ポジションNレンジ以外 OFF

スポーツドライブSW(SDSW)

シフト・ポジションSレンジ時 ONシフト・ポジションSレンジ以外 OFF

シフトポジションDレンジ(D)

シフト・ポジションDレンジ時 ONシフト・ポジションDレンジ以外 OFF

ニュートラルスタートSW(NSW)

シフト・ポジションPレンジ,又はNレンジ時 ONシフト・ポジションPレンジ,又はNレンジ時以外 OFF

イモビ通信ライン(IMLN)

イモビライザ通信ライン正常時 正常イモビライザ通信ライン異常時 異常

F/C状態(FCJ)

フューエル・カット作動時 ONフューエル・カット非作動時 OFF

アイドルON時F/C状態(FCI)

フューエル・カット作動時 ONフューエル・カット非作動時 OFF

低負荷時F/C状態(FCTM)

フューエル・カット作動時 ONフューエル・カット非作動時 OFF

フューエルポンプリレー(FUELPR)

スタータ信号なしエンスト状態でフューエル・ポンプ出力状態ON時 ON

スタータ信号あり,エンスト状態ではない OFF

VVT制御(VVT)

Dレンジ・ストール・テスト時 ONアイドル回転時 OFF

電動ファン(FAN)

電動ファン作動時 ON電動ファン非作動時 OFF

T端子(T)

T端子短絡時 ONT端子非短絡時 OFF

全気筒失火カウンタ(FCFA)

エンジン始動後5分以上経過後約30km/h定常走行又は約70km/h定常走行 0~24

MILステータス(MIL)

エンジン・チェック・ランプ点灯時 ONエンジン・チェック・ランプ消灯時 OFF

注意  ・データ・モニタの値は,測定上のわずかな差,測定環境の違い又は車両の経時変化などにより値が大きく

バラツキ,明確な基準値(判定値)を示すことが困難である。したがって,参考値内であっても不具合とな

る場合がある。

・息つき,ラフ・アイドルのような微妙な現象に対しては,同型車を同一条件でデータ採取比較する手法を

用い,データ・モニタの全項目から総合的に判断する必要がある。