リレー制御の極意 - nikkan...第1章 リレー制御の極意...
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リレー制御の極意
シーケンス制御の基本はリレー制御です。リレーはコイルと接点だけの簡単な構造ですが、リレーを使うと、回路間での信号の受け渡し、論理演算、ビット情報の記憶、接点の増設、アクチュエータの駆動といったさまざまな機能を得ることができます。機械装置のシーケンス制御に必要なリレーの機能と応
用する知識と手法を解説します。
第 1 章 リレー制御の極意
リレー回路は名前で管理されている。リレー回路を書くときには、1つのリレーコイルといくつかあるその接点には必ず同じ名前をつける。図 1-1の実体配線図であれば、コイルと接点が機械的に連動していることがはっきりしているが、図 1-2の電気回路図では、ランプがどのコイルの接点でON-OFFするのかわからない。
図 1-3のようにコイルと接点に名前を付けるとコイルR1 が ONしたときに接点R1 が切り換わってランプが点灯することがわかるようになる。
1 つのリレーのコイルと接点には必ず同じ名前を付けて管理する。
極意 1
同じ名前の接点はすべて同時に切り換わる
チェックポイント
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コイル
接点ばね
ランプ
図 1-1 実体配線図
極意 1 同じ名前の接点はすべて同時に切り換わる
リレー回路にはコイルと a接点と b接点の 3つの機能しかない。a接点( )は、コイル( )がONすると導通になる。b接点
( )は、コイルがOFFのとき導通になっていて、コイルがONすると接点が離れて電気が流れなくなる。電気回路にはコイルに電気が流れていないときの接点の状態を書く。コイルがONして接点が切り換わったときの動作は、電気回路を読む人が頭の中で想像して考えなければならない。いつもコイルがONになっているかといって、a接点を導通しているように書くことは許されない。
電気回路図には、コイルが OFF になっているときの接点の記号を記述しなければならない。
チェックポイント
第1章
第2章
第3章
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何の接点かわからない
ランプ
図 1-2 動作が不明な電気回路図
R1 R1
図 1-3 コイル R1 を ON すると接点 R1 が閉じる
第 1 章 リレー制御の極意
コイルと接点の関係は 1つしかない。すなわちコイルがONになるとコイルの接点が切り換わるということである。コイルがONすると a接点は閉じて b接点は開く。接点が切り換わるという意味を図 1-4で説明する。SW1 が押されてコイルR2 が ONすると、R2 の a 接点は閉じて、接点の
両端が導通になるので、ランプ L1 が点灯する。SW1 でコイル R3 も ONになるので、今度はR3 の b接点が開いて、ランプ L2 が消灯する。リレーの接点は、リレーコイルで切り換わるので電気回路図に同じ名前のリレーコイルが 2個以上あると矛盾する。図 1-5の場合、SW4だけONすると、上のコイルR4 は、R4 の接点を閉じようとして、下のコイルR4 は同じ接点を開こうとすることになってしまう。見た目では SW4 でも SW5 でもコイルR4 が ONするので、いずれのスイッチでも L3 が ONするように感じるかもしれないが、それは誤りである。
図 1-6のようにリレーコイルが 1つだけになるように記述しなければな
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R2 ONすると閉じるSW1 L1
L2
R2
R3 R3ONすると開く
コイルR3がONすると切れる(ランプL2が消灯する)
コイルR2がONすると導通になる(ランプL1が点灯する)
b接点
a接点
図 1-4 a 接点と b 接点の動作
コイルが ON するとコイルと同じ名前のすべての接点が切り換わる。
チェックポイント
極意 1 同じ名前の接点はすべて同時に切り換わる
らない。次頁に本書で用いるリレーやスイッチの記号の一覧を示す。
同じ名前のリレーコイルは 1 つだけしか存在してはいけない
チェックポイント
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第3章
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R4
(ON)
(OFF)
閉じるSW4
SW5
L3R4
R4
(矛盾)
開く
図 1-5 2 つ同じ名前のコイルがあると矛盾する(誤)
R4SW4
SW5
L3R4
図 1-6 同じ名前のリレーコイルは 1 つだけ(正)
第 1 章 リレー制御の極意
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本書で用いるリレーやスイッチの記号
a接点
電磁リレー
電磁リレー(旧JIS)
押しボタンスイッチ(モメンタリ)
プログラムで使うリレー
トグルスイッチ
セレクタスイッチ
リミットスイッチ
近接スイッチ
b接点 コイル
スイッチを押すと切り換り、離すと元に戻る
切り換えた状態が保持される
ひねったまま保持される
機械の位置を検出するスイッチ
磁気スイッチや光電センサなど