情報・通信工学科 電子工学工房(2019)eew.cei.uec.ac.jp/keisoku2019.pdf- 3 -...
TRANSCRIPT
- 1 -
情報・通信工学科 電子工学工房(2019)〜 いろいろな電子部品の特性の計測 〜
場所:西 1-117 号室,担当者:石川 ([email protected]),TA: 石川研学生
はじめに
私たちの生活の身の回りには、いたるところに電子機器が見え隠れしており、その恩恵は計り知れないものが
ある。そのようなものを、使う側でなく、創り出す側になるためには、いろいろな物の電気的特性を詳しく調べ
てその性質を知るスキルが必要となる。ここでは、実際にいくつかの装置を用いて“ものの電気的な特性を測る”
ための基本的な知識・操作を学んでいく。
(準備するもの:筆記用具、電卓(できれば関数電卓))
1.概論
1−1.電気信号(物理量としてみた場合)
測定される電気信号 ・電圧 (Voltage) ・電流 (Current) ・電力 (Power) など。
信号の形態 ・直流(DC:Direct Current):時間変化に対して一定の値を保つ。電池など。
・交流(AC:Alternating Current):周期的に振動を繰り返す。家庭用 AC100V 電源など。
{正弦波電圧信号、いろいろな波形の信号(方形波、三角波)、等々}
・非周期的な時間変化をする信号:雑音、瞬時信号(例えば雷のようなもの)。
1−2.電気的な特性を調べる装置
測定装置 Ⅰ.電気信号を出すもの(上記の様々な信号形態)
・直流電源(DC Power Supply)・任意波形発振器(Function Generator)
・変調器(Modulator) ・雑音源(Noise Source) など
Ⅱ.電気信号を観測するもの(電気信号 → メーター、数値化、画像化)
・直流あるいは交流電圧・電流計(DC or AC Voltmeter、DC or AC Ammeter)
・電力計(Power Meter) ・周波数カウンタ(Frequency Counter)
・オシロスコープ(Oscilloscope) ・ロジックアナライザ(Logic Analyzer)
・スペクトラムアナライザ(Spectrum Analyzer) など
Ⅲ.Ⅰ、Ⅱを組み合わせたもの(抵抗測定など)
・LCR メータ(LCR Meter)・ネットワークアナライザ(Network Analyzer)
・例えば正弦波信号を測定する場合…
正弦波信号:V t A t( ) sin( )= ω [V]
V ( t ):電圧 (時間の関数 )、A [V]:振幅 (最大値 )、
w [rad/s]:角周波数( = 2 p f 、 f [Hz]:周波数 )、t [s]: 時間
[V]
t [s]
V(t)
AA2
T [s]T = =1 2π
f ω
正弦波信号の数値化 → 実効値(2乗平均値)
(実効値電圧と実効値電流の積に力率と呼ばれるものを掛けると平均消費電力が算出される。)
所属・学籍番号
氏名
- 2 -
直流電圧測定の配線の回路図
2.実習
2−1.直流電圧の測定
実習内容
直流電圧の測定:電圧源とマルチメータを接続し、電圧源のメモリを調節して電圧を変え、2つのマル
チメータで電圧を測定する。
実習で用いる装置
・直流電圧源…負荷変動に係わらず一定電圧を出力するもの
{直流電流源というものもある(今回は未使用)}
・デジタルマルチメータ(2種類)…直流、交流の電流・電圧、抵抗、等々の測定が可能
直流電圧源 デジタルマルチメーター
基本的に装置は、各々 GND 端子があり、複数の装置を接続する場合はそれらを接続しなければならない。(そうでない装置もある。)
測定の様子1および操作順番
測定の様子2および操作順番
測定の様子 3(2台で同時に測定)
電圧計は並列に接続される。
直流電圧源
電圧 [V]
マルチメータ1
電圧 [V]
マルチメータ2
電圧 [V]
小<0.1V
中
大>3V
※測定の注意点
・測定装置の電源は配線前に入れる。
・配線作業は信号オフの状態で行う。
・信号出力は最初小さく、徐々に大きくする。
V
GNDGround
COM
- 3 -
交流電圧測定の配線の回路図
2−2.交流電圧の測定
実習内容
交流電圧の測定:発振器とAC電圧計とマルチメータとデジタルオシロスコープを接続し、正弦波電圧
信号の電圧値の測定、および波形を観測する。また、方形波信号の波形を観測する。
実習で用いる装置
・信号発生器…正弦波あるいは方形波を出力するもの(周波数と振幅を調整)
・AC電圧計…正弦波の電圧(実効値)を測定
・デジタルオシロスコープ…電圧信号の波形(普通は周期的な波形)を表示させるもの
・デジタルマルチメータ(2種類)
交流電圧測定の様子
信号発生器 AC電圧計
電圧 Vx[V]
マルチメータ
電圧 [V]
オシロスコープ Vy
Vx
(≅√2かを確認 )周波数 [Hz] 最大値電圧 Vy[V] 周波数 [Hz]
振幅>2V
<500Hz
>10kHz
振幅<0.1V
<500Hz
>10kHz
周波数微調
周波数レンジ調整
振幅レンジ調整
振幅微調
信号発生器
正弦波方形波切替
AC電圧計
振幅レンジ調整
デジタルオシロスコープ
縦軸(電圧)調整
横軸(時間)調整
Measureボタンを押すと表示
GND
V V
- 4 -
抵抗測定の配線の回路図(測定回路1)
2−3.抵抗値(Resistance)の測定
実習内容
抵抗に掛かる電圧と抵抗に流れる電流を2種類の
回路で測定し、抵抗値を各々計算する。また、マル
チメータで直接抵抗値を測定し、計算で求めた結果
と比較する。
実習で用いる装置・素子
・直流電圧源 ・デジタルマルチメータ(2種類)
・炭素皮膜抵抗(2種類)
炭素皮膜 (カーボン )抵抗
最も一般的な固定抵抗素子。写真は定格電力 1/8W
のもの。カラーコードで抵抗値を読み取る。読み方
は以下の通り。
A B C D
黒 茶 赤 橙 黄 緑 青 紫 灰 白 銀 金
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 5
抵抗値: AB×10C Ω 誤差 D %
(例) 茶黒赤銀 → 10×102 = 1kΩ 誤差 10 %
抵抗値 [Ω]公称値
(カラーコード)
電流電圧測定での抵抗値算出 抵抗値 [Ω]マルチメータ2台で直接測定電圧 [V] 電流 [A] 抵抗値 [Ω]
測定回路1
素子1
素子2
測定回路2
素子1
素子2
R = V
A
IV
I
V
R =V
A
IV
I
V
抵抗測定の配線の回路図(測定回路2)
- 5 -
容量測定の配線の回路図
2−4.コンデンサ容量値(Capacitance)の測定
実習で用いる装置・素子
実習内容
コンデンサに掛かる交流電圧とコンデンサに流れる交流電流を測定し、容量値を計算する。また、マル
チメータで直接容量値を測定し、計算で求めた結果と比較する。(注:周波数は 400Hz 以下とする。)
・信号発生器 ・デジタルマルチメータ(2種類)
・電解コンデンサ ・セラミックコンデンサ ・ポリエステルコンデンサ
※おまけ
抵抗の値も交流信号の電圧と電流から計算することができる。余裕があれば行ってみる。
コンデンサ(キャパシタ)
コンデンサには多くの種類があり、素子値、用途等によっ
て使い分けられている。ここでは、大容量の電解コンデンサ
セラミックコンデンサ、およびポリエステルコンデンサを用
いる。電解コンデンサは極性があり、白帯に−記号がある方
の端子を直流的に電位が低くなる方に接続する。素子値はそ
のまま書いてある。セラミックコンデンサ、およびポリエス
テルコンデンサの素子値は、3桁の数字 (ABC) で記載されて
いて、AB×10C pF と読む。
電解コンデンサ
セラミックコンデンサ
容量値 [F]
公称値
電流電圧測定での容量値算出 容量値 [F]
マルチメータ
で直接測定周波数 [Hz] 電圧 [V] 電流 [A] 容量値 [F]
素子1
素子2
素子3
容量値測定の様子
C
i
v V
A
v V t= ( )2 sin ω
i dqdt
C dvdt
C V t I t= = = ( ) =2 2cos sinω ω ω ++
π2
=ω
1VC
I =ω1C I
V =( )ω π2 f
ポリエステルコンデンサ
- 6 -
可変抵抗素子を用いた分圧回路の回路図
2−5.抵抗分圧回路の測定
実習内容
可変抵抗を用いて直流電源電圧を分圧する回路を
構成し、出力される電圧、およびそのときの端子間
抵抗を、マルチメータを用いて測定する。
実習で用いる装置・素子
・直流電圧源 ・デジタルマルチメータ
・可変抵抗素子(50 kΩ)
可変抵抗素子
可変抵抗素子は、一般に、図に表されるように3つの
端子を有しており、端子1と2の間は固定抵抗である
が、端子3の接触位置を機械的に動かすことにより、端
子1−3間、あるいは端子2−3間の抵抗値を可変させ
ることができる素子である。増幅回路の増幅率を調整し
たり、簡単な可変電圧回路として用いることができる。
素子値は、一般に3桁の数字 (ABC)で記載されていて、
AB×10C Ωと読む。
12
3
ブレッドボード
回路素子の端子および配線端子を差し込むことで回路
配線を行うことができる。
電源電圧 [V] 出力電圧 [V]出力電圧
電源電圧
1-2 間抵抗値
R12[Ω]
( = R13 + R23 )
1-3 間抵抗値
R13[Ω]
2-3 間抵抗値
R23[Ω]
R23
R12
小<2V
中
大>4V
(出力電圧/電源電圧= R23 / R12 となることを確認)
1
2
3
V
可変抵抗素子を用いた分圧回路の配線図
GND
1
23
2
1 1
23
3
GND
電圧測定時
- 7 -
[ sec/div ][ V/div ][ V/div ]
Ch.1Ch.2
0
X-Y
[ sec/div ][ V/div ][ V/div ]
Ch.1Ch.2
0
X-Y
[ sec/div ][ V/div ][ V/div ]
Ch.1Ch.2
0
X-Y
GND GND
2−6.RC 直列回路の測定
概要
RC 直列回路は、最も簡単な高域通過フィルタ(ある周波数以上の信号のみ通過させるもの)あるいは低域通過
フィルタ(ある周波数以下の信号のみ通過させるもの)として動作し、また、ある周波数条件下で微分回路ある
いは積分回路として働き、電気回路導入の基本的な回路として良く挙げられる。詳細の説明は講義に譲る。
実習内容1
RC 直列回路(高域通過型)を構成して正弦波を入力し、周波数を変化させたときの信号源電圧波形および抵抗
に生じる電圧波形を観測する。そのとき、画面上にほぼ等振幅で波形が映るように周波数と縦軸レンジを調整し、
オシロスコープの X-Y 表示機能(Ch.1 を横軸、Ch.2 を縦軸で表示)を用い、その軌跡を観測する。
実習で用いる装置・部品等
・信号発生器 ・デジタルオシロスコープ(オシロのプローブは×1にし、DC 結合で観測する。)
・ブレッドボード ・抵抗 ・コンデンサ
周波数 [Hz]
( ≤ 50 Hz)
周波数 [kHz]
( ≥ 50 kHz)
周波数 [kHz]
f
CR≈
12π
RC 直列回路測定(正弦波入力)の回路図 RC 直列回路測定の配線図
4 Vp-p10 kΩ
GND
0.01 µF
vin vR
CR
GND
v tin ∝ ( )sin ω ( )ω θv t fR ∝ + ( )sin
f< ( ) <θ π02θ ff( ) ≈
π2
f( ) ≈θ 0
fCR
=π1
2f( ) =θ π
4
fCRπ1
2<<
fCRπ1
2<<
スケールを忘れずに記載! →
([ ] 内には mや µ なども)
- 8 -
実習内容2
実習1の回路で、信号発生器の出力を方形波とし、先ず、周波数が十分低い場合での信号源電圧波形および抵
抗に生じる電圧波形を観測する。そのとき、オシロスコープのカーソル(Cursor)機能を利用して、抵抗での電
圧波形のピークが半分に低下するまでの時間を測定する。次に、周波数を高めにしたときの各波形を観測する。
Cursor時間差Dt を読む
t = 0 on
V vC
i
C
vR
vC
V
i
C
R
on
V
t
V
vC (t)
0
t
i (t)
0
t
t
V
vC (t)
i (t)
V 0
0
t
V
vR (t)
0
v t VeR =−
( )tt
CR
C
tCRv t V e( ) = −
−1
t = 0 on
[ sec/div ][ V/div ]Ch.1, Ch.2
0
[ sec/div ][ V/div ]Ch.1, Ch.2
0
周波数 [ Hz]
( ≤ 1 kHz)周波数 [ Hz]
RC 直列回路にある時点で一定電圧が加わった場合の特性に関する概要
オシロスコープのカーソル機能RC 直列回路測定(方形波入力)の回路図
tw
10 kΩ
GND
0.01 µF
vin vR
CR
GND
R s
exp
ln . [ ]
tCR
t CR C
w
w
12
2 0 69
= −
= × ≈
0.69CR [ µs ] 半値幅時間の測定値 [ µs ]
半値幅時間
- 9 -
GNDGND
ダイオード
ダイオード素子は、半導体を用いた非線形特性を
有する2端子素子であり、主に整流特性(一方向に
のみ電流が流れる)を示し、整流回路、検波回路、
等々に用いられる。半導体の材料や構成により特性
が異なる。下図に半導体材料として Si(シリコン)
を用いた場合と Ge(ゲルマニウム)を用いた場合
の特性例を示す。
2−7.ダイオード素子の測定
実習内容
ダイオードと抵抗の直列回路を構成し、正弦波電圧を
印加したときのダイオードにかかる電圧波形を観測し、
また、抵抗にかかる電圧波形からダイオードに流れる電
流波形を得る。
実習で用いる装置・部品等
・信号発生器 ・ブレッドボード
・デジタルオシロスコープ
(オシロのプローブは×1にし、DC結合で観測する。)
・ダイオード(Si:1S1588,Ge:1N60) ・抵抗
SiIGe
V0.7 V0.3 V
I
V
Si ダイオード (1S1588)
Ge ダイオード (1N60)
GND
GND
GND
iD
vD
i = iR = iD
vR
iR
iD = iR = = RvR
Rv – vD
vD
A4 Vp-p1 kHz
10 kΩ
1S1588 or 1N60
vin
[ sec/div ]
0
V in
[ V ]
0
A
V D [
V ]
0I D [
A
]
[ sec/div ]
0
V in
[ V ]
0
A
V D [
V ]
0I D [
A
]
Ge ダイオード (1N60)Siダイオード(1S1588)
ダイオード素子電圧・電流波形測定の回路図 ダイオード素子電圧・電流波形測定の配線図
- 10 -
GND
Vcc = +5 V
A
GND
(2SC1815)
10 kΩ
10 kΩ1 kΩ A
10 Vp-p Si(1S1588)
Vcc = +5 V
[ sec/div ]2 [ V/div ]
0
0
0
A
[ sec/div ]2 [ V/div ]
0
0
0
A
周波数 [ Hz]( ≤ 5 kHz) 周波数 [ Hz]( ≥ 50 kHz)
トランジスタスイッチング回路(インバータ)の回路図 トランジスタスイッチング回路(インバータ)の配線図
2−8.トランジスタスイッチング回路(インバータ)の測定
概要
トランジスタ素子は、半導体を用いた増幅特性を有する3端子
素子であり、アナログ信号増幅回路からスイッチング回路(デジ
タル回路)まで幅広く用いられている。詳細の説明は講義に譲る。
実習内容
バイポーラトランジスタ素子を用いてスイッチング回路(イン
バーター、NOT回路とも呼ぶ。)を構成し、波形をスケッチし、そ
の動作を確認する。
実習で用いる装置・部品等
・直流電圧源 ・信号発生器 ・ブレッドボード
・デジタルオシロスコープ
(オシロのプローブは×1にし、DC 結合で観測する。)
・トランジスタ(2SC1815) ・ダイオード(1S1588)
・抵抗
npn
(Collector)
(Emitter)
(Base)IB
IC
β =II
C
B
Vcc Vcc
Vcc 0
IB = 0IC = 0
IBIC
npn 型バイポーラトランジスタの記号および特性
バイポーラトランジスタのスイッチング動作の概略
BCE
- 11 -
2−9.デジタル論理 IC(NOT 回路)を用いた方形波発振回路
概要
デジタル回路は1と0の2値から成っており、この2値の最も
基本な演算を行う回路に論理回路(AND回路 ,OR 回路 , 等々)があ
る。この説明は講義に譲るとして、その中で CMOS(トランジスタ
の種類)の NOT回路を2個用いると方形波発振回路ができる。こ
の動作は RC 回路の特性を知っていれば理解できるものである。
実習内容
NOT回路を用いて方形波発振回路を構成し、波形をスケッチし、
その動作を確認する。
実習で用いる装置・部品等
・直流電圧源 ・ブレッドボード ・デジタルオシロスコープ
(オシロのプローブは×10 にし、DC 結合で観測する。)
・NOT 回路論理 IC(74HC04) ・抵抗 ・コンデンサ
A
B C D
R = 10 kΩRs = 200 kΩ C = 0.01 µF
[ sec/div ]2 [ V/div ]
0
0
0
0
A
B
C
D
1
2
3
4
5
6
7
14
13
12
11
10
9
8GND
Vcc = +5 V
A
B
C
D
GND
Vcc
A YA Y
1(H)0(L) 1(H)
0(L)
0: 0 V1: 5 V, 3.3 V
NOT
L: Low levelH: High level( )
1/(2.2CR)[ ] 発振周波数測定値 [ ]
NOT 回路の記号および特性
1(H) と 0(L) 切り替わりのしきい値
74HCCMOS
Complementary Metal Oxide Semiconductor
t0 V
5 V
2.5 V1(H)
0(L)
TTL(Transistor Transistor Logic)
0.4 V
2.4 V2 V
1(H)
0(L) 0.8 V
5 V
0 V
T2
TCR
13
2= −
exp
fT CR CR
Hz1 12 3
12 2
= =× ×
≈ln .
[ ]]
方形波発振回路発振周波数の計算
- 12 -
A
BR = 1 kΩ
C = 0.01 µF
1
2
3
4
5
6
7
14
13
12
11
10
9
8
GND
Vcc = +5 V
B
1
2
3
4
5
6
7
14
13
12
11
10
9
8
A
GND
Vcc
GND
Vcc
[ sec/div ]2 [ V/div ]
0
B
0
A
0
2−10.デジタル IC を用いたショートパルス発生回路
概要
論理回路の1つである NAND回路(否定論理積回路)は、これを
( 複数 ) 用いて他の論理回路も実現できることから良く用いられ
る。この回路と RC回路を組み合わせると、ショートパルスを発生
させることができる。
実習内容
1つ前の方形波発振回路と NAND回路を用いてショートパルス発
生回路を構成し、波形をスケッチし、その動作を確認する。
実習で用いる装置・部品等
・直流電圧源 ・ブレッドボード ・デジタルオシロスコープ
(オシロのプローブは×10 にし、DC 結合で観測する。)
・NOT 回路論理 IC(74HC04) ・NAND 回路論理 IC(74HC00)
・抵抗 ・コンデンサ
AY
B
A B
00 0
1
Y
11 0
1
1110
NAND
パルス幅の計算
exp
ln . [ ]
t
tCR
t CR CR s
w
w
w
12
2 0 69
= −
= × ≈
0.69CR [ ] パルス幅測定値 [ ]
NAND 回路を用いたショートパルス発生回路の回路図
- 13 -
1
2
3
4
8
7
6
5
Vcc = +15 V
A
+Vcc
-Vcc
-Vcc = -15 V
GNDGND
2−11.OP アンプ IC を用いた三角波発生回路
概要
アナログ IC の代表格である OP アンプ (Operational Amplifier)
は、素子を外付けすることで、容易に様々な機能を有する回路を
高性能に実現することができる。演算増幅器とも呼ばれる。OPア
ンプ自体は2つの信号の差を非常に高い増幅率で増幅する増幅器
である。その動作の詳細は電子回路の講義に譲る。応用の1つに
積分回路を利用した三角波発生回路がある。
実習内容
OPアンプを用いた三角波発生回路を構成し、波形をスケッチし、
その動作を確認する。
実習で用いる装置・部品等
・直流電圧源 ・信号発生器 ・ブレッドボード
・デジタルオシロスコープ
(オシロのプローブは×1にし、AC 結合で観測する。)
・OP アンプ IC(µPC741C) ・抵抗 ・コンデンサ
[ sec/div ][ V/div ]
0
A
0
[ sec/div ][ V/div ]
f t( )
tf t A( ) = −
f t dt At( ) = −∫f ( ) =0 0
t
t
t
f t( )
f t( ) = AAA
A−
f t dt At( ) =∫
R = 10 kΩ
r = 1 MΩ
C = 0.01 µF
A
2 Vp-p1.6 kHz
v tout ( )v tin ( )
v tCR
v t dtout in( ) ( )≈ − ∫1
v t( ) = −1C
i t dt( )∫
v–
v+
vo
v t A v vo( ) = −( )+ −
OP
A
OP アンプの回路記号および特徴
一定値(定数)の積分OP アンプを用いた三角波発生回路の回路図
OP アンプを用いた三角波発生回路の配線図
- 14 -
3.参考
3−1.測定誤差について
実際に何かかしらの測定を行うと必ず測定誤差が生じる。この場合、原理上の誤差とは、真値と測定値
の差のこととなるが、ここでいう真値とは、実際の被測定物が、測定環境下で、そのもの自体が持つ物性
として示す値のことであり、これを正しく知ることは非常に困難である。従って、理論値(計算値)と測
定値を比較するということが良く行われる。理論値とは、人間がある仮定の下でそれを見積もるために設
けた目安である。従って、高度な測定下では、測定値の方が、そのもの自体の物理現象(予測していなか
った性質も含む)を表すため、誤差としては小さくなる。しかしながら、測定のやり方に不備があると、
それこそ大きな誤差を生じかねないので注意が必要となる。
・内部抵抗について
今回の研修では、例えば電圧計および電流計を用いているが、理想的には、電圧計は無限大の抵抗を持
ち、電流計は抵抗零である。つまり、電圧計を回路に並列に入れても電圧計に電流は流れず、一方、電流
計を回路に直列に入れても電流計の両端に電位差は生じず電圧はかからない。逆に言うと、電圧計を回路
に直列に入れると回路の電流を遮ってしまい、一方、電流計を回路に並列に入れると回路を短絡(ショー
ト)してしまう(この場合電流計に大電流が流れてヒューズが溶けるなど故障の原因となる)。
実際には、電圧計、電流計に限らず、各測定装置には内部抵抗というものが存在する。これは、ある物
理量を測定する場合はその物理量の一部を利用しなければならない、ということを表している。つまり、
いたずらに測定器を足していくと誤差が増える可能性が出てくる。厳密な測定では、このようなことをよ
く考慮して測定を行う必要がある。一方で、内部抵抗は信号を出す側の装置にも存在する。これは、用途
に応じて設計の段階で設定されているものであるが、厳密に特性を把握する場合は、これらも考慮して見
極める必要ある。
3−2.オシロスコープのトリガについて
オシロスコープでは、入力された電圧波形を画面上に
逐次更新しながら表示する。このとき、周期的な入力波
形に対しては、1周期分の波形に対して基準の位置を決
めることで、波形を画面上に静止させて表示することが
できる。この機能をトリガという。具体的には右図の様
に、入力電圧波形の対して、しきい値電圧を指定して、
その値を横切る点を常に時間軸上の基準の位置に移動さ
せることで画面上に波形を静止して見せている。
3−3.IC の配線における注意
・バイパスコンデンサについて
論理回路 ICやアナログ IC(オペアンプ)等に限らず機能回路には電源が必要であるが、動作時の電流
変化により電源電圧が変動し、それが他の回路に雑音として加わる場合がある。そこで、それを防ぐため
に、各 ICごとに、なるべく各々の ICのすぐ近くに 0.1 µF 程度のコンデンサを配置する。このコンデン
サのことをバイパスコンデンサ(パスコン)と呼ぶ。
・ロジック IC の未使用回路の処理について
論理回路 IC は1つの IC の中に複数の素子が入っており、全て使用しない場合が多々ある。このとき、
入力端子をどこにも接続しないままだと 0 か1かが確定せずに不安定動作し、他の回路に悪影響を及ぼし
たり、IC が壊れる場合がある。従って実際に用いる場合は、入力端子を電源か GND かに接続して 0か1か
を確定しておく必要がある。過電流保護のために抵抗を介して入力端子を電源に接続することをプルアッ
プ、GND に接続することをプルダウンと呼ぶ。
t
- 15 -
4.まとめ
今回行った各実習について、数行程度で簡単にまとめる。
(どのようなことを行い、どのような結果が得られ、どのようなことがわかったか・理解したか。)
2−1.直流電圧の測定
2−2.交流電圧の測定
2−3.抵抗値の測定
2−4.コンデンサ容量値の測定
2−5.抵抗分圧回路の測定
2−6.RC 直列回路の測定
- 16 -
2−7.ダイオード素子の測定
2−8.トランジスタスイッチング回路(インバータ)の測定
2−9.デジタル論理 IC(NOT 回路)を用いた方形波発振回路
2−10.デジタル IC を用いたショートパルス発生回路
2−11.OP アンプ IC を用いた三角波発生回路