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Oraculum Free Report Vol.2
ワクワク系的「買いたくなる」POP紹介レポート
◆ 売れないのはお客さんを動機づけていないから
どうして売れないんだろう……。
そんな悩みをあちこちで耳にします。
「価格が高すぎるからだ」「お店の場所が悪いせいだ」「東京のような大都市で
は売れるかもしれないが、うちは小さな町だから」
“売れない理由”についても、こんな声があちこちから聞かれます。
しかしこれらの“理由”は、ある重要な点を見逃しています。
商品やサービスが売れるかどうかは「動機づけ力」の違いによって決まります。
価格は決定的なものではないし、立地や商圏に左右されることもありません。
お客さんを動機づけることさえできれば、どんな商品やサービスも売れます。
よそと同じ商品だろうと、住宅のような高額商品だろうと、売り手の「動機づ
け力」によって売ることが可能なのです。
私の著書には「動機づけ」の話がたびたび出てきます。このレポートをお読み
のあなたは、すでに何度もお聞きになっていることでしょう。
ではここで、ワクワク系マーケィング実践会の会員によるPOPをいくつかご
紹介しましょう。これらは実際に店頭で使われ、売り上げを創り出したものば
かりです。
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◆お客さんが買いたくなったPOP
【あるおむすび屋の会員の事例】
これはワクワク系マーケティング実践会の会員(社長)の社員さんが書かれた
POPです。
初、彼は、お客さんの気を引こうと、こんなキャッチを書きました。
「手濾しで6トン」
この味噌は職人が手作業で濾していて、6トンしか作れない。お客さんは、手
濾し6トンの意味がわからず興味を喚起されるだろうと。
考え方としては悪くありません。事実、売り上げは伸びました。
しかしここでワクワク系のベテラン社長が、彼に的確なアドバイスをしました。
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「『手濾し6トン』というキャッチは、「何だろう?」と思わせるけど、自分が
家で食べるのを想像しづらいね。」
動機づけとはお客さんに行動する理由を教えることです。
その視点からこのPOPを考えると、店頭でお客さんと次のような会話を交わ
していることになります。
「おむすびを買いに来た私が、どうして南蛮味噌を買わなきゃならないの?」
「手濾しで6トンだからです。」
これで関心を持ってくれたとしても、購入の動機づけには至りにくいことがお
わかりになるでしょうか。
そこで社長の第2のアドバイス。
「南蛮味噌は、おむすびより、やっぱりあったかいごはんで食べるのが一番お
いしい。そこを伝えてごらん。」
そうして彼が考案したコピーは、
「実は、あったかいごはんで食べるとおむすびよりおいしいんですよ!!」
これによって売り上げはさらに伸びました。
先ほどのコピーと比べてみてください。
「どうして南蛮味噌を買わなきゃならないの?」
「あったかいごはんで食べると、おむすびよりもおいしいからです。」
今度は噛み合っていますし、ピンとくるでしょう。
これが動機づけのポイント、お客さんが行動すべき理由を教えることです。こ
のポイントは常に忘れないでいただきたいところです。
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【ある酒屋の会員の事例】
このPOPを書いた店主は次のように言っています。
「この POP はお店の入口の横、一番よく見える場所にはってあります。
うちの妻は『そんなこと書かなくてもわかるでしょう?恥ずかしい!』とか
言っていましたけど、DM やセールスレターでも『今すぐお電話下さい』と書
かないと反応率が悪いように、『接客しません』と、店頭に書かないとお客さ
んには伝わらないと思ったのです。案の定、この POP を貼ってから、無目的
のお客様がそれまでの倍ほど増えました。いきなりです。
うちの妻はあきれてこう言いました。『なんでこんなもので…』」
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これに気を良くした店主は次々と同様なPOPを書きました。
これらも評判は上々です。
店側が当たり前だと思っていても、実はお客さんに伝わっていないこと、お客
さんにとっては知らないことは山のようにあります。そのことを本当に自分た
ちはちゃんと伝えているかということをいつも見直してみることが、商人にと
って重要なことです。
そして大事なことは語り続ける、繰り返し繰り返し語ることです。
そうして一品一品をちゃんと語ることによって、お客さんは動機づけられ、売
り上げは創れていきます。
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【あるクリーニング店の会員の事例】
次はサービスを売るために考えられたPOPです。
以前は値引きを前面に押し出して「割引期間だからクリーニングに出しません
か」と訴求していました。
今回もサービスの内容は大きく変わっていないのですが、店長のキャラクター
を通じて語りかけたところに大きな違いがあります。
値引き訴求が悪いわけではありません。しかし問題は、値引き訴求だけのPO
Pでは、そのサービスを利用しようと考えている人しか動機づけできないこと
です。その人々に対して「今なら 30%OFFですよ」と言えば、たしかに動機
づけになりますが、そもそも利用しようとしている人が多くない場合、値引き
訴求では多くの人を動機づけできません。効き目が限定されてしまうのです。
このPOPでは、「人はこんなに寝汗をかいている。だから洗った方がいいです
よ」と語りかけています。なおかつ、「当店は温水洗いで、寝汗の汚れがスッキ
リサッパリ落ちるからです」と、他店ではなく当店に出すべき理由も書かれて
います。
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これによってお客さんの反応が大きく変わりました。
セール既刊終了後も数字はずっと伸びました。その事実を見ると、もともと割
引が 大の動機づけでなかったことはよくわかります。
【ある別のクリーニング店の会員の事例】
次もあるクリーニング店の店頭POPです。
といっても、自店のクリーニングサービスを売るためのものではありません。
売ったのは、ゴム動力で飛ばすライトプレーン。玩具です。
そして、そんなものがクリーニング店で売れるのかといえば、やはり動機づけ
次第で売れるのです。
このPOP、なんといってもコピーが秀逸です。
「大人の威厳を示す手作り飛行機」
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ゴム動力で飛ばすおもちゃの飛行機に「大人の威厳」ですよ。
いろいろなイメージが湧いてきませんか。
たとえばわが子との心豊かなひととき。
子どもが歓声を上げてライトプレーンを追いかけるシーン。よく飛ぶように羽
の角度を調整して「お父さんスゲェ!」と尊敬されるシーン。夕日の中、飛行
機を片手に家路をたどるシーン。そういう情景が脳裏に浮かぶ。
そこで「お正月に飛ばさなくていつ飛ばす?」と言われたら、もう「そうだよ
なあ」と思ってしまうわけです。
ここで動機づけにつながっている重要な言葉は「大人の威厳を……」というサ
ブキャッチです。そしてメインの「お正月に……」が背中を押しています。前
者で「買いたくなり」、後者で背中を押している。だからお客さんは動くのです。
しかし「大人の威厳」の1行の方が小さな文字になっています。
これには理由があります。
このPOPが書かれたのは年末。この時期になると「お正月」という文字は目
に留まりやすいのです。だから文字を大きくした。「大人の威厳」を大きくした
のでは、この時期は逆につかみとして弱くなります。
「お正月に飛ばさなくていつ飛ばす?」
このコピーが目に飛び込んできたら「何を飛ばすんだ?」と興味を持ちます。
そして下段のコピーに目が行き、大人の威厳うんぬんでイメージが湧く。再び
上段のコピーへと視線を戻し「なるほど、正月に、だよね」とうなずくわけで
す。
ここまで動機づけられて、210 円の買い物を我慢できる人は少ないでしょう。
これ1枚で売り上げを伸ばし、出入りの業者さんまでが買って行ったそうです。
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【ある金物屋の会員の事例】
商品はいわゆる「蚊遣(かやり)豚」。しかもデ
ザインモチーフは「猫」だそうですが、デザイ
ンが少々変わっていて顔が怖く見えます。
普通のよくある「蚊遣豚」の方がかわいい。実
際、この商品は売れていませんでした。
しかし、このPOPの一言で、売れていくよう
になりました。
これは「情緒的、感情的、直感的な動機づけ」
の典型です。
蚊取り線香を燃やすだけなら線香についてくる付属品で事足ります。わざわざ
陶器の豚を買うのは、その方が楽しいからです。いわば「快楽的な消費」。そし
て快楽的な商品が2つ並んでいれば、見た目にかわいい方を買います。
しかしまた、快楽的な消費だからこそ「蚊に一喝!」というフレーズによって
新たな価値も生まれるのです。
【ある食品スーパーの会員の事例】
後にこんな例もお話ししておきましょう、
処分品コーナーのPOPを取り替えたらお客さんの笑顔が増えたという実例。
傑作です。
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賞味期限が迫った商品を見切り処分するのは、どこのお店もやっていることで
す。その商品を1ヶ所に集めて半額などの値引きシールを貼って処分品として
販売しているようなことも、食品スーパーでは日常的に見られる光景です。
この店でも、これまで「ここの商品どれでも半額!」と書いていましたが、ふ
と思いついてフレーズを次のように変更してみました。
「あと少しの命です。お助け下さい」
これだけでお客さんの反応がまったく変わってしまいました。
売れ行きが良くなったばかりか「こう言われると弱いのよね。助けたくなっち
ゃうわ」「良いことをした気分だわ」「今日は助けてあげられなくて残念」など
の声が聞かれるようになりました。
毎日のように廃棄商品を出していたのが、POPを変えてからは連日ゼロだそ
うです。ということは、より多くの人がより強く動機づけられていることを意
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味します。
と同時に、半額をあえて買う気恥ずかしさを下げるという効果もあるようです。
動機づけただけでなく、行動に対する抵抗感をも下げているということです。
処分品を買う人がどこか気恥ずかしそうだと感じ、POPの文言を書き替えた
ところ、お客さんたちは「助けてあげた」「協力した」という気持ちになれた。
「会計の際に申し訳なさそうに『半額ばっかり買って悪いわね』などと言うお
客様もいません。代わりに『助けてあげたよ』とにこやかに言う方が増え、お
互いに気分の良い状況が生まれています」と店主が語っています。
◆ POPのメッセージとは
「POPをつけただけでいきなり商品が売れ始めた」
「メニューの書き方を変えただけでその料理の売れ行きが2倍になった」
これは当実践会に毎月寄せられるレポートでしばしば目にする言葉です。
一口にPOPと言ってもその種類はさまさまです。
商品につけるPOP、コーナーに掲示するPOP、飲食店のメニュー、客席の
テーブルの上に立てるテーブルテントなどなど。
いずれもお客さんに情報を伝達するメッセージツールだと考えてください。
あなたの売り場でも、お客さんに発信するメッセージを見直してみましょう。
メッセージの役割とは何だと思いますか。
お客さんがメッセージを受け取ったとき、思わず「買いたい」と感じてしまう。
その商品やサービスを使っている自分の姿がイメージとして頭に浮かんでくる。
「買いたい」という気持ちが衝動的に湧き起こる。
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このように「買いたい」という気持ちのスイッチを押すことが、メッセージの
大切な役割なのです。
◆ 適切なトレーニングで誰にでもできる
ここに紹介したPOPの作成者は、いずれも小さな商店の店主です。
特別な人ではありませんし、 初からこんなにうまく書けた人はいません。
ワクワク系マーケティング実践会で動機づけの正しい意味と方法を学び、トレ
ーニングしたことで書けるようになった人ばかりです。
トレーニングを続けると、誰でもこんなPOPを書けるようになります。
わずか1枚のPOPによって、お客さんの行動を思い通りに変え、売り上げを
創る。そんな売り方が可能になるのです。
あなたの売り場にあるPOPは、お客さんを動機づけ、買いたい気持ちにさせ
るPOPでしょうか。単なる値札、プライスカードになっていないでしょうか。
トレーニングを重ねていけば、誰でも動機づけPOPが書けるようになります。
慣れていた方々はよく「書くことが湧いてくるようになる」と言います。
また、次第に目が肥えていくので、メッセージの良し悪しも分かってきます。
あなたも「動機づけ力」を身につけてみませんか?