スマホと共に動き出す...
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スマホと共に動き出す
インターネット大国インドネシア
2012年 2月
独立行政法人 日本貿易振興機構
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日本貿易振興機構 グローバル・マーケティング課宛
● ジェトロアンケート ●
「スマホと共に動き出すインターネット大国インドネシア」
に関するアンケート
ジェトロでは将来の市場として、潜在的需要が高い可能性のある国や地域のマーケット情報を日本の
中堅中小企業の方々に紹介することを目的に本調査を実施いたしました。報告書をお読みいただいた
後、是非アンケートにご協力をお願い致します。
■質問1:「スマホと共に動き出すインターネット大国インドネシア」について、どのように思わ
れましたでしょうか?(○をひとつ)
4:役に立った 3:まあ役に立った 2:あまり役に立たなかった 1:役に立たなかった
■ 質問2:上記のように判断された理由、また、その他、本報告書に関するご感想をご記入下さい。
■ 質問3:その他、ジェトロへの今後のご希望等がございましたら、ご記入願います。
■お客様の会社名等をご記入ください。(任意記入)
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~ご協力有難うございました~
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経済発展著しいインドネシアにおいて、インターネットアクセスの増加に伴い関連ビジネ
スが注目されている。
ここインドネシアでのインターネットアクセスは、ほとんどがスマートフォンなどの携帯
電話からのアクセスが中心となっており、Facebook などを活用した企業の広報活動やスマ
ートフォンアプリを活用した顧客取り込み合戦が始まっている。
<経済発展に伴い注目されるインドネシア>
世界第 4位の人口 2億 4千万、国の東西幅が約 5,100キロ、1万 8千もの島からなるインド
ネシアでは通信手段として携帯電話は生活に欠かせないアイテムとなっている。
インドネシアの経済成長は著しく、近年、年率 6%以上の経済成長を保持しており GDP も
2010年 USD3,000を超え、2011年には USD3,500を遂に突破した。
こうした経済成長と共に給与水準も例年 10%以上も上昇し続けており、消費者の購買意欲
も高く、富裕層に加え中間層と言われるレンジも国内消費に大いに貢献をし始めている。
当地での報道(インドネシア携帯電話業者協会:ATST)によれば、インドネシア国内の携
帯電話市場は遂に SIM カード加入者数が 2 億 4 千枚を超えたと言われており、近い将来イ
ンドネシアにおける携帯電話普及率は 1人 1台の時代になるだろう。
スマートフォンの普及状況
市場調査会社インターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)の調査によれば 2011
年第 3 四半期インドネシアの携帯電話のうちスマートフォン(以下、スマホ)は 11%で従
来型の携帯が 89%となった。見かけの割合は少ないが絶対数が多いインドネシアにおいて
スマホの普及率も近年急上昇しており、2012 年は各社が低価格スマホを投入予定もあり約
70%近い伸びを見せるだろうと予想されている。
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図1:インドネシアにおけるスマートフォンの普及割合
出典:IDC調査(2011 年第 3四半期)
<スマートフォンが普及した要因は何か>
インドネシアでスマホといえば Blackberry(以下、BB)というほど BBが人気である。3年
ほど前よりインドネシア、特にジャカルタなどの都市部の裕福層を中心に BBは当時約 5~6
万円と高額ながら成功した者のステータスの象徴として人気が広がってきた。
インドネシア人の気質的に(日本人と同じように)、人が持っている流行の物を欲しくなる
という物欲をくすぐるように、この BBは低価格化と共に爆発的に普及してきている。
ここインドネシアでは、世界にもまれな BB大国となっており本家アメリカに次ぐ出荷台数
を誇り、BB メーカーの RIM 社によれば出荷台数は 2010 年で約 400 万台に達する。(インド
ネシアのスマホシェア約 22%)
BB の人気が高くなった要因としては、携帯キャリア各社も顧客の取り込みに凌ぎを競って
おり、各社共に格安パック料金が登場し「インターネット接続、E-mail、Black Berry
Messenger (以下、BBM)、Facebook 等 SNS」の使い放題プラン月額 99,000 ルピア(約 850
円)が人気となっており、最近では月 50,000ルピア(約 440円)で使い放題などの破格の
プランも出現している。
なぜ BBがインドネシアで人気なのか分析すると、安い接続料、チャットが打ちやすい QWERTY
配列キーボード、また BB仲間同士で PIN番号を交換しチャットができる BBMが出来るとい
うのが人気の理由で、友達同士などで盛んに PIN 番号交換が行われている。最近では、会
社・店舗などでもこの BBの PINを用意しており、顧客へのキャンペーン等の連絡用に活用
されている。
従来型携帯
89%
スマート
フォン
11%
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また、裕福層は常に最新型を持つことが今もステータスとなっており、価格は BBが流行始
めた 3 年前から半額以下の廉価版も登場し約 1,800,000 ルピア(約 1 万 6 千円)から最新
高性能版で約 5,500,000ルピア(約 4万 8千円)となっている。
なお、インドネシアにおけるスマホのシェアは NOKIA が 44%と非常に高いが、売れ筋は
NOKIA 独自の OS を搭載する 1,000,000 ルピア(約 8,500 円)以下の安価なスマホが中心と
なっている。これらの安価なスマホも BB 同様の QWERTY 配列キーボード搭載モデルが人気
となっており Facebookなどの SNSにも簡易に接続できるアプリも搭載しているものがほと
んどである。ただし、本当は BBが欲しいが経済的に厳しいので NOKIAで我慢するというの
が実態のようである。
また、先般インドネシアでも最新型の iPhone4S が発売されたが、64ギガモデルで 9,900,000
ルピア(約 9 万 5 千円)と高額なうえ、BB のような安価な通信パック料金があまりまだな
いことから、まだ爆発的な普及には至っていない。しかしながら、価格が安くなれば次に
欲しい最新型のスマホとして iPhoneは若者を中心に注目度が高くなってきている。
サムスンなどの Android携帯も徐々に人気をだしつつあり、こちらも約 120万ルピア(約 1
万円)の廉価版スマホを今年発売予定としており、シェア確保を仕掛けてきている。
図2:インドネシアにおけるスマートフォンのメーカー別シェア
出典:IDC調査(2011 年第 3四半期)
NOKIA 44%
Blackberry 22%
Samsung 10%
Nexian 8%
SonyEricsson 7%
Cross 5%
Apple 2%
LG 2%
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<スマートフォン利用により携帯の使い方に変化はあったか>
インドネシアにおけるインターネット利用者数は 2000 年時 20 万人程度(国際電気通信連
合調べ)であったが、2010 年には 4500 万人(情報通信省調べ)となり人口の約 12.3%ま
で急増しているという。これらへのアクセスは PC及び携帯電話(スマホ)からが大層だが、
PCでのブロードバンド接続料は約 500,000ルピア/月(約 4,400円)と高価であるのに対し、
BB などのスマホからは 100、000 ルピア以下(約 900 円)と比較的安価であることから、携
帯電話からのインターネット接続が大幅に急増している。
また、詳しくは後述するがインドネシアでは Facebookなどの SNSが盛んであり、これらへ
のアクセスはスマートフォンのアプリを利用したアクセスがタイムリーかつイージーなこ
とからインドネシアからのアクセスが急増した要因であるとされている。
なお、インドネシアの携帯電話最大手国営企業の Telkomsel によれば、インドネシアにお
ける携帯電話の契約方法は約 95%がプリペイ方式、残りの 5%がポストペイ方式と言われ
ており、毎月の携帯利用料の全国平均は 20,000ルピア(約 180円)程度で、インターネッ
トにアクセスするスマホユーザー等の利用額は 100,000 ルピア(約 900 円)程度となって
いる。ユーザーは最小限のコストで携帯、スマホを活用していることを意味しているだろ
う。
インドネシアで人気のサイト、アプリ:開発会社の概要
インドネシアは、Facebook 利用率世界第 3位(約 4,300万人が登録)や Twitter利用率世
界 5位など各種 SNSで世界的に多くのアクセス数を誇るインターネット大国である。
当地での人気のインターネットサイト、スマートフォンアプリを以下の通り紹介する。
<インドネシアで人気のポータルサイト①>
“detikcom” URL: http://www.detik.com/
この detikcom はニュースを中心としたポータ
ルサイトで、金融、芸能、スポーツ、自動車関
連、食品等多岐に渡る情報を提供するサイトで
インドネシア最大の閲覧数を誇る。
本 HPには HONDA 等の日系企業も広告を掲載し
ており、本 HPは TRANCE TV などを運営するマ
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ルチメディア系企業 TRANCE CORP 社により提供されており、TV ニュース等との連携により
速報性の高い情報が人気の要因。(各国報道メディアも注目している HPである)
本 HP内には“detikFOOD”( http://www.detikfood.com/ )という食品専用ページもあり、
レストラン評価、ハラル食材の紹介、レシピ紹介などが掲載されている。
レシピのページでは、食材別にレシピを検索したり自分のレシピもアップロードすること
可能。日本食の Sushi や shabu shabu、Udon などで検索すればこれらのレシピやレストラ
ンが検索結果として表示される。
本 HPは BB、iPhone、Androidのスマホに対応したアプリも無料で配布しており、スマホか
らも容易にアクセス可能となっている。
なお、本 HPにはローカル企業を中心と
した広告が多く掲載されているが、ス
イスの ZURICH 保険が本 HP の左右両面
を 利 用 し 広 告 を 掲 載 し て い る 。
(2012.2.8現在)
<インドネシアで人気のポータルサイト②>
“Kaskus” URL: http://www.kaskus.us/
米国在住の 2人のインドネシア人が在米インドネシア人向けに始めた情報交換用の HPが設
立 12年目を迎え、現在登録者数 400万人を誇るインドネシア最大のフォーラムを中心とし
たポータルサイトとなった。運営は地場のベンチャー企業で社員数は約 70名。
投稿されているフォーラムのトピックス数は現在 5 億 3 千万を超え、政治、芸能など様々
な意見交換、情報のやり取りが盛んに行われてい
る。
日本のトピックでは“日本語の勉強”について約
19 万回の閲覧が行われている。
また、“売ります・買います”のページもあり、車
(本体)からファッションアイテム、携帯の小物、
旅行のチケットなど幅広いアイテムの売り買いが
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行われており、決裁システムとして PayPalに似た“KasPay”というサービスも行っている。
<Facebook の活用>
先に記した通り、当地での Facebook人気は盛んである。若者から 60歳台のシニアまでも
Facebookを活用し友達作り、ネットワーク作りが盛んに行われている。
こうした動きを活用し、ローカル企業、日系等海外企業など大手から零細まで多岐に渡る
企業も Facebookを活用した広告宣伝を行っている。企業の他にも政治家や出身大学等もペ
ージが作成されており、仲間意識を強く意識づけて運営されている。
また、当地では店舗を構えることが出来ない若者などが中心に Facebook上にオンラインシ
ョップを展開することも多く見受けられ、各種ファッションアイテムなどの販売をするペ
ージを見にすることがある。
~各企業の Facebook を活用した宣伝事例~
Surfer Girl の Facebook : http://www.facebook.com/ilovesurfergirl
バリ発の女性向けサーファーファッションブランドの
Surfer Girl は、HP、Facebook にて広告宣伝やオンラインシ
ョップを運営しているが、Facebookでは 210万人以上がファ
ンとなってフォローしている。本ブランドは開業 14年目を迎
えインドネシア国内のみならず、オランダ、韓国、台湾むけ
にもこれららの発信準備を進めている。
Blackberry の Facebook:http://id-id.facebook.com/BlackBerryID
当地で人気の Blackberry も同様に Facebook にて常に新たな情報発信を行
っており、本ページも 160万人近いファンを持っている。
インドネシア人は常に BB の最新情報を得たいことから当該ページをフォ
ローしているのであろう。
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<APP:Blackberry BBM(ブラックベリーメッセンジャーアプリ)>
URL:http://us.blackberry.com/apps-software/blackberrymessenger/
BBメーカーの RIM社から提供されてい
るインドネシアで人気の BB 専用のメ
ッセンジャー(チャット)アプリ。
本 BBM は個人同士のみならず、グルー
プを作成し一斉通報やグループ内チャ
ットが可能となっており、現在は企業
等も本 BBM を活用した企業ファン向け
に情報発信やイベント告知に活用している。名刺や企業看板にも BBMの PINナンバー(BBM
の個別認識コード)を掲載し自由に仲間になってもらうことを推奨する社(者)も出てき
ているほか、最近では、BBM を Facebook の様に活用しファッションアイテムなどを販売す
るバーチャルショップを運営する若者も出てきている。BBMは間違いなくインドネシアで一
番使われているアプリだろう。本アプリは BB向けにプレインストール済み(無料)
<APP: Taxi Mobile Reservation(タクシー予約アプリ)>
URL:http://www.bluebirdgroup.com/mobile
渋滞著しいジャカルタで、インドネシア
で最大のタクシー企業ブルーバードタ
クシーグループが運営するタクシー予
約アプリ“Taxi Mobile Reservation”
が人気のアプリとなっている。これは
GPS を活用したタクシー予約アプリで現
在位置を GPSで補足し、そこにタクシー
を呼ぶことができる。特に夕刻時や雨の
日はほとんどタクシーがつかまらない時に、スマホから現在位置に配車予約が可能となる。
また、予約した車が現在どこにいるのかもマップ上で確認することができるすぐれ物であ
る。
本アプリは BB、iPhone、Androidのスマホに対応しアプリは無料で配布されている。
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以上、インターネット、スマホ大国のインドネシアにおける人気サイト等を紹介したが、
お気づきのように全て無料で楽しめるサイトが主流である。
当地には日系企業のアドウェイズやワンアップなどゲームクリエイティブ企業の進出も多
く見受けられるが、個人ユーザーからの課金の加可能性は未開の地である。
コンテンツ産業はこうした背景を理解し、商品販売等を進める企業などとタッグを組み、
Facebookなどを通じた広告宣伝などに活用できるゲーム等の提供が、当面の間は即効性の
ある戦略とならざるを得ないだろう。
当地では昨年、楽天(http://www.rakuten.co.id/)もオンライン通信販売を開始するなど、
10 年先を見据えた土台作りを始めたばかりである。将来的には諸島にちらばる 2億 4千万
の巨大なユーザー全てに認知されれば、ここインドネシアはスマホビジネスの広大な有望
マーケットとなるだろう。
スマホと共に動き出すインターネット大国インドネシア
2012年 2月発行
著作・発行 日本貿易振興機構(ジェトロ) 海外調査部
〒107-6006 東京都港赤坂 1-12-32 アーク森ビル 6階
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