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群馬県総合教育センター 小学校 キャリア教育導入 プログラム 実践のための ガイドブック さあ 小学校で キャリア教育を始めましょう

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群馬県総合教育センター

小学校キャリア教育導入プログラム

実践のためのガイドブック

さあ小学校でキャリア教育を始めましょう

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目次

いよいよ小学校でキャリア教育が始まります 1

さあ、あなたの学校でキャリア教育を始めましょう 4

ガイドブックの利用にあたって 5

ステップ1 小学校のキャリア教育ってなんだろう 6

キャリア教育研修実施案(ステップ1) 7

演習の方法(演習1~3)および演習シート 8

ステップ2 キャリア教育授業を見てみよう 14

キャリア教育研修実施案(ステップ2) 15

キャリア教育提案授業の考え方 16

キャリア教育授業参観の方法 18

キャリア教育授業研究会の手引き 19

ステップ3 キャリア教育授業づくりに挑戦しよう 20

キャリア教育研修実施案(ステップ3) 21

キャリア教育授業指導案(略案)の作り方 22

キャリア教育授業指導案用紙 23

児童の実態シート 24

算数のキャリア諸能力分析表 25

勤労観・職業観を育む学習プログラムの枠組み(例) 26

参考資料 27

ステップ1 講義用プレゼンテーション資料「キャリア教育の理論と実践」 28

算数科(キャリア教育)学習指導案 41

キャリア教育における評価例 53

参考文献・参考webサイト 56

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小学校のキャリア教育は・・・

各教科、領域等の授業や日常生活の指導の中で、キャリア諸能力の育成を図り、個としての自立を促す教育といえます。

い よ い よ 小 学 校 で「 キ ャ リ ア 教 育 」 が

始 ま り ま す は

職業観・勤労観を育む学習プログラムの枠組み(例)

職業的(進路)発達にかかわる諸能力の育成の視点から

キャリア教育の推進に関する総合的調査協力者会議報告書(H16.1.28)

○児童それぞれにふさわしいキャリアを形成していくために必要な意欲・態度や能力を育てる教育○児童一人一人の勤労観、職業観を育てる教育

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基本的生活習慣を身に付けた礼儀正しい

子どもになります。

あいさつや清掃などのように

日常生活を中心にキャリア諸

能力の育成を図る。

子どもたちは、めあてをもって、学習に取り組むようになります。

各教科の学習を中心にキャリ

ア諸能力の育成を図る。間接指導

子どもたちは、家庭・学級・学校・地域のなかでの自分の役割に気づいていきます。

職業や勤労に関する内容を扱う。

学活や総合的な学習の時間など

直接指導

常時指導

キャリア教育でど

のような子どもを育

てるのですか?

具体的 にはどん

な力を付けてあ

げるのですか?

教育課程を大幅に変え

る必要がありますか?

「 キ ャ リ ア 教 育 」 はど ん な 教 育 で し ょ う か ?

「将 来社 会人 と して 自立 する た め に必 要

な力を身に付けた 子」 です 。

つまり 、大人にな って自分で働いて

生活していける人です 。

キ ャリ ア諸能力には

人間関係形成能力

情報活用能力

計画実行能力

意思決定能力が ありま す。

新しいこと は 、何もし なくてい

いのです 。今までの教育をキ ャ

リア諸能力の育成という視点

で見直しまし ょう 。

こ れ ま で の 教 育 を キ ャ リ ア 教 育 の 視 点 か ら 見 直 す と ・ ・ ・

キ ャ リ ア 教 育 の 直 接 ・ 間 接 ・ 常 時 指 導

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【3年生 人間関係形成能力の育成を重点にした場合】

【4年生 意思決定能力の育成を重点にした場合】

間接 指 導 直接指導 常時指導

国語 社会 算数 理科 体育 音楽 図工 特・道・総 日常生活

4月 学校のまわり 植物 を あいさつ夕日がせなかをお かけ算のきまり そだ て 器械・器 友だちとい やわらか 清掃班のしてくる よう 具[鉄棒] っしょに歌 いとう明 活 動

5月国語じてんの使い方を おう な光につ 休み時間の知 ろ う 時こくと時間 「歌えバン つまれて 遊 び

市のようす 鬼遊び バン」 (教室でも 給食の会食知ってほしいな、 チョ ウ できるよ)

自分のこ と ※どちらがひろ をそ だいかな? てよう 基本の運 歌いたい曲

しょうたいじょうを書こう 動 をリクエス 絵のぐとトしよう 友だち(絵

形のかわる言葉に 「大きな歌」 のぐの行気をつけよう わり算 表現リズ 「小犬のビ き先どこ

ム[表現 ンゴ」 までも)自然のかくし絵 遊び]

6月どちらがすき器械・器 がっきと友 絵のぐと

漢字の組み立てと 具[マッ だち 友だち意味を考えよう ト,平均 「きらきら (まほう

間 接 指導 直接指導 常時指導

国語 社会 算数 理科 体育 音楽 図工 特・道・総 日常生活

7月 ごみのしょ理と利用水はどこから

11 心の目を開いて 県の様子 わり算の筆算を ものの ゲーム ふるさとの 森のなか 清掃班の月 考えよう かさと ベースボ 音楽 またち1 活 動

[わり算の筆算 力 ール型 「もみじ」 「ゆかい 係 活 動ウミガメのはまを守る (2)~わる数が 「赤とんぼ」な動物た 給食当番

2けた] 器械 ち」跳び箱 水の音楽を 森のなか

文と文をつなぐ言葉の働き つくろう またち2を考えよう ものの 「教室が

12 角の大きさの表 かさと 森に大へ月 し方を調べよう 温度 ん身」活動ほう告を書こう [角の大きさ]

【総合】地域のゴミ調査隊

意思決定能力

直 接 ・ 間 接 ・ 常 時 指 導 の 考 え 方 を生 か し た 年 間 指 導 計 画 ( 例 )

【学活】仲の良い学級にしよう人間関係形成能力

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さあ、あなたの学校でキャリア教育を始めましょう

参観の方法(3色の付箋紙)指導案の配布

授業研究会の手引き・DVD

授業者との打合せ(授業研

究会の手引き)P19参照

キャリア教育導入

プログラムを実施しましょう

キャリア教育の

研修計画を立てましょう

管理職等と

の打ち合わ

ステップ1

・2・3の

研修日の調

キャリア教育導

入ガイドブック

校内研修計画

提案授業者の

今後の研修

について全

職員への説

授業者との打合せ

(提案授業の考え方)P16参照

グループワークができる会場

ステップ1演習シート・プロジェクター・スク

リーン・付箋紙・グループ作り・パソコン

ガイドブック付属DVD

教材単元の増刷・TP指導案枠・指導案枠・

学習プログラムの枠組み(例)・教科におけ

るキャリア諸能力分析表(算のみP25参

照)・児童の実態シート

キャリア教育を

始めましょう

キャリア教育目標の設定

キャリア教育の年間指導計画の作成

キャリア教育の授業づくり、授業改善への日

常的な研修

家庭への啓発など

キャリア教

育実践に向

けた各学校

の取組

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ガイドブックのご使用にあたって

1 ガイドブックの内容について

このガイドブックは、キャリア教育の導入を図ろうとしている小学校に

おいて、校内でキャリア教育の研修会を行うことができるように工夫して

あります。ガイドブックは、以下のような3つのステップから構成されて

います。

ステップ1 小学校のキャリア教育ってなんだろう

ステップ2 キャリア教育授業を見てみよう

ステップ3 キャリア教育授業づくりに挑戦しよう

ステップ1は、キャリア教育への理解を図るための内容になっています。第2部は「キャリア教育に

ついての基本的な理解」第2部は「キャリア教育の授業づくり」です。これらは、パワーポイントによ

るプレゼンテーションで展開するようになっていますので、スクリーンに画面を映し出しながら研修会

を行うことができます。

ステップ2は、キャリア教育授業を参観し、それについて授業研究会を行うという内容になっていま

す。それによって、キャリア教育の授業実践に対するイメージをもったり、キャリア発達を促す支援の

在り方に対する理解を深めたりすることができます。

ステップ3は、実際にキャリア教育の指導案作りを行う研修です。教科の授業で、どのようにしたら

キャリア諸能力の育成を図れるのかを考える機会になるはずです。

2 研修会の実施について

(1)実施時期など

ステップ1・2・3は、校内研修主任を中心に、校内研修の場で実施するように作成されています。

ですから、校内研修の研修計画に位置づけて実施すると無理なく取り組めます。

ステップ1・2・3は、ステップ1の実施後、1ヶ月ぐらいのうちに実施すると、効果的です。ステ

ップ2が研究授業の実施となっている都合上、夏休みなどの実施は、避けた方がよいです。

これらのことを考慮の上、各学校で研修計画に位置づけて実施してください。

(2)実施の形態

ステップ1・2・3は、参加者が主体的に取り組めるよう少人数によるグループワークを取り入れて

います。ですから、会場は3~5人程度のグループになれる机の配置が望ましいです。

また、グループのメンバーは固定せず、その都度、無作為に決めてください。

(3)演習シートなど

演習シートは、A4サイズで作成してありますが、ご使用の際には、A3サイズに拡大してご利用く

ださい。また、必要な資料等も、拡大・増す刷りしてご利用ください。

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ステップ 1

小学校のキャリア教育って何だろう

小学校キャリア教育の考え方と進め方のために

ステップ1 CONTENTS

1 ステップ1研修実施案 P.7

2 演習方法および演習シート P.8

ステップ 1は 、小学校の教師が 、キャリア教育やその実践をど

のようにしていったらよいのかを理解するためのプログラムです。

校内研修の全体会で行いやすいように、研修内容はプ レゼンテ

ーションにしてあります。スライドの順に従って、講義や演習を実

施していって ください。また 、演習の実施方法や演習シート、準備

物など も載せてありますので、それぞれの学校の実情に合わせ

てご活用下さい。

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(1)ガイドブック・・・・ステップ1 小学校のキャリア教育ってなんだろう

(2)実施場面 校内研修全体会

(3)時間 90分

(4)準備 ホワイトボード、付せん紙(大・小)、演習シート①②③、プロジェクター、

ノートパソコン、スクリーン

(5)展開

研修の流れ(形態) 担当 時間 具体的な内容 資料等

研修内容の説明 研修 ○日程説明、グループ作り

(一斉) 主任

1.キャリア教育につ 研修 40 ・キャリア教育が求められるように ・スライドNo.1~No.14

いての基本的な事項に 主任 なった社会状況、現代の若者を取り ・演習シート

ついての理解 巻く雇用状況や職業観、及びキャリ

・講義 ア教育で育てる能力について理解す

※・演習1「働く目的 る。

意義って何だろう」

※・演習2「社会で働 ※演習については、演習1または演

くとき必要な能力って 習2のどちらかを選択して行う。

何だろう」

<休憩> 10

2.キャリア教育を視 ・これまでの教育活動を振り返り、 ・スライドNo.15~No.31

点にした教育活動や日 キャリア教育は日常の教育活動のあ ・演習シート

常の学習指導について 40 らゆる場面で行えることやキャリア

理解する。 教育を視点にした授業について理解

・講義 する。

・演習3「キャリア諸

能力を育成できる教育

活動を見つけよう」

3.振り返り (10)

キャリア教育研修実施案(ステップ1)目 標 キャリア教育の考え方と進め方について教職員の理解を図る。

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1.演習のねらい

職業観・勤労観は、個々人により違いがある。また、日常の生活においてもあ

まり意識しない観念である。そこで、職業観・勤労観を形成する上での基本とな

る「働く目的や意義」とは何か、教職員にお互いの考えを出し合わせ共通理解を

図る。その上で、子供たちに働くことについて、どんな意識を持たせたいのか共

通理解する。

2.演習の形態

・少人数グループ(3~5名)での話合い(バ

ズ・セッション)。

3.演習シート、サインペン、

付箋紙(小)・・・各人5枚

付箋紙(大)・・・各グループ10枚

演習シート(A3 サイズ)

全体発表掲示用シート(演習シートをA1サイズに拡大)

4.演習の流れ及び留意点

時 演 習 の 流 れ 留 意 点

※予め、グループのリーダーを決めておく。

・1人あたり5枚付箋紙(小)を配付する。

5 ・自己の考えを1枚の付箋紙(小)に1個記入する。

・各人が順番にコメントをしながら記入した付箋紙を演習

シートに貼る。

分 ・演習シートに貼付したカードをグルーピングし、付箋紙

(大)に見出しを記入。

・グルーピングした付箋紙(大)を教育的意義が大きいと

考えた順に並べる。

5 ・各グループの代表者による全体発表。

分 ・発表の際には、学校教育目標との関連についても考える

ようにしたい。

T T

TTT

T T

TTT

T T

TTT

T T

TTT

T

演習1 『働く目的や意義って何だろう』 実施案

目 標 働く目的や意義について教職員の共通理解を図る。

発 表

演習の説明を聞く

自分の考えを

付箋紙に書く

グループ内で発表

意見を集約

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演 習 シ ー ト 1 働 く 目 的 や 意 義 っ て 何 だ ろ う

小 教 育 的 意 義 大

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1.演習のねらい

企業の経営者の立場に立ち、どのような能力を持つ社員を採用するか考える。

この演習を通して、子ども達がこれから社会の一員として働くうえでどのような

能力を身に付けていく必要があるのかを考え、キャリア教育で育む4領域8能力

の意味について教職員の共通理解を図る。

2.演習の形態

・少人数グループ(3~5名)での

話合い(バズ・セッション)。

3.準 備

付箋紙(小)・・・各人5枚

付箋紙(大)・・・各グループ10枚

演習シート(A3 サイズ)

全体発表掲示用シート(A1 サイズに演習シートを拡大)

4.演習の流れ及び留意点

時 演 習 の 流 れ 留 意 点

※予め、グループのリーダーを決めておく。

・1人あたり5枚付箋紙(小)を配付する。

5 ・自己の考えを1枚の付箋紙(小)に1個記入する。

・各人が順番にコメントをしながら記入した付箋紙を演習

シートに貼る。

分 ・演習シートに貼付したカードをグルーピングし、付箋紙

(大)に見出しを記入。

・グルーピングした付箋紙(大)を教育的意義が大きい順

に並べる。

5 ・各グループの代表者による全体発表。

分 ・発表の際には、学校教育目標との関連についても考える

ようにしたい。

演習2 『社会で働くとき必要な能力って何だろう』 実施案

目 標 キャリア教育で育てる能力について教職員の理解を図る。

T T

TTT

T T

TTT

T T

TTT

T T

TTT

T

発 表

演習の説明を聞く

自分の考えを

付箋紙に書く

グループ内で発表

意見を集約

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演 習 シ ー ト 2 社 会 で 働 く と き 必 要 な 能 力 っ て 何 だ ろ う

低 教 育 的 意 義 高

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- 12 -

1.演習のねらい

児童のキャリア諸能力の育成を図れる教育活動にはどのような教育活動があるか、

日常の教育活動の中から見つけ出すことを通して、キャリア諸能力の育成は教育活動

のあらゆる場面で行うことができることを共通理解する。

2.演習の形態

・少人数グループ(3~5名)での話し合い

3.準 備

演習シート3(A3サイズ)、付箋紙(大・小)、サインペン、ホワイトボード、

クジ※1(演習の中で各班に4能力領域を振り分ける時に使用する。)

4.演習の流れ及び留意点

時 演習の流れ 留意点

予め、グループのリーダーを決めておく。

・1人あたり5枚付箋紙(小)を配布する。

・クジ※1で、各グループが担当する能力領域を決める。

5分 ・担当した能力を身に付けさせるには、どのような教

育活動の場(具体的な場面)が役立ちそうか考え、自

己の考えを付箋紙(小)に書く。

・演習シート3を配布。

・グループのメンバーが、順番に、コメントを添えな

5分 がら付箋紙(小)を演習シートに貼る。

・最も有効(実行しやすさ、効果の程度から判断する)

と思われるものを付箋紙(大)に書き出す。

・代表者による発表。(演習シート3をホワイトボー

5分 ドに掲示する。)最も、有効と考えた教育活動につい

て説明する。

・貼られたシート見て、気づいたことを発表し合う。

・キャリア教育は、日常のあらゆる教育活動で取り組

むことができるということを、まとめとする。

演習の説明を聞く

自分の考えを付

箋紙に書く

グループ内で発表

発 表

演習3 『キャリア諸能力を育成できる教育活動を見つけよう』 実施案

目 標 キャリア諸能力の育成は教育活動のあらゆる場面で行えることを理解する。

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- 13 -

演 習 シ ー ト 3 キ ャ リ ア 諸 能 力 を 育 成 で き る 教 育 活 動 を 見 つ け よ う ( 能 力 )

国 語

社 会

算 数小 教

理 科学

生 活校 科

音 楽教

図画工作育

家 庭課

体 育程領 特別活動

域 道 徳

総合的な学習の時間

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- 14 -

ステップ 2

キャリア教育授業を見てみよう

キャリア教育授業参観と

授業研究会の実施のために

ステップ2 CONTENTS

1 ステップ2研修実施案 P.15

2 キャリア教育提案授業の考え方 P.16

3 キャリア教育授業の参観の方法 P.18

4 キャリア教育授業研究会の手引き P.19

ステッ プ2は 、教科のキャリア教育授業を参観しキ ャリア教育

授業のイメージをもつとともに、授業研究会によってキャリア発達

を促す支援の工夫を明らかにしていくプログラムです。より焦点

化された授業研究会にするために、授業参観の方法や授業研究

会の進め方を工夫してあります。

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(1)ガイドブック・・・・ステップ2 キャリア教育授業を見てみよう

(2)実施場面 研究授業、授業研究会

(3)時 間 授業45分、授業研究会60分

(4)準 備 キャリア教育指導案(配布用・グループ用A3版・掲示用(拡大))

付箋紙(細3色 ピンク・水色・黄色) 大判付箋紙

研修の流れ(形態) 担当 時間 具体的な内容 資料等

1.提案授業 授業者 45 ○キャリア教育授業の視点を明らかにし ・キャリア教育指導

た授業を 案(配布用)

提案する。 ・付箋紙3色

○3色(ピンク・水色・黄色)の付箋紙に

参観中の気づきをメモする。

・キャリア教育指導

2.授業研究会 学年 60 案(グループ用・掲

(1) あいさつ 主任 ○研修の進め方、内容について説明する。示用)

授業者 ・大判の付箋紙

(2)グループ演習Ⅰ 学年 ○授業を振り返り、授業者がキャリア教

・授業の振り返り 主任 育の視点として強調した点について、協

・授業者の授業説明 議し、授業者から授業説明を聞く。

(3)グループ演習Ⅱ ○授業者とは異なったキャリア教育の視

授業についての協議 点を想定し、参観した授業の中でどのよ

(班別) うな支援ができるかアイデアを出し合い、

・支援方法についてア 付箋紙(大)に記入。

イデアを出し合う。

・各グループの代表者 ○掲示用指導案(A1サイズ)に付箋紙

による発表。 を貼付し、説明する。

(4)まとめ ○キャリア教育を視点とした授業では、

子どもにどのような力を付けるのか意識

して指導・支援を行うことが大切である

こと共通理解する。

3.振り返り 学年 ○キャリア教育授業について研修したことを振り返る。

キャリア教育研修実施案(ステップ2)

目 標 キャリア教育を視点とした授業の実際を理解する。

参照「授業参観の方法」

参照「提案授業の考え方」

参照「授業研究会の手引き」

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実践のポイント1

間接指導(教科)の中から、授業を計画しましょう。

実践のポイント2

キャリア教育の視点から児童の実態をとらえ、育てたいキャリ

ア能力をしぼりましょう。

その能力育成のための、適切な支援を工夫しましょう。

実践のポイント3

授業に自己評価活動を位置づけましょう。

- 16 -

ステップ2で実施するキャリア教育の提案授業は、ステップ1の研修内容を具現化し、

キャリア教育の授業についてイメージを共有し合うためのものです。キャリア教育の

日常的な実践に向けて、全教職員がともに学び合うという意識で授業を参観すること

が大切です。

授業者は、提案授業を構想するに当たって、

次の3つのポイントを考慮しましょう。

指導案上で実践のポイントを明示します。

キャリア教育提案授業の考え方

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- 17 -

本時案(例)

(1)本時の目標

教科のねらい

◎角づくりの活動を通して、角の大きさに対する見方を深める。

キャリア教育からのねらい 課題解決能力

①三角定規を組み合わせてできるいろいろな角度を、自ら求めようとする。

②いろいろな角度をつくる操作を、工夫しながら根気よく取り組む。

(2)準備

大型三角定規、三角定規模型、授業後の感想用紙

操作活動用の色紙の三角定規(教師用・児童用)、発表用紙

(3)展開

学 習 活 動 時 キャリア教育とのかかわりと支援(○印)

導 1、既習事項の復習をする

入 三角定規を構成している角の 5

大きさについて復習する。

展 2、本時の課題を知る。

開 三角定規の角の大きさを使っ

て、新しい角を作ることを知

る。 30

3、三角定規の組み合わせで新 課題解決能力

しい角を作る。 三角定規を組み合わせてできるいろいろな角度を、自ら求め

4、新しくできた角の大きさを ようとする。その際、操作活動を工夫したり、根気よく取り

計算によって求める。 組んだりする。

5、新しくできた角の大きさの ○繰り返し課題解決に取り組めるような興味ある課題作りを工夫

秘密を探る。 する。

○色紙で三角定規の模型をつくり、一人一人の操作活動を補償

する。

○机間指導により、一人一人の活動を認め励ましたり、アドバイ

スをしたりするなどして根気よく課題解決できるようにする。

終 5、今日の勉強を振り返る。 10 自他の理解能力

末 学習後の感想に記録する。 本時の学習を振り返り、自らの変容を確かめる。

○本時では何を学習し、自分はどう感じたのか、これまでの自分

との違いがあったかなどを記述するよう促す。

実践のポイント1

実践のポイント2

実践のポイント2

実践のポイント3

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- 18 -

キャリア教育授業を参観する際には、授業者が強調したキャリア教育の視点に沿っ

て授業を参観する必要があります。そのために、事前に以下の「授業参観の手引き」

を参観者に伝えておくようにします。

キャリア教育授業参観の手引き

授業参観の手引き

①3色の付箋紙を用意し、参観前に参観者に配布します。

(5枚ずつ)

②参観中に支援など気づいたことを付箋紙にメモします。忙し

く てメモできない場合には、指導案のその場所に付箋紙を貼

っておくだけでも、記録となります。

③3色の色分けは、

・ピンク・・・ ・改善の余地があると思ったところ。

・水色・・・ ・ ・分かりやすい、良いと思ったところ。

・黄色・・・ ・ ・疑問に思ったところ。

授業者に質問したいところ。

④メモした付箋紙を、指導案の該当する場所へ貼っておきま

す。

⑤付箋紙が貼り付けられた指導案を持って、授業研究会へ参

加します。

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- 19 -

キャリア教育授業研究会のねらいは、参観した授業をもとにキャリア諸能力を育成

する支援方法について話し合うことを通して、教職員がキャリア教育の授業について

理解できるようにすることです。具体的には、はじめに授業者がキャリア教育のねら

いに迫るために行った支援方法について協議しその意味と効果について確認します。

次に、参観した授業で授業者が強調したキャリア教育の視点とは異なる視点で授業

を見直し、効果的な支援方法についてアイデアを出し合います。

キャリア教育授業研究会の手引き

展開例 (60分扱い)

1 あいさつ (5分)

・研修の進め方と内容を説明する。

2 グループ演習Ⅰ ~授業の振り返り~ (20分)

①グループで本時の授業を振り返る。付箋をワークシートに貼りながら意見交換をする。

②グループで話し合った内容を代表者が発表する。

③授業者による授業説明。キャリア教育の視点として強調した部分を説明する。

3 グループ演習Ⅱ ~キャリア諸能力の支援方法のアイデアを出し合う~ (30分)

①各グループでくじを引き、授業の中でキャリア教育の視点として強調する能力(4領域)を決定する。

グループの中でアイデアを出し合い、それを大きな付箋紙に記入する。

※新たな授業を構想するのではなく、参観した授業に限定した中での支援として考えさせるようにす

る。

②グループで話し合った内容を代表者が発表する。模造紙大に拡大した指導案に付箋紙を貼りなが

ら説明する。

4 まとめ (5分)

グループ演習Ⅱで仕上げた指導案を素材に、キャリア教育を他の教科等でどのように実施していくか

発展させて思考していくことがキャリア教育を実施していく上で大切であることを共通理解して研修を

終える。

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- 20 -

ステップ 3

キャリア教育授業づくりに挑戦しよう

キャリア教育を視点とした授業実践に向けて

1 ステップ3研修実施案 P.211 キャリア教育を視点とした授業の指導

案(略案)の作り方 P.22

3 キャリア教育授業指導案用紙 P.23

4 児童の実態シート P.24

5 算数科キャリア諸能力分析表 P.25

6 学習プログラムの枠組み(例) P.26

ス テップ 3は 、キ ャリア教育を視点とした授業の実践に向けて

指導案作りに取り組むプログラムです。グループ演習で、仮想の

学級を対象にキャリア教育授業を構想します。

具体的には、仮想した学級の児童にどのような能力を身につけさ

せるかを決め、グループで指導案を作成します。この指導案づく

りを通して、実践的にキャリア教育を視点とした授業づく りを学ぶ

ことができます。

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- 21 -

(1)ガイドブック・・・・ステップ3 キャリア教育授業づくりに挑戦しよう

(2)実施場面 全体会

(3)時間 60分

(4)準備 キャリア教育指導案(略案)の作り方、キャリア教育指導案枠のTPシート、

教科書のコピー(4年生算数「面積」)、OHP、TPペン、スクリーン、

資料:算数のキャリア諸能力分析表、学習プログラムの枠組み(例)、

児童の実態シート

研修の流れ(形態) 担当 時間 具体的な内容 資料等

・学校長あいさつ 5・キャリア教育指導

・研修内容について説 研修 ○研修の進め方、内容を説明する。 案の例明 主任

(一斉)

1 グループ編成 研修 ○少人数のグループを作り、担当する学主任 習集団(習熟度別編成A・B・Cクラス)を

5 決める。

2 指導案の作成 10 ○児童の実態シートをもとに、学習集団 ・児童の実態シート(個人) の「強み」や「弱み」について考えシー ・算数のキャリア諸

トに記入する。 能力分析表・学習プログラムの

(班別) 25 ○学習集団について話し合い、「強み」 枠組み(例)「弱み」について共通理解する。○どのようなキャリア能力を育成していくか決定する。 ・教科書のコピー

(班別) ○教科書を使い、授業を行う箇所を決め ・キャリア教育指導る。 案枠のTPシート○グループで話し合いながら、指導案を ・TPペン作成する。

3 キャリア教育指導 15 ○各班ごとに授業づくりについて育てた ・OHP、スクリーン案の発表 いキャリア能力、それに対してどのよう

(班別・全体) な支援を行ったかなどを説明しながら、指導案を発表する。

校長による指導講評

キャリア教育研修実施案(ステップ3)目 標 キャリア教育授業の指導案を作成し、キャリア教育の授業づくりについて理解を

深める。

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指導案(略案)の作り方

算数科学習指導案(略案)

1 単元名

2 本時のねらい

◎教科のねらい

○キャリア発達にかかわるねらい

3 展開

学習活動 時 育てたいキャリア能力と支援(○)

○・・・・・・・・・・・・・・・

○・・・・・・・・・・・・・・・

○○○○能力

本時で重点とするキャリア諸能力を明記し、算数で育成が期待で

きるキャリア諸能力の具体的な態度などを示す。

キャリア諸 能力

の育成が図れるよ

うな 学習 活動を工

夫する。

ねらいとするキャリア諸能

力の育成 が図れ る学習活

動と対応させる。

○○○○能力

自分を振り返る活

動を取り入れる。

ねらいとするキャリア諸能力の育成のた

めには、どのような支援を行ったらよいの

か具体的に示す。

班のメンバー

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指導案用紙

算数科学習指導案(略案)

1 単元名

2 本時のねらい

◎教科のねらい

○キャリア発達にかかわるねらい

3 展開

学習活動 時 育てたいキャリア能力と支援(○)

能力

班のメンバー

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児童の実態シート

習 A組 B組 C組

熟 児童数 20名 児童数 25名 児童数 15名

度 学力は全体的に高め 学力は全体的に中程度 学力は全体的に低め

人 ・全体的に明朗。 ・全体的に皆で協力し合う ・全体的に明朗快活。

間 ・全体的に個人で考えたり 雰囲気がある。 ・相手の気持ちを考えない

関 活動したりするのを好む傾 ・受容的な雰囲気がある。 乱暴な言動が時々見られる。

係 向がある。 ・受容的な雰囲気がある。

・教師に指示されたことに ・教師に指示されたことに ・教師に指示されたことに

は、まじめに取り組む児童 は、まじめに取り組む児童 は、まじめに取り組む児童

学 が多い。 が多い。 が多い。

・人前で自己の考えを発表 ・授業中に落ち着きに欠け ・全体的に創意工夫するの

習 するのが苦手な児童が多い。る児童が数名いる。 が苦手。

・友達の考えの良さを自分 ・グループ活動を好む児童 ・じっくり考えることが苦

の の考えに生かすことが苦手 が多い。 手な児童が多い。

な児童が多い。 ・学習内容が定着しにくい ・発言することに消極的

様 ・全体的にドリル学習を好 児童が数名いる。 ・学習したことが定着する

む傾向がある。 ・具体物を使った操作活動 のに時間がかかる。

子 を好む児童が多い。 ・全体的に作業に時間がか

・自分の考えに自信が持て かる。

ない児童が全体の約半数程 ・かけ算九九が十分でない

度いる。 児童が5人いる。

・二けたの減法でつまずき

やすい児童が5人いる。

参 標準学力検査の結果

考 【算数】

資 段階5(5名) 段階4(12名) 段階3(20名) 段階2(17名)段階1(6名)

料 【国語】

段階5(4名) 段階4(18名) 段階3(22名) 段階2(13名)段階1(3名)

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算数のキャリア諸能力分析表

人 自 □友達の考え方(解決方法)のよさを認める間 他 □友達の考え方のよさを取り入れて、自分の考えを練り直す関 の □問題解決の過程を振り返り、学習内容の定着を確認する係 理形 解成 能能 力力

コ □自他の考えを比べながら聞くミ □自分の考えを分かりやすく発表するュ □よりよい考えに練り上げるニ □多様な考えを発表し合うケ □多様な考えのよさを感じる| □自分の考えのよさを主張するション能力

情 情 □問題解決に必要な情報を整理し、的確につかむ(抽象化・記号化・分類報 報 整理)活 収 □発表された意見の共通点や相違点を見つける用 集 □問題や結果を簡潔・明瞭・的確に表現する能 ・ □データを帰納的に処理し、共通する事柄を見いだす力 探索能力

職 □日常生活と算数で学習したことの関連を理解する業 □自分が何をしなくてはならないのかという目的をもつ理 □身近な職業の中で、数学的な処理や考え方が使われていることを理解解 する。能力

将 役 □統合的な考え方により、認識を深める来 割設 把計 握能 ・力 認識能力

計 □見通しを立てる画 □問題解決の結果や方法について見通しをもつことの大切さに気づ実 き、解決の手順が分かる行 □目的にあった行動をしようとする能 □行動の途中でも目的を明確に持ち続ける力 □類推的な考え方をする

意 選 □「正しいのはどれだろう」と論理的に判断しようとする思 択 ・多様な考えの中から、正しいものを選ぼうとする決 能 ・多様な考えの中から、目的にあった方法を選ぼうとする定 力 □よりよい法則や方法を選択しようとする能力

課 □筋道立った考え方をしようとする題 □よりよいものを求めようとする解 □自分の力で解決しようとする決 □発展的な考え方をする(より一般的なより新しいものを発見していこうと能 する)力 □概念の形成のために一般化の考え方をする□一般化された考えを用いて、課題を解決しようとする□疑問をもつ□自ら問題を発見する

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参 考 資 料

参考資料は、校内でキャリア教育の研修会や授業実践を行ったり、年間指導計画などを

整備しようとしたとき役に立つ資料を掲載しました。本研究の中で作成したものもあればキャ

リア教育先進校の実践から抜粋したものもあります。いずれも、出典を明らかにしてあります

ので、より詳しく研修したい場合には、最寄りの場所へお問い合わせください。

ステップ1 講義用プレゼンテーション資料

算数科(キャリア教育)学習指導案

(別紙資料 「角の大きさ」単元指導計画)

(参考資料 「角の大きさ」のキャリア諸能力分析表)

キャリア教育における評価例

(児童一人一人のキャリア発達を見取る評価の構想)

参考文献・参考Webサイト

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ステップ1研修会用スライド「キャリア教育の理論と実践」

キャリア教育の理解と実践

キャリア教育研修プログラム

研修の流れと内容

ステップ1 (キャリア教育理論研修)・基本的な理解(40分)

・キャリア教育の授業とは(40分)

ステップ2 (キャリア教育授業研修)・キャリア教育授業の参観(45分)

・授業研究会(30分)

ステップ3 (キャリア教育授業の構想)

・キャリア教育指導案作り(60分)・授業実践へ(各自で)

キャリア教育研修プログラムは、3段階のステップで構成されています。

ステップ1では、キャリア教育とはどんな教育活動であるか、キャリア教育が求められるようになった背景、キャリア教育で育てる能力、キャリア教育を視点とした授業の在り方について研修します。

ステップ2では、キャリア教育を視点とした授業の参観と授業研究会を通して、児童のキャリア発達を促す効果的な指導や支援の在り方について研修します。

ステップ3では、キャリア教育の指導案を作る演習を通して、キャリア教育の視点の持ち方、児童の実態のとらえ方、効果的な指導や支援を考え、実践に役立てるようにします。

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増加するフリーター・ニート

101万人

フリーター※15~35歳未満、主婦と学生を除く

1992年

1997年 151万人

2001年 206万人

総務省調査

2003年 217万人

ニート(NEET)15歳~25歳未満

17万人

40万人

8万人

総務省調査によるとわが国の若年労働者

(15 歳~35 歳 学生と主婦は除く)にお

けるフリーターとニート(NEET : not in e

mployment education or training) 働

いていない、教育も受けていない、働くた

めの技能も養っていない)が著しい増加傾

向にあることがわかります。特に、ニート

対策が今日の大きな課題となっています。

このようなことから、今わが国では、学

校と社会(職業)とを円滑に接続するため

の新たな教育が強く求められるようになり

ました。

それが、キャリア教育です。

キャリア教育の定義「キャリア教育」を、キャリア概念に基づき「児童生徒一人一人のキャリア発達を支援し、それぞれにふさわしいキャリアを形成していくために必要な意欲・態度や能力を育てる教育」ととらえ、端的には「児童一人一人の勤労観、職業観」を育てる教育とした。

キャリア教育の推進に関する総合的調査協力者会議

報告書 H16.1.28

○児童それぞれにふさわしいキャリアを形成していくために必要な意欲・態度や能力を育てる教育

○ 児童一人一人の勤労観、職業観を育てる教育

キャリア教育の推進について、文部科学省から諮問を受けていたキャリア教育の推進に関する総合的調査協力者会議は、平成16年1月28日に『キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議 報告書~児童生徒の一人一人の勤労観、職業観を育てるために~』を発表しました。これが我が国におけるキャリア教育推進の指針になっています。そこでは、キャリア教育を、児童生徒一

人一人のキャリア発達を支援し、それぞれにふさわしいキャリアを形成していくために必要な意欲・態度や能力を育てる教育」ととらえ、端的には「児童一人一人の勤労観、職業観」を育てる教育としました。整理すると、キャリア教育は○子供たちが自分にふさわしいキャリアを形成していくために必要な意欲・態度や能力を育てる教育○児童一人一人の勤労観、職業観を育てる教育ということになります。これは、従来から行われていた「生きる力を育てる教育」とほぼ同じ概念を持った教育といえます。それでは、キャリアとはいったいどのよ

うなものなのでしょうか。

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「キャリア」って何?• 自分の役割を果たしたり学習したりすることによって身に付けてきた能力、人間関係など

能力

技術 学習

仕事役割

価値観

人脈

学習

役割 仕事

価値観

人脈能力

技術

意 欲

キャリア発達

キャリアとは、どのような意味を持つのでしょうか。

小学1年生を例にして考えてみましょう。小学校に入学

すると、児童は、学習をしたり、係活動・清掃や給食当

番等の活動で自分の役割を果たしたりします。これらの

活動を通して、児童は様々な能力や技術を身に付け、友

達を作り、学習や仕事をすることの大切さや自分の役割

を果たすことの意味を理解していきます。このようにし

て児童が身に付けてきたもの全てをまとめてキャリアと

いうのです。この児童は、成長し学年が上がるに従って、

低学年で身に付けたキャリアの上にさらにキャリアを身

に付けます。

このようなキャリア形成を図る原動力となるものが、

自己成長欲求、いわゆる“意欲とかやる気”です。子ど

もは、意欲をもって仕事や学習に取り組む中で、仕事や

学習、友達に関わる自分を徐々に意識するようになりま

す。この時、教師や友達から適切なフィードバックを受

けることで、自分へのおぼろげな意識がはっきりとした

「気づき」に変わっていきます。繰り返し仕事や学習に

取り組むことで、その「気づき」が価値として子どもの

内面に固定されます。このように、仕事や学習への取組

が価値として獲得されたとき、子どものキャリア形成が

行われるのです。 したがって、小学校においては、子

どもの意欲を支えたり高めたりする教師の働き、子ども

の仕事や学習への取組を適切にフィードバックする教師

の働きがキャリア教育を進める上で大変重要になりま

す。

働く目的・意義(職業の役割)

○経済的自立

・お金のため ・住むため

・食べるため ・着るため・

○自己実現

・自分らしさの発揮 ・楽しさの発見・能力を高める ・

・他者に認めてもらう

○社会貢献・国、地域の一員としての役割をはたす

・税金を納める・ ※ 森 清(著) 「会社 で働くということ 」岩 波ジュニア新 書 より

働く目的や意義については、人それぞれ異なった考えを持っています。一般化するのは大変難しいことですが、学校でキャリア教育を進めるにあ

たっては、全教職員が働くことの目的や意義について考え共通理解することが大切です。高校生、

大学生むけに書かれた岩波ジュニア新書「会社で働くということ」の中で、著者の森 清氏は、働く目的・意義を次のように分類しています。参考

までに紹介します。○ 経済的自立・お金のため ・住むため

・食べるため・着るため○自己実現・自分らしさの発揮 ・楽しさの発見

・能力を高める ・他者に認めてもらう○社会貢献・国、地域の一員としての役割をはたす

・税金を納める

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厳しい社会状況と若年層の意識

若者に厳しい雇用状況

・実力、能力重視の雇用

・若年失業者の増加(就職する意識がある)

・フリーターの増加

・ニートの増加(進学・就職する意識がない)

若者の労働意識の変化

・「とりあえず」就職という意識の若者の増加・目先の楽しさを求める傾向の若者の増加

・仕事で自分の力を試してみたいという意識の低下

・責任を伴うことは避けたいという意識の増加

現代の若者達をとりまく雇用状況と若者の労働意識

の変化を見てみましょう。ご存じのように現在日本経済は激しい国際競争の中にあります。各企業は、コスト削減にしのぎを削り、なんとか生き残りを果たそう

としています。その結果、若者達の雇用状況は大変厳しい状況とな

っています。・実力、能力重視の雇用

・若年失業者の増加(就職する意識ある)・フリーターの増加

・若年無業者の増加 (就職する意識がない、いわゆる NEET)

このように厳しい状況なのは、安い労働力を求める企

業側にも大きな責任がありますが、若者の労働意識が低下してきていることも原因の1つとして指摘されて

います。・「とりあえず」就職という意識の若者の増加

・目先の楽しさを求める傾向の若者の増加・仕事で自分の力を試してみたいという意識の低下・責任を伴うことは避けたいという意識の増加

若者たちの不安

職場での人づきあいに自信がないんだよなぁ・・・

やりたいことが、分からないんだよなぁ・・・

自分は何に向いているのか分からないんだよなぁ・・・

小学校低学年から

キャリア教育

発達段階・発達課題に応じて計画的に組織的に

基礎的な学力

社 会 性

平成17年版労働経済の分析(平成17年版労働経済白

書)では、 フリーターやニートの若者がかかえる不安

として、次の3つを上位にあげています。

○職場での人間関係を作ることに自信がない。

○自分がどんな職業に向いているか分からない。

○自分でやりたいことが分からない。

正社員として就職を果たした若者達もこのような不

安を抱えています。 就職後3年以内の離職率が高いの

もそのためでしょう。

なぜ、若者たちはこのような不安をかかえているので

しょうか。では、若者達がかかえる問題を解決するに

はどうしたらいいのでしょうか。

キャリア教育はこの問題にこたえる教育だと期待さ

れています。小学校から発達段階・発達課題に応じて

計画的・組織的にキャリア教育を進めることで、社会

で生きていくために必要な勤労観・職業観を形成する

ための素地ができると考えられます。

では、小学校ではどのような事を重点にキャリア教

育を進めればいいのでしょうか。

小学校段階をキャリア形成の準備段階とすると、基

礎的な学力と社会性をしっかりと身に付けることです。

社会性とは、規範意識、マナー等 社会に出て集団の

一員として生きていくために最低限身に付けておかな

ければならないものです。

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学校別に見た職業的(進路)発達段階と発達課題

小 学校段階 中学校 段階 高等学校 段階

国立教育研究所生徒指導研究センター「児童生徒の職業観・勤労観を育む教育の推進について」から

人間の成長・発達の過程には、いくつかの段階(節目)と各段階で取り組まなければならない発達課題があります。国立教育研究所生徒指導研究センター「児童生徒の職業観・

勤労観を育む教育の推進について」によれば、職業的(進路)発達段階と発達課題を表のように分類整理しています。小学校の職業的(進路)発達段階は、子供

たちは進路の探索・選択にかかわる基盤形成の時期です。この段階での職業的(進路)発達課題は、

○自分や周囲の人への積極的な関心の形成と発展○身のまわりの仕事や環境への関心・意欲の向上

○夢や希望、憧れる自己イメージの獲得○勤労を重んじ目標に向かって努力する態度の形成

だとされています。これらの発達課題を達成できるよう、意図的・継続的な取組を展開するところにキャリア教育の特質があります。

演習社会に出て働くとき、必要な能力には

どのような能力があるか考えてみよう。

手順1 あなたが求める能力をカードに書いてください。(5枚)

手順2 一人ずつカードに書いたことを発表し、シートに貼り付けてください。

手順3 はられたカードをいくつかのグループに分けてください。

手順4 グループごとに発表してください。

あなたは、競争の激しい業界で会社を切り盛りする経営者です。今年も就職活動のシーズンになりました。あなたは、どのような能力をもつ若者を採用したいと考えますか。

現代の若者が社会に出て必要な能力とはど

のような能力でしょうか。みなさんが、企業の経営者になったつもりで考えてみましょう。

※ 演習2の説明手順1 付箋に求める能力を一つ書いてく

ださい。1人5枚書いてください。

手順2 付箋に記入が終わりましたら、順番に発表しながら付箋を台紙に貼付します。

手順3 全員の発表が終わりましたら、グループで話し合って、貼られた付箋を大まかに数個のグループに分類し、大

きめの付箋紙に見出しを記入してください。グループで話し合って、重要度順にワークシート貼付してください。

手順4 各グループの代表者が発表します。※ 結果の利用法演習結果を学校教育目標やキャリア教育

目標に反映させることで、教職員が組織的・計画的にキャリア教育に取り組むことができるようになります。

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キャリア教育で身に付けさせる能力学習プログラム枠組み(例)

~職業的(進路)発達にかかわる諸能力の育成の視点から~

課題解決能力計画実行能力職業理解能力コミュニケーション能力

選択能力役割把握・認識能力

情報収集・探索能力

自他理解能力

意思決定能力将来設計能力情報活用能力人間関係

形成能力

キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議 報告書では、

学習プログラム枠組み(例)~職業的(進路)発達にかかわる諸能力の育成の視点から~ の中で、4領域の8つの能力を示しました。

人間関係形成能力には、自他理解能力とコミュニケーション能力があります。情報活用能力には、

情報収集・探索能力と職業理解能力があります。将来設計能力には、役割把握・認識能力と計画実行能力があります。意思決定能力には、選択能力

と課題解決能力があります。

これらの能力を身に付けさせることによって、

小学校での職業的(進路)発達課題が達成できるとしています。

ここまでの まとめ

キャリア教育とは、○ 児童それぞれにふさわしいキャリアを形成していくために必要な意欲・態度や能力を育てる教育

○ 児童一人一人の勤労観、職業観を育てる教育

キャリア教育の取組は、○小学校低学年から、子どもの発達課題が達成されるよう意図的・継続的・組織的な取組をすることが大切である。

キャリア教育とは、

○児童それぞれにふさわしいキャリアを形成し

ていくために必要な意欲・態度や能力を育てる

教育

○児童一人一人の勤労観、職業観を育てる教育

キャリア教育の取組は、

○小学校低学年から、子どもの発達課題が達成

されるよう意図的・継続的・組織的な取組が大

切。

○基礎的な学力と社会性をしっかりと身に付け

させることが大切。

○今ある教育資源を有効に活用してコツコツと

取り組むことが大切。

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若者たちは・・・

目の前の子どもたちは・・・

意欲がない

人間関係を築けない

自立の遅れ

自己肯定感がもてない

自分がよく分からない

自分で決められない

小学校では、どのような事にポイントをおいて学習指導を行えばいいのでしょうか。

ここからは、小学校で、具体的にキャリア教育をどう実践していくかについて研修していきましょう。

若者達の実態を詳しく見ると、自分がよく分からない、自分で決められない、人間関係を築けない、自

立の遅れ、自己肯定感がもてない、意欲がないなどがあげられます。みなさんの学校の子どもたちは、どのような様子

でしょうか。小学校でのキャリア教育を考えたとき、どのような

事にポイントをおいて学習指導を行っていけばいい

のでしょうか。ここからは、先生方のこれまでの実践や担任して

いる子どもたちのことをお考えになりながら研修して

いってください。

(例)グループごとの跳び箱の練習では・・・

この練習を通して、子どもたちは何を学んでいるのでしょう。

グループの友達と協力する

練習の計画を立てる

上手な跳び方をまねする

根気よく努力する

グループで跳び箱を練習するという日常的な

小学校の学習の場面を思いうかべて下さい。

この学習では、跳び越す技能の習得を図って

いるのはもちろんですが、この学習を通して、子

どもたちが学んでいるのは、これだけでしょうか。

(受講者に問いかける。反応を取り上げながら)友だちに教えられたり助けたりというように「グ

ループの友だちと協力する」ことを学べますね。

「計画的に練習する」という経験もできますね。ま

た、「上手な子の跳び方をマネする」というように

役に立つ情報を得ようとしますね。そして、自己

の課題を解決しようと「根気よく努力する」という経

験もできます。

小学校でごく普通に行われているこのような活

動は、キャリア教育に大いに関係があります。

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キャリア教育ではこのような能力の育成をねらっています

上越教育大学助教授 三村隆男

①自己理解能力②コミュニケーション能力

⑤役割把握・認識能力⑥計画実行能力

③情報収集・探索能力

④職業理解能力

⑦選択能力

⑧課題解決能力

人間関係形成能力

情報活用能力

将来設計能力

意思決定能力

グループの友達と協力する

練習の計画を立てる

上手な跳び方をまねする

根気よく努力する

前半の研修で、キャリア教育でねらう 4 つの能力領域のことをご説明しました。上越教育大学の三村

助教授によるとこの図のように 4 つの能力領域は、人間関係形成能力が基盤になって、最終的には、意思決定能力の育成を目指すというものです。

さきほどの跳び箱練習で子どもたちが学んだことを照らし合わせてみると・・・「グループの友だちと協力する」ことは、キャリア教

育でねらう人間関係形成能力の育成につながると思います。「練習の計画を立てる」ことは、将来設計能力の育成につながると思います。「上手な跳び方をマネする」ことは、情報活用能力の育成につなが

ると思います。「根気よく努力する」ことは、意思決定能力の育成につながると思います。このように、日ごろの実践をキャリア教育と関連させてみると、すでに

先生方はキャリア教育的な活動をしているのないかと考えられます。そこで、今度は、先生方にも、ご自分の実践の中

から、キャリア教育に関係のありそうな活動を探していただきたいと思います。

演習3キャリア諸能力の育成に

役立ちそうな教育活動をさがしてみましょう。

グループごとに4つの能力領域から担当する領域を決める。

1人、5つずつ書く。

演習シートにはる。

発表する。演習シート№3

キャリア諸能力の育成に役立ちそうな教育活動を探してみましょう。

お配りした資料の「職業観・勤労観を育む学習プ

ログラムの枠組み(例)」を参考にすると、実際の活動場面がイメージしやすいと思います。

グループで1つの能力領域についてお考えくださ

い。どの能力領域を担当するかはくじで決めます。

担当する能力領域が決まったら、それについて、1人 5 つずつ有効と思われる教育活動をあげてください。

後ほどシートを配ります。それに、分類しながらグル

ープ全員の付箋をシートに貼ってください。後で発表してもらいます。

(シートに貼り終わったら)

グループで2つ、キャリア諸能力の育成に役立ちそ

うな教育活動を発表してもらいます。大きな付箋紙にそれを書き出してください。

(グループ毎に発表する)キャリア教育は、どこか一つの教科や領域に偏らない実践ができそうですね。

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小学校教育課程と4領域能力の関係上越教育大学 三村隆男

国 語

社 会算 数

理 科生 活

音 楽図 画 工 作

家 庭体 育

特 別 活 動道 徳

小学校教育課程

領域

総 合 的 な 学 習 の 時 間人間関係

形成能力

将来設

計能力

意思決定

能力

情報活用

能力

みなさんがあげたキャリア教育に関係がありそうな

教育活動は、大変多岐にわたっています。つまり、

キャリア教育は、教育課程のどこでも、しかも、休み

時間や給食・掃除の時間のように教育課程外の時

間でも、キャリア諸能力の育成が図れると言えそうで

す。それを図で表すと、このようになると思います。

学校の教育活動

実践のポイント1

キャリア教育は、学校教育のあらゆる場面で行います

常時指導

間接指導

直接指導

主に教科

主に特活・総合など

主に日常の生活指導

実践のポイント1としては、キャリア教育は、教育

課程内・外のどこでもできます。

学校の教育活動は日常の生活指導を基盤とし

て大半が教科の学習が占め、それらの上に総合

的な学習や学校行事での指導が成り立つと考えら

れます。そこで、キャリア教育においても同様に、

日常生活でのキャリア教育を常時指導・教科の授

業におけるキャリア教育を間接指導・特活や総合

的な学習の時間などでのキャリア教育を直接指導

と名付け、それぞれにあった取組があるのではな

いかと考えました。

社会科で、スーパー

マーケットの仕事調べ

道徳の授業で、家族のために役に立つ

喜び、働く意義の理解、社会に奉仕

総合的な学習の時間に職業調べ・

地域の働く人たちとの交流

キャリア教育の直接指導には、次のようなものが該当

します。

3 年生が社会科でスーパーマーケットの見学をします。このとき子どもたちは、スーパーマーケットという

施設の見学だけではなく、働く人々の様子をつぶさ

に見たり、お店の人から直接話を聞いたりする中で、

お店で働くということを肌で感じることでしょう。また、

道徳では、家族のために役に立つ喜びや働く意義

の理解、社会への奉仕などの価値について学びま

す。そして、総合的な学習の時間には、地域の働く

人々との交流が図られていることでしょう。

このように、直接指導とは、働くことに直接かかわるよ

うな内容の学習活動を指します。

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学校の教育活動

常時指導

間接指導

直接指導

主に教科

主に特活・総合など

主に日常の生活指導

キャリア教育の取組の中心

しかし、直接指導は、職業観・勤労観の育成という

点からは大変直接的な指導ですが、これらは、時数

が少なく、継続的な指導はできません。

逆に、教科の指導や日常生活での指導は時数が

多く、担任がいつもそばにいる小学校ならでは、計画

的に継続的にできるという点で、キャリア教育におけ

る効果が、おおいに期待できると考えます。

教科指導の中で

キャリア諸能力の育成を

図るには、

どうしたらよいのでしょう。

そこで、

「教科指導の中でキャリア教育を行うにはどうしたら

よいか」考えていきましょう。

キャリア諸能力の育成を促す支援の工夫

選択を促す発問

自己決定を促す指示

自分の考えをみんなの前で発表する場の設定

教科の授業でキャリア諸能力の育成を目ざすという教

師の意識は、「支援の工夫」に反映させられるのでは

ないでしょうか。

これからお見せする 1 年生の国語の授業「おおきなかぶ」では、授業者は「選択能力」や「コミュニケーショ

ン能力」の育成を意識しています。

そこで、「どちらですか。」と、選択を促す発問を取り

入れたり、自分の立場をはっきりさせたりしています。

また、自分の考えをみんなの前で発表する場を設け

ています。

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(ビデオ視聴の途中で、支援の工夫について説明を補う。)

実践のポイント2

教科の授業では、キャリア諸能力の育成を図る

支援を工夫しましょう

いかがだったでしょうか。

実践のポイント2として

「教科の授業では、キャリア諸能力の育成を図る

支援を工夫しましょう」

ということです。

ビデオの国語の授業では、選択能力やコミュニケ

ーション能力の育成を意識して「選択する」そして

「その理由を言う」活動を取り入れています。子ど

もたちは、初めは、カンに頼ったような意見を言っ

ていますが、次第に、叙述に即した読み取りに基

づいて意見を言うようになります。キャリア諸能力

の育成を目指して教科の授業を工夫することは授

業改善のきっかけとなり、ひいては学力向上にも

つながると言えると思います。

学習

役割 仕事

人脈能力

技術

自己理解 (自己への気づき)がキャリアを発達させます

能力

技術 学習

仕事役割

人脈

気づき

気づき

ここまでのような教師の働きかけで、キャリア諸能力

の育成が図られても、キャリアの発達を子どもたち

が気づかなければなんの意味もありません。自己の

変容に気づかなければ、子どもたちは、「自分がよ

くわからない」「自己肯定感をもてない」若者になっ

ていってしまうのではないでしょうか。

そこで、子どもたちの自分への気づきを深めていく

ことが、大変重要だと考えます。

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これまでの教育の中で、

子どもたちが自己理解 (気づき)を深める活動があったでしょうか?

「これまでの教育の中で、子どもたちが自己理解

(気づき)を深める活動があったでしょうか?」ということを考えていきたいと思います。

自己理解

自己理解(自分への気づき)のために

自己評価活動

自己評価活動

自己評価活動

国語

総合

係活動

道徳

算数

子どもたちは、さまざまな学習によっていろいろ

なことを身に付けていきます。

さらに「自己評価活動」を取り入れていきます。

これにより、できるようになった自分や考えが変

わった自分に気づいたり、自分の得意なことが

分かったりするうちに、自分に自信がもてるよう

になるのではないかと考えます。自己を振り返

り、自分への気づきを促すよう自己評価活動を

積み重ねていくうちに、やがて、自己理解が図

られていくという考えです。

これまで行ってきた自己評価活動を、子どもた

ちが自己理解を深めたかどうかの視点で見直

してほしいのです。

実践のポイント3子どもたちが自己理解を深めるような自己評価活動を取り

入れましょう。

実践のポイント3

「子どもたちが自己理解を深めるような自己評

価活動を取り入れましょう」

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まとめこれまでの教育を

キャリア教育の視点で見直す

• キャリア教育は小学校教育のどこでもできます。• 授業の中でキャリア諸能力の育成を図る支援を取り入れましょう。

• 自己理解を深める自己評価活動を取り入れましょう

まとめです。

小学校の教師がこれまでの教育を生かし、キャリ

ア教育の視点で見直すということを実践のポイン

トとして3つ述べてきました。

1 キャリア教育は、小学校教育のどこでもできま

す。基盤となる、教科の授業や日常生活の指

導に力を入れていきましょう。

2 授業には、キャリア諸能力の育成を意識し

て、支援を工夫しましょう。

3 自己理解を深めることをねらって、自己評価

活動を実践しましょう。

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算数科(キャリア教育)学習指導案平成17年11月17日(木)

第5校時 4年1組

授業者 柴崎 和美

Ⅰ 単元名 角の大きさ (東京書籍)

Ⅱ 立案の立場

1 本時に至るまでに感じた児童の姿

本学級の第1印象は、おだやかで真面目である。授業中は、指示されたことに真面目に取り組もうと

する様子が見られる。新しい学習内容に対しては、消極的なように見えるが、「学びのあしあと」には、

新しいことを学びたいという意欲からくる記述やできるようになった喜びなどが綴られていることか

ら、学習への意欲は十分にあると言える。この意欲を、本単元での、自ら考え解決していく活動を通し

て、自信へとつなげていきたい。

2 本単元とキャリア教育とのかかわり

本単元は、これまで学習してきた「形としての角」から「回転量としての角」への見方を広げたり、

分度器を用いた角度の測定や角をかき表すことを学ぶ。また、三角定規の3つの角の角度を測定し、大

きさが違っても角度が変わらないことを理解したり、それらを使っていろいろな角度をつくる操作を行

い、角の大きさに対する理解を段階的に深めていく。

本単元のキャリア教育とのかかわりとしては、計画実行能力、コミュニケーション能力、課題解決能

力、選択能力、自他の理解能力などの育成が考えられる。これらの中で、児童の実態から課題解決能力

の育成を中心的なねらいとする。そのため、本単元では、これまでの学習を生かした見通しをもち、自

ら解決を試みる課題解決学習を意図的に設定する。この課題解決学習の積み重ねにより、自ら解決しよ

うとする活動が繰り返され、課題解決する力の育成に結びつくものと考える。

3 単元計画(詳細は別紙)

①「形としての角」から「回転量としての角」へ・・・・1時間

②直角を単位とした角の大きさの表し方・・・・・・・・1時間

③分度器による角度のはかり方・・・・・・・・・・・・2時間

④三角定規の角の大きさ・・・・・・・・・・・・・・・1時間(本時)

⑤分度器による角度の書き方・・・・・・・・・・・・・1時間

⑥分度器による三角形の書き方・・・・・・・・・・・・1時間

⑦まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間

Ⅲ 本時について

1 本時における意思決定能力(課題解決能力)

本時では、三角定規を組み合わせていろいろな角をつくり、その角度を求める立式まで行う操作活動

を行う。三角定規のそれぞれ3つの角を組み合わせてできる角度は、15°が任意単位となった15°30°

45°・・・180°である。これらの角度をつくり出す活動は、偶然にできるおもしろさと三角定規の3

つの角を見通しをもって組み合わせることにより作り出せるおもしろさがある。また、作っていくうち

に、できる角度は15とばしの数になっていることや180°以上の数は作れないことなどのきまりをみつ

けだすおもしろさもある。本時においては、一人一人の児童が角をつくる操作活動を繰り返し行ったり、

立式したり、できた角度のきまりを考えたりする。このようなスモールステップの課題解決の積み重ね

により、本時でねらう能力を身に付けていくことができると考える。

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2 キャリア発達を促す支援の工夫

本時では、意思決定能力(課題解決能力)の育成を目指して、以下のような支援を取り入れた。

①児童が興味をもって繰り返し課題解決に取り組み、解決の楽しさを感じるような教材の工夫をする。

②「三角定規を組み合わせて角度をつくる」という課題に対して、解決のための見通しを十分にもち

自力解決に取り組めるように、三角定規の模型や図などを用いた板書を工夫したり、端的で分かり

やすい説明や指示、発問を心掛ける。

③児童の操作活動を補償するために、三角定規の形の2色の色紙を用意する。

④根気よく課題解決に取り組めるように、机間指導により、一人一人の活動を認め励ましたり、アド

バイスしたりする。

3 学びのあしあと

「学びのあしあと」は、堀哲夫による1枚ポートフォリオ評価を参考にしてつくった自己評価のため

の学習履歴である。1つの枠には、1時間ごとの評価問題と「わかったことや感想」を書く欄を作って

ある。児童は、授業の最後に「学びのあしあと」を記述することによって、学習内容の定着を自ら確か

め、どのような学習であったかを振り返る。回を重ねるたびに前回と比較し、自分の変容を感じたり、

学習内容を身に付けていく自分に自信をもつようになる。教師は、児童の感想に対して本時での学びの

様子を認めたり励ましたりし、次時への意欲付けを図るコメントを書き入れる。単元全体が終わったと

き、「学びのあしあと」は児童にとって自己理解を深める助けとなると考える。

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Ⅳ 本時の学習(1/8)

1、単元名 角の大きさ(本時は1/8 東京書籍)

2、本時の目標

算数のねらい

◎回転してできる角の大きさについて理解する

◎直角を単位とした角の大きさの表し方を理解する

キャリア教育からのねらい

○既習の学習を振り返りながら本単元の学習内容を知り、学習への見通しをもつ。

計画実行能力

3、準備

回転の角を調べる円盤、回転角を示す図(黒板掲示用)、三角定規模型、学びのあしあと

4、展開

学 習 活 動 時 キャリア教育とのかかわりと支援(○印)

導 1、三角形の学習の復習をする 計画実行能力

入 三角形の名称や角や辺などの用 これまでの学習と本単元での学習の関連を知り、

語を復習する 5 学習の見通しをもつ。

○これまで自分が角についてどのような学習を

してきたのかを模型や図を用いて想起させる

展 2、導入の図(P22)を見て、回転によ

開 って角ができることを知る。

3、円盤の模型を用いて、回転によっ 認識能力

て角の大きさが変化することを確か 30 図形としての角から回転角への認識を深める。

める。 ○レディネステストの結果、定着が不十分であ

った「角の大きさ」との関連を図るために、回

転模型や黒板掲示の図・三角定規など視覚的に

理解しやすい教具を用いる。

4、直角によって角の大きさを測れる

場合があることを確かめる。

終 5、今日の勉強を振り返る。 10 自他の理解能力

末 「学びのあしあと」に記録する。 本時の学習を振り返り、本時では何を学習し、

自分はどう感じたのかを自ら確かめる。

○「学びのあしあと」の第1時の場所にある評価

問題や感想等を記録させる。これまでの自分と

比べて変容を記述するよう促す。

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Ⅳ 本時の学習(2/8)

1、単元名 角の大きさ(本時は2/8 東京書籍)

2、本時の目標

算数のねらい

◎角度の単位を理解する

キャリア教育からのねらい

○調べた結果を発表し合う。コミュニケーション能力

3、準備

OHP、OHP用の分度器、三角定規模型、学びのあしあと

4、展開

学 習 活 動 時 キャリア教育とのかかわりと支援(○印)

導 1、前時の復習をする

入 2直角、4直角や回転によって 5

できる角などの復習をする

展 2、本時の課題を知る。 課題解決能力

開 自分の分度器を見て気づいたこ 分度器の目盛りについて調べ、気づいたことを

とをノートに書く ノートに書いていく。

○ものさしなどの測定器具との共通点や相違点

を考えながら調べるよう、着眼点を示す。

3、気づいたことを発表しあう。 30 コミュニケーション能力

調べたことを分かりやすく言ったり、友だちの

考えを理解しようとする。

○自分のノートの記録と他者の発表を比べなが

ら聞くよう言葉がけする。

○自分の気づいたことを分度器模型などを用い

てわかりやすく発表できるようにする。

○児童が意欲的に発言できるよう、板書したり

助言したりする。

4、分度器の特性をまとめる。

終 5、今日の勉強を振り返る。 10 自他の理解能力

末 「学びのあしあと」に記録する。 本時の学習を振り返り、本時では何を学習し、

自分はどう感じたのかを自ら確かめる。

○「学びのあしあと」の第2時の場所にある評

価問題や感想等を記録させる。これまでの自分

と比べて変容を記述するよう促す。

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Ⅳ 本時の学習(3/8)

1、単元名 角の大きさ(本時は3/8 東京書籍)

2、本時の目標

算数のねらい

◎分度器を用いた角度のはかり方を理解する。

キャリア教育からのねらい

○角度の測定に必要な条件を補って、適切な測定をする。課題解決能力

3、準備

OHP、OHP用の分度器、大型分度器、練習プリント、学びのあしあと

4、展開

学 習 活 動 時 キャリア教育とのかかわりと支援(○印)

導 1、前時の復習をする

入 1直角=90°などの前時の復 5

習をする

展 2、本時の課題を知る。

3、角度のはかり方を知り、分度器の

扱いになれる。

4、分度器を使って、工夫して角度を 30 課題解決能力

測る。 分度器の基本的なはかり方では測定できない場

合があることに気づき、条件を補って、角度を

測ろうとする。

○OHPで問題の図を提示し、基本的な測定方法と

違う点など課題解決のために必要な着眼点など

に気づかせ、児童が自ら問題に取り組めるよう

にする。

終 5、今日の勉強を振り返る。 10 自他の理解能力

末 「学びのあしあと」に記録する。 本時の学習を振り返り、本時では何を学習し、

自分はどう感じたのかを自ら確かめる。

○「学びのあしあと」の第3時の場所にある評

価問題や感想等を記録させる。これまでの自分

と比べて変容を記述するよう促す。

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Ⅳ 本時の学習(4/8)

1、単元名 角の大きさ(本時は4/8 東京書籍)

2、本時の目標

算数のねらい

◎いろいろな角の角度のはかり方を工夫する。

キャリア教育からのねらい

○角の大きさに応じて測りやすい方法を選ぶ。選択能力

3、準備

OHP、OHP用の分度器、大型分度器、りつこさん・ゆうたさんのはかり方の図

学びのあしあと

4、展開

学 習 活 動 時 キャリア教育とのかかわりと支援(○印)

導 1、前時の復習をする

入 分度器を使った角度のはかり方 5

を復習する。

展 2、本時の課題を知る。

開 180°以上の角の大きさを工

夫して図ることを知る。

3、角度のはかり方を工夫して測る。 選択能力

角の大きさに応じて、測りやすい方法を選ぶ。

30 ○りつこさん・ゆうたさんそれぞれの測定方法

のよさを明らかにし、十分に理解させることに

より角度の大きさによって測定方法を選ぶこと

のよさや必要感を感じさせるようにする。

4、計算によって角度を求める。

終 5、今日の勉強を振り返ろう。 10 自他の理解能力

末 「学びのあしあと」に記録する。 本時の学習を振り返り、本時では何を学習し、

自分はどう感じたのかを自ら確かめる。

○「学びのあしあと」の第4時の場所にある評

価問題や感想等を記録させる。これまでの自分

と比べて変容を記述するよう促す。

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Ⅳ 本時の学習(5/8 研究授業)

1、単元名 角の大きさ(本時は5/8 東京書籍)

2、本時の目標

算数のねらい

◎三角定規を構成している角の大きさを理解する。

キャリア教育からのねらい 課題解決能力

①三角定規を組み合わせてできるいろいろな角度を、自ら求めようとする。

②いろいろな角度をつくる操作に、工夫しながら根気よく取り組む。

3、準備

OHP、OHP用の分度器、大型分度器、大型三角定規、三角定規模型、学びのあしあと

操作活動用の色紙の三角定規(教師用・児童用)

4、展開

学 習 活 動 時 キャリア教育とのかかわりと支援(○印)

導 1、既習事項の復習をする

入 三角定規を構成している 5

角の大きさについて復習す

る。

展 2、本時の課題を知る。

開 三角定規の角の大きさを

使って、新しい角を作るこ

とを知る。 30

3、三角定規の組み合わせで 課題解決能力

新しい角を作る。 三角定規を組み合わせてできるいろいろな角度を、自

4、新しくできた角の大きさを ら求めようとする。その際、操作活動を工夫したり、

計算によって求める。 根気よく取り組んだりする。

5、新しくできた角の大きさの ○繰り返し課題解決に取り組めるような興味ある課題

秘密を探る。 作りを工夫する。

○色紙で三角定規の模型をつくり、一人一人の操作活

動を補償する。

○机間指導により、一人一人の活動を認め励ましたり、

アドバイスをしたりするなどして根気よく課題解決で

きるようにする。

終 5、今日の勉強を振り返る。 10 自他の理解能力

末 学習後の感想に記録する。 本時の学習を振り返り、自らの変容を確かめる。

○本時では何を学習し、自分はどう感じたのか、これ

までの自分との違いがあったかなどを記述するよう促

す。

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Ⅳ 本時の学習(6/8)

1、単元名 角の大きさ(本時は6/8 東京書籍)

2、本時の目標

算数のねらい

◎分度器を用いた角のかき方を理解する。

キャリア教育からのねらい

○角のかき方を根気よく練習する。課題解決能力

3、準備

OHP、OHP用の分度器、大型分度器、大型三角定規、学びのあしあと

4、展開

学 習 活 動 時 キャリア教育とのかかわりと支援(○印)

導 1、前時の復習をする

入 三角定規の角の大きさについて 5

復習する。

展 2、本時の課題を知る。

開 分度器で35°の角をかくことを

知る。

3、角のかき方を理解する。

4、角のかき方に習熟する。 30 課題解決能力

角のかき方に習熟するために、根気よく取り組

む。

○習熟度に応じて課題を設定したり、個々の努

力を賞賛したりしながら個別指導を行い、それ

ぞれの児童が、根気よく取り組めるようにする。

終 5、今日の勉強を振り返ろう。 10 自他の理解能力

末 「学びのあしあと」に記録する。 本時の学習を振り返り、本時では何を学習し、

自分はどう感じたのかを自ら確かめる。

○「学びのあしあと」の第6時の場所にある評

価問題や感想等を記録させる。これまでの自分

と比べて変容を記述するよう促す。

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Ⅳ 本時の学習(7/8)

1、単元名 角の大きさ(本時は7/8 東京書籍)

2、本時の目標

算数のねらい

◎分度器を用いた三角形の書き方を理解する。

キャリア教育からのねらい

○角度が与えられているときの三角形のかき方を根気よく練習する。課題解決能力

3、準備

OHP、OHP用の分度器、大型分度器、大型三角定規、学びのあしあと

4、展開

学 習 活 動 時 キャリア教育とのかかわりと支援(○印)

導 1、前時の復習をする

入 角のかき方を復習する 5

展 2、本時の課題を知る。

開 分度器を用いて三角形をかくこ

とを知る。

3、三角形のかき方を理解する。

4、三角形のかき方に習熟する。 30 課題解決能力

三角形のかき方に習熟するために、根気よく取

り組む。

○習熟度に応じて課題を設定したり、1人1人の

取組を賞賛したりしながら個別指導を行い、そ

れぞれの児童が、根気よく取り組めるようにす

る。

終 5、今日の勉強を振り返ろう。 10 自他の理解能力

末 「学びのあしあと」に記録する。 本時の学習を振り返り、本時では何を学習し、

自分はどう感じたのかを自ら確かめる。

○「学びのあしあと」の第7時の場所にある評

価問題や感想等を記録させる。これまでの自分

と比べて変容を記述するよう促す。

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Ⅳ 本時の学習(8/8)

1、単元名 角の大きさ(本時は8/8 東京書籍)

2、本時の目標

算数のねらい

◎正三角形はすべての角が60°であることを理解する。

キャリア教育からのねらい

○単元全体の学習を振り返り、自己理解を深める。自他の理解能力

3、準備

OHP、OHP用の分度器、大型分度器、大型三角定規、大型コンパス、学びのあしあと

4、展開

学 習 活 動 時 キャリア教育とのかかわりと支援(○印)

導 1、前時の復習をする

入 分度器を用いた三角形のかき方 5

を復習する。

展 2、本時の課題を知る。

開 コンパスを用いて正三角形をか

くことを知る。 25

3、正三角形をかき、3つの角の大きさ

について調べる。

終 4、「角の大きさ」の勉強を振り返る。 15 自他の理解能力

末 「学びのあしあと」に記録する。 本時の学習を振り返り、本時では何を学習し、

自分はどう感じたのかを自ら確かめる。

○「学びのあしあと」の第8時の場所にある評

価問題や感想等を記録させる。単元全体を通し

て自己の変容に気づくような言葉掛けや賞賛の

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別紙資料 「角の大きさ」単元指導計画

時 目 標 学 習 活 動 評 価 規 準 キャリア教育と関連す 目指す能力(教科 る活動等書)

① 回転してできる角 身の回りにある回転してい (関)回転角の大きさの代わり方を調べ ○学習の見通しを持つ 将来設計能力(22・2 の大きさについて理 るものの想起 回転して ようとしている ○図形としての角から回 ・認識能力3・24) 解する できる角の大きさの変化の (知)半直線が回転すると、いろいろ 転角としての見方へ認識 ・計画実行能力

直角を単位とした表 観察 直角を単位とした な大きさの角ができることを理解して を深める 人間関係形成能力し方を理解する 角の大きさの表し方 いる。 ○既習の学習に対する理 ・自他の理解能力

解の不十分さを知ったり、本時の学習の成果を確かめる

② 角度の単位を理解す 「角度」の単位「度」の意 (考)角も他の量と同じように、単位量 ○分度器の目盛りについ 意思決定能力(25) る 味 のいくつ分と数量化して考えている て調べる ・課題解決能力

「1直角=90°」の関係 (知)分度器の構造や1直角=90°の ○調べた結果を発表し合 人間関係形成能力関係を理解している う ・コミュニケーション能力

③ 分度器を用いた角度 分度器による角度のはかり (表)分度器を用いて角度を測ることが ○角度の測定に必要な条 意思決定能力(26) のはかり方を理解す 方 できる 件を補って、適切な測定 ・課題解決能力

る (知)分度器を用いた角度のはかり方を をする理解している

④ いろいろな角の角度 分度器による角度のはかり 関)分度器を工夫して用いようとする ○角の大きさに応じて測 意思決定能力(27) のはかり方を工夫す 方の工夫 (考)量の加法性に着目して、180°より りやすい方法を選ぶ ・選択能力

る 対頂角の性質 大きい角度のはかり方を考えている(知)対頂角の性質を理解している

⑤ 三角定規を構成して 三角定規の角の大きさ (関)三角定規の組み合わせを工夫して ○三角定規の角について 意思決定能力(28) いる角の大きさを理 三角定規を組み合わせてで いろいろな角の大きさを作ろうとして 調べる ・課題解決能力本時 解する きる角の大きさの求め方 いる 問題を出し合う 人間関係形成能力

(知)三角定規のそれぞれの角の大きさ ・コミュニケーション能力を理解している

⑥ 分度器を用いた角の 分度器による角の書き方 (表)分度器を用いて角をかくことがで ○分度器を用いた測定の 意思決定能力(29) 書き方を理解する きる 仕方を生かして角をかく ・課題解決能力

⑦ 分度器を用いた三角 分度器による三角形の書き (関)分度器を用いて三角形をかこうと ○分度器を用いて三角形 意思決定能力(30) 形の書き方を理解す 方 している をかく ・課題解決能力

る (表)分度器を用いて三角形をかくこと ○与えられた条件から三 情報活用能力ができる 角形を作図する ・情報収集・探索能力

⑧ 正三角形では、すべ コンパス用いて正三角形を (考)正三角形の性質について考えてい ○単元全体の学習を振り 人間関係形成能力(30) ての角が60°であ かき、3つの角度を調べる る 返り、自己理解を深める ・自他の理解能力

ることを理解する 単元全体の学習を振り返る

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参考資料 「角の大きさ」のキャリア諸能力分析表

人 自 □既習事項の定着を自ら確認する間 他 ・三角形や円の学習事項を思い出す関 の □学習を振り返り、変容を自覚する係 理 ・本時で学習したことや感想を記録し、自己理解を深める形 解 ・単元全体を振り返り「角の大きさ」についての学習内容を想起す成 能 る能 力

コ □自他の考えを比べながら聞くミ □自分の考えを積極的に発表するュ □よりよい考えに練り上げるニ □多様な考えを発表し合うケ □多様な考えのよさを感じる| □自分の考えのよさを主張するシ □発表された意見の共通点を考えるョン能力

情 情 □抽象化する報 報 ・角の大きさを角度と表し、単位は「度」を用いる活 収 □記号・数量化する用 集 ・角度を「°」を用いて表す能 ・ □帰納的な考え方をする力 探 ・図形としての円や三角形の学習・角の大きさの学習から、図形の索 性質を関連させてまとめる能 □問題や結果を簡潔に、明確に記録する力 ・与えられた条件から、三角形を作図する□幅広く情報を活用する・三角形を作図するために必要な条件をさがす

職業理解能力

将 役 □統合的な考え方をする来 割 ・角に対する認識を深める(角を図形的な見方から回転角としての設 把 見方へ広げていく)計 握能 ・力 認識能力

計 □結果や方法について見通しをもつ画 ・単元の学習への見通しをもつ実 ・分度器の使い方の基本を使えば、条件の整わない問題も解決する行 ことができると見通しをもつ能 ・三角定規の角の組み合わせで、いろいろな角ができることを調べ力 る見通しが立つ

・正三角形のそれぞれの角が60度になることを、いろいろな正三角形で調べることの見通しが立つ

□類推的な考え方をする・物差しの目盛りの仕組みから、分度器の目盛りの特徴を類推する

意 選 □「正しいのはどれだろう」と判断しようとする思 択 ・多様な考えの中から、正しいものを選ぼうとする決 能 ・多様な考えの中から、目的にあった方法を選ぼうとする定 力 ・角度を測る際、直角を用いるか分度器を用いるか目的に合わせて能 選ぶ力 □よりよい法則や方法を求める

課 □発展的な考え方をする(より一般的なより新しいものを発見してい題 こうとする)解 ・「直角」を使って角の大きさを測れることに気づく決 ・「直角」では、測れることができない角の大きさがあることに気能 づき、解決しようとする力 □自分の力で解決しようとする

・新しい問題に意欲的に取り組む・測定や作図に進んで取り組む・分度器の目盛りについて調べる・三角定規の角について調べる・身の回りにあるいろいろな角度を調べる・これまでの学習を生かして全円分度器や坂道分度器を作る活動に取り組む・正三角形のそれぞれの角が60度になることを、いろいろな正三角形で調べる・三角定規を組み合わせいろいろな角を作り、角度を計算する・課題解決や習熟のための練習に根気よく取り組む

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キャリア教育における評価例

児童一人一人のキャリア発達を見取る評価の構想

キャリア教育は、12年間の児童生徒のキャリア発達を支援するものです。キャリア教育では、「学習

プログラムの枠組み(例)」に示されたような「能力・態度」の育成をねらっていますが、それはすべ

ての児童に到達目標として示したものではありません。最終的には、児童一人一人が自分の習得した能

力・態度によって主体的に生き方を選択することができるようになることをねらっているといってもよ

いでしょう。子ども一人一人が自信をもって自己の生き方を選択できるためには、それぞれの子どもが

自己肯定感をもてるようにしていくことが大切なのです。

キャリアは子ども一人一人、発達がみな違っています。「学習プログラムの枠組み(例)」に示され

た内容は、キャリア発達のおよその目安であり、到達目標のようにとらえるものではありません。教師

は、キャリア発達を促そうとするとき、「学習プログラムの枠組み(例)」を目安としながら、子ども

たち一人一人のキャリア発達に合わせた個別の支援をしていく必要があります。また、子どもたちのキ

ャリア発達を見取るためには、1単位時間でキャリア発達の成果を期待することなく、ある程度の長い

スパンで子どもの変容を見取ろうとする評価観が必要なのです。このような教師のまなざしに包まれて、

子ども自身が一人一人キャリア発達は異なるということに気づき、自己のキャリア発達を自覚してこそ

自己理解が深まり、主体的に生き方を選択できるようになっていくのです。このような評価観を図で表

すと以下のようになります。

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例えば4年生の子どもはそれまでに9年間のキャリアを形成しています。4年生では、その状態が「初

めの自分」と見ることができます。その子に対し、教師はさまざまな活動を通してキャリア発達を促し

ていきます。キャリア発達を促すために、その子のキャリア発達の様子を常に見取りながらその子にあ

った支援を心掛ける必要が出てきます。キャリアが1人1人に固有のものだからです。また、子どもに対

しては活動ごとに自己評価活動を取り入れていきます。それは、本来、キャリアはその子自身が発達さ

せていくものだからです。自己評価活動によって自己のキャリア発達に気づいてこそ、適切なキャリア

発達が望めるのです。つまり、キャリア教育では、

○教師がキャリア発達を見取ることができる。

○児童が自己のキャリア発達に気づくことができる。

○日常的に行えて、双方に負担感が少ない。

などを考えて「一枚ポートフォリオ評価(以下OPPAとする)」(堀哲夫)の考え方を利用した、以

下の写真のような「学びのあしあと」を例として示します。

「学びのあしあと」

(外側)

「学びのあしあと」

(内側)

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4年生の算数「角の大きさ」で、利用したものです。

○「初めの自分」と「終わりの自分」が比較できる

ようにしてあります。

・学習の前後で、子ども自身が自己の成長を視覚

的に見ることができます。

○1時間ごとの評価問題が入れてあります。

・1時間の学習で「学んだことは何か」振り返り、

定着を図ることができます。

○1時間ごとに感想などを書きます。

・学習内容の振り返りと同時に、学び方や態度に

ついても振り返ることができます。

○1時間ごとに教師がコメントを入れます。

・キャリア発達を促す上で、教師のコメントは重

要です。その子のキャリア発達を促す支援として、

成長を自覚できるような励ましのコメントを入れ

ていくと、自己肯定感につながり、たいへん効果

的です。

「学びのあしあと」(全体)

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【参考文献】

・文部科学省 『キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議 報告書~児童生徒一人一人

の勤労観、職業観を高めるために~』(2004)

・文部科学省 『小学校学習指導要領解説 総則編』(1999)

・三村隆男 『キャリア教育入門-その理論と実践のために』 実業之日本社(2004)

・三村隆男 『図解はじめる小学校キャリア教育』実業之日本社(2004)

・キャリア教育が小学校を変える!-沼津市原東小学校の実践』 実業之日本社

・玄田有史、曲沼美恵 『ニート フリーターでもなく失業者でもなく』 玄冬舎(2004)

・小杉礼子 『フリーターという生き方』 勁草書房(2003)

・白川一郎 『日本のニート・世界のフリーター -欧米の経験に学ぶ』 中央公論新社(2005)

・堀 哲夫 編著 『一枚ポートフォリオ評価理科』 日本標準(2004)

・浅井宏純、森本和子 『ニートと呼ばれる人々 自分の子供をニートにさせない方法』 宝島社(2005)

・愛知県犬山市立犬山南小学校 『夢を持ち、仲間と学び合う中で、自分を拓く子-自分づくり、仲間

づくりをはぐくむキャリア教育-』(2005)

・森 清 『会社で働くということ』 岩波ジュニア新書 (1996)

・黒井千次 『働くということ』 講談社現代新書(1982)

・伊藤功一 『教師が変わる 授業が変わる 校内研修』 国土社の教育選書

・金本良通 『数学的コミュニケーション能力の育成』 明治図書

・片桐重男 『数学的な考え方を育てる「量と測定」の指導』 明治図書(1995)

・片桐重男 『数学的な考え方を育てる「図形」の指導 明治図書(1995)

・片桐重男 『小学校算数科 数学的な考え方・態度の事例集4年』 明治図書(1995)

・有元秀文 『相互交流のコミュニケーション』が授業を変える 明治図書(2002)

・志水 廣 『算数好きにする授業力』 明治図書(2000)

・第21回 小学校算数教育研究全国(茨城)大会 研究紀要(2005)

【参考Webサイト】

・キャリア情報ナビ http://hrd.mhlw.go.jp/career/WWPOS0100_GenerateMajorD ivis ionL istAction.do

・13歳のハローワーク公式サイト http://www .13hw.com/

・NPOキャリア倶楽部 http://www.career-club.org/

・BenesseR教育情報サイト http://benesse.jp/berd/center/open/keyword/career_kyoiku.shtml

・キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書

~児童生徒一人一人の勤労観,職業観を育てるために~

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/16/01/04012801/002.htm

・地域自立・民間活用型キャリア教育プロジェクト

~地域発!産学連携によるキャリア教育の推進に向けて~ http://www .career-edu.jp/symposium/

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Memo ♪

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平成18年3月 発行

群馬県総合教育センター

学校経営グループ キャリア教育班

平成17年度 長期研修員 柴崎和美

長期研修員 悴田匡一

学校経営グループ 指 導 主 事 中西信之