情報教育の目標リストに対応した指導法開発の試み ·...

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41 情報教育の目標リストに対応した指導法開発の試み 研究の概要 情報化に対応した教育の実現に向け,CEC(財団法人コンピュータ教育開発センター)や各企 業等が開発・提供しているディジタルコンテンツを活用した授業の実践研究が求められている。本 研究では,平成13年度より2年間,ディジタルコンテンツを活用した各教科の授業実践を行い,評 価会議と実践データの考察に基づいて情報教育の目標リストに対応した指導法開発を進める。各実 践は,情報教育のねらいやディジタルコンテンツの活用の効果が見え,本研究の成果が認められた。 さらに,授業に関する必要な情報を納めた 版レシピとして再構成し,情報教育を各教科で進 Web める際の参考となるよう 上での公開・活用に向けた準備を行う。ここでは,ディジタルコン Web テンツを活用した授業実践と協議から指導法開発に至る過程を報告する。 [キーワード] 情報教育 ディジタルコンテンツ 授業実践 指導法 レシピ テーマ設定の理由 文部科学省の教育の情報化プロジェクトを受け, 岡山大学教育学部,県教育委員会,県教育センタ ー,県情報教育センターが連携協力して,平成 年度より「IT活用学習推進に向けた研究開 13 発事業」を進めている。この事業では,県内の小 ・中学校教諭を研究開発委員に委嘱し,ディジタ ルコンテンツを活用した授業実践や研究協議を積 み重ねている。ディジタルコンテンツは,静止画 や動画,音声等の電子化された学習素材であり, その特性から,従来の授業形態を大きく変える可 能性を秘めていると考える。さらに時代の要請か ら,情報教育推進に向けた取り組みは,日常の教 科指導の中でも求められている。 そこで,本研究ではディジタルコンテンツを活 用した授業が情報教育の目標のどの部分を達成す るのに有効なのか吟味し,適切に位置付けながら, 児童・生徒の情報活用能力を育成する指導法とし て開発し, 版レシピとしての公開・活用を Web 考え,本主題を設定した。研究を進めるにあたっ て「新情報教育の手引(仮称 」を具体的な指針 とする予定であったが,発刊が遅れているため, その内容を一部公開している「火曜の会メールマ ガジン」の情報教育の目標リストを基にした。 なお 「IT活用学習推進に向けた研究開発事 業」から本研究に必要な実践データや協議内容を 抽出・反映し,指導法開発に生かす。 本年度は,小学校1校,中学校2校の協力を得 て,授業実践を指導法開発の手掛かりとした。 研究の目的 ディジタルコンテンツを活用した授業から情報 教育の目標リストに対応した指導法を開発し, 版レシピとして提案する。 Web 研究計画 本研究は,平成 年度,平成 年度の2年間 13 14 とし,県情報教育センターの事業として進めてい る「IT活用学習推進に向けた研究開発事業」と 連動させて図1のような流れで実施する。 図1 本研究の流れ 平成13年度 ○6~7月 ・研究テーマの協議・決定 ・研究計画の立案 ・目標リストの分析,チェック表の作成 平成14年度 ○4~5月 ・実践指導案の検討 ・ディジタルコンテンツの収集,選定 ・授業実践と研究協議(早島中学校) ・実践データの収集,分析 ・レシピ様式の検討 ○8~10月 ・実践指導案の検討 ・ディジタルコンテンツの収集,選定 ・授業実践と研究協議(金浦小学校) ・実践データの収集,分析 ○11~12月 ・実践指導案の検討 ・ディジタルコンテンツの収集,選定 ・授業実践と研究協議(高梁中学校) ・目標リストを基に指導案を修正 ・実践データの収集,分析 ○1~3月 ・他学年,他教科へ展開 ・ディジタルコンテンツの収集,選定 ・授業実践と研究協議(レシピ活用) ・レシピの改良と追加 ・実践データを基にレシピ作成 ・Web版レシピの検討,修正 13年度研究のまとめ ・研究成果発表会で報告

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Page 1: 情報教育の目標リストに対応した指導法開発の試み · ア:情報活用の実践力 イ:情報の科学的な理解 ウ:情報社会に参画する態度 (1)

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情報教育の目標リストに対応した指導法開発の試み

研究の概要

情報化に対応した教育の実現に向け,CEC(財団法人コンピュータ教育開発センター)や各企

業等が開発・提供しているディジタルコンテンツを活用した授業の実践研究が求められている。本

研究では,平成13年度より2年間,ディジタルコンテンツを活用した各教科の授業実践を行い,評

価会議と実践データの考察に基づいて情報教育の目標リストに対応した指導法開発を進める。各実

践は,情報教育のねらいやディジタルコンテンツの活用の効果が見え,本研究の成果が認められた。

さらに,授業に関する必要な情報を納めた 版レシピとして再構成し,情報教育を各教科で進Webめる際の参考となるよう 上での公開・活用に向けた準備を行う。ここでは,ディジタルコンWebテンツを活用した授業実践と協議から指導法開発に至る過程を報告する。

[キーワード] 情報教育 ディジタルコンテンツ 授業実践 指導法 レシピ

1 テーマ設定の理由

文部科学省の教育の情報化プロジェクトを受け,

岡山大学教育学部,県教育委員会,県教育センタ

ー,県情報教育センターが連携協力して,平成

年度より「IT活用学習推進に向けた研究開13発事業」を進めている。この事業では,県内の小

・中学校教諭を研究開発委員に委嘱し,ディジタ

ルコンテンツを活用した授業実践や研究協議を積

み重ねている。ディジタルコンテンツは,静止画

や動画,音声等の電子化された学習素材であり,

その特性から,従来の授業形態を大きく変える可

能性を秘めていると考える。さらに時代の要請か

ら,情報教育推進に向けた取り組みは,日常の教

科指導の中でも求められている。

そこで,本研究ではディジタルコンテンツを活

用した授業が情報教育の目標のどの部分を達成す

るのに有効なのか吟味し,適切に位置付けながら,

児童・生徒の情報活用能力を育成する指導法とし

て開発し, 版レシピとしての公開・活用をWeb考え,本主題を設定した。研究を進めるにあたっ

て「新情報教育の手引(仮称 」を具体的な指針)

とする予定であったが,発刊が遅れているため,

その内容を一部公開している「火曜の会メールマ

ガジン」の情報教育の目標リストを基にした。

なお 「IT活用学習推進に向けた研究開発事,

業」から本研究に必要な実践データや協議内容を

抽出・反映し,指導法開発に生かす。

本年度は,小学校1校,中学校2校の協力を得

て,授業実践を指導法開発の手掛かりとした。

2 研究の目的

ディジタルコンテンツを活用した授業から情報

教育の目標リストに対応した指導法を開発し,

版レシピとして提案する。Web

3 研究計画

本研究は,平成 年度,平成 年度の2年間13 14とし,県情報教育センターの事業として進めてい

る「IT活用学習推進に向けた研究開発事業」と

連動させて図1のような流れで実施する。

図1 本研究の流れ

平成13年度

○6~7月

・研究テーマの協議・決定・研究計画の立案・目標リストの分析,チェック表の作成

平成14年度

○4~5月

・実践指導案の検討・ディジタルコンテンツの収集,選定・授業実践と研究協議(早島中学校)・実践データの収集,分析・レシピ様式の検討

○8~10月 ・実践指導案の検討・ディジタルコンテンツの収集,選定・授業実践と研究協議(金浦小学校)・実践データの収集,分析

○11~12月 ・実践指導案の検討・ディジタルコンテンツの収集,選定・授業実践と研究協議(高梁中学校)・目標リストを基に指導案を修正・実践データの収集,分析

○1~3月

・他学年,他教科へ展開・ディジタルコンテンツの収集,選定・授業実践と研究協議(レシピ活用)・レシピの改良と追加

・実践データを基にレシピ作成・Web版レシピの検討,修正・13年度研究のまとめ

・研究成果発表会で報告

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4 研究内容

(1) ディジタルコンテンツ活用授業について

ア ミレニアム環境を想定した実践

図2のように普通教室にコンピュータ,液晶プ

ロジェクタ,大型スクリーン又は電子ホワイトボ

ード等が整備されたミレニアム環境と考え,この

環境での授業を想定して実践した。

イ ディジタルコンテンツの収集と選定

授業で活用すれば教科のねらい達成と児童・生

徒の情報活用能力育成に有効であると予想される

ディジタルコンテンツについて,研究組織の中で

情報交換しながら収集と選定を行った。

ウ 情報教育の目標リストに対応した指導法

「火曜の会メールマガジン」で永野和男(聖心

女子大学教授)等が紹介している情報教育の目標

リストを指導案に位置付け,児童・生徒の情報活

用能力育成の指導法として開発を進めた。

図2 ミレニアム環境のイメージ

情報 コンセント

無線LAN

コンピュータ2台

プロジェクタ

電子ホワイトボード

図3 情報教育の目標と7つのカテゴリー

ア:情報活用の実践力ア:情報活用の実践力

イ:情報の科学的な理解イ:情報の科学的な理解

ウ:情報社会に参画する態度ウ:情報社会に参画する態度

(1) 情報の表現とコミュニケーション

(2) 課題解決における主体的な情報活用 (収集・表現・創造・発信・交流)

(3) 情報手段の適切な利用 (情報メディア,コンピュータ,ネットワーク)

(4) 情報手段の仕組みや特性の理解

(5) 情報処理や情報技術,  人間の情報認識に関する基礎的な理論と方法

(6) 情報に対する態度

(7) 情報モラル・情報発信の責任

図3に示すように情報教育の3つのねらいは7

つのカテゴリーに分けられている。さらに,図4

のようにそれぞれに 目標があり,それをLEVEL支える下位目標に当たるものが設定されている。

については, 1は小学校低学年,LEVEL LEVEL2は小学校中学年, 3は小学校高LEVEL LEVEL

。学年, 4は中学生以上を目安としているLEVEL

これは,学習活動や達成度を評価するための視点

にもなることから,学習の状況に応じて目標の追

加・削除・修正等が可能なようにあらかじめそれ

ぞれの目標に のようなコード番号f2-010,f2-020

が付けられているが,順位性はない。

なお,平成 年度の研究では,紹介されてい13る目標リストをそのままの形で活用した。また,

情報の科学的な理解の目標リストについては,紹

介されていないので,今年度の研究の中には含め

ないことにした。

(2) 指導法開発に向けての考え方

ア 指導案について

従来の指導案のように学習活動,教師の支援等

を詳細に文で書き表すスタイルから,できるだけ

一目で授業の全体と指導の流れがつかめるような

スタイルとした。具体的には,指導案の中にディ

ジタルコンテンツの活用の様子がイメージしやす

ように活用場面等の写真や動画を取り入れ,ディ

ジタルコンテンツを活用した指導法が直感的に分

かるようにした。

授業実践を計画するに当たって,はじめから情

報教育の目標に迫ることは困難であると考え,情

報手段を効果的に活用し,教科の目標を達成でき

るようなディジタルコンテンツの活用を考えた。

図4 具体的な下位目標リスト

ア:情報活用の実践力ア:情報活用の実践力(2) 課題解決における主体的な情報活用【c問題の発見と計画】【d情報の収集】【e整理・分析・判断】【f発信・伝達】 LEVEL2 まとめたことを,人に伝える f2-010  まとめたことをみんなの前で話す

f2-020  相手に伝えるために,絵図や資料      を見せながら話す  LEVEL3 伝えたいことを明確にして,相手に      分かりやすく伝える    LEVEL4 聞き手の立場にたち,メディアを有      効に活用し,筋道を立てて伝える

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その後,情報教育の目標リストと関連させて情報

活用能力もバランスよく育成できるような授業ス

タイルを基本に指導案を修正した。指導案の内容

項目は,教科名,単元名,新学習指導要領との関

連,本時の目標,学習活動,教師の支援,準備物,

情報教育の目標リストの関連等とし,どの項目も

簡潔な内容になるようにした。

イ 授業実践の考え方

授業実践は,コンピュータ,液晶プロジェクタ,

大型スクリーン等のミレニアム環境でディジタル

コンテンツを教師が提示したり,児童・生徒自身

が活用したりする授業を想定している。具体的に

は,1単位時間の授業を「導入 「展開 「まと」 」

め」という流れにし,どの場面でどのようなコン

テンツを活用すれば教科のねらいを達成できるの

か,また教師や児童・生徒がどのようにディジタ

ルコンテンツに関われば情報活用能力を育成でき

るのかを検討するために実践を行う。授業実践に

活用するディジタルコンテンツは,機関や企業等

から提供されているものを原則として活用するが,

授業実践者の意図に合ったものがない場合,教科

書,資料集,副読本等から意図に近いものを選択

し,代用することにした。

ウ レシピのとらえ方

情報教育の目標リストに対応した指導法を提供

し,どの教師も授業実践が行えるようにレシピを

作成した。本研究でのレシピとは,ディジタルコ

ンテンツを活用した授業を行うために必要な情報

納めたものと考え,次のようにとらえている。

5 実践の状況

(1) 授業実践Ⅰ

ア 学年・教科

中学校第2学年理科

イ 単元名

「生物の成長と細胞」

ウ 授業の概要

・そのまま活用すれば,情報教育の目標に迫れる。

・レシピをいくつか実践すれば情報教育の目標をバランスよく達成できる。

・ディジタルコンテンツの活用パターンをつかめば,応用的な授業が展開できる。

中学校第2学年の理科でディジタルコンテンツ

を活用した授業実践を行った。まず,写真1のよ

うな流れで学習を進めた。根端細胞の細胞分裂の

観察法(押しつぶし法)の手順を動画コンテンツ

で確認する。その後,実際に実験を進めて生徒が

観察を行い,発見した細胞分裂について発表する

授業である。導入,展開,まとめのすべての場面

にディジタルコンテンツを活用した。

エ 活動の様子や生徒の反応

教師が動画コンテンツを活用して観察法の説明

を始めると,生徒は,スクリーンに注目していた。

また,写真2のようにまとめの段階で動物細胞の

分裂を動画で提示すると,生徒から「おう!」

「すごい!」という驚きの声が上がった。ディジ

タルコンテンツを活用すれば,分かりやすく,生

徒の興味・関心を引き出す授業展開の可能性が認

められた実践であった。

写真1 細胞分裂の授業

まとめ

観察とスケッチ観察とスケッチ

展開 ディジタルコンテンツで 実験方法説明

ディジタルコンテンツで 実験方法説明

導入

ディジタルコンテンツでまとめ動物細胞の分裂

ディジタルコンテンツでまとめ動物細胞の分裂

写真2 動画コンテンツに注目する生徒

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オ 実践直後の評価会議

実践後すぐに,写真3のように評価会議を開い

た。この評価会議では,ディジタルコンテンツを

活用した授業の効果と指導法を中心に協議が進め

られた。ディジタルコンテンツの活用が,授業効

果を高めるのに有効であることが確認された。会

議で出された意見の一部は次のとおりである。

写真3 実践後の評価会議

(2) 授業実践Ⅱ

ア 学年・教科

小学校第6学年社会科

イ 単元名

「戦争と国民生活」

ウ 授業の概要

小学校第6学年社会科でディジタルコンテンツ

を活用した実践を行った。主な学習活動の流れは

写真4である。5種類の年代の異なる歴史的映像

の動画コンテンツを教師が順不同で紹介した後,

写真5のようにどの順に並べるかという課題を解

決するために児童は,動画コンテンツを操作しな

がら必要な情報を収集したり,分かったことをコ

ンテンツを使って発表した。

写真4 戦時下の暮らしを考える授業の様子

発表発表

調べて調べて

まとめてまとめて

ディジタルコンテンツを児童が操作

ディジタルコンテンツを児童が操作

写真5 動画を操作しての情報収集と発表

・今日のような授業形態は,生徒の反応を見

ながら授業を進められると感じた。

・普段,自分たちの目では確認できない現象

をコンテンツで確認できるので,大変効果

的であると感じた。

・コンテンツを活用したときには,生徒から

「おう!」という驚きの声が聞かれ,それ

だけでもコンテンツを使う価値がある。

・観察の支援をする上で,コンテンツの活用

はものすごく効果があることが分かった。

・すべての学習場面にコンテンツを活用した

が,今後はコンテンツ活用を一時間のどこ

かへ集中させた方がよい。

・いいコンテンツであってもどういう対応で

見せればよいかという検討が必ずいる。

・ただ見せるのではなく 「こういうところを,

見るんだよ」というようにポイントを明確

にする指示が必要である。

・コンテンツを使えば授業ができるのではな

く,使えばさらに授業がよくなるという考

え方でなければならない。

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エ 活動の様子や児童の反応

展開の場面では,普通教室の隣にあるコンピュ

ータ室に移動し2,3人のグループ別に児童自身

が動画コンテンツを操作し,はじめに戻したり,

一時停止したりしながら必要な情報をワークシー

トにまとめた。その過程で互いにとらえた情報に

ついて話し合ったり,確認し合ったりしている姿

が見られた。児童は,普段から写真5のような授

業形態での学習を経験しており,コンピュータ活

用に特別な意識を持っている様子は感じられなか

った。

オ 実践直後の評価会議

この実践で活用したディジタルコンテンツは,

著作権処理され,様々な活用目的に対応するもの

であり,質も高いといった感想が多かった。また,

教師だけでなく児童自身がコンテンツに直接関わ

る活動が設定されていたので,授業実践Ⅰとは違

った形の授業展開が見えてきた。会議で出された

意見の一部は次のとおりである。

・子どもが食い入るように映像を見て,情

。報を探し出そうと映像を細かく見ていた

・今日のような学習でのコンピュータ活用

は,特別なスキルを持ってなくてもでき

る授業ではないかと思った。

・5つのコンテンツから短時間で情報を読

み取るのは難しい。例えばグループごと

に一つずつ見て, 終的に交流する場で

情報交換を行う流れでもよいと感じた。

・コンテンツを使った授業として工夫され

た展開であり,コンテンツを活用した将

来の授業形態であると感じた。

・いろいろなシーンの中から自分が思うと

ころで止めて確認できるところにディジ

タルコンテンツの強みがあり,ビデオに

はなかった使い方である。

・慣れれば児童でも細かい操作が容易なの

いろいろな観点,視点から見られる。

・ディジタルコンテンツが従来の授業スタ

。イルを一挙に変える可能性を持っている

・教科で情報教育はできると再認識した実

践であり,だからこそ情報教育のどのレ

ベルをねらっているのか明確にする必要

がある。

(3) 授業実践Ⅲ

ア 学年・教科

中学校第2学年理科

イ 単元名

「天気とその変化」

ウ 授業の概要

中学校第2学年理科で従来の教科書のイメージ

から静止画や動画を提示できる教科書準拠型のタ

イプを使用した。霧の動画から授業をスタートし,

コップに水滴がつく様子の動画コンテンツから課

題意識を高め,観察実験を行う。さらに,飽和水

蒸気量の変化をアニメーションでとらえ,露点・

凝結と霧の発生との関わりついて理解を深める。

エ 活動の様子と生徒の反応

生徒が楽しそうに授業に望んでいる様子が伝わ

ってきた。ディジタルコンテンツを提示すると生

徒は一斉にスクリーンに注目していた。写真7の

ように動画コンテンツを視聴した後の話し合いで

は,互いに自分の考えを説明し合っている姿が見

られた。実験にも積極的な取り組みが見られ,グ

ループごとに熱心に実験を進めていた。

写真6 「天気とその変化」の授業の様子

教科書に準拠した           ディジタルコンテンツの活用教科書に準拠した           ディジタルコンテンツの活用

実験実験

発表発表

写真7 動画視聴後の話し合い

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オ 実践直後の評価会議

教科書準拠型のディジタルコンテンツは授業の

どの部分を進めているのかが分かり易いという感

想を得た。特にアニメーションの動画は,飽和水

蒸気量の変化を説明するのに有効であると感じた。

また,今後のディジタルコンテンツ活用の考え方

や方向性についての意見も出された。会議に出さ

れた意見の一部は次のとおりである。

(4) 研究開発委員会での評価会議

研究開発委員会では授業実践の報告とこれに関

わる協議を行った。まず実践者から指導案を基に

・実験後,ディジタルコンテンツによって

再度,実験結果の根拠となる考え方を確

認できたので,飽和水蒸気量の変化の様

子について理解を深めるのに有効である

と感じた。

・ディジタルコンテンツの用い方について

は,実験後の振り返りのときにかなり威

力を発揮するのではないかと思った。

・コンテンツを見ることにより,目では確

認できないことをどうイメージ付けるの

かがコンテンツの鍵のように感じた。

・ディジタルコンテンツが内容面でサポー

トしたのか,分かり易い授業を実現して

いるのかという点で評価がいる。

・情報活用の能力が授業のどこで養われた

のか,どうすれば養われるのかという面

も見ていかなければならない。

・従来の授業に比べて,ディジタルコンテ

ンツを活用して,態度,意欲,主体性等

が促されたか,考える必要がある。

,・デジタルコンテンツでどう変わったのか

変わらなかったのか議論が必要である。

・ディジタルコンテンツを活用して授業を

すればよいというのではなくどうあれば

よいか要求も出さなければならない。

・他の教師にどう広めていくか,その一つ

の方法がレシピであり,授業の一部が見

えるようにしていかなければならない。

・指導案の中に情報教育の目標をきちんと

位置付け,教科の中で情報教育が進めら

れるようにしなければならない。

授業説明を聞き,次に写真8のように全員で授業

の様子を編集したビデオ(1分~2分もの)を視

聴した。授業参観できなかった委員からも感想や

意見を得た。3回の授業実践について研究開発委

員会で実践報告を行い,教科のねらいと情報教育

に対応した目標等の視点から協議した。

ア 1回目の評価会議から

ディジタルコンテンツを活用した初めての実践

報告であった。この時点では,委員のほとんどが

ディジタルコンテンツを活用した授業のイメージ

を十分つかんでいなかったので,授業実践Ⅰの報

告により,委員全員がある程度ディジタルコンテ

ンツを活用した授業についてのイメージをつかむ

よい機会となった。また,この会議の後,各委員

でディジタルコンテンツを活用した授業の指導案

を作成することとなった。本年度の研究では,各

教科とも単元全体を通しての指導案ではなく,1

単位時間での授業設計とした。指導法開発の条件

としては,ディジタルコンテンツを活用すること,

教科のねらいを達成する過程を通して情報教育の

目標を達成できるような指導案を作成することに

した。

取り組む教科については,小学校は社会科,生

活科,図画工作科,中学校では理科,社会科,音

楽科とし,委員のメンバーで分担したり,委員の

所属校の教師に協力を得て,指導法開発を進めて

いくことにした。

しかし,この時点では 「新・情報教育の手引,

(仮称 」が発表されていなかったため,情報教)

育の目標リストを基に開発を進めた。

写真8 実践ビデオで授業評価

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イ 2回目の評価会議から

ここでの評価会議では,前回と同様,実践報告

から行ったが,会議の中心は授業実践を行った3

つの実践が情報教育の目標リストにうまく関連し

ている授業であったかを検証する機会とした。そ

のために「火曜の会メールマガジン」で紹介され

ている目標リストを基に,図5のような目標リス

トチェック表を作成した。これを使って,授業実

図5 目標リストチェック表(詳細はP ~ )51 54

践Ⅰ,Ⅱ,Ⅲを情報教育の視点から再度,評価し

た。チェック表による授業実践の評価は,実践ご

とに行った。まず指導案による授業概要の説明後,

授業実践ビデオを視聴し,時間をとってチェック

表に授業実践から関連する項目を「関係が深い」

「まずまず関係がある 「関係がないわけではな」

い」の3段階に分けて記入することにした。写真

9のようにチェック作業は,研究委員全員で行っ

た。その後,互いにチェックした項目を発表し合

い,ディジタルコンテンツを活用した授業の中で

教科のねらいを達成し,情報教育の目標をバラン

スよく位置付けた指導法開発の可能性を全員で確

認した。チェック後の協議では,多くの点で目標

リストにチェックを入れることができる実践とチ

ェックを入れることが困難な実践の二つに分かれ

た。チェック後の協議では,どうして目標リスト

に関連していないのかという視点で研究協力者か

ら多くの意見を得た。

その結果,ディジタルコンテンツの活用は,分

かりやすい授業を実現し,教科のねらいを達成す

ることに有効であるということは当然であるが,

情報教育の目標リストに対応した指導法とするた

めには,単にディジタルコンテンツを一斉指導で

提示して活用するだけでなく,教師が児童・生徒

に見るべきポイントをあらかじめ意識させてから

見せるといった工夫も必要と考えた。また,児童

・生徒自身がディジタルコンテンツの特性をうま

く生かして,課題解決のための意図を持った関わ

り方をすれば,さらに情報教育の目標リストに対

応し,情報活用能力の育成につながると考えた。

会議で出た意見の一部は次のとおりである。

写真9 目標リストで授業をチェック

・コンテンツをうまく活用すれば,分かり

易い授業ができるなと感じた。

・実験の手順は,コンテンツ活用説明だけ

でなく,黒板などにいつでも見える形で

表示するとさらに効果があると思う。

・意図したコンテンツを探すのが大変だと

思う。授業で自由に使えるコンテンツ集

のようなものが今後,必要となってくる

のではないか。

・観察の手順をコンテンツで示したことは

有効であったが,観察のポイントを明ら

かにしていなかったので,何を調べれば

よいのかわかっていないグループもある

ように感じられた。

・コンテンツと先生のうまさを融合させた

授業にする必要がある。

・やはり,コンテンツを活用した実践に取

り組みやすいように分かり易いレシピが

必要である。

・ 新・情報教育の手引き(仮称 」の目標「 )

リストをレシピにも明確に関連させてい

くことも視野に入れる必要がある。

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6 Web版レシピの試作

どの教師にもすぐにディジタルコンテンツを活

用した授業がイメージでき,実践できるようにす

るため,実践した授業や各委員が設計した授業を

レシピとしてまとめて利用できるようにした。レ

シピを作成する際には,その後 上での発信Webと活用を考慮して 版レシピとした。Web

レシピは,次のような2つのタイプが考えられ,

(1)から(2)のタイプへ徐々に切り替える。

(1) レシピ試作における構成要素

はじめは,授業に関するあらゆる情報が得られ

るようにデータや資料をできるだけ豊富に納める

・子どもたちが,ディジタルコンテンツを

直接操作するような活動があると目標リ

ストにチェックしやすい。

・教科のねらいが強いために,情報教育の

。視点で考えることが難しいのではないか

・2つのタイプの授業が考えられる。一つ

,は単純に分かり易い授業をめざしたもの

もう一つは,コンテンツと十分に関わる

時間を持たせるとか発表の機会を持たせ

るといったものと考える。

・ただ見せるのではなく,再生したり,停

止したりして何度も同じ場面を簡便な操

作で見られるといったディジタルコンテ

ンツのよさを生かす必要がある。

・さらに注目させるためにも電子ホワイト

ボードのようなものを活用して,操作す

る,指さすなどの方法で,教師がスクリ

ーンの前に立って,ディジタルコンテン

。ツのメリットをフルに生かすようにする

・教科のねらいと情報教育の目標とを考え

ながら授業形態を工夫することにより,

情報教育の目標リストに関連させること

はできる。

(1)情報手段の活用,ディジタルコンテンツの活用で主に教科のねらいを達成するタイプ

(2)ディジタルコンテンツを活用しながら教科のねらいと情報教育の目標を達成するタイプ

方が利用しやすいと考えていた。しかし,実践に

関する情報量が多いとかえって複雑になり利用し

にくくなるのではないかという委員からの意見等

を基に修正を行いながら作成を進めた。

レシピに取り入れる要素としては,指導案,指

導用ワークシート(白刷り・赤刷り ,授業実践)

ビデオクリップ,活用するディジタルコンテンツ

情報等,授業に関する簡単情報とした。実践した

授業については,構成要素をできるだけレシピの

中に取り入れることにした。

(2) 試作したWeb版レシピの構成

試作したレシピは,委員の協力を得て,オリジ

ナルのアイコンを作成し,見た目にも柔らかくて

親しみやすいイメージになるように努めた。図6

は,試作した 版レシピのトップページであWebる。現時点では,実践授業やデザインした指導案

を基にレシピを構成している。残念ながら,当初

予定していたレシピの構成要素をすべて取り入れ

ることはできていないが,本年度は数本の授業を

版レシピとして試作した(詳細はP 。Web 55)

トップページから指導案の単元名をクリックす

ると図7のような指導案のページが表示される。

実践した授業のうち,実践をビデオ撮影している

場合には,ディジタルコンテンツ活用場面の様子

が分かるシーンを十数秒のビデオクリッップとし

て貼り付け,クリックするとそれぞれの場面が閲

覧できるようにした。これは,ディジタルコンテ

ンツを学習場面でどのように活用しているのか文

字だけよりもよりイメージしやすくするため取り

入れた。さらに,ディジタルコンテンツを閲覧し

図6 Web版レシピのトップページ(試作)

Page 9: 情報教育の目標リストに対応した指導法開発の試み · ア:情報活用の実践力 イ:情報の科学的な理解 ウ:情報社会に参画する態度 (1)

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たり,実際の授業で活用したりできるようした。

授業で活用したワークシートも学習の流れをつか

む手だてとし,赤刷り(教師用記入例)と白刷り

(児童配布用)を取り入れた。共通のフォームで

作成し,活用しやすくした (詳細はP 。。 )72

7 研究の考察

本研究は,現在も進行している研究であり,す

べてを考察することはできていないが,次の5点

について協力者の意見を基にまとめてみた。

(1) 情報活用能力の育成にディジタルコンテンツ

活用は有効か

ディジタルコンテンツには,他のメディアには

ないよさがある。例えば,児童・生徒自身が意図

を持ってディジタルコンテンツを活用し,学習を

進めれば多くの点で情報教育の目標リストに対応

した学習活動が展開できると考える。その際,児

童・生徒の興味・関心を引き出し,主体的な課題

意識を持たせるような学習課題であったり,試行

錯誤しながら課題を解決していく場面を確保する

図7 指導案のページ(試作)

(詳細はP ~ )56 71

5 本時の流れ

・液晶プロジェクタ・ノート型コンピュータ・ディジタルコンテンツ

・ワークシート・社会科資料集・児童用コンピュータ (2人に1台)・ディジタルコンテンツ

・ワークシート・社会科資料集・液晶プロジェクタ・ノート型コンピュータ・ディジタルコンテンツ

5種類の映像を年代順に並べよう。  そしてなぜそう考えたか理由をもとう。

○ディジタルコンテンツを提示しながら課題を 説明することにより,活動をイメージしやす くする。

○ディジタルコンテンツが伝えている情報を整 理しやすいように,ワークシートを活用しな がら作業を進めるようにする。

○年代順に並べる作業の中で,その根拠となる 情報をとらえられない児童には,映像の細部

 に目を向けるように助言する。 【d3-030】

○ディジタルコンテンツから得た情報を共有す るために,グループ内でお互いの考えを出し

 合うようにする。       【e2-050】

○とらえた事実を明らかにするために,児童が 年代順の予想を発表する際には,板書にその 理由を整理していく。

○児童の考えをより分かりやすく伝えるために, 口頭で発表するだけでなく,できるだけ液晶 プロジェクタで映したディジタルコンテンツ を指しながら説明できるようにする。   

           【a3-030,f3-010】

○ディジタルコンテンツが「伝えていること・ 分かったこと」を整理しながら「伝えていな いこと・分からないこと」についても考える 場面をつくり,当時の国民生活についてに調 べていくための学習問題を挙げる。

○学習問題を解決する手がかりをいくつかもつために,夏休みに各自が 行った戦争体験に関する聞き取り調査のことを想起しながら,身近な

 人材等について紹介し合うようにする。          【c2-020】

6 実践のポイント

○児童自身が動画コンテンツを操作すれば学習効果をさらに高めることができる。日頃から動画コンテンツを 再生したり,戻したり,一時停止したりできる基本操作を経験させておくことをおすすめします。

ディジタルコンテンツ活用レシピ         実践者:笠岡市立金浦小学校 高橋伸明教諭  

ことが必要であると考える。したがってディジタ

ルコンテンツは単なる教科のねらいを達成するた

めだけの素材に止まらず,情報活用能力育成に有

効な魅力ある素材でもあると言える。しかし,デ

ィジタルコンテンツを実際に学習場面でどのよう

に活用すればよいのか,ディジタルコンテンツに

教師や児童・生徒がどう関われば情報活用能力を

育成することができるのかなど授業のイメージが

つかめるようなレシピが必要と考える。

(2) ディジタルコンテンツ活用が児童・生徒の意

欲,態度,主体性を促したか。

導入場面で教師がディジタルコンテンツを提示

し,説明することによって,学習の見通しが立ち

学習意欲の向上に寄与できると考える。中でも動

画コンテンツは,再生,巻き戻し,停止などの操

作を児童・生徒が容易にしかも個別に行いながら

活用することもできるので,それぞれの意図や目

的に応じた活動を支援し,活動意欲や主体性を引

き出すことにも有効である。また,観点を変えて

何度も繰り返して見ることも容易なので学習意欲

の持続にもつながると考える。

(3) 教科の内容面でディジタルコンテンツがサポ

ートしたか。

ディジタルコンテンツの内容そのものが「とら

えさせたい内容」である場合には,大変有効であ

ると考える。また,ディジタルコンテンツを活用

して様々な情報を得る過程そのものも教科の学習

のねらいを達成するものであると考える。例えば,

動画コンテンツは,従来説明しにくかった部分や

実際には見られない現象等も確認可能なので,イ

メージをつかんだり,理解を深めたり,問題意識

を促進したりする点でも効果は大きいと考える。

(4) ディジタルコンテンツ活用で分かりやすい授

業の実現ができるか。

動画コンテンツでは,写真のような静止画以上

にその様子の雰囲気まで伝えることも可能で,児

童・生徒にとって分かり易いものとなる。また,

教師による提示説明,児童・生徒が操作しながら

の調べ学習,児童・生徒による提示説明等,いろ

いろな形態の中で工夫して活用すれば,さらに分

かりやすい授業の実現を支援する。

(5) ディジタルコンテンツ活用授業の準備,時間

等はどうか。

ディジタルコンテンツは,著作権等の処理済み

Page 10: 情報教育の目標リストに対応した指導法開発の試み · ア:情報活用の実践力 イ:情報の科学的な理解 ウ:情報社会に参画する態度 (1)

50

のものであれば,編集,加工が自由なので,独自

の教材に再構築することも可能である。CECの

ようなポータルサイトがあると,ダウンロードす

ればすぐに使えるので便利である。一つの動画コ

ンテンツの再生時間は短いため,普段の調べ学習

の時間内に対応できる可能性は高いと考える。ど

のディジタルコンテンツをどのように活用すれば

教育効果が高まるのかを吟味するのに時間を要し

た。しかし,その作業を怠ってはねらい達成に結

びつかない場合もあると思われる。

8 成果と今後の取り組み

情報教育の目標リストを対応させた指導法は,

情報教育を各教科で進める際の参考になると考え

る。児童・生徒に必要な情報活用能力は,日常の

教科指導から段階的・継続的に育成していく必要

があり,今回の指導法を多くの教師に伝え,広め

ることは急務である。その手段として 版レWebシピという形は有効であると考える。さらに,今

回の指導法開発に注目したのがディジタルコンテ

ンツの活用である。ディジタルコンテンツは,従

来の授業を大きく変える可能性を持っており,デ

ィジタルコンテンツへの関わり方や活用場面,活

用方法を工夫すれば,教科のねらいを達成するこ

とはもちろん,情報教育の目標もバランスよく達

成することに有効な学習素材のひとつである。以

上のようなことが授業実践や協議,指導法開発の

過程を通して成果として見えた。

また,今後の課題は次のとおりである (1)。

開発した指導法は, 版レシピという形でまWebとめ,学校インターネット2・3等で公開し,高

速回線を利用して実際の教科指導で活用し,評価

・修正を行っていく (2)授業ごとにコンテン。

ツを検索・収集することは困難であるので,情報

教育センターでは,CECのディジタルコンテン

ツのすべてをサーバに蓄積し,すぐに活用できる

準備を進めていく。現在一部公開・活用できる状

況にある (3)他教科他学年でも情報教育の目。

標リストに対応したディジタルコンテンツの活用

授業の指導法をレシピという形でまとめ,普段の

教科指導からバランスよく情報教育が進められる

ようにその普及を目指す。さらに,1単位時間の

単発的なものではなく,単元全体へ展開させてい

くようなダイナミックな取り組みも考えている。

9 おわりに

今年度の研究では 「火曜の会メールマガジ,

ン」で紹介されている情報教育の目標リストに対

応した指導法の開発を試みたが,日常の教科指導

から情報活用能力の育成も目指した指導法の必要

性を強く感じた。そこには, 世紀の社会を築21いていくたくましい子どもたちの育成を目指した

教育を進めていくことで情報立国として日本が再

び立ち上がることを実現させようとしている時代

の意気込みが感じられる。この指導法開発の試み

は,ミレニアム環境で展開される日常的な授業形

態をイメージしたひとつの教育の姿であり,平成

年度に向けた着実な取り組みであると確信し17ている。

<参考文献及びWebページ>

○火曜の会メールマガジン第 , , 号31 41 42http://www.kayoo.org/mag/

○ , 「教育用画像素材集サイト」CEC IPA

http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/○第 回全日本教育工学研究協議会富山大会27

P381 384研究発表論文集, ~

○岡山県情報教育センター学校インターネット3

のページ(CECの画像素材集を公開)

http://www.okayama2.schoolnet.gr.jp/

<研究協力者・研究推進者等>

協力者

高橋 伸明 笠岡市立金浦小学校教諭

中桐 伸二 岡山市立南輝小学校教諭

木村 正徳 熊山町立桜が丘小学校教諭

小林 朝雄 高梁市立高梁中学校教諭

山本 豊 高梁市立高梁中学校教諭

桑本 康則 早島町立早島中学校教諭

内田ちひろ 倉敷市立東中学校教諭

難波 彰子 岡山市立石井中学校教諭

なお,岡山県情報教育センターでは,平成 年13度は次の者が本研究に当たった。

太田 淳一 指導主事(◎主査)

平松 茂 研修課長

岸 誠一 指導主事