広島県営水道の送水のあり方基本計画3 計画の位置付けと計画期間...

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広島県営水道の送水のあり方基本計画 平成21年3月 広島県企業局

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  • 広島県営水道の送水のあり方基本計画

    平成21年3月

    広島県企業局

  • 目   次

    第1章  計画策定の趣旨等

    1 計画策定の趣旨及び背景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    2 計画の基本方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    3 計画の位置付けと計画期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    1

    1

    2

    第2章  現状と課題

    1 県営水道事業の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    2 現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    3 トンネル事故時における影響 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    4 送水のあり方検討における対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    3

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    8

    30

    第3章  整備する施設等

    1 施設整備に関する基本的考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    2 整備する施設 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    3 費用対効果分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    4 整備スケジュール ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    5 整備財源 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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    44

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    第4章  収支計画等

    1 概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    2 収支計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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    第5章  今後の課題等

    1 今後の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    2 計画の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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  • 第1章 計画策定の趣旨等

    1 計画策定の趣旨及び背景 平成18年8月25日に発生した送水トンネルの崩落事故は,呉市民,江田島市民の生活

    用水と企業の生産活動に必要な工業用水の送水停止という過去に経験したことのない大規模

    な断水被害をもたらした。1)

    これまで広島県では,安定給水に向けた取り組みとして,送水ルートのループ化などのラ

    イフライン機能の強化,水道施設のリフレッシュ事業や耐震化事業,さらには管路更新事業

    などの施策を計画的に進めてきたところであるが,今回の事故は,これらの計画では想定し

    ていない,新たな対策の必要性を認識させるものであった。 また,国の水道ビジョンでは,「安定『いつでもどこでも安定的に生活用水を確保』」が政

    策目標の一つとして掲げられ,災害等の非常時においても被害を最小限に抑え,断減水によ

    る需要者への影響を最小化することが求められている。 このような状況を踏まえ,トンネル事故等の送水不能事故を想定した県営水道の水運用,

    受水市町自己水源の活用,及びバックアップ施設の整備等,非常時における送水のあり方を

    内容とする「広島県営水道の送水のあり方基本計画」を策定し,災害・事故等に強い供給体

    制の構築を図ることとした。

    2 計画の基本方針 策定にあたっては,効率性及び長期的な安定経営等に鑑み,次の視点から具体的な検討を

    行うこととした。

    (1)既存施設の活用 ア 県営水道施設の水運用による対応(送水ルートの切替など) イ 受水市町の自己水源の活用

    (2)事故時の被害軽減対策 ア 送水トンネル事故時の影響評価 イ 上記に伴う被害を軽減するための施設整備 ウ 施設整備に伴う経営への影響評価

    (3)受水市町との連携 ア 受水市町との連絡管等に関する応援協定の締結及び水運用マニュアル(素案)の作成 なお,工業用水については,一部地域の水量が大部分を占めており,その水量は他の水源

    からのバックアップは困難であることから,水道用水確保を優先して検討した。 1) 事故の概要 ・崩落トンネル :戸坂系6号トンネル(用水・工水を送水)

    ・復旧までの期間:18日間(平成18年8月25日事故発生 ⇒ 9月11日送水開始) ・水道用水の影響:最大 72,100人,32,050世帯が断水(呉市,江田島市) ・工業用水の影響:167,500m3/日が断水(4社)

    1

  • 3 計画の位置付けと計画期間 「広島県営水道事業中期経営計画」1) において“危機に強い水道の構築”の目標が掲げ

    られており,本計画はその目標のもとで推進する平成21年度からの10箇年の計画とし,

    各種計画等と連携を図りながら実施するものとする。

    経営基盤の強化 県民・企業に信頼 される水の供給

    危機に強い水道 の構築

    地域への貢献と社会的

    責任の率先的な遂行

    「広島県営水道水質検査計画」

    「広島県営水道水質管理計画」

    「広島県営水道施設維持管理計画」

    「水道施設リフレッシュ計画」

    「管路更新計画(第一次計画)」

    「建設計画」

    「広島県送水トンネル維持管理計画」

    「広島県県営水道施設耐震

    化基本計画」

    「水道施設事故対策要綱・要領」

    「広島県営水道の送水のあり方基本計画」

    「企業局建設工事コスト縮減推進要綱」

    「環境に配慮した広島県営水道率先行動計画」

    広島県営水道事業中期経営計画

    図 1-3-1 本計画の位置付け

    1) 広島県企業局の「地域水道ビジョン」に位置付けられる計画で平成 18年 3月に策定 (「地域水道ビジョン」とは,厚生労働省が水道事業者等に対し,「水道ビジョン」(平成 16年 6月厚生労働省策定,平成 20年 7月改訂)の方針を踏まえて目指すべき将来像実現のための方策等を策定するよう求めているもの)

    2

  • 第2章 現状と課題

    1 県営水道事業の概要 (1) 水道用水供給事業

    広島県では,水源の確保が困難な市や町へ水道用水を広域的に供給する水道用水供給事業

    を実施しており,現在,県内10市5町及び愛媛県内1町に供給している。

    表 2-1-1 水道用水供給事業の給水状況等

    事業名 広島西部地域 水道用水供給事業 広島水道用水供給事業 沼田川水道用水供給事業

    水 源 魚切ダム,弥栄ダム 土師ダム,高瀬堰, 温井ダム

    椋梨ダム,竜泉寺ダム,

    福富ダム

    計画給水量 123,000 m3/日 240,000 m3/日 110,000 m3/日

    現有施設能力 123,000 m3/日 204,000 m3/日 93,100 m3/日

    給水開始 昭和 51 年 7 月 昭和 49 年 4 月 昭和 51 年 4 月

    給水対象 広島市,大竹市,廿日市市

    広島市,呉市,竹原市,東広島市,江田島市,

    海田町,熊野町, 大崎上島町

    (府中町,坂町)

    三原市,尾道市,福山市,

    東広島市,上島町(愛媛県)

    図 2-1-1 水道用水供給事業の概要図

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  • (2) 工業用水道事業 広島・呉地域,東広島地域及び備後南部地域の産業活動に必要な工業用水を供給するため,

    昭和40年から給水を開始し,現在では3事業により,1日当たり約35万m3の工業用水を

    供給できる施設能力を有している。

    表 2-1-2 広島県の工業用水道事業

    太田川東部工業用水道 第 2 期水道事業

    太田川東部

    工業用水道事業 太田川系 三永系

    沼田川 工業用水道事業

    水源 太田川表流水 土師ダム 三永水源地 椋梨ダム

    計画給水量 230,000 m3/日 58,000 m3/日 35,000 m3/日 64,000 m3/日

    現有施設能力 230,000 m3/日 23,250 m3/日 29,000 m3/日 64,000 m3/日

    給水開始 昭和 40 年 4 月 昭和 54 年 7 月 昭和 63 年 10 月 昭和 48 年 4 月

    給水区域 広島市,呉市, 安芸郡

    広島市,呉市,安芸郡 東広島市

    三原市,尾道市,福山市,竹原市

    給水先 5社 3社・組合 2組合 22社

    図 2-1-2 工業用水道事業の概要図

    4

  • 2 現状と課題 (1) 現状 ア 本県の水道事業の現状及び特徴

    工業用水道事業は昭和40年に,水道用水供給事業は昭和49年に給水開始後,給水

    量は増加の一途を辿ってきたが,近年は社会情勢の変化などから水需要は伸び悩み傾向

    にある。このため,施設整備についても水需要の増加への対応から,ライフラインの

    機能強化や老朽施設・設備の計画的な更新など,維持管理の強化・充実へと移行しつつ

    ある。 また,本県の送水区域は急峻な山や島嶼部が多い地形となっていることから,トンネ

    ルや海底管などが多く存在する複雑な送水形態となっているため,その特徴に応じた維

    持管理,危機管理が求められている。 このような本県の水道事業の特徴を表 2-2-1 に示す。

    表 2-2-1 広島県営水道の特徴

    項 目 特 徴

    施設形態

    ○ 送水範囲が広く,複雑な地形及び島嶼部を給水区域に含むため,

    施設形態が多岐にわたる。 ・総延長 481km 地下埋設管 400km

    トンネル 53km 水管橋 7km 海底管 21km

    事業種別

    ○ 工業用水は,特定企業への給水依存度が高く,経営面や危機管理面

    でリスクが大きい。 ○ 水道用水は,市町への卸事業であるため,施設規模が大きく,

    事故時の影響が大きい。

    事業運営 ○ トンネルなどの基幹施設は,水道用水供給事業と工業用水道事業,

    あるいは受水市町との共同施設が多く,複雑な事業運営となって

    いる。

    イ 危機管理への取組状況

    ライフライン機能強化では,これまで広島西部地域水道用水供給事業における八幡川

    系と小瀬川系の連結(平成10年度),及び広島水道用水供給事業における安芸灘ライン

    のループ化(平成14年度)により,事故時における送水ルートの確保を図っている。 現在は,沼田川水道用水供給事業において,因島などの島嶼部における三原系と

    尾道系による双方向からの送水を可能とするため,西瀬戸ライフライン整備事業(平成

    22年度事業完了予定)を実施中である。 また,老朽管路への対応(管路更新計画事業)や水道施設の更新(リフレッシュ計画

    事業)等についてもそれぞれ計画を策定し,整備を進めている。 これらの取組状況は,表 2-2-2 のとおりである。また,本県の複雑な送水施設において

    事故が発生した場合における,これらの取組みを踏まえた事故時の影響等は表 2-2-3 のとおりである。

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  • 表 2-2-2 危機管理への取組状況

    事業名等 事業期間 計画事業費(百万円)

    ライフライン機能強化 (西瀬戸ライフライン整備事業) H9~H22

    4,716

    管路更新計画事業 「管路更新計画(第 1 次計画)」 H20~H29(H17~一部前倒し実施)

    12,889

    リフレッシュ計画事業 ※

    「水道施設リフレッシュ計画」 H20~H29 27,676

    水道施設耐震化対策事業 「広島県県営水道施設耐震化基本計画」 H14~H19(完了)

    2,827

    ※ 平成 3 年度に当初計画を策定し,収支計画の見直しに合わせ改定を行っている。

    表 2-2-3 想定される事故と対応状況等(危機管理への取組等を踏まえた状況)

    施設 想定される事故 現在の対応策 事故時の影響等

    構造物の損壊 ・ 水道施設耐震化対策事業※1 -

    電気・機械故障 ・ 水道施設維持管理計画※2 (予備機を含めた定期点検の実施等) ・ リフレッシュ計画事業

    - 取水場(取水設備,ポンプ設備)

    水質事故 ・ 取水場,浄水場の運用(河川汚染への

    対応,防犯対策等) ・ 水道水質管理計画

    トンネル 地山の崩落等 ・ 水運用での断水の回避,軽減 ・ 市町自己水源の活用 ・ 送水トンネル維持管理計画

    事故が発生した際の影響が大きく,現在の対応策では,広範・長期にわたる被害に対応できない

    鋼管トンネル 地山の崩落による管路の破損 ・ 市町自己水源の活用

    (鋼管の周りはエアーモルタルで充填され,地山と一体となっているため,崩落の可能性は低い)

    接合井 構造物の損壊 ・ 水道施設耐震化対策事業 -

    構造物の損壊 ・ 水道施設耐震化対策事業 -

    浄水場 電気・機械故障

    ・ 水道施設維持管理計画 ・ リフレッシュ計画事業 ・ 建設計画事業※3 (浄水施設拡張等)

    送水管路 管路の破損 ・ 管路更新計画事業 ・ 修繕に必要な資材の備蓄 -

    海底管 管路の破損 ・ 電気防食設備 ・ 送水ルートの切替 ・ 水道施設維持管理計画

    (宮島海底管以外は概ね切替で対応可能)

    構造物の損壊 ・ 水道施設耐震化対策事業

    加圧ポンプ所 電気・機械故障

    ・ 水道施設維持管理計画 ・ リフレッシュ計画事業 ・ 建設計画事業(ポンプ増設等)

    調整池 構造物の損壊 ・ 水道施設耐震化対策事業 ・ 建設計画事業(調整池の増設等) -

    ※1 調整池等土木構造物は,レベル 1 地震動(供用期間中に 1~2 回発生するような地震)に対し無被害とした。 ただし,人命に影響を及ぼす二次災害の恐れのある施設は,レベル 2 地震動(内陸直下型地震)で対策を実施。

    ※2 水道施設維持管理計画は,安定供給に向けた維持管理を定めた計画 ※3 建設計画事業は,水需要に基づく施設整備やライフライン機能強化等を計画的に行う事業

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  • (2)課題等 現状における課題としては,表 2-2-3 で示されているように,現在の計画等では対応が

    困難なトンネル事故への対応である。 そのため,本計画においては,トンネル事故への対応を中心に送水のあり方にかかる

    検討を行うが,次の点について留意する必要がある。

    ア 現状施設における水運用や市町自己水源によるバックアップ水量の確保 今回の事故では,県水道用水の安芸灘ライン切り替えで,大崎上島町及び呉市の安芸

    灘島嶼部は断水を回避できた。また,受水市町の協力のもと,自己水源の活用等により

    事故の影響を最小限に抑える措置が各方面で行われた。この経験を生かし,現有施設を

    最大限活用した水運用等の非常時におけるバックアップ体制を整理しておく必要がある。

    イ 現状を踏まえたバックアップ施設の整備 既存施設による水運用や市町自己水源の活用によっても,事故時において甚大な影響

    が生じる地域がある場合は,緊急時連絡管等のバックアップ施設整備を検討する必要が

    ある。 バックアップ施設整備については,費用と便益を勘案した上で,効果的な施設整備が

    必要であるが,その整備費用の確保も重要な課題である。

    ウ 受水市町との連携等 事故時における受水市町との連絡管等に関する応援協定等の締結や,事故を想定した

    水運用マニュアル(素案)の作成など,ソフト面における対応を必要に応じて整理する。

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  • 3 トンネル事故時における影響 各トンネルにおける送水不能事故を想定し,現有施設における水運用や受水市町の自己

    水源活用も含めた事故時の影響について整理する。(給水人口,給水量等の数値は,平成

    18年度に実施したアンケート調査結果(平成17年度分)による。その他送水量等に

    ついても平成17年度日平均ベースとした。)

    (1)広島水道用水供給事業及び太田川東部工業用水道事業 ア 事故想定 事故発生想定箇所を表 2-3-1 及び図 2-3-1 に示す。 なお,これ以降,各ケースは,事故を想定するトンネルの名称で記載する。

    表 2-3-1 想定するケース

    ケース No. トンネル 事故発生区間

    ケース1 ・高陽系高陽トンネル 高陽取水場~瀬野川浄水場

    ケース2 ・高陽系畑賀トンネル 瀬野川浄水場~第2国信(新国信)合流井

    ケース3 ・戸坂系1号トンネル 戸坂取水場~東部配水支線分岐前

    ケース4 ・戸坂系2号トンネル 東部配水支線分岐後~海田配水支線分岐前

    ケース5 ・戸坂系3号トンネル 海田配水支線分岐後~第2国信(新国信)合流井

    ケース6

    ・ 戸坂系6号トンネル ・ 戸坂系4号トンネル ・ 戸坂系5号トンネル ・ 高陽系海田トンネル

    第2国信(新国信)合流井~宮原接合井

    ケース7 ・休山工水トンネル 宮原接合井~呉・広方面

    ※ 戸坂系4・5号トンネルは,高陽系海田トンネルと複線化した送水形態となっており,相互に切り替えることで影響を回避できる。

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  • 瀬野川浄水場

    高陽取水場

    戸坂取水場

    宮原浄水場

    広島市

    江田島市

    東広島市

    竹原市

    呉市

    大崎上島町

    高陽系高陽トンネル

    高陽系畑賀トンネル

    戸坂系1号トンネル

    戸坂系2号トンネル

    戸坂系6号トンネル

    大崎調整池

    黒州ポンプ所田戸ポンプ所

    休山工水トンネル

    1

    2

    3

    4

    5

    6

    7

    戸坂系3号トンネル

    二神山調整池東海田ポンプ所

    熊野調整池

    高陽系海田トンネル

    西谷接合井

    二河接合井 休山隧道配水池(呉市管理)

    海田・熊野・竹原ライン

    安芸灘ライン

    音戸・倉橋ライン

    小用ポンプ所

    秋月調整池

    江田島市前早世浄水場

    広島市府中浄水場

    第2国信(新国信)合流井

    熊野町

    海田町戸坂系4号トンネル・5号トンネル

    ※ ・本県の水道は,工業用水(工水)と水道用水(用水)の共同施設が多いという特徴がある(第2章-2(1))。

    ・工業用水は沈殿処理のみ行い,水道用水は沈澱処理に加え,砂ろ過及び消毒処理を行っている。 ・広島用水では,瀬野川浄水場と宮原浄水場の2つの浄水場があり,宮原浄水場へは瀬野川浄水場から水道用

    原水として沈殿処理水(沈殿水)を送水しており,これは工業用水と合流させて送水している。

    凡例 水道用水 工業用水又は水道用原水※

    水道用水トンネル 工業用水又は水道用原水トンネル

    図 2-3-1 事故発生想定箇所

    9

  • イ 各ケースへの対応と影響 【ケース1】高陽系高陽トンネル

    高陽系高陽トンネル事故の影響を図 2-3-2 に,その不足水量等を表 2-3-2 に示す。

    対応後の影響(用水):海田・熊野・竹原ライン断水 不足水量:73,800m3/日,影響人口:26.4 万人

    影響:瀬野川浄水場の浄水系,沈澱水系とも送水停止となる。

    現 在可能な対応:

    水運用での対応 ・ 戸坂系送水からのバックアップ ・ 大崎上島町の中野,向山分水を宮原系に切替

    市町自己水源の活用 ・ 広島市(畑賀,矢野分水),海田町(海田分水),東広島市(三津分水)

    高陽 計画取水量 36 万 4 千m3/日 ・水道用水 26 万 4 千m3/日 浄水 16 万 4 千m3/日 沈殿水 10 万m3/日 ・工水 2期 10 万m3/日

    中野,向山分水切替

    宮原浄水場

    高陽取水場

    瀬野川浄水場

    戸坂取水場

    戸坂系送水により,宮原浄水場への送水は影響なし

    1

    戸坂系送水増量 (27 万→33 万m3/日)

    海田・熊野・竹原ライン断水(自己水等により一部給水可能)

    図 2-3-2 高陽系高陽トンネル事故の影響

    10

  • 表 2-3-2 高陽系高陽トンネル事故時の不足水量等

    項 目 供給先の影響等

    瀬野川浄水場

    供給先 〔浄水系〕 海田・熊野・竹原ライン

    〔沈殿水系〕 宮原浄水場

    (呉市内,安芸灘, 音戸倉橋)

    対応後の影響地区 広島市,熊野町, 呉市(焼山,旧安浦),東広島市,竹原市

    なし※4 -

    日平均給水量(m3/日)※1 84,313 41,417 125,730

    給水人口(人)(A) 295,786 105,312 401,098

    バックアップ可能水量(m3/日)

    10,466 (畑賀,矢野,海田,三津分水の自己水 (8,802) 及び中野 ,向山分水の宮原系切替(1,664))

    41,417 (戸坂系送水の増量) 51,883

    不足水量(m3/日) 73,847 0 73,847

    バックアップ可能給水人口(人)(B)※2 31,966 105,312 137,278

    影響人口(人) (C)=(A-B) 263,820 0 263,820

    水道用水

    影響指数(%) (C)/(A) 89.2 0.0 65.8

    対応後の影響 なし

    給水量(m3/日)※317,275

    〔225,105〕

    バックアップ可能水量(m3/日) 17,275

    〔225,105〕

    工業用水

    不足水量(m3/日) 0

    ※1 日平均水量等は,県用水と市町自己水を常時併用している区域については県水分のみで集計 ※2 バックアップ可能給水人口(B)は,各分水点の(給水人口×バックアップ可能水量/日平均給水量)の合計 ※3 H17 年度実給水量(日平均)ベース。〔 〕は戸坂系と高陽系の合計 ※4 戸坂系で約 33 万m3/日の送水となり,権利水量の 30 万m3/日を超えることから,別途関係機関と協議が必要

    11

  • 【ケース2】高陽系畑賀トンネル 高陽系畑賀トンネル事故の影響を図 2-3-3 に,その不足水量等を表 2-3-3 に示す。

    対応後の影響:用水,工水ともなし

    影響:瀬野川浄水場の沈澱水系が送水停止となる。

    現 在可能な対応:

    水運用での対応 ・ 戸坂系送水からのバックアップ ・ 安芸灘ラインを熊野・竹原ラインからバックアップ 市町自己水源の活用 ・ なし

    計画取水量 36 万 4 千m3/日 ・水道用水 26 万 4 千m3/日 浄水 16 万 4 千m3/日 沈殿水 10 万m3/日 ・工水 2期 10 万m3/日

    戸坂取水場

    高陽取水場

    影響を軽減するため,安芸灘ラインは熊野・竹原ラインからバックアップする

    海田・熊野・竹原ライン影響なし

    宮原浄水場

    瀬野川浄水場

    2

    戸坂系送水増量 (27 万→32 万 3千m3/日)

    2

    戸坂系送水により,宮原浄水場への送水は影響なし

    図 2-3-3 高陽系畑賀トンネル事故の影響

    12

  • 表 2-3-3 高陽系畑賀トンネル事故時の不足水量等

    項 目 供給先の影響等

    供給先 宮原浄水場(呉市内,安芸灘,音戸倉橋)

    対応後の影響地区 なし※3

    日平均給水量(m3/日) 41,417

    給水人口(人)(A) 105,312

    バックアップ可能水量(m3/日) 41,417

    (戸坂系送水の増量,安芸灘切替)

    不足水量(m3/日) 0

    バックアップ可能給水人口(人)(B)※1 105,312

    影響人口(人) (C)=(A-B) 0

    水道用水

    影響指数(%) (C)/(A) 0.0

    対応後の影響 なし

    給水量(m3/日)※217,275

    〔225,105〕

    バックアップ可能水量(m3/日) 17,275

    〔225,105〕

    工業用水

    不足水量(m3/日) 0

    ※1 バックアップ可能給水人口(B)は,各分水点の(給水人口×バックアップ可能水量/日平均給水量)の合計 ※2 H17 年度実給水量(日平均)ベース。〔 〕は戸坂系と高陽系の合計 ※3 戸坂系で約 32 万m3/日の送水となり,権利水量の 30 万m3/日を超えることから,別途関係機関と協議が必要

    13

  • 【ケース3】戸坂系1号トンネル事故等 戸坂系1号トンネル事故の影響を図 2-3-4 に,その不足水量等を表 2-3-4 に示す。

    戸坂 計画取水量 30 万m3/日 ・工水 1期 23 万m3/日 ・共同分 7 万m3/日 広島市(府中) 1 万m3/日 呉市 5 万m3/日 江田島市 1 万m3/日

    音戸倉橋ラインは影響なし

    瀬野川浄水場

    高陽取水場

    その他送水分 ・県用水 広島市沈殿水(府中) 2 万m3/日 ・その他 呉市分 2.3 万m3/日

    戸坂取水場

    熊野・竹原ラインからのバックアップにより,安芸灘ラインは影響なし

    県工水(呉・広方面) 給水制限

    高陽系送水の増量により,呉・江田島市分をバックアップ

    県工水(広島・海田方面)断水

    3

    瀬野川浄水場沈殿水を増量 (約 6万→11 万m3/日)

    府中浄水場断水(自己水源により一部給水可能)

    対応後の影響(用水):府中浄水場断水 不足水量:12,400m3/日,影響人口:4.5 万人

    対応後の影響(工水):断水及び給水制限 不足水量:152,300m3/日,影響先:断水4者,給水制限4者

    現在可能な対応: 水運用での対応 ・ 瀬野川浄水場からのバックアップ ・ 安芸灘ラインを熊野・竹原ラインからバックアップ 市町自己水源の活用 ・ 広島市府中浄水場(牛田浄水場黄金山系自己水)

    影響:戸坂系送水(県工水,共同事業者等)が停止となる。

    図 2-3-4 戸坂系1号トンネル事故の影響

    14

  • 表 2-3-4 戸坂系1号トンネル事故時の不足水量等

    項 目 供給先の影響等

    共同事業者等

    供給先 広島市府中浄水場 (共同分及び沈殿水)

    宮原浄水場

    (呉市分) 江田島市

    (共同分) 計

    対応後の影響地区 広島市東部地域,安芸郡府中町

    なし なし -

    日平均給水量(m3/日) 16,421 23,000 8,732 48,153

    給水人口(人)(A) 59,658 53,864 19,361 132,883

    バックアップ可能水量(m3/日) 4,000

    (牛田浄水場黄金山系)23,000

    (瀬野川沈殿水増量)8,732

    (瀬野川沈殿水増量) 35,732

    不足水量(m3/日) 12,421 0 0 12,421

    バックアップ可能給水人口(人)(B)※1 14,532 53,864 19,361 87,757

    影響人口(人)(C)=(A-B) 45,126 0 0 45,126

    水道用水(共同事業等含む)

    影響指数(%) (C)/(A) 75.6 0.0 0.0 34.0

    【断水】広島・海田方面4者 対応後の影響

    【給水制限】呉・広方面4者

    給水量(m3/日)※2207,830

    〔225,105〕

    バックアップ可能水量(m3/日) 55,513

    〔72,788〕 (高陽系増量)

    工業用水

    不足水量(m3/日) 152,317

    ※1 バックアップ可能給水人口(B)は,各分水点の(給水人口×バックアップ可能水量/日平均給水量)の合計 ※2 H17 年度 実給水量(日平均)ベース。〔 〕は戸坂系と高陽系の合計

    15

  • 【ケース4】戸坂系2号トンネル 戸坂系2号トンネル事故の影響を図 2-3-5 に,その不足水量等を表 2-3-5 に示す。

    瀬野川浄水場

    高陽取水場

    戸坂取水場

    その他送水分 ・県用水 広島市沈殿水(府中) 2 万m3/日 ・その他 呉市分 2.3 万m3/日

    戸坂 計画取水量 30 万m3/日 ・工水 1期 23 万m3/日 ・共同分 7 万m3/日 広島市(府中) 1 万m3/日 呉市 5 万m3/日 江田島市 1 万m3/日

    4 4

    高陽系送水の増量により,呉・江田島市分をバックアップ

    県工水(呉・広方面) 給水制限

    県工水(海田 方面)断水

    瀬野川浄水場沈殿水を増量 (約 6万→11 万m3/日)

    府中浄水場断水(自己水源により一部給水可能)

    音戸倉橋ラインは影響なし

    熊野・竹原ラインからのバックアップにより,安芸灘ラインは影響なし

    対応後の影響(用水):府中浄水場断水 不足水量:12,400m3/日,影響人口:4.5 万人

    対応後の影響(工水):断水及び給水制限 不足水量:130,500m3/日,影響先:断水2者,給水制限4者

    現在可能な対応: 水運用での対応 ・ 瀬野川浄水場からのバックアップ ・ 安芸灘ラインを熊野・竹原ラインからバックアップ 市町自己水源の活用 ・ 広島市府中浄水場(牛田浄水場黄金山系自己水)

    影響:戸坂系送水(県工水,共同事業者等)が停止となる。

    図 2-3-5 戸坂系2号トンネル事故の影響

    16

  • 表 2-3-5 戸坂系2号トンネル事故時の不足水量等

    項 目 供給先の影響等 共同事業者等

    供給先 広島市府中浄水場 (共同分及び沈殿水)

    宮原浄水場

    (呉市分)

    江田島市

    (共同分)

    対応後の影響地区 広島市東部地域, 安芸郡府中町

    なし なし -

    日平均給水量(m3/日) 16,421 23,000 8,732 48,153

    給水人口(人)(A) 59,658 53,864 19,361 132,883

    バックアップ可能水量(m3/日) 4,000

    (牛田浄水場黄金山系)23,000

    (瀬野川沈殿水増量)8,732

    (瀬野川沈殿水増量)35,732

    不足水量(m3/日) 12,421 0 0 12,421

    バックアップ可能給水人口(人)(B)※1 14,532 53,864 19,361 87,757

    影響人口(人)(C)=(A-B) 45,126 0 0 45,126

    水道用水(共同事業等含む)

    影響指数(%) (C)/(A) 75.6 0.0 0.0 34.0

    【断水】海田方面2者 対応後の影響

    【給水制限】呉・広方面4者

    給水量(m3/日)※2185,970

    〔203,245〕

    バックアップ可能水量(m3/日) 55,513

    〔72,788〕 (高陽系増量)

    工業用水

    不足水量(m3/日) 130,457

    ※1 バックアップ可能給水人口(B)は,各分水点の(給水人口×バックアップ可能水量/日平均給水量)の合計 ※2 H17 年度 実給水量(日平均)ベース。〔 〕は戸坂系と高陽系の合計

    17

  • 【ケース5】戸坂系3号トンネル 戸坂系3号トンネル事故の影響を図 2-3-6 に,その不足水量等を表 2-3-6 に示す。

    対応後の影響(工水):呉・広方面給水制限

    不足水量:130,400m3/日,影響先:4者

    現在可能な対応: 水運用での対応 ・ 瀬野川浄水場からのバックアップ ・ 安芸灘ラインを熊野・竹原ラインからバックアップ 市町自己水源の活用 ・ なし

    影響:戸坂系送水(県工水,共同事業者等)が停止となる。

    戸坂 計画取水量 30 万m3/日 ・工水 1期 23 万m3/日 ・共同分 7 万m3/日 広島市(府中) 1 万m3/日 呉市 5 万m3/日 江田島市 1 万m3/日

    音戸倉橋ラインは影響なし

    瀬野川浄水場

    高陽取水場

    戸坂取水場

    その他送水分 ・県用水 広島市沈殿水(府中) 2 万m3/日 ・その他 呉市分 2.3 万m3/日 瀬野川浄水場沈殿水を増量

    (約 6万→11 万m3/日)

    府中浄水場は影響なし

    高陽系送水の増量により,呉・江田島市分をバックアップ

    5 県工水(呉・広方面) 給水制限

    熊野・竹原ラインからのバックアップにより,安芸灘ラインは影響なし

    図 2-3-6 戸坂系3号トンネル事故の影響

    18

  • 表 2-3-6 戸坂系3号トンネル事故時の不足水量等

    項 目 供給先の影響等

    共同事業者等

    供給先 宮原浄水場 (呉市分)

    江田島市 (共同分)

    対応後の影響地区 なし なし

    日平均給水量(m3/日) 23,000 8,732 31,732

    給水人口(人)(A) 53,864 19,361 73,225

    バックアップ可能水量(m3/日) 23,000

    (瀬野川沈殿水増量) 8,732

    (瀬野川沈殿水増量) 31,732

    不足水量(m3/日) 0 0 0

    バックアップ可能給水人口(人)(B)※1 53,864 19,361 73,225

    影響人口(人)(C)=(A-B) 0 0 0

    水道用水(共同事業等含む)

    影響指数(%) (C)/(A) 0.0 0.0 0.0

    対応後の影響 【給水制限】呉・広方面4者

    給水量(m3/日)※2185,882

    〔203,157〕

    バックアップ可能水量(m3/日) 55,513

    〔72,788〕 (高陽系増量)

    工業用水

    不足水量(m3/日) 130,369

    ※1 バックアップ可能給水人口(B)は,各分水点の(給水人口×バックアップ可能水量/日平均給水量)の合計 ※2 H17 年度 実給水量(日平均)ベース。〔 〕は戸坂系と高陽系の合計

    19

  • 【ケース6】戸坂系6号トンネル 戸坂系6号トンネル事故の影響を図 2-3-7 に,その不足水量等を表 2-3-7 に示す。

    対応後の影響(用水):呉市,江田島市断水 不足水量:53,700m3/日,影響人口:13.2 万人

    対応後の影響(工水):呉・広方面断水 不足水量:203,200m3/日,影響先:4者

    影響:呉方面への戸坂系,高陽系の両方が送水停止となる。

    現在可能な対応: 水運用での対応 ・ 安芸灘ラインを熊野・竹原ラインからバックアップ 市町自己水源の活用 ・ 呉市(非常用水源等)

    戸坂取水場

    高陽取水場

    江田島市断水

    瀬野川浄水場

    6

    呉市断水 (一部自己水源により対応)

    熊野・竹原ラインからのバックアップにより,安芸灘ラインは影響なし

    県工水(呉・広方面)断水

    図 2-3-7 戸坂系6号トンネル事故の影響

    20

  • 表 2-3-7 戸坂系6号トンネル事故時の不足水量等

    項 目 供給先の影響等

    共同事業者等 供給先

    宮原浄水場 (呉市内,安芸灘, 音戸倉橋)

    宮原浄水場 (呉市分)

    江田島市 (共同分)

    対応後の影響地区 呉市,江田島市 呉市 江田島市 -

    日平均給水量(m3/日) 41,417 23,000 8,732 73,149

    給水人口(人)(A) 105,312 53,864 19,361 178,537

    バックアップ可能水量(m3/日) 5,427

    (安芸灘切替) 14,000

    (呉市自己水源)0 19,427

    不足水量(m3/日) 35,990 9,000 8,732 53,722

    バックアップ可能給水人口(人)(B)※1 14,114 32,787 0 46,901

    影響人口(人)(C)=(A)-(B) 91,198 21,077 19,361 131,636

    水道用水(共同事業等含む)

    影響指数(%) (C)/(A) 86.6 39.1 100.0 73.7

    対応後の影響 【断水】呉・広方面4者

    給水量(m3/日)※2 203,157

    バックアップ可能水量(m3/日) 0

    工業用水

    不足水量(m3/日) 203,157

    ※1 バックアップ可能給水人口(B)は,各分水点の(給水人口×バックアップ可能水量/日平均給水量)の合計 ※2 H17 年度 実給水量(日平均)ベース

    21

  • 【ケース7】休山工水トンネル 休山工水トンネル事故の影響を図 2-3-8 に,その不足水量等を表 2-3-8 に示す。

    対応後の影響(工水):広方面断水

    不足水量:60,800m3/日,影響先:2者

    現 在可能な対応:

    水運用での対応 ・ なし 市町自己水源の活用 ・ なし

    影響:県工水(広方面)への送水が停止する。

    戸坂取水場

    高陽取水場

    瀬野川浄水場

    7

    工業用水(広方面)断水

    図 2-3-8 休山工水トンネル事故の影響

    22

  • 表 2-3-8 休山工水トンネル事故時の不足水量等

    項目 供給先の影響等

    供給先 -

    対応後の影響地区 -

    日平均給水量(m3/日) -

    給水人口(人)(A) -

    バックアップ可能水量(m3/日) -

    不足水量(m3/日) -

    バックアップ可能給水人口(人)(B)※1 -

    影響人口(人)(C)=(A)-(B) -

    水道用水(共同事業等含む)

    影響指数(%) (C)/(A) -

    対応後の影響 【断水】広方面2者

    給水量(m3/日)※2 60,781

    バックアップ可能水量(m3/日) 0

    工業用水

    不足水量(m3/日) 60,781

    ※1 バックアップ可能給水人口(B)は,各分水点の(給水人口×バックアップ可能水量/日平均給水量)の合計 ※2 H17 年度 実給水量(日平均)ベース

    23

  • (2)広島西部地域水道用水供給事業 ア 事故想定 事故発生想定箇所を表 2-3-9 及び 図 2-3-9 に示す。 なお,これ以降,各ケースは,事故

    を想定するトンネルの名称で記載する。

    表 2-3-9 想定するケース ケース No. トンネル 事故発生区間

    ケース1 ・ 弥栄トンネル 弥栄取水塔 ~三ツ石浄水場

    三ツ石浄水場

    四郎峠調整池

    弥栄取水場

    白ヶ瀬浄水場

    広島市

    廿日市市

    大竹市

    1

    八丁導水ポンプ所 玖波加圧ポンプ所

    宮内加圧ポンプ所

    経小屋調整池

    弥栄トンネル

    更地加圧ポンプ所

    (八幡川系)

    (小瀬川系)

    凡例 水道用水 水道用原水トンネル

    図 2-3-9 事故発生想定箇所

    イ 想定ケースへの対応と影響 【ケース1】弥栄トンネル 弥栄トンネル事故の影響を図 2-3-10 に,その不足水量等を表 2-3-10 に示す。

    対応後の影響:大竹市 1.5 日間断水(八幡川系送水切替時)

    不足水量:2,400m3/日,影響人口:0.6 万人

    影響:三ツ石浄水場が送水停止となる。

    在可能な対応:

    水運用での対応 ・ 八幡川系送水からのバックアップ 市町自己水源の活用 ・ 広島市(河内,北原,坪井分水),廿日市市(宮浜分水),大竹市(湯舟分水)

    24

  • (小瀬川系)

    (八幡川系)

    広島市 計画取水量 133,500m3/日 ・八幡川系 73,000m3/日 ・小瀬川系 60,500m3/日

    三ツ石浄水場(処理能力 56,000m3/日)

    八丁導水ポンプ所

    弥栄取水場

    白ヶ瀬浄水場 (処理能力 67,000m3/日)

    八幡川系送水により,小瀬川系をバックアップ可能

    廿日市市

    大竹市

    1

    弥栄 トンネル

    大竹市の2分水点が,1.5 日間断水 (八幡川系からの送水切替作業時)

    図 2-3-10 弥栄トンネル事故の影響

    表 2-3-10 弥栄トンネル事故時の不足水量等

    項目 供給先の影響等

    供給先 三ツ石浄水場

    対応後の影響地区 なし (八幡川系送水への切替作業時に 1.5 日間の断水発生)

    日平均給水量(m3/日)※1 32,048

    給水人口(人)(A) 88,951

    バックアップ可能水量(m3/日) 32,048

    〔29,675〕 ※3

    (八幡川系送水への切替及び宮浜,湯舟分水の自己水)

    不足水量(m3/日) 0

    〔2,373〕

    バックアップ可能給水人口(人) (B)※288,951

    〔82,632〕

    影響人口(人) (C)=(A-B) 0

    〔6,319〕

    影響指数(%) (C)/(A) 0.0

    〔7.1〕

    ※ 1 日平均水量等は,県用水と市町自己水を常時併用している区域については県水分のみで集計 ※ 2 バックアップ可能給水人口(B)は,各分水点の(給水人口×バックアップ可能水量/日平均給水量)の合計 ※ 3 〔 〕は八幡川系切替作業完了までの影響(大竹市が 1.5 日間断水)

    25

  • (3)沼田川水道用水供給事業及び沼田川工業用水道事業

    表 2-3-11 想定するケース ケース No. トンネル 事故発生区間

    ケース1・糸崎トンネル ・尾道トンネル

    糸崎トンネル ~尾道トンネル

    ※1 糸崎トンネルと尾道トンネルの間には分水点がなく,どちらのトンネルに事故が発生しても同様の影響が生じることから一つのケースにまとめている。

    ア 事故想定

    事故発生想定箇所を表 2-3-11 及び

    図 2-3-11 に示す。

    なお,これ以降,各ケースは,事故を

    想定するトンネルの名称で記載する。

    イ 想定ケースへの対応と影響

    【ケース1】糸崎トンネル又は尾道トンネル 糸崎・尾道トンネル事故の影響を図 2-3-12 に,その不足水量等を表 2-3-12 に示す。

    本郷浄水場

    佐木島調整池

    坊士浄水場

    浦崎調整池

    尾道市瀬戸田町尾道市因島

    糸崎トンネル

    尾道トンネル 新高山調整池

    現在可能な対応: 水運用での対応 ・ 西瀬戸ライフラインにより,尾道市向島地区は三原系からの送水でバック

    アップ(平成23年度から供用開始予定) 市町自己水源の活用 ・ 福山市(高西,機織分水)

    東広島市

    三原市

    竹原市

    福山市

    尾道市

    宮浦浄水場

    本郷埜田浄水場

    本郷取水場1 尾道ライン2系(松永,内海,沼隈地区)

    三原系ライン 尾道ライン4系(向島地区)

    凡例 水道用水 工業用水又は水道用原水 工業用水又は水道用原水トンネル 工事中(西瀬戸ライフライン)

    図 2-3-11 事故発生想定箇所

    影響:坊士浄水場の送水停止及び尾道・福山方面の工水断水

    対応後の影響(用水):尾道市,福山市断水 不足水量:29,500m3/日,影響人口:8.3 万人

    対応後の影響(工水):工水断水 不足水量:3,800m3/日,影響先:7者

    26

  • 本郷取水場 本郷埜田浄水場

    本郷浄水場 坊士浄水場

    糸崎トンネル

    尾道トンネル

    福山市

    松永・内海・沼隈方面断水(福山市高西,機織分水の 自己水源により一部給水可能)

    尾道市

    宮浦浄水場

    1

    尾道市(向島地区除く)断水

    県工水(尾道・福山 方面)断水

    尾道市向島地区は西瀬戸ライフラインにより影響なし(平成 23 年度以降)

    竹原市

    三原市

    東広島市

    計画取水量 170,000m3/日 ・三原市 12,000m3/日 ・工水 69,000m3/日 ・用水 89,000m3/日

    図 2-3-12 糸崎・尾道トンネル事故の影響

    表 2-3-12 糸崎・尾道トンネル事故時の不足水量等

    項 目 供給先の影響等

    供給先 坊士浄水場

    対応後の影響地区 尾道市,福山市

    日平均給水量(m3/日) 40,308

    給水人口(人)(A) 123,578

    バックアップ可能水量(m3/日) 10,858

    (西瀬戸ライフラインの三原系切替(8,315), 福山市高西,機織分水の自己水(2,543))

    不足水量(m3/日) 29,450

    バックアップ可能給水人口(人) (B)※1 40,706

    影響人口(人) (C)=(A-B) 82,872

    水道用水

    影響指数(%) (C)/(A) 67.1

    対応後の影響 【断水】尾道・福山方面7者

    現在給水量(m3/日)※2 3,784

    バックアップ可能水量(m3/日) 0

    工業用水

    不足水量(m3/日) 3,784

    ※1 バックアップ可能給水人口(B)は,各分水点の(給水人口×バックアップ可能水量/日平均給水量)の合計 ※2 H17 年度 実給水量(日平均)ベース

    27

  • (4)現状施設における事故時の影響評価

    各事業毎の事故時における影響をまとめると,表 2-3-13 及び図 2-3-13 のとおりとなる。

    表 2-3-13 現状施設による対策と影響

    0(大竹市)

    ※2

    (2,400×1.5 日間)

    ※1 100m3/日単位で端数処理した。 ※2 送水トンネル事故時の送水系統切替作業時に 1.5 日間の断水が発生

    現状施設による対策 事業

    トンネル名称 給水先・給水量※1

    (m3/日) 県営水道の水運用 (m3/日)

    受水市町自己水源

    (m3/日) 影響先・不足水量

    (m3/日) (東広島方面)

    広島市,海田町,熊野町,呉

    市,東広島市,竹原市,大崎

    上島町

    (呉方面)

    呉市,江田島市,大崎上島町

    戸坂系増量 広島市,海田町,東

    広島市

    広島市,熊野町,呉市,

    東広島市,竹原市 用水

    125,700 43,100 8,800 73,800

    2 期分 戸坂系増量

    高陽系 高陽トンネル (S51)

    工水 17,300 17,300 0 0

    呉市,江田島市,大崎上島町 戸坂系増量 用水

    41,400 41,400 0 0

    2 期分 戸坂系増量

    高陽系 畑賀トンネル (S53) 工水

    17,300 17,300 0 0

    呉市,江田島市,大崎上島町戸坂系 4・5 号トンネルに

    切替

    用水

    73,100 73,100 0 0

    呉・広方面4者 戸坂系 4・5 号トンネルに切替

    高陽系 海田トンネル (H10)

    工水 203,200 203,200 0 0

    広島市,呉市,江田島市 高陽系増量 広島市(府中) 広島市(府中) 用水

    48,100 31,700 4,000 12,400

    広島・海田方面4者

    呉・広方面4者 高陽系増量 広島・海田方面4者,

    呉・広方面4者

    戸坂系 1 号トンネル (S40) 工水

    207,800 55,500 0 152,300広島市,呉市,江田島市 高陽系増量 広島市(府中) 広島市(府中)

    用水 48,100 31,700 4,000 12,400

    海田方面2者,

    呉・広方面4者 高陽系増量 海田方面2者

    呉・広方面4者

    戸坂系 2 号トンネル (S40) 工水

    186,000 55,500 0 130,500

    呉市,江田島市 高陽系増量 用水

    31,700 31,700 0 0

    呉・広方面4者 呉・広方面4者

    戸坂系 3 号トンネル (S40) 工水

    185,900 55,500 0 130,400呉市,江田島市,大崎上島町 高陽系海田トンネルに切替

    用水 73,100 73,100 0 0

    呉・広方面4者 高陽系海田トンネルに切替

    戸坂系 4・5 号トンネル (S40) 工水

    203,200 203,200 0 0

    呉市,江田島市,大崎上島町 安芸灘ライン切替 呉市(非常用) 呉市,江田島市 用水

    73,100 5,400 14,000 53,700

    呉・広方面4者 呉・広方面4者

    戸坂系 6 号トンネル (S40)

    工水 203,200 0 0 203,200

    広方面2者 広方面2者

    広島用水・太田川工水

    休山工水 トンネル(S45) 工水 60,800 0 0 60,800

    大竹市,廿日市市 八幡川系への切替 大竹市,廿日市市 用西 水部

    弥栄トンネル (H3) 用水

    32,000 32,000 700

    尾道市,福山市 西瀬戸ライフライン切替 福山市 尾道市,福山市 用水

    40,300 8,300 2,500 29,500

    尾道・福山方面7者 尾道・福山方面7者

    沼田川用水・

    沼田川工水

    糸崎トンネル (S47) 尾道トンネル (S48) 工水

    3,800 0 0 3,800

    28

  • 日平均水量(m3/日)日平均水量(m3/日)

    0 20,00

    0

    40,00

    0

    60,00

    0

    80,00

    0

    100,0

    00

    120,0

    00

    140,0

    00

    160,0

    00

    180,0

    00

    200,0

    00

    220,0

    00

    糸崎・尾道トンネル  

    八幡川系送水によりバックアップ可能であるが, 切替完了までに大竹市で 1.5 日間の断水が発生

    尾道市,福山市

    呉市,江田島市

    安芸灘ライン切替 呉市非常用水源

    高陽系増量による呉市,江田島市(共同分)バックアップ

    広島市(府中浄水場)

    広島市(府中浄水場)自己水源

    高陽系増量(瀬野川浄水場浄水系・沈殿水系余力)

    県営水道の水運用

    受水市町自己水源

    現状での不足水量

    海田・熊野・竹原ライン受水市町の自己水源 熊野町,東広島市,竹原市等

    戸坂系増量による宮原浄水場分バック

    アップ,大崎上島町2分水点切替

     

    弥栄トンネル  

    休山工水トンネル   

    戸坂系6号トンネル  

    戸坂系4・5号トンネル  

    戸坂系3号トンネル  

    戸坂系2号トンネル  

    戸坂系1号トンネル  

    高陽系海田トンネル  

    高陽系畑賀トンネル  

    高陽系高陽トンネル  

    工水

    工水

     用水

     用水

    工水

     用水

    工水

     用水

     

     用水

    工水

    用水

    工水

     用水

    工水

     用水

     

    工水

    用水

    工水

    用水

    工水

    図 2-3-13 現状施設による対策と影響

    29

  • 4 送水のあり方検討における対応 前項のトンネル事故に対する影響評価(課題)の結果を踏まえ,本計画において表 2-4-1

    のとおり対応を検討する。

    表 2-4-1 事故時の影響評価(課題)と対応

    事業 事故想定トンネル 影響評価(課題) 対 応

    高陽系高陽トンネル ○ 自己水源の乏しい東広島・竹原方面への

    送水が不能

    影響が大きく,他の水源か

    らのバックアップが困難

    であることから,施設

    整備を検討

    高陽系畑賀トンネル ○ 戸坂系の増量により全量バックアップ

    可能 -

    高陽系海田トンネル ○ 戸坂系 4・5 号トンネルへの切り替えに

    よりバックアップ可能 -

    戸坂系 1・2・3 号トンネル

    ○ 呉・江田島方面の水道用水は高陽系増量で

    バックアップ可能 ○ 1 号又は 2 号トンネルの上流側 900m 区間

    での事故では,広島市府中浄水場で水道

    用水が取水不能となる。 ○ 工業用水への影響が大きいが,高陽系増量

    により 27%のバックアップが可能

    - (用水については,受水先が

    将来の給水系統の見直し等

    を検討中である)

    戸坂系 4・5 号トンネル

    ○ 高陽系海田トンネルへの切り替えにより

    バックアップ可能

    戸坂系 6 号トンネル ○ 呉・江田島方面の水道用水が送水不能 ○ 呉・広方面の工業用水が送水不能

    影響が大きく,水道用水施

    設としての送水ルートを

    有していないことから,

    用水について,施設整備

    を検討

    広島用水・ 太田川工水

    休山工水トンネル ○ 広方面への工業用水が送水不能

    - (水道用水への影響がなく,

    点検も可能であることから,

    点検結果を踏まえ今後対応

    を検討)

    西部用水 弥栄トンネル ○ 八幡川系の増量により全量バックアップ

    可能であるが,切替作業に伴い大竹市が

    1.5 日間断水

    大竹市自己水に余力があ

    り,県送水管と三ツ石調整

    池が比較的近距離である

    ことから,施設整備を

    検討

    沼田川用水・ 沼田川工水

    糸崎トンネル・ 尾道トンネル

    ○ 自己水源の乏しい旧尾道市及び沼隈内海

    方面への送水が不能 ○ 尾道・福山方面の工業用水が送水不能

    用水の影響が大きいこと

    から,用水について,

    施設整備を検討

    30

  • 第3章 整備する施設等

    1 施設整備に関する基本的考え方

    前章の影響評価で事故時の対策が必要となったトンネルに対して,次により施設整備を

    検討した。

    (1) 生活用水である水道用水を優先(工業用水は水量が大きく他の水源からのバックアップは

    困難)

    (2) 事故時の影響を回避,あるいは大幅に縮減する整備効果の大きな施設

    (3) 整備費に対して効果のある施設

    (4) 市町の事故時にも効果を発揮する施設(広域連携としての効果)

    (5) 経営に大きな影響が生じない

    2 整備する施設

    (1) 影響評価(課題)に対する施設整備

    影響評価(課題)に対する施設整備を表 3-2-1及び図 3-2-1に示す。

    表 3-2-1 影響評価(課題)に対する施設整備

    事業 事故想定トンネル 影響評価(課題) 施設整備

    高陽系高陽トンネル ○ 自己水源の乏しい東広島・竹原

    方面への送水が不能 ○ 高陽系・戸坂系連絡管 ○ 広島用水・海田町連絡管 ※

    広島用水

    戸坂系 6号トンネル

    ○ 呉・江田島方面の水道用水が

    送水不能 ○ 呉・広方面の工業用水が送水

    不能

    ○ Ⅱ期トンネル(海田・呉トンネル)

    西部用水 弥栄トンネル

    ○ 八幡川系の増量により全量

    バックアップ可能であるが,

    切替作業に伴い大竹市が 1.5日間断水

    ○ 西部用水・大竹市連絡管

    沼田川用水 糸崎トンネル・ 尾道トンネル

    ○ 自己水源の乏しい旧尾道市

    及び沼隈内海方面への送水が

    不能 ○ 尾道・福山方面の工業用水が

    送水不能

    ○ 竜泉寺ダム未利用水源取水施設 ○ 沼田川用水・福山市連絡管

    ※ 高陽系高陽トンネルの事故に対しては,高陽系・戸坂系連絡管で対応可能であるため,整備効果等は送水管路

    事故を想定して検討した。

    31

  • 【広島水道用水供給事業】

    瀬野川浄水場

    高陽取水場

    戸坂取水場

    高陽系高陽トンネル

    戸坂系1号トンネル

    戸坂系2号トンネル

    戸坂系3号トンネル

    戸坂系6号トンネル高陽系海田トンネル

    東広島市

    呉市

    竹原市

    江田島市大崎上島町

    広島市

    海田町

    休山工水トンネル

    高陽系畑賀トンネル

    高陽系増量

    戸坂系増量

    安芸灘ライン送水切替

    高陽系・戸坂系連絡管

    広島用水・海田町連絡管

    Ⅱ期トンネル(海田・呉トンネル)

    県営水道余力水量

    新たな施設整備

    通常時の送水

    図 3-2-1 影響評価に対する施設整備(広島用水)

    32

  • 【広島西部地域水道用水供給事業】

    三ツ石浄水場

    (小瀬川系)

    四郎峠調整池

    弥栄取水場

    白ヶ瀬浄水場

    (八幡川系)

    広島市

    廿日市市

    大竹市

    弥栄トンネル廿日市市宮島町

    西部用水・大竹市連絡管

    八幡川系への送水切替

    【沼田川水道用水供給事業】

    本郷浄水場

    佐木島調整池

    坊士浄水場

    尾道市瀬戸田町

    尾道市因島

    西藤取水場

    宮浦浄水場

    本郷埜田浄水場

    竜泉寺ダム

    糸崎トンネル

    尾道トンネル

    東広島市三原市

    竹原市

    福山市

    尾道市 竜泉寺ダム未利用水源取水施設

    沼田川用水・

    福山市連絡管

    西瀬戸ライフライン送水切替

    図 3-2-1 影響評価に対する施設整備(西部用水・沼田川用水)

    33

  • (2)施設整備の概要と効果 各施設整備の概要と効果は次のとおりである。(表3-2-2~表3-2-6及び図3-2-2~図3-2-6) ア 〔広島用水〕高陽系・戸坂系連絡管 【概要】並走している高陽系高陽トンネル(瀬野川浄水場内接合井)と戸坂系2号トンネ

    ルを連絡管で接続

    表 3-2-2 高陽系・戸坂系連絡管の整備概要

    工事計画

    連絡管

    融 通 水 量 :戸坂系 → 高陽系 80,000m3/日

    高陽系 → 戸坂系 7,000m3/日※1

    延 長:約670m

    岩盤シールド工法 約400m

    推進工法 約100m

    開削工法(場内配管) 約170m

    口 径:1,000mm

    導水ポンプ施設

    融 通 水 量 :戸坂系 → 高陽系 80,000m3/日

    ポ ン プ :横軸渦巻ポンプφ350×18.6m3/min×110kW×3台

    ポ ン プ 井 :地上1階 φ18.0m×5.5m

    地下 φ18.0m×26.2m

    トンネル接合井 :地上1階 φ10.0m×2.5m

    地下 φ10.0m×15.0m

    受変電設備:瀬野川浄水場 既設自家発電設備改良

    既 設 接 続 :既設接合井 不断水接合工φ1,000mm

    既設トンネル 不断水接合工φ1,000mm

    事 業 費 2,554,000千円

    工 期 平成21年度~平成26年度

    ※1 高陽系から戸坂系にも送水可能な構造とし,共同事業者との相互融通連絡管として整備する。想

    定水量は,共同事業者で不足が見込まれる約 7,000m3/日とした。

    34

  • 【効果】不足水量 73,800m3/日(26.4万人)を全量バックアップし断水を回避

    整備前

    整備後

    瀬野川浄水場

    高陽取水場

    戸坂取水場

    宮原浄水場

    事故広島市

    江田島市

    東広島市

    竹原市

    呉市

    大崎上島町

    高陽系高陽トンネル

      125,700m3/日  40 万 1 千人

    戸坂系2号トンネル

    市町自己水源活用 (8,800m3/日,

    2 万 9 千人)

    計 43,100m3/日 10 万 8 千人

    安芸灘ライン送水切替

    戸坂系増量により,宮原浄水場へ送水

    東広島市・竹原市等が断水 ・不足水量 73,800m3/日 ・断水人口 26 万 4 千人

    瀬野川浄

    高陽取水場

    戸坂取水場

    宮原浄水場

    水場

    事故

    広島市

    江田島市

    東広島市

    竹原市

    呉市

    大崎上島町

    高陽系高

    戸坂系2号トンネル

    陽トンネル

    瀬野川浄水場と戸坂系2号トンネルを連絡管で接続して,戸坂系から送水(2,554 百万円) ⇒ 断水を全面回避

    図 3-2-2 高陽系・戸坂系連絡管の整備効果

    35

  • イ 〔広島用水〕広島用水・海田町連絡管 【概要】県送水管(海田ライン)と近接している海田町配水管を連絡管で接続

    表 3-2-3 広島用水・海田町連絡管の整備概要

    工事計画

    融通水量:海田町 → 広島市(矢野分水) 3,600m3/日※1

    延 長:約16m(開削工法)

    口 径:200mm

    事 業 費 25,000千円

    工 期 平成21年度~平成22年度

    ※1 海田ラインでは,海田町(海田分水)と広島市(矢野分水)が受水しており,海田町は県用水が

    停止した場合でも自己水で対応可能であるが,広島市は自己水源によるバックアップを行っても,

    日平均給水量ベースで約 3,600 m3/日が不足(約1.2万人)するため,海田町の余力も考慮の上,3,600m3/日を融通水量とした。

    36

  • 【効果】不足水量 3,600m3/日(1.2万人)を全量バックアップし断水を回避

    整備前

    瀬野川浄水場広島市

    東広島市

    呉市

    事故

    熊野調整池

    矢野方面送水管 8,900m3/日 2 万 9 千人

    市自己水源活用 (5,300m3/日,1 万 7 千人)

    広島市の一部が断水 ・ 不足水量 3,600m3/日 ・ 断水人口 1万 2 千人

    整備後

    瀬野川浄水場広島市

    東広島市

    呉市

    事故

    熊野調整池

    県送水管と海田町送水管を連絡管で接続して,海田町より送水(25 百万円)

    ⇒ 断水を全面回避

    県送水管

    海田町送水管

    連絡管

    図 3-2-3 広島用水・海田町連絡管の整備効果

    37

  • ウ 〔広島用水〕Ⅱ期トンネル(海田・呉トンネル) 【概要】山岳トンネル(NATM最小断面,内径 2.3m馬蹄形)で整備

    表 3-2-4 Ⅱ期トンネル(海田・呉トンネル)の整備概要

    工事計画

    送水量:72,000m3/日

    延 長:約15,600m 山岳工法(NATM工法)

    口 径:NATM標準断面 幅 2,300×高さ 2,300mm

    事 業 費 17,964,000千円

    工 期 平成24年度~平成30年度

    38

  • 【効果】最小断面でも 30万m3/日以上の送水能力を有することから,戸坂系6号トンネルと相互にバックアップ可能

    整備前

    整備後

    図 3-2-4 Ⅱ期トンネル(海田・呉トンネル)の整備効果

    瀬野川浄水場

    高陽取水場

    戸坂取水場

    宮原浄水場

    事故

    広島市

    江田島市

    東広島市

    竹原市

    大崎上島町

    呉市

    戸坂系6号トンネル 用水: 73,100m3/日

         17 万 9 千人

     工水:203,200m3/日

    安芸灘ライン送水切替

    (5,400m3/日,1 万 4 千人)

    呉市自己水源活用 (14,000m3/日,

    3 万 3 千人)

    瀬野川浄水場

    高陽取水場

    戸坂取水場

    宮原浄水場

    事故

    広島市

    江田島市

    東広島市

    竹原市

    呉市

    大崎上島町

    戸坂系6号トンネル

    山岳トンネル(NATM)で整備 (17,964 百万円)

    ⇒ Ⅱ期トンネル(海田・呉トンネル)と戸坂系

    6号トンネルが相互にバックアップ可能

    呉市・江田島市断水 ・ 不足水量 53,700m3/日 ・ 断水人口 13 万 2 千人

    呉・広方面工業用水断水 ・ 不足水量 203,200m3/日

    39

  • エ 〔西部用水〕西部用水・大竹市連絡管 【概要】県送水管と近接している大竹市三ツ石調整池を連絡管で接続

    表 3-2-5 西部用水・大竹市連絡管の整備概要

    工事計画

    融通水量:大竹市 → 西部用水 5,000m3/日

    西部用水 → 大竹市 5,000m3/日※1

    延 長:約72m

    開削工法 約56m

    水管橋 約16m

    口 径:500mm

    事 業 費 70,800千円

    工 期 平成21年度~平成22年度

    ※1 大竹市との相互融通が可能であり,市の施設事故にも対応可能

    40

  • 【効果】送水系統切替作業に伴い大竹市で発生する約 1.5日間の断水を回避

    整備前

    整備後

    三ツ石浄水場

    (小瀬川系)

    四郎峠

    調整池

    弥栄取水場

    白ヶ瀬浄水場

    (八幡川系)

    広島市

    廿日市市

    大竹市

    弥栄トンネル

    32,000m3/日

    8 万 9 千人

    廿日市市宮島町事故

    湯舟 分水

    玖波 分水

    宮浜分水

    佐方分水

    八丁導水ポンプ場

    市自己水源活用 (700m3/日,1 千人)

    八幡川系に切り替えて送水

    (32,000m3/日,8 万 9 千人)

    送水系統切替作業に伴い最も遠方に位置する湯舟・玖波では,1.5 日間の断水が見込まれる。 ・不足水量 2,400m3/日 ・断水人口 6,300 人

    三ツ石浄水場

    (小瀬川系)

    四郎峠

    調整池

    弥栄取水場

    白ヶ瀬浄水場

    (八幡川系)

    広島市

    廿日市市

    大竹市

    弥栄トンネル

    廿日市市宮島町

    大竹市三ツ石調整池

    事故

    宮浜分水

    分水

    佐方分水

    湯舟分

    玖波

    八丁導水ポンプ所

    県送水管と大竹市調整池を連絡管で接続して,大竹市から送水(71 百万円) ⇒ 断水を全面回避

    図 3-2-5 西部用水・大竹市連絡管の整備効果

    41

  • オ 〔沼田川用水〕沼田川用水・福山市連絡管 【概要】県送水管と近接している福山市送水管を連絡管で接続

    表 3-2-6 沼田川用水・福山市連絡管の整備概要

    工事計画 融通水量:福山市 → 沼田川用水 6,400m3/日 延 長:約13m(開削工法) 口 径:400mm

    事 業 費 26,000千円

    工 期 平成21年度~平成22年度

    【効果】内海沼隈方面の全量をバックアップ カ 〔沼田川用水〕竜泉寺ダム未利用水源取水施設 【概要】現在未利用となっている竜泉寺ダム水源を活用

    表 3-2-7 竜泉寺ダム未利用水源取水施設の整備概要

    工事計画

    管路施設

    送水量:西藤取水場 → 坊士浄水場 8,000m3/日

    延 長:約600m

    開削工法 約580m

    推進工法 約20m

    口 径:400mm

    取水ポンプ施設改良

    ポンプ設備:φ150mm×2.78m3/min×57.5m×45kW 3台(内1台予備)

    電気計装設備 :新設及び一部改良

    事 業 費 403,000千円

    工 期 平成21年度~平成23年度

    【効果】旧尾道市内で 8,000m3/日(2.2万人)をバックアップ

    42

  • 【新規施設整備(オ,カ)及び既存施設の活用による複合効果】 水道用水送水量の約 63%をバックアップ

    整備前

    整備後

    本郷浄水場

    佐木島調整池

    坊士浄水場

    尾道市瀬戸田町 尾道市因島

    宮浦浄水場

    本郷埜田浄水場

    竜泉寺ダム

    糸崎トンネル

    東広島市

    三原市

    竹原市

    福山市

    尾道市

    小田浦調整池

    事故

    尾道トンネル

    福山市自己水源活用 (2,500m3/日,1 万 1 千人)

    糸崎・尾道トンネル 40,300m3/日 12 万 4 千人

    西瀬戸ライフライン送水切替(8,300m3/日,3 万人)

    尾道市・福山市断水

    ・不足水量 29,500m3/日

    ・断水人口 8万 3 千人

    本郷浄水場

    坊士浄水場

    尾道市瀬戸田町 尾道市因島

    西藤取水場

    宮浦浄水場

    本郷埜田浄水場

    竜泉寺ダム

    糸崎トンネル

    尾道トンネル

    東広島市

    三原市

    竹原市

    福山市

    尾道市

    福山市

    水道事業

    事故

    竜泉寺ダム水源の活用(403 百万円)(8,000m3/日,2万 2千人)

    県送水管と福山市送水管を接続して,福山市から送水(26百万円) (6,400m3/日,1万 8千人)

    これらの新たな施設整備及び既存施設の活用により断水被害を軽減。 ⇒ 水道用水送水量の約 63%をバックアップ

    図 3-2-6 沼田川用水・福山市連絡管,竜泉寺ダム未利用水源取水施設

    及び既存施設の活用の複合効果

    43

  • 3 費用対効果分析 費用対効果分析については,「水道事業の費用対効果分析マニュアル(平成 19年 7月厚生労働省健康局水道課)」に基づき,各整備案ごとに費用便益比(B/C)の算定等を行い,妥当性を検証した。 なお,高陽系・戸坂系連絡管及びⅡ期トンネル(海田・呉トンネル)については,トンネ

    ル点検及び補修を可能とする効果があるため,便益として計上した。 (1) 高陽系・戸坂系連絡管 ア コスト縮減方策 連絡延長を最短とし,瀬野川浄水場内にポンプを設置し,電源として既存の自家発電

    設備を兼用する案を採用することにより,コスト縮減を図っている。 イ 代替案の検証 高陽系高陽トンネル等導水施設の二重化が考えられるが,トンネルの建設費は約 80億円が見込まれ,その他大口径導水管布設や接続部の大規模な改良が必要であり,費用

    面で連絡管整備が有利である。 ウ 事業の投資効果分析 費用便益比(B/C)は,表 3-3-1のとおり 1.0以上であり,妥当である。

    表 3-3-1 高陽系・戸坂系連絡管の費用便益比

    ※1 ※2

    千円

    2,554,000

    21.48 15,347,761

    便益は、年間平均被害軽減額

    便益は,年間平均被害軽減額

    21.48 18,056,195

    1,834,536

    20,463,674

    断水被害額 --- 840,605 千円/年

    項  目

    断水被害軽減額導水管路区間の事故

    --- 714,514

    58

    千円

    千円

    1,871,976

    47,824

    千円

    耐用年数(年)

    機械・電気設備点検

    備 考

    0.98

    換算係数

    総費用,総便益(千円)①×②

    費用,便益

    150,360

    費 用

    計(C)

    巡回点検

    土木・建築設備

    事業費

    小計

    配水管・付属設備

    機械・電気設備

    維持管理費

    2,979,677

    54,041

    1,019,720

    71,380

    便益は,年間平均被害軽減額

    41,980,619

    8,592

    便益は,年間平均被害軽減額

    3,138,629

    計(B) 95,848,249

    30.54

    ------

    費用便益比 B/C

    便 益補修のための断水被害軽減額

    1.13

    1.85

    0.86

    38

    16 551,200

    用地費 --- 83,000 千円

    断水被害軽減額導水トンネル区間の事故

    952,685

    ---

    千円/年

    点検のための断水被害軽減額

    --- 1,954,405

    断水被害額 --- 21.48

    千円/年

    千円/年

    21.48

    ---

    21.48

    21.48

    ---

    --- 400

    7,000 千円/年

    千円/年

    ※1 費用として,用地費,調査費,事務費等を含む事業費及び維持管理費を計上し,便益として,管路事故,

    トンネル事故時の断水回避効果を計上する。 ※2 各年度の現在価値化したものの総和(計測期間 50年間)を計算することなく,総費用及び総便益を算定す

    るための係数である。

    44

  • (2) 広島用水・海田町連絡管 ア コスト縮減方策 連絡延長が短く,高低差による自然圧送が可能な施設整備案を採用することにより,

    コスト縮減を図っている。 イ 代替案の検証 瀬野川浄水場から連絡管設置場所までの管路複線化が考えられるが,延長が 3.7kmあり,整備費が高額となる。 また,新たな水源確保として,二級河川瀬野川に新規水利権を求め,取水施設,浄水

    施設及び管路施設等を整備することも考えられるが,整備費が高額となり現実的ではな

    く,連絡管整備が有利である。 ウ 事業の投資効果分析 費用便益比(B/C)は,表 3-3-2のとおり 1.0以上であり,妥当である。

    表 3-3-2 広島用水・海田町連絡管の費用便益比

    項  目

    耐用年数(年)

    費用,便益換算係数

    総費用,総便益(千円)備 考

    ① ② ①×②

    費 用

    事業費 緊急時連絡施設 38 25,000 千円 1.13 28,250

    維持管理費 巡回点検 --- --- 千円/年 21.48 0既存の巡回点検に含まれるため,計上しない。

    333,950

    計(C) --- --- 28,250

    便 益

    断水被害軽減額 断水被害額 --- 15,547 千円/年 21.48

    費用便益比 B/C 11.82

    便益は,年間平均被害軽減額

    計(B) --- --- 333,950

    (3) Ⅱ期トンネル(海田・呉トンネル) ア コスト縮減方策 施工性及び維持管理性を考慮した平面線形を採用し,構造面,施工面で優れる山岳ト

    ンネル案を採用することにより,コスト縮減を図っている。 イ 代替案の検証 熊野~焼山ルート,国道 31 号線ルート,海水淡水化施設等を検討したが,現状では施工

    面,整備費等からトンネル案が最良である。

    ウ 事業の投資効果分析 費用便益比(B/C)は,表 3-3-3のとおり 1.0以上であり,妥当である。

    45

  • 表 3-3-3 Ⅱ期トンネル(海田・呉トンネル)の費用便益比

    点検のための断水被害軽減額

    断水被害額

    項  目耐用年数(年)

    17,002,02058

    費用,便益

    0.98

    換算係数

    総費用,総便益(千円)①×②

    備 考

    千円/年

    千円/年

    トンネル定期点検費およびパトロール費680,658

    18,211,578

    29,206,528便益は,年間平均被害軽減額

    31,031,920

    17,530,920

    4.02

    73,123,677

    便益は,年間平均被害軽減額

    便益は、年間平均被害軽減額

    費用便益比 B/C

    維持管理費

    ---

    21.48

    費 用

    便 益

    計(B)

    1,444,689

    ------

    21.48

    21.48

    千円

    1,359,708

    ---

    ---

    ---

    31,688

    17,964,000

    ---

    千円/年

    17,349,000 千円

    断水被害軽減額送水トンネルの事故

    事業費

    小計

    計(C)

    巡回点検

    土木・建築設備

    用地費 --- 615,000 千円

    補修のための断水被害軽減額

    断水被害額 599,871 21.48 12,885,229

    0.86 528,900

    (4) 西部用水・大竹市連絡管 ア コスト縮減方策 連絡延長が短く,高低差による自然圧送が可能な施設整備案を採用することにより,

    コスト縮減を図っている。 イ 代替案の検証 弥栄トンネルの複線化が考えられるが,約 28億円と高額である。

    ウ 事業の投資効果分析 費用便益比(B/C)は,表 3-3-4のとおり 1.0以上であり,妥当である。

    表 3-3-4 西部用水・大竹市連絡管の費用便益比

    断水被害軽減額導水トンネル区間の事故

    --- 2,333

    項  目

    換算係数

    千円

    費用便益比 B/C 2.51

    35,400

    ---

    2,333

    千円/年

    便益は,年間平均被害軽減額

    備 考①×②

    総費用,総便益(千円)

    便 益

    計(B)

    千円/年断水被害軽減額導水管路区間の事故

    ---

    千円/年

    21.48---

    100,226

    便益は,年間平均被害軽減額

    21.48 50,113

    ---

    40,002

    40,002

    50,113

    既存の巡回点検に含まれるため,計上しない。

    耐用年数(年)

    ---

    ---

    0

    費用,便益

    1.13

    21.48

    ---

    38

    費 用

    計(C)

    巡回点検

    緊急時連絡施設事業費

    維持管理費

    46

  • (5) 沼田川用水・福山市連絡管 ア コスト縮減方策 連絡延長が短く,高低差による自然圧送が可能な施設整備案を採用することにより,

    コスト縮減を図っている。 イ 代替案の検証 糸崎トンネル及び尾道トンネルの複線化が考えられるが,約 72億円と高額である。 また,新たな水源確保は,もともと良質な水源が乏しい地域であり,近傍で確保する

    ことは困難である。 ウ 事業の投資効果分析 費用便益比(B/C)は,表 3-3-5のとおり 1.0以上であり,妥当である。 なお,当該施設整備に係る費用便益比については,整備費が比較的少額で費用(C)が小さいこと,及び本郷取水場から連絡管設置箇所までの管路延長が長いため,事故発生確

    率が高くなり送水管路区間の便益(B)が大きくなることから1),費用便益比が高くなっている。

    表 3-3-5 沼田川用水・福山市連絡管の費用便益比

    1) 送水管路区間の事故時の便益は,取水場から連絡箇所までに含まれる送水管路事故時の断水被害を基に計算しており,事故発生確率が管路延長に比例することから,管路延長が長くなるほど便益は大きくなる。 当該施設整備の便益算定対象管路の延長は,本郷取水場から連絡管設置箇所までに含まれる約 16kmである。 【その他の市町連絡管における便益算定対象管路延長】 ( )は連絡管整備費 ・ 広島用水・海田町連絡管 :約 4 km (25,000千円) →P.45表 3-3-2 ・ 西部用水・大竹市連絡管約:約 1 km (35,400千円(県負担分)) →P.46表 3-3-4

    1)

    費用便益比 B/C 167.21

    計(B) --- --- 4,912,584

    便 益

    便益は,年間平均被害軽減額

    便益は,年間平均被害軽減額

    既存の巡回点検に含まれるため,計上しない。

    129,308 千円/年 21.48 2,777,536

    99,397 千円/年 21.48 2,135,048

    断水被害軽減額送水トンネル区間の事故

    ---

    断水被害軽減額送水管路区間の事故

    ---

    --- 29,380

    千円/年 21.48 0

    26,000 千円 1.13 29,380

    ---費 用

    事業費 緊急時連絡施設 38

    維持管理費 巡回点検 ---

    計(C) ---

    総費用,総便益(千円)備 考

    ① ② ①×②項  目

    耐用年数(年)

    費用,便益換算係数

    47

  • (6) 竜泉寺ダム未利用水源取水施設 ア コスト縮減方策 既存施設を活用し,施設改良を最小限とする案を採用することにより,コスト縮減を

    図っている。 イ 代替案の検証 糸崎トンネル及び尾道トンネルの複線化が考えられるが,約 72億円と高額である。 また,新たな水源確保は,もともと良質な水源が乏しい地域であり,近傍で確保する

    ことは困難である。 ウ 事業の投資効果分析 費用便益比(B/C)は,表 3-3-6のとおり 1.0以上であり,妥当である。

    表 3-3-6 竜泉寺ダム未利用水源取水施設の費用便益比

    0千円

    備 考総費用,総便益(千円)①×②

    費 用

    計(C)

    0.98

    維持管理費機械・電気設備点検

    項  目換算係数

    費用,便益

    耐用年数(年)

    土木・建築設備

    事業費

    小計

    配水管・付属設備

    機械・電気設備

    58

    38

    16

    702,673

    67,294

    635,379

    0

    --- 3,625,287

    費用便益比 B/C

    ------

    断水被害軽減額 21.48

    便 益

    2,554,466

    計(B)

    便益は、年間平均被害軽減額

    --- 79,476

    403,000

    3,700

    6,179,753

    7.90

    0

    59,552

    0.86

    343,448

    千円 1.13

    1.85千円

    千円/年

    千円/年 21.48

    千円

    0

    782,149

    用地費 --- 0 千円

    巡回点検

    断水被害軽減額送水トンネル区間の事故

    21.48

    ---

    千円/年

    --- 0 21.48

    ---

    便益は、年間平均被害軽減額

    送水管路区間の事故

    --- 118,923 千円/年

    168,775

    48

  • (7)整備効果のまとめ 6施設の整備効果のまとめを図 3-3-1 に示す。

    【送水トンネル事故時等の現状施設による対策と施設整備案】

    現状施設による対策 施設整備案

    事故時に影響が生じるトンネル等

    給水先・給水量 (m3/日) 県営水道の

    水運用(m3/日) 受水市町自己

    水源(m3/日)影響地区・不足水量(m3/日)

    施設整備案 概算整備費

    (百万円)

    バックアップ可能

    水量(m3/日)

    費用便益比

    (B/C) 整備効果

    【水道用水】 (東広島方面) 熊野町,東広島市等 4 市 3 町 (呉方面) 呉市等 2 市 1 町

    ①戸坂系増量 広島市他 熊野町,東広島市等 4市 1町

    125,700 43,100 8,800 73,800

    A 高陽系・戸坂系連絡管 2,554 80,000 30.54 全量バックアップ

    【工業用水】 ①戸坂系増量

    《広島》 高陽系 高陽トンネル

    17,300 17,300 - 0 ※2

    【水道用水】 呉市,江田島市, 大崎上島町

    ②安芸灘ライン 送水切替

    呉市 呉市, 江田島市

    73,100 5,400 14,000 53,700

    【工業用水】

    《広島》 戸坂系 6 号トンネル

    203,200 0 - 203,200

    B Ⅱ期トンネル (海田・呉トンネル)

    17,964 300,000 4.02

    水道用水のⅡ期トンネルを整備することで戸坂系6号トンネルと相互に全量バックアップ

    大竹市,廿日市市 ③八幡川系へ の送水切替

    大竹市他 《西部》 弥栄トンネル

    32,000 32,000 700

    - 0

    (大�