膜タンパク質工学...-i-...

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タンパク 質工学 Handbook of Membrane Protein Engineering 監修 津本 浩平・浜窪 隆雄 ハンドブック 編集幹事 秋吉 一成・園山 正史・富田 泰輔 閲覧期間内における二次的利用は著作権法で定める場合を除いて禁じます。 (サンプル版) (サンプル版) 閲覧期間内における二次的利用は著作権法で定める場合を除いて禁じます。

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  • 膜タンパク質工学Handbook of Membrane Protein Engineering

    監修 津本 浩平・浜窪 隆雄

    ハンドブック

    編集幹事 秋吉 一成・園山 正史・富田 泰輔

    閲覧期間内における二次的利用は著作権法で定める場合を除いて禁じます。                    (サンプル版)

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  • 表紙と扉頁の画像:細胞膜の模式図https://openstax.org/books/anatomy-and-physiology/pages/3-1-the-cell-membraneFigure 3.4 Cell MembraneThe cell membrane of the cell is a phospholipid bilayer containing many different molecular components, including proteins and cholesterol, some with carbohydrate groups attached. より。(CC BY 4.0)

    裏表紙の画像:SecDF の I 型構造の MD 計算中に観察された水チャネル森貴治,松永康佑,杉田有治第 1 編第 3 章第 2 節 膜タンパク質の全原子分子動力学シミュレーションp.144,図 2 より。

    閲覧期間内における二次的利用は著作権法で定める場合を除いて禁じます。                    (サンプル版)

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  • - I-

    生体内のタンパク質は,適切な構造を形成した状態で適切な場所に配置されることにより,生体内で必要な機能を発揮することができます。すべての生物の細胞は細胞膜に包まれており,細胞膜には情報や物質を外界とやり取りするために膜タンパク質が埋め込まれ,その状態で機能を発現します。膜タンパク質は,外界からの物質の取り込みや排出,情報伝達,エネルギー合成といった重要な

    機能,はたらきを担っています。このようなはたらきを分子レベルで理解するには,立体構造の解明が大きく貢献しますが,必ずしも容易ではありませんでした。近年の構造決定法の著しい発展により,水溶性タンパク質に比べて大きく遅れていた膜タンパク質の構造が次々と明らかになり,生命活動の仕組みの分子レベルでの理解が加速しつつあります。また,がん・生活習慣病・神経変性疾患・アレルギー等の多様な疾病に関与し,創薬ターゲットとしても重要な膜タンパク質について,その構造を基礎にした新薬の設計・開発など,医療分野への応用も期待されています。膜タンパク質の機能は農学・食品分野はもとより,環境科学分野,さらにはナノバイオ・バイオ

    マテリアル分野など多岐にわたる分野への応用が図られてきており,今後のさらなる発展が期待されています。本書では,多くの膜タンパク質系の重要な研究ターゲットが,今後「工学」研究にまで踏み込ん

    だものとなればと考え,試行錯誤を繰り返しながら構成案を作成しました。「工学」とは,人類の福祉,健康,安心・安全のために新しいモノやコトをつくる学問体系です。膜タンパク質はその機能から研究対象として重要なターゲットとなってきましたが,必ずしも「工学」系研究まで踏み込んだ良書がないと感じてきました。本書は,最近特に進展の著しい膜タンパク質研究に関して,最新の機能・構造・解析,そして新規な膜タンパク質の合成や新機能創出等,「工学」系研究への新たな挑戦を取りまとめたものとなっています。生命科学が情報科学と完全に融合する新しい時代を迎えているなか,膜タンパク質の工学研究も,大きく発展するものと確信しており,本書がその一端となることを期待しております。こうした構想にご理解をいただき出版にご尽力くださった,(株)エヌ・ティー・エスの代表取締

    役 吉田隆氏をはじめスタッフの方々,特に構想から発刊までお手伝いをいただいた蘆田真澄氏に感謝いたします。

    令和最初の立春に

    編集委員を代表して津本 浩平

    東京大学大学院工学系研究科 / 医科学研究所 教授浜窪 隆雄

    日本医科大学先端医学研究所 社会連携講座教授

    発刊にあたって �

    閲覧期間内における二次的利用は著作権法で定める場合を除いて禁じます。                    (サンプル版)

    (サンプル版)                閲覧期間内における二次的利用は著作権法で定める場合を除いて禁じます。

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  • 執-1

    【監修者】

    津本 浩平 東京大学大学院工学系研究科/医科学研究所教授

    浜窪 隆雄 日本医科大学先端医学研究所社会連携講座教授

    【編集幹事】

    秋吉 一成 京都大学大学院工学研究科教授

    園山 正史 群馬大学大学院理工学府教授

    富田 泰輔 東京大学大学院薬学系研究科教授

    【執筆者】(掲載順)

    津本 浩平 東京大学大学院工学系研究科/医科学研究所教授

    浜窪 隆雄 日本医科大学先端医学研究所社会連携講座教授

    溝端 栄一 大阪大学大学院工学研究科講師/国立研究開発法人科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業さきがけ研究者

    久保  稔 兵庫県立大学大学院生命理学研究科

    小笠原 諭 千葉大学大学院理学研究院特任准教授

    村田 武士 千葉大学大学院理学研究院教授

    長門石 曉 東京大学医学研究所特任准教授

    山下恵太郎 東京大学大学院理学系研究科/国立研究開発法人理化学研究所

    佐藤 主税 国立研究開発法人産業技術総合研究所バイオメディカル研究部門構造生理研究グループグループ長

    加藤 隆一 国立研究開発法人産業技術総合研究所ナノ材料研究部門炭素系薄膜材料グループ特別研究員

    佐藤 真理 国立研究開発法人産業技術総合研究所バイオメディカル研究部門構造生理研究グループ

    笠畑 尚喜 国立研究開発法人産業技術総合研究所バイオメディカル研究部門構造生理研究グループ客員研究員

    越中谷賢治 青山学院大学理工学部助教

    向井 有理 明治大学理工学部准教授

    園山 正史 群馬大学大学院理工学府教授

    長尾 秀実 金沢大学理工研究域教授

    川口 一朋 金沢大学理工研究域助教

    内藤  晶 横浜国立大学名誉教授

    監修・編集幹事・執筆者一覧(敬称略)

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  • 執-2

    上田 一義 横浜国立大学名誉教授

    河西奈保子 東京都立大学(旧首都大学東京大学教育センター)教授

    住友 弘二 兵庫県立大学大学院工学研究科教授

    伊原  誠 近畿大学農学部准教授

    山下 敦子 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科教授

    川村  出 横浜国立大学大学院理工学府准教授

    西野 邦彦 大阪大学産業科学研究所教授

    山崎 聖司 大阪大学高等共創研究院准教授

    中島 良介 大阪大学産業科学研究所特任准教授

    田中 良樹 奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科助教

    白石 充典 東京理科大学基礎工学部准教授

    神取 秀樹 名古屋工業大学大学院工学研究科教授/オプトバイオテクノロジー研究センターセンター長

    内橋 貴之 名古屋大学大学院理学研究科教授

    柳澤 幸子 兵庫県立大学大学院生命理学研究科准教授

    鈴木 健一 岐阜大学生命の鎖統合研究センター教授

    星野 忠次 千葉大学大学院薬学研究院准教授

    森  貴治 国立研究開発法人理化学研究所開拓研究本部専任研究員

    松永 康佑 埼玉大学大学院理工学研究科准教授

    杉田 有治 国立研究開発法人理化学研究所開拓研究本部主任研究員

    安藤 格士 東京理科大学基礎工学部講師

    山田 達矢 京都大学エネルギー理工学研究所研究員

    倭  剛久 名古屋大学大学院理学研究科准教授

    清水謙多郎 東京大学大学院農学生命科学研究科/大学院情報理工学系研究科/大学院情報学環・学際情報学府教授

    森脇 由隆 東京大学大学院農学生命科学研究科助教

    広川 貴次 国立研究開発法人産業技術総合研究所創薬分子プロファイリング研究センター研究チーム長 /筑波大学医学医療系教授

    富田 泰輔 東京大学大学院薬学系研究科教授

    安井 正人 慶應義塾大学医学部教授

    由井 杏奈 東京大学大学院工学系研究科

    妹尾 暁暢 東京大学大学院工学系研究科

    橘  敬祐 大阪大学大学院薬学研究科附属創薬センター講師

    近藤 昌夫 大阪大学大学院薬学研究科附属創薬センター教授

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  • 執-3

    田中 啓雄 帝京大学医学部/戦略的イノベーション研究センター助教/大阪大学大学院生命機能研究科特任講師

    田村  淳 帝京大学医学部/戦略的イノベーションセンタ研究センター准教授/大阪大学大学院生命機能研究科特任准教授

    矢野 智樹 大阪大学大学院医学系研究科助教

    月田早智子 帝京大学戦略的イノベーションセンタ研究センター教授/大阪大学大学院生命機能研究科特任教授

    木村 泰久 京都大学大学院農学研究科助教

    小段 篤史 京都大学高等研究院物質・細胞統合システム拠点(iCeMS)特定助教

    植田 和光 京都大学高等研究院物質・細胞統合システム拠点(iCeMS)特定教授

    大金 賢司 東京大学定量生命科学研究所助教

    西田 基宏 大学共同利用機関法人自然科学研究機構生理学研究所生命創成探求センター教授/九州大学大学院薬学研究院教授

    冨田 拓郎 大学共同利用機関法人自然科学研究機構生理学研究所

    鈴木 邦明 北海道大学名誉教授

    池鯉鮒麻美 熊本大学大学院生命科学研究部研究員

    池水 信二 熊本大学大学院生命科学研究部准教授

    吉村 昭彦 慶應義塾大学医学部教授

    酒井 寿郎 東北大学大学院医学系研究科教授/東京大学先端科学技術研究センター教授

    前仲 勝実 北海道大学薬学研究院教授

    喜多 俊介 北海道大学薬学研究院特任助教

    古川  敦 北海道大学薬学研究院助教

    野村 尚生 北海道大学薬学研究院特任助教

    福原 秀雄 北海道大学薬学研究院特任助教

    前田 直良 北海道大学薬学研究院特任准教授

    横須賀 忠 東京医科大学医学部主任教授

    若松  英 東京医科大学医学部講師

    町山 裕亮 東京医科大学医学部講師

    藤田 盛久 江南大学生物工程学院教授

    木下タロウ 大阪大学微生物病研究所寄附研究部門教授

    室井  敦 神奈川県立がんセンター臨床研究所研究員

    星野 大輔 神奈川県立がんセンター臨床研究所主任研究員

    清木 元治 東京大学名誉教授

    越川 直彦 神奈川県立がんセンター臨床研究所部長

    熊崎  薫 アステラス製薬株式会社モダリティ研究所研究員

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  • 執-4

    塚崎 智也 奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科教授

    深田 正紀 大学共同利用機関法人自然科学研究機構生理学研究所/総合研究大学院大学生命科学研究科教授

    横井 紀彦 大学共同利用機関法人自然科学研究機構生理学研究所/総合研究大学院大学生命科学研究科助教

    平田 哲也 大学共同利用機関法人自然科学研究機構生理学研究所/総合研究大学院大学生命科学研究科特任助教

    深田 優子 大学共同利用機関法人自然科学研究機構生理学研究所/総合研究大学院大学生命科学研究科准教授

    吉村 成弘 京都大学大学院生命科学研究科准教授

    青木 淳賢 東北大学大学院薬学研究科/東京大学大学院薬学系研究科教授

    井上 飛鳥 東北大学大学院薬学研究科准教授

    嶋谷 寛之 京都大学大学院薬学研究科

    土居 雅夫 京都大学大学院薬学研究科教授

    宗  孝紀 富山大学大学院医学薬学研究部教授

    平野 瑶子 大学共同利用機関法人自然科学研究機構生理学研究所/東京大学大学院医学系研究科

    宮﨑 裕理 大学共同利用機関法人自然科学研究機構生理学研究所/総合研究大学院大学生命科学研究科特任助教

    新野 睦子 国立研究開発法人理化学研究所生命機能科学研究センター上級研究員

    白水美香子 国立研究開発法人理化学研究所生命機能科学研究センターチームリーダー

    木下 正弘 京都大学エネルギー理工学研究所教授

    安岡 顕人 東京大学大学院農学生命科学研究科特任准教授

    阿部 啓子 東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授

    山口 祐希 大阪大学大学院工学研究科

    内山  進 大阪大学大学院工学研究科教授

    光野 秀文 東京大学先端科学技術研究センター助教

    櫻井 健志 東京農業大学農学部准教授

    高木 浩一 岩手大学次世代アグリイノベーション研究センター教授/副センター長

    内野 敏剛 九州大学名誉教授

    内田  諭 東京都立大学(旧首都大学東京大学院システムデザイン研究科)教授

    小田 昭紀 千葉工業大学工学部教授

    佐藤 岳彦 東北大学流体科学研究所教授

    勝木  淳 熊本大学パルスパワー科学研究所教授

    伊藤 克彦 東京農工大学農学部准教授

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  • 執-5

    門野 敬子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物機能利用研究部門新産業開拓研究領域領域長

    山田 健志 ヤギェウォ大学(JagiellonianUniversity)マルボルスカ生物工学研究所主任研究員

    三木 邦夫 京都大学名誉教授

    平野  優 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構量子生命科学領域主幹研究員

    岸本  拓 大阪大学大学院理学研究科

    大岡 宏造 大阪大学大学院理学研究科准教授

    山本 泰憲 神戸大学大学院医学研究科准教授

    匂坂 敏朗 神戸大学大学院医学研究科教授

    宮川 拓也 東京大学大学院農学生命科学研究科特任准教授

    田之倉 優 東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授

    秋吉 一成 京都大学大学院工学研究科教授

    車  兪澈 国立研究開発法人海洋研究開発機構超先端研究開発部門研究員/国立研究開発法人科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業さきがけ主任研究員

    安藤  満 京都大学大学院工学研究科特定研究員

    山田 哲也 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所人工細胞膜システムグループ常勤研究員

    大﨑 寿久 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所人工細胞膜システムグループサブリーダー

    竹内 昌治 東京大学大学院情報理工学系教授/地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所人工細胞膜システムグループグループリーダー

    出羽 毅久 名古屋工業大学大学院工学研究科教授

    但木 大介 東北大学電気通信研究所助教

    平野 愛弓 東北大学材料科学高等研究所/電気通信研究所教授

    金原  数 東京工業大学生命理工学院教授

    岡村 昂典 大阪大学大学院工学研究科

    松浦 友亮 大阪大学大学院工学研究科准教授

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  • 目-1

    序論 膜タンパク質浜窪 隆雄

    1.膜タンパク質と生体膜の流動モザイクモデル2.結晶構造解析から機能解析へ3.膜のマイクロドメインと相転移4.膜電位:細胞が生きている証拠5.選択的透過性と膜輸送6.細胞外環境の認識:受容体タンパク質7.細胞の組織化:ネットワーク形成と接着分子8.シナプス結合9.細胞内膜構造に存在する膜タンパク質10.おわりに

    第 1 編 膜タンパク質の基礎第 1 章 構造・解析―X 線自由電子レーザーによる膜タンパク質の構造解析 11

    溝端 栄一 / 久保 稔 1.はじめに2.シリアルフェムト秒結晶構造解析(SFX)3.時分割 SFX による動的構造解析4.おわりに

    第 2 章 構造・物性・分析・解析 16第 1 節 構造解析のための膜タンパク質調製法 16

    小笠原 諭 / 村田 武士1.はじめに2.各種発現システム3.発現コンストラクト4.性状評価と精製方法5.おわりに

    第 2 節 機能解析のための膜タンパク質の調製法 23長門石 曉

    1.発現系と分子設計2.抽出方法と安定な界面活性剤の選択3.膜タンパク質挿入のためのリポソーム4.Nanodisc

    第 3 節 X 線結晶解析による新規構造の解明 27山下 恵太郎 / 溝端 栄一

    1.はじめに

    目  次

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  • 目-2

    2.分子置換(MR)法3.実験的位相決定(EP)法4.シリアルフェムト秒結晶構造解析(SFX)による位相決定

    第 4 節 クライオ電子顕微鏡 34佐藤 主税 / 加藤 隆一 / 佐藤 真理 / 笠畑 尚喜

    1.はじめに2.電子顕微鏡を用いた単粒子解析法の発展3.膜タンパク質への応用例4.単粒子解析法の要点と現状での問題点5.電顕解析の新展開6.最後に

    第 5 節 膜タンパク質を対象としたアミノ酸配列解析とその応用 41越中谷 賢治 / 向井 有理 / 園山 正史

    1.膜タンパク質のアミノ酸配列の特徴2.アミノ酸配列の疎水性解析による膜タンパク質予測3.アミノ酸配列情報を用いた膜タンパク質の局在判別

    第 6 節 タンパク質複合体の構造とダイナミックス 47長尾 秀実 / 川口 一朋

    1.タンパク質複合体2.構造とダイナミックスの解析手法

    第 7 節  膜抗菌ペプチド melittin,bombolitin-II,alamethicin の脂質膜中における配向状態の解析 52

    内藤 晶 / 上田 一義1.はじめに2.化学シフト異方性の観測による抗菌ペプチドの膜結合構造と配向の解析3.Melittin の膜結合構造と膜配向の解析4.Bombolitin-II の膜結合構造と配向の解析5.Alamethicin の膜結合構造と配向の解析6.まとめ

    第 8 節 膜タンパク質の脂質膜への再構成 60河西 奈保子 / 住友 弘二

    1.再構成の基本技術2.再構成した膜タンパク質の形態と配向3.ナノバイオデバイスへの展開

    第 9 節 ポリアクリルアミドゲル電気泳動法を利用した膜タンパク質の性状解析 67伊原 誠 / 山下 敦子

    1.はじめに2. さまざまなポリアクリルアミド電気泳動(Polyacrylamide gel-electrophoresis,PAGE)

    法と膜タンパク質解析3.FN-PAGE 法を用いた膜タンパク質の性状解析4.実験例5.おわりに

    第 10 節 固体高分解能 NMR による膜タンパク質の立体構造解析 75

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  • 目-3

    川村 出1.はじめに2.固体 NMR による膜タンパク質立体構造解析の方法3.固体 NMR による立体構造決定した膜タンパク質4.リガンド選択的 NMR の観測5.おわりに

    第 11 節 多剤排出ポンプの機能と阻害機構 83西野 邦彦 / 山崎 聖司 / 中島 良介

    1.はじめに2.細菌薬剤耐性化における薬剤排出ポンプの役割3.薬剤排出ポンプの分類と輸送する基質4.病原性における薬剤排出ポンプの役割5.細菌の鉄代謝における薬剤排出ポンプの役割6.嫌気的環境下での毒物排出における薬剤排出ポンプの役割7.抗菌薬と胆汁酸による薬剤排出ポンプ発現誘導機構8.薬剤排出ポンプの構造と抗菌薬輸送機構9.薬剤排出ポンプの阻害機構10.おわりに

    第 12 節 MATE ファミリー 93田中 良樹

    1.多剤排出輸送体2.多剤排出輸送体 MATE の構造と機能3.環状ペプチドの輸送阻害活性4.おわりに

    第 13 節 膜タンパク質研究へのナノディスクの利用 99白石 充典

    1.はじめに2.ナノディスク3.ナノディスクの調製方法4.膜タンパク質構造解析へのナノディスクの利用5.膜タンパク質の機能解析へのナノディスクの利用(GPCR を例に)6.その他,ナノディスクの応用

    第 14 節 オプトジェネティクスツールとしてのロドプシン 106神取 秀樹

    1.光受容膜タンパク質としての 2 つのロドプシン2.微生物ロドプシンの登場と膜タンパク質研究の代表としてのバクテリオロドプシン3.ゲノム科学の進展がもたらした微生物ロドプシンの拡がり4.チャネルロドプシンとオプトジェネティクス5.オプトジェネティクスのためのロドプシン研究の展望

    第 15 節 高速原子間力顕微鏡によるタンパク質の構造ダイナミクス解析 114内橋 貴之

    1.はじめに2.AFM の動作原理と高速化

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  • 目-4

    3.膜タンパク質への応用例4.おわりに

    第 16 節 ピコバイオロジー:振動分光法 122柳澤 幸子

    1.ピコバイオロジー2.振動分光法3.おわりに

    第 17 節 一分子計測 130鈴木 健一

    1.はじめに2.一分子観察法3.膜タンパク質の拡散挙動と細胞膜構造4.膜受容体の会合5.膜受容体と細胞内シグナル分子の相互作用6.おわりに

    第 3 章 シミュレーション 137第 1 節 糖鎖生体膜シミュレーションモデルによる膜タンパク質の挙動解析 137

    星野 忠次1.背景2.方法3.結果4.まとめ

    第 2 節 膜タンパク質の全原子分子動力学シミュレーション 142森 貴治 / 松永 康佑 / 杉田 有治

    1.はじめに2.全原子 MD シミュレーションとは3.膜タンパク質の MD シミュレーション4.今後の展望

    第 3 節 膜タンパク質・膜の粗視化シミュレーション 147安藤 格士

    1.はじめに2.粗視化モデルとは3.将来展望

    第 4 節 膜タンパク質のメカニカルアンフォールディングのシミュレーション 155山田 達矢 / 倭 剛久

    1.メカニカルアンフォールディング2.シミュレーション手法の概要3.ポリペプチド鎖の粗視化モデル4.シミュレーション系のポテンシャル5.時間発展とアンフォールディング6.計算例と結果の解析7.今後の進展

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  • 目-5

    第 5 節 膜タンパク質の構造予測 163清水 謙多郎 / 森脇 由隆

    1.膜タンパク質の配列と構造2.テンプレートベースモデリング3.テンプレートフリーモデリング4.膜のポジショニング5.分子動力学シミュレーション

    第 6 節 創薬支援のための膜タンパク質-化合物ドッキングシミュレーション 170広川 貴次

    1.はじめに2.膜タンパク質を対象としたドッキングシミュレーション3.立体構造の基づくバーチャルスクリーニング4.分子動力学計算(MD)によるドッキングシミュレーション5.おわりに

    第 2 編 膜タンパク質―医学・薬学への展開第 1 章 医学・薬学と膜タンパク質概論 179

    富田 泰輔1.序2.生体膜を構成する膜タンパク質3.細胞外環境を感知し,細胞機能を変化させる膜タンパク質4.細胞間相互作用を制御する膜タンパク質5.創薬における膜タンパク質研究6.まとめ

    第 2 章 水チャネル・接着分子 181第 1 節 アクアポリン 4(AQP4) 181

    安井 正人1.水チャネル,アクアポリン2.アクアポリンの構造3.アクアポリン 4(AQP4)の発現分布4.AQP4 の構造5.AQP4 の活性制御6.AQP4 と疾患

    第 2 節 カドヘリン 188由井 杏奈 / 妹尾 暁暢 / 長門石 曉

    1.カドヘリン全般に関する疾病・医療の背景2.カドヘリン分子について3.P-カドヘリンに関する疾患4.LI-カドヘリンに関する疾患について5.主な薬剤,医薬品開発の現状

    第 3 節 claudin 創薬基盤 192

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  • 目-6

    橘 敬祐 / 近藤 昌夫1.はじめに2.第一世代 claudin binder3.第二世代 claudin binder4.今後の展望

    第 4 節 クローディンを基盤とするタイトジャンクションと生体システム構築の多様性 201田中 啓雄 / 田村 淳 / 矢野 智樹 / 月田 早智子

    概要1.はじめに2.タイトジャンクションを構築・制御する接着分子クローディン3.クローディンを基盤とするタイトジャンクションの分子構築モデル4.クローディンによる生体システム構築と制御5.クローディンを基盤とする超分子複合体としてのタイトジャンクション6.将来課題と展望

    第 3 章 トランスポーター 211第 1 節 多剤輸送体 MDR1(ABCB1) 211

    木村 泰久 / 小段 篤史 / 植田 和光概説1.発見の経緯2.MDR1 の生理機能3.MDR1 による基質輸送の概要4.脂質輸送体と多剤輸送体の機能分化機構に対する考察

    第 2 節 コレステロール輸送体 NP1 の機能・構造・医薬標的としての可能性 217大金 賢司

    1.Niemann-Pick 病 C 型と NPC12.NPC1 を標的とした NPC 治療薬の探索研究3.コレステロール吸収に関わる NPC1L14.まとめと展望

    第 4 章 チャネルタンパク質―膜タンパク質応答の揺らぎ 231西田 基宏 / 冨田 拓郎

    1.はじめに2.病態特異的なタンパク質間相互作用と心血管疾患3.TRP チャネルの活性調節と脂質膜による揺らぎ4.翻訳後修飾5.膜タンパク質間相互作用を介したシグナル変換とその病態生理学的意義6.おわりに

    第 5 章 Na-ポンプ(Na,K-ATPase) 238鈴木 邦明

    1.はじめに2.Na-ポンプと Na,K-ATPase

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  • 目-7

    3.Na,K-ATPase の構造4.Na,K-ATPase の生理機能5.Na-ポンプの機能を担う Na,K-ATPase の反応機構6.ATP 加水分解中の分子構造変化の検出7.Na,K-ATPase 活性(Na-ポンプ機能)の調節8.Na,K-ATPase に対する薬物の作用9.おわりに

    第 6 章 受容体 245第 1 節 サイトカイン 245第 1 項 免疫タンパク質―受容体の認識機構 245池鯉鮒 麻美 / 池水 信二

    1.はじめに2.IL-15 と受容体3.補助刺激分子4.おわりに第 2 項 サイトカイン受容体とシグナル伝達 252吉村 昭彦

    要旨1.サイトカインとは2.サイトカイン受容体とシグナルの分類3.サイトカイン受容体ファミリーの特徴4.サイトカインシグナルの負の制御

    第 2 節 LDL レセプター 264酒井 寿郎

    1.LDL 受容体と歴史的視点2.LDLR によるリガンド結合3.低 pH でリガンドが解離されるメカニズム4.細胞質に突出する尾部の構造と機能の関連5.結論

    第 7 章 免疫 275第 1 節 免疫系表面受容体と細胞コミュニケーション 275

    前仲 勝実 / 喜多 俊介 / 古川 敦 / 野村 尚生 / 福原 秀雄 / 前田 直良1.イントロダクション2.免疫グロブリン様(Immunoglobulinlike)受容体ファミリーとリガンド3.C 型レクチン受容体(C-type lectin receptor,CLR)ファミリー4.細胞外マトリックス構成因子

    第 2 節 免疫チェックポイント受容体 PD-1 と CTLA-4 286横須賀 忠 / 若松 英 / 町山 裕亮

    1.免疫チェックポイント阻害療法2.T 細胞副刺激受容体3.免疫シナプスとシグナロソーム「TCR マイクロクラスター」

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  • 目-8

    4.PD-1 抑制性マイクロクラスター5.PD-1 と PD-L1/2 の発現分布6.第一の免疫チェックポイント分子 CTLA-47.CD28-NF-jB 活性中心8.CTLA-4 による T 細胞抑制9.これからの展開

    第 3 節 GPI アンカー 292藤田 盛久 / 木下 タロウ

    1.GPI アンカー型タンパク質とは2.GPI アンカー型タンパク質の生合成機構3.GPI アンカーの構造変化と意義4.GPI アンカーの利用5.おわりに

    第 8 章 酵素 300第 1 節 MT1-MMP のプロテアーゼ活性を通じたがん悪性化進展制御 300

    室井 敦 / 星野 大輔 / 清木 元治 / 越川 直彦1.はじめに2.MT1-MMP 切断基質の探索3.MT1-MMP 切断基質の機能4.まとめ

    第 2 節 膜タンパク質 YidC によるタンパク質膜組み込みの構造基盤 307熊崎 薫 / 塚崎 智也

    要旨1.はじめに2.YidC/Oxa1/Alb3 ファミリータンパク質3.YidC の機能4.YidC の構造5.基質タンパク質との相互作用6.YidC によるタンパク質の細胞膜への組み込みのモデル7.YidC のシャペロン活性と Sec トランスロコンとの相互作用8.おわりに

    第 3 節 zDHHC パルミトイル化酵素と ABHD17 脱パルミトイル化酵素 316深田 正紀 / 横井 紀彦 / 平田 哲也 / 深田 優子

    1.はじめに2.zDHHC パルミトイル化酵素の発見3.zDHHC パルミトイル化酵素の反応様式と分子構造4.zDHHC パルミトイル化酵素の細胞内局在と生理機能5.脱パルミトイル化酵素 ABHD176.zDHHC タンパク質と ABHD17 の創薬標的としての展望

    第 9 章 核膜タンパク質―核膜孔複合体 324吉村 成弘

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  • 目-9

    1.はじめに2.核膜孔複合体の構造3.カリオフェリンファミリータンパク質による核内外輸送機能4.カリオフェリンの構造的特性5.カリオフェリン以外の輸送タンパク質6.おわりに

    第 10 章 GPCR 333第 1 節 G タンパク質共役型受容体(G protein-coupled receptor; GPCR) 333

    浜窪 隆雄1.はじめに2.GPCR のサブファミリー分類3.シグナル伝達様式4.結晶構造解析から G タンパク質活性化機構の解明5 GPCR 活性化の分子モデル6.新規薬剤開発の方向性~アロステリックモジュレーターとバイアスドアゴニスト7.今後の展望

    第 2 節  簡便かつ安価な GPCR 活性化測定法“TGFa切断アッセイ”―その発見の経緯と 応用― 339

    青木 淳賢 / 井上 飛鳥1.はじめに2.発見の経緯3.TGFa切断アッセイの開発4.TGFa切断アッセイの特徴5.TGFa切断アッセイの応用6.おわりに

    第 3 節 体内時計の中枢を調節する G タンパク質共役型受容体 344嶋谷 寛之 / 土居 雅夫

    サマリー1.哺乳類の概日時計システム2.中枢時計の機能的特徴と GPCR シグナル3.中枢時計の振動維持に不可欠な GPCR:Vipr24.夜間の cAMP 抑制を担うオーファン GPCR:Gpr1765.目覚まし G タンパク質シグナル制御因子:RGS166.時差ぼけ解消 GPCR:V1a/V1b7.活動期中期の体温変動を制御する GPCR:Calcr8.脳内中枢時計 GPCR シグナルの進化保存性

    第 11 章  T 細胞の補助刺激シグナルを制御する TNF 受容体スーパーファミリー分子 349

    宗 孝紀1.はじめに2.受容体とリガンドの構造

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  • 目-10

    3.TRAF によるシグナル伝達制御4.TNF 受容体型分子による T 細胞制御5.おわりに

    第 12 章 てんかん関連リガンド・受容体 LGI1・ADAM22 357平野 瑶子 / 宮﨑 裕理 / 深田 正紀 / 深田 優子

    1.はじめに2.LGI1・ADAM22 タンパク質複合体の発見3.LGI1・ADAM22 によるシナプス機能制御4.LGI1・ADAM22 遺伝子変異と抗 LGI1 抗体による病態機構5.LGI1・ADAM22 タンパク質複合体の分子構造基盤6.創薬標的としての LGI1・ADAM22 複合体

    第 13 章 脳神経細胞シナプスを制御する膜タンパク質 366富田 泰輔

    1.はじめに2.Neuroligin3.NL の代謝と機能4.疾患に関連する変異が NL 代謝に及ぼす影響5.まとめ

    第 14 章 EGF 受容体を標的とした医薬品開発 372新野 睦子 / 白水 美香子

    1.はじめに2.EGFR の活性化メカニズムとシグナル伝達3.細胞外ドメインの立体構造4.EGFR モノクローナル抗体医薬5.チロシンキナーゼドメインの立体構造6.チロシンキナーゼ阻害剤7.おわりに

    第 15 章 膜タンパク質の理論的耐熱化法を開発 378木下 正弘

    1.はじめに2.熱力学の重要性3.エントロピー的排除容積効果4.エントロピー駆動の秩序化5.膜タンパク質:水溶性タンパク質との類似点と相違点6.膜タンパク質用の理論的耐熱化法7.これまでの実績8.その後の進展9.今後の課題10.おわりに

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  • 目-11

    第 3 編 膜タンパク質―農学・食品への展開第 1 章 農学・食品と膜タンパク質概論 391

    安岡 顕人 / 阿部 啓子1.序2.センサーとしての膜タンパク質3.生体防御機構と膜タンパク質4.膜タンパク質の生合成機構5.膜タンパク質とエネルギー生産6.膜タンパク質と環境7.まとめ

    第 2 章 GPCR 393第 1 節 味覚の種類と GPCR 393

    山口 祐希 / 内山 進1.基本味2.味覚関連 GPCR の構造と種類3.味覚関連 GPCR のシグナル伝達

    第 2 節 昆虫の嗅覚受容体とその応用 396光野 秀文 / 櫻井 健志

    1.はじめに2.昆虫の嗅覚のしくみ3.昆虫の嗅覚受容体の構造とシグナル伝達4.昆虫の嗅覚受容体の匂いセンサへの応用5.おわりに

    第 3 章 プラズマによる農業応用の基礎 404高木 浩一 / 内野 敏剛 / 内田 諭 / 小田 昭紀 / 佐藤 岳彦 / 勝木 淳

    1.はじめに2.農業における静電気利用3.静電力学効果を利用した細胞の操作および計測4.非平衡大気圧プラズマによる化学的活性種の生成5.プラズマの生体作用6.電界の生体作用7.おわりに

    第 4 章 カイコ濃核病ウイルス抵抗性遺伝子の単離 416伊藤 克彦 / 門野 敬子

    1.はじめに2.カイコとカイコ濃核病ウイルス3.カイコ濃核病ウイルスに対するカイコの抵抗性機構4.カイコがもつカイコ濃核病ウイルス抵抗性遺伝子5.カイコ濃核病ウイルス 2 型に対する抵抗性遺伝子

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  • 目-12

    6.カイコ濃核病ウイルス 1 型に対する抵抗性遺伝子7.おわりに

    第 5 章 シロイヌナズナの ER ボディに特異的な膜タンパク質の同定 424山田 健志

    1.はじめに2.MEMBRANE OF ER BODY(MEB)タンパク質の同定3.MEB タンパク質の機能4.おわりに

    第 6 章 X 線結晶解析による光合成初期過程の構造生物学 431三木 邦夫 / 平野 優

    1.はじめに2.光合成細菌におけるタンパク質3.植物など酸素発生型におけるタンパク質4.おわりに

    第 7 章 光合成電子伝達鎖における膜結合型シトクロム c 445岸本 拓 / 大岡 宏造

    1.はじめに2.シトクロム c の一般的性質3.光合成電子伝達鎖ではたらく膜結合型シトクロム c4.大腸菌を用いたシトクロム c の大量発現系

    第 8 章  哺乳動物における小胞体膜への尾部アンカー型膜タンパク質の 挿入機構 454

    山本 泰憲 / 匂坂 敏朗1.尾部アンカー型膜タンパク質とは2.尾部アンカー型膜タンパク質の小胞体膜挿入の分子機構3.最後に

    第 9 章 食品・環境等の産業利用における膜タンパク質の構造機能と応用 465宮川 拓也 / 田之倉 優

    1.はじめに2.発酵・醸造食品ではたらく微生物の有用膜タンパク質3.膜タンパク質への作用を介した食品成分の生理機能調節4.バイオマス増産に資する植物膜輸送体5.土壌汚染等の環境浄化に機能する酵素・膜タンパク質

    第 10 章 味覚受容体タンパク質を利用した味物質評価法開発の可能性 476山下 敦子

    1.はじめに2.味覚受容体タンパク質組換え発現細胞を利用した味物質評価法

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  • 目-13

    3.味覚受容体タンパク質を利用した味物質評価法開発の可能性と現在の解析例4.おわりに

    第 4 編 膜タンパク質―化学・工学への展開第 1 章 化学・工学と膜タンパク質概論 487

    秋吉 一成

    第 2 章 人工無細胞膜タンパク質合成システム 489車 兪澈

    1.はじめに2.無細胞タンパク質合成系:無細胞系の背景,種類,使用例3.再構築型無細胞系 PURE system:構成と特徴,利点と弱点4.人工膜画分:リポソームの選択と調整5.脂質の選択6.PURE system による膜タンパク質合成7.タンパク質合成とカップルした自発的膜挿入8.膜タンパク質の性状評価:合成量定量,膜局在性評価,膜内配向性評価,複合体評9.膜タンパク質合成と活性評価の例10.おわりに

    第 3 章 プロテオリポソーム工学 499安藤 満 / 秋吉 一成

    1.はじめに2.バキュロウイルス -リポソーム膜融合法3.無細胞膜タンパク質 / リポソームシステム4.まとめ

    第 4 章 人工細胞膜を利用したセンサ開発 504山田 哲也 / 大﨑 寿久 / 竹内 昌治

    1.はじめに2.液滴接触法による人工細胞膜の作製と膜タンパク質の再構成法3.人工細胞膜を利用したセンサ応用例4.総括と今後の展望

    第 5 章  光合成膜タンパク質の人工系での機能発現: 光収穫系・反応中心複合体 510

    出羽 毅久1.はじめに2.LH2 および LH1-RC の基本構造と機能3.LH1-RC による光電流発生4.光収穫機能を拡張した LH2(バイオハイブリッド LH2)の利用5.おわりに

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  • 目-14

    第 6 章 人工細胞膜デバイス 517但木 大介 / 平野 愛弓

    1.はじめに2.チップの縁部構造に基づく脂質二分子膜の安定化3.hERG チャネルアッセイ系への展開4.人工膜へのイオンチャネル包埋効率の向上5.無細胞タンパク質合成系との結合6.まとめ

    第 7 章 膜タンパク質を模倣した人工分子の創成 523金原 数

    1.はじめに2.両親媒性マルチブロック分子3.リガンド応答性マルチブロック分子4.張力応答性イオンチャネル5.おわりに

    第 8 章 リポソームディスプレイ法を用いた膜タンパク質進化分子工学 529岡村 昂典 / 松浦 友亮

    1.はじめに2.リポソームディスプレイ法を用いた膜タンパク質の進化分子工学3.おわりに

    あとがき 537

    索 引

    ※ 本書に記載されている会社名,製品名,サービス名は各社の登録商標または商標です。なお,本書に記載されている製品名,サービス名等には,必ずしも商標表示(Ⓡ,TM)を付記していません。

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  • 序 論膜タンパク質

    日本医科大学 浜窪 隆雄

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  • - 3-

    1.�膜タンパク質と生体膜の流動モザイクモデル

    細胞は生命の最小単位であり,細胞膜によって外界と分離され,生命活動を営んでいる(Robert Hooke;17 世紀,M. Schleiden と T. Schwann の細胞 説;1839 年)。 細 胞 膜(plasma membrane, cell membrane)あるいは生体膜(biological membrane, biomembrane)は選択的透過性を持つ脂質膜である。選択的透過性を持つ,いわゆる半透膜として細胞膜が認識されたのは,19 世紀の麻酔薬の研究からであるが(https://en.wikipedia.org/wiki/History_of_cell_membrane_theory),単に外界との境界としてあるのではなく,膜タンパク質という分子が介在して様々な機能が実現されるとする,流動モザイ クモデル(fluid mosaic model)が 1972 年に Singerと Nicolson によって提唱された1)2)(図 1)。流動モザイクモデルを簡単にまとめると,細胞膜

    はリン脂質を主体とした脂質二重層からなり,膜タンパク質が埋め込まれたように存在して,膜の中を自由に動き回ることができるとするものである。リン脂質には親水性部分(頭部)と疎水性部分(尾部)があり,疎水性尾部を向かい合わせにする形で二重層が形成される。つまり,親水性頭部が細胞外と細胞内の水溶液に接触面を作る。細胞膜は閉じた 2 次元曲面を形成して,内側に細胞質を閉じ込める。細胞

    の外側と内側(細胞質側)では,構成リン脂質に差があり,内側にはホスファチジルエタノールアミンのようなプラスに荷電したものの比率が高い。また,外側では糖鎖が付いた糖脂質の存在比率も高い(詳細はレーニンジャー生化学などの成書を参照されたい)。脂質二重層だけでこの曲面を形成すると丸い球になるが,膜タンパク質が介在して,物理的なテンションを形成することにより,楕

    円体や棒状の曲面など,様々な形をとり,また変形することができる。通常の哺乳類細胞は数ミクロンから数十ミクロンの大きさであるが,筋細胞では直径数十ミクロン,長さ数センチに達する。神経細胞のアクソン(軸索)は数十センチもの長さになる。アクソンの先端は分岐して膨らみを作り,目的の神経細胞あるいは筋細胞などとシナプスと呼ばれる接合装置を形成する。アクソン末端側のシナプス(前シナプス)とつながっている神経細胞は,細胞体に樹状の細い神経突起を持ち,樹状突起上に後シナプスと呼ばれる膨らみを無数に形成して,前シナプス膜との間でシグナル分子のやりとりを行う。真核細胞では,細胞内にも,小胞体,ゴルジ体,ミトコンドリア,エンドゾーム,核などの生体膜に囲まれた構造があり,細胞小器官と呼ばれる。これらの細胞小器官の生体膜に存在するタンパク質も膜タンパク質に分類される。膜タンパク質は,膜とどのような形で存在してい

    図 1 生体膜の流動モザイクモデル(http://www1.lsbu.ac.uk/water/membrane_hydration.html)より改変

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  • 序論 膜タンパク質

    - 4-

    るかにより,数種類に分けられる。(1) 内 在 性 膜 タ ン パ ク 質(integral membrane

    protein);aヘリックスあるいは bバレル構造などの疎水性部分を持ち,膜と強固に結合する。aへリックス構造を持った膜貫通部位を持つものでは,貫通部位の数により,表示されることも多い。1 回膜貫通型膜タンパク質では,N 端が細胞外にあるもの(チロシンキナーゼ型増殖受容体,カドヘリンなどの接着分子)をタイプⅠ,C 端が細胞外にあるものをタイプⅡと呼び分けることがある。

     7 回膜貫通型は,種類がもっとも多く,三量体 G タンパク質と結合してシグナルを伝達する G タンパク質共役型受容体(GPCR)が多い。その他の複数回膜貫通型は,4 回(テトラスパニン),6 回(アクアポリン),12 回膜貫通型(トランスポーター),14 回膜貫通型(バンド 3)などである。

    (2) 表 在 性 膜 タ ン パ ク 質(surface membrane protein);内在性膜タンパク質の親水性部分や,アネキシンのように膜脂質の親水性頭部と相互作用して,膜近傍に存在する。両親媒性αヘリックスや疎水性部位により,脂質二重層に保持されるものでは,周辺膜タンパク質(peripheral membrane protein)という言い方もある。脂質結合型の表在性膜タンパク質では,パルミトイル化(システイン残基など),ミリストイル化(グリシン残基)あるいはファルネシル化(システイン残基)などで修飾されて膜に保持されるものである。外側にあ る も の で は,GPI ア ン カ ー 型(glycosylphosphatidylinositol;カルボキシル末端(C 端)に糖鎖の付いたホスファチジルイノシトールが結合する)がある。

    2.結晶構造解析から機能解析へ

    上記のようなクラシカルな細胞膜に埋もれた塊(球状タンパク質)としての膜タンパク質のイメージから,21 世紀にはいって,結晶構造解析により分子構造が次々と決定され,膜に埋め込まれた部位の詳細な分子構造が急速に明らかにされてきた。このような膜タンパク質の精製技術や結晶化技術の進歩に加えて,飛躍的に処理能力,分解能の高い X 線

    自由電子レーザーや,分子量の大きい複合体解析を可能にするクライオ電子顕微鏡の登場が,膜タンパク質の機能解析を加速している。さらに,コンピュータ性能の驚異的な進歩に伴い,計算科学によるシミュレーションや数理科学的モデル化などが進んで,動的で様々な機能が分子レベルで解析されるようになってきた。まさに,膜タンパク質の研究は新時代を迎えている。つまり,より高次の細胞機能の解析の時代に突入した。

    Rob Phillips らによる「細胞の物理生物学(Physical Biology of the Cell)」3)では,細胞膜の機能を,膜の理想化として,(1)バネの集まり:力が加わると変形する弾性体(2) ランダムな表面:まわりの溶媒分子と衝突す

    ることによって揺らぐ表面(3)RC 回路:電子回路(4)選択的透過性を持つ障壁の 4 つのモデル化を示している。これらの機能を担っているのが,膜タンパク質である。細胞遊走,小胞分泌,膜融合,アクソン伸長,細胞内輸送,細胞分裂など,細胞の動的な機能の分子機構を解明するため,上記のようなモデル化による数値計算が重要となる。膜タンパク質の詳細な構造を基に,膜タンパク質周囲の脂質組成,イオン濃度,コンプレックス形成などを調べ,コンピュータシミュレーションによる機能の予測や設計が可能となってきている。一方,数理モデル化にはいまだ様々な問題点がある。例えば,ランダムな膜表面の変化は,数学的には幾何学的曲面の連続的変形として捉えられるが,実際の生体膜は数学的な無限の連続点の集まりではない。有限個のリン脂質分子のつながりの変形であり,また細胞膜の裏打ちタンパク質であるとか,それにつながっている細胞骨格タンパク質との離合集散,結合のテンション等の物理的因子をモデル化し,計算することが必要である4)。蛍光顕微鏡などの進歩により,細胞の変形が 3 次元的な数値データとして捉えられる時代となってきた5)ことから,今後さらに実態に近いモデル化が期待される。

    3.膜のマイクロドメインと相転移

    J. K. Simmons は,生体膜のモデル化として液相転移の考え方を導入し,生体膜の不均一性(マイクロドメイン)の存在と,そのマイクロドメインへの

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  • - 5-

    膜タンパク質のダイナミックな動きが細胞機能の調節を行っているとする仮説を提唱した6)。Simmonsはある濃度のデタージェント(界面活性剤)に不溶な塊として遠心分離により回収される画分に直鎖脂肪酸のスフィンゴ脂質やコレステロールが多く含まれることから,この塊を脂質ラフトと呼んだ。ラフトは生化学的には回収されるものの,細胞生物学的な観察では検出が困難で,いまだ論争があり確定されていない。しかし,コレステロールなどの脂質がGPCR 受容体の機能調節に関わっていることはよく知られていることや,GPI アンカー型膜タンパク質もラフトと会合すると考えられており,脂質環境が膜タンパク質の機能に影響があることは間違いない。ラフトのアイデアの基本にある液相転移・液相分離の現象は,以前から細胞質内では神経変性疾患などで凝集物(アミロイドなど)として見いだされており,アミノ酸変異や病的修飾,タンパク質のフォールディング異常などによる病的な構造物として扱われてきた。しかし近年では,細胞膜を持たない液滴構造が核の中(核小体やパラスペックルなど)や細胞質(P ボディやストレス顆粒など)に次々と発見され,液相転移・液相分離の動的構造としてマックスプランク研究所の A. A. Hyman らにより,特にRNA-タンパク質相互作用における重要な生理的調節機構として考えられ始めている。生体膜のラフト構造も,再び膜の不均一構造のダイナミクスとして捉えられる可能性がある7)8)。

    4.膜電位:細胞が生きている証拠

    膜タンパク質は,生体膜で仕切られた細胞にとって,外界とのつながりの役割を果たしていると考えることができる。細胞の外と内を分離するという役割はとても重要であるが,単に隔てているというだけではなく,生命体として存在しているということを実感できるのは,膜電位の存在である。膜電位は,細胞内外のイオン濃度の差により生じる。細胞内は細胞外にくらべ,膜電位は負である。つまり,静止膜電位は約-70mV である。この電位差を作り出しているのは,動物細胞ではナトリウムポンプ

    (NaK-pump あるいは NaK-ATPase)であり,ATPの加水分解のエネルギーを用いて,ATP 1 分子あたり 3 個の Na+を細胞外に出し,2 個の K+を細胞内に入れる。これにより,単純に 1 個分のイオンの偏

    在が生じる。ナトリウムポンプは実に細胞内の 1/3の ATP を消費していると考えられている。植物やバクテリアではプロトンポンプによって膜電位が形成されており,植物が持つジゴキシンなどの強心配糖体は自らには影響しないが,動物に対しては毒となり,ナトリウムポンプが阻害されると,細胞が浸透圧を保てなくなり,水が流入してパンクする。このことからも,いかに膜タンパク質が生命維持に重要かがわかる。

    5.選択的透過性と膜輸送

    細胞膜は生命の内と外を分ける境界面であり,膜タンパク質は境界面にあって,生命活動そのものを規定しているものといえる。膜電位が発生する不均一なイオン分布が可能であるのは,最初に戻るが,生体膜が選択的透過性を持っていることによる。例えば,酸素ガス分子は膜を通過するが,イオンは通過しない。どのような選択性があるかの詳細は,成書を参照されたい9)。通常透過しない分子について,様々な膜タンパク質が対応して,細胞の外と内を行き来する機構がある。チャネルタンパク質,トランスポーター,受容体などである。ATP のエネルギーを使って分子を通過(輸送)するものを能動輸送と呼び,濃度差による単純拡散あるいは電位差などを利用して通過させるものを受動輸送と呼ぶ。細胞膜は疎水的環境を作りあげていることから,

    電荷を持つイオンは入りにくい。アミノ酸や糖,あるいはある種の薬物はそれぞれトランスポーターによって細胞内に輸送される。ペプチドやタンパク質も親水性部位が多いため,単純には通過しない。これらの分子は,分子量が大きいことも影響する。ジ・トリペプチドはペプチドトランスポーター

    (PepT1, T2)により輸送されるが,長いペプチドおよびタンパク質が細胞内に取り込まれるのは,受容体を介したエンドサイトーシスやファゴサイトーシスなどの機構による。これに対して,ステロイドホルモンなど疎水性が高く脂溶性の分子は,細胞膜を通過しやすい。イオンについては,様々なチャネルタンパク質が

    あり,電気化学的ポテンシャルが低い方向へ「受動的」に輸送される。それぞれにイオン選択性があり,各々の構造と通過機構についてのモデルも,構造解析が進み近年続々と解明されている。チャネル

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  • 序論 膜タンパク質

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    タンパク質には aヘリックスで囲まれた中心にイオンの通過する細孔(pore)が形成されている。通常途中に開閉するゲート(gate)構造があり,様々な刺激(電位,神経伝達物質などのリガンド,機械刺激,容量,温度など)によりゲートが開く,電位依存性チャネル(voltage-gated channel)やリガンド作動性チャネル(ligand-gated ion channel)などがある。

    6.細胞外環境の認識:受容体タンパク質

    細胞は細胞外環境の変化に対応するため,細胞外環境の分子(リガンド)の変化を感知する受容体タンパク質を細胞膜上に持っている。受容体タンパク質には,リポタンパク質受容体

    (LDL 受容体やスカベンジャー受容体)など,巨大な分子を選択的に細胞内に運ぶものと,リガンド分子が結合して,シグナルを細胞内に伝達するものとがある。前者は,前述のトランスポーターに役割が近く,何らかのシグナルが細胞内に伝達されるが,大幅な増幅などの機能を伴わず,リガンドに対してもある程度の選択性がある。自然免疫反応において重要なトル様受容体(Toll-like receptor;TLR)は,病原体のリポ多糖,非メチル化 DNA や 2 本鎖 RNAを認識する広い(別の言い方では特異性の低い)選択性を持ち,パターン認識受容体と呼ばれている。リポタンパク質受容体10)のリガンドも LDL 受容体やアポ E 受容体はある程度の選択性があるが,スカベンジャー受容体はより多種類のリガンドと結合することから,パターン認識受容体に分類される。カルシウム依存性に糖鎖を認識する C タイプレクチン受容体もこの範疇

    ちゅう

    にはいる。GPCR や増殖因子受容体など,旧来の薬理学的定

    義にあてはまる受容体は,細胞外のリガンドと結合して,その信号を細胞内のシグナル伝達分子を活性化することにより,シグナルを増幅させる機能を持つ。したがって,感度の高い,特異性の高い認識機構があり,通常,リガンドはナノモル濃度の範囲で反応する。反応曲線は急峻に立ち上がり,オン-オフのはっきりしたスイッチのような働きをする。光,におい,神経伝達物質,ホルモン,サイトカイン,メディエーターなどをリガンドとし,細胞の増殖,分泌,収縮,遊走などの反応を起こす。大きく分けて,細胞質にチロシンキナーゼ活性を

    持つ 1 回膜貫通型(インスリン受容体,上皮増殖因

    子(EGF)受容体,腫瘍壊死因子(TNF)受容体など。ホモあるいはヘテロ二量体で存在することが多い)と,GPCR に分類される 7 回膜貫通型受容体に分類される。このほかに,一回膜貫通型受容体には,リガンド

    特異性はあるが,チロシンキナーゼ活性を持たず,細胞膜コンプレックスを形成して,シグナルを伝達するアクソンガイダンス受容体のネトリン受容体(deleted in colorectal cancer;DCC や Down syndrome cell adhesion molecule;DSCAM 等) やRobo などがある。これらの膜タンパク質のシグナル経路はいまだ明確ではなく,また細胞接着分子との共通点もある。

    7.�細胞の組織化:ネットワーク形成と接着分子

    生物が単細胞から多細胞,そして組織化された生体へと進化するには,細胞間のシグナルのやりとりによるネットワーク形成,接着などが必要となってくる。当然のことながら,これらを担う中心的な分子は細胞膜上の膜タンパク質である。細胞間の認識とシグナルの受け渡しは,脊椎動物では免疫系と神経系で高度に発達している。免疫系の細胞認識機構は多様性が高く,複雑である。1975 年に G. J. F. Kohler と C. Milstein によりモノクローナル抗体の作製法が確立されると,白血球の細胞膜に存在する表面抗原として膜タンパク質が認識され,CD 分類が 行 わ れ た。HCDM(Human Cell Differentiation Molecules:http://www.hcdm.org)のサイトには現在 400 以上の CD 番号のついた表面抗原が掲載されている。詳細は各項を参照されたい。多細胞生物として形態形成の過程で,あるいは細

    胞が集合した組織として機能するためには,細胞周囲の物質との接着や細胞間の接着が必要となる。細胞周囲は細胞間マトリックスと呼ばれるが,コラーゲンやファイブロネクチンなどのタンパク質でできている。細胞はこれらのマトリックスタンパク質と結合するインテグリンによって接着し,位置を保つことができる。インテグリンは細胞内ドメインでミオシンなどの細胞骨格タンパク質と相互作用することにより,細胞をマトリックスに固定する。上皮細胞同志を強固に結合する構造として,タイ

    トジャンクション(TJ;tight junction),接着接合

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    (アドヘレンスジャンクション adherens junctioni AJ),ギャップ結合,デスモゾームが知られている。これらの構造を構成する膜タンパク質では,月田承一郎博士によるタイトジャンクションのクローディンの発見や,竹市雅俊博士によるアドヘレンスジャンクションのカドヘリンの発見など,日本の研究者によるコントリビューションが大きい。タイトジャンクションは上皮細胞がつながって外敵の侵入を防ぎ,また組織内の物質の漏出を防ぐ。血管内皮では白血球の遊走の調節もすることから,シグナル伝達機構との関係が重要である。

    8.シナプス結合

    神経シナプス結合の形成において細胞接着因子(SAMs;synaptically localized cell adhesion molecules)は,ターゲット細胞の認識と可塑性のある結合面の形成および維持,神経伝達の調節など重要な生理的役割を担う11)12)。ニューレキシン /ニューロリギン,エフリン /Eph 受容体,カドヘリン,プロトカドヘリン,多数のイムノグロブリン様ドメインを持つイムノグロブリンスーパーファミリーに属するタンパク質,ロイシンリッチリピート

    (LRR)を持ったファミリータンパク質などがあり,前シナプス面と後シナプス面あるいは筋細胞接合面とに存在して,同じ分子同志(ホモ)あるいは異なった分子(ヘテロあるいはリガンド-受容体)および複合体として結合し,アンキリンやスペクトリンなどの膜裏打ちタンパク質,またはパキシリン,テーリン,FAK などのコンプレックスなどとの結合を介して細胞骨格タンパク質との結合を形成し,また低分子量 G タンパク質,キナーゼ活性化などのシグナル伝達を行う11)12)。

    9.細胞内膜構造に存在する膜タンパク質

    細胞膜に存在する膜タンパク質だけではなく,細胞内にある膜構造(核膜,ER 膜,ゴルジ体,ミトコンドリア膜など)に存在する膜タンパク質がある。例えば,細胞内コレステロール調節に関与する膜タンパク質に関して述べると,細胞膜に存在するLDL 受容体,パッチト(Patched)やスムーズンド

    (Smoothened),ライソゾームに存在して輸送に関与する NPC(Nieman-Pick type C),ER 膜に存在す

    る HMGCoA 還元酵素,コレステロールアシル転移酵素(ACAT),ER 膜およびゴルジ膜に分布する膜結合型転写因子 SREBP 等々がある。面白いことに,エボラウイルスは感染時に NPC1 を必要とする13)。シトクロム P450 に分類される解毒,ステロイドホルモンの生合成に関わる酵素群は,ER 膜に多く,一部ミトコンドリア膜に分布する。ミトコンドリア内膜には,電子伝達系と酸化的リン酸化に関与する膜タンパク質コンプレックスが存在する。また,核膜には,核内外の分子の輸送を調節する核膜孔を構成するタンパク質コンプレックスが存在する。核膜にもエメリンや Man1 などのラミン結合膜タンパク質とラミンが結合して核ラミナを構成している。染色体の活性化 / 不活性化の調節や DNA 修復,細胞分裂などで重要である。

    10.おわりに

    生体膜の構造と機能について,およびその機能を担っている膜タンパク質の種類を,おおまかに概説した。かなり広い分野をまとめたので,羅列的になってしまった感があるが,極力基盤になっているコンセプトをまとめたつもりである。ヒトゲノムの解読が終わって,「何が(What)」の

    問いには答えが用意されていることがわかった。ゲノムにコードされるタンパク質(約 2 万 5 千個)の1/3 以上が膜タンパク質である。細胞質や核質の溶液中に浮かんで活性を持つタンパク質と異なり,生体膜と呼ばれる脂質二重層の膜の中,あるいは近傍に存在して活性を持つのが膜タンパク質である。流動モザイクといえども縦方向への動きは制限されている。アルツハイマー症で重要なプロテアーゼである cセクレターゼのように,加水分解の活性中心が疎水的な膜のど真ん中にある酵素も存在する。また水分子を通すためのアクアポリンなど,立体構造が解かれて初めて機能が理解できるようになってきた。GPCR などの受容体の構造も次々に明らかにされ,リガンド結合によるシグナルの伝達機構が分子レベルで理解されるようになってきた。結晶構造解析は,これらの「なぜ(Why)」の問いに答えを与えてきた。膜タンパク質は,脂質膜の中にあって機能を発揮

    することから,脂質構成と切り離すことができない。MD シミュレーションでも,最近は脂質二重層

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  • 序論 膜タンパク質

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    膜を構成して,その中で数十マイクロ秒の動きを計算できるようになってきた。阻害剤のスクリーニングにおいても,可溶化した状態ではなく,DISC などに埋め込んだ膜タンパク質として活性測定する試みがなされている。膜タンパク質は言わずと知れた創薬のターゲット

    として最重要であるし,また様々な工業的利用も考えられる。10 年前と比べても,隔世の感がある分野であるが,複合体形成などの解決されてない問題もあり,その機能をまだ十分に解析できるようになったとはいえない。今後は,タンパク質科学,ライフサイエンスのなかだけにとどまらず,数学,物理学,化学,工学,コンピュータサイエンスなど学際的研究が発展し,分子認識,システム情報,集合離散,時間的空間的動きの解析などから,「どうやって(How)」の問いにもっと答えが出てくることを期待したい。

    文 献1) S. J. Singer, G. L. Nicolson: Science, 175(4023), 720(1972).2) C. Gerle: J. Membr. Biol., 252, 115(2019).3) R. Phillips, J. Kondev, J. Theriot and H. Garcia: 細胞の物理

    生物学(Physical Biology of the Cell):笹井理生ら訳,共立出版(2011).

    4) T. Isogai and G. Danuser, Philos Trans R. Soc. Lond. B. Biol. Sci., 26 (1747), 373(2018).

    5) M. K. Driscoll et al: Nat. Methods., 16(10), 1037(2019).6) K. Simons and E. Ikonen: Nature, 387(6633), 569(1997).7) A. Hymann and K. Simons: Science, 337, 1047(2012).8) J. N. Israelachvili: 分子間力と表面力(Intermolecular and

    Surface Forces):大島広行訳,朝倉書店(2013).9) D. L. Nelson and M. M. Cox: レーニンジャーの新生化学:

    川嵜敏祐監修,廣川書店(2010).10) C. Mineo: Cardiovascular Research., cvz338, P.1~21,

    https://doi.org/10.1093/cvr/cvz338 (2019).11) 田渕克彦:シナプス接着分子-脳科学事典,DOI:

    10.14931/bsd.1243.12) M.B. Dalva et al.: Nat. Rev. Neurosci., 8, 206(2007).13) J.E. Carette et al.: Nature, 477, 340(2011).

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    表 紙発刊にあたって監修・編集幹事・執筆者一覧目 次序 論 膜タンパク質11. 膜タンパク質と生体膜の流動モザイクモデル32. 結晶構造解析から機能解析へ43. 膜のマイクロドメインと相転移44. 膜電位:細胞が生きている証拠55. 選択的透過性と膜輸送56. 細胞外環境の認識:受容体タンパク質67. 細胞の組織化:ネットワーク形成と接着分子68. シナプス結合79. 細胞内膜構造に存在する膜タンパク質710. おわりに7パスワードと閲覧ビューアのご案内