ごみ問題・3rと温暖化のかかわり2 3r(スリーアール)とは?...
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ごみ問題・3Rと温暖化のかかわり
循環型社会・廃棄物研究センター
森口 祐一
国立環境研究所公開シンポジウム2008
温暖化に立ち向かう~低炭素・循環型社会をめざして~
2
3R(スリーアール)とは?
ごみを減らし、資源消費の低減につなげる取り組みである、
Reduce (リデュース):ごみになるものを減らすReuse (リユース) :くり返し使用する
Recycle(リサイクル):原料として再生利用する
の3つの言葉の頭文字をとったもの。
注)「リサイクル・ショップ」で中古品を買って使うことは、この分類では「リユース」にあたる。一般に「リサイクル」という言葉はより広い意味に使われている。
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講演内容
1. はじめに:温暖化とごみ問題の共通の根
2. 物質フロー分析からみた ごみ と温暖化
3. 廃棄物処理による温室効果ガス排出
4. 廃棄物処理分野における温室効果ガス排出削減対策
5. リサイクルと温暖化:廃プラスチックを中心に
6. リデュースの重要性:消費活動からみたCO2排出
7. 長期ビジョンとしての循環型社会と低炭素社会
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地球環境と人間活動との間でのモノのやりとり
資源 CO2 ,廃棄物など
消費財
資源の供給源としての環境
排出物の吸収源としての環境
有限な地球
太陽エネルギー
社会基盤施設
(インフラ)
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今、「目の前にある」ごみ問題
長期にわたる温暖化や資源問題に比べて実感しやすい
6
大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会に対する認識
廃棄物処理・処分に伴う環境問題の顕在化
Sustainable Development:持続可能な発展→環境の有限性の認識、世代間、世代内の公平な分配
高度経済成長期:「消費は美徳」
こうした経済社会のあり方自身が今日の環境問題の原因との認識
大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会のあり方が
ごみ問題と地球温暖化問題の共通の根
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大量生産・大量消費・大量廃棄-環境問題にとっての意味-
中間処理
埋立処分
不法投棄
生産 流通 消費 廃棄
資源採取
ごみ量の増大→処理・処分費用の増大
埋立処分場の不足・施設の立地難
資源の採取→生産国の自然環境改変
モノの生産から廃棄に至る一連の過程(ライフサイクル)全体にわたってエネルギー・資源が消費され、CO2などの
環境への負荷が発生する
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ごみ問題への対応の変遷出たものを適正に処理・処分する
焼却する際の熱を利用するリサイクルできるものは分別してリサイクルする
なるべくごみが出ないような生産・消費システムを構築する
循環的利用の優先順位の基本的考え方1.ごみになるものを減らす>2.繰り返し使う>3.原料に戻す>4.熱や電気を取り出す>5.環境を汚さないように処分する
リデュース>リユース>リサイクル>エネルギー回収>適正処分
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社会経済構造の転換
使い捨て型
循環型社会大量生産・大量消費・大量廃棄型社会
資源消費節減
環境負荷低減
廃棄物,CO2など
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講演内容
1. はじめに:温暖化とごみ問題の共通の根
2. 物質フロー分析からみた ごみ と温暖化
3. 廃棄物処理による温室効果ガス排出
4. 廃棄物処理分野における温室効果ガス排出削減対策
5. リサイクルと温暖化:廃プラスチックを中心に
6. リデュースの重要性:消費活動からみたCO2排出
7. 長期ビジョンとしての循環型社会と低炭素社会
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社会経済システムにおける循環と自然環境における循環
環境白書掲載の図をもとに加筆修正
社会経済システムにおける循環
土壌
生態系
大気
環境負荷
排出
廃棄
採取
水
自然環境における循環
生産
消費
流通
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(注)含水等 : 廃棄物等の含水等(汚泥、家畜ふん尿、し尿、廃酸、廃アルカリ)及び経済活動に伴う土砂等の随伴投入(鉱業、建設業、上水道業の汚泥及び鉱業の鉱さい)
輸出(159)
最終処分(32)
輸入製品(56)
食料消費(95)
蓄積純増(817)
自然還元(82)
減量化(238)
施肥(15)
エネルギー消費及び工業プロセス排出(498)
廃棄物等の発生(579)
国内資源(831)
輸入(815)
天然資源等投入量(1,646)
総物質投入量(1,874)
輸入資源(759)
含水等(注)
(289)
循環利用量(228)
(単位:百万トン)2005年度の我が国における物質フローの模式図
出典:循環型社会白書
約500百万トンの化石燃料と石灰石が元になって、約1,300百万トンのCO2として排出される。
家庭などから発生する一般廃棄物:約50百万トン
工場などから発生する産業廃棄物:約420百万トン
埋立処分量1990年 約109百万トン2005年 約 32百万トン
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講演内容
1. はじめに:温暖化とごみ問題の共通の根
2. 物質フロー分析からみた ごみ と温暖化
3. 廃棄物処理による温室効果ガス排出
4. 廃棄物処理分野における温室効果ガス排出削減対策
5. リサイクルと温暖化:廃プラスチックを中心に
6. リデュースの重要性:消費活動からみたCO2排出
7. 長期ビジョンとしての循環型社会と低炭素社会
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日本の温室効果ガス排出量の推移
廃棄物部門
CO2
6ガス計
CO2 ,CH4 ,N2O
(出典:国立環境研究所温室効果ガスインベントリオフィス資料をもとに作成)
2006年の排出量は基準年比6.2%増
廃棄物部門の排出割合:約3.3%(CO2,CH4,N2O)CO2 換算約4500万トン
1人1日1kgに相当
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廃棄物の焼却(CO2)74.3%
廃水の処理(N2O)2.6%
廃水の処理(CH4)3.1%
埋立(CH4)12.0%
廃棄物の焼却(CH4)0.2%
界面活性剤の分解(CO2)
1.2%
廃棄物の焼却(N2O)6.6%
廃プラスチック、廃油、廃タイヤ等の焼却、原燃料利用
紙や厨芥などバイオマス起源のCO2排出は含めない
これ以外に畜産廃棄物関係の温室効果ガス排出量が、日本の総排出量の約0.5%を占める
廃棄物部門の排出割合:約3.3%(CO2,CH4,N2O)CO2 換算約4500万トン
廃棄物処理分野の温室効果ガス排出量の内訳(2006年度)
約1300万トン
(出典:国立環境研究所温室効果ガスインベントリオフィス資料をもとに作成)
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準好気性埋立の温室効果ガス発生抑制効果の検証↓
CDM(クリーン開発メカニズム)による排出削減の検討
廃棄物の適正処理と温暖化対策を両立させる技術に関する東南アジア諸国との共同研究
ポスター発表No.10東南アジアのごみ埋立地からの温室効果ガスの放出と対策
廃棄物
覆土
保有水集排水設備
調整槽
浸出水処理施設へ
(水位を低く保つ)
ガス抜き管(通気設備)
空気とガスの交換
(保有水集排水設備に連結)
(降水の浸透量を抑える)
廃棄物
覆土
保有水集排水設備
調整槽
浸出水処理施設へ
(水位を低く保つ)
ガス抜き管(通気設備)
空気とガスの交換
(保有水集排水設備に連結)
(降水の浸透量を抑える)
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講演内容
1. はじめに:温暖化とごみ問題の共通の根
2. 物質フロー分析からみた ごみ と温暖化
3. 廃棄物処理による温室効果ガス排出
4. 廃棄物処理分野における温室効果ガス排出削減対策
5. リサイクルと温暖化:廃プラスチックを中心に
6. リデュースの重要性:消費活動からみたCO2排出
7. 長期ビジョンとしての循環型社会と低炭素社会
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廃棄物処理関連の温室効果ガス排出削減策
1. 処理段階での温室効果ガスに着目した対策埋立地や排水処理におけるメタン、亜酸化窒素排出抑制策
畜産廃棄物からのメタン、亜酸化窒素排出抑制策
廃棄製品からのフロン・代替フロン回収の徹底
2. 排出された廃棄物の有効利用に着目した対策
3. 廃棄物の発生抑制(リデュース)に着目した対策
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1. 処理段階での温室効果ガスに着目した対策
2. 排出された廃棄物の有効利用に着目した対策
プラスチックなど化石燃料由来の廃棄物:
3Rを進め、リサイクルできないものは埋立ではなく焼却して熱回収するのが廃棄物処理の基本的考え方
生ごみ、汚泥等の有機性廃棄物の有効利用:廃食用油の燃料化、有機性廃棄物からのバイオガス回収
→化石燃料の代わりに利用することでCO2排出を削減
エネルギー多消費型の材料のリサイクル促進
3. 廃棄物の発生抑制(リデュース)に着目した対策
廃棄物処理関連の温室効果ガス排出削減策
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廃棄物処理関連の温室効果ガス排出削減策
1. 処理段階での温室効果ガスに着目した対策
2. 排出された廃棄物の有効利用に着目した対策
3. 廃棄物の発生抑制(リデュース)に着目した対策
• 処理処分量の減少による廃棄物部門での排出低減
• ライフサイクルの上流側の生産プロセスでの排出低減効果
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炭化
焼却/ガス化溶融・発電
バイオマス系廃棄物のエネルギー利用技術
水素/メタン発酵複合システム
熱分解ガス化・改質システム
液体燃料化
(BDFなど)
バイオガス化
家畜排せつ物
食品廃棄物
下水汚泥
Dry系バイオマス Wet系バイオマス
農作物非食用部
建設発生木材
製材工場等残材
林地残材
都市ごみ
熱・電力
固体燃料
液体燃料
燃料ガス
国環研で実施中のプロジェクトの主な対象
利用する廃棄物の種類 転換技術の種類 利用形態
ポスター発表No.12
「バイオマス廃棄物の微生物発酵によるエネルギー回収」
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廃棄物のエネルギー利用
バイオマス系廃棄物からのエネルギー回収への期待は大きい
技術のスケールメリット:一般に大規模なほうが効率が高い
• 廃棄物由来のエネルギー供給の絶対量を増やすために、「大量廃棄」が期待されてしまい、本末転倒になる恐れがある。
• 3Rの優先度には十分留意することが必要。
• やむをえず捨てられたものをなるべく高効率で利用する。
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廃棄物中のエネルギー資源量の推定例
日本全体の利用可能量 744PJ/年 (P:10の15乗)利用可能量=発生量-既に原材料としてリサイクルされている量
原油換算(発熱量38.7MJ/L,1PJ=2.6万kL)では1,900万kL(平成18年度の原油輸入量2.39億kLの約8%)に相当
林産系3.7%
畜産系8.2% 農産系
13.5%
廃食用油0.4%
動植物性残渣0.5%
廃プラスチック43.7%
厨芥類7.3%
下水汚泥1.4%
古紙15.9%
建築廃材5.2%
し尿・浄化槽汚泥 0.2%
その他のバイオマス系廃棄物30.9%
(出典:酒井ら,廃棄物学会論文誌,16(2),2005)
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0
200
400
600
800
1000
1200
1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006
資源化・処理処分量(万トン)
埋立
熱利用焼却+単純焼却
単純焼却
熱利用焼却
廃棄物発電
固形燃料
化学原料リサイクル
材料リサイクル
プラスチックの資源化・処理処分の内訳の推移
(出典:プラスチック処理促進協会資料をもとに作成)
効率把握が課題
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講演内容
1. はじめに:温暖化とごみ問題の共通の根
2. 物質フロー分析からみた ごみ と温暖化
3 廃棄物処理による温室効果ガス排出
4. 廃棄物処理分野における温室効果ガス排出削減対策
5. リサイクルと温暖化:廃プラスチックを中心に
6. リデュースの重要性:消費活動からみたCO2排出
7. 長期ビジョンとしての循環型社会と低炭素社会
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廃プラスチックの主な有効利用手法
○容器包装リサイクル法の「その他容器包装プラスチック」
に適用されている手法
マテリアル(材料)リサイクル→パレット、型枠用ボード、プランター 、杭、擬木など
ケミカル(化学原料)リサイクル
• ガス化(アンモニア原料、燃料ガス)
• 油化(燃料油)
• 高炉還元剤化(還元剤、燃料ガス)
• コークス炉化学原料化(還元剤、原料油、燃料ガス)
○エネルギー回収・ RPF化→製紙業などでの燃料利用・ セメント原燃料化
・ ごみ焼却炉での発電、熱回収
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ベール 人や機械による選別
残渣(産廃)
市町村選別保管施設
分別収集 輸送
マテリアルリサイクル
ケミカルリサイクル
エネルギー回収
どの再商品化でも概ね類似のプロセス
ペレット化
破砕(洗浄)(分離)
ペレット
節約される素材・資源
新規樹脂
パレット、ボードなど
造粒物
高炉コークス炉
減容固化
紙 造粒物
ボイラーセメントキルン
減容固化
焼却、発電、熱利用、セメント原燃料化
成型
(機能)
(機能)還元、コークス、ガス、油など
(機能)熱、電力など
利用段階を含めて評価
再商品化再商品化製品利用
石炭
ガス
石油 など
石炭
ガス化炉油化炉
ガス
油
合板など
廃プラスチックのリサイクルの流れ
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削減効果
(出典:稲葉ら,廃棄物学会論文誌, 16(6), (2005) :平成18年度廃棄物学会論文賞受賞)
プラスチックのリサイクル効果のLCAによる評価例
発電効率10%の焼却発電との比較
2
-3.0
-2.5
-2.0
-1.5
-1.0
-0.5
0.0
0.5
コークス炉化学原料化
高炉還元(コークス代替)
高炉還元(微粉炭代替)
CO2排出量、化石燃料消費量の変化
(kg/kg-プラスチック)
CO 排出量
石油消費量
石炭消費量
2
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-3.0
-2.5
-2.0
-1.5
-1.0
-0.5
0.0
0.5
コークス炉化学原料化
高炉還元(コークス代替)
高炉還元(微粉炭代替)
CO2排出量、化石燃料消費量の変化
(kg/kg-プラスチック)
CO 排出量
石油消費量
石炭消費量
+0.009+0.03 ~ +0.06kg
+0.04kg(往復400km)
(圧縮梱包のみ)
中間処理分別収集
輸送
再商品化
-2kg程度
+0.02 ~ +0.08kg
ケミカルリサイクルと発電付焼却(効率10%)との比較
(出典:藤井ら, 廃棄物学会論文誌,17(5),(2006))
プラスチックのリサイクル効果のLCAによる評価例(分別収集、中間処理、再商品化施設までの輸送の寄与)
単位:kg-CO2/kg-プラスチック
分別収集・リサイクル工場への輸送によるCO2排出量は、リサイクルによるCO2削減量よりも1桁小さい。課題はコスト削減。
2
30
リサイクルする場合としない場合の比較
(国立環境研究所地球環境研究センター:「ココが知りたい温暖化」掲載)
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リサイクル・リユースと温暖化対策の関係に関する主な話題
廃プラスチックはどのように利用するのが適切か?
家電、自動車:省エネ型の新型か長期使用か?
• 使用段階のエネルギー消費の大きい旧型製品は買い換えが優位• 但し、買い換えで大型化すればエネルギー消費は減らず、将来の廃棄物が増大する恐れ
エアコン、冷蔵庫のフロン・代替フロンの回収の徹底
リサイクルが日本の排出量低減に結びつきにくい例
• アルミ缶のリサイクル:代替される1次アルミはほとんどが輸入ポスター発表No.11「日本と世界で広がる電気電子機器廃棄物の流れ 」
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Alumi CO2
Prod.Imp.
41
421
1091
170
23
67
119
7009
114
2519
118
176
358
738
アルミニウムの国内生産量、輸入量と生産地ごとの CO2 排出量(1980)
国内生産分輸入分
CO2排出量(単位:1000トン)
アルミニウム輸入量(単位:1000トン)
33
1073
812
2791513
1861
8276Alumi CO2
Prod.Imp.
129
193
6 441
175
480
835
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アルミニウムの国内生産量、輸入量と生産地ごとの CO2 排出量(2000)
CO2排出量(単位:1000トン)
アルミニウム輸入量(単位:1000トン)
国内生産分
輸入分
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講演内容
1. はじめに:温暖化とごみ問題の共通の根
2. 物質フロー分析からみた ごみ と温暖化
3. 廃棄物処理による温室効果ガス排出
4. 廃棄物処理分野における温室効果ガス排出削減対策
5. リサイクルと温暖化:廃プラスチックを中心に
6. リデュースの重要性:消費活動からみたCO2排出
7. 長期ビジョンとしての循環型社会と低炭素社会
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0
50
100
150
200
250
300
350
400
450
0 100 200 300 400 500 600一世帯一年あたりの消費金額(万円/年)
支出1万円あたりのCO 2 排出量
(kg-CO 2/万円)
食料品
繊維製品
電化製品
輸送機械
電力
都市ガス
ガソリン
ガソリン以外の石油・石炭製品
運輸
上下水道
通信放送
教育研究・医療福祉
サービス その他
支出項目別の内訳
家計が消費する商品・サービスの生産・消費によるCO2排出
教育研究医療保険
2.6%
通信放送0.9%
水道料金1.2%
都市ガス3.4%
繊維製品3.2%
電化製品3.4%
輸送機械2.8%
運輸6.3%
ガソリン以外の石油石炭製品
9.7%
ガソリン14.1%
電力15.1%
食料品13.3%
その他11.9%
サービス12.1%
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支出項目別の内訳
教育研究医療保険
2.6%
通信放送0.9%
水道料金1.2%
都市ガス3.4%
繊維製品3.2%
電化製品3.4%
輸送機械2.8%
運輸6.3%
ガソリン以外の石油石炭製品
9.7%
ガソリン14.1%
電力15.1%
食料品13.3%
その他11.9%
サービス12.1%
家計が消費する商品・サービスの生産・消費によるCO2排出
生産・流通で排出されたCO2を「カーボン・フットプリント」として商品などに表示することが検討されている
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経済活動の最終需要からみた日本のCO2排出量の推移
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
1975 1980 1985 1990 1995 2000
CO2排出量(100万トンCO2/年)
輸出
在庫純増
民間資本形成
公的資本形成
政府消費支出
民間消費支出(光熱費以外)民間消費支出(電力)
民間消費支出(燃料)
家計外消費支出
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3Rと温室効果ガス排出削減の関係
捨てられるものを減らす(リデュース)• 捨てられるものを減らすことで、廃棄物として処理する際の温室効果ガス排出を減らす
• ものを作るまでの生産プロセスでの温室効果ガス排出を減らす
製品として再使用する(リユース)• 製品の生産段階、廃棄段階での温室効果ガス排出を減らす• 但し、効率の悪い古い家電製品などは使用段階のエネルギー消費による排出が大きいことに要注意
捨てられたものを原材料として利用する(リサイクル)• 再生利用して原材料生産をおきかえることで温室効果ガス排出を減らす
エネルギー源として利用する(エネルギーリカバリー)• 化石燃料の代わりに利用することで温室効果ガス排出を減らす
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講演内容
1. はじめに:温暖化とごみ問題の共通の根
2. 物質フロー分析からみた ごみ と温暖化
3. 廃棄物処理による温室効果ガス排出
4. 廃棄物処理分野における温室効果ガス排出削減対策
5. リサイクルと温暖化:廃プラスチックを中心に
6. リデュースの重要性:消費活動からみたCO2排出
7. 長期ビジョンとしての循環型社会と低炭素社会
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2050年低炭素社会のイメージの例ビジョンA:技術志向型 ビジョンB:自然志向型
41
進行中の研究プロジェクト「近未来の資源循環・廃棄物管理システム」に関するシナリオ作成ワークショップの開催
国、地方自治体、企業、NGO、大学、研究機関等から約40名+スタッフ16名参加。6グループに分かれて討議。
グループ討議によるシナリオ作成例
経済・技術至上・利便追求
国際化
ゆとり・環境意識
国内囲い込み
ひとまかせ・国際資源大循環
鎖国風地産地消
分別ある国際資源小循環
地域・国家自立
42
21世紀環境立国戦略に示された統合的取組の概念
(出典:中央環境審議会21世紀環境立国戦略特別部会「21世紀環境立国戦略の策定に向けた提言」)
低炭素社会 循環型社会
自然共生社会
持続可能な社会
気候変動とエネルギー・資源
気候変動と生態系 生態系と環境負荷
温室効果ガス排出量の大幅削減
自然の恵みの享受と継承
3Rを通じた資源循環
地球生態系と共生して、
持続的に成長・発展する
経済社会の実現
社会経済システムにおける循環と自然環境における循環
環境白書掲載の図をもとに加筆修正
社会経済システムにおける循環
土壌
生態系
大気
環境負荷
排出
廃棄
採取
水
自然環境における循環
生産
消費
流通
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広義の循環型社会: 再生可能資源の利用
Recyclable(再生利用可能)
それ自身は枯渇性のものであっても繰り返し利用できるも
の。Cycleは主に社会経済システムの中での循環。
Renewable(再生可能)
枯渇性資源に対する再生可能資源(太陽光、風力などの
エネルギー。水資源、木材などのバイオマス資源)。適切
に管理すれば持続的に再生産可能。自然のシステムの中
での循環過程を伴う。
44
名称:International Panel for Sustainable Resource Management
設立:2007年11月9日
事務局:UNEP/DTIE (国連環境計画・技術産業経済局)
共同議長• Ernst von Weizsaecker (カリフォルニア大学教授、元ヴッパタール研究所長、元ドイツ連邦議会議員)
• Ismail Serageldin(アレクサンドリア図書館長、元世界銀行副総裁)
メンバー:設立時 約20名(日本からは演者が参加)
目的:資源利用に伴う環境影響に関する科学的知見の蓄積
当面の優先的検討課題:バイオ燃料、金属資源のリサイクル
http://www.unep.fr/scp/rpanel/
「持続可能な資源管理に関する国際パネル」の概要
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廃棄物対策と温暖化対策の協調
トレードオフを生じる場合もあるが、Win-winを目指すべき
末端での対策から上流側での対策へと視野を拡大した廃棄物対策の基本
理念が温暖化対策に与える示唆
CO2さえ減らせばよい、目の前の処理すべきごみを減らせばよい、という考
え方ではなく、システム全体を見ることが必要
「豊かさ」と「モノ・エネルギー」とのデ・カップリング(切り離し)を進めることが
共通の基本理念
経済成長により資源、エネルギーの消費の増大が見込まれる近隣諸国への
知見の移転、経験の共有
46
循環型社会に関する演者の考え
優れた技術を生かしつつ、足るを知る心を大事にし、「少ないモノで豊かな社会」へと次第に移り変わっていくことが資源小国・技術立国日本の生きる道
こうした社会の大きな変革は一朝一夕にはできない。一つ一つの社会の仕組みを地道にその方向に向けていくことが必要
公平な負担のもとで、より有効なリサイクルの仕組みを考えることは可能。
優れた技術、熱心な市民の行動の両方を有効にいかす仕組みを考えるべき
しかし、リサイクルだけでごみ問題や資源問題が根本的に解決できるわけではない。リサイクルはあくまで手段の一つ
ごみ問題やリサイクルを通じて、より広い視点で環境問題や社会のしくみに関心をもつことに大きな意味がある
47http://www-cycle.nies.go.jp/国立環境研究所循環型社会・廃棄物研究センター
ごみ問題・3R・循環型社会についてもっと知りたい方は、循環型社会・廃棄物研究センター発行の
オンラインマガジン 「環環」 を是非お読み下さい。
ご清聴ありがとうございました。
http://www-cycle.nies.go.jp/
総集編1~3巻提供中 隔週更新