草地および飼料畑におけるアーバスキュラー菌根菌の生態と...

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草地および飼料畑におけるアーバスキュラー菌根菌の生態と 共生機能 誌名 誌名 日本草地学会誌 ISSN ISSN 04475933 巻/号 巻/号 644 掲載ページ 掲載ページ p. 276-283 発行年月 発行年月 2019年1月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

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草地および飼料畑におけるアーバスキュラー菌根菌の生態と共生機能

誌名誌名 日本草地学会誌

ISSNISSN 04475933

巻/号巻/号 644

掲載ページ掲載ページ p. 276-283

発行年月発行年月 2019年1月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

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日草誌64(4) : 276-283 (2019)

特 集 一植生をめぐる微生物の生態学一

草地および飼料畑におけるアーバスキュラー菌根菌の

生態と共生機能

齋藤勝晴*

信州大学農学部 (399-4598長野県上伊那郡南箕輪村8304)

受付日: 2018年8月20日/受理日: 2018年9月11日

キーワード:アーバスキュラー菌根,共生,生態系機能,リン酸.

Ecology and Functioning of Arbuscular Mycorrhizal Fungi in Grasslands and Forage Crop Fields

Katsuharu Saito*

Shinshu University, Minamiminowa, Kamiina, Nagano 399-4598, Japan

Key words : Arbuscular mycorrhiza, Ecosystem functioning, Phosphate, Symbiosis.

1. はじめに

「土ー草一家畜」で表されるように,家畜生産は物質循環

によって支えられている。特に,土壌には多様な微生物が存

在し,物質循環に大きく関わっている。アーバスキュラー菌

根菌 (AM菌)は植物と共生する菌類であり,土壌中の無機

養分を吸収し植物に供給する (Smith・Read2008)。また,

このような共生機能を通して AM菌は生態系機能にも影響

を及ぼすことが指摘されている (vander Heijdenら2015;

Powell・Rillig 2018)。AM菌の機能を有効に活用できれば,

減肥技術や植生維持に応用できる可能性がある。本論文では

ミニレビューとして, AM菌の共生機能を概観するとともに,

草地や飼料畑における AM菌の生態と利用について解説す

る。また, AM菌の利用に関しては圃場における機能評価が

課題になっており,評価法開発の基盤となる養分輸送メカニ

ズムについて説明する。

2. A M菌の共生機能

AM菌は Glomeromycotina亜門に属する真菌類であり

(Spatafora 2016), 植物根に感染し菌根と呼ばれる共生体を

形成する。 AM共生の起源は初期の陸上植物にまで遡ること

ができ,植物の多様化とともに AM共生が広がり,現在で

は陸上植物の 7~8割が AM菌と共生関係を結んでいる

(Brundrett 2009)。土壌中の AM菌の胞子は,発芽すると

発芽管を伸ばし,植物根に感染する(図 1)。AM菌は,根

内で内生菌糸と呼ばれる菌糸を伸長させ,根の皮層細胞内に

細かく分枝した樹枝状体と呼ばれる菌糸構造を形成する。樹

* [email protected]

枝状体は AM共生に特異的な構造であり,植物と AM菌の

間の養分交換の場と考えられている。 AM菌は,土壌中にも

外生菌糸と呼ばれる菌糸を伸長させて菌糸ネットワークを形

成する。この菌糸ネットワークによって, AM菌は土壌中の

広範囲からリン酸を集めることができる。取り込んだリン酸

の一部は植物に供給され,結果として植物のリン栄養が改善

される。一方で,植物から光合成に由来する炭素化合物が

AM菌に供給され, AM菌の増殖に利用される。植物は炭素

化合物として糖類を供給することは知られていたが

(Solaiman・Saito 1997 ; Reiberら2011),最近になって脂質

も供給していることが明らかとなった (Jiangら2017;Key-

merら2017; Luginbuehlら2017)。このように,植物と

AM菌の間では栄養を補完しあう相利共生が成立している。

AM共生のその他の機能として,亜鉛・硫黄・鉄・銅などの

微量必須元素の吸収促進や水ストレスや病害,重金属に対す

る耐性の増大なども知られている (Smith・Read2008)。

AM共生のこのような機能は,物質循環や生態系機能などに

まで影響する。土壌中の菌糸は土壌団粒の形成に関与すると

ともに (Rillig・Mummey2006), 土壌養分を効率的に吸収

することでリンや窒素の溶脱を低減させる働きがある

(Asghariら2005: Benderら2015)。植物は光合成産物の

10 ~ 20%をAM菌に供給していると推定されており

(Jakobsen・Rosendahl 1990), AM共生はリン循環だけでな

<炭素循環にも重要な役割を果たしている。さらには, AM

菌が植物の群集構造や多様性,生態系の安定性にまで影響を

及ぽすことが指摘されている (vander Heijdenら2015:

Powell・Rillig 2018)。

大要は 2017年度日本草地学会弘前大会 (2017年3月)において発表。本研究は科学技術振興機構 ACCEL(No. JPMJAC1403) と日

本学術振興会科学研究費補助金 (No.15H01751)による。

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齋藤:アーバスキュラー菌根菌の生態と共生機能 277

内生菌糸

図 1. アーバスキュラー菌根菌と植物の共生.

根外 (a) と根内 (b)の菌体構造.根内の菌体構造の観察のため, トリパ

ンプルーで菌糸を染色.カラー写真を本特集記事「植生をめぐる微生物の

生態学ーはじめに一」に掲載.

3. 草地 ・飼料畑における AM菌の生態と利用

草地や飼料畑における AM菌の生態や利用については,

斎藤 (1999) や本誌 59巻 4号の特集記事「草地・耕地生態

系の菌根の生理生態と利用」(齋藤 2014a)で詳 しく述べら

れている。ここでは,草地の AM菌の動態と飼料畑におけ

る土着菌の活用について国内研究者による研究を中心に紹介

する。

(1)草地における AM菌の生態

AM菌は 現在 までに 300種以上記載されているが

(Sch叫 !er2018), 植物の生育に対する効果や生態系機能は

菌種あるいは菌株ごとに異なることが知られている (van

der Heijdenら1998;Angelardら2010)。小島ら (2009)は,

北海道から九州までの半自然草地と人工草地の AM菌相を

解析し,地域や植生によらず根圏土壌には Sclerocystisrubi-

formis (異名 同種 Glomusrubiforme) と特定の Glomus

sp. の胞子が共通して存在し, どの草地にも常に 2種以上の

AM菌が存在することを明らかにした。 AM菌は宿主特異性

を示さず,ほとんどの植物に感染することができる。また,

植物もほとんどの AM菌種と共生することができ,根には

同時に複数の AM菌種が感染する。一方で, 植物と AM菌

の間に緩い選択性は存在し (Vandenkoornhuyseら2003),

草地では AM菌の群集構造は植生の影響を受ける (Neuen-

kampら2018)。根内の AM菌の多様性解析にはリボゾーム

RNA遺伝子をマーカーとした分子生態学的手法が用いられ

ている。研究初期には, AM菌特異的プライマーが設計され,

PCR産物をクローンライプラリ法や変性剤濃度勾配ゲル電

気泳動 (DDGE)法で解析することで AM菌の群集構造が

明らかにされてきた。現在では,次世代シーケンサーが比較

的安価に利用できるようになっため,菌類に保存されたプラ

イマーを用いて根内の真菌相を網羅的に検出できることか

ら,菌根菌の生態学的解析や接種菌の追跡などに用いられて

いる (Tojuら2014;Niwaら2018)。AM菌の感染や群集構造は草地管理の影響を強く受ける。

一般的に,土壌中のリン酸濃度が高くなると AM菌の感染

率が低下する。人工草地は,施肥を行っていない半自然草地

に比べて AM菌の胞子密度や感染率が低くなる傾向にある

(近藤ら 1995;烏ら 2002;小島 ら2009)。また, 同じ人工草

地内であってもリン酸施肥によりオーチャードグラスやシロ

クローバの AM菌感染率は低下する(烏ら 2003;佐藤ら

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278 日本草地学会誌第64巻第4号 (2019)

2006)。刈取りや放牧,火入れによっても影響を受けること

がある (Saitoら2004; Kojimaら2007;小島 2014)。これは,

植物の地上部が失われると, AM菌に分配される光合成産物

量が変化するためと考えられている。 AM菌の感染や群集構

造に対する刈取りの影響をススキとシバで比較したところ,

刈取り・放牧耐性の高いシバでは AM菌群集構造はほとん

ど変化しなかったが,ススキでは刈取り後に AM菌感染率

が低下し,特に特定の分類群の AM菌が減少していた (Saito

ら2004)。

作物生育に対する AM菌の効果は,植物種あるいは感染

する AM菌種によって異なる。 AM菌の効果は,接種区と

非接種区の乾物重を比較することで菌根反応性 (mycorrhizal

responsiveness) や菌根依存度 (mycorrhizaldependency)

として表すことができる (Tawaraya2003)。暖地型牧草は

寒地型牧草に比べて全般的に AM菌による接種効果が高い

(飛佐 2014)。米国の長草型プレーリーに自生する草種を対

象にした研究でも多年生の C4イネ科植物と広葉草本に対

しては接種効果が高く,一方で C3イネ科植物では低いこと

が示されている (Wilson・Hartnett1998)。C3イネ科植物

は細根が多く養分吸収能力に優れているが, C4イネ科植物

や広葉草本は根が粗剛であり養分吸収を菌根に依存している

と考えられている。 AM菌の効果には同じ草種であっても品

種・ 系統間での差が認められ,オーチャードグラスのキタミ

ドリとアオナミには Glomusclarumによる生育促進効果が

見られるが,アキミドリとナツミドリには逆に生育阻害効果

が表れる(土田・野中 2002,2003)。これら菌根反応性の違

いは,植物のリン酸吸収能力やリン酸利用効率の違いによる

と考えられているが,詳細なメカニズムについては分かって

いない (Tawaraya2003)。収量に対する AM菌の効果は,

植物と AM菌の間の C-P交換によるコストーベネフィット

のバランスが関係するため,そのメカニズムはより複雑であ

る。

上述のように,草地における AM菌の群集構造や草地管

理に伴う AM菌の動態については少しずつ分かってきたが,

AM菌が草地の草種構成や生産性,安定性にどのような影響

を及ぼすかについては知見が少ない (Yangら2014)。マイ

クロコズムを用いた実験では, AM菌の多様性が植物の生産

性や多様性に影響を及ぼすことが示されているが,一方でそ

のような関係が認められないこともある (Grimeら1987;.

van der Heijdenら1998; Powell・Rillig 2018)。AM菌の生

態系機能の解明は,草地の植生管理の面からも重要であり今

後の課題である。

(2)飼料トウモロコシ畑における土着 AM菌の利用

AM菌の農業への応用には,優良 AM菌株の接種と土着

AM菌の活用が考えられる。 AM菌は地力増進法に基づく政

令指定土壌改良資材として認められており,いくつかのメー

カーから AM菌資材が販売されている。 AM菌資材の生産

量は 2003年をピークに現在は下降傾向にある。その原因と

して,肥料に比べてコストが高く,使用方法に手間がかかり,

リン酸肥沃度の高い圃場では効果が実感しにくいことなどが

あげられる(坂本ら 2012;齋藤 2014b)。また,土着 AM菌

との競合により,優良な接種菌が作物に定着しにくいことも

原因と考えられる。 AM茜資材の活用場面としては, リン酸

肥沃度が低く, しかも土着 AM菌の密度も低い圃場が想定

される(齋藤 2014b)。Tawarayaら (2012) は,長ネギの

育苗時に AM菌を接種することで,本圃への移植後も接種

効果が持続し, リン酸質肥料の使用量を削減できることを示

している。

土着 AM菌の活用は輪作において研究が進んでいる。前

作に AM菌の宿主植物(トウモロコシ,ダイズ, ヒマワリ,

バレイショ,コムギなど)を栽培した場合,非宿主植物(キャ

ベッ,ソバ,ナタネ,テンサイなど)の栽培に比べて土壌中

のAM菌密度が増加し,結果として後作物のリン吸収が促

進される (Karasawaら2000, 2001; 唐澤ら 2001;Okaら

2010)。この現象を前作効果と呼び,前作効果を活用したリ

ン酸減肥の研究から,北海道のダイズ栽培においてリン酸減

肥可能量が示されている(大友• 岡2014;大友ら 2015)。飼

料用トウモロコシにおいても土着 AM菌の効果が認められ,

北海道根釧地域では前作に非宿主植物のテンサイやシロガラ

シを栽培した場合よりも,宿主植物であるトウモロコシを連

作した方が初期生育が有意に高かった(八木2014;八木ら

2014)。これら土着 AM菌の効果を考慮し,北海道根釧地域

の飼料用トウモロコシ連作畑においては, 20%減肥する基

準が設定されている(八木ら 2017)。東北北部では,ヘアリー

ベッチを冬作緑肥として導入することで, トウモロコシの生

育に対して前作効果が表れることも示されている(出口

2014)。土壌中には土着 AM菌の茜糸ネットワークが広がっ

ているが,耕起法によっては菌糸ネットワークが切断され,

AM菌の効果が表れない可能性がある。不耕起栽培法の 1種

であるリビングマルチの導入により, トウモロコシの生育に

対する土着 AM菌の効果を高めることができる(出口

2014)。飼料用トウモロコシの播種前年にリビングマルチ用

のシロクローバを播種し,翌年シロクローバ植生中にトウモ

ロコシを播種することで, トウモロコシの菌根形成率が上昇

し,結果としてリン栄養の改善や生育の促進が認められた

(Deguchiら2007,2012)。以上のように,輪作順序を考慮

したり被覆作物を尊入したりすることで,土着 AM菌が活

躍しやすい環境になると考えられる。このような環境条件が

整えば,土着 AM菌をリン酸質肥料の削減や生産安定化に

利用できる可能性がある。

一般的には, AM菌が感染すると作物はリン栄養などが改

善され収量が増大する。しかし,環境条件や作物と AM菌

の組み合わせによっては, AM菌は中立的あるいは寄生的に

働く場合もある (Johnsonら1997)。AM菌を活用するため

には,作物収量に対する AM菌の寄与度を簡単に測れるこ

とが望まれるが,現在のところ圃場で利用できる有効な方法

はない。実験室では,接種区と非接種区を設けることで AM

菌の効果を調べることができる。しかし,圃場には土着 AM

菌が常に存在するため, AM茜の有無により対照実験を行う

のは困難である。ベノミル等の殺菌剤を用いて土壌中の AM

菌の密度をコントロールすることはできるが (Fitter1986 ;

俵谷ら 1992), 完全に AM菌を排除するのは難しく,さらに

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齋藤:アーバスキュラー菌根菌の生態と共生機能 279

AM菌以外の微生物叢も変化してしまうなど問題がある。

AM菌感染率は AM菌の存在量の指標として使われている

が.感染率は生育に対する効果と必ずしも相関するとは限ら

ない。圃場レベルで菌根の効果を評価するには.まず AM

菌の機能についての理解が必要である。

4. AM共生におけるリン酸輸送メカニズム

AM共生の重要な機能として, リン酸吸収の促進による宿

主のリン栄養の改善があげられる。ここでは, AM共生のリ

ン酸輸送メカニズムを分子レベルで見ることで.菌根機能に

対する評価法開発の可能性を探る。

植物は,土壌中のリン酸を直接経路または菌根経路を介し

て吸収する (Smithら2011)。直接経路は,根の表皮細胞に

局在するリン酸トランスポーターで植物自身が直接リン酸を

吸収する経路である。一方で,菌根経路は AM菌を介した

リン酸吸収経路であり,この経路が活発な時には直接経路は

抑制され,菌根に依存したリン酸吸収が優占する。菌根経路

によるリン酸輸送は, i)外生菌糸によるリン酸の吸収.

ii)菌糸内のリン酸の輸送, iii)AM菌からのリン酸の放出,

iv)植物によるリン酸の吸収からなる。

(1) AM菌によるリン酸吸収と長距離リン酸輸送

リン酸は土壌中で可給態あるいは不可給態で存在するが,

AM菌が吸収できるのは可給態のリン酸(遊離の無機リン酸)

のみである。 AM菌は有機態リン酸を直接吸収することはで

きないが.外生菌糸から酸性ホスファターゼを分泌しており

(Satoら2015), 有機態リン酸から放出される無機リン酸も

利用できると考えられている。無機リン酸は外生菌糸の細胞

膜に局在するリン酸トランスポーターを介して取り込まれる

(Harrison・van Buuren 1995)。

菌糸内に取り込まれたリン酸は速やかにポリリン酸に変換

される (Ezawaら2004)。ポリリン酸は直鎖状のリン酸の重

合体であり,リンの貯蔵あるいは輸送形態として機能する。

真核生物ではポリリン酸の合成に vacuolartransporter

chaperone (VTC)複合体が関わっており出芽酵母でその

機能が詳細に調べられている。酵母の VTCは液胞膜に局在

しており,細胞質の ATPを基質としてポリリン酸を合成す

ると同時にポリリン酸を液胞に送り込んでいる (Hathornら

2009)。VTCタンパク質には SYG1/Pho81/XPR1ドメイン

(SPXドメイン)と呼ばれる構造があり,細胞内のリン酸レ

ベルに応じでこのドメインにイノシトールポリリン酸が結合

し,ポリリン酸合成活性が制御されている (Wildら2016)。

AM菌のゲノムにも VTC遺伝子が存在するが (Tisserant

ら2012,2013), その機能については未だ詳細には解析され

ていない。

AM菌のポリリン酸は出芽酵母と同様に液胞に蓄積してい

る (Saitoら2005;Kugaら2008)。AM菌の菌糸は隔壁と

呼ばれる細胞の仕切りを欠いており, 1本の管のような形態

をとる。このような菌糸内に管状の液胞が束になって存在し

(Uetakeら2002; Funamotoら2015). この管状液胞内をポ

リリン酸が移動していると考えられている。菌糸内のポリリ

ン酸がどのようにして根内まで運ばれるかについてはほとん

ど分かっていないが.ポリリン酸の長距離輸送の原動力とし

て水の移動や植物の蒸散の関与が指摘されている (Kikuchi

ら2016)。

(2) AM菌からのリン酸放出

ポリリン酸が根内の内生菌糸にまで運ばれると.加水分解

作用により比較的短い鎖長のポリリン酸になる (Solaiman

ら1999; Takanishiら2009)。この短鎖ポリリン酸は,植物

側に輸送される無機リン酸の供給源になっている (Takanishi

ら2009)。

AM菌からリン酸が放出される場は樹枝状体と考えられて

いる。樹枝状体は菌と植物が最も接近している場所であり,

ここで行われているリン酸の授受は菌根共生において非常に

重要なイベントであるが,菌側からリン酸が放出されるメカ

ニズムについては全くと言っていいほど分かっていない。こ

こでは最近提唱されている作業仮説を紹介する (Saito・

Ezawa 2016 : Ezawa・Saito 2018)。AM菌からのリン酸放

出に関する 1つ目の仮説は, トランスポーターによるリン酸

の排出である。 2013年に AM菌の一種である Rhizophagus

切 egularisのゲノム配列が決定されているが,候補となるト

ランスポーターは未だ見つかっていない (Tisserantら

2013)。2つ目の仮説は, suppressor of yeast gpal (SYGl

タンパク質)によるリン酸放出である。動物や植物も SYGl

のホモログ遺伝子を持っており,それらはリン酸の排出に関

与していることが示されている。動物の Xenotropicand

polytropic retrovirus receptor 1 (XPRlタンパク質)は細

胞膜に局在し.リン酸を直接細胞外に放出する (Giovannini

ら2013)。植物の phosphate-deficient1 (PHOl)はゴルジ/

トランスゴルジネットワークに局在し.間接的にリン酸放出

に関与している (Arpatら2012)。菌類の SYGlタンパク質

の機能についてはほとんど分かっていないが,動物や植物と

同様に直接あるいは間接的にリン酸の放出に関係している可

能性がある。 3つ目の仮説は,ポリリン酸としてリンが菌体

外に放出されているというものである。 AM菌の発芽菌糸で

は.ポリリン酸は液胞の他に細胞壁にも観察されている

(Kugaら2008)。このことは,ポリリン酸が細胞外(細胞膜

の外側)に存在することを意味しており,樹枝状体でもポリ

リン酸が細胞壁に局在すれば,植物にとってはリンにアクセ

スしやすい状態にあると言える。樹枝状体の周辺では酸性ホ

スファターゼ活性が高く (Dreyerら2008). ポリリン酸が

無機リン酸にまで分解されている可能性がある。

(3)植物によるリン酸吸収

樹枝状体から放出されたリン酸は.ペリアーバスキュラー

膜(樹枝状体を囲む植物由来の原形質膜)に局在する植物の

リン酸トランスポーターによって宿主細胞内に取り込まれ

る。植物は複数のリン酸トランスポーター遺伝子を持つが,

ペリアーバスキュラー膜で機能するリン酸トランスポーター

はAM菌が感染することで遺伝子発現量が劇的に増加(1,000

倍程度)する特徴がある (Harrisonら2002)。この遺伝子の

機能欠損変異体では菌根経路を介したリン酸吸収が強く抑制

されており.このリン酸トランスポーターは共生的リン酸輸

送において中心的な役割を果たしている (Javotら2007:

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280 日本草地学会誌第 64巻第4号 (2019)

Yangら2012)。ペリアーバスキュラー膜には植物の H九

ATPase (プロトンポンプ)も局在しており,植物細胞から

プロトン (Hりが能動的に放出されることでペリアーバス

キュラースペース(樹枝状体膜とペリアーバスキュラー膜に

囲まれたアポプラスト領域)が酸性に保たれている

(Krajinskiら2014;Wangら2014)。リン酸トランスポーター

はリン酸とプロトンとの共輸送体であり,ペリアーバスキュ

ラースペースと植物細胞質との間に生じる電気化学ポテン

シャル差を利用して細胞内にリン酸を取り込む。リン酸はさ

らに根の導管にまで移動し,植物体全体に運ばれ細胞膜,核

酸, ATPなどの構成成分として利用される。

(4)樹枝状体の形成メカニズム

樹枝状体は AM菌と宿主の間の物質交換の主要な場であ

る。近年,この樹枝状体の形成に関わる植物側の因子がいく

つか同定されている。樹枝状体は菌糸が高度に分岐しており,

それに伴って原形質膜が非常に発達している。それを反映す

るようにエクソサイトーシスなどのメンブレントラフィック

が樹枝状体形成に強く影響する (MacLeanら2017)。樹枝

状体形成に関わるシグナル伝達や転写制御についても一部明

らかとなり,いくつかの重要な遺伝子 (CCaMK, Cyclops,

RAMl, DELLA)が同定されている (Pimprikar・Gutjahr

2018)。また,菌根誘導性リン酸トランスポーターの変異体

では樹枝状体の早期老化が観察されることから, リン酸トラ

ンスポーターはリン酸の吸収だけではなく,共生の維持にも

必要なことが指摘されている (Javotら2007)。近年, AM

菌は宿主から脂質を得ていることが証明されているが (Jiang

ら2017;Keymerら2017; Luginbuehlら2017), 植物の脂

肪酸合成の異常によって樹枝状体が未発達となることから

(Bravoら2017; Keymerら2017; Brandsら2018),植物か

ら供給される脂質が樹枝状体形成に必須であることが示唆さ

れている。

(5)共生的リン酸供給能の評価法開発に向けて

現段階では,作物が圃場でどれだけ菌根に依存しているか

を評価する手段がない。マメ科植物と根粒菌の根粒共生では,

窒素固定活性の推定のためアセチレン還元法や 1sNトレー

サー法相対ウレイド法が開発されている。菌根共生でもリ

ン酸供給能を推定する方法が開発できれば,圃場における菌

根の寄与度が明らかになってくると思われる。評価法開発と

しては,共生的リン酸供給の「鍵」となる植物または AM

菌の因子を特定し,その量や活性の定量法を確立するという

アプローチが考えられる。「鍵」となる因子の候補として,

リン酸輸送に関与すると思われる AM菌のリン酸トランス

ポーターや VTC,SYGlあるいは植物のリン酸トランスポー

ターや H+-ATPaseがあげられる。また, これらのタンパク

質や酵素以外にもポリリン酸などの貯蔵・輸送物質も指標に

なるかもしれない。しかし,植物の菌根誘導性リン酸トラン

スポーターの遺伝子発現量は茜根を介したリン酸吸収量と相

関が無かったり (Sawersら2017), そもそもリン酸トラン

スポーター以外の因子については研究がほとんど進んでいな

いのが現状である。また,上記以外のタンパク質や物質が共

生的リン酸供給に重要な役割を果たしている可能性もあり,

リン酸化合物の代謝酵素や輸送体の中に候補を求めること

や, トランスクリプトーム解析で網羅的に候補を探索するこ

と(江沢2016)が今後必要になるだろう。

5. おわりに

国内の火山灰土壌ではリン酸の利用率が特に低く. リン酸

質肥料が多く使われてきた。その原料となるリン鉱石は世界

的に遍在しており. 日本はほぼ全量を海外に依存している。

近年.リン資源に関する世界の情勢は大きく変化しており,

2008年にはリン酸質肥料の価格が一過的に約 1.5倍上昇し,

最近 15年間を見ても価格は上昇傾向にある (Saito2018)。

さらに長期的には高品質のリン鉱石の採掘量は減少すると予

想されており (Cordell・White2014). 将来にわたってリン

酸質肥料を安価に利用できるか不透明である。持続的にリン

資源を利用するためには, リン酸質肥料の原料をリン鉱石だ

けでなく,土壌やし尿,排水などに含まれるリンにも求め,

リンを物質循環の系にのせる必要があるだろう。また.作物

のリン利用率を高める技術もリン資源の有効利用には不可欠

である。

本論文で紹介したように,飼料用トウモロコシ栽培におけ

る土着 AM菌の利用は, リン利用率を高める技術のひとつ

となる可能性がある。人工草地においても.環境条件を整え

ることで土着 AM菌を活用できると思われるが現段階で

はAM菌の寄与度を評価する手法がなく積極的な利用は難

しい。リン酸供給能を推定する方法が開発できれば.草地に

おいても土着 AM菌の能力に応じて減肥が可能となるだろ

う。これまで,土壊の物理性や化学性をもとに土壌診断が行

われてきた。 AM菌の機能を定量化できれば,土壌の生物性

を評価する新たな土壌診断・作物栄養診断としても応用でき

る。

AM共生を活用するアプローチとして,共生機能を発揮し

やすい牧草品種の育種も考えられる。Martin-Roblesら(2018)

は, 27種の作物を対象に野生種と栽培種の菌根反応性を比

較し.野生種は土壌中のリン酸レベルに関わらず菌根反応性

が高いが.栽培種はリン欠でのみ菌根反応性が高くなること

を報告している。これまでの育種では肥料反応性の高い品種

が選抜されており,それに伴い菌根反応性が低下しているこ

とも指摘されている (Hetrickら1993)。近年,菌根形成の

分子メカニズムは明らかになってきており,それらの知見を

利用した分子育種の可能性が提案されている (Sawersら

2018)。

生態系機能に対する AM共生の影響はまだ不明な点が多

い。しかし.草地植生の安定化に関与していることが指摘さ

れており (Yangら2014). 植生管理技術として AM共生を

活用できる可能性がある。また, AM茜は土壌養分の溶脱を

抑制することや,炭素循環にも寄与することから,草地の環

境保全にも貢献できるかもしれない。このように AM菌の

共生機能は多面的であり.生態系機能や物質循環に対する効

果がより明らかになれば,草地における AM共生の応用範

囲は広がると考えられる。

Page 7: 草地および飼料畑におけるアーバスキュラー菌根菌の生態と ...草地および飼料畑におけるアーバスキュラー菌根菌の生態と 共生機能

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