進歩する抗がん剤治療分子標的治療薬の特徴...
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進歩する抗がん剤治療
(消化器がん編)
消化器内科 津田 政広
本日の話題
•新しい抗がん剤(分子標的治療薬)の話
•新しい治療への取り組み
分子標的治療薬って?分子標的治療薬って?
抗がん剤の種類
従来の抗がん剤
=殺細胞剤
新しい抗がん剤
=分子標的治療薬分子標的治療薬
細胞の増える仕組み
核
DNA
従来の抗がん剤従来の抗がん剤=殺細胞剤=殺細胞剤
細胞が増える際に大切な、DNA合成を傷害したり、細胞分裂を阻害することにより、がん細胞を破壊する。
正常細胞も影響を受正常細胞も影響を受けてしまう。けてしまう。(副作用)(副作用)
生物学の進歩により、細胞の増える仕組みが
もっと詳しくわかってきました。
正常細胞
増殖因子増殖因子
受容体受容体
伝達分子伝達分子
Shc
RasSosGrb2
Raf
ERK
MEK
増殖因子増殖因子
受容体受容体
伝達分子伝達分子
がん細胞正常細胞
より増えやすい性質をより増えやすい性質を持っている持っている
新しい抗がん剤新しい抗がん剤
分子標的治療薬分子標的治療薬
がん細胞により多くあるもの(分子)だけを選んで(標的にして)破壊すれば、がんだけを破壊できるはず。
Shc
RasSosGrb2
Raf
ERK
MEK
大腸がんでは…
ベバシズマブベバシズマブ(アバスチン)(アバスチン)
Shc
RasSosGrb2
Raf
ERK
MEK
腫瘍血管の増殖因子を抑える
大腸がんをコントロールできる期間
従来の化学療法
+ベバシヅマブ+ベバシヅマブ
セツキシマブセツキシマブ(アービタックス)(アービタックス)
Shc
RasSosGrb2
Raf
ERK
MEK
受容体を抑える
セツキシマブセツキシマブ++
イリノテカンイリノテカン
(分子標的治療薬)
(殺細胞剤)
腫瘍を縮小する効果
腫瘍を抑制する期間
大腸がんをコントロールできる期間
従来の化学療法
+ベバシヅマブ+ベバシヅマブ セツキシマブセツキシマブ
分子標的治療薬の特徴殺細胞剤との併用で用いられることが多い。
効効 果果 :やや弱い:やや弱い
副作用副作用 :軽い:軽い
殺細胞剤(従来の抗がん剤)と比較して
副作用
新しい治療への取り組み新しい治療への取り組み
胃がんでは…
胃がんの抗がん剤治療
より効果を高めるために
ティーエスワンティーエスワン((殺細胞剤殺細胞剤))
シスプラチンシスプラチン(殺細胞剤)(殺細胞剤)
+
2007年より標準治療になりました。
腫瘍を縮小する効果
腫瘍を抑制する期間
副作用
この治療の問題点
• 副作用の程度が強くなり、腎臓への負担も増えました。
• 点滴の時間が長いので(3日間)、そのためだけの入院が必要です。
(効果はあるが)(効果はあるが)
新たな負担が増えてしまった!新たな負担が増えてしまった!
現在の標準治療
+
さらにより負担の少ない治療にするために……
ティーエスワンティーエスワン(殺細胞剤)(殺細胞剤)
シスプラチンシスプラチン(殺細胞剤)(殺細胞剤)
新しい治療への取り組み(新薬治験)
ティーエスワンティーエスワン(殺細胞剤)(殺細胞剤)
+
20102010年の年の11月より開始月より開始
• 治療効果はそのまま• 副作用はより軽く、腎臓への負担はありません。• 点滴の時間は2時間です(入院不要)。
オキサリプラチンオキサリプラチン(殺細胞剤)(殺細胞剤)
さらにより負担の少ない治療にするために……
その他の新しい治療への取り組み(新薬治験・臨床試験)
• 胃がんの2次治療について(WJOG4007)
• 大腸がんの1次治療について(WJOG4407G)
• 大腸がんの2次治療について(CR0802)
• 膵臓がんの2次治療について(P-SOX) など….
より良い治療をより良い治療を
より楽により楽に
受けていただく受けていただく
消化器がんの消化器がんの抗がん剤治療の方向抗がん剤治療の方向
抗がん剤治療は日々進歩してます
患者さまへのメッセージ
「無理せず、気負わず、粘り強く」「無理せず、気負わず、粘り強く」
つづけていきましょう!つづけていきましょう!
ご静聴ありがとうございました