資本収益性 向上に向けた 取り組み -...
TRANSCRIPT
「資本収益性向上に向けた取り組み」として、どのように取り組むかの⽅向性についてご説明します。
資本収益性向上に向けた
取り組み
2019年4⽉11⽇株式会社リコー取締役 専務執⾏役員 CFO松⽯ 秀隆
先ほど⼭下から紹介があったページの再掲になります。 昨年10⽉より、社⻑直轄プロジェクトで、資本を意識した経営に向けて検討をしてまいりました。
(C) 2019 Ricoh Co. Ltd. All Rights Reserved 1(C)2019 Ricoh Company, Ltd. All Rights ReservedApril 11, 2019
「リコー⾶躍」に向けて
成⻑戦略「リコー挑戦」を確実に実⾏し、2022年度⽬標達成とその先の持続的な成⻑を実現する
適切な資本政策と投資の実施により、資本収益性向上と成⻑戦略実現を両⽴させる
成⻑戦略の実現に向け、適切な評価やインセンティブの下で経営を⾏う
成⻑戦略の実⾏ 資本収益性の向上
コーポレートガバナンス改⾰
成⻑戦略、資本収益性向上、ガバナンス改⾰を三位⼀体で展開
本取り組みに⾄った背景をご説明します。 ご存知の内容かとは思いますが、まず、企業価値向上の視点の変化がございます。
2013年、⽇本再興戦略で位置付けられて以来、スチュワードシップコード、ガバナンスコードが導⼊され、昨年にはコーポレートガバナンスコードの改訂がありました。改訂の中で、資本コストを意識した経営を⽬指すという指針が出されました。コストとリスクを意識しながら、ROEの向上を⽬指す、企業価値の最⼤化を狙うとして指針が出ました。それがキャピタルゲイン・インカムゲイン、つまりはTSRの向上につながっていくということです。
(C) 2019 Ricoh Co. Ltd. All Rights Reserved 2(C)2019 Ricoh Company, Ltd. All Rights ReservedApril 11, 2019
2013 2014 2015 2016 2017 2018
企業価値向上の視点の変化
⽇本再興戦略(アベノミクス第三の⽮)
⽇本版スチュワードシップ
コード導⼊
コーポレートガバナンスコード
導⼊
伊藤レポート(ROE 8%)
⽇本版スチュワードシップ
コード改訂
コーポレートガバナンスコード
改訂
資本コスト
資本コスト規模の拡⼤
規模の最適化
企業価値最⼤化
コスト・リスクを意識
ROE
リターンへの意識
TSR向上
キャピタルゲイン(株価)
インカムゲイン(配当)
ROE
2つ⽬の背景は、リコーの財務に対する市場の評価です。 配当利回りは安定していますが、ROEや株価成⻑率のボラティリティが⾼いと認識しています。
直近では、構造改⾰や減損を含めた資産の適正化を⾏った結果、⼤幅の⾚字となりROEの低下がありました。株価を⾒ますと、最近は評価が少し上がってきたのかなというふうに感じています。
このボラティリティーの安定化のために抜本的な収益構造の転換が必要だと考えています。
(C) 2019 Ricoh Co. Ltd. All Rights Reserved 3(C)2019 Ricoh Company, Ltd. All Rights ReservedApril 11, 2019
資本市場の評価
-15%
-12%
-9%
-6%
-3%
0%
3%
6%
9%
12%
-50%
-40%
-30%
-20%
-10%
0%
10%
20%
30%
40%
05年度 06年度 07年度 08年度 09年度 10年度 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度
株価成⻑率ROE
最⾼売上最⾼益 世界⾦融危機
東⽇本⼤震災
CRGP実施
配当利回り(右軸)
配当利回りROE(右軸)
今後は抜本的な収益・事業構造転換が必要
注︓ 2018年度は⾒込み
リコー再起動
株価成⻑率ROE8%
3つ⽬の背景は、TSRの評価になります。 TOPIXや他社ベンチマークと⽐較しても、株価の評価のギャップがあります。
その意味で、資本収益性を重視した経営によって、マーケットの評価を改善し、市場全体でのギャップをなくす取組みを進める必要があるということです。
(C) 2019 Ricoh Co. Ltd. All Rights Reserved 4(C)2019 Ricoh Company, Ltd. All Rights ReservedApril 11, 2019
リコー120%
A社135%
B社151%
TOPIX(配当込)184%
80%
100%
120%
140%
160%
180%
200%
2013/3 2014/3 2015/3 2016/3 2017/3 2018/3
TSR(株主総利回り)資本収益性を重視した経営によりマーケットの評価を改善し、市場全体とのGAPを解消する
株価評価のGAP
TSR(計測期間: 1年間〜5年間/配当累積)TSR=(各年度期末株価+各年度末までの配当⾦累積額)÷2013年3⽉末株価
現在、持続的成⻑と中⻑期な企業価値向上に向けて、成⻑戦略を本格展開し、また今後数多くの成⻑事業にチャレンジをしていきます。
様々な分野が含まれますので、投資・事業ポートフォリオの確実な管理が必要となります。株主資本、資本の収益性をしっかり意識しながら経営することで、持続的成⻑と中⻑期の企業価値の向上につなげ、ひいては株主さま、およびステークホルダーの皆さまへ利益還元ができることと認識しています。
(C) 2019 Ricoh Co. Ltd. All Rights Reserved 5(C)2019 Ricoh Company, Ltd. All Rights ReservedApril 11, 2019
資本収益性を意識した経営資本収益性を意識した経営
持続的成⻑と中⻑期的な企業価値の向上に向けた経営
「再起動」2017年度〜
「挑戦」2018年度〜
「⾶躍」2020年度〜
株主ステークホルダーへ
価値を還元
株主ステークホルダーへ
価値を還元成⻑戦略の実現
資本効率の追求
成⻑戦略の実現
資本効率の追求
ポートフォリオマネジメント
持続的成⻑と中⻑期的な
企業価値の向上
構造改⾰ 成⻑戦略の始動 ガバナンス改⾰ 経営システムの強化
成⻑戦略の本格展開 成⻑戦略を⽀える経営基盤改⾰
営業利益1,850億円 ROE9.0%以上 事業構造の変⾰
成⻑戦略の本格展開に舵を切る中で投資および事業ポートフォリオ管理を資本収益性を意識しながらより強⼒に⾏う必要
具体的な取組みの⽅向性です。 従来はROEを中⼼に、中⻑期の企業価値向上ということで捉えてきましたが、今後は事業運営と
資本政策をしっかり定義しながら、運営していきます。事業運営は、事業別にROICを導⼊しての投資管理と、事業の収益性につながる部⾨単位のKPI管理をしっかりとやっていきたいと考えています。資本政策は、有利⼦負債と株主資本の最適資本構成を⽬指して、負債と資本の関係を最適化していきたいと考えています。
同時に株主の皆さまへの利益還元、特に安定・継続的な配当を実施していきたいと考えています。
(C) 2019 Ricoh Co. Ltd. All Rights Reserved 6(C)2019 Ricoh Company, Ltd. All Rights ReservedApril 11, 2019
資本収益性を重視した事業運営・資本政策
投下資本
融資
出資
負債コスト(⽀払⾦利)
株主期待リターン
ROE
事業運営
中⻑期的な企業価値の向上
資本政策
ROIC>資本コストとなる事業・投資管理
事業戦略別のKPIマネジメント
D/Eレシオ最適化(最適資本構成)
株主への利益還元 資本コストの低減
有利⼦負債
株主資本
市場
債権者
投資家
事業投資
リターン
投資
資本コスト資本コストを上回るリターンを追求
事業戦略および部⾨特性に合わせたROICツリーの展開を⾏っていきたいと考えております。 ROICの適⽤範囲は事業と地域の⼤きく2つです。既存事業と成⻑事業、新規事業というのは
当然特性が違いますので、異なるKPIで管理をしていきます。先進企業のベンチマークなども⾏いながら、現場の活動につながる意味のあるKPIを管理していきたいと考えています。既存事業では、現在も管理していますが、例えば売価率や原価率、在庫回転率などがあります。さらにしっかりと管理する指標としていきたいと考えています。新規事業については、ROIとか減損リスク、IRRといった指標をKPIとして管理していきたいと考えています。
(C) 2019 Ricoh Co. Ltd. All Rights Reserved 7(C)2019 Ricoh Company, Ltd. All Rights ReservedApril 11, 2019
事業戦略に合わせたROICツリー展開例
ROICROIC
既存事業A既存事業A
既存事業B既存事業B
NOPAT向上NOPAT向上 限利率向上限利率向上
固定費減固定費減
売価率売価率
原価率原価率
※ 収益性の低い既存投資の⾒直し・撤退(投下資本削減)も含まれる
・・・
効率⽬的の展開
・・・etc.・・・etc.
・・・etc.・・・etc.
・・・
※ 中⻑期での成⻑重視
KPI
資本政策資本政策NOPAT向上NOPAT向上
新規事業A新規事業A
新規事業B新規事業B
投下資本最適化投下資本最適化 CCC向上CCC向上
固定資産回転率固定資産回転率
⼿元資⾦最適化⼿元資⾦最適化
ROEROE 投下資本最適化投下資本最適化
在庫回転期間在庫回転期間
⽣産⾃動化率⽣産⾃動化率
M&A投資M&A投資
設備(R&D)投資設備(R&D)投資
ROIROI
減損リスク減損リスク
IRRIRR
成⻑⽬的の展開
・・・etc.
・・・etc.
・・・etc.
事業戦略・部⾨特性に合わせたROICツリー展開を⾏う
事業運営と資本政策の全体マップを⽰しています。資本コストや財務健全性を意識しながら投下資本収益を最⼤化し、企業価値の最⼤化を図るということです。
投下資本の収益最⼤化は、説明しましたROICとポートフォリオのマネジメントを実施することです。個別投資管理は、去年の7⽉に発⾜しました投資委員会にて、IRR、DCF法など、また、ROIを⾒ながら、リスクとチャンスをしっかり⾒極めたマネジメントに取組み始めています。政策保有株は、ここ数年で約半減させ、現在は23銘柄まで減少しています。上場企業の中でも⾮常に少ないほうだと認識しております。今後も縮減⽅針で、リターンが返ってこない、もしくは例えば業績への反映がないものについては減らしていく⽅針です。
負債は、格付けを意識しながら、調達するリソースの多様化を進めたいと考えています。資本⽅針のうち配当⽅針は、19次中計では「安定的な配当に努める」としてきましたが、今回、「連結配当性向で30%を⽬安とした安定的な配当をしていく」という⽅針に変更しました。⾃⼰株取得の⽅針は、経営環境を踏まえて機動的に実施していくという⽅針です。その結果が最適な資本コストと適正な株式還元につながり、企業価値向上の最⼤化につながるというふうに考えております。
(C) 2019 Ricoh Co. Ltd. All Rights Reserved 8(C)2019 Ricoh Company, Ltd. All Rights ReservedApril 11, 2019
事業運営・資本政策マップ
企業価値最⼤化
TSR向上TSR向上
新たな価値提供
新たな価値提供
最適な資本コスト最適な資本コスト
適正な株主還元適正な株主還元
ROE・株主資本コスト
配当性向(DOEも参考)
資本コスト・財務健全性を意識しながら投下資本収益を最⼤化し、企業価値最⼤化を図る
ROICマネジメント ROIC事業管理
ハードルレート>資本コスト+スプレッドB/Sマネジメント
個別投資管理(投資委員会) IRR>資本コスト+リスク 事業戦略→ROI
政策保有株式低減 便益・リスク>資本コスト
投下資本収益最⼤化投下資本収益最⼤化
負債⽅針 格付け維持 調達ソース多様化(直間⽐率)
資本⽅針 ⼗分な⾃⼰資本
⾃⼰株取得⽅針 経営環境を踏まえた機動的実施
配当⽅針 連結配当性向30%を⽬安と
した安定的な配当
健全性の確保健全性の確保
ROIC導⼊のロードマップです。現在は投資委員会でハードルレートとIRRなどを⾒ている、という状況になります。
今年は、事業別のROICと、ROICツリーの現場適⽤のトライアルを開始します。次ステップは、全社の⽬標を設定した実績管理、部⾨別のROICツリーの展開、事業ポートフォリオマネジメントに取り組んでいきます。さらに次のステップは、ROICの精緻化をしながらPDCAを定着させることとしています。ここでの定着には、ITによる⾃動化も含みます。
ROICは往々にして縮⼩均衡になるきらいがあるとよくいわれますが、事業フェーズの位置付けを⾒極めながら、リコーライクなROIC経営を確⽴させていきたいと考えています。
本⽇は、これからのチャレンジとして決まっていない点が多く、考え⽅レベルの内容ではありましたが、取り組みの⽅向性についてご理解いただければ幸いです。
以上です。
(C) 2019 Ricoh Co. Ltd. All Rights Reserved 9(C)2019 Ricoh Company, Ltd. All Rights ReservedApril 11, 2019
Step3 安定期Step2 実現期Step1 導⼊期現状
事業別ROICの算定と前年実績との⽐較による評価トライアル
ROICツリーによる現場の活動管理のトライアル
全社及び事業ROIC達成⽬標の設定と予実績管理
部⾨(現場)ROICツリーによるPDCA実践
ROICを使った事業ポートフォリオマネジメントの実施
事業の状況に応じたROICの精緻化
ROICツリーによるPDCAの定着(数値集計のシステムによる⾃動化含む)
投資判断における資本コストを意識したハードルレートの活⽤
3ステップでROIC本格導⼊を⽬指す
ROIC導⼊のロードマップ
(C) 2019 Ricoh Co. Ltd. All Rights Reserved 11(C)2019 Ricoh Company, Ltd. All Rights ReservedApril 11, 2019
本資料に関するご留意事項本資料に記載されている、リコー(以下、当社)現在の計画、⾒通し、戦略などのうち、歴史的事実でないものは、将来の業績に関する⾒通しであり、これらは、現在⼊⼿可能な情報から得られた当社の経営者の判断に基づいております。
従って、実際の業績はこれらと異なる結果となる場合がありますので、これら業績⾒通しにのみ全⾯的に依拠なさらないようお願い致します。
実際の業績に影響を与えうる重要な要素には、 a) 当社の事業領域を取り巻く経済情勢、景気動向、 b) 為替レートの変動、 c) 当社の事業領域に関連して発⽣する急速な技術⾰新、 d) 激しい競争にさらされた市場の中で、顧客に受け⼊れられる製品・サービスを当社が設計・開発・⽣産し続ける能⼒、などが含まれます。ただし、業績に影響を与えうる要素はこれらに限定されるものではありません。 (参照︓「事業等のリスク」http://jp.ricoh.com/IR/risk.html)
本資料に他の会社・機関等の名称が掲載されている場合といえども、これらの会社・機関等の利⽤を当社が推奨するものではありません。
本資料に掲載されている情報は、投資勧誘を⽬的にしたものではありません。投資に関するご決定は、ご⾃⾝のご判断において⾏うようお願い致します。
2018年度⾒通しの数字は、第3四半期決算時点の⾒通しとなっております。 本資料における年号の表記︓4⽉から始まる会計年度の表記としております。
(例) 2018年度 (FY2018)︓2018年4⽉から2019年3⽉までの会計年度