島津製作所 示差熱 dtg-60 操作マニュアルcama/gakugai/external...島津製作所...
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島津製作所 示差熱‐熱重量同時測定装置
DTG-60操作マニュアル Ver.3(2013.2)
設置場所 : 資源研 R1棟 5階 517号室 管理:技術部 すずかけ台分析支援センター
1
DTG-60概略手順 準備 1. 測定室 517 室の鍵を R1棟 1 階 120 室(すずかけ台分析支援センター)で借りる。
2. 測定室の環境を確認する。
向かって右側エアコン(蛍光寿命測定装置サイドの)壁のスイッチを入れる。左側エアコ
ンの風が本体天秤部にあたっていると測定に悪影響があるため。窓に向かって左側の
エアコンのスイッチが、すでに入っているときは「可能な限り」オフにする
3. DTG-60 本体、TA-60WS(ワークステーション)、FC-60A(フローコントローラー)の
電源を入れる。(各装置の背面にあるトグ
ルスイッチの位置は、シールで表示して
ある。入れる順番に規制はない。)
4. エアコンスイッチおよび本体電源投入の直後は、DTG-60 の天秤部がふらついて
いるので、30 分~1 時間程度、準備をし
ながら安定を待つ。
5. 使用できるガスは乾燥窒素(99.99%)と乾燥空気の2種類である。使用するガ
スの 1 次バルブを開け、ボンベのニー
ドルバルブを緩める。2 次圧が 0.3~
0.5Mpa に調整してあるので確認する。
6. FC-60A の設定を確認する。(ここからは窒素ガスで説明)パージガススイッチ
No1が OPENになっている。なっていな
ければ押してガスオープンにする。No1
フローメータの流量が 50ml/min になっ
ている。なっていなければニードルバルブをまわして流量を 50ml/min にする。窒素以外の
ガス、乾燥空気などの場合は No2 を使用する。
7. 装置が載っている実験台の引き出しと、下部の戸棚から必要なものはあらかじめ全て出しておく。引き出し右側にマニュアル類、左側にツール類、下部戸棚にはシーラーが入って
いる。引き出しの開け閉めと、戸棚の開け閉めの振動によって測定中にベースラインにノ
イズが出るなど、変動するので測定中は開け閉めをしない。
8. PC を起動し、デスクトップ上の「TA60 収集:モニタ」をダブルクリックする。
9. 「収集:モニタ」と「装置」のウインドウが表示されるので、「装置」の中の「DTG-60」をクリックすると、DTG 本体と通信を開始する。
FC-60A(ガスフローコントローラー)
No1 フローメーター 50ml/min
パージ No.1 OPEN
ニードルバルブ
スイッチは装置の後ろ側
DTG-60 全体
ここをダブ
ルクリック
2
10. モニタでベースラインのドリフトを表示させ、1時間程度安定させる。その間に準備。
11. データフォルダ作成:モニター画面を最小にして、デスクトップから[TGData]をひらいて[ライセンスユーザー]フォルダに新規に研究
室名のフォルダを作り、フォルダを作ったら閉じておく
準備1:用具類(一通りは測定室に備えてある)
試料容器(通常アルミパン)付録 1 (11 頁)参照
ピンセット、ミクロスパーテル、薬包紙、キムワイプ
ミクロスパーテルを拭き取る溶媒(エタノール)
実験系廃棄物を入れるビニール袋(持ち帰り用、測定室にある)
必要に応じて リファレンス用アルミナ、シーラー
準備2:試料のサンプリング
目安としてサンプルが 10mg 以下、または無機物質ならリファレンスは空でよい。
10mg より多い場合や有機物試料はリファレンス側に TD/DTA用のα-アルミナをい
れて基準物質とする。試料の前処理については、付録2 (12 頁)を参照して適切に
サンプリングすること。
セルフタは薄いので 2枚重なってくっついている場合がある。誤って 2枚取らない様
に注意する。
測定 1. PC のモニタを表示させて、ベースラインが安定している事を確認
2. 本体の「OPEN/CLOSE」ボタンを押し、加熱炉が上昇を始め、止まったら、ピンセットを
使って、リファレンス側の左センサーに新しい空の(または基準物質)セルを、右側のセ
ンサーに空のサンプル用のセルを置く。使用するセルについては付録1を確認して、適
切なものを使用すること。
ここをクリックする モニター開始
本体ディスプレイの OPEN/CLOSE ボタン:
加熱炉の開閉
ここをダブ
ルクリック
DTG-60(本体)
操作ボタン。下図が拡大したもの
この中に、次頁の天秤部が入っている
ここが加熱炉で、上下に開閉する
DISPLAY:表示の切り替え。押す毎に、温度→重量→熱量信号の順に変わる。
OPEN/CLOSE:加熱炉の開閉
ZERO:重量信号のゼロセット
AUX:通常は使用しないが、DISPLAY と同時押しで加熱炉温度の表示。センサー温度を表す。
STOP:加熱炉動作時の強制停止
天秤部内部
テーブルや本体に衝撃を加えると、バンドが切れるので注意
ここの右側に試料入りセルを乗せる。左側には、付属のアルミナ粉末を試料と同量、有機物の場合は、その倍の量をセルに入れる
セルの中に先に試料を入れてからセルを載せる セルを載せる際はピンセットを使用する ディテクタに直接指を触れない、強い力を加えない
4
3. 本体の「OPEN/CLOSE」ボタンを押して加熱炉を降ろした後、1~2 分待ち、「DISPLAY」
ボタンを押して、「mg」表示に切り替え、X.xxx mg 末尾数値のふらつきが落ち着いたら、
「ZERO」ボタンを押す。
4. 再び加熱炉を上げ、空セルを取り出し、サンプルを入れた後、再度右側のセンサーの上
に置き、加熱炉を下ろす。
== 参考 有機物試料、または、10mg 以上の試料のはかり方 ==
方法1、マイクロバランスを使用する。分析センターの有機元素分析担当の、所定のセルフ操
作講習を受講して、天秤室を予約して使用する。セル、アルファアルミナ、試料の重
量を精密にはかり取って、測定室へ持ってくる。(詳細は熱分析担当者に連絡)
方法2、次の手順で DTG-60 で測定する。
a、ゼロリセット: 加熱炉を閉状態にして、ディスプレイボタンで mg を表示→最小桁
(0.00x mg)の変動がない事を確認→「ZERO」ボタン
b、リファレンスセル: 加熱炉を開→リファレンス側に空のセルをピンセットを使って乗せて
加熱炉を閉→ディスプレイボタンで mg を表示→最小桁(0.00x mg)の変動がない事を確認
→重さを記録(-12.96mg など)→「ZERO」ボタン
c、サンプルセル: 加熱炉を開→サン
プル側に空のセルをのせて加熱炉を閉→
ディスプレイボタンで mg を表示→最小桁
(0.00x mg)の変動がない事を確認→重さ
を記録(12.79mg など)→「ZERO」ボタン
d、リファレンス側に基準物質; 加熱炉を
開→リファレンス側のセルをピンセットを使
っておろす→薬包紙の上でαアルミナ粉
末を入れる→ピンセットでリファレンス側に乗せる→加熱炉閉→ディスプレイボタンで mg を
表示→最小桁(0.00x mg)の変動がない事を確認→重さを記録(-10.62mg など)→「ZERO」
ボタン
e、サンプル側に試料: 加熱炉を開→サンプル側のセルをおろす→薬包紙の上でサンプル
を入れる→ピンセットでサンプル側に乗せる→加熱炉閉→ディスプレイボタンで mg を表示
→最小桁(0.00x mg)の変動がない事を確認→重さを記録(9.156mg など)
5. メニューバーの「測定」→「測定パラメータ」を選択するか、コマンドボタンをクリックす
る。 6. 「温度プログラム」、「データ取込条件」、「ファイル情報」の入力画面が表示されるので、
必要事項を記入する。(メニューを開いた際に表示されている条件は、最後に測定をし
た時に使用した条件が入っています。)
7. はじめに温度プログラムを入力する。試料の特性がよくわからないときは温度レート
20℃/min、目標温度 600℃、ホールド時間ゼロとする。単一ガスの場合ガス設定は無し。
最初から温度レート 20℃/min 以上の設定はしないこと。「OK」を押すと閉じるので注意
このように画面が切り替わる
変わったときから本体信号を
表示している
ここをクリック
ヘルプキーについて ツールバ ー の ア イ コ ン ま た はShift-F1 キーで知りたい箇所をクリックするとその部分のヘルプが表示される
このボタンをクリックして も、測定パラメ ータが開く
1回の測定で、最大 99パターンのプログラムを設定できる
各タブを選択し、内容を編集する。
データ取り込み条件の設定 この時間を短くすると、細かくデータを取り込むようになる(特に変更はしなくてもよい)
試料によって適切な取り込み条件を指定する。はじめはこのままでよい
次のタブ
6
8. 測定パラメータを入力し終わったら、「OK」ボタンを押し、モニタ画面右上の「スタート」ボ
タンを押す。
9. 画面中央に、「測定の開始」のウインドウが表示され、データフォルダに保存するための
ファイル名の入力、保存フォルダの選択ができる。このとき、「TG信号読取」を押すと、D
TGが示している現在の重量を入力することが出来る。開始を押すと、測定が行われる。
10. 測定が始まると、画面の色が変わる。デフォルトでラインの色を、温度:緑、TGA:
青、DTA:赤と設定
してある。(変更可
能) 11. 測定中に減量、吸
熱発熱温度を確認
したい時は、メニ
ューバー[表示]か
らカーソルを選ぶ
→表示したいとこ
ろに合わせる。(こ
このボタン
を押す
開始ボタンを押して測定スタート
ファイル名:デフォルトで日付と時間が入る設定 保存フォルダ: [参照]で自分の研究室のフォルダを指定する。
標準はピンクになる 変更は可能 ストップを押す
ことで、強制終了
グラフスケールなど、変えたいところでダブルクリックをすると、変更出来る。
れは表示のみ。データ処理プログラムは測定終了後に TA60 の
アイコンをクリックして起動させる。) 12. 測定が終了すると、もとに戻る。本体の温度が 100℃以下に下
がったら、モニターでベースラインドリフトを確認する。ベ
ースライン確認中は本体やモニターはそのままにしておく。 データ処理 13. デスクトップ TA60 のアイコンをクリックして起動させる。 → →
14. [ファイル]→[開く]から測定データを読み込み、解析したい線をクリッ
クすると▼マークが現れる。
15. 減量(自動)解析は、TGA 曲線(青)を選択しアイコンをクリックする。→
16. 解析したいベース開始点をクリックして指定(カーソルは青)。全体の終
点をクリックして指定。間の第一段階、第二段階のベースラインをクリックして
指定する。
17. ダイアログの[解析]ボタンをクリックすると、各段階の重量変化 mg と割合%、終
点に全体の重量変化 mg と割合%が一度に表示される。
18. DTA 曲線(赤)を選択すると TGA と同様に▼マークが表示される。
○3 解析したいベース終点をクリックして指定
メニューバー [解析 ]またはアイコン
ダイアログが現れる [解析 ]ボタンで増減表示 [終了]で次の解析へ
○1 マウスクリックして指定すると▼表示
○2 解析したいベース開始点をクリックして指定(カーソルは青)
○4 第 1段をカーソルで指定(カーソルは水色)
○5 第 2段をカーソルで指定(カーソルは水色)
ここをダブ
ルクリック
8
19. メニューバー[解析]または、ツールバーのアイコンをクリ
ックする。
20. DTA ピークのオンセット(熱量変化開始温度)、トップ温度な
どを表示させる時はベースラ
イン開始点と終了点にそれぞ
れカーソルを合わせてクリッ
ク。
21. メニューバー[解析]またはツールバーアイコンでダイアロ
グ表示。
22. ダイアログの[解析]ボタンを押すと数値が表示される。
23. [終了]して次の解析へ。
熱量解析は事前に熱量校正を行わない場合の数
値は無効
24. 名前を付けて自分のフォル
ダに解析データを保存する。
プリンターがないので専用
の USBでデータを取り出す。
または、画面をハードコピ
ーして「ペイント」にべー
ストする。ファイルは.bmp
として USB に保存する。
25. データ再生用の PCでエクセ
ルやワードで編集可能。デ
ータを持ち出すときは自分
解析したい曲線をクリックして指定▼マークが表示される
接線交点解析→
熱量解析→
自動解析→
各段階の重量
変化と割合 全体の減量と
割合
各段階の熱量
変化と割合が
表示される
の USB にコピーする。
26. データ解析詳細は付録 3 (16 頁)を参照。
主な現象とTGおよびDTA曲線のモデル(左表)
終了 27. Display ボタンまたは「収集:モニタ」
と「装置」のウインドウで本体温度を
確認して、100℃以上なら 100℃になるまで待つ。
28. 本体の「OPEN/CLOSE」ボタンを押し、加熱炉が上昇を始め、止まったら、基準セルお
よびサンプルセルをピンセットで取り出す。基準セルが空の場合に汚染や変形が
なければ繰り返し使用可能なので、ケースなどに入れて保管する。
29. 本体の「OPEN/CLOSE」ボタンを押し、加熱炉を下げる。
30. プログラム TA60 を終了、「TA60 収集:モニタ」を終了して PC シャットダウン。
31. FC-60(フローコントローラー)のパージ No.1 ボタンを OFF、ガスボンベを閉じて、
10
調圧器のニードルを閉める(閉めすぎないこと)、2 次圧を緩めておく。
32. DTG-60 本体、TA-60WS(ワークステーション)、FC-60(フローコントローラー)の背面
電源スイッチを OFF。
33. ノートに使用記録を記入する。
34. 実験系廃棄物や持参した道具類は忘れずに持ち帰る。
35. エアコンと照明スイッチを切って、鍵をかける。
36. 鍵はすずかけ台分析支援センター120 室に返却する。
担当者:石川薫代
連絡先:すずかけ台分析支援センター R1-120室、内線-5276
付録1 セルの選択
1. 測定時に使用するセルですが、温度によって使用できないものがあります。白金セ
ルとアルミナセルは1500℃までで、アルミニウムセルは600℃が限度です。
アルミニウムセルを間違えて高温で測定をしますと、センサーが破損します。必ず
確認をしてください。
2. DTG 用試料セル
材質 品名 用途 使用上限温
度 外径寸法mm
重量mg
容量μL
セット個数
部品番号
ア ルミ ニウム
Al クリンプセル
一般用 600℃ φ5.8x1.5(蓋付)
13 34
50
201-52943
Al マクロセル
φ6x5 49 110 201-57268-90
Al シールセル
液体試料。耐圧 3気圧(ピンホール付蓋の使用可)
容器内圧が3気圧となる温度
φ5.7x1.5(蓋付)
25 34 201-53090
Al 耐圧セル
液体試料。耐圧 50気圧
容器内圧が50気圧となる温度
φ6x5(蓋付)
216 34 10 222-01701-91
白 金合金
Pt セル
一般用、ただし、金属の融解・還元性雰囲気・強塩基・過酸化物・塩化鉄は不可
1500℃ φ5.8x2.5 136 60
1
201-51976
Pt マクロセル
φ5.8x5 225 120 201-53843
Pt セルフタ
φ5.7 122 - 201-56927
ア ルミ ナセル
アルミナセル
一般用 φ5.8x2.5 62 50 201-54321
そ の他
Ni セル 硬化反応、強塩基、過酸化物用
300℃ φ5.8x2 54 46
50
201-53102084
Cu セル ポリエチレンの酸化(触媒作用あり)
φ5.8x1.5(蓋付)
46 34 201-582954-90
石英セル 1000℃ φ5.7x2.5 50 43 1 201-54439
12
付録2 サンプリングおよび基準セル
試料について
14
基準物質について
温度校正用物質について
測定上の注意
16
付録 3 データ解析補足
共通解析
TGA 曲線の解析
DTA(DSC)曲線の解析
接線解析
18