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EMC Data Domain Boost for Symantec NetBackup NetBackup ストレージ・ユニット・グループのフェイ ルオーバー機能 高度なテクノロジー 概要 バックアップの失敗または停止を伴うサービスの中断は、バックアップ環境にとって好ましいも のではありません。多くの商用バックアップ・アプリケーションは、サービスの中断に対処でき るように設計されており、ポリシー・ベースのアルゴリズムを使用して自動的にフェイルオー バーを実行できます。このホワイト・ペーパーでは、EMC ® Data Domain ® Boost ソフトウェアを Symantec NetBackup OpenStorage とともに使用したときに、ストレージ・ユニット・グループの フェイルオーバー機能を活用して N+1 の冗長構成を実現する方法について説明します。 2010 6

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EMC Data Domain Boost for Symantec NetBackup と NetBackup

ストレージ・ユニット・グループのフェイ

ルオーバー機能 高度なテクノロジー

概要

バックアップの失敗または停止を伴うサービスの中断は、バックアップ環境にとって好ましいも

のではありません。多くの商用バックアップ・アプリケーションは、サービスの中断に対処でき

るように設計されており、ポリシー・ベースのアルゴリズムを使用して自動的にフェイルオー

バーを実行できます。このホワイト・ペーパーでは、EMC® Data Domain® Boost ソフトウェアを

Symantec NetBackup OpenStorage とともに使用したときに、ストレージ・ユニット・グループの

フェイルオーバー機能を活用して N+1 の冗長構成を実現する方法について説明します。

2010 年 6 月

EMC Data Domain Boost for Symantec NetBackup と NetBackup ストレージ・ユニット・グルー

プのフェイルオーバー機能 高度なテクノロジー 2

Copyright © 2010 EMC Corporation。不許複製

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す。この情報は予告なく変更されることがあります。

この資料に記載される情報は、「現状有姿」の条件で提供されています。EMC Corporation は、

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に、商品性や特定の目的に対する適応性に対する黙示の保証はいたしません。

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ウェア・ライセンスが必要です。

最新の EMC 製品名については、http://japan.emc.com/ 上の「EMC Corporation Trademarks」を

参照してください。

記載されている他のすべての商標は、各社の所有物です。パーツ番号 h7334-J

EMC Data Domain Boost for Symantec NetBackup と NetBackup ストレージ・ユニット・グルー

プのフェイルオーバー機能 高度なテクノロジー 3

目次 エグゼクティブ・サマリー ................................................................................... 4

はじめに ............................................................................................................... 5

対象読者 ....................................................................................................................................... 5

ストレージ・ユニット・グループ ........................................................................ 5

ストレージ・ユニット・グループ選択基準 ................................................................................ 6

コスト・パフォーマンスの高いシステム・フェイルオーバー ................................................... 7

障害発生シナリオ ................................................................................................. 8

ストレージ・ユニット・グループのみのテスト ......................................................................... 8

ストレージ・ユニット・グループとストレージ・ライフサイクル・ポリシーのテスト ............ 9

スタンバイ Data Domain システムのリカバリ ................................................. 10

プライマリ Data Domain システムにおける障害時の考察 ..................................................... 12

スタンバイ・システムを待機状態に戻す .................................................................................. 12

リカバリ・プロセスの自動化 .................................................................................................... 13

結論 ..................................................................................................................... 13

EMC Data Domain Boost for Symantec NetBackup と NetBackup ストレージ・ユニット・グルー

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エグゼクティブ・サマリー Symantec NetBackup は、高可用性を実現するためにクラスタ化されたバックアップ・デバイ

スを必要としなくても、バックアップ・デバイスの障害に対処できるように設計されていま

す。実際、NetBackup は、メディア・サーバで障害が発生しても使用可能なメディア・サー

バを使ってバックアップを続行できるように、オフラインのメディア・サーバをバイパスす

る機能も備えています。これは、OpenStorage を使用したメディア・サーバとストレージ・シ

ステムの統合強化、バックアップ・デバイスのステータス追跡、ストレージ・ユニット、ス

トレージ・ユニット・グループ、およびメディア・サーバの自動ロード・バランシングなど

の製品機能を組み合わせることによって実現されています。 EMC® Data Domain® Boost ソフトウェアと NetBackup ストレージ・ユニット・グループを設定

することによって、NetBackup に実装された N+1 のフェイルオーバー構成を使用できます。

管理者は、EMC Data Domain のスタンバイ・システム 1 台を加え N+1 構成とすることで、任

意の数のプライマリ Data Domain システムを障害から保護できます。Data Domain システムで

計画外のシステム停止が発生した場合には、NetBackup から自動的に再実行されるバック

アップジョブをスタンバイ Data Domain システムに対して割り当てることができます。総合

的に見ると、高可用性を実現するためにクラスタ化されたバックアップ・デバイスを使用す

るのに比べて、より多くのアクティブ・システムで同じスタンバイ・システムを共有できる

ほうが、ソリューションのコスト・パフォーマンスが高いという利点があります。 図 1 は、複数の NetBackup メディア・サーバと、N+1 フェイルオーバー構成の Data Domainシステムを使用した環境を示しています。NetBackup メディア・サーバがダウンした場合、

バックアップまたはリストア・ジョブの実行時にオフラインのメディア・サーバがバイパス

されるため、バックアップまたはリストア・ジョブへの影響は無視できる程度で済みます。

同様に、プライマリ Data Domain システムがダウンしても、スタンバイ Data Domain システ

ムが自動的に選択されて使用されるため、バックアップ・ジョブへの影響を最小限に抑えら

れます。リストア要求は、Optimized Duplication の宛先ストレージ・ユニット上にある複製

バックアップ・イメージを使って実行することもできます。

図 1:Data Domain Boost for NetBackup の N+1 フェイルオーバー構成

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プのフェイルオーバー機能 高度なテクノロジー 5

高可用性を実現する目的でクラスタ化したストレージ・システムをバックアップ・デバイス

として使用することを検討する前に、バックアップ・プロセスにおける障害またはフェイル

オーバー・イベントが及ぼす影響範囲を理解しておく必要があります。多くの場合、クラス

タ化ストレージ・システム内の 1 つのシステムで障害が発生すると、クラスタ全体のバック

アップ・ジョブが失敗するか停止します。これらの場合、バックアップ・アプリケーション

の観点で透過的な高可用性またはシームレスなクラスタ・フェイルオーバーが提供されない

製品に高いコストをかけても、複雑なシステムを管理するよりも、NetBackup に搭載されて

いるアーキテクチャ機能を利用したほうがメリットがあると考えられます。

はじめに このホワイト・ペーパーでは、EMC Data Domain Boost ソフトウェアを Symantec NetBackup OpenStorage とともに使用する場合に、Symantec NetBackup ストレージ・ユニット・グループ

のフェイルオーバー機能を利用して N+1 の冗長構成を実現する方法について説明します。 まず、NetBackup のストレージ・ユニット・グループについて説明します。さらに、コス

ト・パフォーマンスの高いシステム・フェイルオーバーを実現するために、Data Domain 重複

除外ストレージ・システムにおける選択基準とストレージ・ライフサイクル・ポリシーの使

用方法について説明します。このフェイルオーバー機能を説明するために、いくつかの障害

発生シナリオを用意しました。最後に、これらの障害発生シナリオと、それらの状況におけ

るスタンバイ Data Domain システムへのリカバリ方法について考察します。

対象読者 このホワイト・ペーパーは、Data Domain Boost for Symantec NetBackup および NetBackup スト

レージ・ユニット・グループのフェイルオーバー機能の詳細に興味を持つ EMC のお客様、

テクニカル・コンサルタント、パートナー、EMC とパートナーのプロフェッショナル・サー

ビス・コミュニティのメンバーを対象としています。

ストレージ・ユニット・グループ NetBackup のコンテクストにおいて、ストレージ・ユニットとは、物理ストレージ・デバイ

ス(1 台または複数)の抽象概念です。ストレージ・ユニットのわかりやすい例としては、2台のテープ・ドライブを含むテープ・ライブラリなどがあります。ストレージ・ユニットを

含むデバイス名を指定するのではなく、ストレージ・ユニットを参照することにより、特定

のデバイスの使用をハードコーディングする代わりに、バックアップ要求を履行するために

使用可能なリソースをバックアップ・ポリシーで選択できるようになります。テープ・ライ

ブラリ内のストレージ・ユニットの例で言えば、1 台目のテープ・ドライブで何らかの理由

により不可避の障害が発生したときに、2 台目のテープ・ドライブが使用されるのと同じこ

とです。DD Boost for NetBackup を使用する場合、ストレージ・ユニットは NetBackup のディ

スク・プールにマッピングされ、各ディスク・プールは Data Domain システム上の LSU(論

理ストレージ・ユニット)にマッピングされます。

ストレージ・ユニット・グループは、このコンセプトにもう一つ別の抽象的なレイヤーを追

加します。複数のストレージ・ユニットをストレージ・ユニット・グループに追加し、優先

順位リストに割り当てることで、バックアップの成功率を高めることができます。

図 2 は、NetBackup でのオブジェクトの階層を表しています。Data Domain システム上の LSUは、NetBackup のディスク・プールにマッピングされ、ディスク・プールがさらにストレー

ジ・ユニットにマッピングされます。複数のストレージ・ユニットは、ストレージ・ユニッ

ト・グループにまとめられ、統合されたストレージ・ユニット・グループにバックアップ・

ポリシーを割り当てることができます。

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プのフェイルオーバー機能 高度なテクノロジー 6

図 2:NetBackup のオブジェクト階層図

ストレージ・ユニット・グループ選択基準 ストレージ・ユニット・グループにおけるストレージ・ユニットの選択基準に基づき、使用

するストレージ・ユニットを選択する順序および条件を決定します。ストレージ・ユニッ

ト・グループでは、グループ内のストレージ・ユニットを選択するための選択基準を複数設

定できます。NetBackup バージョン 6.5.4 では、以下の選択基準が使用できます。

• Prioritized:リスト内で1番目に定義された、ビジーでない、ダウンしていない、または

メディア切れでないストレージ・ユニットを選択します。 • Failover:リスト内で1番目に定義された、ダウンしていない、またはメディア切れでな

いストレージ・ユニットを選択します。 • Round Robin:直近で使用回数が最も少ないリスト内のストレージ・ユニットを選択し

ます。 • Media server loadbalancing:リスト内のストレージ・ユニットにアクセスできるメディ

ア・サーバの中で、もっとも好ましいと思われるものを選択します。 このホワイト・ペーパーでは、意図的に Failover 選択基準の使用に限定して説明します。 フェイルオーバーとは、次のように定義されます。

• NetBackup は、ストレージ・ユニット・グループ内で1番目に定義された、ダウンしてい

ない、またはメディア切れでないか満杯状態でないストレージ・ユニットを選択します。 • 1番目のストレージ・ユニットがビジーの場合のバックアップ・ポリシーは、リソース

が使用可能になるのを待ちます。 • フェイルオーバーが発生すると、ストレージ・ユニット・グループ内の他のストレー

ジ・ユニットが使用されます。 • 最大並行ジョブ数に達した場合、NetBackup は、後続のジョブをキューに入れて、1番目

のストレージ・ユニットが再び使用可能になるのを待ちます。

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図 3 は、ストレージ・ユニット・グループの例です。2 台の Data Domain システムがストレー

ジ・ユニット・グループに追加されています。グループ内の1番目のストレージ・ユニット

は、プライマリのバックアップ・ターゲットとなり、グループ内の 2 番目のストレージ・ユ

ニットは、スタンバイ Data Domain システムに指定されます。ストレージ・ユニット選択基

準はフェイルオーバーに設定されています。つまり、プライマリ Data Domain システムで障

害が発生した場合にのみスタンバイ Data Domain システムが使用されます。

図 3:[New Storage Unit Group]ダイアログ ボックス

EMC がベスト・プラクティスとして推奨するのは、Data Domain システムで Failover のスト

レージ・ユニット選択基準のみを使用する方法です。Prioritized や Round Robin 方式の選択基

準を使用すると、同じバックアップを同じシステムに繰り返し送信するときに一貫性が保た

れず、結果的に重複除外率が低下します。Failover 選択基準を使用する場合は、障害発生時の

場合のみスタンバイ Data Domain システムにバックアップが送信されるため、重複除外率が

最も高くなります。高い重複除外率による効率的なバックアップと、最も重要なバックアッ

プに N+1 のフェイルオーバー機能を使用する組み合わせは、ストレージ・ユニット・グルー

プとフェイルオーバー選択基準を使用して簡単に設定できます。

コスト・パフォーマンスの高いシステム・フェイルオーバー EMC は、フェイルオーバー時のストレージ・ユニットとして機能させる、専用の

OpenStorage ディスクのストレージ・ユニットを作成することを推奨しています。このスト

レージ・ユニットは、スタンバイ・システムとして稼働し、プライマリ Data Domain システ

ムで障害が発生した場合にのみ使用されます。1 台のスタンバイ Data Domain システムを複数

のストレージ・ユニット・グループに追加し、多数のプライマリ Data Domain システムに

N+1 のフェイルオーバー機能を提供できます。

図 4 は、同じ 1 台の Data Domain システム(dd120b_Standby)を、複数のプライマリ Data Domain システムのスタンバイ・システムに設定する方法を示しています。この図に示される

4 つのストレージ・ユニット・グループはそれぞれ、ストレージ・ユニット選択基準として

Failover を使用するように設定されています。

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図 4:複数のストレージ・ユニット・グループで同じスタンバイ・システムを共有する

10 台のプライマリ Data Domain システムで構成される本番環境に 1 台のスタンバイ Data Domain システムを追加して、プライマリ・システムの障害時にのみ使用できます。このソ

リューションでは、プライマリ・システムごとにスタンバイ・システムが各 1 台必要となる

アクティブ/パッシブのクラスタ製品よりも総コストが安くなります。

障害発生シナリオ ここでは、N+1 のフェイルオーバー構成に対応した NetBackup および Data Domain システ

ム環境におけるさまざまな障害シナリオについて考察します。この中には、NetBackup に

おける障害の影響範囲と、障害イベントの結果として NetBackup で実施された対処策が含

まれます。

ストレージ・ユニット・グループのみのテスト 表 1 は、ストレージ・ユニット・グループのみのテスト結果をまとめたものです。このテス

トでは、さまざまな種類の障害を意図的に発生させ、異なる障害シナリオをシミュレーショ

ンし、対象となった NetBackup の動作および結果に焦点を当てました。いずれのテストでも、

NetBackup は発生させた障害に対処できました。バックアップ・ジョブは自動でまたは手動

で再開され、いずれの場合もスタンバイ Data Domain システムが使用されました。ケース 1、2、および 5 で、NetBackup はバックアップ・ジョブを実行する前にスタンバイ・システムを

自動的に選択し、結果的に本番環境への影響は全くありませんでした。ケース 3 と 4 では、

バックアップ・ジョブの実行は失敗しましたが、ジョブが再試行または再実行されました。

いずれのケースにおいて、障害が排除された時点で、オペレータの操作介入なしに後続の

バックアップ・ジョブでプライマリ Data Domain システムが使用されました。

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表 1:ストレージ・ユニット・グループのみのテスト結果

発生させた障害 NetBackup の動作と結果

1. プライマリ Data Domain システムの電源供給

を遮断

NetBackup は自動的にスタンバイ Data Domain シ

ステムを使用 サービスへのインパクトはなし

2. プライマリ Data Domain システムでファイ

ル・システムを無効化

NetBackup は自動的にスタンバイ Data Domain シ

ステムを使用 サービスへのインパクトはなし

3. プライマリ Data Domain システムで DD Boostを無効化

バックアップの失敗 再実行したバックアップでスタンバイ Data Domain システムを使用してジョブを正常終了

4. プライマリ Data Domain システムのネット

ワークを切断

バックアップの失敗 再実行したバックアップでスタンバイ Data Domain システムを使用してジョブを正常終了

5. ディスク・プールのハイ・ウォーターマー

ク・パラメータを 1%にセットし、プライマリ

Data Domain システムでメディア切れ状態

(ディスク・フル状態)をシミュレーション

使用済み容量がハイ・ウォーターマーク・パラ

メータ値より高い場合、バックアップに自動的に

スタンバイ Data Domain システムを使用 サービスへのインパクトはなし

ストレージ・ユニット・グループとストレージ・ライフサイクル・ポリシーのテスト NetBackup のストレージ・ユニット・グループとストレージ・ライフサイクル・ポリシーの

Data Domain Boost との連携は、強力な組み合わせです。Data Domain システムをバックアッ

プおよび複製の宛先として使用した場合、DD Boost で管理されるファイル・レプリケーショ

ンを使用することにより、スケジュールされた Optimized Duplication タスクをストレージ・

ライフサイクル・ポリシーで容易に管理できます。

図 5 は、Failover 選択基準を使用してストレージ・ユニット・グループに構成された Data Domain システムに初期バックアップを送信するテストです。ストレージ・ユニット・グルー

プは複製の宛先には使用できないため、この構成の複製の宛先は、ストレージ・ユニットと

して構成された Data Domain システムに設定されます。ストレージ・ユニット・グループ内

のプライマリ Data Domain システムで障害をシミュレーションした際、障害発生後も、スト

レージ・ユニット・グループ内の別のシステムを使用して後続のバックアップと Optimized Duplication オペレーションが続行し、正常に完了しました。

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図 5:ストレージ・ユニット・グループをバックアップの宛先に使用したストレージ・ライ

フサイクル・ポリシー

表 2 は、ストレージ・ユニット・グループとストレージ・ライフサイクル・ポリシーを使用

したテスト結果をまとめたものです。このテストでは、障害を意図的に発生させ、異なる障

害シナリオをシミュレーションし、対象となる NetBackup の動作および結果に焦点を当てま

した。

表 2:ストレージ・ユニット・グループとストレージ・ライフサイクル・ポリシーのテスト

結果

発生させた障害 NetBackup の動作と結果

定常時(障害なし) 注:このテストでは、ストレージ・ユニット・グループがストレージ・ライフサイクル・ポリシー内のバックアップ宛先として使用されます

バックアップにプライマリ Data Domain システムを使用 Optimized Duplication が正常実行 サービスへのインパクトはなし

バックアップの宛先であるストレージ・ユニット・グルー

プ内のプライマリ Data Domain システムにおいて、ファイ

ル・システムを無効化

バックアップにスタンバイ Data Domain システムを使用 Optimized Duplication が正常実行 Optimized Duplication への影響は

なし

ここに示したテスト・ケースは、ストレージ・ユニット・グループがストレージ・ライフサ

イクル・ポリシーのバックアップ宛先として使用できることを表しています。ただし、

NetBackup では、ストレージ・ユニット・グループを複製の宛先として使用できないことに

注意する必要があります。

スタンバイ Data Domain システムのリカバリ スタンバイ Data Domain システムは、ストレージ・ユニット・グループ内でフェイルオー

バー専用として構成する必要があります。プライマリ Data Domain システムの障害によりス

タンバイ Data Domain システムが使用される場合、スタンバイ Data Domain システムから取

得したバックアップ・イメージは完全リカバリが可能で、Optimized Duplication のために使用

することもできます。

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しかしながら、フェイルオーバーの実行により問題となるのは、通常プライマリ Data Domain システム上に保存されていたバックアップ・イメージが、スタンバイ Data Domainシステム上のストレージ・リソースを使用するようになることです。スタンバイ Data Domain システム上のバックアップ・イメージをそのままにしておくと、スタンバイ Data Domain システム上の重複除外率が低下し、最適化を図れなくなります。また、スタンバ

イ・システムが障害発生時にのみ使用するという最終目的を果たし続けることに支障が出る

ことがあります。

EMC は、この状況に対処するために、Optimized Duplication を手動で実行することを推奨し

ています。プライマリ Data Domain システムが稼働状態に戻った後、NetBackup のユーザー・

インタフェースを使用して、スタンバイ Data Domain システム上にあるバックアップ・イ

メージを元のプライマリ・システムに複製できます。スタンバイ Data Domain システム上の

バックアップ・イメージを正しいプライマリ Data Domain システムに複製した後で、スタン

バイ・システム上のバックアップ・イメージの保持期間を期限切れにします。期限切れ後、

スタンバイ・システム上の Data Domain のファイル・システムをクリーンアップする必要が

あります。この処理により、スタンバイ・システムが元の状態になり、プライマリ Data Domain システムの障害発生に備えて使用準備が整います。

図 6 は、プライマリ Data Domain システム障害の結果、バックアップ・イメージがスタンバ

イ Data Domain システムに書き込まれ、元のプライマリ Data Domain システムが稼働状態に

戻った後にこのシステムにバックアップ・イメージが複製される手順を表しています。この

手順により、スタンバイ Data Domain システムは意図した状態に戻ります。

図 6:スタンバイ・システムのリカバリ

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プライマリ Data Domain システムにおける障害時の考察 メッセージ、アラート、レポートはすべて、ユーザーにバックアップ環境のフェイルオー

バー状態を通知するために利用されます。障害の種類やタイミングによっては、NetBackupは失敗したジョブを自動的に再試行し、スタンバイ Data Domain システムを使用してジョブ

実行を完了させます。NetBackup が障害を事前に検出し、ストレージ・ユニット・グループ

内で使用するスタンバイ Data Domain システムを自動的に切り替えることもあるため、ジョ

ブの失敗や再試行が発生しないケースもあります。

フェイルオーバー・イベントが発生していない限り、ストレージ・ユニット・グループ内の

スタンバイ Data Domain システムに対して実行された NetBackup のレポートには、バック

アップ・イメージが存在しないことが示されるはずです。バックアップ・イメージが存在す

る場合は、フェイルオーバーの実行によりスタンバイ・システムが使用されたことを意味し

ます。この NetBackup のレポートの詳細情報から、イメージを書き込んだバックアップ・ポ

リシー(1 つまたは複数)を特定できます。この情報を使用して、どのバックアップ・ポリ

シーが失敗したかや、どのバックアップ・イメージを Optimized Duplication を使用してプラ

イマリ・システムに戻し、フェイルオーバー前の状態に戻す必要があるかを判断できます。

スタンバイ・システムを待機状態に戻す スタンバイ・システムを待機状態に戻すプロセスは、3 つの手順から成ります。

1. Optimized Duplication を手動で起動して、スタンバイ Data Domain システムからプライマ

リ Data Domain システムへバックアップ・イメージをコピーします。

複製元および複製先に DD Boost ソフトウェアと Replicator ソフトウェアが導入されてい

れば、Optimized Duplication を使用して複製バックアップ・イメージを作成します。バッ

クアップ・イメージを適切なプライマリ・システムに複製するために、スタンバイ・シ

ステム上のバックアップ・イメージの場所を特定するには、NetBackup のカタログ・ユー

ティリティを使用できます。

図 7:Optimized Duplication を手動で実行

図 7 は、特定のバックアップ・イメージの複製を行う際に使用する NetBackup のダイア

ログ・ボックスです。

2. スタンバイ Data Domain システムに書き込まれたイメージの有効期限を期限切れにしま

す。この手順は、スタンバイ・システム上のすべてのバックアップ・イメージが適切な

プライマリ Data Domain システムに複製された後に実行してください。

スタンバイ・システム上のバックアップ・イメージは、NetBackup のカタログ・ユー

ティリティを使用して個別に有効期限の終了を設定できます。 NetBackup の「bpexpdate」コマンドを使用すると、スタンバイ・システム上のディス

ク・プール全体の有効期限を終了させることができます。

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3. スタンバイ Data Domain システム上のファイル・システムをクリーンアップします。

Data Domain の「filesys clean start」コマンドを実行すると、クリーンアップのプロセ

スが開始されます。 クリーンアップの状況を確認するには、Data Domain の「filesys clean watch」コマンド

を使用します。 または、Data Domain Enterprise Manager GUI を使用して、進行中のクリーンアップ状

況を確認できます。 このプロセスが完了すると、スタンバイ Data Domain システムがアイドル状態に戻り、スタ

ンバイ・システムとしての役割を再開する準備が整います。

次の注意点も考慮してください。

• 本番環境のワークフローの一環として Optimized Duplication を使用する場合、関連する

バックアップ・イメージの有効期限が終了する前に、すべての Optimized Duplication ジョ

ブを完了させる必要があります。 • スタンバイ・システムに書き込まれたプライマリ・コピーの有効期限が終了すると、

バックアップ・イメージのセカンダリ・コピーが自動的にバックアップ・イメージのプ

ライマリ・コピーに設定されます。本番環境のワークフローの一環として Optimized Duplication を使用している場合、プライマリ・システム上へ複製されたコピーを手動で

プライマリ・コピーに変更する必要があるかもしれません。

リカバリ・プロセスの自動化 スタンバイ・システムをアイドル状態に戻すプロセスは、概念的には単純ですが、以下の条

件下では、かなりの管理負荷が発生することがあります。

• プライマリ・システムで障害が発生したために、数十から数百のバックアップ・イメー

ジがスタンバイ・システムに書き込まれた場合。 • 複数のプライマリ・システムで障害が発生し(たとえば、停電時など)、スタンバイ・

システム上の各バックアップ・イメージを異なるプライマリ・システムに複製する必要

がある場合。 • ストレージ・ライフサイクル・ポリシーに従ってスタンバイ・システムに書き込まれた

イメージが複製中であるため、有効期限を終了できない場合。 • 特定の番号のバックアップ・イメージ・コピーにプライマリ・コピーのプロパティを設

定する必要がある場合。 自動的に障害を検知して適切なアクションをとるためには、カスタム・スクリプトの作成が

必要になるかもしれません。

結論 多くのバックアップ・ストレージ・デバイスが高可用性をその利点に挙げていますが、これ

らのシステムに投資する前に、オペレーションの継続性について慎重に検討する必要があり

ます。たとえば、これらのシステムの中には、バックアップ・アプリケーションとストレー

ジ・システムが連携していないために、サービスが中断し、バックアップ・ジョブの失敗、

再開、または再試行が行われるものがあります。そのため、これらのシステムでは、スト

レージ・ユニット・グループのフェイルオーバー機能を使用する場合と異なり、戦略的メ

リットが提供されない場合があります。 バックアップ・アプリケーションと緊密に統合されていないクラスタ化ソリューションでも、

サービスが中断し、バックアップ・ジョブの失敗、再開、または再試行が行われます。同様

に、アクティブ/アクティブのクラスタ製品も、アクティブ・ノードの 1 つがダウンした場合

にパフォーマンスが低下することがあります。アクティブ/パッシブのクラスタ製品ではパ

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フォーマンスの低下を最小限に抑えられますが、各アクティブ・ノードに対してパッシブ・

ノードを追加する必要があるため、ソリューション全体のコストは増大します。 これに対し、Data Domain Boost ソフトウェアを使用すると、NetBackup と Data Domain シス

テム間の統合が強化されます。この構成では、NetBackup で使用可能な N+1 のフェイルオー

バー機能を Data Domain(シングル・コントローラ・システム、および EMC Data Domain Global Deduplication Array)で実行できるため、専用のクラスタ化ソリューションを導入する

必要がありません。Data Domain Boost と NetBackup ストレージ・ユニット・グループのフェ

イルオーバー選択基準用の構成は、多くの環境において実現性が高く、コスト・パフォーマ

ンスの高い代替手法です。