都区制度改革をめぐる動き 2000(平成 12)年改革 …17 資料1...

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17 資料1 都区制度改革をめぐる動き 2000(平成 12)年改革以降 2000(平成 12)年 4 1 「地方分権一括法」施行 2001(平成 13)年 7 3 地方分権改革推進会議設置 11 19 27 次地方制度調査会設置 2003(平成 15)年 3 20 都区協議 「都区検討会」設置 10 16 特別区 (財)特別区協議会 第一次特別区制度調査会設置 11 13 27 次地方制度調査会「今後の地方自治制度のあり方に関す る答申」 2004(平成 16)年 3 1 28 次地方制度調査会設置 5 14 東京都 地方分権改革に関する東京都の基本的見解 11 8 28 次地方制度調査会「地方税財政のあり方についての意見」 2005(平成 17)年 1 14 特別区 (財)特別区協議会 第一次特別区制度調査会「中間のとりま とめ」報告 「都区制度の改革―新たに問われる「平成 12 年改革」」 9 26 東京都 東京自治制度懇談会設置 10 31 特別区 (財)特別区協議会 第一次特別区制度調査会報告 「東京における新たな自治制度を目指して-都区制度の転換」 11 29 東京都 「行財政改革の新たな指針」 12 9 28 次地方制度調査会 「地方の自主性・自律性の拡大及び地方議会のあり方に関する 答申」 12 16 特別区 (財)特別区協議会 第二次特別区制度調査会設置 2006(平成 18)年 2 16 都区協議 協議の取りまとめ 2 28 28 次地方制度調査会「道州制のあり方に関する答申」 5 30 都区協議 都区のあり方に関する検討会設置 11 28 東京都 東京自治制度懇談会「議論のまとめ」

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Page 1: 都区制度改革をめぐる動き 2000(平成 12)年改革 …17 資料1 都区制度改革をめぐる動き 2000(平成12)年改革以降 2000(平成12)年 4月1日

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資料1 都区制度改革をめぐる動き 2000(平成 12)年改革以降

2000(平成 12)年

4月 1日 国 「地方分権一括法」施行

2001(平成 13)年

7月 3日 国 地方分権改革推進会議設置

11月19日 国 第 27次地方制度調査会設置

2003(平成 15)年

3月 20日 都区協議 「都区検討会」設置

10月16日 特別区 (財)特別区協議会 第一次特別区制度調査会設置

11月13日 国 第 27 次地方制度調査会「今後の地方自治制度のあり方に関す

る答申」

2004(平成 16)年

3月 1日 国 第 28次地方制度調査会設置

5月 14日 東京都 地方分権改革に関する東京都の基本的見解

11月 8日 国 第 28次地方制度調査会「地方税財政のあり方についての意見」

2005(平成 17)年

1月 14日 特別区 (財)特別区協議会 第一次特別区制度調査会「中間のとりま

とめ」報告

「都区制度の改革―新たに問われる「平成 12 年改革」」

9月 26日 東京都 東京自治制度懇談会設置

10月31日 特別区 (財)特別区協議会 第一次特別区制度調査会報告

「東京における新たな自治制度を目指して-都区制度の転換」

11月29日 東京都 「行財政改革の新たな指針」

12月 9日 国 第 28次地方制度調査会

「地方の自主性・自律性の拡大及び地方議会のあり方に関する

答申」

12月16日 特別区 (財)特別区協議会 第二次特別区制度調査会設置

2006(平成 18)年

2月 16日 都区協議 協議の取りまとめ

2月 28日 国 第 28次地方制度調査会「道州制のあり方に関する答申」

5月 30日 都区協議 都区のあり方に関する検討会設置

11月28日 東京都 東京自治制度懇談会「議論のまとめ」

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11月14日 都区協議 都区協議会「都区のあり方に関する検討会」、「取りまとめ結果」

→「都区のあり方検討委員会」の設置を決定

12月15日 国 地方分権改革推進法公布

2007(平成 19)年

1月 18日 全国知事

「道州制に関する基本的考え方」

1月 31日 都区協議 第1回 都区のあり方検討委員会

2月 13日 国 第1回 道州制ビジョン懇談会開催

4月 1日 国 地方分権改革推進法施行

4月 1日 国 地方分権改革推進委員会設置

11月20日 東京都 東京自治制度懇談会

「議論の整理―地方自治制度改革の課題と方向性について」

12月11日 特別区 (財)特別区協議会 第二次特別区制度調査会報告

「「都の区」の制度廃止と「基礎自治体連合」の構想」

2008(平成 20)年

3月 24日 国 道州制ビジョン懇談会中間報告

5月 9日 特別区 特別区制度懇談会設置

5月 28日 国 地方分権改革推進委員会 「第1次勧告 ~生活者の視点に立

つ「地方政府」の確立~」

12月 8日 国 地方分権改革推進委員会 「第2次勧告 ~「地方政府」の確

立に向けた地方の役割と自主性の拡大~」

2009(平成 21)年

8月 30日 国 第 45回衆議院議員総選挙

→政権交代(自民党・公明党連立政権から民主党・社民党・国

民新党連立政権へ)

10月 7日 国 地方分権改革推進委員会 「第3次勧告 ~自治立法権の拡大

による「地方政府」の実現へ~」

11月 5日 都・都内

区市町村

第1回 東京の自治のあり方研究会

11月 9日 国 地方分権改革推進委員会 「第4次勧告 ~自治財政権の強化

による「地方政府」の実現へ~」

12月14日 国 第1回 地域主権戦略会議

2010(平成 22)年

2月 8日 都区 第7回 都区のあり方検討委員会

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資料2 23 区の沿革

都区制度改革の歴史―明治期から地方分権一括法施行前まで

1868(明治元)年 江戸を東京府に

1878(明治 11)年 郡区町村編制法の制定 市街に 15区、村落に6郡が置かれる 北豊島郡の誕生

・東京・大阪・京都におかれた区(都市的地域に設置される自治体)は、町村

と同種の基礎的な自治体(各区に区会が置かれ、区会議員が選挙された)

1889(明治 22)年 市制町村制の施行(東京市の誕生)→「板橋町」の誕生

「市制中東京市京都市大阪市ニ特例ヲ設クルノ件」

・旧東京府 15区内を地域とする東京市の誕生

・区は市の内部団体(行政区)、財産区として法人格は付与、区会は存続

・三市(東京・大阪・京都)特例

…一般の市制・町村制が適用されず、国家の管理下に

→官選の府知事が市政運営

1893(明治 26)年 多摩地域を神奈川県から東京府へ

1898(明治 31)年 市制特例の廃止 東京市に一般の市制が施行される

・三大市にも市長が設置された

・市制中追加…区の存続、区の廃置分合、境界変更は市の規定を準用

1911(明治 44)年 市制全文改正(市制と町村制の二法に分離。区に法人格)

1922(大正 11)年 「五大都市行政監督ニ関スル法律」の制定

1923(大正 12)年 関東大震災

1925(大正 14)年 普通選挙法成立

1932(昭和 7)年 「大東京市」の成立 5郡 82 町村を編入し 35 区に→「東京市板橋区」に

1936(昭和 11)年 北多摩郡千歳村、砧村が世田谷区に編入。現在の東京大都市地域の形成

1937(昭和 12)年 六大都市事務局「東京都制並五大都市特別市実施要望書」

・都制と特別市制は別に構想

1940(昭和 15)年 全国の本店本社は東京への移転を強制される(経済活動の一極集中)

1941(昭和 16)年 太平洋戦争開戦

1943(昭和 18)年 東京都制施行 「帝都を一の体制にする」「都の区」→「東京都板橋区」に

・旧東京府、旧東京市の廃止→一体化する形で「東京都制」

・「帝都を一の体制にする」

・官選「府」知事が市長を兼ねる

・区は都の内部団体に。「都の区」という形での法人区制

・都の書記官が区長に

・「府」としての東京都という側面と、「市」としての東京都という側面

1945(昭和 20)年 太平洋戦争終戦

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1946(昭和 21)年 「東京都制の一部を改正する法律」

・「特別区」を基礎的な自治体とする「東京都制」の一部改正

・区に法人格。区の自治権の拡充

・区長公選制の採用

1947(昭和 22)年 東京 22 区の設置→板橋区も東京 22区の一つに

・区は普通地方公共団体ではなく、特別地方公共団体

日本国憲法・地方自治法施行

・「都の区」は特別区

板橋区の南西部が練馬区として分離(東京 23区に)

1949(昭和 24)年 首都建設法制定

1951(昭和 26)年 地方行政調査委員会第二次勧告「都区制度について」

1952(昭和 27)年 地方自治法改正(「昭和 27(1952)年改革」)

・特別区は「都の内部団体」に(「基礎的な地方公共団体」は「都」)

・区長公選制の廃止(都知事の同意を経て区議会が区長を選任)

・処理事務を制限(9項目)列挙し法定化

・都区間事務調整の強化

・指揮監督に関する都の条例

・区長委任事項の特例

・特別区税の都条例による制限

・廃置分合の発案権の都知事専有

・都職員の区への配属制度の確定など

1962(昭和 37)年 第8次地方制度調査会「首都制度当面の改革に関する答申」

1964(昭和 39)年 地方自治法改正(「昭和 39(1964)年改革」)

・制限列挙から、例示列挙へ

・区への大幅な事務委譲(福祉事務所、生活保護事務等の移管など)

・特別区税・課税権の法定化

・都区協議会の設置など

1972(昭和 47)年 第 15 次地方制度調査会「特別区制度の改革に関する答申」

1974(昭和 49)年 特別区長会の諮問機関 特別区政調査会設置

地方自治法改正(「昭和 49(1974)年改革」)

・区長公選制の復活

・人事権の確立。区に対する都職員の配属制度を廃止

・事務配分原則の転換(個別に法律により都が処理するものとされたものを除い

て市に属する事務を区が処理)

・保健所設置市の事務、管理や建築規制に関する事務など大幅な事務委譲など

・都の内部団体であることには変わりなし

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1981(昭和 56)年 特別区政調査会「『特例』市の構想―特別区制度の将来」

東京都「都制度調査会」設置

1984(昭和 59)年 都制度調査会「新しい都制度のあり方―巨大都市東京の実態にふさわしい自治制

度を確立するために」

都区協議会 都区制度検討委員会設置

1986(昭和 61)年 「都区制度改革の基本的方向」都区合意

①特別区を「基礎的な地方公共団体」に位置づける

②清掃事業をはじめとした住民に身近な事務を特別区に移管する

③特別区の固有財源を拡充するとともに、総額補填主義や納付金制度の廃止など

都区財政調整制度を改善する

④制度改革の実施期間は平成 12 年4月とする

1990(平成 2)年 第 22 次地方制度調査会「都区制度の改革に関する答申」

都区協議会 都区制度改革推進委員会設置

1994(平成 6)年 「都区制度改革に関するまとめ(協議案)」都区合意

1998(平成 10)年 地方自治法(「都区制度改革関連法」)改正

・財政自主権の強化

・事務権能の拡充(清掃事業など)

・特別区は「特別地方公共団体」ではあるが、「基礎的な」地方公共団体

・一般的に市町村が処理する事務を処理する

・廃置分合の諸規定も一般市と同様に。都の特例廃止

・大都市の一体性確保のための調整制度の改廃

・入湯税の委譲、航空機燃料譲与税の譲渡、起債などの都の内部的規定改正、

国保の都による調整の廃止、納付金の廃止

・特別区の区域…「府県」的団体と「市」的団体間および「市」的団体間の財政

調整制度が全国で唯一存在する地域

2000(平成 12)年 都区協議会で主要5課題を確認

地方分権一括法施行(「2000(平成 12)年改革」)

<参考文献>

(財)特別区制度調査会『「東京の区」変遷と展望』(財)特別区協議会、1996年 4月

特別区制度調査会報告『制度改革後の特別区のあり方』(財)特別区協議会、2008 年 2 月

大森彌「都区制度調査会 第二次報告の考え方」『都政研究』第 41巻 3号、2008 年 3 月、4~7頁

金井利之「都区制度改革」『るびゅ・さあんとる』第 8 号、2008年 3 月、1~10頁

金井利之「東京都制度/都区制度の側面と性格」『都政研究』第 37巻 5号、2004 年 5 月、4~9頁

佐々木信夫「構想「自治行政学」第 34 回 大都市制度(2)」『地方財政』637 号、2007 年 7 月、

308~321 頁

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資料3 区への事務移譲の歴史

<出所>「都区制度の改革―新たに問われる「平成 12年改革」―<関連資料>」特別区制度調査会、

平成 17年 1月、2頁

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資料4 板橋区における自治権拡充運動 ~区長公選復活まで~

Ⅰ 地方自治制度確立に向けて ※網掛けは、板橋区に関する事柄

1946(昭和 21)年

3 月 1 日 板橋区、牛田正憲区長(官選)に

9 月 27日 戦後第一次地方制度改革、東京都制の一部改正、区長公選に

1947(昭和 22)年

4 月 5 日 戦後初の区長選挙 板橋区 牛田正憲 39,252 票

飯田高央 30,051 票

4 月 30日 戦後初の区議会議員選挙

5 月 3 日 日本国憲法・地方自治法施行

5 月 16日 区長協議会「人事権、財政権の確立と事務事業の移管」についての具申書(都

知事宛)を提出

6 月 6 日 牛田区長、施政演説「区長会の動きについて」

「都税の区移譲、区政事務の大幅な拡充を図っているが、これについては今

後はとくに区会議員各位の絶大なご後援をお願いしたい」

昭和 22年度当初予算、6回の追加・補正→自治権拡充の気運を盛り上げ

7 月 12日 議長会、各区一斉に「特別区自治権拡充協議会」を設置することを申し合わ

12月 10日 「23区自治権拡充議員大会」開催

1948(昭和 23)年

2 月~8月 31日 「都区行政調整協議会」協定事項の確認

1949(昭和 24)年

6 月 特別区議長会「区長会、議長会、自治権拡充委員長会が一体となって自治権

拡充運動を強力に推進する」と決定

7 月 大田区、「市」になる運動

8 月 26日 シャウプ勧告

9 月 21日 大田区、独立市制施行の建議を区議会で議決(満場一致)

10月 18日 大田区議会「大田市制施行促進本部」設置

12 月 「地方行政調査委員会議(神戸正雄議長)」設置

1950(昭和 25)年

2 月 15日 板橋区、牛田区長「板橋区政ニュース」で区民に「自治権拡充における区民

の役割」について呼びかけ

各区が「自治権拡充委員会」を設置

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3 月~9月 都区で「都区行政調整協議会」(都側5名、区側5名、中立委員5名)を設置

5 月 「地方行政調査委員会議」第一次勧告

9 月 3 日 大田区議会、市制施行運動終結

Ⅱ 自治権擁護運動

1951(昭和 26)年

4 月 23日 区長選挙 板橋区 渋谷常三郎 46,503 票

牛田正憲 44,845 票→社会党推薦の渋谷革新区政へ

6 月 5 日 東京都「事務再配分に伴う東京都制改革案」

8 月 14日 「地方行政調査委員会議」改革試案の新聞報道

8 月 25日 「区民自治擁護連盟設立準備委員会」開催

各区に「区民自治権擁護連盟」を置くことを申し合わせ

9 月 21日 「区民自治擁護二十三区連合大会」開催(於:神田共立講堂)

9 月 22日 「地方行政調査委員会議」第二次勧告

1952(昭和 27)年

1 月 28日 「特別区の組織および運営に関する意見書」を区議会で議決

区議会、街頭で署名収集活動

3 月 1 日 区長任命制を含んだ地方自治法改正案が提出されるという新聞報道

3 月 20日 区長任命制採用の閣議決定

4 月 5 日 「地方自治法改悪反対連合区民大会」開催(於:千代田区永田町小学校講堂)

4 月 30日

~5月 15 日

大田区で「地方自治法改悪反対」の署名活動

(署名数 111,079 人。区民の4人に1人)

7 月 9 日 地方自治法改正(8月 1日 公布)

9 月 1 日 改正地方自治法施行→区長公選制廃止、区長選任制へ

Ⅲ 区長・三役不在などの混乱

1955(昭和 30)年

4 月 各区で初めての区長選任、区議会議員選挙

4 月 22日 渋谷区長(板橋区)退任

6 月 22日 板橋区議会「東京都板橋区長候補者について」

高木耕逸氏を推薦→都知事が同意せず

7 月 6 日 助役・収入役退任

7 月 18日 区長選任についての区民大会

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8 月 13日 板橋区議会「東京都板橋区長候補者について」

村田哲雄氏を推薦→都知事同意→村田区長へ

9 月 6 日 助役・収入役の選任

1956(昭和 31)年

1 月 12日 東京都「都制調査会」を設置

Ⅳ 自治権拡充運動

1957(昭和 32)年

6 月 26日 板橋区議会「特別区制調査特別委員会」設置(21 名の区議会議員で組織)

8 月 23 区の特別区制調査特別委員長会結成

10月 18日 第 4次地方制度調査会 「地方制」を答申

1958(昭和 33)年

8 月 4 日 区内議事堂での「特別区」制度についての説明会

→その後、5ヶ所で「特別区制」に関する出張所別説明会

1959(昭和 34)年

2 月 1 日 板橋区矢野清議長、「都制調査会」の臨時委員に

4 月 23日 東龍太郎東京都知事に

8 月 12日 村田区長任期満了

8 月 13日 村田区長、本会議、満場一致で再任決定

11月 10日 「渋谷区自治権確立期成同盟」結成(約 500名が渋谷公会堂に集まる)

1960(昭和 35)年

5 月 13日 渋谷区自治権確立区民総決起集会

1961(昭和 36)年

3 月 29日 特別区制調査特別委員長会「首都行政制度の構想」案発表

4 月~5月 各区一斉に「区長公選制復活に関する請願」

6 月 「渋谷区区長公選期成議員連盟」の結成

8 月 6 日~ 渋谷区、区長空白(約6ヶ月間)と区長公選運動

年末 自治権拡充運動についてのビラ 11万 1千枚を板橋区が町会を通じて各家庭に

配布

1962(昭和 37)年

2 月 14日 都制調査会「首都制度当面の改革についての答申」

3 月 14日 東京地裁・野瀬判決「特別区の区長選任方法は違憲」

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4 月 21日 都議会「特別区の区長公選に関する決議」議決

4 月 各区で第3回区長選任(保守派の分裂により、区長選任ができない区も)

9 月 8 日 都制調査会答申(区長公選、事務事業の移管、財政権の確立)

10月 1日 第8次地方制度調査会「首都制度当面の改革に関する答申」

1963(昭和 38)年

4 月 統一地方選挙→各地で革新自治体が誕生

5 月 22日 板橋区議会内に「特別区調査特別委員会」設置

7 月 23日 板橋区、区長候補者選考委員会を設置

8 月 4 日 広報紙号外に「区長候補者の公募について」

(区長準公選についてのお知らせ、8月 8日〆切)

8 月 12日 村田区長の任期満了

8 月 13日 村田区長再任、助役・収入役の不在

12月 31日 村田区長、「病気を理由に」退任

1964(昭和 39)年

1 月 板橋区議会で区長公選を提案→認められず

1 月 21日 加部区長、賛成多数で区長に選任

1 月 24日 助役・収入役決定

6 月 12日 地方自治法改正(7月 1日 公布)

9 月 21日 臨時行政調査会「首都圏庁」の設置等について勧告

1965(昭和 40)年

4 月 1 日 改正地方自治法施行

12月 22日 都議会で「区長公選制即時実現の意見書」を議決

1966(昭和 41)年

6 月 6 日 第1回特別区自治権拡充大会開催(於:千代田公会堂)

1967(昭和 42)年

4 月 15日 美濃部亮吉東京都知事に

4 月 区議会議員選挙(革新派の議席数増加)

4~5月 ロブソン来日調査

5 月 練馬区区議会議員選挙(革新派の議席数増加)

7 月 「練馬自治体問題研究会」発足

7 月 21日 第1回区制調査特別委員長会開催

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8 月 練馬区自治体問題研究会 「区長問題を考える区民シンポジウム」開催

9 月 練馬区「区長を選ぶ練馬区民の会」、区長準公選運動

10月 19日 「練馬区民だより」に「練馬区長候補者の公募について」

12月 21日 「朝日新聞」が「自治省が東京市を復活、23特別区を廃止し、行政区に改め

ることについて意見の一致をみている」と報道する

12 月 「東京都制に関する報告書 ロンドン大学W.A.ロブソン博士(要約)」の

発表

1968(昭和 43)年

2 月 16日 特別区自治権拡充大会開催(於:千代田公会堂)

3 月 6 日 学者・知識人など連名で「特別区の区長公選制に関する声明」を自治大臣宛

に提出

3 月~ 「東京市構想」に対し、各区議会、特別区制度改革、自治権拡充、行政区化

反対等の意見書を次々に議決

6 月 10日 都議会「区長公選の早期実現を求める意見書」議決

11月 11~18 日 渋谷区内 11 カ所で「特別区の行政区化に反対し、区長公選実現の区民懇談会」

開催

11月 18日 大田区区長公選運動経過報告会(区内三カ所で)

Ⅴ 区長公選制に向けて

1969(昭和 44)年 <各区で自治権拡充に関する意見書、次々に議決>

2 月 24日 板橋区議会へ「東京 23区特別区を行政区にすることに反対する陳情」提出

3 月 板橋区議会へ「東京都の 23 特別区を行政区にすることに反対」の請願提出

5 月 17日 板橋区議会主催「特別区の自治権拡充についての懇談会」(於:産業文化大ホ

ール)

5 月 中野区「中野区自治権拡充期成同盟」結成

5 月 20日 第 3回特別区自治権拡充大会開催(於:千代田公会堂)

6 月 10日 東京都議会「区長公選の早期実現並びに特別区と東京都の自治権拡充に関す

る意見書」提出

9 月 W.A.ロブソン博士、美濃部都知事宛、東京都政に関する第二次報告書送

1970(昭和 45)年 <複数の区で区長準公選を求める直接請求運動・請願>

5 月 19日 第 4回特別区自治権拡充大会開催(於:渋谷区公会堂)

5 月 杉並区「杉並自治権拡充区民懇談会」結成

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5 月 27日 東京都行財政担当専門委員会(長谷部委員会)

「特別区、市町村制度および都の区域を越える広域行政のあり方」答申

11月 23日 「東京都大田区長候補者決定に関する請願」(7件)

11月 24日 第 14 次地方制度調査会「大都市制度に関する答申」

11月 30日 大田区、区長候補者の公募方式等の提案

→公募方式による区長選任へ

→区民投票はなし

12月 16日 大田区議会、橋爪儀八郎区長を選任

1971(昭和 46)年

4 月 区議会議員選挙(板橋、練馬、中野、杉並、豊島、北、品川、大田、渋谷、

江戸川の 10 区で自民党過半数割れ)

5 月 中野区で準公選条例案、議員提案

6 月 10日 都議会「区長公選の早期実現並びに特別区と東京都の自治権拡充に関する意

見書」議決

6 月 24日 中野区、準公選条例可決

7 月 12日 中野区、準公選条例を継続審議に

8 月 板橋区企画室「特別区制度に関する資料」作成

9 月 9 日 板橋区議会へ「請願第 111 号 区長準公選条例制定に関する請願(代表・谷

川正太郎)」提出

板橋区議会へ「請願第 112 号 区長公選をもとめる請願(代表・伊藤柳子、

署名数・計 625 名)」提出

10月 18日 都議会で特別区の「区長公選制実現促進の意見書」議決

12月 3日 「東京都板橋区長候補者決定に関する条例案(準公選条例)」(社会・共産両

党の議員 17 名による)の提案→継続審査

「区長準公選条例審査特別委員会」の設置

1972(昭和 47)年

1 月 17日 委員会「参考人意見聴取」(記録資料あり)

1 月 20日 板橋区議会へ「区長公選をめざす板橋区民の会」より

「請願第1号 “住民の手で区長を選ぶ”区民運動推進に関する請願」(代表・

戸田慎太郎、署名数・計 402 名)提出

板橋区議会へ「請願第2号 区長準公選の実施を求める請願」(代表・戸田慎

太郎、署名数・計 9,096名)

1 月 28日 区長・任期切れ、加部区長の選任

板橋区議会、「区長を区民の手で選ぼう」というチラシの配布

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2 月 18日 第5回特別区自治権拡充大会(於:文京区公会堂)

5 月 「東京都中野区特別区制度調査会」設置

5 月 17日 文京区区長準公選条例制定の直接請求署名運動開始

6 月 22日 文京区区長準公選条例制定の直接請求署名提出→継続審査に

6 月 24日 板橋区議会、区長準公選条例案、取り下げ

「請願第 112号 区長準公選を求める請願」取り下げ

6 月 30日 大田区長、退任

7 月 7 日 品川区議会に区長候補者選定条例案提出

8 月 15日~ 大田区、「東京都大田区長候補者決定に関する条例」制定の直接請求、署名運

9 月 4 日 大田区「区長選出特別委員会」設置

10月 26日 品川区準公選住民投票条例可決

10月 26日 第 15 次地方制度調査会「特別区制度の改革に関する答申」(区長公選制度の

採用を答申)

11月 12日 品川区区長準公選、区民投票実施

11月 30日 大田区、「東京都大田区長候補者決定に関する条例」修正可決

12月 14日・

21 日

「準公選委員会」の開催(1972(昭和 47)年 2月 3日までに計 7回)

1973(昭和 48)年

8 月 5 日 大田区、区長準公選区民投票実施(区長空白期間は、1 年1ヵ月あまり)

1974(昭和 49)年

4 月 15日 東京都中野区特別区制度調査会 「特別区の制度とその運営について」報告

4 月 18日 特別区長会「特別区政調査会」(辻清明会長)設置

5 月 31日 改正地方自治法改正(区長公選制の復活)

11月 28日 「区長公選等実現記念 23区民のつどい」開催(於:世田谷区民会館)

1975(昭和 50)年

3 月 31日 「特別区政調査会」、「特別区政のあり方について」答申

4 月 1 日 改正地方自治法施行

4 月 27日 区長選挙 加部区長、11万 1670 票を獲得

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資料5 「都の区」を規定している条文(「地方自治法」)

第一編 総則

(地方公共団体の種類)

第一条の三 地方公共団体は、普通地方公共団体及び特別地方公共団体とする。

2 普通地方公共団体は、都道府県及び市町村とする。

3 特別地方公共団体は、特別区、地方公共団体の組合、財産区及び地方開発事業団とする。

[解釈](松本英昭『新版 逐条地方自治法(第5次改訂版)』)

○特別区は、都に包括される区であり、現行制度では市町村と同様の性格のものとなつているが、

大都市である都の一体性を確保する見地から都道府県に包括される他の市とは異なる取り扱い

がなされる特別な地方公共団体である(25 頁)。

第三編 特別地方公共団体

第二章 特別区

(特別区)

第二百八十一条 都の区は、これを特別区という。

2 特別区は、法律又はこれに基づく政令により都が処理することとされているものを除き、地

域における事務並びにその他の事務で法律又はこれに基づく政令により市が処理することとされ

るもの及び法律又はこれに基づく政令により特別区が処理することとされるものを処理する。

3 第二条第四項の規定は、特別区について準用する。

[解釈](松本英昭『新版 逐条地方自治法(第5次改訂版)』)

○特別区の自治権が制限されるに至つたのは、自治権の強い特別区が割拠した場合、大都市とし

ての一体的かつ総合的な行政を阻害することが懸念されたからである(1382 頁)。

○第二項の規定は、特別区が一般の市と同等の事務を処理することを建前としつつ、都及び特別

区の区域における大都市地域としての一体性及び統一性の確保のため事務配分について特例が

必要である場合には、法律又はこれに基づく政令で都が処理することを個別に規定することとし

ている(1384頁)。

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(都と特別区との役割分担の原則)

第二百八十一条の二 都は、特別区の存する区域において、特別区を包括する広域の地方公共

団体として、第二条第五項において都道府県が処理するものとされている事務及び特別区に関

する連絡調整に関する事務のほか、同条第三項本文において市町村が処理するものとされてい

る事務のうち、人口が高度に集中する大都市地域における行政の一体性及び統一性の確保の観

点から当該区域を通じて都が一体的に処理することが必要であると認められる事務を処理する

ものとする。

2 特別区は、基礎的な地方公共団体として、前項において特別区の存する区域を通じて都が

一体的に処理するものとされているものを除き、一般的に、第二条第三項において市町村が処

理するものとされている事務を処理するものとする。

3 都及び特別区は、その事務を処理するに当たつては、相互に競合しないようにしなければ

ならない。

[解釈](松本英昭『新版 逐条地方自治法(第5次改訂版)』)

○平成十年の制度改正により、特別区は都の内部的団体でなくなり、都区制度は一般制度と同様

の二層制をとることとなつたが、本項(第一項)は、特別区を基礎的な地方公共団体と位置づけ

る第二項と相俟つて、この趣旨を明らかにしている(1392頁)。

○当該事務について、一体性及び統一性の確保の要請があれば、即、都による直接の処理が認め

られるものではない。まずは、特別区相互間で連携し、また、都が特別区に対して許容される限

りで調整権能を行使することにより対応すべきである(1393頁)。

○第二項は、特別区の地方公共団体としての性格を示すとともに、特別区の担任する役割が、市

町村とほぼ同様に、包括的・一般的なものであることを明らかにしたものである(1393頁)。

○特別区全体を通観して、その能力の伸長に伴い、一般の市町村にあつては都が処理する事務が、

特別区の処理する事務とされることは、当然にあり得るものである(1394頁)。

(特別区の廃置分合又は境界変更)

第二百八十一条の三 第七条の規定は、特別区については、適用しない。

[解釈](松本英昭『新版 逐条地方自治法(第5次改訂版)』)

○平成十年の改正においては、特別区の有する内部団体的な性格を払拭することの一環として、

特別区の廃置分合又は境界変更についても原則として市町村と同様のものとした(1397頁)。

○廃置分合又は境界変更については、特別区と市町村で適用法条を異にする結果となるのである

が、第二百八十一条の四では、多くの場合について市町村の廃置分合又は境界変更と同様の規定

になつている(1397頁)。

○(市町村の場合の第七条に相当する第二百八十一条の四で認められているのは、)

①市町村の配置分合又は境界変更を伴わない特別区の廃置分合又は境界変更

②都と道府県との境界にわたる特別区の境界変更

③都内の市町村の区域の全部又は一部による特別区の設置

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④都内の市町村の廃置分合又は境界変更を伴う特別区の境界変更で市町村の設置を伴わない

もの

の四類型の処分である(1399・1400 頁)。

(特別区の議会の議員の定数)

第二百八十一条の六 特別区の議会の議員の定数は、五十六人を超えてはならない。

[解釈](松本英昭『新版 逐条地方自治法(第5次改訂版)』)

○議員定数の上限に関する特例を除き、特別区の議会については、第二編中市の議会に関する規

定が適用され、特別区の議会の議員の選挙についても、公職選挙法及び同法施行令中の市の議会

の議員の選挙に関する規定が適用される(1406頁)。

(都と特別区及び特別区相互の間の調整)

第二百八十一条の七 都知事は、特別区に対し、都と特別区及び特別区相互の間の調整上、特別

区の事務の処理について、その処理の基準を示す等必要な助言又は勧告をすることができる。

[解釈](松本英昭『新版 逐条地方自治法(第5次改訂版)』)

○特別区制度が都という大都市地域における一体性及び統一性の確保を主眼とする点にかんが

みると、特別区の事務処理について、都と特別区との間で円滑な連携及び分担が図られているこ

と、特別区相互間において相当程度の均衡が保たれていることが必要である。この目的を達成す

るため、都知事は、特別区に対して、都と特別区及び特別区相互の間の調整上、特別区の事務の

処理について必要な助言又は勧告をすることができるとされている(1407頁)。

(特別区財政調整交付金)

第二百八十二条 都は、都と特別区及び特別区相互間の財源の均衡化を図り、並びに特別区の

行政の自主的かつ計画的な運営を確保するため、政令の定めるところにより、条例で、特別区

財政調整交付金を交付するものとする。

2 前項の特別区財政調整交付金とは、地方税法第五条第二項に掲げる税のうち同法第七百三

十四条第一項及び第二項第三号の規定により都が課するものの収入額に条例で定める割合を乗

じて得た額で特別区がひとしくその行うべき事務を遂行することができるように都が交付する

交付金をいう。

3 都は、政令の定めるところにより、第一項の特別区財政調整交付金に関する事項について

総務大臣に報告しなければならない。

4 総務大臣は、必要があると認めるときは、第一項の特別区財政調整交付金に関する事項に

ついて必要な助言又は勧告をすることができる。

[解釈](松本英昭『新版 逐条地方自治法(第5次改訂版)』)

○特別区は直接地方交付税法の対象とはされず、特別区の行政が全体として適正な水準を保ち得

るよう、このような都区財政調整制度が設けられている(1409 頁)。

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(都区協議会)

第二百八十二条の二 都及び特別区の事務の処理について、都と特別区及び特別区相互の間の

連絡調整を図るため、都及び特別区をもつて都区協議会を設ける。

2 前条第一項又は第二項の規定により条例を制定する場合においては、都知事は、あらかじ

め都区協議会の意見を聴かなければならない。

3 前二項に定めるもののほか、都区協議会に関し必要な事項は、政令で定める。

[解釈](松本英昭『新版 逐条地方自治法(第5次改訂版)』)

○都区協議会は具体的な行政について執行権限をもつものではなく、また、都区の事務処理につ

いての意思決定機関でもない。いわば都及び特別区の共同の諮問機関に類似した性格をもつもの

である(1414頁)。

(市に関する規定の適用)

第二百八十三条 この法律又は政令で特別の定めをするものを除くほか、第二編及び第四編中

市に関する規定は、特別区にこれを適用する。

2 他の法令の市に関する規定中法律又はこれに基づく政令により市が処理することとされて

いる事務で第二百八十一条第二項の規定により特別区が処理することとされているものに関す

るものは、特別区にこれを適用する。

3 前項の場合において、都と特別区又は特別区相互の間の調整上他の法令の市に関する規定

をそのまま特別区に適用しがたいときは、政令で特別の定めをすることができる。

[解釈](松本英昭『新版 逐条地方自治法(第5次改訂版)』)

○都と特別区との関係は一般の府県と市との関係に比してより密接であるとともに、特別区の存

する区域の社会的一体性にかんがみ、特別区相互間においても緊密な連けいが必要であることは

論を待たない。このため、特別区において事務を処理する場合においても、都と特別区及び特別

区相互間の調整上特別の配慮を必要とすることが少なくない。こうした場合において、他の法令

の市に関する規定をそのまま特別区に適用しがたいときは、政令で特別の定めをすることができ

るものとしている(1417 頁)。

附 則

(廃止法律の効力)

第二条 東京都制、道府県制、市制及び町村制は、これを廃止する。但し、東京都制第百八十

九条乃至第百九十一条及び第百九十八条の規定は、なお、その効力を有する。

[解釈](松本英昭『新版 逐条地方自治法(第5次改訂版)』)

○ただし書により、東京都制第百八十九条から第百九十一条まで及び第百九十八条の規定は、な

お、その効力を有することとされている。したがつて旧東京都制中これらの規定は現在もなお効

力を有するのである(1573 頁)。

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○本条但書の規定により都は本法施行後も市としての権能を有することとされており、このこと

は特別区の区域について特別の権限を都が有することとされたが、その後、特別区制度が改正さ

れた昭和二十七年の改正法の附則第十二項、昭和三十九年の改正法の附則第二項、平成十年の改

正法の附則第二条及び平成十一年の地方分権一括法による改正における同法附則第十五条にお

いては、その都度、特別区(又は特別区の区長)の処理(又は管理執行)する事務についてはそ

の適用はないこととされ、都区間の事務・権能の競合を避けることとされている(1574頁)。

地方自治法等の一部を改正する法律

附 則 (平成一〇年五月八日法律第五四号)

(旧東京都制の効力)

第二条 地方自治法附則第二条ただし書の規定によりなおその効力を有することとされる旧東

京都制(昭和十八年法律第八十九号)第百九十一条の規定は、法律又はこれに基づく政令によ

り市に属する事務で第一条の規定による改正後の地方自治法第二百八十一条第二項の規定によ

り特別区が処理することとされているもの並びに同法第二百八十一条の七第一項の規定により

特別区の区長が管理し、及び執行することとされている事務に関しては、その適用はないもの

とする。

地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律

附 則 (平成一一年七月一六日法律第八七号)

(地方自治法の一部改正に伴う経過措置)

第十五条 新地方自治法附則第二条ただし書の規定によりなおその効力を有することとされる

旧東京都制(昭和十八年法律第八十九号)第百九十一条の規定は、法律又はこれに基づく政令

により市が処理することとされている事務で新地方自治法第二百八十一条第二項の規定により

特別区が処理することとされているものに関しては、その適用はないものとする。