食品安全ネットワークと私~ 2 ~...

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~ 1 ~ 株式会社大つるの島路と申します。食品安全ネ ットワークの7不思議ですが、とても小さい、す ごく古い、食品衛生の基礎がない 3 拍子揃った零 細企業の雑用係の私が理事を務めさせていただい ています。前職、物流センターの運営に携わって いた私にとって、食品業界は知らないことが多す ぎて報告書の作成、及び監査の対応、作業工程の 効率化に困り果てていました。そんな時、食品安 全ネットワークの存在をネットで知り、藁をもす がる気持ちで入会させていただきました。私にと って難しい内容もありますがセミナーや工場見学、 海外研修、また情報交換会などを通じて、心強い 知識豊富な多くの方々が気軽に受け入れていただ き、良い出会いがたくさんあったことを非常に感 謝しています。 株式会社大つるは 2010 年当時 20 代が 2 名しか いない高齢型、経験重視型、パート中心型の食品 製造会社でしたが、2011 年 4 月より毎年新卒の高 校生と技能実習生を採用し続けた結果、現在では 20 代が 16名も働く企業となりました。しかし、若 者を採用し続けるために何か若者の心に響くイベ ントが必要と思っていた時に7S と出会いました。 我が社の7S 活動は、2013 年 2 月の食品衛生7S 実 践事例発表会事例発表会に若手社員 5 名を引率し て参加したのが記念すべき第 1 歩となりました。 他社の発表を聞いていた時に、「これなら私たちに もできそうだね」という会話を聞いた瞬間に私の 心に火がつきました。 翌日、早速7Sチームを若者中心で編成し、毎週 水曜日の 13 時に 30 分の時間を与え、できること から順番に自分たちで考えたことを具体化してい きました。不安もありましたが自主性を重んじ彼 らにまかせると、まじめで内気な若者の集団から、 笑い声が聞こえ朴訥ですが自分の意見を言ってい るのを遠くで聞いていると、若者だけで編成した ことに私も自信を持ちました。毎週水曜日はまる でクラブ活動の日となり、毎日遅くまで残業の続 く中、ひと時の憩いの場になっていたようです。 そして翌年の発表会で 1 年間の活動成果を発表す る機会を与えていただき、見事にビギナーズラッ クで最優秀賞を受賞させていただきました。新人 たちの活動に加点評価していただいた審査員の 方々に感謝いたします。現在 5 年が経過し、紆余 NPO法人食品安全ネットワーク便り 第 136 号 《略称:フーサンだより》 (2018 年 9 月) 発行:NPO法人食品安全ネットワーク(Food Safety Network) 理事長:角野 久史 編集担当:森田 真、平井 由紀 ホームページ:http://www.fu-san.jp/ 事務局:〒541-0056 大阪市中央区久太郎町 1-4-8 堺筋本町ガーデンスクエア イカリ消毒株式会社 TEL.06-6264-2741 FAX.06-6264-2740 NPO法人 食品安全ネットワーク 理事 株式会社大つる 常務取締役 島路 幸宏 食品安全ネットワークと私

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  • ~ 1 ~

    株式会社大つるの島路と申します。食品安全ネ

    ットワークの7不思議ですが、とても小さい、す

    ごく古い、食品衛生の基礎がない 3 拍子揃った零

    細企業の雑用係の私が理事を務めさせていただい

    ています。前職、物流センターの運営に携わって

    いた私にとって、食品業界は知らないことが多す

    ぎて報告書の作成、及び監査の対応、作業工程の

    効率化に困り果てていました。そんな時、食品安

    全ネットワークの存在をネットで知り、藁をもす

    がる気持ちで入会させていただきました。私にと

    って難しい内容もありますがセミナーや工場見学、

    海外研修、また情報交換会などを通じて、心強い

    知識豊富な多くの方々が気軽に受け入れていただ

    き、良い出会いがたくさんあったことを非常に感

    謝しています。

    株式会社大つるは 2010 年当時 20 代が 2 名しか

    いない高齢型、経験重視型、パート中心型の食品

    製造会社でしたが、2011年 4月より毎年新卒の高

    校生と技能実習生を採用し続けた結果、現在では

    20代が 16名も働く企業となりました。しかし、若

    者を採用し続けるために何か若者の心に響くイベ

    ントが必要と思っていた時に7Sと出会いました。

    我が社の7S活動は、2013年 2月の食品衛生7S実

    践事例発表会事例発表会に若手社員 5 名を引率し

    て参加したのが記念すべき第 1 歩となりました。

    他社の発表を聞いていた時に、「これなら私たちに

    もできそうだね」という会話を聞いた瞬間に私の

    心に火がつきました。

    翌日、早速7Sチームを若者中心で編成し、毎週

    水曜日の 13 時に 30 分の時間を与え、できること

    から順番に自分たちで考えたことを具体化してい

    きました。不安もありましたが自主性を重んじ彼

    らにまかせると、まじめで内気な若者の集団から、

    笑い声が聞こえ朴訥ですが自分の意見を言ってい

    るのを遠くで聞いていると、若者だけで編成した

    ことに私も自信を持ちました。毎週水曜日はまる

    でクラブ活動の日となり、毎日遅くまで残業の続

    く中、ひと時の憩いの場になっていたようです。

    そして翌年の発表会で 1 年間の活動成果を発表す

    る機会を与えていただき、見事にビギナーズラッ

    クで最優秀賞を受賞させていただきました。新人

    たちの活動に加点評価していただいた審査員の

    方々に感謝いたします。現在 5 年が経過し、紆余

    NPO法人食品安全ネットワーク便り 第 136 号 《略称:フーサンだより》

    (2018 年 9 月) 発行:NPO法人食品安全ネットワーク(Food Safety Network)

    理事長:角野 久史 編集担当:森田 真、平井 由紀

    ホームページ:http://www.fu-san.jp/

    事務局:〒541-0056 大阪市中央区久太郎町 1-4-8 堺筋本町ガーデンスクエア

    イカリ消毒株式会社 TEL.06-6264-2741 FAX.06-6264-2740

    NPO法人 食品安全ネットワーク 理事

    株式会社大つる 常務取締役 島路 幸宏

    食品安全ネットワークと私

  • ~ 2 ~

    曲折はありましたが、全社員が食品安全ネットワ

    ークの食品衛生7S 基礎講座を受講させていただ

    き、7Sの精神は全員に刻み付けられたと思ってい

    ます。

    また、食品安全ネットワークと出会ったおかげ

    で下記の貴重な経験をさせていただきました。

    1. 若い社員が4回も講師として人前で話をする

    機会をいただいた

    2. 協力工場が弊社工場の見学後、弊社の改善点

    を早速まねをして導入された

    3. 月刊食品工場長に僭越ながら取材され 5 ペー

    ジも特集記事が掲載された

    4. 食品衛生7S の実践事例集に2回も掲載して

    いただいた

    5. グループ会社 2 社が弊社の活動が刺激となり

    3S活動を導入した

    6. 私自身、役員に昇格した

    下記に現在社内で行っている活動を列記してみ

    ます。

    1. 朝活の実施/毎日

    (ア)朝礼前の5分間清掃

    (イ)自動真空包装機の足、1日1足清掃

    (ウ)8台の計量器のすきま清掃

    (エ)使用道具の 80℃1分漬け清掃

    (オ)1mまでの壁面の2m幅清掃

    (カ)天井のパネル 1枚清掃

    (キ)ベルトコンベヤーの足 1本清掃

    2. 昼活/毎日 共有場所清掃 13時から 15分間

    (ア)階段

    (イ)工場トイレ

    (ウ)手洗い場

    (エ)エアーシャワー

    (オ)文具・電話・扉

    3. 週活 主に機械清掃 月曜 13時から 15分間

    (ア)自動真空包装機の充填ポンプ分解清掃

    (イ)ベルトコンベヤー電動部分解清掃

    (ウ)殺菌槽水交換・清掃

    (エ)真空包装機のフィーダー線交換

    (オ)通さないフィルターの交換

    (カ)作業台清掃

    (キ)冷蔵庫内清掃

    4. 担当制 すべての設備に担当者と補助を決め

    ている

    (ア)自動真空包装機

    (イ)ベルトコンベヤー

    (ウ)作業台

    (エ)センター作業台

    (オ)手洗い衛生資材

    (カ)自動ラベラー

    (キ)異物帳管理

    (ク)資材補給

    (ケ)除水機

    5. 専務巡回/毎日

    (ア)必ず毎日全部署をまわり、チェック

    (イ)その場で指示

    (ウ)iPadで撮影

    (エ)翌日朝礼で情報をテレビに映し共有化

    6. ドクターイエロー

    (ア)改善した場所を黄色くする

    (イ)改善事例のビフォーアフターを掲示する

    7. 1か月に1題毎日朝礼時に唱和

    (ア)201609 アレルゲン特定7品目 大前

    (イ)201610 アレルゲン推奨 20品目 大前

    (ウ)201611 食中毒菌 入江

    (エ)201612 大量調理マニュアル数値 山田

    (オ)201701 正範語録 前田

    (カ)201703 7Sの定義 赤松

    (キ)201704 食品添加物 大迫

    (ク)201705 大量調理マニュアル全文 土屋

    (ケ)201707 人を動かす(山本五十六)波多野

    (コ)201708 性格は顔に出る 脇添

    (サ)201709 ベトナム語挨拶 コン

  • ~ 3 ~

    (シ)201710 有毒植物 塔本

    (ス)201711 雨にも負けず(宮沢賢治) 明山

    (セ)201712 旬の食材 中井

    (ソ)201801 みんなのいいところ 大岡

    (タ)201804 金属探知機

    (CCPのため 2か月実施) 脇添

    (チ)201806 殺菌 13条件 大迫

    8. 資格制度

    (ア)全社員

    (イ)レベル、部署に応じて

    (ウ)受験料会社負担

    (エ)高度な資格は手当有り

    (オ)実習生も取得

    9. お誕生日会

    (ア)2か月に 1度

    (イ)専務が自費でバースデイケーキ

    (ウ)40歳以下

    (エ)会社の商品の味見会

    (オ)30分後に経営陣は退散し社員に運営を任せ

    10. 日帰り慰安旅行(2018年 6月 2日)

    (会社創立以来初です)

    (ア)社員

    (イ)パート

    (ウ)実習生

    (エ)低学年までの子供

    11. 7S社内改善チーム

    (ア)部署ごと少人数制(2~3人)

    (イ)週 1日 13時より 30分

    (ウ)10月、11月、12月は繁忙期のため休止

    12. ATP検査の活用

    (ア)月曜日の朝礼後に 5か所無作為検査

    (イ)月に 1度、手洗いコンテスト

    13. 社内検定

    (ア)社員は 100問、パートは 20問

    (イ)大量調理マニュアルを中心に出題

    (ウ)70点以下は追試

    14. 異物発見ダービー

    (ア)異物を社内で発見したら異物帖に記録

    (イ)専務が自腹で一個につき 1コーヒー代を報

    奨金として払う

    (ウ)過去の事例から原因を探索、データベース

    作成

    15. 帽子の色分け

    (ア)帽子青………………………社員

    (イ)帽子白+腕カバー白………ベテランパート

    (ウ)帽子白+腕カバー青………短期パート

    (エ)帽子白+腕カバーピンク…学生バイト

    16. 社員育成のための見える化

    社員のセミナー参加や資格取得、工場見学な

    どをポイント化し、できる限り平等に参加できる

    ようにする

    皆さまのアドバイスや工場見学のおかげで、社

    内がどんどん改善され社員も明るくなってきまし

    た。

    というよりも真似をしただけですが・・・。

    また、大卒女子社員 2 名の入社や意欲のある社

    員の入社もあり仲間づくりをしながら、来年の

    HACCP 認証の取得に向けて第 1 歩を踏み出しまし

    た。

    今いる子達の未来のために新社屋建設の意欲も

    出てきました。

    これからも皆様の熱い情熱を共有させていただ

    ければ幸いです。

  • ~ 4 ~

    はじめに

    食品安全ネットワー

    クの皆様、はじめまし

    て。

    「第10回 食品衛生

    7S基礎講座」に参加

    させていただきました、

    オギハラ食品の内苑瑛と申します。

    弊社は、福岡県大牟田市で高菜漬けを作り続け

    て102年になります。『ごまたかな』発祥の会社

    で、全国に商品をお届けしています。

    それでは講座内容についてご報告させていただ

    きます。

    「講座内容」

    発表1.「食品衛生 7Sの定義と目的」

    株式会社ニイタカ 品質保証部 大崎 健一 様

    発表2.「食品衛生 7Sの導入方法と効果」

    株式会社石田老舗 品質管理室 佐古 泰通 様

    発表3.「食品衛生 7S取組み事例」

    株式会社ユーエイエム 代表取締役 後藤 昭敏

    発表4.「食品衛生 7Sから ISO22000、FSSC22000

    へ」

    NPO 法人食品安全ネットワーク 監事 田中

    達男 様

    発表5.「HACCPと一般衛生管理」

    山口大学 共同獣医学部 教授 豊福 肇 様

    発表1.

    「食品衛生7Sの定義と目的」について 株式会

    社ニイタカ 品質保証部 大崎健一様

    はじめに、食中毒・異物混

    入の発生状況についてでした。

    ノロウイルスやカンピロバ

    クターなどによる食中毒、虫

    や合成樹脂類による異物混入

    が依然として発生している状

    況にあります。そこで『食品の安全・安心』の定義

    について次のように話されました。

    『食品の安全とは、食品本来の作用以外に、健康

    に有害あるいは不都合な作用を及ぼさないことで

    ある。』

    →安全は検証に基づく客観的な評価である

    『食品の安心とは、信頼していただくことである。』

    →安心は継続して安全な食品を提供し続けている

    万が一安全に不安のあるモノ、状況が確認され

    たときに対処できているかどうか

    (安全を実現していく取り組みがお客様に見え

    ること)とのことでした。

    私は「安心」とは、安全に食品を提供する「姿勢」

    であることが勉強になりました。

    その「食品の安全・安心」についての土台となる

    のが「食品衛生7S」です。

    工業5Sは、整理・整頓・清掃・清潔・躾です。

    目的は効率の向上・ムダの排除。清潔は掃除機で

    吸う、ウエスで拭くなどの見た目の清潔。それに

    対して、食品衛生7Sは整理・整頓・清掃・洗浄・

    殺菌・躾・清潔です。目的は清潔。清掃に加えて洗

    浄・殺菌により微生物レベルでの清潔を目指して

    いる。この『微生物レベルでの清潔』を強調されて

    おりました。私も、改めて微生物レベルの清潔を

    目指さなければならないと再認識しました。

    次に、整理・整頓・清掃・洗浄・殺菌・躾・清潔

    について説明されました。

    今回、参考にしたいことが2点ありました。

    1点目が「整頓」です。

    要るものの、置く場所や置き方、置く量を決め、

    識別すること。

    →必要な原料・資材を使いたいときにすぐに取

    り出せ、もとに戻せる。

    特に、モノの勝手な増減を防ぐ「逆戻りしない

    整頓」を参考にしていきたいです。

    整頓に加えて、「逆戻りしない整頓」の文言で現

    場に周知しても良いのかとも思いました。

    2点目は「洗浄・殺菌を助けるドライ化」です。

    オギハラ食品株式会社

    品質管理部 内苑 瑛

    「第 10回 食品衛生7S基礎講座」に参加して

    日時:2018年7月12日

    場所:大阪産業創造館

  • ~ 5 ~

    ドライ化の重要性としては微生物の繁殖・虫の

    発生を防ぐこと。

    水を使用するなということではなく、水を流す

    場所を定めることが大事だと話されていました。

    弊社は水を多く使用する箇所がありますので引

    き続きドライ化に取り組んでいきたいと思います。

    発表 2.

    「食品衛生 7Sの導入方法と効果」 株式会社石

    田老舗 品質管理室 佐古泰通様

    はじめに、雪印食中毒事件

    の概要に関連してルールを

    守ることの重要性を話され

    ました。継続的に安全な食品

    を提供するための土台とな

    るのが、食品衛生 7Sであり、

    これができていないと ISOやHACCPなどの仕組

    みも機能しないと話されました。

    次に、食品衛生 7S活動の実践について話されま

    した。食品衛生 7S と PDCA サイクルを組み合わ

    せることがポイントになると話されました。

    PDCA サイクルを回し、清潔という目的に向か

    って食品衛生 7S委員会のメンバー・現場従業員全

    体のレベルを上げていく。それにより、食品衛生

    7S が維持発展されていくスパイラルアップにつ

    ながっていくと話されました。

    次に、食品衛生 7Sを実践することで得られる効

    果について次のように説明されました。

    整理・整頓

    →無駄なものが無くなり、異物混入が少なくな

    る。効率的に作業ができる。

    清掃

    →整理・整頓することでスペースを作り出し、

    清掃しやすくなる。

    洗浄・殺菌

    →効果の高い洗浄・殺菌を行い、微生物に汚染

    されにくい環境を作る。

    安全な食品を製造するための準備が出来上が

    る。

    →ルールを守ることが当然の企業風土になって

    いく。

    清潔

    →清潔が保たれた製造環境は食中毒や異物混入

    などの重大事故の予防ができる。

    『これにより顧客の信頼が向上する』

    最後に、食品衛生 7Sのねらい・目的・最終目的

    について話をされました。

    ねらい→あたりまえのことが、あたりまえにでき

    る人間集団になる

    目的→微生物レベルの清潔な環境作り、社員の育

    成、企業の繁栄

    最終目的→社員とその家族の幸せ(そのためには

    会社を持続させなければ実現しない)

    私も今後、食品衛生 7S と PDCA サイクルをう

    まく組み合わせていきたいと思いました。

    発表 3.

    「食品衛生 7S 実践活動は愛知県 HACCP 認定の

    推進力となる」

    株式会社ユーエイエム 後藤昭敏様

    株式会社ユーエイエム様は、

    冷凍の食肉カット工場であり、

    愛知県HACCP認定に向けてお

    話いただきました。愛知県

    HACCPを取得する理由を述べ

    られました。

    ①ハードルが低い②低コストで HACCP 認定が

    受けられる③認知度 UP④社内のコミュニケーシ

    ョンが増える⑤取引先との連携が生まれる⑥地域

    との連携が生まれる

    HACCP 活動取組前は、ゾーニングの意識が低

    いなどなかなか先が見えないような状況であった

    そうです。そこで一般衛生管理でできることから

    キチンとやる、決められたルールを守ることを心

    がけたそうです。

    HACCP 活動の内容としては以下のように進め

    られました。

    ・一般衛生管理プログラムの構築

    →キックオフ後、現場リーダーと二人三脚で始

    める。

    ・HACCPシステムによる工程管理

    →全部署のリーダーに作業に対するヒヤリング

    を実施する。

    危害分析をすることで製造工程をさらに理解

    することができた。

    ・社外サポーターからのアドバイス

    →保健所や取引先、コンサルタントよりアドバ

  • ~ 6 ~

    イスを受ける。

    そして、実践的な内容としては以下の 5 点を挙

    げられました。

    ①朝礼での社内講習(欠席者にはビデオ録画で

    共有)

    ②月一会:岡目八目会(HACCPチームには議事

    録で共有)

    ③手洗マニュアルの作成、運用

    ④冷蔵庫内のゾーニング、製品と原料の整理整

    ⑤ATPによる洗浄方法の確立

    このような取組みを継続していくことで、愛知

    県 HACCPの認定を受けられたそうです。

    愛知県 HACCP 認証後は、社内に共通言語が生

    まれたり、行政への信頼が上がったことで地元の

    企画にも参加するようになったそうです。さらに

    HACCP認定取得により、

    ①新食材・食肉の価値向上(歩留まり UP・エコ)

    ②ビアガーデンや BBQイベント

    ③レトルト・日常使用の防災、減災商品開発

    ④新社屋・新工場を目指す

    といったビジョン型経営へとステップアップされ

    ているそうです。

    そうすることで社内としては、社員が安心して、

    誇りを持って働ける会社になってきた。

    社外としては、地域から頼られる会社になって

    きたことに加え、さらには世界へ発信できる企業

    を目指せるようになってきたと話しておられまし

    た。

    最後に、HACCP 活動を推進するために必要な

    ことを以下のように話されました。

    ①経営トップの覚悟②社員とともに進める③社

    外(行政・取引先・コンサルタント)の助けを借り

    る④食品企業として社会的役割も意識する

    HACCP 認定活動のために参考にしたい流れ・

    取り組みでした。そして、食品企業として社会的

    役割の意識を常に心掛けていかなければいけない

    と再認識しました。

    発表 4.

    「食品衛生 7Sから ISO22000、

    FSSC22000へ」

    NPO 法人食品安全ネットワー

    ク 監事 田中達男様

    発表内容は以下の通りでした。

    1.食品安全について

    2.HACCPについて

    3.国際標準について

    4.FSMS認証取得について

    1.食品安全について

    「食品安全」に対する不安の程度についての調査

    によると 418名のうち約 3分の 2は食品に不安を

    感じているとの結果でした。そのような「食品の

    安全」をゆるがす事態としては次のように挙げら

    れました。①△◇産の野菜から農薬が検出!②コ

    ンビニで買ったパンから針が発見された!③冷凍

    食品に毒物が意図的に混入された!④ブランド牛

    が産地偽装!⑤賞味期限が迫って廃棄された食品

    が横流し!

    そこで、「安全と安心は違う」ことや「食品安全

    には科学的な根拠に基づく判断が必要」であるこ

    とがポイントであると話されました。

    次に、食品の「安全」と「安心」の関係について

    話をされました。

    まず、「安全」=「安心」ではないということで

    す。

    安全とは・・・科学的評価により決定される、客

    観的である

    信頼とは・・・行政、食品事業者等の誠実な姿勢

    と真剣な取り組み

    安心・・・消費者の心理的な判断、主観的である

    「安全」と「信頼」が合わさることで、「安心」に

    つながると話されました。

    2.HACCPについて

    HACCP について話をされました。管理手法と

    して、①食品衛生上の危害の発生を防止するため

    に特に重要な工程を管理するための取り組みであ

    り、食品等事業者自らが、使用する原材料や製造

    方法等に応じ、計画を作成し、管理を行う。②取り

    扱う食品の特性等に応じた取り組みであり、各業

    界団体が作成する手引書を参考に、簡略化された

    アプローチによる衛生管理を行う。

    HACCP の導入状況については年々増えつつあ

    る状況にあるそうです。食品製造における

    HACCP 入門のための手引書を紹介され、私も参

    考にしていきたいと思います。

    3.国際標準について

  • ~ 7 ~

    様々な国際標準化について話をされました。国

    際標準の目的として4点挙げられました。相互理

    解の獲得、互換性の確保、消費者の利益、そして新

    技術・新製品の国際普及。

    その国際標準の項目は次のように挙げられまし

    た。

    ①WTO の TBT

    TBT協定とは工業製品などの各国の規格及び規

    格への適合性評価手続きが不必要な貿易障害とな

    らないように国際規格を基礎とした国内規格策定

    の原則、規格作成の透明性の確保を規定したもの。

    ②食品安全マネジメントシステム(FSMS)

    安心・安全な食品を消費者に届けるために、食

    品安全を脅かす危害を適切に管理することによっ

    て保証する仕組み。

    4.FSMS認証取得について

    FSMS の認証取得のメリットについては、①

    HACCP に沿った活動が実施されている企業とし

    て国内外の大手小売りチェーンなどに対して、新

    規の販売チャネル開拓の機会が拡大する。②安全

    で高品質な食品を製造、供給できることの証明と

    なり、消費者や取引先に対するブランドイメージ

    が向上する。

    食品メーカーとして、消費者や取引先に対する

    ブランドイメージを向上させるためにも認証取得

    したい仕組みだと思いました。

    発表 5.

    「HACCPと一般衛生管理」

    山口大学共同獣医学部 豊福肇様

    一般衛生管理と HACCP

    の関係について話をされま

    した。

    ①一般衛生管理の主な目

    的は食品が衛生的な環境で

    製造され、汚染の可能性や程

    度を最小限にする。

    ②一般衛生管理は HACCP システムが効果的に

    実施される土台を提供するので、前提条件と考え

    られる。

    ③一般衛生管理の実施は最初の段階・要素で、

    HACCPシステムの作成は第二段階・要素であり、

    一般衛生管理が実施された後に実施できる。

    ここでの問題点としては、

    ・一般衛生管理でコントロールすべきハザードを

    CCPでコントロールしてしまっていることがあ

    ること。

    ・特定のハザードが一般衛生管理で十分コントロ

    ールされているのなら、CCPを設定する必要は

    ないこと。

    また、管理手段の種類として OPRPを挙げられ

    ました。

    OPRPの内容としては、『原料にリステリア菌が

    付着していたとして、スライサーを通した場合そ

    の後の原料にもリステリア菌が付着する恐れがあ

    るが、このスライサーの洗浄は OPRPになる』と

    いったハザード分析です。このようなハザード分

    析は全くの予想外であったので、参考にしていき

    たいです。

    一般衛生管理や HACCP に取り組んでいくにあ

    たって次のように説明されました。

    ・まずは、一般衛生管理の見なおし(5Sの徹底)

    ・一般衛生管理が機能していないと HACCP が機

    能しないのは事実だが、一般衛生管理が機能して

    いないからといって HACCP に取り組んではいけ

    ないとなりすぎると、HACCP に向けて前進でき

    なくなる。

    ・一般衛生管理ですべてのハザードが制御される

    のであれば、CCPは不要となる。

    最後に、一般衛生管理にしても HACCP にして

    も会社が一体となって取り組むことが重要であり、

    PDCA サイクルを回すことで継続的改善が進んで

    いくと話されました。

    今回の食品衛生 7S 基礎講座に参加させていた

    だいて、率直に感じたことは HACCPや OPRPな

    ど比較的難しい取り組みにチャレンジしていくこ

    とも大事ですが、やはりその基礎となる食品衛生

    7S 活動や一般衛生管理をしっかり取り組んでお

    くことが重要であるということです。

    より良い工場環境を作っていくことが、より良

    い製品づくりにつながっていくと思います。品質

    管理部だけでなく、現場スタッフと一緒により良

    い製品づくりに励んでいきたいと思います。

    様々な取り組みをされている皆様の発表を拝聴

    できましたことに厚く御礼を申し上げます。

  • ~ 8 ~

    食品安全ネッ

    トワークの皆様、

    こんにちは。

    株式会社あき

    んどスシロー品

    質管理室の舘山

    と申します。

    2018 年 5 月 26

    日(土)に開催さ

    れました、「第 92回 食品の安全・安心講座(米虫

    塾)」に参加させていただきました。

    簡単ながら、当日の講演内容について報告させ

    ていただきます。

    【第一演題】

    新しい原料原産地表示とアレルギー情報

    イカリ消毒株式会社 営業統括部 技術顧問

    石黒 厚様

    まずは、2017

    年 9 月 1 日に

    食品表示基準

    の一部を改正

    する内閣府令

    (内閣府令第

    十 号 ) が 公

    布・施行がされました、原料原産地表示の改正に

    ついてご説明いただきました。大きな流れを下記

    5つに分け、順番に各々の詳細を述べられました。

    「1.原料原産地表示における基本的な考え方」

    「2.原料原産地の表示の方法(現行の基準の

    解説)」

    「3.原料原産地表示の追加改正内容の詳細」

    「4.原料原産地の義務表示の特例(例外措置

    の表記方法)」

    「5.製造地表示の留意点」

    1~2においては、基本的な表示方法について、

    「原料原産地表示の定義とその表示をする義務付

    け事由」、「原料原産地における表示禁止事項(食

    品表示基準第 9条)」、「食品表示基準 別記様式一

    (八条関係)備考」を挙げ、具体例を交えて押さ

    えるべきポイントを述べられました。

    その上で、3~5の内容について、ややこしく

    なる内容であるものの、順番に表示の記載例、表

    示する理由・背景、表示をしなくてもよいポイン

    ト、注意点等を述べられました。特に 4 の例外措

    置の表記方法である、「又は表示」「大括り表示」

    「又は表示+大括り表示」「製造地表示(中間加工

    原材料)」については、大豆等を例に、どのような

    条件であれば記載が認められるのか、例外措置の

    表記を記載するためにどのような準備が必要なの

    か、それぞれの表記がどのようになるのか、表記

    するにあたっての注意を、具体的な表を用いて述

    べられました。また、5の製造地表示については、

    表示が出来ない事例や、表示として基準通りに作

    っているため問題ない記載になるが景品表示法か

    らみると優良誤認に繋がってしまう事例があるこ

    とを述べられました。具体的には、生鮮原材料の

    状態まで遡って判明している状態の場合について

    下記の例を挙げました。

    ○ 原料名 つぶあん(中国製造)、・・・

    ○ 原料名 つぶあん(砂糖(さとうきび(国産))、

    小豆、水あめ、その他)、・・・

    つぶあんが中国で製造された場合の製品におい

    て、前者ではつぶあんは中国で製造されたものと

    わかりますが、後者の場合は、中国製造の情報が

    なくなっているために、つぶあんが国内で製造さ

    株式会社あきんどスシロー

    品質管理室 館山 正和

    第 92回 食品の安全・安心講座(米虫塾)

    日時:2018年5月28日 場所:大阪産業創造館

  • ~ 9 ~

    れたという印象を与えてしまう可能性が出ました。

    このため、表示の記載には注意をしなければなら

    ないことを述べられました。

    最後に、国別重量順で記載することがやはり原

    則であるが、その国別重量順記載が困難な想定事

    例を述べられ、4・5のような例外表示を行う場

    合はより表示に気をつける必要があることを強調

    されました。

    次のテーマのアレルギー情報については、食品

    表示基準に基づいて先程の原料原産地と関わって

    いる部分(添加物の原料原産地表示)を挙げまし

    た。アレルギー情報は個別表示が基本であるが、

    表示面積等で一括表示にすることが出来ます。し

    かしながら、同じ表示にならない事例があること

    を、添加物製剤を例に一括表示と個別表示(キャ

    リーオーバーに該当する場合や、原材料欄と添加

    物欄に分けて一括表示、改行等で原材料欄のみ一

    括表示、改行等で原材料欄のみ個別表示)の記載

    事例を複数挙げて詳細を述べられました。この点

    についてはお客様視点で見ると困る部分になって

    いることを指摘されました。

    2017年 9月前後に、原料原産地が複雑・難しく

    なってきた旨の声が挙がってきて、覚えることが

    増えてきた、表示作成業務をメインとされる方は

    大変そうだと思っていましたが、お話を伺ったこ

    とで食品表示法・食品表示基準、景品表示法、不

    正競争防止法とそれぞれに関わっている部分に注

    意・理解しながら作成していかないといけない、

    これはややこしくて大変であることを実感しまし

    た。また、アレルギー表示についても順番に説明

    していただいたことで、ひとつの添加物だけで、

    数パターンの表示例が出てくることを初めて知り

    ました。今後、新しい原料原産地が導入されてき

    ているので、スーパー内の商品ラベル表示の内容

    に「○○製造」「輸入」「又は」が記載されていな

    いか確認して改めて勉強していきたいと思います。

    【第二演題】

    アレルゲンふき取りキット

    日本ハム株式会社 中央研究所ヘルスサポート課

    鶴田 慎太郎様

    日本ハム株式

    会社で販売され

    ているアレルゲ

    ンの検査キット

    についてご説明

    をいただきまし

    た。日本ハム株

    式会社は食品会社でありますが、検査キットは約

    20年前から開発しており、販売等を行っていると

    のことでした。日本ハム株式会社様のアレルゲン

    の検査キットをご説明する前に、食物アレルギー

    の事故(2012年 12月東京都調布市学校給食)、食

    物アレルギーの治療法、食物アレルギーの表示制

    度、表示が必要な濃度、通知法の検査の流れにつ

    いて述べられました。

    現在、食物アレルギーを根本的に治す治療法は

    なく、少しずつ食べて直すという経口免疫療法が

    あるものの、全ての患者さんに適用できるもので

    はないとご説明いただきました。また薬について

    は、蕁麻疹や喘息を抑える薬がありますが、あく

    までも補助的な療法であり、治すものではないと

    のことです。

    通知法の検査については、スクリーニング検査

    (ELISA法)、自主検査(イムノクロマト法)につ

    いてご説明をいただきました。日本ハム株式会社

    様では、FASTKIT シリーズ(エライザ Ver.Ⅲ、ス

    リムシリーズ)を販売されており、それぞれの特

    徴・使用目的・操作性・検出範囲の限界を述べら

    れました。また、工場におけるコンタミネーショ

    ンの「制御」について日本ハム様の背景とお考え

    を述べられました。具体的には、まだ会社では、

    コンタミネーションをゼロベースにする(排除・

    撲滅)ことを考えられていることが多いというこ

    とです。しかしながら、食品会社では様々な原料

    を使っているために、コンタミネーションのリス

  • ~ 10 ~

    クをゼロにすることは出来ず、またヒューマンエ

    ラーもあります。このため出来ないことをするの

    ではなく、制御していこうという考え方に至った

    とのことです。

    次に混入事例として、1.洗浄度確認、2.粉

    末原料飛散状況確認について詳細に述べられまし

    た。これらの結果を踏まえて、製造エリアや時間

    を変えたり、見える化したりすることで、特に予

    想される危害と対策について詳細を述べられまし

    た。

    最後に、ふき取り検査によるアレルゲン管理に

    ついて、FASTKIT スリムシリーズの活用例、ふき

    取る箇所のポイント、ふき取り方、結果判定上の

    注意点について述べられました。ふき取り方につ

    いては、「Aさん:陽性、Bさん:陰性」と判定が

    異なることがあり、異なる理由としては、ふき取

    り方が一定ではないためとのことです。写真付き

    でどれくらいの撓らせ方がわかるかがわかるマニ

    ュアルで明記することをアドバイスされました。

    また結果判定についても注意点があり、滴下後 15

    分の結果を用いることの理由、ラインの濃度に関

    わらずラインが見えたら陽性と判断することをご

    説明されました。

    今回お話を伺って印象に残ったのは、粉末原材

    料飛散状況のお話で限定された条件ではあります

    が、小麦粉を注意してボウルに移しても、3mも離

    れた場所に 30 分経過しても陽性反応が示された

    ことでした。60分後にふき取った結果弱陽性を示

    された結果があり、小麦粉が遠くまで飛散し、60

    分経過して落ちていくということがわかりました。

    このことから、飛散しやすい食材についてはエリ

    ア分け・空調管理について検討することが必要で、

    コンタミネーションのリスクを本当にゼロにする

    ことは難しいと理解しました。

    【第三演題】

    「ISO22000:2018年改正版」への企業活動に効果

    的な対応の一考察

    田川マネジメントシステム事務所代表

    田川 博一様

    国鉄時代に

    土木技術者と

    して土木構造

    物の保守管理

    を携わった田

    川様から、ご自

    身の業務内容

    の詳細、ISOが成り立った背景・歴史、その発展、

    ISO 共通テキストについてご説明をいただきまし

    た。東海道新幹線開業時に土木構造物の保守管理

    をされていたが、資材局局品質管理部へ行くこと

    の辞令を受け取り、そこで、QCサークル活動・品

    質管理について学ばれたとのことです。

    また、2008 年~2018 年 3 月にフルタ製菓の

    ISO9001 に携わっており、フルタ製菓としてどの

    ような運用事例があったかご説明されました。し

    かしながら、第一演題、第二演題で質疑応答が活

    発に行われ、田川様による講演時間が少なく裏話

    を充分に伺う時間がなく、9月 29日(土)にもう

    一度お願いをさせていただくことになりました。

    今回も米虫塾に参加させていただき、新たな気

    付きと勉強になるお話しをいただきました。まだ

    まだ不明な点が多く引き続き勉強が必要であるこ

    とを痛感しております。

    また、聴覚障害者であるため、講師様のお話に

    ついて伝わりにくいことが多くありますが、講師

    様へのサポート機器の使用のご協力のお願いをし

    ていただいた事務局長様、特に難しいお話でわか

    らない部分については筆談でサポートをしていた

    だいた佐古様(金山様)、聞こえないことへの理解

    をしていただいている食品安全ネットワークの皆

    様には厚くお礼申し上げます。ありがとうござい

    ました。

  • ~ 11 ~

    2018年 7月 12日に行われた食品衛生 7S基礎講

    座にて、「食品衛生 7S 取り組み事例」を発表させ

    て頂きました(株)ユーエイエムの後藤です。この

    たびの講演内容や感想について記事を書いて欲し

    いと依頼がありましたので、つたない内容ですが、

    講演の感想文として書かせて頂きます。

    最初に、弊社の紹介をさせて頂きます。弊社は、

    食肉のスライス・カットを専門とする「お肉のカ

    ット工場(http://www.uam-eat.co.jp/)」です。お

    取引先様と商品の仕様や業務内容について何回も

    相談させて頂きながら、お互いの納得して頂ける

    スライス・カット肉の商品を作り上げています。

    今では、インターネットを通じて直接販売をする

    お客様も増えています。弊社は、お客様やお取引

    先様のご要望やご期待にお応えする食肉の「スラ

    イス・カット」の品質・技術の向上に最大限努めて

    いきます。未熟な社長ですが、「社員を大切にする

    会社にしたい!そして、地域や社会の為にお役に

    たてる会社になりたい!」と思っています。

    今回、第 10 回「食品衛生 7S 基礎講座」で講演

    することになったのは、2018 年 2 月 21 日に開催

    された第 11 回食品衛生 7S 実践事例発表会にて、

    弊社の食品衛生7Sを土台にした愛知県 HACCP の

    認証取得への取り組みの発表内容が優秀賞企業と

    して表彰された事からでした。しかし、仕事の都

    合で一番目の講演にさせて頂き、最後まで皆様の

    発表を聞くことができず途中で退席しました。最

    優秀賞の結果は、名古屋での打合せの最中に連絡

    を頂き知りました。この結果に、一番驚いたのは、

    私自身でした。そして、7月の「食品衛生 7S基礎

    講座」で講演する大役を頂きました。このような

    講演をすることには慣れていないので、またコン

    サルタントの奥田氏のお手伝いをお願いすること

    になりました。ちなみに、奥田氏は、この NPO 法

    人食品安全ネットワークの理事もされており、中

    小企業でもHACCPへのレベルアップができる

    取り組みを紹介されています。

    株式会社ユーエイエム 代表取締役 後藤昭敏

    第 10回「食品衛生 7S基礎講座」の講演の感想 「第11回食品衛生7S実践事例発表会での最優秀発表」

  • ~ 12 ~

    顧客からの食品への安全要求は増すばかりで、

    弊社における「安心・安全の見える化」が出来てお

    らず、先が見えない状況でした。その結果、社員は

    自分達の仕事に誇りを持てない点もあり、社長と

    して枕を高くして寝られないこともあります。な

    ぜ「食品衛生7S」を導入することになったのか

    というと、以前からお付き合いのあったコンサル

    タントに相談したところ、食品衛生7Sのことを

    説明して頂きました。従業員の製造現場での作業

    が「清潔」を目的とする食品衛生7Sの実践活動に

    なると知り、食品企業のいろいろな不安を払拭で

    きると思ったからです。

    写真を見ておわかりのように、弊社の建屋は古

    く食品工場として建てられたものではありません。

    HACCPについての講習を受けた資格者もいな

    いし、HACCPなんて難しいことには、挑戦し

    ても無理だし認証もされないと思うような後ろ向

    きな考えもありました。スタートができるように

    「やるべき事」や「目指すべきゴール」などを示し、

    私を含め社員の意識を変えながら、社長の私から

    取り組むことを決意しました。愛知県HACCP

    の認証取得を目標にして、食品衛生7Sのキック

    オフ大会をして食品衛生 7Sをスタートしました。

    一般管理衛生の手洗いルールが守れなかったり、

    ゾーニングの意識が低く管理が不十分であったり、

    いろいろな問題がありました。しかし、食品衛生

    7Sでは、出来る事からキチンとやるようにして、

    食品衛生7Sで決められたルールを守ることがポ

    イントです。難しい用語などを多用せず、現場の

    作業者が理解のできる言葉を使いながら、目的を

    理解しながら進める実践活動は少しずつ受け入れ

    られて定着するようになりました。私が感じたこ

    とを4つの項目でまとめます。

    ①現場で実践できる衛生管理の構築

    ②記録は安全な食品を作る証拠

    ③中間管理職が中心となったグループ活動

    ④取引先・行政との関わりで変革

    衛生管理の当たり前のことが当たり前のように

    実践される食品衛生 7Sは、愛知県HACCP構築

    のベースとなりました。

    HACCP構築には、保健所、取引先、コンサル

    タントなど社外サポーターからのアドバイスを頂

    きながら進めることで、ハードへの投資は最低限

    の内容で済みました。社内では、全部署のリーダ

    ーに作業に対するヒヤリングを実施しながら、製

    造工程を危害分析することで一段と高いところで

    作業内容を理解することができました。2017 年 9

    月に保健所へ提出して、多くの方々のご協力のお

    蔭で 2018年 3月に、愛知県HACCPの認証を頂

    くことができました。これは、ゴールではなく、新

    しい段階へのスタートラインだと思っています。

    これからも地域で必要される食品企業として、さ

    らに発展をすることを目指していきます。最後に、

    私と嫁の出会いは、BBQでした。それが理由で

    はありませんが、多く方の出会いを応援するため

    に、2018 年 10 月 20~21 日の秋愛フェスにて、

    「10,000人のBBQ」を愛・地球博記念公園にて

    開催します。美味しいお肉をたべながら、皆さん

    で楽しい時間を過ごしませんか?ご参加をお待ち

    しています。最後に、NPO法人食品安全ネットワー

    クには、このような機会を与えて頂き感謝してい

    ます。今後とも、いろいろな面でサポートよろし

    くお願いします。ありがとうございました。

  • ~ 13 ~

    2018 年 2 月 21 日、大阪産業創造館で開催された

    「第 11回 7S実践事例発表会」において、第 2発表

    者として当社工場長樋口晃秀が発表致しました内容

    について、以下のとおり報告させて頂きます。

    1. 会社概要

    当社は 1995 年に

    設立され、現在は奈

    良県広陵町にありま

    す。食料品製造業を

    営んでいる会社で、

    従業員数は 85 名で

    す。主力製品は、「業

    務用お好み焼き」で、

    スーパーなどのイン

    ストア惣菜店舗、PB商品、外食店舗、生協、学校給

    食関係などの幅広いチャンネルで販売活動を行って

    います。シェアは業界№1を誇っています。

    原材料に使用しているキャベツは全て国内産の寒

    玉品種です。また自社オリジナルのブレンド粉や国内

    産サルモネラ殺菌済液卵を使用しています。使用して

    いる揚げ玉は、こだわりを持っており、自社独自で米

    油を使用して製造しています。

    製造設備は 2 ラインあります。一つは遠赤外線銅

    板ガス焼成機で、下は銅板、上は遠赤外線ヒーターで

    熱を加えることにより、ひっくり返さずに焼き上げて

    います。この製法は、膨らみが増し、ふっくらとした

    生地質に仕上げることができます。もう一つの電気式

    テフロン焼成機は、テフロン加工された両面ベルトで

    お好み焼の生地を緩やかに押さえ込み焼き上げるた

    め、両面が均一な焼き具合になります。これらはいず

    れもオーダーメイドによる機械で、世界に1台ずつし

    かないものです。

    2. 食品安全への基本的な取り組み

    1)組織体制

    SD食品株式会社では、お客様へ安全・安心な高品

    質商品を提供するために品質管理部を設け、品質管

    理・衛生管理・社内標準化の推進、従業員教育、官能

    検査・細菌検査等を実施しています。

    また、食品安全に取り組むための会議体として「ク

    リーンミーティング」を毎月 1回開催し、HACCPチ

    ームメンバーが集まって衛生管理に係る報告、各部署

    の問題点についての討議等を行っています。

    業務用豚玉

    遠赤外線銅板ガス焼成機

    第 11回 7S実践事例発表会での発表について

    報告者 SD食品株式会社 品質管理部 田中達男

    「第11回食品衛生7S実践事例発表会での事例発表」

    実施日 2018年 2月 21日 会 場 大阪産業創造館

    発表者:SD食品株式会社 樋口工場長

  • ~ 14 ~

    2)方針の徹底

    当社では食品安全への取り組みとして、「食品安全

    方針」と「コンプライアンス(法令遵)方針」を策定

    し、社内各所に掲示するとともに、諸会議開始時に唱

    和するなど、その周知を図っています。

    3)工場内定期巡視

    社長をはじめ幹部全員で毎月 1 日に工場内を巡視

    して問題点の指摘、改善点の確認を行っています。な

    お、巡視の結果は報告書にまとめて掲示板に掲示し、

    全従業員への周知徹底を図っています。

    4)PCOの活用

    外部防虫業者の協力を得て工場内の衛生点検を実

    施し、改善を図っています。

    3. 改善事例

    1)ビニルカーテンによるゾーニング

    当社の作業場は基本的に単一フロアになっていま

    す。そこで、天井から床面にまで届く透明カーテンで

    作業場を区切り、通路と各作業場の区域分けを行い、

    清浄レベルの違いによるエリア分けを実施していま

    す。

    2)陽圧化

    お好み焼きの焼成場は高温になるので、放熱のた

    めに陰圧になりがちです。当社では隣接作業場の空気

    が焼成場に流入するといった空気の流れを作らない

    ように、吸気設備を導入して陽圧化を図っています。

    3)整理・整頓

    3-1)製品冷蔵庫

    これまで製品冷蔵庫には完成した製品に必要事項

    を記載したラベルを張り付けて順次入庫していまし

    た。しかし、いつの間にか出入りのない製品が発生し

    て、場所を占拠していました。そこで動きのない製品

    を整理し、壁面に製品ごとの置き場所を明記して整頓

    したところ、広い空きスペースが確保できました。

    3-2)資材倉庫

    資材倉庫も棚や壁に表示はしてあるものの、置き

    方が乱雑で他の資材を動かさないと必要なものを取

    り出すことができない状況でした。そこで、資材を置

    く棚の種類を統一し、床にはラインを引いて通路を明

    確にしました。

    方針の掲示

    チルド作業エリア

    フローズン作業エリア

    通路

    ビニルカーテンによる

    ゾーニング

    整理・整頓前 整理・整頓後

    整理・整頓前 整理・整頓後

  • ~ 15 ~

    4)清掃・洗浄・殺菌

    清掃・洗浄・殺菌は全て手順書によりそのやり方が

    決められてあります。これに従って実施し、その結果

    は全て記録されます。

    なお、使用する薬剤は全て施錠された薬剤保管庫

    で保管されており、扉にはその取扱い手順が張り付け

    られてあります。取り出した薬剤は都度電子天秤で計

    量し、所定の記録用紙に記録しています。

    5)躾・コミュニケーション

    全従業員を対象とした集合教育のほか、作業手順

    等のルールに関する説明や連絡は主に職場単位で実

    施される朝礼で行われています。その内容は通路に設

    置されたホワイトボードにも記載されているので、他

    の部署の従業員も確認することができます。

    4. 活動の成果

    1)お申し出件数の減少

    それまで上昇傾向にあったお客様からのお申し出

    件数は、右図に示すとおり、衛生管理システムを導入

    した 2015年度から減少傾向に転じています。

    手順書 記録用紙 電子天秤

    職場単位の朝礼

    職場単位のホワイトボード

    2011年度

    2012年度

    2013年度

    2014年度

    2015年度

    2016年度

    2017年度

    手順書類

    清掃・洗浄

    記録用紙

  • ~ 16 ~

    2)日本冷凍食品認定工場の認定取得

    当社は一般社団法人日本冷凍食品協会が認定して

    いる「日本冷凍食品認定工場」での最高レベルに当た

    る「4年工場」に認定されています。これは冷凍食品

    工場に特化した「HACCPや ISO9000を取り入れた

    品質・衛生管理体制の確立」、「コンプライアンス体制

    の構築」、「食品防御や危機管理に関する内容等」を含

    む基準に合格したことを証明するもので、品質管理部

    門の独立、微生物検査室の設置、凍結条件などを基本

    要件(基準の上位概念)としており、さらにCSRの

    考え方も取り入れています。

    また、国際標準である CODEX の HACCP7 原則

    に則っており、ISO22000(FSSC22000)の要求にも

    対応しており、食品防御、危機管理に関する内容も含

    まれています。

    3)奈良県保健所研修施設に選定

    当社の衛生管理活動は奈良県でも認められており、

    奈良県が実施した「HACCP監視指導のための監視員

    研修」の実習工場として当社本社工場が選ばれました。

    当該研修は 2班(5名研修+1名保健所引率)に分

    かれて、下記の項目が実施され、当社の品質管理担当

    者 2名が説明及び対応に当たりました。

    ① 施設内のウオークスルー

    ② 管理方法等の質疑応答

    ③ 製造記録等の各種記録確認

    ④ 講評

    5. 今後の方針

    当社は上述のとおり、食品衛生 7S活動を中心に品

    質・衛生管理を推進してきていますが、さらに 3か年

    計画を策定して、次の課題に取り組んでいます。なお、

    この計画は 3年後の新工場建設を見据えたものです。

    1)HACCPへの完全対応(特にゾーニング)

    現工場は手狭であるためゾーニング等にも限

    界がありますが、新工場の建設の際にはこれら

    を一気に解消します。

    2)衛生管理体制の全社展開

    全従業員を対象とした衛生教育は実施してい

    ますが、その浸透は不十分でルールの順守も十

    分にはできていません。これを解消するための

    体制の構築と展開を計画的に実施します。

    3)工場内の全自動化

    前述のとおり現工場は手狭であるため新設備

    の導入もままならない状況にあります。新工場

    においては十分な作業スペースを確保して、全

    自動化ラインを導入する計画です。

    4)微生物(特に土壌菌)汚染の防止

    現在は土壌菌が付着している野菜などを工場

    内に持ち込んでいるので、それによる汚染の危

    険性を孕んでいます。新工場では隔壁による作

    業場の明確な区分け(ゾーニング)を行ってこれ

    を回避する予定です。

    5)標準化の推進

    規定・手順書等は一通り揃っていますが、管

    理が十分に出来ていないため改定がなされてい

    ない標準もあり、一部に実態との齟齬が生じて

    います。これを解消するため標準書の管理手順

    を見直し、遵守できる標準書に改めよう取り組

    んでいきます。

  • 1.日 時:2018年 10月 17日(水)

    2.見学先:カネテツデリカフーズ株式会社様

    【住所】〒658-0033 神戸市東灘区向洋町西 5 丁目 8 番地

    3.集合場所・時間:六甲ライナー アイランドセンター駅 11時30分 ※ご参考:大阪駅 10:52発 JR神戸線快速-住吉駅乗り換え-アイランドセンター11:27着

    ※駐車場はありませんので、自動車でお越しの際は近隣のコインパーキング等をご利用下さい。

    4.スケジュール(※1)

    時間 内容

    11:30 アイランドセンター駅集合、徒歩にて移動

    12:00~12:30 ちくわの手作り体験(てっちゃん工房にて)

    12:30~13:30 昼食(カネテツデリカフーズ様の食堂にて、女子栄養大学が監修した

    ランチをお召し上がりください)

    13:30~16:30

    理事長挨拶

    会社紹介、工程説明等

    工場見学(※2)

    衛生管理、品質管理に関する講義

    質疑応答

    17:00頃 アイランドセンター駅にて解散

    ※1諸事情により時間、内容は変更する場合があります。

    ※2見学通路からの見学となります。また写真撮影は不可となります。ご了承ください。

    5.定 員:20名(定員になり次第締め切らせていただきます)

    6.会 費:お一人様 5,000円(ご参加は会員のみとさせていただきます) ※昼食代を含みます。

    7.申込み:出席されます方は、10月 10日(水)までに申込み用紙に記入の上、 事務局までFAX下さい(ホームページからでも可)。

    申込み先: 食品安全ネットワーク事務局 担当 鴻上 高 宛(イカリ消毒株式会社 内)

    FAX:06-6264-2740 (TEL:06-6264-2741) 「第 52回見学会と第 55回企業サロン」:2018年 10月 17日(水)

    会社名

    参加者

    氏名

    住所 〒

    TEL FAX

    特定非営利活動法人 食品安全ネットワーク

    「第 52回見学会と第 55回企業サロン」のお知らせ カネテツデリカフーズ株式会社