肝クッパ 細胞を簡便・大量に 回収できる新規培養 …...初代混合培養系...
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「農研機構」は国立研究開発法人「農研機構」は国立研究開発法人「農研機構」は国立研究開発法人「農研機構」は国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構のコミュニケーションネームです。農業・食品産業技術総合研究機構のコミュニケーションネームです。農業・食品産業技術総合研究機構のコミュニケーションネームです。農業・食品産業技術総合研究機構のコミュニケーションネームです。
肝クッパ−細胞を簡便・大量に回収できる新規培養方法
農研機構 動物衛生研究所
病態研究領域 上席研究員
山中 典子© 2016 National Agriculture and Food Research Organization.
肝臓マクロファージ(クッパー細胞)肝臓マクロファージ(クッパー細胞)肝臓マクロファージ(クッパー細胞)肝臓マクロファージ(クッパー細胞)
肝実質細胞肝実質細胞肝実質細胞肝実質細胞
星細胞星細胞星細胞星細胞クッパー細胞クッパー細胞クッパー細胞クッパー細胞内皮細胞内皮細胞内皮細胞内皮細胞
類洞類洞類洞類洞(毛細血管)(毛細血管)(毛細血管)(毛細血管)
肝非実質細胞肝非実質細胞肝非実質細胞肝非実質細胞
本技術開発の背景(1)
2
サイトカイン等の生理活性物質の分泌
(TNFα TGF-β IL-1α IL-1β IL-6 IL-10 IL-12など、増殖因子も )• 炎症作用の調節(亢進、抑制)• 肝繊維化• 毒性メディエーター機能(薬物の作用でサイトカインを分泌、肝実質細胞等に毒性作用をあらわす)
本技術開発の背景(2)
クッパ−細胞の機能貪食
• 細菌等の異物を貪食、処理
• 貪食した異物の情報を抗原提示
• 陳旧化した赤血球など、自己細胞の貪食を行うこともある
• 自己免疫疾患との関連も
3
肝臓肝臓肝臓肝臓
コラゲナーゼ灌流コラゲナーゼ灌流コラゲナーゼ灌流コラゲナーゼ灌流細胞分散細胞分散細胞分散細胞分散
低速遠心低速遠心低速遠心低速遠心
肝実質細胞肝実質細胞肝実質細胞肝実質細胞遠心力遠心力遠心力遠心力
エルトリエーション遠心エルトリエーション遠心エルトリエーション遠心エルトリエーション遠心
従来法の問題点従来法の問題点従来法の問題点従来法の問題点
(1)特殊な遠心分離装置(エルトリエーター)が必要。(1)特殊な遠心分離装置(エルトリエーター)が必要。(1)特殊な遠心分離装置(エルトリエーター)が必要。(1)特殊な遠心分離装置(エルトリエーター)が必要。
クッパー細胞クッパー細胞クッパー細胞クッパー細胞
(2)熟練した技術と複雑な工程が必要。(2)熟練した技術と複雑な工程が必要。(2)熟練した技術と複雑な工程が必要。(2)熟練した技術と複雑な工程が必要。
(3)一回の分離操作で得られる細胞数が少ない。(3)一回の分離操作で得られる細胞数が少ない。(3)一回の分離操作で得られる細胞数が少ない。(3)一回の分離操作で得られる細胞数が少ない。
(4)分離の度に多くの動物を犠牲にせねばならない。(4)分離の度に多くの動物を犠牲にせねばならない。(4)分離の度に多くの動物を犠牲にせねばならない。(4)分離の度に多くの動物を犠牲にせねばならない。
細胞の流れ細胞の流れ細胞の流れ細胞の流れ肝非実質細胞肝非実質細胞肝非実質細胞肝非実質細胞
従来技術とその問題点
4
新技術の特徴・従来技術との比較
肝細胞肝細胞肝細胞肝細胞のののの混合培養系混合培養系混合培養系混合培養系をををを利用利用利用利用してクッパーしてクッパーしてクッパーしてクッパー
細胞細胞細胞細胞をををを単単単単離離離離するするするする手法手法手法手法
(1)特殊な装置を使わない。(1)特殊な装置を使わない。(1)特殊な装置を使わない。(1)特殊な装置を使わない。
(2)簡易な技術と単純な工程。(2)簡易な技術と単純な工程。(2)簡易な技術と単純な工程。(2)簡易な技術と単純な工程。
(3)分離操作を繰り返すことができる。(3)分離操作を繰り返すことができる。(3)分離操作を繰り返すことができる。(3)分離操作を繰り返すことができる。
5
初代混合培養系初代混合培養系初代混合培養系初代混合培養系((((5 x 106 cells / 75 cm2 flask))))
成体ラット肝成体ラット肝成体ラット肝成体ラット肝 細胞分散細胞分散細胞分散細胞分散
1 1 1 1 日後日後日後日後 4444日後日後日後日後 8 8 8 8 日後日後日後日後
高度に純化されたクッパー細胞高度に純化されたクッパー細胞高度に純化されたクッパー細胞高度に純化されたクッパー細胞
ペトリディッシュへの付着ペトリディッシュへの付着ペトリディッシュへの付着ペトリディッシュへの付着非接着細胞を洗浄・除去非接着細胞を洗浄・除去非接着細胞を洗浄・除去非接着細胞を洗浄・除去
上清中のクッパー細胞を回収上清中のクッパー細胞を回収上清中のクッパー細胞を回収上清中のクッパー細胞を回収
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同じフラスコから同じフラスコから同じフラスコから同じフラスコから繰り返して回収可能繰り返して回収可能繰り返して回収可能繰り返して回収可能
(2(2(2(2〜〜〜〜3週間)3週間)3週間)3週間)
フラスコを振とうフラスコを振とうフラスコを振とうフラスコを振とう
低速遠心低速遠心低速遠心低速遠心
肝実質細胞肝実質細胞肝実質細胞肝実質細胞に富む分画に富む分画に富む分画に富む分画
ラットの場合
6
培養試験培養試験培養試験培養試験
培養日数培養日数培養日数培養日数
平均
細胞
数平
均細
胞数
平均
細胞
数平
均細
胞数
/ T
/ T
/ T
/ T
-- --75
75
75
75 フ
ラス
コフ
ラス
コフ
ラス
コフ
ラス
コ(x
10
(x 1
0
(x 1
0
(x 1
0 55 55
)) ))
0000
10101010
20202020
30303030
40404040
0000 10101010 20202020 30303030 40404040
No. 1No. 1No. 1No. 1
No. 2No. 2No. 2No. 2
No. 3No. 3No. 3No. 3
TTTT----75757575フラスコから繰り返して得られるクッパー細胞数フラスコから繰り返して得られるクッパー細胞数フラスコから繰り返して得られるクッパー細胞数フラスコから繰り返して得られるクッパー細胞数
Kitani et. al . (2010) J. Immun. Methods.360:47-55
細胞の回収性
7
EDEDEDED----1111 EDEDEDED----3333 OXOXOXOX----41414141
IbaIbaIbaIba----1111 EDEDEDED----1(Day 4)1(Day 4)1(Day 4)1(Day 4) Scale bar: 100 µµµµm
・クッパー細胞はラットマクロファージ特異的抗体により強く免疫染色された。・クッパー細胞はラットマクロファージ特異的抗体により強く免疫染色された。・クッパー細胞はラットマクロファージ特異的抗体により強く免疫染色された。・クッパー細胞はラットマクロファージ特異的抗体により強く免疫染色された。・細胞同士が融合し、多核体を形成した。・細胞同士が融合し、多核体を形成した。・細胞同士が融合し、多核体を形成した。・細胞同士が融合し、多核体を形成した。
Kitani et. al . (2010) J. Immun. Methods.360:47-55
免役染色による細胞の性質の判定
8
No beadNo beadNo beadNo bead 1 hr1 hr1 hr1 hr 2 hr2 hr2 hr2 hr 4hr4hr4hr4hr
Blue: DAPIGreen: FITC beads
61.6%61.6%61.6%61.6% 83.6%83.6%83.6%83.6% 93.8%93.8%93.8%93.8%
・クッパー細胞は・クッパー細胞は・クッパー細胞は・クッパー細胞はFITCFITCFITCFITC標識ラテックスビーズを活発に貪食した。標識ラテックスビーズを活発に貪食した。標識ラテックスビーズを活発に貪食した。標識ラテックスビーズを活発に貪食した。
Kitani et. al . (2010) J. Immun. Methods.360:47-55
貪食能
9
Rat GM-CSF
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
0 3.1 6.3 12.5 25.0
ng/ml
Bovine GM-CSF
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
0 3.1 6.3 12.5 25.0
Human GM-CSF
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
0 3.1 6.3 12.5 25.0
Mouse GM-CSF
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
0 3.1 6.3 12.5 25.0
Ab
sorb
ance
at
440n
m
ng/ml
(WST(WST(WST(WST----1111試薬による細胞増殖アッセイ試薬による細胞増殖アッセイ試薬による細胞増殖アッセイ試薬による細胞増殖アッセイ)))) Kitani et. al . (2010) J. Immun. Methods.360:47-55
サイトカインに対する増殖応答能サイトカインに対する増殖応答能サイトカインに対する増殖応答能サイトカインに対する増殖応答能
10
Day 2Day 2Day 2Day 2 Day 4Day 4Day 4Day 4
Day 8Day 8Day 8Day 8 Day 16Day 16Day 16Day 16
CK18CK18CK18CK18
CD68CD68CD68CD68 CD172aCD172aCD172aCD172a
< Day 2 >< Day 2 >< Day 2 >< Day 2 >
< Day 15 >< Day 15 >< Day 15 >< Day 15 >
CK18CK18CK18CK18
CD68CD68CD68CD68 CD172aCD172aCD172aCD172a
ウシ肝細胞の初代培養系においてもウシ肝細胞の初代培養系においてもウシ肝細胞の初代培養系においてもウシ肝細胞の初代培養系においてもクッパー細胞が活発に増殖した。クッパー細胞が活発に増殖した。クッパー細胞が活発に増殖した。クッパー細胞が活発に増殖した。
ウシ肝実質細胞の初代培養(位相差観察)ウシ肝実質細胞の初代培養(位相差観察)ウシ肝実質細胞の初代培養(位相差観察)ウシ肝実質細胞の初代培養(位相差観察)
CK19CK19CK19CK19
CK19CK19CK19CK19
振振振振とう・とう・とう・とう・付付付付着着着着法法法法によるによるによるによる
クッパークッパークッパークッパー細胞細胞細胞細胞のののの選選選選択択択択的分離的分離的分離的分離
Scale bar: 100 µµµµm
ウシの場合
11
0000
10101010
20202020
30303030
0000 10101010 20202020 30303030 40404040 50505050
Culture daysCulture daysCulture daysCulture days
No. 1No. 1No. 1No. 1No. 2No. 2No. 2No. 2No. 3No. 3No. 3No. 3
Experiment Experiment Experiment Experiment
Cell
yie
ld p
er
flask (
Cell
yie
ld p
er
flask (
Cell
yie
ld p
er
flask (
Cell
yie
ld p
er
flask (×× ××
10
10
10
1055 55)) )) T75T75T75T75フラスコあたりのフラスコあたりのフラスコあたりのフラスコあたりの収収収収量量量量
10 min10 min10 min10 min
2 days2 days2 days2 days
ペトリディッシュへの付着ペトリディッシュへの付着ペトリディッシュへの付着ペトリディッシュへの付着非接着細胞を洗浄・除去非接着細胞を洗浄・除去非接着細胞を洗浄・除去非接着細胞を洗浄・除去
同じフラスコから同じフラスコから同じフラスコから同じフラスコから繰り返して回収可能繰り返して回収可能繰り返して回収可能繰り返して回収可能
(2(2(2(2〜〜〜〜3週間)3週間)3週間)3週間)
Scale bar: 100 µµµµm
ディッシュへの接着による回収と回収性
12
CD68
CD172a
Iba-1
Iba-1(D8)
85.3%
93.5%
94.0%
None
1 h
2 h
4 h Blue = DAPIGreen = FITCRed = CD172a
None
1 h
2 h
4 h
ウシ肝由来クッパー細胞の免疫染色と貪食能ウシ肝由来クッパー細胞の免疫染色と貪食能ウシ肝由来クッパー細胞の免疫染色と貪食能ウシ肝由来クッパー細胞の免疫染色と貪食能ウシ肝由来クッパー細胞の免疫染色と貪食能ウシ肝由来クッパー細胞の免疫染色と貪食能ウシ肝由来クッパー細胞の免疫染色と貪食能ウシ肝由来クッパー細胞の免疫染色と貪食能
Scale bar: 100 µµµµm Scale bar: 50 µµµµmKitani et. al . (2011) Vet. Immun. Immunopath.140:341-345 13
Absorbance a
t 4
40 n
mA
bsorbance a
t 4
40 n
mA
bsorbance a
t 4
40 n
mA
bsorbance a
t 4
40 n
m
Concentration of bovine Concentration of bovine Concentration of bovine Concentration of bovine rrrrGMGMGMGM----CSF (CSF (CSF (CSF (ng/ml)ng/ml)ng/ml)ng/ml)
0000
0.20.20.20.2
0.40.40.40.4
0.60.60.60.6
0.80.80.80.8
0000 3333 6666 12121212 25252525
ウシウシウシウシrGMrGMrGMrGM----CSFCSFCSFCSFに対する増殖応答能に対する増殖応答能に対する増殖応答能に対する増殖応答能
(WST(WST(WST(WST----1111試薬による試薬による試薬による試薬による))))
LPSLPSLPSLPS刺激に対するサイトカイン産生応答能刺激に対するサイトカイン産生応答能刺激に対するサイトカイン産生応答能刺激に対するサイトカイン産生応答能
Rela
tiv
e r
atio
to G
AP
DH
Rela
tiv
e r
atio
to G
AP
DH
Rela
tiv
e r
atio
to G
AP
DH
Rela
tiv
e r
atio
to G
AP
DH
No stimulationNo stimulationNo stimulationNo stimulationLPS (1 LPS (1 LPS (1 LPS (1 µµµµg/ml)g/ml)g/ml)g/ml)
0000
10101010
20202020
30303030
40404040
50505050
60606060
70707070
ILILILIL----1111αααα ILILILIL----1111ββββ ILILILIL----6666 ILILILIL----12p4012p4012p4012p40TNFTNFTNFTNFαααα ILILILIL----10101010
(Q(Q(Q(Q----PCRPCRPCRPCRによる)による)による)による)
KitaniKitaniKitaniKitani et. al . et. al . et. al . et. al . (2011) (2011) (2011) (2011)
Vet. Vet. Vet. Vet. Immun. Immunopath.. Immunopath.. Immunopath.. Immunopath.140:341140:341140:341140:341----345345345345
増殖応答能とサイトカイン産生能
14
ラットにおける本手法の詳細はラットにおける本手法の詳細はラットにおける本手法の詳細はラットにおける本手法の詳細はビデオジャーナルにて公開中ビデオジャーナルにて公開中ビデオジャーナルにて公開中ビデオジャーナルにて公開中
Journal of Visualized ExperimentsJournal of Visualized ExperimentsJournal of Visualized ExperimentsJournal of Visualized Experiments ((((JoVEJoVEJoVEJoVE))))((((51:2011/5/24)51:2011/5/24)51:2011/5/24)51:2011/5/24)
15
想定される研究分野
• 得られるクッパー細胞はマクロファージとしての機能を維持している
• 貪食作用およびサイトカイン等の生理活性物質の分
泌が関連する病態解明やそれによる診断法、治療法
の開発
•家畜の生産病の病態•ヒトの肝炎や肝繊維化、肝硬変などの病態•創傷治癒(肉芽組織の修復)•炎症(亢進、抑制)•毒性研究(肝実質細胞との相互作用)
16
想定される商業用途
現時点で
• 細胞プレート• サイトカイン試薬
さらに研究を進めれば
• 診断キットの開発• 治療薬の生産• 毒性試験キットの開発
17
企業への期待
• 培養の規模の拡大、培養作業の自動化(ロボット化)によりサイトカイン生産等に応用可。
• 病態、毒性解明の基礎研究のレベルでの共同研究ができれば、診断、治療等のさらに大きなマーケットも期待できる。
18
本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :クッパ−細胞の効率的増殖方法およびその利用
• 登録番号 :特許5720980号
• 特許権者 :農研機構
農業生物資源研究所
• 発明者 :山中典子、吉岡都
木谷 裕、竹之内敬人
19
お問い合わせ先(必須)
農研機構 動物衛生研究所
病態研究領域 上席研究員
山中 典子
TEL 0298-383-7823
FAX 0298-383-7825
E-mail yamamaya@affrc.go.jp
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