語想起課題における検索効率の急速な低下現象と 前頭葉脳血...

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-151- 語想起課題における検索効率の急速な低下現象と 前頭葉脳血流変化の関連 惠 羅 修 吉 ・ 西 田 智 子 <要 旨> 実行機能を反映する語想起課題の遂行中,時間経過に伴う検索効率の急速な低下現象が頻繁に出 現する。本研究では,この現象と課題遂行中の前頭前野の活性化との関連について検討することを 目的とした。前頭前野の活性化については NIRS による脳酸素代謝変化を指標とした。その結果, 時間経過に伴う検索効率の急速な低下現象の出現を確認するとともに,それに随伴して時間経過に 伴う OxyHb 濃度変化量の増加を認めた。さらに行動指標と NIRS 指標の関連性を分析するため,参 加者を課題遂行成績の高低で二分して比較した。その結果,遂行成績の高低に関わらず時間経過 に伴う検索効率の急速な低下現象は出現し,低成績者よりも高成績者の OxyHb 濃度変化量が多く, その差は課題遂行の冒頭よりも中盤および後半で拡大した。以上の結果より,時間経過に伴う検索 効率の急速な低下現象の背後で,検索困難状態から脱するために実行機能が活動し,前頭前野の賦 活に繋がっていることが示唆された。 問題と目的 学習困難のある子どもに対して個の特性に応 じた適切な教育支援を提供するには,科学的根 拠に基づく教育実践を確立することが極めて重 要な課題である(惠羅,2007,2011)。根拠に 基づく教育実践を実現するために心理学が貢献 可能な領域としては,子どもの認知機能を評 価する検査方法を開発し,検査結果を指導法 につなげることがあげられる。心理学のなか でも神経心理学は,脳損傷患者を対象とした 検査法を数多く開発してきた。近年の認知神 経科学の発展により,その研究成果は質量と もに充実してきており,対象範囲を発達障害 にも拡大してきている(e.g., D’Amato, Fletcher- Janzen, Reynolds, 2005; Nelson Luciana, 2008; Reynolds Fletcher-Janzen, 2009)。 神経心理学の歴史のなかで,前頭葉機能あ るいは実行機能を評価する検査として伝統 的に位置づけられてきた課題として語想起 課題(あるいは言語流暢性検査)が有名であ る。英語表記では,Verbal Fluency TaskWord Generation TaskControlled Word Association TaskGenerative Naming Task など複数の名称が ある。語想起課題は,ある共通属性を有する単 語を限定された時間内で可能な限り多く再生す る単語検索課題である。通常,制限時間内で報 告された単語の総数を指標とする。課題となる 記憶検索の手がかりとしては,頭文字(あるい 1 香川大学大学院教育学研究科 2 香川大学教育学部

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    語想起課題における検索効率の急速な低下現象と前頭葉脳血流変化の関連

    語想起課題における検索効率の急速な低下現象と

    前頭葉脳血流変化の関連

    惠 羅 修 吉1

     ・ 西 田 智 子2

    <要 旨> 実行機能を反映する語想起課題の遂行中,時間経過に伴う検索効率の急速な低下現象が頻繁に出現する。本研究では,この現象と課題遂行中の前頭前野の活性化との関連について検討することを目的とした。前頭前野の活性化についてはNIRSによる脳酸素代謝変化を指標とした。その結果,時間経過に伴う検索効率の急速な低下現象の出現を確認するとともに,それに随伴して時間経過に伴うOxyHb濃度変化量の増加を認めた。さらに行動指標とNIRS指標の関連性を分析するため,参加者を課題遂行成績の高低で二分して比較した。その結果,遂行成績の高低に関わらず時間経過に伴う検索効率の急速な低下現象は出現し,低成績者よりも高成績者のOxyHb濃度変化量が多く,その差は課題遂行の冒頭よりも中盤および後半で拡大した。以上の結果より,時間経過に伴う検索効率の急速な低下現象の背後で,検索困難状態から脱するために実行機能が活動し,前頭前野の賦活に繋がっていることが示唆された。

    問題と目的 学習困難のある子どもに対して個の特性に応じた適切な教育支援を提供するには,科学的根拠に基づく教育実践を確立することが極めて重要な課題である(惠羅,2007,2011)。根拠に基づく教育実践を実現するために心理学が貢献可能な領域としては,子どもの認知機能を評価する検査方法を開発し,検査結果を指導法につなげることがあげられる。心理学のなかでも神経心理学は,脳損傷患者を対象とした検査法を数多く開発してきた。近年の認知神経科学の発展により,その研究成果は質量ともに充実してきており,対象範囲を発達障害にも拡大してきている(e.g., D’Amato, Fletcher-

    Janzen, & Reynolds, 2005; Nelson & Luciana, 2008; Reynolds & Fletcher-Janzen, 2009)。 神経心理学の歴史のなかで,前頭葉機能あるいは実行機能を評価する検査として伝統的に位置づけられてきた課題として語想起課題(あるいは言語流暢性検査)が有名である。英語表記では,Verbal Fluency Task,Word Generation Task,Controlled Word Association Task,Generative Naming Taskなど複数の名称がある。語想起課題は,ある共通属性を有する単語を限定された時間内で可能な限り多く再生する単語検索課題である。通常,制限時間内で報告された単語の総数を指標とする。課題となる記憶検索の手がかりとしては,頭文字(あるい

    1 香川大学大学院教育学研究科2 香川大学教育学部

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    惠 羅 修 吉 ・ 西 田 智 子

    は語頭)を共通属性として提示する方法(音韻手がかり法)と,上位カテゴリ名(例えば「動物」や「道具」など)を共通属性として提示する方法(意味手がかり法あるいはカテゴリ手がかり法)がある。一試行の制限時間は,60秒間に設定されることが一般的である。語想起課題での効率的な遂行に関与する脳領域としては,前頭葉,特に前頭前野であり,推定される認知機能としては実行機能が挙げられている(e.g., 惠羅,1992; Spreen & Strauss, 1998)。 語想起課題遂行中に頻繁に観察される行動特徴として,時間経過に伴う再生数の急速な低下現象がある(Crowe, 1997, 1998: Hurks, Hendriksen, Vles, Kalff, Feron, Kroes, van Zeben, Steyaert, & Jolles, 2004; Joanette & Goulet, 1988; Mattis, Kovner, Gartner, & Goldmeier, 1981; Rosen, 1980; Sauzéon, Rabouttet, Rodrigues, Langevin, Schelstraete, Feyereisen, Hupet, & N’Kaoua, 2011; Stuss, Alexander, Hamer, Palumbo, Dempster, Binns, Levine, & Izukawa, 1998)。 われわれが実施した研究においても,成人(惠羅,2010,2016), 小 学 校 低 学 年 児 童(惠羅・大庭,2008a),知的障害児(惠羅・大庭,2008b;惠羅・伊賀・泉保ら,2012)において,この現象が確認されている。多くの場合,被検者は,課題開始直後では努力を要することなく多数の単語を報告することができる。しかしながら,このような努力を要しない自動的な語彙検索が可能な時間帯は短く,その後,急速に検索困難な状態に陥る。検索効率の急速な低下現象は,まだ報告していない単語が長期記憶内に多数存在しているにもかかわらず生起する。それゆえ,同じ手がかりで反復検索することが効率的な検索を阻害するといった何らかの困難を惹起したのではないかと推察される。阻害要因の一つとして推定されることは,ワーキングメモリ容量の限界である。課題遂行中に同じ単語を繰り返して報告しないために既に報告した単語を覚えておくことにワーキングメモリ容量が費やされて,効率的な検索の実行に充分な容量が確保できなくなっていると考えられる。この仮説については,先の研究(惠羅,2016)にお

    いて言語性ワーキングメモリの容量が低下現象に関与しないことが明らかとなり,棄却された。もう一つの仮説として,課題遂行の時間経過に伴う持続的注意あるいは努力の低減が考えられる。この仮説について,惠羅(2003)は,事象関連脳電位(Event-Related Potentials, 以下ERPsとする)を用いて,語想起課題中のprobe誘発法による反応分析を行い,この仮説に反する結果を得た。しかしながら,probe誘発法は,課題無関連の妨害刺激に対するERPs反応であり,妨害刺激への反応低下という証拠は注意集中の裏返しであり間接的な証拠といえる。よって本研究では,課題遂行中の脳活動を近赤外線分光法(Near-infrared spectroscopy,以下NIRSとする)でモニターすることで,時間経過に伴う前頭前野領域の活動変化について分析することにした。 NIRSとは,頭皮および頭蓋骨など生体組織を通過しやすい近赤外光を頭皮上より照射し,脳内で散乱してきた反射光を計測して,ある種の演算を介して酸素化ヘモグロビン(OxyHb),脱酸素化ヘモグロビン(DeoxyHb),両者の和である総ヘモグロビンの濃度変化を測定する技術である(福田,2009;小泉,1998;酒谷,2012)。生体に対する侵襲性が極めて低く,かつ拘束性が低いという利点を有する検査である。大脳皮質では,神経活動の亢進にあわせて,その脳領域の血流量・血液量が増大する。NIRSにより脳血液のOxyHb濃度を計測することで,ある限定された脳領域の活動状態をモニターすることが可能となる。NIRSは,入射-受光プローブの設置しやすさ等の理由により,前頭葉機能の評価に活用されることが比較的多い。語想起課題を用いた研究も多く,課題遂行中に前頭領域でOxyHb濃度が増大することが報告されている(e.g., Ehlis, Herrmann, Plichta, & Fallgatter, 2007; Herrmann, Ehlis, & Fallgatter, 2003; Herrmann, Walter, Ehlis, & Fallgatter, 2006; Kameyama, Fukuda, Uehara, & Mikuni, 2004; Kubota, Toichi, Shimizu, Mason, Coconcea, Findling, Yamamoto, & Calabrese, 2005; Matsuo, Kato, Fukuda, & Kato, 2000; Sakatani, Yamashita,

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    語想起課題における検索効率の急速な低下現象と前頭葉脳血流変化の関連

    Yamanaka, Oda, Yamashita, Hoshino, Fujiwara, Murata, & Katayama, 2006; Schecklmann, Ehlis, Plichta, & Fallgatter, 2010; Watanabe, Matsuo, Kato, & Kato, 2003)。しかしながら,時間経過に伴う検索効率の急速な低下現象に着目した研究はほとんどない。 本研究では,語想起課題における時間経過に伴う検索効率の急速な低下現象と前頭前野の活性化との関連について検討することを目的とした。前頭前野の活性化については,NIRSによる脳血液のOxyHb濃度の変化を指標とすることにした。また,語想起課題で用いる音韻手がかりについては,その音で始まる単語の語彙量により課題の難易度が異なる。語彙量の多い音韻手がかりについては再生数が多く,課題遂行が比較的容易であるが,語彙量の少ない音韻手がかりの場合には再生数が少なく,課題遂行に困難を感じることが多い(惠羅,2010)。よって本研究では,音韻手がかりとして語彙量の多い条件と少ない条件を設定して,課題難易度の異なる2条件とした。課題難易度が検索効率の急速な低下現象と前頭前野の活性化に及ぼす影響について検討した。

    方 法参加者 日本語を母国語とする大学生・大学院生21名(男性7名/女性14名,平均年齢21.5歳,年齢範囲19歳―27歳)を対象にした。参加者全員が右利きであった。課題 本検査では,語想起課題として音韻手がかり法(語頭音手がかり法)を用いた。音韻手がかりである語頭音としては,一般的な日本語語彙として該当する単語が多い条件(語彙量Large条件,以下,語彙量L条件とする)と該当する単語が少ない条件(語彙量Small条件,以下,語彙量S条件とする)の2条件を設定し,それぞれ2試行を行った。語彙量については,国立国語研修所(2001)の『教育基本語彙の基本的研究:教育基本語彙データベースの作成』を参照した。語彙量L条件では,このデータベースに

    おいて語彙の多い順で上位の2音である「し」(n=2654)と「か」(n=1821)を使用することにした。語彙量S条件では,下位の2音である「る」(n=30)と「ぬ」(n=82)を使用することにした。測定機器 脳内血液酸素動態を測定するため,2chのNIRS機器(Pocket NIRS Duo, Dynasense社)を使用した。本機では,OxyHb濃度とDeoxyHb濃度,それと両者を加算した総Hb濃度(TotalHb)の変化を測定することが可能である。測定では,2つのプローブを国際10/20法に基づくFp1(左側前頭極)とFP2(右側前頭極)にほぼ相当する位置にそれぞれ配置した。これらの位置は,前頭前野の活動を測定することになる。Sampling Rateは,10Hzに設定した。プローブの固定と遮光のため,プローブの上から黒色ヘアバントを重ねた。NIRSで測定されたデータは,Bluetoothにより無線でPCに送信された。PCでは課題遂行中の濃度変化の波形をオンラインで観察できるようにした。 NIRSによって測定されるデータは,血液中のOxyHbとDeoxyHbの相対的濃度変化量であるため,基準値を設定して,ベースライン補正を行う必要がある。本研究では,ベースラインとして,語想起課題の各試行前に30secの計数課題を実施した。参加者には,おおよそ1秒間に1数字のゆっくりした速度で1から順に数字を数え上げるように要請した。計数課題遂行中の5~20secの区間における各NIRS指標の平均濃度を基準値として設定した。すなわち,語想起課題の各試行における濃度変化は,試行開始前を基準とした変化量となる。手続き 検査は,香川大学教育学部の静かな検査室で個別に実施された。参加者は,検査室の壁面に設置された机に向かい椅子に座った。検査者は,参加者の側面に位置し,課題の教示と機器の制御を行った。 検査手順としては,はじめにNIRS用のプローブを対象者の前額に附置した後,閉眼安静状態を1分間程度実施し,波形の安定化を確認した。その後,対象者に対して語頭音が「あ」

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    惠 羅 修 吉 ・ 西 田 智 子

    である場合を例として語想起課題の説明を行った。「これから例えば,“あ” から始まる言葉をできるだけたくさん言ってください,といいます。“あ”から始まる言葉には,“足” “雨” “歩く”などありますね。思いついた言葉をできるだけたくさん言って下さい。私がやめと言うまで続けて下さい。ただし,“歩く” といったら “歩きます”,“歩かない” といった活用変化については不可とします。それから,地名や人名など固有名詞は基本的に不可とします」といった内容の教示を行った。音韻手がかりの提示は,検査者が口頭で行った。対象者の反応は,口頭による報告とした。1試行あたりの再生時間は,90secとした。施行順は,「し→ぬ→か→る」の固定順とし,L条件とS条件の試行を交互に実施した。各試行開始前にベースラインの計数課題を行った。計数課題と試行開始までの間は5sec程度であり,この間に音韻手がかりを口頭で提示した。試行間間隔は,60から90secとした。 参加者の音声反応は,前面の机上に設置したマイクを通してコンピュータにデジタル録音し(44.1kHz, 16bit),オフラインで分析した。90secの制限時間をそれぞれ30secの3区間に分割して,再生語数を計数した。NIRSで測定されたOxyHbとDeoxyHb,ならびにその和であるTotalHbの濃度についても,行動指標と同様,3区間に分割して分析を行った。倫理的配慮 すべての参加者に対して,検査実施前に文書と口頭で研究の目的と内容,個人特定回避の保証,結果の開示方法などについて説明した後,検査の実施について署名による同意を得た。

    結 果行動指標 参加者21名のうち4名でそれぞれ1回の誤反応があった。全体で4回の誤反応の内訳は,既再生項目の再想起が2回,語彙としては存在しない音系列の想起が2回であった。 実施した4試行それぞれの全再生数平均をFigure 1に示す。語彙量L条件の「か」の全再

    生数が最も多く,語彙量L条件の「し」がこれに続いた。語彙量S条件の「ぬ」「る」の差はなく,語彙量L条件の2試行と顕著な差がみられた。繰り返しのある一元配置分散分析の結果,効果は有意であった(F(3, 60)=121.84, p<.001, partial η2=.859)。TukeyのHSD検定より,試行間に「か」>「し」>「ぬ」≒「る」の有意差が認められた(ps<.05)。以上の結果より,語彙量L条件の「か」と「し」で全再生数に差があったが,語彙量L条件と語彙量S条件の条件間よりも条件内の差が小さかったので,以降の分析は各条件の平均値を対象とする。 Figure 2に各条件における区間別の再生数を示す。いずれの区間においても,S条件に比べ

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    Figure 1 各試行における全再生数

    (エラーバーは標準誤差)

    17

    Figure 2 語彙量条件ごとの区間別

    再生数の推移

    (エラーバーは標準誤差)

    Figure 1 各試行における全再生数     (エラーバーは標準誤差)

    Figure 2 語彙量条件ごとの区間別再生数の推移(エラーバーは標準誤差)

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    語想起課題における検索効率の急速な低下現象と前頭葉脳血流変化の関連

    てL条件で高い再生数を示した。語彙量(L/S条件)×区間(第1/第2/第3区間)の繰り返しのある2要因分散分析を実施した結果,語彙量と区間の両主効果が有意であり(語彙量:F(1, 20)=207.76, p<.001, partial η2=.912;区間:

    F(2, 40)=218.44, p<.001, partial η2=.916), 両者の交互作用も有意であった(F(2, 40)=5.88, p=.006, partial η2=.227)。交互作用が有意であったのでTukeyのHSD検定を実施した結果,語彙量L条件とS条件ともに,第1区間と第2・3区間の間に有意差を認めたが(ps<.05),第2区間と第3区間の間には再生数に有意差はなかった。NIRS指標 語想起課題遂行中のNIRS指標について,区間別(第1/第2/第3区間)・位置別(左/右)の測定値をTable 1に示す。DeoxyHb濃度については条件間で目だった差異はなく,TotalHb

    の濃度変動はOxyHbの濃度変動を反映したものと見てとれる。本論文では,OxyHbを分析対象パラメータとして報告する。 区間別・位置別の OxyHb 濃度についてFigure 3に示す。語彙量(L/S条件)×位置(左/右)×区間(第1/第2/第3区間)の繰り返しのある3要因分散分析を実施した。その結果,語彙量と区間の主効果が有意であった(語彙量:F(1, 20)=13.80, p<.001, partial η2=.408;区間:F(2, 40)=27.02, p<.001, partial η2=.575)。位置の主効果は有意ではなかった(F(1, 20)=0.22, ns, partial η2=.01)。交互作用については,語彙量×区間が有意であったが(F(2, 40)=3.67, p=.034, partial η2=.155),その他の交互作用は有意に至らなかった(語彙量×位置:F(1, 20)=0.70, 位置×区間:F(2, 49)=0.61, 語彙量×位置×区間:F(2, 40)=0.45, いずれもns)。

    Table 1  語彙量・プローブ位置・区間別によるNIRS指標(OxyHb,DeoxyHb,TotalHb)の平均(Mean)と標準偏差(SD)

    OxyHb

    語彙量

    Left Right1st 2nd 3rd 1st 2nd 3rd

    Mean SD Mean SD Mean SD Mean SD Mean SD Mean SDL条件 Mean 0.150 0.232 0.360 0.375 0.395 0.350 0.139 0.228 0.344 0.378 0.356 0.352

    Shi 0.297 0.348 0.611 0.605 0.587 0.543 0.272 0.346 0.573 0.619 0.526 0.524Ka 0.003 0.181 0.108 0.249 0.203 0.232 0.006 0.162 0.114 0.207 0.185 0.250

    S条件 Mean -0.003 0.147 0.142 0.198 0.248 0.226 0.015 0.127 0.141 0.234 0.252 0.263Nu -0.006 0.201 0.121 0.199 0.229 0.254 0.011 0.170 0.153 0.244 0.233 0.322Ru 0.000 0.166 0.162 0.268 0.267 0.299 0.019 0.160 0.129 0.319 0.270 0.338

    DeoxyHb

    語彙量

    Left Right1st 2nd 3rd 1st 2nd 3rd

    Mean SD Mean SD Mean SD Mean SD Mean SD Mean SDL条件 Mean -0.028 0.128 -0.084 0.154 -0.096 0.163 0.002 0.076 -0.020 0.133 -0.025 0.146

    Shi -0.029 0.189 -0.098 0.198 -0.122 0.213 -0.051 0.167 -0.092 0.234 -0.111 0.230Ka -0.027 0.081 -0.070 0.129 -0.069 0.131 0.002 0.076 -0.020 0.133 -0.025 0.146

    S条件 Mean -0.019 0.097 -0.039 0.133 -0.024 0.139 0.001 0.124 -0.007 0.157 -0.003 0.138Nu -0.042 0.147 -0.071 0.183 -0.048 0.161 -0.018 0.113 -0.030 0.160 -0.031 0.158Ru 0.005 0.078 -0.008 0.102 0.000 0.135 0.020 0.146 0.015 0.172 0.026 0.164

    TotalHb

    語彙量

    Left Right1st 2nd 3rd 1st 2nd 3rd

    Mean SD Mean SD Mean SD Mean SD Mean SD Mean SDL条件 Mean 0.121 0.308 0.276 0.442 0.299 0.402 0.007 0.208 0.094 0.287 0.159 0.338

    Shi 0.268 0.458 0.514 0.703 0.465 0.599 0.221 0.412 0.481 0.735 0.415 0.633Ka -0.025 0.213 0.038 0.258 0.133 0.272 0.007 0.208 0.094 0.287 0.159 0.338

    S条件 Mean -0.021 0.218 0.103 0.271 0.224 0.265 0.015 0.219 0.134 0.338 0.249 0.350Nu -0.048 0.297 0.050 0.292 0.181 0.273 -0.008 0.223 0.123 0.326 0.203 0.357Ru 0.006 0.216 0.155 0.316 0.267 0.336 0.038 0.282 0.144 0.432 0.296 0.433

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    惠 羅 修 吉 ・ 西 田 智 子

    行動指標(再生数)とNIRS指標(OxyHb濃度)の関連 再生数とOxyHb濃度の関連について分析するため,参加者を課題遂行成績の高低で二分して比較することにした。4試行の再生数を合計した全再生数で参加者をソートし,全再生数が少ない者から順に9名をL群(全再生数は,M=36.2, Range: 29-42),全再生数が多い者から順に10名をH群(M=56.6, Range: 48-66)とした。全再生数が中央値に該当した2名については分析の対象から除外した。両群の成績について語彙量と区間別にFigure 4に示す。両群は,遂行成績に差があるものの,基本的に類似した遂行パターンを示していた。成績(L/H群)×語彙量(L/S条件)×区間(第1/第2/第3区間)の繰り返しのある3要因分散分析を実施した結果,3つの主効果がともに有意であり(成績:F(1, 17)=68.25, p<.001, partial η2=.800,語彙量:F(1, 17)=233.45, p< .001, partial η2

    =.93,区間:F(2, 34)=225.93, p<.001, partial η2= .930),交互作用については成績×語彙量のみが有意であった(F(1, 17)=7.92, p=.012, partial η2=.318)。TukeyのHSD検定を実施した結果,全ての対比で有意差があった(ps<.05)。 成績L群と成績H群それぞれのOxyHbの濃度変化について,語彙量・位置・区間別にFigure 5に示す。成績(L/H群)×語彙量(L/

    S条件)×位置(左/右)×区間(第1/第2/第3区間)の繰り返しのある4要因分散分析を実施した結果,語彙量と区間の主効果が有意であったが(語彙量:F(1, 17)=15.76, p<.001, partial η2=.481,区間:F(2, 34)=25.94, p<.001, partial η2=.604),成績と位置の主効果は有意ではなかった(成績:F(1, 17)=1.35, 位置: F(1, 17)=0.05, いずれもns)。交互作用で有意差を認めたのは,語彙量×区間(F(2, 34)=4.07, p=.026, partial η2=.193)と語彙量×区間×成績(F(2, 34)=3.83, p=.032, partial η2=.184)であった。 以上のようにターゲットである成績については,主効果と交互作用のなかで唯一,語彙量×区間×成績の交互作用が有意であった。この交互作用について,さらに詳細を分析するため,成績別(L/H群)のOxyHb濃度変化をFigure 6に示して比較した。L群については語彙量×区間のOxyHb濃度変化が類似していたが,H群については,語彙量L条件に比べてS条件でOxyHb濃度変化量が高かった。TukeyのHSD検定を実施した結果,L群については,語彙量の両条件で第1区間と第2・3区間の間で有意差が認められただけであったが,H群については各区間における語彙量の条件間が有意であり,語彙量L条件では第1<第2≒第3,S条件では第1<第2<第3であった(ps<.05)。

    Figure 3  語彙量条件ごとの位置・区間別OxyHb変化の推移

    (エラーバーは標準誤差)

    Figure 4  成績L/H群における語彙量条件ごとの再生数の推移

    (エラーバーは標準誤差)

    差し替えデータ Figure 3.jpg

    差し替えデータ Figure 4.jpg

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    語想起課題における検索効率の急速な低下現象と前頭葉脳血流変化の関連

    考 察 本研究では,音韻手がかり法による語想起課題における時間経過に伴う検索効率の低下現象とNIRSによる脳酸素代謝変化の関連性について検討した。音韻手がかりとして語彙量の多少による2条件を設定して課題の難易度とした。その結果,行動指標においては,①語彙量の多少により再生数に顕著な差があったが(語彙量L条件>語彙量S条件),両条件とも類似した時間経過に伴う検索効率の急速な低下現象が認められた。NIRS指標では,②語彙量の多少によりOxyHb濃度変化量に有意な差があったが(語

    彙量L条件>語彙量S条件),両条件ともに時間経過に伴うOxyHb濃度変化量の増加が認められた。なお,前頭部の左右プローブ位置で目立った差異は認められなかった。さらに行動指標とNIRS指標の関連性について分析するため,参加者を課題遂行成績の高低で二分して対比した。その結果,行動指標においては,③遂行成績の高低に関わらず,語彙量の条件差と時間経過に伴う検索効率の急速な低下現象が認められた。NIRS指標においては,④成績の高低による群間差は,語彙量L条件において顕著に認められた。低成績者群よりも高成績者群においてOxyHb濃度変化量が大きく,その差は課題遂行の冒頭よりも中盤および後半で増大した。 行動指標については,①に示したように,時間経過に伴う検索効率の急速な低下現象が確認された。これは先行研究の結果と一致しており,この現象が全般的に出現するものであることが明らかになった。語彙量が多い音韻手がかりの方が少ない音韻手がかりよりも再生数が多いという語彙量の効果についても,先行研究(惠羅,2010; 惠羅・大庭,2008,山下,2006)と一致する結果であった。なお,語彙量は,検索効率の低下現象とは関連していなかった。検索効率の低下現象は,第1区間と第2区間の間で急速であり,第2区間と第3区間では緩慢な

    Figure 5 成績L/H群における語彙量条件・位置・区間別のOxyHb変化の推移 (エラーバーは標準誤差)

    Figure 6  成績L/H群における語彙量条件・区間別のOxyHb変化の推移

    (エラーバーは標準誤差)

    21

    Figure 6 成績 L/H 群における語彙量条件・区間別の OxyHb 変化の推移

    (エラーバーは標準誤差)

    差し替えデータ Figure 5 左.jpg

    差し替えデータ Figure 5 右.jpg

    20

    Figure 5 成績 L/H 群における語彙量条件・位置・区間別の OxyHb 変化の推移

    (エラーバーは標準誤差)

    LEFT RIGHT LEFT RIGHT

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    惠 羅 修 吉 ・ 西 田 智 子

    ものとなった。このことは,語彙量の多少にかかわらず,すなわち課題の難易度にかかわらず,課題開始後の比較的短い時間の経過で語彙検索が困難な状況に陥ることを示唆している。惠羅(2016)は,音韻的短期記憶能力の高低2群を比較し,両群の検索効率の低下現象が同等に生起することを明らかにした。このことは,この現象が,報告した単語を一時的に記憶しておく音韻的短期記憶により統制されて出現しているわけではないことを示唆している。 検索効率の急速な低下現象に関する別の解釈として,課題遂行を維持する注意集中の低下(あるいは注意の維持困難)が考えられる。このことは行動指標から検証することは難しく,課題遂行中の生理反応により評価するのが妥当といえる。本研究では,②に示したように,課題遂行中,時間経過に伴うOxyHb濃度変化量の増強が認められた。すなわち,行動指標上で検索効率が低下した時間帯において,前頭前野の活性化が高まっていたことになる。このことは,検索効率の急速な低下現象が,注意の維持困難に起因するものではないことを示唆している。惠羅(2003)は,定型発達の成人を対象として語想起課題遂行中に課題と関連しない音刺激(課題非関連音刺激)を提示し,その音刺激に対するERPsを測定した。その結果,検索効率が低下した時間帯において,課題非関連音刺激に対するERPsのN1成分の振幅が減衰することを明らかにした。課題非関連刺激に対する反応が弱まることは,課題遂行を妨害する可能性がある刺激を抑制するとともに,課題への注意集中が高まったことを示している。惠羅(2003)のERPsによる研究とNIRSによる本研究の結果を合わせて考えると,検索効率の急速な低下現象を注意の維持困難で説明する仮説は棄却されるのが妥当であろう。この仮説とは逆に,検索困難な状況において注意集中が高まっていると考えられる。このパラドキシカルな関連性を解釈する手がかりとなる知見として,検索抑制(Anderson& Bjork, 1994; Bjork, 1989; Levy & Anderson, 2002)がある。検索抑制とは,課題に注意集中し,努力して記憶検索へ積極的

    に関与しているにもかかわらずパフォーマンスとしては想起が困難な状況になることをいう。語想起課題の場合,同一手がかりによる語彙検索を反復して実行することで,検索過程のいずれかの段階で意図せざる機能低下(抑制)が働いたのではないかと推察される。OxyHb濃度変化量が反映する前頭前野の活性化が実行機能の関与の増大を意味しているとすれば,実行機能の役割は,このような検索困難な状態に陥った時にその状態を抜け出すための心的努力,すなわち検索抑制の解除にあると考えることができる。同様の現象は,日常的な文脈においても出現し,例えば知っている人の名前がなぜかしら思い出せずに喉から出かかっている状態(tip-of-the-tongue phenomenon)として知られている(e.g., Brown, 1991; Jones, 1989; Shafto, Burke, Stamatakis, Tam, & Tyler, 2007)。知っていることの確信を持ちながら,思い出そうと懸命に努力して思い出せないこの状況は,実行機能が駆動していることが実感できる現象である。語想起課題が実行機能を評価する検査として確かな証拠を得るためには,検索効率の低下現象として現れる検索抑制を解除するメカニズムを解明することが鍵となると考えられる。 課題遂行における個人差について検討するため,遂行成績の高低2群の比較をおこなった。③に示したように,遂行成績の高低に関わらず,語彙量の効果と時間経過に伴う検索効率の急速な低下現象が確認された。NIRS指標においては,成績の影響は,語彙量×区間×成績の交互作用においてのみ有意であった。Figure 6にみられるように,語彙量S条件に比べて,語彙量L条件において成績による群間差が顕著であった。本研究では語彙量を課題難易度と措定しているので,課題遂行が容易な条件でOxyHb濃度変化量の群間差が大きかったことになる。行動指標上においても,Figure 4にみられるように,語彙量L条件で成績の群間差が大きかった。以上より,課題が比較的容易な場合において,高い課題遂行を示す者ほど,前頭前野の活性化が亢進しており,課題遂行に及ぼす実行機能の影響が示唆された。興味深い点としては,

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    語想起課題における検索効率の急速な低下現象と前頭葉脳血流変化の関連

    低成績者に比べて,高成績者のOxyHb濃度変化量は,その差が課題遂行の冒頭よりも中盤および後半で大きかったことがあげられる。語彙量L条件すなわち課題が容易な条件では,第2区間でOxyHb濃度変化量の増大が顕著であったが,語彙量S条件すなわち課題が難しい条件では,第2区間,第3区間と継続して増大が認められた。このことは,課題の難易度により前頭前野の活性化の開始と継続が異なることを示唆している。高い課題遂行を示す者では,前頭前野の活性化,認知機能的には実行機能の駆動に課題の難易度に合わせた時系列的変化が認められたことになる。一方,課題遂行の低い者では,課題難易度による時系列変化がみられなかったことから,課題の難易度に関わらず,全般的に前頭前野の活性化が低く,時間経過に伴ったさらなる賦活に乏しいことを示している。以上より,課題遂行の低い者は,実行機能の関与が乏しく,その調整にも困難があることが推察される。

    付記 本研究は,JSPS 科研費26381325ならびに18K02759の補助を受けた。

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