【施設・設備管理体制の整備】 病院のファシリティ...

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個人研修 【施設・設備管理体制の整備】 病院のファシリティマネジメント(FM) ~施設・設備管理体制と運営保全 セカンドステージ 定義 医業経営管理全般にわたる体系的な理論、先端的な事例等を専門的に深耕する。 講義概要 FMは施設維持が主眼ではなく、施設と人から生み出されるサービスにこそ 真の目的がある。BCPの必要性が注目されているが、ライフサイクルマネジ メントの視点こそFMの重要性が注目されるゆえんと考えられる。 FMは生産系施設での普及が目覚ましいが、サービス系施設では十分とは言 えない。日常業務FMから、管理の戦術的FM、経営に直結する戦略的FMま でを包括する体系的業務であり、単に施設を管理するだけではない。 公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会 ヘルスケアFM研究部会 部会長 上坂 脩 履修認定時間:2 時間(個人研修 1 教材) 収録日:平成 25 年 8 月 23 日 収録会場:コクヨホール(東京・品川) 個人研修用教材

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個人研修

【施設・設備管理体制の整備】

病院のファシリティマネジメント(FM)

~施設・設備管理体制と運営保全

セカンドステージ

定義 医業経営管理全般にわたる体系的な理論、先端的な事例等を専門的に深耕する。

講義概要

FMは施設維持が主眼ではなく、施設と人から生み出されるサービスにこそ

真の目的がある。BCPの必要性が注目されているが、ライフサイクルマネジ

メントの視点こそFMの重要性が注目されるゆえんと考えられる。

FMは生産系施設での普及が目覚ましいが、サービス系施設では十分とは言

えない。日常業務FMから、管理の戦術的FM、経営に直結する戦略的FMま

でを包括する体系的業務であり、単に施設を管理するだけではない。

公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会

ヘルスケアFM研究部会 部会長

上坂 脩

履修認定時間:2時間(個人研修 1教材)

収録日:平成 25 年 8 月 23 日

収録会場:コクヨホール(東京・品川)

個人研修用教材

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※配布資料として公表できない内容が含まれている等の理由により、

講師が当日使用するスライドと内容が異なる場合がありますので、何卒ご了承ください。

当資料の無断転載を禁じます 公益社団法人 日本医業経営コンサルタント協会

〒102-0075 東京都千代田区三番町 9-15 ホスピタルプラザビル 5 階

TEL.03-5275-6996 FAX 03-5275-6991 http://www.jahmc.or.jp

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日本医業経営コンサルタント協会継続研修 2013 施設・設備管理体制の整備 病院のファシリティマネジメント

JFMA ヘルスケアFM研究部会 部会長

竹中工務店 医療福祉・教育本部 本部長付

上 坂 脩2013.08.23

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日本医業経営コンサルタント協会継続研修 2013 施設・設備管理体制の整備 病院のファシリティマネジメント

JFMA ヘルスケアFM研究部会 2013.08.23

1. 変化する病院にこそ、必要なFM

2. 戦略的経営に貢献する、病院のFM

3. 戦術的運営に寄与する、病院のFM

4. 日常的管理に役立てる、病院のFM

5. 非日常に事業継続する、病院のFM

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目 次

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日本医業経営コンサルタント協会継続研修 2013 施設・設備管理体制の整備 病院のファシリティマネジメント

JFMA ヘルスケアFM研究部会 2013.08.23 3

1.1. 変化する病院にこそ、必要なFM変化する病院にこそ、必要なFM

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JFMA ヘルスケアFM研究部会 2013.08.23

FMの定義

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ファシリティマネジメント(FM: facility management)とは、

アメリカで生まれた新しい経営管理方式(1980年IFMA)

日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)においては、

「企業・団体等が保有又は使用する全施設資産及び、それら

の利用環境を経営戦略的視点から、総合的かつ統括的に企

画、管理、活用する経営活動」と定義し、単に手法という範疇

から、より広い経営的視点に立つ総合的な活動と捉えている。

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FMの組織

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1980年、国際ファシリティマネジメント協会(IFMA:International Facility Management Association)は、専門資格者制度 ファシリティマネジャ(FM’er:facility manager)

を確立してFMを普及。

1987年、日本ファシリティマネジメント協会(JFMA:Japan Facility Management Association)は1996年社団法人へ、

1997年、FM’er資格試験を実施し、累計合格者11、819名。

2012年、公益社団法人へ。

ヘルスケアFM研究部会「健康・医療・福祉に関わる施設経営戦略を包括的に扱うヘルスケアFMの導入・普及を図る 」

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FMの活動組織

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JFMA

公益社団法人

日本ファシリティ

マネジメント協会

法人 体 員 164社

公共特別 員

76 体

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FMの活動

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戦略的FM

戦術的FM

日常的FM

非日常的FM

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FMの意義

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ファシリティには、「或る事象に便宜を図る、目的を達成するために手段を与える」という意味がある。

環境や建物・土地等の物質的なものを、人間の活動のために 適化させて、活用させることこそがFMである。

事業目的を達成するための環境やハード・ソフトが齎すサービスの効用をファシリティと定義して、

「その場の効用を 適化するための経営活動がFM」

建物を創る喜びと共に、建物を育てる喜びも共に!

時々刻々変化していく「変化へのマネジメント」

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HCFMの原点

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ファシリティマネジメント(FM: facility management)に関する、至言その1「FMの も重要な役割は、施設の死亡診断書を書くことだ 。」

至言その2「病院には本来、備えるべき知識が2つある。1つは病院経営の知識、もう1つはファシリティマネジメントの知識である。」

医療関係者は、医療を学び高度な医療技術を研鑽し、

習得していても、病院経営について学んだ人は少なく、

更にFMについて知識を持ち合わせている人は少ない。

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HCFMの原点

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近年、病院の事業継続計画(BCP:business continuity plan)の必要性が注目されている。今後は広義の病院BCP=地域社会と一体の病院群BCPが必要とされる。

ライフサイクルマネジメント(LCM:life cycle management,維持運用管理活動)の視点こそ、FMの重要性が注目される由縁と考えられる。経済原理を踏まえて、施設死亡診断書を書かず、適切な建替・増改築・改修計画を立案するのもFMである。

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HCFMの原点

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病院設備3月号(1986) 柳澤 忠

「病院建築とファシリティ・マネジメント」

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HCFMの原点

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病院設備3月号(1986) 柳澤 忠

「病院建築とファシリティ・マネジメント」

私は、ファシリティという言葉を、・・・職員の方と、医療機械をはじめとする物と、建築が作り出します内部空間というか、場というもの、つまり、人と、物と、場というものの総合的なものと解釈しております。

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HCFMの基本概念

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FMは、企業・工場等の生産系施設で普及が目覚ましく職能も確立しているが、サービス系施設ではまだ不十分FMは、企業の3P(place、process、people)を進化させて、3S(space、service、staff)を統合しカスタマー志向を目指したFMを実現することが必要となる。

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HCFMの定義

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「病院・団体等が保有又は使用する全施設資産及びそれらの利用環境を、経営戦略的視点から総合的かつ統括的に企画、管理、活用する経営活動 」と定義。手法というより広い経営的視点に立った総合的な活動

BCM非日常の多様な災害時に備える事業継続性活動

地震・津波・風水害・火災・パンデミック・サイバーテロ等

LCM実用的耐用年数を 適化するため日常から災害時まで

を見通した施設・設備・環境への維持運用管理活動

FM全施設資産とそれらの利用環境を経営戦略的視点から総合的かつ統括的に企画、管理、活用する経営活動

日常のFM日常のFM

非日常のFM非日常のFM

Usual

Disaster

DRNR

PSS

P

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HCFMの意義

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建物を創る行為が自己目的化し、生み出される空間こそ本来の目的であったことが忘れ去られることがあるが、医療でも同様のことが言える。

患者の生活を 適にして、生活の質(QOL)の向上が本来の目的であるのに、疾病回復にのみ医療の視点が集中し、患者の一部分しか見ていないことがある。

病院は単に医療技術を提供する場ではなく、個別的で複雑かつ患者の生命というリスクの高いヘルスケアサービス提供に、患者が公定対価を支払う特殊な社会資本であり、ヘルスケアFMの重要性は益々高まっている。

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HCFMの必要性

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病院において、医療技術・医療制度・医療経済の変化は激しく、情報通信技術(ICT)導入により変化は加速して、改正省エネルギー法・地球温暖化対策の推進に関する法律・原子力発電廃止・再生エネルギー利用等、「持続可能な地球環境」へ向け、今なすべき“治療”が待ったなしにスタートして、多消費型施設の病院も、省エネルギー・低炭素化への取組みが本格化している。

ヘルスケアFMによる経営固定資産の戦略的な管理手法が、病院経営の事業継続性に必須となり、ICTを駆使する病院経営と施設運営を統合したデータ一元化・クラウド化が必然となりつつある。

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HCFMの視点

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「医療の質」確保には、サービス・施設の質が問われる。患者満足度の向上には、スタッフ満足度を高め、施設満足度を高めることが重要で、土地・環境・建物・付帯設備のマネジメントを経営の視点から包括的に捉えることが特に必要

FMの視点は、施設維持が主眼ではなく、施設から生み出されるサービスにこそ真の目的がある。

施設からサービスを生み出すのは人であり、何をサービスするかでなく、どの様に行うかが重要。無形のサービスが形となる時、装置的かかわりが第一印象となるが、医師・看護師たちの人間的かかわりが患者サービスの上では 重要で、この二つの調和から、真に 適なサービスが生まれる。

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HCFMとBSCの統合

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人を中心に病院経営を考えるバランスト・スコアカード(BSC:balanced scorecard)の考え方に、施設から病院経営を考えるFMの考え方を、病院サービスの両輪として統合していく必要がある。

財務・顧客・業務プロセス・学習成長の視点を戦略的に連携させて、業績評価を含めたBSC手法を用いて、日常FM業務から経営戦略FMまで、病院LCMモデル構築に 適なツールとして戦略MAP等を用いてICT化による可視化を図っていく必要もある。

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ヘルスケアFM’erFMは多くの病院で実施され、FM’erの存在より、FMの視点で病院をリードする存在が重要である。FM’erの役割を果たす人材が日常的な施設運営・管理から、FMに課せられた課題解決・業務改善により、病院経営の改善・再構築に活躍する姿が実現している。

FM’erに重要なのは、エンドユーザーである患者・家族・地域に焦点を当てた顧客志向な立場を貫くことで、サービス系施設の原点となる。医療供給者に組織があるが、エンドユーザーに組織はなく、その視点は見失われがちで、FM’erはエンドユーザーの立場でも全体を統合する役割を担う。

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医業経営コンサルタントとファシリティマネジャとの連携が重要

「病院経営を改善する時、病院で実施される多くの専門技術と管理技術を明らかにする必要があり、このバランスと統合が重要である。

定性的な議論は出来ても、定量的には前提データが無く困難な場合が多い。FMの真の狙いは、経営資源として経済的なコストで生産性の高いファシリティを必要 小限に、かつタイムリーに提供することである。

医業経営コンサルタントは、医業経営が厳しい中で短期的な視点で投資抑制への示唆をすることが多々あるが、初期投資は膨らんでも中長期的には経営的に貢献できる機能を見極めて、

ライフサイクルという時間軸の空間利用という視点から、医業経営コンサルタントとFM’erの連携した経営判断が今後は重要である。」

出典:槇コンサルタントオフイス 槙 孝悦代表 : 日本医療福祉設備協会、2012.07病院設備307号 「コンサルタントの立場から見たFMとファシリティマネジャ」P30

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価値=性能・機能がもたらす満足度と

コストの妥当さの度合いを表す

A 付加価値:

同一コスト条件でVE

機能性/快適性/環境性の性能向上

B コストダウン:

同一性能条件でCD

①イニシャルコストをダウン

②ランニングコストをダウン

③ファシリティコストをダウン

付加価値(Value) = 性能(Function) / コスト(Cost)

価値UPのケーススタディ

1. コストダウンによる

価値(Value)↑ = 性能 → / コスト ↓

例:倉庫床ビニルシートをビニルタイルへ

イニシャルDNと維持更新費DN(清掃他)

2. 機能UPによる

価値(Value)↑ = 性能 ↑ / コスト →

例:更衣室床ビニルシートをタイルカーペットへ

イニシャルUPで維持更新費DN(清掃他)

3. 機能UP & コストダウンによる

価値(Value)↑ = 性能 ↑ / コスト ↓

例:外来吹抜の白熱ランプをLEDランプへ

イニシャルUPで消費電力DN維持更新費DN

4. 機能UP & コストUPによる

価値(Value)↑ = 性能 ↑ / コスト ↑

例:外壁50角タイルを100角タイルへ

イニシャルUPで維持更新費DN外観UP

トータルライフサイクルコストをダウントータルライフサイクルコストをダウン

==ライフサイクルという時間軸を導入してLCCを「見える化」

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変化する病院に必要なFM 重点6項目

1)変化に対応するFM

施設を取り巻く環境が常に変化し、そのためにリスクが生じ、決定に大きなエネルギーを必要とし、管理主体やサポートシステムの確立が必要となるからこそFMが必要となっている。

2025年に向けて、施設医療から在宅医療へと大きな変革が進行しているが、この変革も単なる通過点である。

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変化する病院に必要なFM 重点6項目

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2)安全・安心のFM

地震等の自然災害、火災等の社会災害、院内感染等の病院経営上の重大リスクを予測し、防止策と対応策を講じることは、医療の質と安全、病院利用者の安全と安心の確保にとって

優先事項となる。安全・安心は施設の細部から既に形作られているため、ヒヤリハット報告は医療・看護面に留まらず、施設からも配慮する必要がある。

患者の視点に立ち、医療・看護業務の流れから、システマティックに施設設備がなされ、 高の医療が提供され、その恩恵を患者が享受していることが求められる。

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変化する病院に必要なFM 重点6項目

3)患者中心のFM

病院建築は、一歩誤れば患者の生命力の消耗を促進する要素で満ちあふれ、逆に、患者の生命力の消耗を 小にし、身体や精神の回復を助ける力ももっている。患者は苦痛や不安に耐え、自己治癒力の励起を待っている。

ナイチンゲール「看護覚え書」:「看護とは、新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静けさを適切に整え、これらを活かして用いること、また食事内容を適切に選択し適切に与えること。こういったすべてを患者の生命力の消耗を 小にするように整えることを意味すべきである」

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変化する病院に必要なFM 重点6項目

4)根拠に基づくFM

医療環境が変化する中、病院経営者が経営固定資産をいかに効率的に管理運営・稼働させるかは、病院のFMを考える重要なポイントで、究極の形として現れるのが、病院を建替・増改築する時である。病院事業の拡大成長を目指しての病院経営における重要な局面となる。

意志決定プロセス・事業計画・建替・増改築。「失敗しない病院建替・増改築」の方向性を示す調査事例から、重要な七つのポイントがある。

(病院にこそ必要なFM、日本建築学会大会梗概、2008)25

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変化する病院に必要なFM 重点6項目

4)根拠に基づくFM

意志決定プロセス・事業計画・建替・増改築。「失敗しない病院建替・増改築」の方向性を示す重要な七つのポイント

(病院にこそ必要なFM、日本建築学会大会梗概、2008)

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①事業による経営改善効果: 施設更新でなく、病院経営の再構築②建物整備ありきではない: 病院の将来展開(医療提供の質と方向性)③事業成功のポイントは初期段階: 方針策定、体制整備、課題解決等④確固たるポリシ-が必要: 病院理念、経営方針、マスタープラン⑤ 大課題は病院内部の意思統一: 建設委員会などの対応組織⑥成功はトップダウン型合意形成が主流: 現場レベルの工夫や調整も⑦病院FMへの試み: 施設運営、経営戦略、安全・安心、サービス向上

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変化する病院に必要なFM 重点6項目

5)サポートシステムとネットワークFM

主要サービスである「医療技術の提供」を支える様々な周辺業務が、病院内各部門に存在している。また、複雑多岐にわたる外部委託業務を総合的に管理評価し、病院全体のサービス水準を維持し効率化を図るために、統括マネジメント業務がある。

病院運営を支援し、外部委託業務を統括して隙間のない同時性のある管理のためには、ICTの活用が必要である。

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変化する病院に必要なFM 重点6項目

6)人材育成・教育・確保のためのFM

病院ビジネスにおいては、優れた知的生産によってつくられるアイデア・知識・知恵が競争力の鍵となる。

病院をワークプレイスと捉えると、知的生産の向上だけでなく、働き方の改革や、楽しく働く意欲の向上を支援する「人と場を生かす」経営基盤へと導くFMの役割が不可欠となる。

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変化する病院の先進事例‐JFMA賞

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健康・医療・福祉に関わる施設経営戦略を包括的に扱うHCFMの導入・普及の優秀事例として7つの病院が受賞。

2010年倉敷中央病院: 優秀FM賞「三位一体のFM」

2013年 会津中央病院 JFMA賞奨励賞

2007年~2010年 優秀賞1件、優秀FM賞等5件

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2.2. 戦略的経営に貢献する、病院のFM戦略的経営に貢献する、病院のFM

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戦略的経営に貢献するFM

• マスタープランとFM-戦略を支える普段力

• 倉敷中央病院

• 「変化する病院 経営者・医療者・設計者が三位一体となったFM」(2010年 JFMA賞 優秀賞)

• 目標に「家庭的な温もりのなかで 高の医療」を掲げ、医療の質とサービスを充実させた上、高収益と安定した余剰に基づく近代化と将来計画を実現して、病院FMの模範事例として高く評価

• 経営者・医療者・設計者が三位一体となった病院経営とFM戦略で変化に適切に対応し、高機能病院化、医師・看護師増加、床面積増加、増改築・改修、新旧施設のシームレス化により、医療の質とサービスを充実させ満床に近い稼働率を維持して、平均在院日数短縮、光熱費抑制の徹底により経営的にも安定している。

31JFMA賞受賞資料より

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JFMA ヘルスケアFM研究部会 2013.08.23

戦略的経営に貢献するFM

32JFMA賞受賞資料より

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戦略的経営に貢献するFM

33JFMA賞受賞資料より

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JFMA ヘルスケアFM研究部会 2013.08.23

戦略的経営に貢献するFM

マスタープランとFM-戦略を支える普段力

聖路加国際病院

「戦略的FMの実践」(2009年 JFA賞優秀FM賞)

創立当初から患者中心の医療の提供で知られる医療施設のFM実践事例で、FMの必要性に着目して、毎週の院内巡視により全施設の状況や使われ方を把握して、病院経営陣の広範なFM戦略に応答して、社会的な価値を高め収益性の高い高機能病院への建替と、文化的価値の高い既存の保存を組み入れ、施設課が具体化への調整実務を行っている。

当初より、FM的な発想からの病院経営が実践されていたと言える。

34JFMA賞受賞資料より

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戦略的経営に貢献するFM

35JFMA賞受賞資料より

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戦略的経営に貢献するFM

地域間で本当に競うこと-病院から健院へ

地域内で病院が競うことから、地域間で病院群が競うことが必要となる。施設医療から在宅医療へのシフトにより、病院は病を癒す所に留まらず、治癒・寛解後の健康保持へのネットワークサービスまで提供する存在へと進化していく。

病院・診療所・福祉施設・在宅サービスの包括ケアシステムでは、患者だけでなく健康者もが不断にネットワークシステムにつながり、ワークライフバランスのとれた健康保持できる地域環境を、生涯居住地として選択する時代が到来する。FM’erは施設の束ね役から、地域の束ね役にまで拡大していく先駆けとなる必要がある。

36

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3.3. 戦術的運営に寄与する、病院のFM戦術的運営に寄与する、病院のFM

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戦術的運営に寄与するFM 実例に見るFMの運び方

NTT東日本関東病院

「FM業務の実践」(2009年 JFMA賞優秀FM賞)

600床を超える高度医療を提供する大規模病院での事例で、2000年竣工の新病棟の計画時点からFMを考慮しており、PDCAサイクルを回し継続的に改善

FM推進体制は専任の技術者と病院経営陣とが一体となっており、定期的に評価・改善に取り組んで、省エネルギー、ファシリティコスト削減も継続

38JFMA賞受賞資料より

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戦術的運営に寄与するFM 

39JFMA賞受賞資料より

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戦術的運営に寄与するFM • 実例に見るFMの運び方

• 東京女子医大八千代医療センター

• 「FMの実践」(2008年 JFMA賞奨励賞)

• 戦略的アウトソーシングによる施設維持保全業務

• 病院とサービス提供者は目標と戦略を共有し、病院はコア業務へ集中して運営組織をスリム化、サービス提供者は病院の視点でマネジメント。包括的管理ヘルスケア統合FMシステムにより、病院との情報共有、迅速なリクエスト対応、結果報告で、サービス品質の定量的分析・評価やエネルギーマネジメントの改善で、病院経営に貢献

40JFMA賞受賞資料より

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戦術的運営に寄与するFM 

41

JFMA賞受賞資料より

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戦術的運営に寄与するFM 

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ジョンソンコントロール提供資料より

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戦術的運営に寄与するFM LCM(ライフサイクルマネジメント)

ライフサイクルコストは経年により増加していくが、建設費の占める割合は減価償却の更新周期を39年とすると1/4 にすぎな

い。建設コストに費用を掛けても維持保全の容易な施設が、長期的に真に 適なコストの病院と言える。

ICTにより、施設の管理データを1年間投入できれば、次年度の空調運転をはじめ、病院設備の運用予測が可能となる。これは、よりきめの細かい無理や無駄やムラのない省エネルギーにも通じるものである。

43

日本医業経営コンサルタント協会継続研修 2013 施設・設備管理体制の整備 病院のファシリティマネジメント

JFMA ヘルスケアFM研究部会 2013.08.23 44

企画設計費 1%

建設費建設費

24%24%

*更新費*更新費

12%12%

*保全費*保全費16%16%

運用費運用費18%18%

一般管理費一般管理費

1313%%

解体費 4%

*修繕費*修繕費

12%12%

ライフサイクルコストの累積値(39年間)

3年で建替えた場合のLCC :BELCA病院試算モデル参考

運用保全 修繕更新

企画設計費 企画費、調査費、

設計費等

建設費 工事費、開業準備費、税金等

修繕更新費

7千円/㎡年

機器、部品の修繕

費、

更新費

保全費

5千円/㎡年

設備運用・清掃等の

管理及び、警備等

運用費

5千円/㎡年

各種エネルギー費用

一般管理費

4千円/㎡年

損害保険料、税金、

一般事務費等

<支出の内訳>

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日本医業経営コンサルタント協会継続研修 2013 施設・設備管理体制の整備 病院のファシリティマネジメント

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病院建替・増改築に関する調査報告書(2008)

日本医業経営コンサルタント協会継続研修 2013 施設・設備管理体制の整備 病院のファシリティマネジメント

第37回 日本医療福祉設備学会 一般演題:病院経営 2008.11.13 46

①建替24病院平均:71㎡/床 光熱水費4,842円/㎡年 維持保全費4,156円/㎡年

病院名称 病床タイプ 病床数 床面積 契約電力 光熱水費 維持保全費

入院患者数/日

外来患者数/日

職員数/床

*2次対象 床 ㎡/床 KW/㎡ 万円/㎡年 万円/㎡年 人 人 人/床001 GC病院 一般 101~200 126 0.05 0.5 2.2 101~200 401~500 1.6002 GD病院 一般 101~200 106 - - - 101~200 601~700 2.3003 GF病院 一般 201~300 79 - 0.4 0.4 201~300 301~400 1.4004 GG病院 一般 301~400 91 0.03 0.7 0.5 201~300 1000~ 1.1005 GH病院 一般 301~400 70 0.06 0.6 0.4 201~300 501~600 1.2006 GI病院 一般 301~400 83 0.05 0.6 0.0 201~300 801~900 1.6007 GK病院 一般 301~400 83 0.05 0.8 0.1 301~400 501~600 1.5008 GL病院* 一般 401~500 96 0.04 0.5 0.7 301~400 701~800 1.9009 GP病院* 一般 1000~ 91 0.04 0.7 0.2 1001~ 2001~ 2.1010 GQ病院 一般+療養 20~100 47 - 0.7 0.1 ~100 201~300 1.5011 GT病院* 一般+療養 101~200 50 0.06 0.5 0.5 - 201~300 1.2012 GX病院* 一般+療養 301~400 102 0.04 0.5 0.7 201~300 701~800 1.3013 GY病院 一般+療養 301~400 50 0.05 0.4 - 201~300 ~100 1.5014 SA病院 一般+精神+療養 101~200 80 0.04 0.2 - 101~200 201~300 1.0015 SE病院* 一般+精神 601~700 124 0.04 0.6 0.4 401~500 2001~ 1.8016 SG病院* 精神+療養 101~200 41 0.04 0.3 0.1 ~100 ~100 0.8017 SH病院 精神+療養 201~300 35 0.03 0.3 0.2 201~300 ~100 0.6018 SI病院 精神+療養 701~800 36 - - - 701~800 ~100 0.9019 SJ病院 精神 101~200 46 - - - 101~200 ~100 0.6020 SK病院 精神 101~200 43 - - - 101~200 ~100 0.9021 SM病院 精神 201~300 56 0.04 0.3 0.3 - 101~200 0.8022 SP病院 精神 301~400 53 0.03 0.2 0.2 301~400 ~100 0.6023 SR病院 精神 501~600 - - - - 501~600 101~200 0.7024 SS病院 精神 701~800 48 0.02 0.3 0 .0 701~800 201~300 0.8

建替平均 301~400 71 0.05 0.5 0.4 301~400 501~600 1.3

病院建替・増改築に関する調査報告書(2008)

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第37回 日本医療福祉設備学会 一般演題:病院経営 2008.11.13 47

②増改築20病院平均:58㎡/床 光熱水費5,133円/㎡年 維持保全費2,803円/㎡年

全回答44病院 平均:65㎡/床 光熱水費4,975円/㎡年 維持保全費3,545円/㎡年

病院名称 病床タイプ 病床数 床面積 契約電力 光熱水費 維持保全費

入院患者数/日

外来患者数/日

職員数/床

*2次対象 床 ㎡/床 KW/㎡ 万円/㎡年 万円/㎡年 人 人 人/床101 GA病院 一般 20~100 48 - - - ~100 201~300 1.6102 GB病院 一般 101~200 55 0.04 0.5 0.2 101~200 201~300 0.9103 GE病院 一般 201~300 38 0.03 1.1 0.1 101~200 401~500 2.3104 GJ病院 一般 301~400 90 0.05 0.6 0.7 301~400 ~1000 1.6105 GM病院 一般 501~600 72 0.05 0.6 0.2 501~600 1001~ 1.6106 GN病院* 一般 601~700 79 - - - 401~500 1001~ 2.0107 GO病院 一般 601~700 75 0.04 0.6 0.1 501~600 1001~ 1.7108 GR病院* 一般+療養 101~200 39 - - - ~100 201~300 1.3109 GS病院 一般+療養 101~200 34 0.05 0.6 0.2 ~100 ~100 1.6110 GU病院 一般+療養 101~200 47 0.03 0.4 101~200 101~200 1.6111 GV病院 一般+療養 201~300 52 0.04 0.4 0.0 201~300 301~400 1.2112 GW病院 一般+療養 301~400 65 0.05 0.4 0.2 101~200 601~700 2.3113 SB病院* 一般+精神+療養 1000~ 66 0.05 0.8 0.9 601~700 1001~ 1.6114 SC病院* 一般+精神 301~400 31 0.06 0.8 0.4 301~400 401~500 1.2115 SD病院 一般+精神 401~500 81 0.04 0.3 0.2 301~400 ~1000 1.0116 SF病院(*)一般+精神 1000~ 53 0.03 0.2 0.5 801~900 2001~ 1.5117 SL病院 精神 201~300 55 - 0.2 0.1 101~200 101~200 0.8118 SN病院 精神 201~300 97 - - - 201~300 101~200 0.8119 SO病院* 精神 201~300 47 0.04 0.3 0.1 201~300 ~100 0.9120 SQ病院 精神 401~ 500 42 0.02 0.5 - - - 0.7

増築平均 301~400 58 0.04 0.5 0.3 301~400 701~800 1.5

総平均 301~400 65 0.05 0.5 0 .4 301~400 601~700 1.4

病院建替・増改築に関する調査報告書(2008)

日本医業経営コンサルタント協会継続研修 2013 施設・設備管理体制の整備 病院のファシリティマネジメント

48

病院LCM簡易作成ツール

堺病院310

病院LCCデータ統計換算による「T病院」概算値。病院規模5,000㎡以上の目安(エクセルに切換え延床面積を入れて 「T病院」 30年用修繕更新費を自動算出 )

床 面積当りの累積修繕更新費

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30年数

金額 千円/㎡

病院(K労災病院)BMMC

病院(K労災病院)FM

国立大学(全病)実施

K医療センター

T病院東・大LCC平均

A施設

B施設

建築保全センター

KN病院2007

病院概算用(LCC30年) 30年総額 千円【総括表】 延床面積 ㎡(入力用) (単位:千円)

合計

年度 経年 建築(a) 電気 給排水衛生 空調 その他 計(b) (a+b)

2007 1 0 0 0 0 0 0 02008 2 0 0 0 0 0 0 02009 3 0 0 0 0 0 0 02010 4 0 0 0 0 0 0 0

2011 5 2,584 0 519 0 0 519 3,1032012 6 0 0 107 96 0 203 2032013 7 0 0 74 0 219 292 2922014 8 982 1,401 2,206 5,113 1,964 10,684 11,665

2015 9 0 0 0 0 0 0 02016 10 60,708 3,185 10,074 44,951 1,970 60,181 120,8892017 11 0 0 25 0 0 25 252018 12 13,696 5,260 1,635 7,453 877 15,226 28,922

2019 13 0 7,417 1,339 17,339 2,419 28,514 28,5142020 14 0 0 491 0 0 491 491

2021 15 41,074 58,566 6,530 84,349 77,615 227,060 268,1342022 16 19,040 0 503 328 0 831 19,8712023 17 0 0 0 0 0 0 0

2024 18 0 4,400 32,768 22,847 0 60,015 60,0152025 19 0 0 0 0 0 0 0

2026 20 99,984 30,559 151,436 259,106 92,955 534,055 634,0392027 21 0 0 177 96 0 274 274

2028 22 0 0 143 659 219 1,021 1,0212029 23 31 3,211 9,911 13,924 14,060 41,106 41,1362030 24 20,869 0 5,156 7,453 0 12,610 33,4782031 25 5,578 49,262 100,202 139,096 152,589 441,149 446,727

2032 26 0 0 0 49 0 49 492033 27 0 0 0 0 0 0 02034 28 0 27,907 20,117 38,863 0 86,887 86,8872035 29 0 0 0 0 0 0 0

2036 30 351,144 233,942 140,085 268,816 54,467 697,311 1,048,455

計 615,688 425,109 483,499 910,541 399,354 2,218,502 2,834,190構成比 0.217 0.783 1.000

設       備

2,834,19012,562

-24-

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戦術的運営に寄与するFM ホスピタルエンジニアの領域

ホスピタルエンジニアは、日本医療福祉設備協会が2012年度から設けた資格制度。

病院における諸設備を運用管理する基本知識をもち、利用者

である医療従事者・供給保守事業者とのコミュニケーション力のある人材を専門資格として認定する。

高度な専門技術にのみ特化することなく、管理技術を併せ持ったFMへの連携が今後必要と考える。

米国病院会では、ヘルスケア・ファシリティマネジャ資格制度が存在する。

49

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米国病院会 CHFM認定ヘルスケア・ファシリティ・マネジャ

50

・知識面(Knowledge)医療視閲におけるコア業務の理解と広範囲なノンコア業務に対する基本知識

・情報面(Evidence)ベンチマークデータ集積⇒ 利用・企画能力

・対応面(Hospitality)患者・患者の家族等訪問者の目線での行動

-25-

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米国病院会 CHFM認定ヘルスケア・ファシリティ・マネジャ

51

①関連法規の遵守A 法規等で要求される点検の遂行並びに記録への記入、保存など文書管理されていることの確認

(例:発電機の月次点検、防災設備の点検)B 設計、運用、保守及び建設に関する設計運用保守、規則及び認定標準又は規格を遵守していることの確認(1)米国建築協会(AIA)(2)米国国家標準協会(ANSI)(3)モデル建築物規格(BOCA、SBCCI、UBC)(4)米国障害者法(ADA)(5)環境保護局(EPA)(6)医療機関合同認定委員会(JCAHO)(7)国家防火協会(NFPA)

(8)職業安全衛生管理(OSHA)(9)疾病管理センター(CDC)(10)米国暖房、冷房及び空調協会(ASHRAE)(11)医療財政管理機構

C 制度上の許可、免許及び証明書が全て維持され、記録され、 新のものであることの確認(例:ボイラー、エレベーター、ヘリポート他)

D 個別の免許及び証明書が全て維持、記録され、 新であることの確認(例:ボイラー管理者、電気、冷蔵)E 施設内並びに周辺環境の評価

F 想定される各種火災に関する対応検討G 職員に対する防火訓練の実施 (例:防災訓練)H 火災安全規則を遵守する為の是正措置に関する調整I 施設の検査及び巡視についての消防署との調整J 特定区域の検査による規格の遵守 (例:火災装置、消火器、医療ガス)K 地元行政と非常事態管理についての調整 (例:消防署、警察、EMS)

L 火災及び安全計画を立案、維持M 地下燃料貯蔵設備の管理N 職員業務を確認し当該安全及び遵守、並びに業務内容が品質管理基準に適合O 設備またはユーティリティー書類の処理手順を調査して、事故の再発防止をすることP アスベストの管理・W 医療機関合同認定委員会(JCAHO)実態報告書の維持管理X 水銀中毒根絶計画の推進及び履行Y 建築物・設備及び立地を検査して、標準及び法規の遵守

JFMAFORUM2010部会資料より

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②建築計画、設計及び建設A 新規プロジェクトの入札書類を作成B 建築物システム改善プロジェクトへの対応C 仕様書上の要求条件がシステムの改善プロジェクトに合致していることの確認D プロジェクトの実行管理E 特別な保守計画及びプロジェクトへの改善及び改革の対応F 設計概念図の展開

G 設備の設置スペース計画及びスペース配分工程に対する管理H 計画の工程管理I 主要設備の設置に関するインフラストラクチャー面でも必要性の再検討J 制度上の設計標準を展開(例:ハードウエア、配管工事、照明、電気系統他)K 新しいシステム、構成機器、制御機器、建設及び改革に関する費用予測、仕様並びに図面展開L 建設工事または改装業務に対する表彰制度の推奨

M 入札者の新しいプロジェクトの活動について調整N 下記関係者と新規プロジェクトの活動について調整(1)建築家及び技師(例:設計展開計画) (2)管轄権を有する官庁(3)一般関係者及び下請け会社 (4)保管管理者

O 建設及び改造プロジェクトに関する設計展開図及び仕様書を作成P 概念設計・実施設計及び予算概算を展開

Q 新建造物及び施設のエンジニアリング並びに建設の統括管理R 施工図及び仕様書に従って全ての建物並びに改造プロジェクトが完了したことの確認S 建設及び改造プロジェクトに関して内部設計の展開具合の監理監督T 建造物計画について以下の見直し(1)土地の取得 (2)変更 (3)設備

U 建築及び/または改造プロジェクトに関して提出物及び病院政策図面の見直し

V 建設工程の展開W 設備に関連する事項に対応した業者、建築家、検査官及びサプライヤーとの組織面の編成

JFMAFORUM2010部会資料より

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③施設・設備保守運転管理A 業務提案の再検討B 省エネルギー提案及び選択肢採用の査定C 建物や設備のエネルギー管理プログラムの計画立案D 建物や設備のエネルギー管理プログラムの評価E 建物や設備のエネルギー管理プログラムの実施F 建物や設備のエネルギー利用のための指標作成

G エネルギー保存の全工事、修繕計画、設備交換及び可能性あるユーティリティー削減の再検討H 以下の項目に合わせた保守管理プログラムの実施(1)建物 (2)設備 (3)ユーティリティーI 修理、交換、改善及び能力付加の必要事項を確認するエネルギー利用報告書及びシステム運転状態の再検討J 建物保守修理部品及び供給品リストの管理K 設備系情報システムの管理(例:火災警報装置、建物自動操作装置、作業指示装置、CAD/CAFM)L 音声及びデータ装置の設置についての管理(例:ケーブル、PBX)

M 以下の項目について、操作及び保守方法の理解(1)HVAC及冷蔵装置設備(2)スチーム及熱水発生装置(3)医療ガス及吸引中央配管システム(4)配電設備(5)緊急電源装置(6)防火装置(7)水及水洗装置(8)立地及び保安装置(9)安全及び保安装置(10)医療設備(11)建物遮蔽の方法(屋根、窓、外壁)(12)運搬装置 (13)内装備品 (14)内装仕上げ

N 全ての予防保守プログラムの管理監督O 多様な職人の作業スケジュール作成(例:大工、電気工、一般修理工、塗装工、配管工)

P 全ての通信手段及び関連設備の取付及び/または改造の調整Q 建物や設備の予防保全プログラムの展開R 通信装置の運転及び保守管理S エレベーター装置の修理及び改善T 施設内の人の動きの検討U 工事/修繕計画の為のユーティリティ一時停止の調査

V 建物及び設備の修理費用の管理W 医療機器管理プログラムの管理X 設計図(青写真)及び構成図を判断/解釈Y ウエイファインディングに関する問題の調整Z CAD図面の更新

JFMAFORUM2010部会資料より

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④財務管理A 契約管理及び経営に関して体系的に従事することB 契約案件の交渉並びに締結C 既存の装置の可能な改良により余剰金回収が可能かどうかの計算D ライフサイクルコストの分析E 以下の項目の予算を管理(1)経営に関するプロジェクト(2)運転及び保守(3)プロジェクト(建設)

(4)資金 (5)ユーティリティー (6)医療機器管理プログラムF 施設利用計算書の監査及び規格化の実施G 資金及び支出予算の作成H エネルギーの購入に関する(資源、価格、入手可能性)監視I 業務協定の締結並びに管理J 設備及び業務の入札の検討、評価

K 予想利益及び買い集金を立証する為の省エネルギー結果の文書化

JFMAFORUM2010部会資料より

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⑤業務管理他A 既存エネルギーセンターの運転及び保守手順の再検討/改善B 主要な改善のための資金の適正配分C 主要な設備購入の承認D 長期的主要改善計画の策定E 必要品及び購入品を評価して、その正当性の照明

F 主要な設備や装置の改善点の評価G プロジェクトや運転の為の人員配置管理H 実際の支出管理、各部門運営予算管理(予実管理)I 提案プロジェクトに関してプレゼンテーションの管理J 以下の項目に関する設備及び装置のトレーニングプログラムの準備 (1)保守要員(2)利用職員K 顧客満足度調査(顧客経験度調査)手段の開発、配布、回収、分析

L 品質改善手法を使って品質改善プログラムの効果の確認M 業務の提供に関する問題の識別及び解決N 他部門、外部委託業者と部門間の業務の調整O 下記の運営を管理/監督する(1)エネルギーセンター運営(2)保守(3)施設管理(4)建物及び敷地(5)工事(6)火災防止(7)環境問題(8)建築/設計(9)建物計画 (10)安全管理 (11)財務管理

(12)廃棄物管理 (13)災害対応P 人的資源管理(例:賞罰、雇用、評価行動、昇格、採用、解雇、移動、訓練、休暇)Q 賃金分析/給与体系に関わる問題の評価R 部門の戦略的管理計画の展開S 施設機能の統計的分析及び指標作成T 保安装置の評価

U 新技術、設備及び供給品の調査V 必要な業務に対する外部委託業者選定への関与W 原料及び供給品の購入に対する比較評価

JFMAFORUM2010部会資料より

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4.4. 日常的管理に役立てる、病院のFM日常的管理に役立てる、病院のFM

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日常的管理に役立つFM• 実例に見るFMの振舞い方

• 北里大学病院

• 「北里大学病院事務部 酢屋ユリ子」(2007年 JFMA賞功績賞)

• FMの視点を取り入れた長年にわたる事務部環境整備課の実績と多くの著作等によるFMへの貢献が、先駆的な事例として初の評価された。

• 「環境整備で重要なことは費用対効果。病院にはマルチ対応できる人材が求められている。環境整備は実務がなかなか評価されないが、数値化した客観的判断に取り組み、リスクは組織対応し価値観を共有して全員へ展開」

57JFMA賞受賞資料より

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日常的管理に役立つFM実例に見るFMの振舞い方

井上眼科病院

「視機能に障害のある患者を迎えるための、眼科専門病院の取組」(2009年 JFMA賞優秀FM賞)

経営層により実行された眼科専門病院の施設改善事例で、1日1,000人が訪れる視覚障害患者へ、外来診療機能を1カ所に統合し、従来の病院棟を入院・手術中心に機能分化した。

視覚障害患者が認識しやすい施設として、施設内にとどまらず、JR御茶ノ水駅と周辺街づくりグループが協力して、サイン計画等の街ぐるみのFMへ発展

58JFMA賞受賞資料より

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日常的管理に役立つFM

59JFMA賞受賞資料より

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日常的管理に役立つFM実例に見るFMの振舞い方

会津中央病院 (2013年 JFMA賞奨励賞)

施設づくりに際して、患者の自由を束縛しない空間、従来の病院スタイルからの脱却をめざしたコンセプト、新築免震+既存免震レトロフィットの耐震性確保などの先進性がある。

患者の居場所となる商店街がつくられるなど、経営側の意欲的な施設づくり全体の意図は理解できる。

FM体制整備と定期的評価による継続的改善部分では弱さがあるが、評価指標データ重視の経営管理、個室病床マネジャー制度、患者を家族以上に手厚く看護などの施設運営により10年以上黒字経営を継続。

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会津中央病院

JFMA賞受賞資料より

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日常的管理に役立つFM実例に見るFMの振舞い方

会津中央病院 (2013年 JFMA賞)

新築免震+既存免震レトロフィット病床数を減じることなく再生プランスタート:新棟免震化と共に、既存病棟も中間階免震レトロフィットにより、免震性能を向上させ、患者の心を振わせない施設へ

61(出典:日経アーキテクチュア2009.03.09)

免震建物と既存建物の地震時挙動の整合(出典:JFMA賞 2013年-羽深隆雄・栴工房設計事務所提供資料)

新築免震+既存免震レトロフィット

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日常的管理に役立つFM1)FMベンチマーキングの重要性

ベンチマーク(BM:benchmarking)は、FM’erを支援する重要なツールである。エネルギー、不動産・建設コスト、面積規模、医療機器、情報機器等の優先順位の高い業務課題を具体的に見ていく手法としておおいに活用されている。

これは病院経営のチャートとコンパスとして機能し、新病院計画や既存病院運営を経営判断する投資対効果の判断材料としてのエビデンスを提供してくれる。

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日常的管理に役立つFM1)FMベンチマーキングの重要性

ベンチマーク(BM:benchmarking)は、FM’erが支援する病院経営のチャートとコンパス

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日常的管理に役立つFM1)FMベンチマーキングの重要性

ベンチマーク(BM:benchmarking)は、FM’erが支援する病院経営のチャートとコンパス

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日常的管理に役立つFM1)FMベンチマーキングの重要性

ベンチマーク(BM:benchmarking)は、FM’erが支援する病院経営のチャートとコンパス

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日常的管理に役立つFM1)FMベンチマーキングの重要性

ベンチマーク(BM:benchmarking)は、FM’erが支援する病院経営のチャートとコンパス

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日常的管理に役立つFM1)FMベンチマーキングの重要性

ベンチマーク(BM:benchmarking)は、FM’erが支援する病院経営のチャートとコンパス

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日常的管理に役立つFM2)建物カルテと定点観察

患者病歴データをDPCで疫学的に活用するように、病院間で施設データを共有活用して、不測の故障・事故の縮減や、平時の共同購入等のコスト平準化、非常時の蓄積データ有効活用につながると、医療の質と安全に大きく貢献できる。

清掃と警備は裏方業務だが、変化に対応するマネジメントから、センサーとしての重要な役割を担っている。

清掃業務は経年劣化を毎日の変化から察知し、危険予知から建物の長寿命化に役立つ。警備業務は、日常から異質な動きを見抜き、不審者侵入や異常事態発生に即応できる。

品質保証制度(SLA)や重要業績評価指標(KPI)の委託契約以前に、組織のあり方が問われている。

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5.5. 非日常に事業継続する、病院のFM非日常に事業継続する、病院のFM

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非日常に事業継続するFM

BCP(事業継続計画)

東日本大震災の教訓を活かすべく、病院は地域の重要なセーフティネットとなるBCP策定を社会的責任として要請されることとなった。非常時とは自然災害にとどまらず、パンデミック・アウトブレイク・環境汚染事故・トンネル橋梁事故・爆発事故・車両事故等を包含する必要がある。

この狭義のBCPと共に、地域社会とどう存続していくのかという、広義のBCPも存在している。

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非日常に事業継続するFM

BCP(事業継続計画)

狭義の病院BCPの実践には、災害時の病院機能状況把握となる、自院トリアージと地域医療トリアージが必要

①災害程度や被害状況は、立地や周辺状況によって異なる

②準備しても、ライフライン・情報・サプライチェーンが途絶

③被災状況は時間と共に変化し、早期に把握し迅速に対応

④時系列変化する医療活動能力の、発信と受信が重要

⑤単独病院対応が困難で、地域連携ネットワーク確立を準備

⑥被災地外のネットワークからの、人・物資の支援を有効活用

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企業BCPと病院BCPの違い

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病院BCPによる活動レベル供給不足の中で需要対応【課題3】

平常時+αの需要に対応

新たな需要対応(病院BCP)

経過時間

災害発生

【課題1】一時的な下げ幅の極小化

医療対応力の低下

【課題2】影響を受ける期間の極小化

能力低下を早期に回復(一般BCP)

需要供給

減災力減災力 反応力反応力

回復力回復力

対応力対応力

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災害時の医療需要の変化

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混乱期数時間~2or3日

発災期発生~数時間

復旧・復興期数週間~数年

避難期数日~数週間

発災後、時間の経過とともに需要の性質が変わることも特徴

交通機関が麻痺して徒歩=比較的軽症での来院

生活環境の悪化による循環器・呼吸器系の疾患が増加

避難生活によるストレス、潜在的な疲労の蓄積により精神・神経系の疾患が増加

救急搬送により患者が増加。外傷による整形外科系の患者増加

<阪神大震災の場合> <東日本大震災の場合>

津波で整形外科系は少なく、低体温症・呼吸器系が多く慢性疾患・投薬も多い

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病院BCPのポイント

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「病院BCP」の概念・基本的な考え方

① 病院事業を阻害する要因整理と対策選択

② リスクの種類・立地・被害軽減策・早期復旧策

③ 災害時にも事業継続する予防投資と費用対効果

事業の特徴:地域密着型の社会的サービス業

① 製造業のように生産・調達拠点を動かせない

② 自ら被災時に、急増する医療需要に応える使命

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自院と地域のトリアージ

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◆ 自院トリアージ 被害状況の早期把握

◆ 地域トリアージ 被害情報の地域共有

病院+地域トリアージタッグが必要

◆災害診断ツールの提案

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災害診断ツールの目標

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災害医療への対応力の持続を図るための情報収集

時間経過で変化する医療需要と活動状況の把握

【 災害時、病院機能や活動状況の総合的把握=自院トリアージ】

・病院機能を維持するための施設環境(ハード面)の把握

・薬品や医療材料、職員や患者など物流や人(ソフト面)の把握

【 病院機能や活動レベルの評価基準と時間経過の設定】

・活動状況のレベル(程度)を示す機能点数の設定

・災害時の医療需要変化に即した段階的時間経過の設定

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自院トリアージの評価項目

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大項目(10種類) 小項目(49項目)

ハード面

1. 建築構造・躯体、非構造部材、検査・手術、外来・救急、病棟、供給・管理(6)

2. 設備(1次側) 受電・配電、自家発、熱源、受水、排水(5)

3. 設備(2次側) 照明・コンセント、空調、給水・給湯、排水、搬送、消火(6)

4. 機器・備品医療機器(固定)、医療機器(手術)、医療機器(可搬)入浴、ベッド・家具・収納、事務機器(6)

ソフト面

5. 供給・情報 食事、医薬品、診療材料、滅菌物、廃棄物(5)

6. 通信 電子カルテ・オーダリング、LAN、ネット、電話(4)

7. ライフライン 電気、ガス、油、上水、下水、薬材、食材、機器メンテ(8)

8. 職員 医師、看護師、コメディカル、事務員等(4)

9. 既存患者 入院、外来(2)

10.新規患者 入院、救急外来、救急治療空間(3)

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機能点数と活動状況

79病院活動状況図

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0 建築

設備1次

設備2次

機器・備品

供給・情報

通信

ライフライン

職員

既存患者

新規患者

通常状態機能点数

稼働率(通常を100%)

機能状況

1点 00%% 停止状態 又は使用不能状態

2点 00~~5050%% かなり不足だが

低限の機能状態

3点 5050~~100100%% 部分的に不足だが中程度の機能状態

4点 100100%% 通常どおりの状態

5点 100100%~%~通常以上の過大な機能状態

災害時の活動状況:大項目の平均点をレーダチャートに表現

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災害診断ツールの提案

80

自院の医療継続と情報共有のための基本情報ツール・・・

全体診断ツール(推移を視る、停滞を視る)

自院の全体診断と早期復旧支援のための基礎情報ツール・・・

部門診断ツール(今を視る、先を視る)

• 病院全体の損傷レベル、インフラや医療資材から患者対応の状況変化を

総合的に可視化して、自院の医療継続と早期復旧を支援

• 災害拠点病院に地域の病院情報を集約することで、迅速かつ効率的な

地域医療連携が災害時でも時々刻々に可能

• 病院各部の活動状況や損傷状況を可視化、全体診断ツールの基礎情報

• 損傷個所の詳細や原因を明らかにし、具体的な復旧対策や活動を支援

• 今、ボトルネックこれだ!次は、この手を打つ!何を守り、何を捨てるか!

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病院全体診断ツール

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【施設概要】

大項目 中項目 1日 3日 7日 14日 30日 3月 大項目 項目数 全損 名称 坂総合病院

1 建築物 構造・躯体 4 4 4 4 4 4 1 建築 6 1 3.0 4 3.0 4 3.3 4 3.3 4 3.8 4 3.8 4 住所 宮城県塩竈市錦町16-5

非構造部材 3 3 3 3 3 3 2 設備1次 5 1 2.6 4 3.0 4 3.4 4 4.0 4 3 .8 4 4.0 4 病床数 357床

【部 門 ハ ード】 検査・手術 2 2 3 3 4 4 3 設備2次 6 1 2.2 4 2.5 4 3.0 4 3.8 4 4 .0 4 4.0 4 稼働率 93% 外来患者数219人

外来・救急 3 3 3 3 4 4 4 機器・備品 6 1 2.3 4 2 .7 4 3.2 4 4.0 4 3.8 4 4.0 4 構造・規模 SRC/S造  B1F-10F 延床面積

病棟 3 3 4 4 4 4 5 材料・物品 5 1 2.6 4 2 .8 4 3.4 4 4.0 4 4.0 4 4.0 4 築年数 2005年

供給・管理 3 3 3 3 4 4 6 通信・情報 4 1 1.0 4 1 .3 4 1.5 4 3.5 4 4.0 4 4.0 4 職員数

合計 18 18 20 20 23 23 7 供給ライン 8 1 1.9 4 2 .3 4 3.3 4 3.5 4 3.9 4 4.0 4 医師数 75

2 1次設備 受変電設備 2 2 4 4 3 4 8 職員 4 1 5.0 4 5 .0 4 4.0 4 4.0 4 4.0 4 4.0 4 看護師数 262

自家発設備 4 4 4 4 4 4 9 既存患者 2 1 2.5 4 2 .5 4 2.5 4 3.0 4 4.0 4 4.0 4 診療科目 内/外/整外/循/泌/呼/眼/消/耳鼻/産婦/皮/

熱源設備 1 1 1 4 4 4 10 新規患者 3 1 5.0 4 5 .0 4 4.0 4 4.0 4 4.0 4 4.0 4 指定 形/小児/心外/漢方/脳外/放/リハ/精

受水槽 2 4 4 4 4 4 点数化のルール 地域医療支援病院 /臨床研修指定病院

排水・浄化 4 4 4 4 4 4 1(0~24%)、2(25~49%)、3(50~74%)、4(75~100%)、5(101%~) 宮城県災害拠点病院

合計 13 15 17 20 19 20

3 2次設備 照明・コンセント 2 2 2 3 4 4

空調・冷暖房 1 1 1 4 4 4

給水・給湯 2 2 3 4 4 4

排水・汚水 4 4 4 4 4 4

EV・搬送 1 2 4 4 4 4

SP・消火 3 4 4 4 4 4

合計 13 15 18 23 24 24

4 機器・備品 医療機器(固定) 2 2 2 4 3 4

医療機器(手術) 2 2 2 4 4 4

医療機器(可搬) 2 2 4 4 4 4

入浴 1 3 3 4 4 4

ベッド・家具・収 納 4 4 4 4 4 4

事務機器 3 3 4 4 4 4

合計 14 16 19 24 23 24

5 材料・物品 食事 2 2 3 4 4 4

医薬品 4 4 4 4 4 4

診療材料 4 4 4 4 4 4

滅菌物 1 2 2 4 4 4

廃棄物 2 2 4 4 4 4

合計 13 14 17 20 20 20

6 通信・情報 電カル・オー ダリング 1 1 1 3 4 4

LANシステム 1 1 1 3 4 4

インターネット 1 2 2 4 4 4

電話 1 1 2 4 4 4

合計 4 5 6 14 16 16

7 供給ライン 電気 1 1 4 4 3 4

( ラ イフ ラ イン) ガス 1 1 1 1 4 4

油 1 1 1 3 4 4

上水 2 4 4 4 4 4

下水 4 4 4 4 4 4( ロジスティクス) 薬・材料 2 2 4 4 4 4

食材 2 3 4 4 4 4

機器メンテ 2 2 4 4 4 4

合計 15 18 26 28 31 32 【補足事項】

8 職員 医師 5 5 4 4 4 4 ・3/11本震 震度6強   4/7の 大余震も震度6強

看護師 5 5 4 4 4 4 ・主な被害:屋上貯水タンク転倒、外壁クラックからの漏水、天井内機器破損による漏水、滅菌装置破損

コメディカル 5 5 4 4 4 4 ・余震の被害:トランス倒壊による停電、本震のクラック拡大、CTが200Vの為使えず

事務等 5 5 4 4 4 4 ・停電3日間、自家発作動。電源確保優先し、暖房は全館1週間停止。(低体温症には床暖房で対応)

合計 20 20 16 16 16 16 ・ガス1ヶ月停止 食料備蓄3日分は1日で無くなる

9 既存患者数 入院患者 3 3 3 3 4 4 ・水は普段から井戸水95%利用

外来患者 2 2 2 3 4 4 ・情報:ワンセグのみ  4日目から衛星電話  TV取材を利用

合計 5 5 5 6 8 8 ・震度5以上で全員出勤の決まり。全国からの支援者数は3ヶ月で約2600人。

10 新規患者数 入院患者 5 5 4 4 4 4 ・1年に1回の震災訓練および震災マニュアルが効果的であったが、訓練4割、現場の機転が6割である。

救急患者 5 5 4 4 4 4 ・1ヶ月目はほぼ通常に復帰しているが、4/7の 大余震により、本震で弱っていた家屋が倒壊し

避難来院者 5 5 4 4 4 4  新規外傷患者が増加したが、停電によりCTが使えなかった

合計 15 15 12 12 12 12 ・3ヶ月後、作業員の不足でクラックが修理できず、そこからの雨漏りが残っていたがやっと着手した。

医療提供の資源 発災後の時点 発災後の時点資源

1日 3日 7日 14日 30日 3月

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1

設備2

機器・備

材料・物

通信・情

供給ラ

イン

職員

既存患

新規患

1日

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1次

設備2次

機器・備

材料・物

通信・情

供給ライ

職員

既存患

新規患者

3日

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1

設備2

機器・備

材料・物

通信・情

供給ライ

職員

既存患

新規患者

7日

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1

設備2

機器・備

材料・物

通信・情

供給ラ

イン

職員

既存患

新規患

14日

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1次

設備2次

機器・備

材料・物

通信・情

供給ライ

職員

既存患

新規患者

30日

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1

設備2

機器・備

材料・物

通信・情

供給ラ

イン

職員

既存患

新規患

3月

酸 素・ 吸引 ・ 床 暖房が あ る リハ 室に

臨 時ベ ッドを設 け た停電 エ リア は 処置 灯で 対 応

患者への対応力と職員体制のレベルがBCPの

重要な情報

発災~1週間のレベル

変化も、院内外の重要な共有情報全把握49項目

時系列機能点数一覧

10大項目の

時系列機能点数平均点一覧

時系列大項目の平均点をレ-ダーチャート

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JFMA ヘルスケアFM研究部会 2013.08.23

部門診断ツール

82

平・立・断面図

ダメージ記載メモ

諸室リストごとの

詳細項目別ダメージ評価

記録日時

-41-

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BCP FMツールの構成

83

• 「自院のトリアージ(自己診断)」機能– ダメージ箇所の可視化と復旧活動のチャート 【部門診断ツール】

– 医療への対応力を総合的に評価、情報発信 【全体診断ツール】

• 「地域医療のトリアージ・状況把握」機能 【地域連携ツール】

– 地域病院間の余力、限界の時系列変化を可視化評価

– 医療資源、患者搬送の効率的地域間運用の基礎資料

1 災害時のダメージ評価と早期復旧を支援

2 平常時からの災害に強い病院づくり(そなえよつねに!)

• 「病院BCP策定」のガイドライン 【BCP策定支援マニュアル】

– 診断ツールによる対応力分析、現実的被害想定に基づく行動計画

– 災害時と同じ運用による平常時の事業継続性の定期評価と是正

3 地域連携支援(やがては、病院が連携した防災訓練を!)

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「災害対応」から「事業継続」へ

84

新規被災患者

既存患者

復旧し新たな平常時へ平常時の医療レベル(各種リソースにより形成)

72時間・2週間・1カ月

医療レベル低下

平常時の需要状況

平常時データに基づく計量的な経営・FM

迅速かつ適切な判断医療の継続・回復

【概念図】

応援

「事業継続」の視野

災害対応の視野

「地震等」発災

• 平常時を基本に、災害ダメージを克服する「事業継続」の視点

-42-

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可視化ツールプロセス

85

自治体災害・被害想定

病院活動現況評価

*可視化ツール病院概要

可視化ツール病院・各部門の

被害想定

*可視化ツール地域の被害想定

災害時体制

病院・各部門スタッフ「自ら」理解し

相互に対策を検討防災訓練

環境整備支援災害経験・事例から部門で起こる事態

(臨場感)

病院災害対応能力

*可視化ツール病院・地域の「トリアージ」

可視化ツール病院・各部門のリソース状況

• 病院の災害対応能力チェックを、病院の現況活動データに基づいて準備

• 各自治体からの災害・被災想定に基づき、病院の被害を想定

• 各部門職員が、被害想定から自らの業務状況・業務環境を理解し、対応策を一覧表に

まとめる。実地訓練等によりブラッシュアップ・・・これを支援

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病院BCP策定と災害時手順

86

【BCPの策定】 【実施の手順】

STEP‐2 現況把握(防災力診断指標による検証)

STEP‐3 通常業務の整理

STEP‐4 被害想定(病院全体診断ツールによる想定)

STEP‐5 災害応急業務の整理

STEP‐6 災害時優先業務設定

STEP‐8 BCP取り纏め

① 教育・防災訓練(定期)

② 地域関係機関との連携確認

① 自院のトリアージ(部署診断ツールと全体診断ツール)

② 提供可能な医療判断と準備

③ 被災者対応(トリアージ・処置・搬送)(全体診断ツールの時間経過把握)

<災害時フロー>

④ 情報発信と復旧対策の実施

STEP‐1 策定体制の構築

STEP‐7 行動計画作成

<平常時フロー>

③ BCPの定期検証と見直し

病院BCP

-43-

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病院BCP策定フロー(プログラミング手法)

87

病院BCP計画の策定フロー(ヘルスケアFM部会案)

S TEP-1 STEP- 2 STEP- 3 STEP- 4 STEP -5 STEP -6 ST EP-7 S TEP-8

策 定 体 制 構 築 現 況把 握 通 常 業務 整 理 被 害 想定 災 害 応 急 業 務整 理 災 害 優 先 業 務 設 定 行 動 計 画 作 成 BC P取 り纏 め

概  要 BCP策定組織の編成 病院の現防災力検証 各部門の通常業務の整理 病院の受ける被害想定災害時の災害応急業務の整

理災害時に病院で行うべき優先

業務の設定設定した優先業務ごとに詳細

な行動計画を作成病院BCP計画の文書取り纏

ポ イント

・策定責任者の選定

・各部門から広くメンバー選定・地震に対しての備えの状況

把握・建築、設備、薬品や器材、スタッフ、インフラ等の病院防災力の現状評価

・各部門の通常行っている業

務の洗出し

・通常業務内容と必要な器材や資源の整理

・災害応急対応など災害活動

の根拠となる被害を想定

・全体(地域)被害及び全体の時間別状況の想定・病院被害の時間別状況(イン

フラ、周辺被害、院内被害)を想定

・災害時に組織される各部門

の被害想定を踏まえ行うべき

応急業務の洗出し・応急業務内容と必要な器材や資源の整理

・災害時に優先すべき各部門

の通常業務や必要な応急業務

から病院BCPとして必要な優先業務を整理し実施レベル(目標)を設定

・目標とする実施工程に基づき

優先業務ごとに具体的な行動

計画を作成

・ 終的な病院BCP計画とし

て基本的考え方や行動計画、

今後の取り組みや課題を文書に作成

ツール

・ビジョンカード

・戦略マップカード

・防災力診断指標(摂南大池

内氏)に基づく評価

・病院全体診断ツールー平常

時(JFMAヘルスケア研究部

会)に基づく評価

・業務マニュアルカード

平時休日

夜間優先

災害時(B,R,Y,G)

・病院全体診断ツールー災害

時(JFMAヘルスケア研究部

会)に基づく被害想定

(平常時ツールと過去事例から

被害想定)

・業務マニュアルカード

平時休日

夜間優先

災害時(B,R,Y,G)

・業務マニュアルカード

平時休日

夜間優先

災害時(B,R,Y,G)

・行動カード

(部門別)

(役割別)

(個人別)

・PDCA

・成功カード・失敗逆読カード

・(ヒヤリ・ハットカード)

・(インシデ ントカード)

・(アクシデントカード)

参 考 資料

「災害時における災害拠点病院の機能維持に係る調査」(H

24.1東京都)

「BCPイメージの優先業務の概要表」

各自治体ハザー ドマップ「災害時の医療救護活動の

フェーズ区分と必要な行動」(東京都)

「BCPイメージの優先業務の概要表」

「BCP行動計画例」

手 順・ 内 容

1)策定責任者の選定

・部門を横断する調整や責任

が必要のため、院長が望まし

い。

・策定責任者は災害時の対策

本部長を兼任する。

2)各部門から策定委員を選定

・病院業務に携わる全ての部

門から参加する。

1)指揮命令系統の確認

・災害対策本部設置基準

2)スタッフ確保の確認

・通常時(平日、休日、夜間)の

人員状況・災害時(発災時間別人員検

証)

3)診療スペースの確認

4)備蓄医療器材の確認

5)搬送手段の確認

6)建築、設備の耐震確認

・耐震性能、転倒防止・電気、上下水、ガス、昇降機

他7)ライフラインの確認

・公共インフラの耐震性

・各備蓄、供給網の確認

1)各部門通常業務の列挙

・優先業務の概要表を参考に

通常業務名称をリストアップ

2)リストアップした業務ごとに

必要な資源を整理

・担当者、必要情報、体制、活

動内容、場所、必要物品など

を整理

1)全体被害想定・対象地震の想定、ハザード

マップによる震度想定、津波被

害想定

2)全体被害の時間別状況の

想定・時間フェー ズごとの医療ニー

ズと医療資源の状況想定

3)病院被害の時間別状況

・病院全体診断ツールにより建築、設備、医療器材、供給、通

信、インフラ、スタッフ、患者に

ついて現況把握と過去事例か

ら被害状況を時間別に想定

1)災害時各部門の応急業務

の列挙

・優先業務の概要表を参考に

被害想定上必要な応急業務名

称をリストアップ

2)リストアップした業務ごとに

必要な資源を整理

・担当者、必要情報、体制、活

動内容、場所、必要物品など

を整理

1)必要業務の整理・統合

・整理した優先すべき通常業

務と災害応急業務を同一また

は関連ある業務ごとに整理し、

病院全体の業務概要表に統合

2)優先業務の設定

・統合した病院全体の概要表

から、BCP策定委員会で議論

し病院BCPとして必要な優先

業務を設定

3)優先業務の実施レベルの設

定・優先業務ごとに目標時間(い

つまで)・目標レベル(どの程

度)を設定し実施工程を作成

1)優先業務行動計画(記載項目)

・優先業務名称・業務方針・担当部門・責任者・副責任者(代理者)

・体制(人員)

・目標時間(期間や期限)

・目標レベル(時間対応数な

ど)

・活動内容(役割ごとの具体的

活動内容)・必要情報

・対応場所・必要物品・実施課題

病院BCP計画

(目次)

1)策定に基本的考え

・病院BCPの基本方針

・病院BCP策定体制

・現況の把握

・被害の想定

2)災害時優先業務の設定

・通常業務・災害応急業務

・優先業務の設定

3)病院BCP行動計画・優先業務行動計画

4)課題と今後の取組

・現況の課題

・教育・訓練の取組

・点検・是正の取組

・見直しの取組

アウ トプット

・BCP策定組織図 ・病院防災力診断(ツール)

・参集人員想定表・災害診療スペース計画

・建築、設備耐震状況表

・器材備蓄・供給先リスト

・インフラ備蓄・供給先リスト

・搬送手段状況

・通常業務整理表 ・全体被害想定表

・全体被害の時間別想定図(医療ニーズと医療資源状況)

・病院全体診断ツール-災害時

・時間別応急対応患者想定

・災害応急業務整理表 ・業務概要表

・優先業務概要表・優先業務実施工程表

・優先業務行動計画表 ・病院BCP計画書

策 定 期間

段  階

ゴール・

体制構築事実の収集と分析 課題提示とBCP確認ニーズ決定コンセプトの発見と試行

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JFMA ヘルスケアFM研究部会 2013.08.23 88

東日本大震災 病院被災調査概要

研究主旨

・研究報告:「ライフライン・建築・設備の被災状況及び診療活動の状況」(H23年度 厚生労働科学特別研究事業 「大規模災害に対応した保健・医療・福祉サービスの構造、設備、管理運営体制等に関する研究」 研究代表者 工学院大学筧淳夫教授 の分担研究報告)

・研究主旨:東日本大震災による病院の被災実態を早急に把握し、今後の復興計画立案や大規模災害に対応できる病院づくりの基礎資料とする

調査概要

・調査日:2011年5月~2012年1月・調査対象病院:青森、岩手、宮城、福島、茨城県の48病院・調査方法:ヒアリング調査・調査項目:建築・設備に関するハード面と運営・マニュアルに関するソフト面(病院概要、被災概要、ライフライン被災状況、再稼働状況・防災対策、建築構造、建築設備・医療設備、医療活動、物資補給等)

上記調査報告から33病院、JFMA独自の病院ヒアリングから2病院の合計35病院の病院活動分析

-44-

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活動経過パターン 活動 過 況 検証病院 比率(%)

Aタイプ 患者対応型・当初は病院活動が低下するが、発災時より平常時の救急患者以上の被災患者に対応している病院・被災によるダメージの程度は病院より異なるが、概ね1か月程度で平常回復している 12 34

Bタイプ 標準回復型・当初、供給やインフラなどの活動が若干低下するが、概ね2週間程度で平常回復する病院・被災患者の対応は平常時の救急患者数程度 15 43

Cタイプ 回復遅延型・発災当初より多くの病院機能や活動レベルが低下し、被災患者にあまり対応できない病院・地震や津波により建築の構造や重要設備が損傷し、1か月後も機能低下し回復が遅延する病院 8 23

合 計 35 100

病院活動経過パターン:病院活動の状況経過には概ね3タイプが見られる

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1次

設備2次

機器・備

材料・物品

通信・情

供給ライン

職員

既存 患者

新規患者

1 日

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1次

設 備2次

機 器・備

材料・物

通 信・情

供給ライ

職員

既存患者

新規患者

3日

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1 次

設備2 次

機器・備

材料・物

通信・情報

供給ライ

職員

既存患者

新規 患者

7日

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1 次

設備2 次

機器・備

材料・物品

通信・情

供給ライン

職 員

既存患 者

新規患者

14日

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1 次

設備2次

機器・備

材料・物

通信・情報

供 給ライ

職員

既存患者

新規患者

3 0日

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1次

設備2 次

機器・備品

材料・物

通信・情

供給ライ

職員

既存患者

新規患者

3月

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1次

設備2次

機器・備

材料・物品

通信・情

供給ライン

職員

既存 患者

新規患者

1 日

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1次

設 備2次

機 器・備

材料・物

通 信・情報

供給ライ

職員

既存患者

新規患者

3日

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1 次

設備2 次

機器・備

材料・物

通信・情

供給ライ

職員

既存患者

新規 患者

7日

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建 築

設備1次

設備2次

機器 ・備

材料 ・物品

通信・情報

供給ライン

職員

既存患 者

新規患 者

1 4日

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1 次

設備2 次

機器 ・備

材料・物

通信 ・情

供給ライ

職員

既存患者

新規患者

30 日

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1次

設備2 次

機器・備品

材料・物

通信・情

供給ライ

職員

既存患者

新規患者

3 月

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1次

設備2次

機器・備

材料・物品

通信・情

供給ライン

職員

既存 患者

新規患者

1 日

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1次

設 備2次

機 器・備

材料・物

通 信・情

供給ライ

職員

既存患者

新規患者

3日

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1 次

設備2 次

機器・備

材料・物

通信・情報

供給ライ

職員

既存患者

新規 患者

7日

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建 築

設備1次

設備2次

機器 ・備

材料 ・物

通信・情

供給ライ

職員

既存患 者

新規患 者

1 4日

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1 次

設備2 次

機器 ・備

材料・物

通信 ・情

供給ライ

職員

既存患者

新規患者

30 日

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0建築

設備1次

設備2 次

機器・備

材料・物

通信・情

供給ライ

職員

既存患者

新規患者

3 月

Aタイプ:患者対応型

・検証病院の34%で全体の約1/3を占める

・当初活動低下するが、多くのスタッフにより平常以上の被災患者に対応

・概ね1か月で平常回復

Bタイプ:標準回復型

・検証病院の43%で も多いタイプ

・当初活動低下するが、スタッフ不足なく平常救急程度の被災患者に対応

・概ね1~2週間で平常回復

Cタイプ:回復遅延型

・検証病院の23%で全体の約1/5を占める

・多くの機能や活動が低下し、被災患者対応が困難な状況が1か月後も継続

1日 3日 7日 14日 30日 90日

Aタイプ事例

Bタイプ事例

Cタイプ事例

多くのスタッフで

平常以上の被災患者に対応

平時程度の救急対応しながら1~2週間で平常回復

多くの機能が低下し患者対応困難が1か月後も継続

日本医業経営コンサルタント協会継続研修 2013 施設・設備管理体制の整備 病院のファシリティマネジメント

JFMA ヘルスケアFM研究部会 2013.08.23 90

活動経過パターンとダメージ状況発災より概ね7日(1週間)経過時に機能点数3点(活動50%)未満を×表示、ダメージ点数は各病院の×総数

タイプA:患者対応型病院

• スタッフ不足なく比較的ダメージ箇所も少ない(平均ダメージ=2.4点)

• ダメージが多い病院(4以上が約1/3)でも患者対応できている

タイプB:標準回復型病院

• ダメージ箇所が も少ない(平均ダメージ=1.7点)

• 比較的建築や設備のダメージが少ない

タイプC:回復遅延型病院

• ダメージ件数が も多い(平均ダメージ=4.6点)

• 地震や津波による建築構造や重要設備のダメージが多い

初期ダメージは病院ごと様々だが、インフラが全体の約70%、供給や通信障害が約50%と、損傷を受ける可能性が高い

建築や設備に大きなダメージを受けると回復が遅延する

1 2 3 4 5 6 8 9 10 11 13 14 15 16 22 23 24 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 46 48 49 50 損傷件数 比率(%)

建築 × × × × × × × × × 9 25.7

設備 × × × × × × × × × × × × × × 14 40.0

供給 × × × × × × × × × × × × × × × × × × 18 51.4

通信 × × × × × × × × × × × × × × × × × × × 19 54.3

インフラ × × × × × × × × × × × × × × × × × × × × × × × × × 25 71.4

スタッフ × × × × × × 6 17.1

ダメージ点数 6 2 6 1 1 1 1 5 5 1 2 2 4 2 4 3 1 2 2 1 1 2 1 1 5 4 5 5 3 2 2 2 3 1 2 AVE. 2.6

活動経過パターン C B C B A B A A C B B B A C A C B B B B A A A B C A C C A B B B B A A 35 100

初期ダメージ箇所

病院NO.

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へルスケアFMに期待されるもの

ヘルスケアFMの役割は、病院という器が同じ時、何で競うのかという 一点に尽きる。

FMは課題を解決するサービス手法でもある。顧客である患者への提供サービスの品質向上こそFMの目標である。既に、患者が医療施設を選択し、提供される医療技術とともに、サービスの品質を評価する時代となっている。

何をサービスするかだけではなく、どのようにサービスするかが重要である。

コアとなる医療のプロは存在するが、ノンコアの支援サービスのプロが少なすぎるのが現状である。

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病院のファシリティマネジメント

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JFMA調査研究部会

ヘルスケアFM研究部会 部会長

上坂 脩

2013.08.23

ご多忙の中、ご清聴ありがとうございました。これからの、皆様とのご連携をどうぞ宜しく!

ご必要な資料がありましたら、ご連絡を![email protected]

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