関西医科大学と地域をつなぐ連携誌 tsunagu · 2021. 1. 21. · tsunagu 特集...

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関西医科大学 地域医療センター elieve + 10 2019 Spring 関 西 医 科 大 学と地 域をつなぐ連 携 誌 Vol. 西TSUNAGU 特集 関西医科大学附属病院 P.7 外来診療のご紹介 肝臓外科 運動療法外来 海堀教授 P.8 消化管外科 肥満・糖尿病手術のご紹介 井上准教授 P.9 取り組み紹介 健康科学センタ- 木村教授 P.10 新教授に聞く 呼吸器・感染症内科 宮下教授 関西医科大学総合医療センター P.11 手外科センター 浜田センター長 P.12 転ばぬ先の杖外来 神経内科 近藤教授 P.13 血管外科の取り組み 駒井教授 関西医科大学くずは病院 P.17 整形外科 新任医師紹介 玉井外科部長・平田医師 関西医科大学天満橋総合クリニック P.18 変革が迫られている総合健診 浦上院長 関西医科大学香里病院 P.14 新医長に聞く 腎泌尿器外科 小糸助教 P.15 新医長に聞く 乳腺外科 兼松診療講師 P.16 スペシャリスト 臨床検査部 田中技師長

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Page 1: 関西医科大学と地域をつなぐ連携誌 TSUNAGU · 2021. 1. 21. · tsunagu 特集 関西医科大学附属病院 p.7 外来診療のご紹介 肝臓外科 運動療法外来

関西医科大学 地域医療センター

�elieve+10

2019 Spring

関西医科大学と地域をつなぐ連携誌

Vol.

いつでも頼れるホスピタル

関西医大のポテンシャル

TSUNAGU特集

関西医科大学附属病院 P.7 外来診療のご紹介 肝臓外科 運動療法外来 海堀教授 P.8 消化管外科 肥満・糖尿病手術のご紹介 井上准教授 P.9 取り組み紹介 健康科学センタ- 木村教授 P.10 新教授に聞く 呼吸器・感染症内科 宮下教授

関西医科大学総合医療センター P.11 手外科センター 浜田センター長 P.12 転ばぬ先の杖外来 神経内科 近藤教授 P.13 血管外科の取り組み 駒井教授

関西医科大学くずは病院 P.17 整形外科 新任医師紹介 玉井外科部長・平田医師

関西医科大学天満橋総合クリニック P.18 変革が迫られている総合健診 浦上院長

関西医科大学香里病院 P.14 新医長に聞く 腎泌尿器外科 小糸助教 P.15 新医長に聞く 乳腺外科 兼松診療講師 P.16 スペシャリスト 臨床検査部 田中技師長

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E X A M P L EE X A M P L EE X A M P L EE X A M P L E

特集

他医療機関で対応困難な症例を幅広く受け入れています。附属病院は大阪府内で3つある高度救命救急センターのひとつとして、全診療科の地域からあらゆる重症症例を、24時間365日体制で収容・診療。また、附属病院は災害時の医療拠点、広域搬送拠点としての役割も担っています。

高度救命救急センター

総合医療センターでは、Hybrid EmergencyRoomにIVR-CTを設置し、重症患者さんに対しても、CT検査・血管造影検査を行い、的確な治療戦略が立てられるようになりました。さらに、生体モニター・電子熱型表が刷新され、救急初療室・救命救急センター・GICU・手術室・心臓カテーテル室が共通のシステムで結ばれています。

救命救急センター

脳卒中センター(附属病院・総合医療センター)では脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)や一過性脳虚血発作などにも迅速に対応。脳神経外科・神経内科・救急医学科・リハビリテーション科が中心となり、コメディカルスタッフとともにチーム医療を展開し、患者さんに最善の治療が提供

できるように努めています。また、発症早期からのリハビリテーションで、少しでも患者さんの症状が改善するように努めています。

脳卒中センター

心臓血管疾患集中治療室(CCU)を保有し、循環器救急疾患を24時間体制で受け入れ。回復期の心臓リハビリテーションにも積極的に取り組んでいます。血管内治療センターでは早期発見、早期治療介入により、将来重篤な血管病に陥らないようにするために、「統一血管病早期発見プログラム」を作成し、院内に広く普及させています。

ハートセンター・血管内治療センター

超急性期・急性期医療

枚方・寝屋川消防組合との連携で運用。1分1秒を争う超急性期症例では医師が現場に同行。搬送中に医療行為を施すことで救命率や予後の改善を実現しています。

ハイブリッドERは、救急患者さんの初療と別の患者さんのCT検査を同時に行え、医療リソースの有効活用を実現しています。

附属病院は、血管造影装置などを併設した手術室、ハイブリッド手術室を保有。血管の状況を見ながら行う低侵襲で負担の少ないカテーテル手術の、安全性・確実性が向上しました。

患者さんに対するエピペンの処方や指導、学校教職員・保育士・救急救命士向け講習会などを積極的に展開。救急医学科とも連動し、重症例への緊急対応と、その予防にも取り組んでいます。

ドクターカーHybrid Emergency RoomHybrid手術室アナフィラキシー対応・啓発

重症熱傷重度外傷

急性薬物中毒

交通事故大規模災害アナフィラキシーショック

心臓発作 脳梗塞

くも膜下出血

急性心不全

致死的不整脈

脳卒中

などで、急性期医療に取り組んで いますなどで、急性期後の回復期・療養期医療にも取り組んでいます

私たち関西医科大学は、

京阪本線沿線に4つの附属病院と1つのクリニックを持ち、

「健康沿線®」を旗印に北河内エリアの健康長寿を支えています。

発行から10号を迎える今回の「つなぐ」では、

緊急・高度・先進を軸に、巻頭特集として改めて私たちの診療力をご紹介します。

どんな症例も、あるいは

見たことのない症例でさえ――

関西医大は先生方の「困った」に応えます。

いつでも頼れるホスピタル

関西医大のポテンシャル

関西医科大学グループの診療力

その他にも その他にも

外傷センター 脊椎神経センター 褥瘡・創傷ケアセンター健康科学センター関医デイケアセンター関医訪問看護ステーション

総合リハビリテーションセンター

いつでも頼れるホスピタル 関 西 医 大 の ポ テンシャル

K A N S A I M E D I C A L U N I V E R S I T Y g r o u p02 01

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関 西 医 科 大 学 と 地 域 を つ な ぐ 連 携 誌 つ な ぐ

いつでも頼れるホスピタル 関 西 医 大 の ポ テンシャル

多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術診療科名 眼科承認年月日 2013年8月1日費用 308,809円/片眼(1回あたり)※

放射線照射前に大量メトトレキサート療法を行った後のテモゾロミド内服投与及び放射線治療の併用療法並びにテモゾロミド内服投与の維持療法 診療科名 脳神経外科承認年月日 2016年7月1日費用 113,540円※

術前のS-1内服投与、シスプラチン静脈内投与及びトラスツズマブ静脈内投与の併用療法診療科名 消化管外科承認年月日 2016年10月1日費用 23,129円※

膵癌腹膜転移に対するS-1+パクリタキセル経静脈腹腔内投与併用療法診療科名 胆膵外科承認年月日 2017年4月1日費用 819,174円※

テモゾロミゾ用量強化療法診療科名 脳神経外科承認年月日 2017年5月1日費用 123,840円※

マルチプレックス遺伝子パネル検査 難治性固形がん※ステージがⅢ期若しくはⅣ期で手術が不能なもの又は治療後に再発したものであって、治療法が存在しないもの又は従来の治療法が終了しているもの若しくは従来の治療法が終了予定のものに限り、肉腫を除く

診療科名 呼吸器腫瘍内科承認年月日 2019年3月1日費用 249,847円※

がん治療・緩和ケアセンター腎センター

人工関節センター総合周産期母子医療センター

などで、がん治療に取り組んでいます

などで、歩行・運動面における治療に取り組んでいます

健康科学センター

などで、無痛分娩や出生前診断、周産期・小児医療に取り組んでいます

臨床遺伝センター小児医療センター

最先端医療先進医療

化学療法のベッド数は35床と関西でも最大規模を誇り、診療室も同じセンター内に5室設置。医師が緊急時にもすぐに対応できる環境を整えています。また、ご本人のみならずご家族の治療への不安、将来への不安などにも相談できる環境を整えており、治療成績向上だけでなく安心を届ける援助を大事にしています。

がんセンター

がんの形にあわせた放射線治療を行う新しい照射方法です。がん細胞周囲の正常組織への照射を減らし、放射線をがんに集中することで副作用を増加させることなく、手術と同等の治療成績を上げることが可能です。治療は1回15~30分程度で、入院も不要。附属病院では前立腺がんだけでなく頭頸部がん、脳腫瘍、婦人科がん、膵がんなど全身のがんに応用しています。また、前立腺がんと乳がんについて従来より

も短時間の治療が可能な方法も選択可能です。

IMRT(強度変調放射線治療)

ロボット支援手術センターでは、すでに導入されているダヴィンチによる手術を行うだけでなく、医師のスキルアップ支援から、新たに保険収載されたがんの症例における活用と安全性の確立まで、幅広く推進するとともに、新たなロボットの技術的評価や、導入検討、手技の模索、スタッフのスキル向上などにも取り組んでいます。

ロボット支援手術センター

手術支援ロボット「ダ・ヴィンチSi」を導入。人間には不可能な動きや回転、静止が可能なアームを自在に操り、開腹手術の困難な身体の奥深い病変部位も正確に、かつ安全に切除可能です。また、直径数センチの穴を3~4箇所切開するだけと、患者さんの負担が軽減。コンソールに座ったまま操作できるため、医療スタッフの負担も軽くする画期的なデバイスです。

ダヴィンチ手術

附属病院・総合医療センターでは、3次元動作解析、床反力計、多チャンネル表面筋電図を用いた歩行・動作分析を実施しています。治療方針の決定や治療効果の判定が必要な際は、解析結果も画像データとともに地域の先生方と共有し、協働しています。最終的に患者さんが今まで生活されていた地域に戻られるために出来る限り地域の先生方や医療職の方と連携を進めています。

総合リハビリテーションセンター

脳卒中によって足関節に麻痺が残っている方のリハビリ治療として、空気圧人工筋による足関節ロボットを企業と共同開発し、歩行トレーニングを実施。ロボットを従来の下肢装具に装着し、足関節運動を適切にアシストすることで、動きを再認識させ、歩行機能を改善しています。その他にも、転倒予防や認知機能改善を目的とした、様々なロボット・先端技術の応用・活用に関する研究に取り組んでいます。

リハビリテーションロボット

産婦人科医と泌尿器科医が連携し、ご夫婦を対象とした治療を大切にしています。希望を聞きながら、年齢・不妊原因を考慮して治療方針を決定。不妊症看護認定看護師が、患者さんに寄り添うサポートを心掛けています。また、体外受精胚移植、顕微授精など高度生殖補助医療(ART)の場合も専属の生殖補助医療胚培養士が責任をもって受精卵をお預かりいたします。

生殖医療センター先進医療は保険診療との併用が認められているもので、先進医療にかかる部分の費用だけが自己負担となり、他の費用は保険診療が適用されるため、受診しやすくなっています。先進医療は厚生労働大臣が定めた施設基準に該当する医療機関のみ実施することができ、関西医科大学附属病院・総合医療センターも先進医療を実施しています。

体内での受精が困難な患者さんの卵子や精子を体外に取り出し、体外で受精させる技術をART(生殖補助医療技術、Assisted Reproductive Technology)と言います。これは1)体外受精(IVF)、2)顕微授精法(ICSI)、3)胚移植(ET)、4)ヒト卵子・胚の凍結保存ならびに凍結胚移植等の技術の総称。

高度生殖補助医療(ART)

不妊治療

出生前診断 無痛分娩

重度肥満

回復期ケア 心臓病回復リハビリ 脳卒中回復リハビリ

リハビリ一般 内視鏡手術心臓発作

希少がん

がん一般

※入院料などその他費用は別途かかります。

総合医療センター

附属病院

附属病院

附属病院

附属病院

附属病院

附属病院

E X A M P L E E X A M P L E E X A M P L E E X A M P L E

関西医科大学グループの診療力

その他にも その他にも その他にも

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関 西 医 科 大 学 と 地 域 を つ な ぐ 連 携 誌 つ な ぐ

くずは病院TEL 072-809-0005(代)〒573-1121 大阪府枚方市楠葉花園町4番1号

香里病院TEL 072-832-5321(代)〒572-8551 大阪府寝屋川市香里本通町8番45号

総合医療センターTEL 06-6992-1001(代)〒570-8507 大阪府守口市文園町10番15号

附属病院TEL 072-804-0101(代)〒573-1191 大阪府枚方市新町2丁目3番1号

いつでも頼れるホスピタル 関 西 医 大 の ポ テンシャル

地域の先生方とともに歩み、ともに生きる関西医大

どんな領域、どんな分野でも、私たちが対応いたします

最先端・高度先進医療を、安全に安心の医療へ

 担当医だけでなく、患者さんを取り巻く医療職者全員が協力して診療に当たるチーム医療。しかし、そのチームには地域の先生方が欠かせません。超急性期・急性期を脱した患者さんが療養・回復していく過程において、地域の先生方の力が必要不可欠。本学はこれからも、附属医療機関と地域の先生方のチームワークを最大限高めるための努力を惜しみません。

患者さんの紹介と逆紹介

地域の先生方とともに、チームとして診療しています

関西医科大学では患者さん一人ひとりの疾患に合わせた最適な医療を提供すべく、センター化によるチーム医療を推進しています。例えば12床の冠動脈疾患集中治療室を持つハートセンターでは上記のように医師・看護師以外に複数の職種が連携し、心疾患へのトータルケアを行っています。

患者さんのご紹介右記、地域医療連携窓口までご連絡ください

1

1

3

2

関西医大の診療最先端で、安心の高度医療をご提供します

2治療後の逆紹介地域の先生方と、一緒にフォローします

3

●心不全外来●生活指導●心不全指導

循環器内科医師●診療・外来●心臓カテーテル●TAVI 心臓血管外来医師

●診療・外来●心疾患手術

●急性期への対応

管理栄養士●栄養指導●減塩指導●入院食での管理

●外来心臓リハビリ●再発予防

運動指導士

薬剤師

●服薬指導●病棟での服薬教室開催

患者さん

臨床工学技師●生命維持装置等臨床技術の提供●カテーテル等立会い

地域医療連携窓口

北河内医療圏の最後の砦として、また頼れるパートナーとして、関西医大グループは先生方とともに最良の医療を目指します

慢性心不全看護認定看護師

紹介

逆紹介

どんな症例も、私たちにお任せください。豊富な経験と実績を誇る医師とコメディカルが、最適な診療をご提供します。

共存共栄のパートナーとして、関西医大は地域の先生方と手に手を取り合ってこれからも診療活動に邁進していきます。

循環器系、臓器系、運動器、感覚器系、神経系、免疫系…すべての領域・分野においてプロフェッショナルをご用意しています。

関西医科大学グループは、いつでも頼れるホスピタルとして地域の先生方とともに歩みます。

KMUなら チーム医療の充実

ハートセンターの取り組み

救急医学科医師

患者さん

地域の医療機関

関西医科大学グループ

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消化管外科

関 西 医 科 大 学 と 地 域 を つ な ぐ 連 携 誌 つ な ぐ

Outpatient service

Profile

肝臓外科 運動療法外来診療科長 診療教授

海堀 昌樹

略歴1993年 関西医科大学卒業2006年 関西医科大学附属病院助教2011年 関西医科大学附属病院講師2012年 関西医科大学附属病院准教授現在に至る

日本外科学会専門医・指導医日本消化器外科学会専門医・指導医日本内視鏡外科学会技術認定医

Profile

Profile

消化管外科 准教授

井上 健太郎重度肥満・糖尿病症例は…

肝がんの疑い症例は…肝臓外科

Outpatient service

インスリン抵抗性指数

略歴1991年 関西医科大学 卒業1997年 関西医科大学大学院 医学研究科博士課程修了1993年 関西医科大学附属香里病院外科助手1997年 京都大学医学部移植外科国内留学1999年 関西医科大学附属香里病院麻酔科研究医員2006年 関西医科大学外科学第1外科助手2003年 関西医科大学外科助手2007年 関西医科大学外科助教2009年 関西医科大学外科講師 2013年 関西医科大学外科准教授2015年 関西医科大学次世代低侵襲外科 治療学講座(寄附講座) 併任教授2015年 関西医科大学臨床研究支援センター副センター長2015年 関西医科大学附属枚方病院 がんセンター研究部門部門長2016年 千葉大学フロンティア医工学センター 特別研究准教授2018年 関西医科大学外科診療教授現職関西医科大学 外科学講座 診療教授関西医科大学 外科学講座 研究医長関西医科大学 次世代低侵襲外科 治療学講座(寄附講座)併任教授関西医科大学 臨床研究支援センター 副センター長・研究計画管理部門長

消化器外科

かつては肝癌の術後患者に運

動療法を加える是非については

一切考えられることがありません

でした。ところが、10年前より当

院では肝癌患者に対しても健康

運動指導士が個々にあった運動

プログラムを提供。積極的に身

体を動かすことによって術後の

体力回復や体力維持を可能と

させる研究を行ってきた結果、予

後に見受けられる良い兆しは数

値の上でも明らかとなり、近年

では障害肝合併肝癌患者に対

する運動・栄養療法を組み合わ

せた包括的リハビリテーションが

注目を集めています。再発リスク

の指標となるインスリン抵抗性

の値を例に見ると、定期的な運

動をした場合と栄養量法のみの

場合とで比較したところ、前者

では正常値を示すことが多く、

再発率も下がりました。ほかに

も「術後入院期間の短縮」「術

後6ヶ月での体組成の有意な

減少」「インスリン抵抗性指数の

有意な低下」も得ることができ、

運動療法の継続によって術後

肝癌再発が減少する傾向を見

出すことができたと言えるで

しょう。今後、外科系横断的な

チーム医療として周術期運動療

法の導入を行い、関西医大オリ

ジナルとしての「インスリン抵抗

よりみた癌再発抑制」に対する

取り組みを実践してまいります。

運動療法×食事療法の有効性を実証し肝癌患者の治療と体力改善に役立てて行く運動療法×食事療法の有効性を実証し

肝癌患者の治療と体力改善に役立てて行く

肥満・糖尿病の改善に期待高まる

外科アプローチの普及に尽力

肥満・糖尿病の改善に期待高まる

外科アプローチの普及に尽力

関西医科大学附属病院 外来診療のご紹介関西医科大学附属病院 消化管外科 肥満・糖尿病手術のご紹介

当院では特殊外来として、専

門性の高い疾患に対して専門の

医師が診療を行っております。

その1つに肥満外来があります。

肥満とその合併症である糖尿

病の治療や改善を試みる外科

的アプローチの1つとして、私が

専門とするのは「腹腔鏡下ス

リーブ状胃切除術」です。胃を

細くすることで食べる量が減る

だけでなく、胃から出るグレリ

ン(食欲を増進させるホルモン)

を取り除くこともできます。日

本ではまだまだ薬物療法が主

流ですが、海外ではいち早く手

術による治療へとシフトしてい

ます。最初の症例はスウェーデン

で、胃ではなく小腸の切除でし

たが、術後の予後は良好で、術

前より元気も出て腸の機能も

回復したという報告があります。

その後もいろいろな手術が行わ

れてきましたが、現在もっとも

多く行われているのが先述した

スリーブ手術です。

BMI35という基準や糖尿

病や高血圧などのいずれかの症

状がある患者さんに限定されま

すが、当院を含む一部の病院で

は保険も適応されています。糖

尿病の治療として「投薬」「バイ

パス手術」「スリーブ手術」を比

較したところ、外科処置を行え

ばインスリン使用を止めること

ができBMI、HbA1c数値

ともに下がる効果も出ています。

海外で推奨されているだけでな

く、今後は日本でも広がっていく

ものと想定されています。関西

医科大学ではいち早く2012

年より肥満手術をスタートし、

2019年2月までに57名の

方に手術を受けて頂いています。

手術に栄養指導、運動療法、カ

ウンセリングも組み合わせた多職

種チーム体制で患者さんの生活

習慣病の改善に取り組んでいま

す。減量や生活習慣病でお悩み

の患者さんがいらっしゃいました

ら、ご紹介をお待ちしています。

関西医科大学附属病院 地域医療連携部病診連携課

紹介地 域 の医療機関から予約

初診患者さんの状況を診断

治療手術、化学療法、放射線など

包括的リハビリ栄養療法、運動療法を組み合わせた再発防止プログラム

逆紹介地域の先生にお返しします

関西医科大学附属病院 地域医療連携部病診連携課

紹介地 域 の医療機関から予約

外科的治療腹腔鏡下スリーブ状胃切除術

内科的治療インスリン療法など

栄養指導・運動療法・カウンセリング

食事指導と運動プログラム、心理学的アプローチを組み合わせたケアを提供

初診患者さんの状況を診断

逆紹介地域の先生にお返しします

08 07

072-804-2742

072-804-2742

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関 西 医 科 大 学 と 地 域 を つ な ぐ 連 携 誌 つ な ぐ

略歴1981年 関西医科大学卒業1988年 関西医科大学大学院医学博士取得1988年 米国コネチカット大学留学1989年 カナダトロント大学留学1991年 大阪簡易保険総合健診センター内科医長1997年 関西医科大学第2内科 講師2002年 同助教授2006年 同附属病院健康科学センター長2009年 同健康科学科教授 現在に至る循環器、肥満、抗加齢医学専門医、健康スポーツ医

EndeavorNew professor

Profile

健康科学センター診療科長 教授

木村 穣

略歴 1989年 川崎医科大学卒業 1991年 川崎医科大学大学院 医学研究科(微生物学教室)入学 1995年 川崎医科大学大学院 医学研究科博士課程修了 1995年 川崎医科大学 呼吸器内科学教室臨床助手 1997年 米国ワシントン大学 病原微生物学教室研究員 1998年 川崎医科大学 呼吸器内科学教室講師 2011年 川崎医科大学 総合内科学1学教室准教授  2019年 関西医科大学 内科学第一講座 呼吸器・感染症内科担当診療教授

Profile

呼吸器・感染症内科 科長・診療教授

宮下 修行

呼吸器・感染症内科

健康科学センター

当科では、気管支喘息や慢性

閉塞性肺疾患(COPD)など

の換気異常をきたす疾患、肺炎

や結核などの感染症、間質性肺

炎などのびまん性肺疾患といっ

た呼吸器(肺)に関する診療に力

をいれています。呼吸器の病状と

して代表的な「

咳や痰」

はありふ

れた症状であるがゆえに悩まれ

ている方も多く、医療機関を

転々とされるケースも珍しくあ

りません。咳=

風邪と軽視されが

ちですが、背後には重篤な病気

や感染症などが隠れていること

もあります。赴任まもない印象

としては、北河内には呼吸器専

門医は少ないと感じています。治

療や診断に窮する場合には、日

本呼吸器学会に在籍し咳嗽ガイ

ドラインにも精通した当科医師

が有する専門知識や、高度な設

備を役立てていただければ幸い

です。症状の緩和や改善へと導い

た上で、患者さんの健康的な日

常生活を支える地域医療へと引

き継いでまいります。

大学附属病院の果たす役割は

大きく3つ、【教育】【研究】【臨

床】です。「

教育」

とは学生にのみ

当てはまることではありません。

ガイドラインとなる標準的な治

療を広め、地域と連携していく

役割も担っています。こうした地

域連携を深める上で欠かせない

のが、地域の先生方とフェイス

トゥフェイスで交流する機会を増

やし、互いの専門性やなすべきこ

と共有しながら、信頼関係を築い

ていくことだと考えています。か

つてのように受け身の姿勢では

出会いも繋がりも生じないことか

ら、積極的に機会や場を設けてい

きたい考えです。すべては地域の

患者さんの健康への寄与と地域

医療の発展を目指して、互いの知

見やネットワークを役立てていき

たいと願っております。

健康科学センターでは、さまざ

まな病気の引き金となり得る生

活習慣病はじめ、患者さん1人

ひとりの背景と複雑にからみあっ

た症例に対応することが多く、

幅広い専門性が求められていま

す。そのため各種専門医のみな

らず、運動、栄養、心理職の専門

スタッフや臨床検査技師を配備

すると同時に、院内の各科の専

門医や地域の先生とも情報連

携を行いながら、治療と予防に

取り組んでいます。

地域の方々との連携の1つとし

て、先日行われた「

症例検討会」

挙げられます。外科処置や服薬

指導だけでは改善が難しいサルコ

ペニアや肥満、大動脈解離といっ

た症例を取り上げ、食事療法と

運動療法、場合によっては臨床心

理士によるカウンセリング、患者

さんの生活に関わりのある地域

のフィットネストレーナーも加え

てサポートを行い、健康へと導い

た症例をご報告しました。

すでに道は開かれ、シフトしつ

つありますが、会を通じて改めて

浮き彫りとなったことは、当院と

地域のドクターが連携するのは

もちろんのこと、患者さんの日常

生活に関連のある専門多職種と

の連携が欠かせないということ。

健康科学センターが要となり、

必要な医療情報が分断されるこ

となく共有されるよう、連携を

深めていかなければなりません。

医療の先進性を追求することも

大切ですが、こうした症例検討

会に加えてコメディカル対象の勉

強会も継続していきながら、互い

の意志疎通、情報共有、レベル

アップを促していきたいと考えて

います。

地域や

コメディカルとの

連携強化を図り

患者さんを

全力でサポート

地域や

コメディカルとの

連携強化を図り

患者さんを

全力でサポート

関西医科大学附属病院 取り組み紹介関西医科大学附属病院 新教授に聞く 咳嗽の専門医が有する知見を地域に還元

信頼と連携で確かな医療を提供していく

症例検討会の様子 健康科学センター運動指導医による講演

10 09

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関 西 医 科 大 学 と 地 域 を つ な ぐ 連 携 誌 つ な ぐ

略歴1987年 京都大学医学部卒業1990年 和歌山赤十字病院医師採用1997年 Neuroimmunology Branch,National Institutes of Health (ベセスダ、米国)において研究に従事1999年 国立精神神経センター神経研究所 免疫研究部組織培養室室長採用2005年 国立病院機構 長崎医療センター臨床研究部長2007年 長崎大学大学院医歯薬総合研究科 分子神経学講座教授(併任)2014年 京都大学医学部附属病院 地域ネットワーク医療部准教授2016年 関西医科大学総合医療センター神経内科診療教授(現職)【学会評議員等役職】神経免疫学会評議員、日本神経学会代議員、日本認知症学会専門医試験作成委員・症例レポート審査員、独立行政法人医薬品医療機器総合機構専門委員

Speciality serviceOutpatient service

略歴1993年 徳島大学医学部 卒業1996年 大学院医学研究科博士課程修了徳島県立中央病院、高知赤十字病院等にて勤務、新潟手の外科研究所 国内留学、上肢の外科(Postdoctoral fellow) イタリア フランス スペイン ドイツ 埼玉手外科研究所、長野新生病院、小郡中央病院にて研修

2006年 鳴門病院整形外科・手 外科センター長2013年 日本手外科学会・米国手外科学会トラベリングフェロー 渡米

Profile

手外科センター センター長

浜田 佳孝

Profile

神経内科 診療科長・教授

近藤 誉之

歩行障害などパーキンソン病疑い症例は… 重度手指拘縮症例は…

手外科センター

症例は、7年前に2回手術を受けて小指

PIP関節が直角に曲がって動かなく

なった例です。生活動作に邪魔になってい

たが、諦めていたそうです。

手外科センター転ばぬ先の杖外来

当センターは昨年の開設以来

手足とくに上肢の疾患・障害の

機能及び外観の回復・改善に特

化した診療体制を整え、精度の

高い治療を行ってきました。地域

の患者さんに顕著な症状には手

のしびれや痛み(手根管症候群)、

腱鞘炎といったコモンディジーズか

ら、手指変形性関節症、ガングリ

オン、微小骨折、テニス肘などが

見受けられ、なかには特殊な治療

を要するものもあります。一例を

挙げるなら、手指の拘縮に対す

る創外固定治療(サージカルリハ

ビリテーション)。保険適用になっ

てまだ新しいものですが私は10年

ほど前から取り組んでおり、独自

の矯正法も生み出すなど、この分

野の第一人者であると自負してい

ます。わずかでも関節が残ってい

れば手指を動かせるまでに改善

可能です。本学には手の先天性

異常や肘の障がい、指の人工関節

分野においてワールドリーディング

と評される先生が存在し、従来

では不可能だった治療も可能で

きるのが当センターの強みです。

コモンディジーズから難病まで対応し手術以外の選択肢も幅広く提案可能コモンディジーズから難病まで対応し手術以外の選択肢も幅広く提案可能

関西医科大学総合医療センター 手外科センター関西医科大学総合医療センター 転ばぬ先の杖外来

神経難病にかかると骨格系

に異常をきたし歩行に悪影響

が出て転倒しやすい傾向があり

ます。本人も「歩きづらい」「つ

まづきやすくなった」と感じな

がらも「膝が悪いせいだ」「歳だ

から仕方ない」と、老化によるも

のだと諦めがち。そんな状況に

危惧を感じた前院長が「転ばぬ

先の杖」と命名した当科では、

神経疾患のなかでもっとも罹患

者の多い難病であるパーキンソ

ン病の早期発見に繋がるさまざ

まな取り組み(スクリーニング)

を行っています。アンケート実施

もその一例ですが、回診中に気

になる患者さんを見かけたら当

外来へとご案内もしています。

かつては振戦麻痺と呼ばれたよ

うに、特徴的な症状である「震

え」があれば患者さん本人もお

かしいと気づき、来院されます

が、中には震えのないケースもあ

ります。震えがなくても、歩行

障害や動作緩慢、「変な夢を見

る」「臭いが分からない」「便秘」

などの症状を訴える患者さん

がいたらパーキンソン病を疑い、

当科への早期診断と治療を促

してください。早期であれば劇

的に生活能力が回復するのも、

老化との違いです。

老化に似た症状の陰には、病が潜む可能性もあり

早期診断と治療で活動的な生活を取り戻す

難治性手指関節拘縮に対する指用創外固定器を用いたリハビリ治療

6か月経過で軽度再燃も、改善!

1

2

軽度の拘縮なら下記の女性の手に小さく収まる創外固定も。

手指変形性関節に

対する指用人工関

節を用いた治療例

関西医科大学総合医療センター 地域医療連携部

紹介地域医療連 携 部

例)サージカルリハビリテーション保険適用となって日の浅い創外固定治療による重度の手指拘縮治療を提供

経過観察再燃を防ぐための予後ケアを実施

初診患者さんの状況を診断

逆紹介地域の先生にお返しします

紹介地域医療連 携 部

治療投薬を中心とした最適な治療を提供

リハビリ運動機能の回復を目的としたリハビリ治療

スクリーニング関西医大オリジナルのチェックシートと専門医の診察、各種検査結果に基づいて、早期発見

12 11

06-6993-9444

主訴の例動作緩慢、手が震える、変な夢を見る、匂いがわからない、便秘がひどい、歩行困難

関西医科大学総合医療センター 地域医療連携部 06-6993-9444

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関 西 医 科 大 学 と 地 域 を つ な ぐ 連 携 誌 つ な ぐ

略歴2010年 関西医科大学卒業2010年 愛仁会千船病院初期研修2012年 関西医科大学附属病院 腎泌尿器外科 入局2013年 関西医科大学香里病院 腎泌尿器外科 助教2014年 済生会野江病院 腎泌尿器科 出向2016年 関西医科大学附属病院 腎泌尿器外科 助教2018年 関西医科大学香里病院 腎泌尿器外科 医長・助教

EndeavorInterview

Profile

腎泌尿器外科 医長・助教

小糸 悠也

血管疾患の疑い症例は…

腎泌尿器外科

略歴1985年 和歌山県立医科大学卒業 和歌山県立医科大学附属病院診療医1987年 国立循環器病センター レジデント1990年 和歌山県立医科大学助手1991年 英国 Institute of Child Health 留学1992年 英国 The Hospitals for Sick Children, Registrar1993年 和歌山県立医科大学 助手1999年 同 講師2002年 済生会和歌山病院 医師,和歌山県立医科大学非常勤講師2006年 同 心臓血管外科部長2008年 東京医科大学講師2010年 同 准教授2011年 同 准教授(八王子医療センター心臓血管外科)2013年 関西医科大学教授、末梢血管外科部長、血管内治療センター長 (東京医科大学 外科学第二講座 兼任教授)2016年 関西医科大学教授(外科学講座)、 総合医療センター血管外科部長、 血管内治療センター長(病院名、科名変更にともなう)2018年 関西医科大学教授(心臓血管外科学講座)、 総合医療センター血管外科部長、 血管内治療センター長(所属講座変更にともなう)【加入学会】日本外科学会、日本循環器学会、日本血管外科学会、日本心臓血管外科学会、日本脈管学会、日本静脈学会、日本臨床外科学会、日本フットケア学会、日本下肢救済足病学会、日本リンパ浮腫治療学会、Society for Vascular Surgery、European Society for Vascular Surgery

Profile

血管外科 診療科長・教授

駒井 宏好

公開講座を通じて、市民の皆様の腎臓への関心を高め、病状への気づきや来院に繋がることを目指しています。

血管外科

関西医科大学総合医療センター 地域医療連携部

紹介地域医療連 携 部

治療結果を踏まえ、予防・診断・投薬治療・外科手術・低侵襲血管内治療など、最適な対応を選択

スクリーニング独自の「統一血管病早期発見プログラム」を運用し、全身の血管状態をスクリーニング

逆紹介地域の先生にお返しします

06-6993-9444

日本では心臓血管外科と言

えばまだまだ心臓が中心ですが、

欧米では「心臓外科」と「血管

外科」が分かれているのが主流

です。日本全国に80ある大学医

学部の中で血管外科が設けら

れているのはたったの5つで、そ

のほとんどは東海以北でした。

関西医科大学では2013

年に西日本ではじめて血管外科

を立ち上げて以来、全身の動脈、

静脈、リンパ管の内科的、外科

的治療を行ってきました。現在

も西日本で唯一、血管疾患を診

療できる外科を標榜しています。

血管病は軽いうちは見過ごされ、

重症になってからでは時すでに

遅しであるため、開業医の先生

方が診て軽微でも気になること

があれば来院を促していただけ

るよう、また重症患者さんに

とっても最後の砦となるべく尽

増え続ける

動脈硬化症を

起因とする

血管病から

患者さんを守る!

増え続ける

動脈硬化症を

起因とする

血管病から

患者さんを守る!

関西医科大学総合医療センター 血管外科の取り組み関西医科大学香里病院 新医長に聞く

2018年4月より、新医長

として香里病院に着任いたしま

した。排尿障害、泌尿器科癌、尿

路結石を専門に、前任の附属病

院では腎移植に取り組んでまい

りました。医者になって10年とい

う節目に、手術や治療だけでな

くマネジメントを任されることと

なり、それまでの附属病院で培っ

た経験に加えて新たなキャリア

を重ねていきたい考えです。

腎泌尿器外科では尿路・生殖

器・副腎など後腹膜に生じる疾

患に対しての臨床部門です。

御高齢な患者さんも多い部門

であり、侵襲の大きい外科的アプ

ローチにこだわらず、ポリファーマ

シーや総抗コリン負荷(total

anti‐cholinergic load

)に注意し

ながらの内科的アプローチや適切

な生活指導を心がけた診療を

行っております。

また手術実績も豊富であり、

男性であれば前立腺肥大では年

間40〜50例と大阪府下でも多い

と言えるでしょう。結石手術に関

しては手術器械を刷新すること

で合併症発症率も低くなり、手

術時間の短縮も進んでいます。今

後も患者さんの負担を減らすこ

とを最優先に、質を重視した診

療を心がけることはもちろんの

こと、さらに多くの手術に取り組

んでいきたいと考えています。

がん検診に尽力している地域柄

を受けて、来院行動の喚起や病状

の気づきに繋がっていると感じま

す。地域連携の会などの集まりも

通じて開業医の先生との接点を

増やし、治療や診断に困ったとき

には真っ先に頼っていただける信

頼関係を築いていければ幸いです。

「垣根は低く」診療は手厚く!

附属病院の実績と技術を地域へ

力しています。例えば、患者さん

の来院をただ待つのではなく、

医局員が分担で各地の病院を

回り、外来で地域の相談を受け

る活動もその1つ。普通の病院

では、糖尿の患者さんの足に治

りにくい傷があったとしても、糖

尿病専門医は血糖コントロール

に専念するだけ、眼科医も足ま

では診ないため発見されません。

当院であれば血管外科主導の

フットケアチームが存在し、どん

な疾病で来院されたとしても、

気になる患者さんに対しては看

護師が足先までスクリーニング

しています。結果はチームや医

師にフィードバックされ必要な

治療が行われるので安心です。

こうした組織的な取り組みに

ついては全国の講演会などで発

表しており、高い評価を受けてい

ます。

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関 西 医 科 大 学 と 地 域 を つ な ぐ 連 携 誌 つ な ぐ

略歴2000年 関西医科大学卒業 関西医科大学附属滝井病院 外科入局2002年 大阪赤十字病院出向2004年 関西医科大学附属滝井病院 外科 医員2006年 関西医科大学附属枚方病院 外科 専修医2007年 関西医科大学附属滝井病院 外科 専修医 関西医科大学附属滝井病院 外科 研究医員2011年 関西医科大学大学院博士課程単位取得 関西医科大学附属枚方病院 外科 病院助教 関西医科大学香里病院 外科 助教2018年 関西医科大学香里病院 外科 助教・乳腺外科医長 関西医科大学香里病院 外科 診療講師・乳腺外科医長

InterviewSpecialist

Profile

乳腺外科 医長・診療講師

兼松 清果

略歴1991年 関西医科大学附属滝井病院 入職2010年 関西医科大学香里病院 勤務

Profile

臨床検査部技師長

田中 敬一朗

臨床検査部

日本における女性の乳がんの発

症率は12人に1人になります。生

涯で2人に1人が何らかの悪性疾

患に罹患する今日では、それほど

多く感じないかもしれません。ただ、

乳がんに罹患する年齢のピークが

40代後半から60代であることは、

注目すべき点です。子育て真っ只

中であることも少なくないのです。

しかし、90%以上の早期乳がん

は治療で治癒します。早期発見、

早期治療であればあるほど、治療

による体への負担・治療費・治療期

間が少なくなります。乳房の異常

に気づいたら、早く受診して頂くよ

うにお願いします。働く女性も受

診しやすい、夕診(17時から19時)

を月曜日・水曜日・木曜日に行って

おります。また、早期発見の為には、

症状が出現する前に乳がんを発見

する…乳がん検診の受診をすすめ

ることも大切です。当院は、寝屋

川市の乳がん検診に毎年参加して

おりますが、今年から四條畷市の

乳がん検診も受け入れることにな

りました。まさに、「京阪沿線は健

康沿線®」となるように、当院で

出来ることを地域の皆様に提供し

ていきたいと思っております。

当院乳腺外科は、女性医師2名

が中心になり治療を行っておりま

す。また、マンモグラフィーや乳腺エ

コーの検査は、女性技師が担当し

ており、女性が受診しやすい環境

を整えております。4月から専門

医が着任し、乳房再建にも力を入

れていく考えです。

放射線治療のみ提携病院での

施行となりますが、手術、化学療

法などの乳がん治療は当院で可能

です。香里園駅徒歩1分で、治療

中の通院にも便利です。地域の皆

様に寄り添う地域医療を心掛け

ておりますが、さらに不安なく安

心して受診して頂けるよう努力を

続けていきたいと思います。

手術から乳房再建まで対応し 患者さんの不安を最小限化

関西医科大学香里病院 新医長に聞く関西医科大学香里病院 臨床検査部

検査技師とは

その名の通り、検査を専門と

する技能者のことで、国家資格

を有します。診断を下し、治療

を行うのは医師の役目ですが、

その判断基準や根拠となる患

者さんの状態を検査し、数値化

(データ)して異変を示すのが臨

床検査技師の仕事です。技師が

提供するデータは病気の予防

や早期発見にも欠かせないもの

であり、高齢化社会である今、

健康診断や人間ドッグなど、活

躍の場は増えています。患者さ

んに最適な医療を提供する為

に欠かせない現代のチーム医療

にも貢献しています。

当院の特色について

附属病院のサテライトとして

スタートした香里病院は、大学

附属病院の関連病院としての

顔と地域密着病院としての顔

を併せ持つ点が特色です。いろ

いろな症状を訴える患者さんに

しっかりと対応していく為には、

小回りのきく検査が求められて

いると感じます。そのひとつが、

臨床検査の夕診対応。夕診時

でも検査が必要とされた場合、

当日中に対応できる病院はあ

まり多くないと思います。確か

に午前診に比べれば検査できる

項目は減りますが、改めて予約

を取る必要もなく、外来と連

携して当日中に検査できるの

で、後日再来院を促すといった

負担を患者さんに強いることが

少ないです。通常かなり時間が

かかるめまいの検査についても、

当院では当日中に対応していま

す。当院の特色のひとつである

乳腺外来に対しても、乳腺エ

コーの充実を図っております。

強みを生かし地域連携

通常、地域の医療機関では

トレッドミルや下肢静脈検査を

どこでも行える訳ではありませ

んが、当院では対応可能です。

技師はあくまで〝黒子〞ですが常

にレベルアップを図り、待ち時間

待ち時間の解消など

患者さん思いの検査体制

を短縮するなど、患者さんの負

担を解消し「診てもらってよかっ

た」と思われる病院を目指し、

一人一人の患者さんを大切にして

いきたいと考えています。

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関 西 医 科 大 学 と 地 域 を つ な ぐ 連 携 誌 つ な ぐ

InterviewEndoscope

略歴2008年 関西医科大学卒業2010年 市立岸和田市民病院 関西医科大学香里病院 関西医科大学附属滝井病院2011年 洛西ニュータウン病院2013年 関西医科大学香里病院2018年 関西医科大学くずは病院 整形外科 関西医科大学くずは病院 整形外科部長就任

Profile

整形外科部長

玉井 辰弥

略歴2012年 関西医科大学卒業2014年 関西医科大学整形外科学教室2015年 独立行政法人 地域医療機能推進機構滋賀病院2017年 関西医科大学香里病院2018年 関西医科大学くずは病院 整形外科

Profile

整形外科

平田 將之

玉井医師

玉井医師

平田医師

平田医師

これまでは回復期ケアに特化

していた柏友会楠葉病院が

2018年1月から関西医科

大学くずは病院としてスタート

したことを受け、赴任してまいり

ました。私はこれまで数多くの先

生に師事してきた経緯から、一般

的な外傷から関節外科まで幅広

い領域を専門とし、今後は当院で

治療から手術まで集約して取り

組んでいけるように現在、尽力し

ている最中です。高齢化社会を

迎えていることを受け、脊椎の症

状や、膝・股関節などに加齢によ

る傷病を訴える患者さんが多く

存在します。当院で「手術から

入院加療まで対応できる」ことが

まだまだ周知されていない現状を

打破するためにも、着実に地域と

信頼関係を深めていきながら、楠

葉から枚方地区全域の病診連携

を進めていきたい考えです。

関西医科大学附属病院の整

形外科では主に股関節疾患を

専門に診療していましたが、

2018年4月より、玉井先

生と共に新たなスタートを切っ

た関西医科大学くずは病院の

整形外科を盛り立てていく任

を受けています。柏友会楠葉病

院時代にはなかった手術から、

術後のリハビリまでを当院で

トータルに請け負ったあと、地域

の主治医と連携しながら、その

後の生活に不安や支障のない

ように回復を促し、患者さんの

ケアとサポートを行なっていき

たい考えです。現在2人の専門

医が在籍していますので、急を

要する疾患にもフレキシブルに

対応可能です。一般的な外傷骨

折はもちろん圧迫骨折や保存

的加療での入院が必要な患者

さんについてもぜひ当院へご相

談ください。

地域と繋がる機会を増やし

連携を深めていきたい

地域と繋がる機会を増やし

連携を深めていきたい

急な手術も対応可能

まずはご相談ください!

急な手術も対応可能

まずはご相談ください!

くずは病院 整形外科 新任医師紹介天満橋総合クリニック 変革が迫られている総合健診

院長 

浦上

昌也

社会構造の変化や医療技術

の革新に直面し、総合健診セン

ターも大きな変革を求められて

います。新しい医療技術を積極

的に導入し、個別化された健診

(テーラーメイドの健診)をさらに

進化させる必要があります。

人間ドック学会は「症候発現

まえの疾患を早期発見すること

ばかりでなく、その疾患が発症

しないように予防することに主

眼が置かれなければならない」と

の方針を表明しています。当ク

リニックの目標は、以前より単な

る健診機関に終わることなく、

疾病のリスク評価、早期発見か

ら病気の予防のための治療、さ

らに健康増進プログラムも取り

込んだ予防医療センターになる

ことと定めて行動してきました

が、今後さらにスピードを上げて

ゆきたいと考えています。

天満橋総合クリニックは内視

鏡検査体制を強化します。

従来、胃がん検診は上部消化

管透視検査と内視鏡検査で

行ってきましたが、近年内視鏡

検査の希望者が急増しています。

経鼻内視鏡検査の普及で、内視

鏡検査に対する抵抗感が軽減し

てきたことが一因と思われます。

また、胃がんとピロリ菌感染のあ

いだに明らかな因果関係が認め

られてから、胃がんリスク層別化

検査(ABC分類)などによるピ

ロリ菌検査が普及し、その結果ピ

ロリ菌陽性者に対する除菌治療

が増加し、除菌前後の内視鏡検

査の需要が増した事も大きな原

因と思われます。今後もその傾向

は続くものと考えています。クリ

ニックでは、増加する内視鏡検査に

対応するために、内視鏡検査室を

増設しました。内視鏡検査医も

増員し、検査体制を強化します。

高齢者に配慮した人間ドック

健診のコースを新設します。

高齢化社会が急速に進展して

いるなか、高齢者の人間ドック健

診の受診者が増加しています。

高齢者向きの人間ドック健診の

あり方を考える必要があります。

年齢を考慮して、必要性が低い

ものを省き、健康寿命のさらな

る延伸を目的として、新たに必

要な検査を追加する必要があり

ます。高齢者に対する介護予防

を推進する観点から、フレイルや

サルコペニア、軽度認知障害

(MCI)の評価が必要になりま

す。人間ドック学会においても、

高齢者の人間ドックに関する新

たな委員会を立ち上げ検討を

開始されたようです。関連学会

の動向を注視しながら、当クリ

ニックでも新しい検査体制を立

ち上げたいと考えています。

急速に進化する医療技術を

検診の現場に導入します。

急速に進化する医療技術、なか

でもプレシジョンメディスン、リキッ

ドバイオプシーは従来のがん治療

およびがん検診のあり方を大きく

変革させる可能性があります。

がんの治療は、臨床試験を繰

り返して得られたエビデンスをも

とに作成された標準治療を基本

に行われてきましたが、近年、遺

伝情報から最適な治療法を選ぶ

プレシジョンメディシンによる

オーダーメイド治療が行われる

ようになり、より治療の有効性

と安全性を増してきました。現

在のプレシジョンメディスンがさ

らに進展した先にあるのがリキッ

ドバイオプシーです。

リキッドバイオプシーは、その

名の通り、液体(血液)による生

検という意味で、従来のがん

マーカーより正確に治療効果を

判定することができるのみなら

ず、がん検診への導入も検討さ

れています。臨床試験の結果で

大腸がんなどいくつかのがん検診

での有用性が期待されています。

さらに検討されなければならな

い問題点もありますが、検診率

の向上と早期発見のためには、

非常に重要な検査法となり得

ると確信しています。

総合健診センター

今年11月1日に旧OMMメディカルセンター開院より50周年を迎えます。

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香里病院

総合医療センター 附属病院

千里中央

新大阪

大阪空港大阪モノレール

JR京都線

JR大阪環状線

新幹線

)線筋堂御(鉄下地

JR阪和線

至和歌山

至新神戸新幹線 至名古屋

至大津

至出町柳

至神戸近鉄京都線

京阪本線

樟葉

地下鉄(谷町線)太子橋今市

関西空港

大日

守口市

門真市滝井

香里園淀屋橋

天王寺

大阪

枚方市

京都

丹波橋

京橋天満橋

JR在来線京阪本線地下鉄御堂筋線

近鉄京都線大阪モノレールリムジンバス

地下鉄谷町線

天満橋総合クリニック

くずは病院

関西医科大学 地域医療センター

■ 関西医科大学附属病院TEL.072-804-0101(代)http://www.kmu.ac.jp/hirakata/〒573-1191 大阪府枚方市新町2-3-1 地域医療連携部 病診連携課(地域医療センター事務局)

TEL.072-804-2742 FAX.072-804-2861

■ 関西医科大学総合医療センターTEL.06-6992-1001(代)http://www.kmu.ac.jp/takii/〒570-8507 大阪府守口市文園町10-15 地域医療連携部 病診連携課

TEL.06-6993-9444 FAX.06-6993-9488

■ 関西医科大学香里病院TEL.072-832-5321(代)http://www.kmu.ac.jp/kori/〒572-8551 大阪府寝屋川市香里本通町8-45地域医療連携部 病診連携係

TEL.072-832-9977 FAX.072-832-9988

■ 関西医科大学くずは病院TEL.072-809-0005(代)http://www.kuzuhahp.com〒573-1121 大阪府枚方市楠葉花園町4-1地域医療連携課

TEL.072-809-0013 FAX.072-809-0022

■ 関西医科大学天満橋総合クリニックTEL.06-6943-2260(代)http://www.kmu.ac.jp/temmabashi/〒540-0008 大阪市中央区大手前1-7-31(OMMビル 3階)TEL.06-6943-2260 FAX.06-6943-9827

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