透析低血圧 メカニズム on-line hdf...on-line hdfの有効性...

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Page 1: 透析低血圧 メカニズム On-line HDF...On-line HDFの有効性 河北総合病院透析センター 篠田 俊雄 先生 透析低血圧症は愁訴のない快適な透析治療を阻害するだけでなく、長期予後を

日 時

会 場

座 長

演 者

第22回日本HDF研究会学術集会・総会教育講演

透析低血圧のメカニズムとOn-line HDFの有効性

2016年10月1日土16:50~17:50

甲府富士屋ホテル 第1会場〒400-0073 山梨県甲府市湯村3-2-30

深澤 瑞也 先生山梨大学医学部泌尿器科 包括的腎代替治療部門

篠田 俊雄 先生河北総合病院透析センター

抄録は裏面に掲載

第22回日本HDF研究会学術集会・総会 共催 :

Page 2: 透析低血圧 メカニズム On-line HDF...On-line HDFの有効性 河北総合病院透析センター 篠田 俊雄 先生 透析低血圧症は愁訴のない快適な透析治療を阻害するだけでなく、長期予後を

第22回日本HDF研究会学術大会・総会教育講演

透析低血圧のメカニズムとOn-line HDFの有効性

河北総合病院透析センター 篠田 俊雄 先生

 透析低血圧症は愁訴のない快適な透析治療を阻害するだけでなく、長期予後を悪化させる病態であり、長期透析や高齢の患者での合併が多い。透析低血圧は主として除水に伴う循環血液量の減少により生じ、その主因は血漿再充填機構(PR)の障害であり、多くの場合血圧維持機構の障害も伴っている。高齢患者では体水分量の減少や低栄養、交感神経機能低下、カテコラミン分泌低下、心機能低下により透析低血圧を発症しやすい。PRを改善すれば循環血液量が維持されやすくなるため、血圧維持機構の障害がある場合でも、血圧低下が生じにくくなる。高ナトリウム透析や血液透析濾過法(HDF)では透析中、特に開始1~2時間の血漿浸透圧低下が緩和されるため、PRが改善し透析低血圧が生じにくい。 On-line HDF、とくに前希釈法では大量の等張性置換液が直接血液中に補充されるため、血漿浸透圧の維持効果が大きい。除水分を別に考えると、HDFでは補充される置換液と同量の血漿水が濾過されるため、体内へのナトリウム(Na)負荷は一見ないように思われる。しかし、実際には濾過される血漿水のNa濃度は、透析膜非透過性陰イオンであるアルブミンの影響により血漿Na濃度よりも低くなる(Gibbs-Donnan効果)。このため、この濃度差に置換液量を掛けた量のNaが血漿分画に補充されていることになる。血漿Na濃度の上昇がみられないのは、間質や細胞内分画から血漿分画への自由水移動により修飾されているためであり、浸透圧によるPR促進の証左と考えられる。したがって、HDFでは除水量を増加しても、血漿分画外からの水分移動の促進により循環血漿量が維持されやすくなる。 On-line HDFのうち前希釈法は後希釈法にくらべて置換液量が多いため、体内へのNa負荷の増大を懸念する意見がある。しかし、前希釈法では置換液補充後に血漿水の濾過が行われるため、後希釈法にくらべ血清アルブミンの影響を受けにくく濾過血漿水のNa濃度低下が縮小する。両希釈法におけるNa負荷量の比較は今後の検討課題といえるが、臨床的実証は困難と思われる。

第22回日本HDF研究会学術大会・総会 共催 :

第22回日本HDF研究会学術集会・総会教育講演

第22回日本HDF研究会学術集会・総会 共催 :

2016.8-1411