天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景...

36
宇宙物理学概論 宇宙物理学概論 2005/2/3 2005/2/3 大阪大学大学院理学研究科 大阪大学大学院理学研究科 林田 林田

Upload: others

Post on 07-Jul-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

宇宙物理学概論宇宙物理学概論2005/2/32005/2/3

大阪大学大学院理学研究科大阪大学大学院理学研究科

林田林田 清清

Page 2: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

重力レンズ効果重力レンズ効果

遠方の天体からの光が観測者に届く経路で、別の天体遠方の天体からの光が観測者に届く経路で、別の天体の側を通過する際、経路を曲げられる(一般相対論的の側を通過する際、経路を曲げられる(一般相対論的効果の一種)効果の一種)

条件によっては光源の天体に対して複数の像が観測さ条件によっては光源の天体に対して複数の像が観測される。れる。 あるいは、光の強度が増強される。あるいは、光の強度が増強される。

重力レンズとして働く天体

観測される重力レンズ像

光源の天体

観測される重力レンズ像

観測者

Page 3: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

観測されている重力レンズ現象観測されている重力レンズ現象

CLCL0024+1654の例0024+1654の例光源:遠方の銀河光源:遠方の銀河重力レンズ:銀河団重力レンズ:銀河団

HSTによる画像 NASA/STScI提供

PG1115+080PG1115+080の例の例光源:クェーサー光源:クェーサー

重力レンズ:銀河重力レンズ:銀河

すばる望遠鏡による画像 国立天文台 提供http://hubblesite.org/gallery/showcase/exotihttp://subarutelescope.org/Gallery/j_pressrelease.ht ca/e5.shtml よりmlより

Page 4: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

重力レンズのシミュレーション重力レンズのシミュレーション

遠方のクェーサー遠方のクェーサー(黄色)が光源、手前(黄色)が光源、手前の銀河(緑色)が重の銀河(緑色)が重力レンズとして働い力レンズとして働いているている

裳華房宇宙スペクト

博物館体験版http://www.shokabo.co.jp/sp_opt/galaxy/lens/lens.htmより資料提供:米原厚憲(筑波大学)

Page 5: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

天体までの距離の測定1天体までの距離の測定1

レーダー・レーザー法レーダー・レーザー法

レーダー電波やレーザー光線が天体にあたってレーダー電波やレーザー光線が天体にあたってかえってくる時間から距離を測定する。かえってくる時間から距離を測定する。

月や近傍の惑星に対して適用。月や近傍の惑星に対して適用。

年周視差年周視差

1pc1pcの距離での距離で11秒角。秒角。

およそおよそ100pc100pc程度の距離まで測定可能。程度の距離まで測定可能。

Page 6: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

長さ2長さ2

パーセクパーセク年周視差年周視差11秒角の距離秒角の距離

1pc=3.1x101pc=3.1x101616m=3.3m=3.3光年光年天体の大きさと距離天体の大きさと距離 典型的な値典型的な値恒星間の距離~恒星間の距離~1pc1pc銀河の半径~銀河の半径~10kpc10kpc銀河と銀河の距離~銀河と銀河の距離~1Mpc1Mpc宇宙の地平線まで~宇宙の地平線まで~5000Mpc5000Mpc

1″

1pc

1AU

Page 7: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

天体までの距離の測定2天体までの距離の測定2

HR図HR図

星団の星について見かけ星団の星について見かけの等級を縦軸にとりHR図の等級を縦軸にとりHR図を描くことができる。を描くことができる。

これと距離のわかっていこれと距離のわかっている星について絶対等級る星について絶対等級((10pc10pcの距離においたとの距離においたときの等級)を縦軸にとってきの等級)を縦軸にとって描いたHR図を比較するこ描いたHR図を比較することで星団までの距離がわとで星団までの距離がわかる。かる。

M=mM=m--log((d/10)log((d/10)22)/log2.5

主系列星白色矮星

巨星

超巨星

絶対等級

温度

スペクトル型

絶対光度

)/log2.5

http://imagine.gsfc.nasa.gov/docs/teachers/lifecycles/LC_main_p8.htmlより

Page 8: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

天体までの距離の測定3天体までの距離の測定3

セファイド変光星セファイド変光星周期と絶対等級の間に一定の関係がある。周期と絶対等級の間に一定の関係がある。

変光周期と見かけの等級を測定することで距離がわかる。変光周期と見かけの等級を測定することで距離がわかる。

およそおよそ6Mpc6Mpc以内の距離の銀河に適用可能以内の距離の銀河に適用可能 (HST(HSTによってによって20Mpc20Mpc程度ま程度まで拡張で拡張))

1994 May 9 May 4 May 31

STScI/NASAhttp://oposite.stsci.edu/pubinfo/pr/94/49.htmlより

Page 9: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

天体までの距離の測定4天体までの距離の測定4

その他の標準光源その他の標準光源

球状星団球状星団

超新星の光度超新星の光度

タリーフィッシャー関係タリーフィッシャー関係

渦巻き銀河で銀河の回転速度と銀河の絶対光度の間に一定渦巻き銀河で銀河の回転速度と銀河の絶対光度の間に一定の関係がある。の関係がある。

STScI/NASAhttp://oposite.stsci.edu/pubinfo/pr/94/49.htmlより

Page 10: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

ドップラー効果と赤方偏移ドップラー効果と赤方偏移

ct

vtcos θ

vt

( )( )0

2

20

/

cos( cos ) /

/ / 1 ( / ) cos

/ 1/

1 cos

1

τ

τ λ τ

θλ θ

λ λ τ θ

τ ββ

λ β θλ β

=

+

= +

≡ = +

= −

=

+=

n

c c nn

ct vtc v t n

t v c

tv c

0

光源が自分の固有時間 の間に 個の光波

を出したとする。 波列の全体の長さは

なので光源における波長は

受け取る側では同じ 個の光波の波列の

長さが となる。  従って観

測される波長は

赤方偏移zとして

1+z

特殊相対論により

ここで

従って

1+z=

θ

ムービーは裳華房宇宙スペクトル博物館体験版http://www.shokabo.co.jp/sample/labo/redshift/redshift.htmより

赤方偏移zは1を超える値もとる

Page 11: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

系外銀河の可視光スペクトルの例系外銀河の可視光スペクトルの例

redshiftredshift 0.1234 0.1234 http://www.sdss.org/gallery/gal_spectra.htmlhttp://www.sdss.org/gallery/gal_spectra.htmlよりより

Page 12: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

ハッブルの法則ハッブルの法則

銀河の距離銀河の距離(d)(d)と後退と後退速度速度(v)(v)の間の比例関の間の比例関係係(1929(1929年年E.HubbleE.Hubble))v=Hv=H00dd

HH00ハッブル定数ハッブル定数

HH00~50~50--100km/s/Mpc100km/s/MpcHSTHSTによるセファイド変によるセファイド変光星の観測光星の観測HH00=75+=75+--10km/s/Mpc10km/s/Mpc

© 2001. The American Astronomical Society Freedman et al., 2001, ApJ553, p.47.http://aas.nao.ac.jp/ApJ/journal/issues/ApJ/v553n1/52417/52417.figures.htmlより

Page 13: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

ハッブル定数ハッブル定数

セファイド変光星以セファイド変光星以外の標準光源を利外の標準光源を利用して、より遠方の用して、より遠方の銀河までの距離を求銀河までの距離を求められている。められている。

この論文ではこの論文ではHH00=72=72±±7km/s/Mpc7km/s/Mpcよく直線にのっていよく直線にのっているる==赤方偏移(後退赤方偏移(後退速度)は距離の指標速度)は距離の指標に使える。に使える。

© 2001. The American Astronomical Society Freedman et al., 2001, ApJ553, p.47.http://aas.nao.ac.jp/ApJ/journal/issues/ApJ/v553n1/52417/52417.figures.htmlより

Page 14: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

宇宙の大規模構造宇宙の大規模構造

銀河の赤方偏移の銀河の赤方偏移の探査探査

dede LapparentLapparent,, V., V., Geller,Geller, M.M. J., J., HuchraHuchra,, J.J. P.P.ApJL,1986,302,L1ApJL,1986,302,L1

銀河団がつらなる領銀河団がつらなる領域:超銀河団)と銀域:超銀河団)と銀河の少ない領域:ボ河の少ない領域:ボイドイド

Page 15: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

The 2dF Galaxy The 2dF Galaxy RedshiftRedshift SurveySurvey

http://magnum.anu.edu.au/~TDFgg/より

100Mpc

Page 16: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

クェーサーの発見クェーサーの発見3C2733C273のスペクトルのスペクトル3C2733C273はは19591959年に出版年に出版されたケンブリッジ大学されたケンブリッジ大学電波源カタログの電波源カタログの273273番番目の天体という意味。目の天体という意味。19631963年年M.M. SchmidtSchmidtがこがこの輝線が赤方偏移の輝線が赤方偏移0.1580.158の水の水素のバルマー輝線素のバルマー輝線であることを発見した。であることを発見した。しかし、可視光の望遠鏡しかし、可視光の望遠鏡では点状(恒星状)にしでは点状(恒星状)にしか見えない:クェーサーか見えない:クェーサー(準星)と命名。(準星)と命名。

上のスペクトルは宇宙スペクトル博物館(京都大学竹内努氏,石井貴子氏提供)http://galaxy.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/cd-rom/galaxy/active/3C273.htmより

Page 17: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

クェーサーの正体クェーサーの正体

大きな赤方偏移を示す大きな赤方偏移を示す遠方にある天体か?遠方にある天体か? ((HubbleHubbleの法の法則)則)

近傍にある天体が何らかの原因で、光近傍にある天体が何らかの原因で、光速に近い速度で遠ざかっているのか?速に近い速度で遠ざかっているのか?

時間的に変動する時間的に変動する可視光では数日から数年、可視光では数日から数年、XX線では数線では数時間時間⇒サイズが小さい(実際、可視光の望⇒サイズが小さい(実際、可視光の望遠鏡では点状にしか見えなかった)遠鏡では点状にしか見えなかった)

現在の理解:クェーサーは現在の理解:クェーサーは 異常に異常に明るい(場合によっては銀河全体よ明るい(場合によっては銀河全体より明るい)銀河の中心核である。

クェーサーPG 0052+251のHSTによる画像

り明るい)銀河の中心核である。

写真はhttp://www.mhhe.com/physsci/astronomy/arny/instructor/graphics/ch16/1623.htmlよりCopyright ©1999 The McGraw-Hill Companies

Page 18: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

The 2dF Quasar The 2dF Quasar RedshiftRedshift SurveySurvey

数数100Mpc100Mpcを超えるスを超えるスケールではケールでは宇宙はほぼ宇宙はほぼ一様一様

1000Mpc

http://www.2dfquasar.org/Downloads/wedge_big.jpgより

Page 19: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

膨張宇宙のモデル膨張宇宙のモデル

ハッブルの法則ハッブルの法則

我々の銀河系が宇宙の中心か?我々の銀河系が宇宙の中心か?

宇宙全体が一様に膨張していればよい。宇宙全体が一様に膨張していればよい。

http://www.mhhe.com/physsci/astronomy/arny/instructor/graphics/ch17/1702.htmlよりCopyright ©1999 The McGraw-Hill Companies

Page 20: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

宇宙膨張による赤方変移宇宙膨張による赤方変移

http://www.mhhe.com/physsci/astronomy/arny/instructor/graphics/ch17/1708.htmlよりCopyright ©1999 The McGraw-Hill Companies

注意)銀河の大きさ、恒星の大きさ、人間の身長、素注意)銀河の大きさ、恒星の大きさ、人間の身長、素粒子のサイズなどが変わるわけではない。粒子のサイズなどが変わるわけではない。

Page 21: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

一般相対論の膨張宇宙の解一般相対論の膨張宇宙の解

アインシュタインの一般相対性理論:重力を空間のアインシュタインの一般相対性理論:重力を空間の曲率として記述する理論曲率として記述する理論

アインシュタインによる静的宇宙の解アインシュタインによる静的宇宙の解(1917)(1917)宇宙定数(斥力項)の導入宇宙定数(斥力項)の導入

アインシュタイン自身によると生涯最大の失敗アインシュタイン自身によると生涯最大の失敗

*)しかし最近、宇宙項の復活を迫る観測結果(ダークエ*)しかし最近、宇宙項の復活を迫る観測結果(ダークエネルギー)が提出されている。ネルギー)が提出されている。

フリードマンによる膨張宇宙の解の発見フリードマンによる膨張宇宙の解の発見(1922)(1922)

Page 22: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

フリードマンによる膨張宇宙の解フリードマンによる膨張宇宙の解(模式的な理解)(模式的な理解)

2

3

2 2

0

22 2 2 20

0

2

1/ 2

4 / 31 42 3( ) ( ( ) )

8 83 3

/8

3

ρ

πρπ ρ

π πρ ρ

π ρ

=

− =

=

⎛ ⎞− = − = −⎜ ⎟

⎝ ⎠=

vM

M r

v G r const

a t r a t r

aa G a a G kca

H a aGH

図のようなある点のまわりの球殻の膨張を考える。

単位質量あたりの運動エネルギー

球殻内の質量 は球殻内の平均密度(宇宙の密度) を

使って

エネルギー保存則は

宇宙のスケール因子 を使うと

あるいはハッブル定数 を使って2

2= −kca

宇宙のスケール因子とは基準時刻t0(通常は現在にとる)である2つの銀河間の距離をr0としたときに、任意の時間tにおける距離r=a(t)r0とかいたときのa(t)

Page 23: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

一様等方な宇宙を記述するアインシュタイン式一様等方な宇宙を記述するアインシュタイン式== フリードマン方程式フリードマン方程式

宇宙原理:宇宙は一様等方である宇宙原理:宇宙は一様等方である を仮定するを仮定する

2 2 2

2

2

2

83 3

4 33 3

a G Kc ca a

a G p ca c

π ρ

π ρ

Λ⎛ ⎞ = − +⎜ ⎟⎝ ⎠

Λ⎛ ⎞= − + +⎜ ⎟⎝ ⎠

( ) ::

00 :0

:

a tKKKK

<

=

>

Λ

宇宙のスケールパラメータ

空間の曲率を表すパラメータ

:開いている宇宙

平坦な宇宙

:閉じている宇宙

宇宙定数(宇宙項)2

2 3

0

K aa a

aa

Λ⎛ ⎞ ⎛ ⎞• − +⎜ ⎟ ⎜ ⎟⎝ ⎠ ⎝ ⎠

⎛ ⎞•Λ <= <⎜ ⎟⎝ ⎠

•Λ

が正であれば の右辺は正

一旦はじまった膨張は減速するかもしれないがとまりはしない。

が 0であれば膨張は減速する

は重力(引力)の対抗する斥力を表現する

Page 24: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

宇宙のスケール因子の時間発展と宇宙の年齢宇宙のスケール因子の時間発展と宇宙の年齢

膨張宇宙とビッグバンの物理膨張宇宙とビッグバンの物理((杉山直著、岩波書店)より引用杉山直著、岩波書店)より引用

Page 25: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

宇宙論パラメータ宇宙論パラメータ

( )

2 2 22

2

20 0

22 29 30

0

2

K 20

2

20

83 3

1 /

3 1.88 /100 10 /8

/

:3

c K m K

c

m c

a G Kc cHa a

H H

H H g cmG

KcH

cH

π ρ

ρ ρ

ρπρ ρ

Λ Λ

Λ

Λ⎛ ⎞= = − +⎜ ⎟⎝ ⎠

= + Ω + Ω = Ω + Ω + Ω

= = ×

Ω =

Ω = −

ΛΩ =

”現在”の時刻での値を考え

両辺を で割ると( はハッブル定数=”現在”の膨張率)

 臨界密度

:物質の密度パラメータ

:曲率の密度パラメータ

宇宙項の密度パラメータ

0.27+-0.04

-0.02+-0.02

0.73+-0.04

宇宙は平坦

物質の密度は臨界密度より低い

宇宙項は必要

WMAPによる結果

Page 27: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

ビッグバン宇宙論ビッグバン宇宙論

膨張宇宙において時間をさかのぼると、宇宙膨張宇宙において時間をさかのぼると、宇宙の物質の全てが一点に集中し、密度無限大の物質の全てが一点に集中し、密度無限大の時刻が存在したことになる=ビッグバンの時刻が存在したことになる=ビッグバン

ビッグバンは今からおよそビッグバンは今からおよそ1/H1/H00前(前(100100--150150億年前)に起こった億年前)に起こった

現在、現在、ビッグバン宇宙論の基本的枠組みビッグバン宇宙論の基本的枠組みはは多くの研究者に多くの研究者に支持されている支持されている

Page 28: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

宇宙背景放射宇宙背景放射

19651965年ペンジアスとウィル年ペンジアスとウィルソンソン マイクロ波背景放射マイクロ波背景放射の発見の発見絶対温度3絶対温度3KKの黒体放射にの黒体放射に相当する電波強度で全天相当する電波強度で全天から一様な放射から一様な放射3000K3000Kの時代に放射されの時代に放射された光が宇宙膨張によって波た光が宇宙膨張によって波長が長が10001000倍に引き伸ばさ倍に引き伸ばされたものれたもの強度は全天で強度は全天で1010--55のレベルのレベルで一様で一様ビッグバン宇宙の証拠のひビッグバン宇宙の証拠のひとつ

宇宙背景放射のスペクトルhttp://map.gsfc.nasa.gov/m_uni/uni_101bbtest3.html よりとつ

Page 29: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

ビッグバン宇宙での元素合成ビッグバン宇宙での元素合成

宇宙初期、高温高密度の状態で陽子、中性子が宇宙初期、高温高密度の状態で陽子、中性子が重水素(重水素(D)D)、、HeHe、、Li,BeLi,Beなどの軽元素が合成される。などの軽元素が合成される。(1948(1948年、ガモフ等)年、ガモフ等)質量数8のベリリウムが不安定核であるためそれより重質量数8のベリリウムが不安定核であるためそれより重い元素は合成されない(恒星内部、および超新星爆発い元素は合成されない(恒星内部、および超新星爆発時に合成される)時に合成される)

ビッグバン後ビッグバン後33分間で、水素分間で、水素7575%、%、He25He25%、微量%、微量ののD,Li,BeD,Li,Beが合成されると予想。重水素、が合成されると予想。重水素、Li,BeLi,Beななどの存在量はビッグバン宇宙モデルの予想値にどの存在量はビッグバン宇宙モデルの予想値に近い。近い。

背景放射、ハッブルの法則につぐビッグバン宇宙背景放射、ハッブルの法則につぐビッグバン宇宙論の観測的根拠。論の観測的根拠。

Page 30: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

須藤靖http://www-utap.phys.s.u-tokyo.ac.jp/~suto/myresearch/WMAP_kek03.pdfより

Page 31: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

宇宙の地平線問題宇宙の地平線問題地平線の大きさ=光速度地平線の大きさ=光速度xx時間時間xx宇宙膨張の効果宇宙膨張の効果

現在の地平線の大きさは現在の地平線の大きさはc/Hc/H00~4200Mpc~4200Mpc宇宙の晴れ上がり時(宇宙誕生後宇宙の晴れ上がり時(宇宙誕生後3838万年)の地平線の大万年)の地平線の大きさはきさは4.2Mpc4.2Mpcそのときの宇宙の大きさは単純に現在からそのときの宇宙の大きさは単純に現在から逆算するともっと大きい。逆算するともっと大きい。

関係を持ち得ないはずの2点がなぜ関係を持ち得ないはずの2点がなぜ1010--55以下で一様なの以下で一様なのか?か?

宇宙の平坦性問題宇宙の平坦性問題現在の宇宙はなぜ平坦なのか現在の宇宙はなぜ平坦なのか((ΩΩ00= Ω= Ωm,m,00+ Ω+ ΩΛΛ,,00)はなぜ)はなぜなぜなぜ11に近いのか?に近いのか?

これらを解決するのがインフレーション宇宙論

Page 32: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

輻射と物質輻射と物質圧力圧力P[N/mP[N/m22]]とエネルギー密度とエネルギー密度εε [[J/m3J/m3]]の間の関の間の関係係:P=w:P=wεεとおくとおく

非相対論的粒子非相対論的粒子(v<<c)(v<<c)::w=kT/mcw=kT/mc22<<1<<1相対論的粒子(光子を含む)相対論的粒子(光子を含む):w=1/3:w=1/3((宇宙定数の成分は宇宙定数の成分はw<0w<0とみなすことができるとみなすことができる))

非相対論的(非相対論的(物質物質)) 相対論的(相対論的(輻射輻射あるいあるいは輻射と結合したガス)は輻射と結合したガス)

宇宙膨張宇宙膨張に対してに対して

εεmm∝∝1/a1/a33

((現在現在εεmm >> >> εεrr ))

εεrr∝∝1/a1/a44

(a<2.8x10(a<2.8x10--44,t<5x10,t<5x1044yryrで優勢)で優勢)

音速音速ccss ==sqrt(w)csqrt(w)c <<c<<c =0.58c=0.58c

*)ジーンズ長さは音速Csに比例、ジーンズ質量はその3乗に比例する。

Page 33: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

再結合と宇宙の晴れ上がり再結合と宇宙の晴れ上がり

宇宙初期:輻射優勢宇宙初期:輻射優勢z<3500,t<0.05x10z<3500,t<0.05x1066yryr温度は次第に減少していくが温度は次第に減少していくが(T>10(T>1044KK)、物質(バリオン)は電離状態。光)、物質(バリオン)は電離状態。光子は自由電子による散乱を強く受ける。宇宙膨張は輻射に支配されている。子は自由電子による散乱を強く受ける。宇宙膨張は輻射に支配されている。

電子と陽子の(再)結合電子と陽子の(再)結合T~3740K,z~1370,t~0.24x10T~3740K,z~1370,t~0.24x1066yryr宇宙の晴れ上がり宇宙の晴れ上がりT~3000K,z~1000, t~0.35x10T~3000K,z~1000, t~0.35x1066yryr(このときの黒体輻射温度相当の波長の)光子は束縛された電子に散乱を(このときの黒体輻射温度相当の波長の)光子は束縛された電子に散乱を受けにくいため、まっすぐ進むようになる受けにくいため、まっすぐ進むようになるこのときの光=宇宙背景放射:このときの光=宇宙背景放射:WMAPWMAPの観測対象の観測対象

これまで光子とバリオンが密接にからみあう相対論的ガスの状態。ジーンこれまで光子とバリオンが密接にからみあう相対論的ガスの状態。ジーンズ質量は超銀河団程度ズ質量は超銀河団程度10101919MM宇宙の晴れ上がり後、バリオンは非相対論粒子として振る舞いジーンズ質宇宙の晴れ上がり後、バリオンは非相対論粒子として振る舞いジーンズ質量は量は101055MM。密度ゆらぎの成長=構造形成がはじまる。。密度ゆらぎの成長=構造形成がはじまる。**))暗黒物質は少し前暗黒物質は少し前z~3500z~3500で構造形成をはじめる。で構造形成をはじめる。

現在の宇宙で、最も多量のバリオンは銀河団高温ガス。現在の宇宙で、最も多量のバリオンは銀河団高温ガス。どこかで(再)電離が起こったはず。どこかで(再)電離が起こったはず。早い時期早い時期(t~2(t~2億年億年))に既に星が形成されていなければいけない。に既に星が形成されていなければいけない。

Page 34: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

マイクロ波背景放射の揺らぎの観測マイクロ波背景放射の揺らぎの観測WMAPと宇宙論パラメータWMAPと宇宙論パラメータ

H0=71km/s/Mpc (5%H0=71km/s/Mpc (5%の誤差の誤差))宇宙の年齢宇宙の年齢 137137億年億年(1%(1%の誤差)の誤差)宇宙は宇宙はFlat (openFlat (openととclosecloseの境目)の境目)宇宙の密度:宇宙の密度:4%4%バリオン(原子)、バリオン(原子)、23%23%ダークマター、ダークマター、73%73%ダークエネルギーダークエネルギー

NASA WMAP ホームページhttp://map.gsfc.nasa.gov/m_mm.html より

Page 35: 天体までの距離、ハッブルの法則、膨張宇宙、背景 …hayasida/Class/Class2004/...天体までの距離の測定1 zレーダー・レーザー法 zレーダー電波やレーザー光線が天体にあたって

C.L. Bennett et al., 2003, ApJS, 148, 1