超音波からのメッセージ第 47 話(予習資料) 心エ...
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超音波からのメッセージ第 47 話(予習資料)
心エコー・診断力を高める“もう一歩”
『弁膜症Ⅱ.レポートとレビューのテクニック』
第9期「心エコー・診断力を高める“もう一歩”」では、後半は「弁膜症」を 2 回に
分けて取り上げます。今回は、「弁膜症Ⅱ.レポートとレビューのテクニック」がテー
マです。
講師の 野間 充 先生から
観察で得られた所見や計測結果を抜け漏なく矛盾なくレポートにまとめて表現しい
くには、テクニッが必要になります。さら自身の検査を再評価するためのレビューをす
ることは、つらいこともありますが実力向上に役立ちます。今回も具体例から解説して
いきます。
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超音波からのメッセージ 第9期 心エコーシリーズ
診断力を高める“もう一歩“
第 47 話 弁膜症「レポートとレビューのテクニック」
医療法人末次医院 野間 充
1.はじめに
前回は、限られた時間内で抜け漏れのない心エコー検査を行うための「エコー像の推測と検査の組み立て」
についてお話しさせていただきました。観察で得られた所見や計測結果を抜け漏れなく矛盾なくレポートにまと
めて表現していくには、テクニックが必要になります、さらに自身の検査を再評価するためのレビューをするこ
とは、つらいこともありますが実力向上に役立ちます。今回も具体例から解説していきます。
2.症例一覧
症例①:60 歳代、女性、胸痛と心雑音
症例②:70 歳代、男性、無症状で心雑音
症例③:50 歳代、女性、30 歳代に RHD(MS)で手術歴あり、労作時息切れあり
症例④:40 歳代、女性、動悸と心音異常
3.各症例の臨床情報
症例①:60 歳代、女性、胸痛と心雑音
【計測値】
LVDd 47mm LVDs 30mm SV 68mL
LVOT 18mm LVOT VTI 20cm LVOT SV 48mL
AoV VTI 38cm 最大流速 1.5m/s 平均圧較差 5mmHg
連続の式による大動脈弁口面積 48÷38=1.3 cm2
心エコー:別途動画供覧あり → どのようにレポートしますか?
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症例②:70 歳代、男性、感冒で受診時に心雑音指摘、手術希望せず
【計測値】
LVDd 74mm LVDs 47mm LVEF 64~68% IVS 13mm PW 12mm AoD 47mm LAD 37mm
心エコー:別途動画供覧あり → どのようにレポートしますか?
症例③:50 歳代、女性、30 歳代に RHD(MS)で手術歴あり、労作時息切れあり
【計測値】
LVDd 45mm LVDs 34mm LVEF 64% LAD 42mm
PHTによる MVA 1.5cm2 僧帽弁の mPG 5mmHg
心エコー動画供覧あり
症例④:40 歳代、女性、動悸、心音の異常
心エコー:別途動画供覧あり → どのようにレポートしますか?
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依頼理由の背景をとレビューに役立つポイント
Ⅰ.診療録の読み取り方の基本
診療録の記載の基本は、“SOAP 形式”で記載する
S(主観的情報; Subjective ):患者さんや家族などの話から得られた情報
O(客観的情報;Objective) :身体所見・検査結果
A(評価;Assessment):S と O から考えられること、診断
P(方針;Plan):S・O・A を踏まえた今後の方針・計画・指導、等
さらに、“説明と同意”から“医師と患者さん側との間の共通認識”を知る事ができます。
1)S:症状
息切れ・胸が苦しい・動悸・失神・塞栓症状(麻痺、突然の四肢や腹部・背部の痛み、など)
症状が日常生活のどの程度で出現するか?による心機能分類(NYHA分類)
2)O:心音と心雑音について
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3)O:心電図
不整脈(特に心房細動の出現)、
左室肥大、ST-T 変化(ストレイン型左室肥大、虚血、非特異的 ST・T 変化)
4)O:胸部 X 線
心拡大(CTR>50%)や大動脈の拡大
Ⅱ.弁膜症のステージについて
1)ステージ A:弁膜症のリスク期
2)ステージ B:弁膜症の進行期
3)ステージ C:無症状の重症期
4)ステージ D:有症状の重症期
Ⅲ.弁膜症の重症度評価について
1)労作時に血行動態の異常を生じる可能性が高い弁膜症(狭窄症)
ESC ガイドライン:2012 年版、
*:小児慢性特定疾患心臓カテーテル検査結果より 中等度以上
なお、管理の対象となるのは、20mmHg 以上の大動脈弁狭窄症、肺動脈弁狭窄症
http://www.shouman.jp/instructions/4_62_90/
**:流速比 VTI (LVOT) / VTI (AoV) パルスドプラ波形をトレースして求めます。
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2)大動脈弁狭窄症(Valvular AS)のステージ:2014 年 AHA ACC ガイドライン:心臓弁膜症
3)大動脈弁狭窄症:重症度分類(ASE と EACVI)J Am Soc Echocardiogr 2017;30:372-92.
流速比: VTI (LVOT) / VTI (AoV) パルスドプラ波形をトレースして求めます。
【留意点】
連続波ドプラ法の計測
最高流速をとらえていない ⇒ より軽症に評価してしまう
S状中隔などで大動脈弁の手前で加速している場合 ⇒ より重症に評価してしまう
1回拍出量が増加している場合 ⇒ より重症に評価してしまう
1回拍出量が減少している場合 ⇒ より軽症に評価してしまう
弁口面積の計測 (解剖学的弁口面積と機能的弁口面積)
トレース法:適切な断面が描出できない場合 ⇒ より軽症に評価してしまう
連続の式:1回拍出量の推定が過大 ⇒ より軽症に評価してしまう
連続の式:最大流速をとらえられていない ⇒ より軽症に評価してしまう
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4)僧帽弁狭窄症:弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン(2007 年改訂版)
*:中~高度狭窄である僧帽弁口面積<1.5 ㎝ 2で PTMC 又は手術対象とする(2017 年 ESC)
PTMC の適応については、Wilkins のエコースコアや Cormier の分類が用いられる
Cormier(lung)の分類で Group1と2が適応になる
5)労作時に血行動態の異常を生じる可能性が高い弁膜症(閉鎖不全症)
6)大動脈弁閉鎖不全の重症度分類
Zoghbi WA, J Am Soc Echocardiogr. 2003 Jul;16(7):777-802
☆:下行大動脈・腹部大動脈での PW 波形:拡張期逆流波形も有用
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5)慢性大動脈弁閉鎖不全:左室機能が悪化する前に外科治療へ
6)僧帽弁閉鎖不全症の重症度評価
7)僧帽弁閉鎖不全の左室機能評価
☆リスクが低ければ非薬物治療を行うことが望ましいのは、
①収縮能が低下する前②心房細動の永続化前③肺高血圧(PASP>50mmHg)