職員育成ビジョン - 岩手県 · Ⅴ 人材育成の基本的方向...

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職員育成ビジョン ―いわての未来を切り拓く人材の育成を目指して― 平成 25 年3月改訂 岩 手 県

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職員育成ビジョン ―いわての未来を切り拓く人材の育成を目指して―

平成 25年3月改訂

岩 手 県

Page 2: 職員育成ビジョン - 岩手県 · Ⅴ 人材育成の基本的方向 ・・・・・・・・・・・ 1 自らの可能性を伸ばし、挑戦し続ける職員の育成 2

目 次

Ⅰ ビジョン見直しの背景とポイント ・・・・・・・・・・・

Ⅱ 人材育成に関する課題 ・・・・・・・・・・・ 1 職員に関する課題

2 組織・職場環境に関する課題

Ⅲ これまでの取組と成果 ・・・・・・・・・・・

Ⅳ 求められる職員像と能力 ・・・・・・・・・・・

1 目指す職員像

2 職員の基本姿勢

3 求められる職員の能力

Ⅴ 人材育成の基本的方向 ・・・・・・・・・・・

1 自らの可能性を伸ばし、挑戦し続ける職員の育成

2 職員の成長を支え、組織で成果を発揮する組織力の向上

3 いきいきと働ける、風通しの良い職場づくり

Ⅵ 人材育成の取組

1 自らの可能性を伸ばし、挑戦し続ける職員の育成

(1) 全庁的な人材育成推進体制の継続実施 ・・・・・・・・・

(2) 求められる能力の向上とキャリアビジョンの形成支援 ・・・・・・・・・

(3) 職員の専門性を高める取組 ・・・・・・・・・

(4) 意欲と能力を発揮できる人事制度 ・・・・・・・・・

2 職員の成長を支え、組織で成果を発揮する組織力の向上

(1) 管理職のリーダーシップ発揮の支援 ・・・・・・・・・

(2) チーム力を高める取組 ・・・・・・・・・

(3) 若手職員の成長への支援 ・・・・・・・・・

(4) 仕事を通じた人材育成(OJT)の取組 ・・・・・・・・・

3 いきいきと働ける、風通しの良い職場づくり

(1) コミュニケーションを通じた職場の活性化 ・・・・・・・・・

(2) 一人ひとりのワーク・ライフ・バランスへの支援 ・・・・・・・・・

(3) メンタルヘルス対策の強化 ・・・・・・・・・

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Ⅰ ビジョン見直しの背景とポイント

東日本大震災津波の発災から、2年が経過し、基盤復興に向けた事業が具体化しつつあ

り、復旧・復興は着実に進んでいます。

しかしながら、被災地では今なお多くの方々が応急仮設住宅等での不自由な避難生活を

強いられており、こうした厳しい状況を常に念頭に置き、いまなお「非常時」であるとい

う意識を職員全員で共有し、復興を最優先として職務に取り組んでいく必要があります。

発災後、多くの職員は、被災者の方々への支援や被災地の復興について、なすべきこと

は何かを真剣に考え、組織一丸となって行動してきました。

一方で、復旧・復興を進めていく中で、一部には、指示待ちやスピード感に欠ける対応、

従来の縦割りでの業務分担、管理職の的確なマネジメント不足など、職員の意識や行動、

組織運営における問題点が浮き彫りになったほか、災害復旧事業に係る入札・契約事務の

誤った事務処理事案が複数発生するなどの新たな問題も発生しました。

これらの問題を真摯に受け止め、常に県民の視点、立場に立ち、環境の変化に柔軟に対

応しながら、より質の高い県民サービスを提供していくためには、職員一人ひとりが、業

務を進めていくうえでの意識や能力を高めるとともに、組織として最大限の成果を発揮し

ていくことが求められています。

また、「いわて県民計画第2期アクションプラン〔改革編〕」(H24.2 策定)(以下「第2

期アクションプラン〔改革編〕」という。)では、「復興に向けた取組や新たな地域の課題に

対して、限られた資源の中で創意工夫しながら、『県民本位』の視点で自ら考え行動できる

人材の育成を進めます。※1」としています。

今般、第2期アクションプラン〔改革編〕の推進方策を踏まえるとともに、平成 21年3

月に策定した「職員育成ビジョン」の取組や成果を振り返り、今後の職員の人材育成の方

向性や取組方策をより明確に定めることとしました。

また、職員育成ビジョンの見直しに伴い、年度ごとの取組計画をアクションプログラム

として定め、具体的な行動を展開していくこととします。

ビジョン見直しのポイント

①環境の変化を踏まえ、前例にとらわれず、自ら考え行動できる職員の育成

②それぞれの分野でのより深い専門性を養成できる仕組みづくり

③職員が互いに切磋琢磨し、組織で成果を発揮する組織力の向上

※1 いわて県民計画第2期アクションプラン〔改革編〕 Ⅲ具体的な推進項目 「基本方針1 いわての未来

づくりを支える専門集団へ」2推進方策 (1)大震災津波からの復興を支える体制の整備から引用

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Ⅱ 人材育成に関する課題

1 職員に関する課題

(1) 「震災対応に関する職員アンケート※2」結果から

・ 一部に指示待ちも見受けられ、自ら主体的に考え、積極的に行動する職員の育成

が必要である。

・ 震災の復旧・復興業務への貢献意識は高く、組織一丸となって取り組んだことは

評価できるが、部局横断的な取組が弱く縦割り意識の払拭が必要である。

(2) 「他自治体応援職員から見た本県職員に関するアンケート※3」結果から

・ 協議回数が多く、なかなか事業が前に進まない、また、個人の能力に大きく依存

していて、組織としての対応が不足、部局間の連携が十分に取られていないなど

仕事の進め方を改善した方がよい。

(3) ワーキンググループ※4の検討等から

・ 職場での部下の指導・育成の機能や、上司の部下育成の意識の醸成が必要である。

・ ベテラン職員から論理的かつ体系的に技術、知識を継承する機会が必要である。

・ それぞれの業務で、必要とされる知識、スキルを明確化する必要がある。

・ 専門的な技術・知識の習得や合意形成・政策形成能力を一層身に付けていく必要

がある。

・ 職員一人ひとりのキャリアデザインの形成を支援していくうえで、若手職員のジ

ョブローテーションの明確化や先輩職員のロールモデルなどの情報提供が必要で

ある。

・ 市町村、NPO等の多様な主体との連携・協働をコーディネートする力を養成し

ていく必要がある。

・ 状況変化に対応する新たな発想力、視野を広げる力を養成する必要がある。

・ 若手職員の仕事の段取り力を一層養成していく必要がある。

・ 個人の評価と組織全体の成果との関連がわかりにくいことへの不満払拭や職員間

の協力意識を向上する必要がある。

2 組織・職場環境に関する課題

(1) 「震災対応に関する職員アンケート」結果から

・ 非常時に直面したときの管理職のリーダーシップ力(判断力、決断力、明確な指

示)の向上が必要である。

・ 現場の実情に応じた組織間の横の連携が必要である。

(2) 「他自治体応援職員から見た本県職員に関するアンケート」結果から

・ 応援職員の仕事の割り振りができておらず、役割分担が明確でない。

(3) ワーキンググループの検討等から

・ 管理職の課内マネジメント力の一層の向上が必要である。

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・ 職場のコミュニケーションを向上させる取組や職員の意欲を向上させるマネジメ

ントが必要である。

・ 迅速な意思決定や業務の繁閑に対応できるフラット化・グループ制のメリットを

生かすマネジメントが必要である。

・ 業務処理上のミスが発生しており、業務の基本的なスキルの習得やチェック機能

の向上が重要である。

・ プレイング・マネージャーとしてのグループ総括の役割が大きくなっており、グ

ループ総括をフォローする体制づくりが必要である。

・ メンタルヘルス対策など、復興業務に携わる職員へのフォローアップが必要であ

る。

※2 震災対応に関する職員アンケート

調査目的:発災直後の職員の意識や行動、組織の状況や対応、さらには、職員の気づいた点や感じた点を

調査することにより、今後の人材育成等につなげていくことを目的とする。

調査期間:平成 23年8月3日~8月 26日

回答者 :県職員 2,213人(回答率 47.1%)

※3 他自治体応援職員から見た本県職員に関するアンケート

調査目的:本県の復旧・復興業務に尽力いただいている応援職員に対し、仕事に対する満足度や本県の仕

事の進め方等について伺い、調査結果を本県の仕事の進め方の改善や人材育成等に活用するこ

とを目的とする。

調査期間:平成 24年8月 28日~9月 14日

回答者 :平成 24年8月1日在職の他自治体応援職員 112人(回答率 74.2%)

※4 ワーキンググループ

構成 :岩手県人材育成担当協議会幹事会メンバー(知事部局の人事担当の主管室課の人事担当者及び

人事課職員) 18名

検討内容:「研修」、「人事」、「組織」、「職場環境」の4グループを設置して、現状把握、今後の取組につい

て検討

検討期間:平成 24年7月4日~7月 31日

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Ⅲ これまでの取組と成果

職員育成ビジョン及びアクションプログラム(平成 22年3月策定)に基づき、これまで、

職員育成の推進体制づくり、若手職員の育成支援の強化、グループ総括の役割の明確化に

よるグループマネジメントの向上など、人材育成の基盤づくりに取り組んできました。

今後も、これらの取組を継続していくとともに、職員のニーズや職場の実態を把握しな

がら、改善を加え、さらに発展、活性化していくための取組を展開していきます。

主な取組(実績)

1 人材育成研修実施体系の(再)構築(職員一人ひとりの思いを実現させる取組)

①組織行革担当課長の設置、研修行革担当グループの新設

②人材育成担当協議会の設置

③研修体系の見直し

 ・採用3年目職員研修の新設

 ・新採用職員研修の3期化の計画

(2) 庁内講師の育成及び有効活用 ①東北自治研修所、自治大学校への職員派遣

(3)市町村との連携、分権推進への対応

①地域経営推進研修(市町村合同研修)の計画

2 職員の自己実現への支援強化(職員一人ひとりを大切にする取組)

①若手職員育成プログラムによる指導

②キャリア形成支援の講義導入(採用3年目、中堅、新任主査研修)

③主任級以下の若手職員のジョブローテーションに配意

(2) 庁内業務の相互理解強化 ①庁内公募の取組

3 責任ある職の責任ある行動の促進(組織パフォーマンス向上における役割の明確化)

①グループ総括の役割の明文化

②プレイングマネージャー研修の実施

①新採用職員指導担当職員の配置、研修の充実

②若手職員育成プログラムの能力開発支援シートの改正

③採用3年目職員研修の新設〔再掲〕

4 成果重視における職員のあり方(評価方法の改善)

①改革改善シートと評価シートの統合

②求められる職員像や組織形態に適合する行動をとった職員を評価

③人事評価シートに職員憲章の5つの信条を評価項目として追加

5 その他

①職場復帰準備訓練による支援

②職務能力向上プログラムによる支援

①仕事と家庭の両立ハンドブックの作成

②子育て支援セミナーの開催、メールマガジンの配信

③子育て支援制度の周知

職員育成ビジョンの取組方策

(1) 職員育成推進体制の強化

(1)「キャリアデザイン」システムの構築

(2) 働きやすい職場環境の整備

(1)

(1) メンタルヘルス対策の充実強化

グループ総括の役割の明確化

(2) 若手育成指導の体制強化

(1) 人事評価シートの見直し等

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Ⅳ 求められる職員像と能力

1 目指す職員像

「いわて県民計画」長期ビジョン(平成 21年 12月策定)の「県政運営の基本姿勢」

には、県政を運営していくに当たっての職員像が記載されています。

職員が、この理念を常に意識することができるように、本ビジョンにおいては、こ

の理念の趣旨を整理し、「目指す職員像」として定めるものです。

2 職員の基本姿勢

「岩手県職員憲章」は、全職員が共有する「岩手県職員としてのあるべき姿」や「行

動基準」として、平成 20年 12月に策定されました。私たち職員は、常に、この憲章

の理念を心に留め、より質の高い県民本位のサービスを提供していきます。

常に県民の視点、立場に立ち、現在、そして未来の「県民全体

の利益」を考え、行動します。

創意工夫を凝らし、柔軟な発想で、「新たな課題に果敢に挑戦」

します。

職員間の自由なコミュニケーションを通じ、「明るく、いきいき

とした職場」をつくります。

「規律」を重んじ、県民から信頼されるよう、「公正、公平」に

職務を遂行します。

地域社会の一員としての「自覚」と県職員としての「誇り」を

もって、「誠実」に行動します。

県民本位

能力向上

明朗快活

法令遵守

地域意識

県民全体の利益を考え、専門性を発揮し、創意工夫しながら、

自ら、いわての未来を切り拓く職員

「いわて県民計画」長期ビジョン 県政運営の基本姿勢(抜粋)

私たち職員は、行財政資源の制約が強まっている中にあっても、創意工夫とたゆ

まぬ努力により、地域経営のイノベーション(革新)を支え続ける専門集団として、

様々な課題に立ち向かっていきます。

また、社会資源の制約の中で、満足度の高いサービスを提供し続けるためには、

直面している課題について、よく見、よく聞き、その課題の本質を理解した上で、

前例にとらわれず最も効果的な対応を見つけ、自律的に立ち向かっていく職員が必

要です。

岩手県職員憲章 ~私たちの5つの信条~

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3 求められる職員の能力

地方分権の進展や社会経済情勢がめまぐるしく変化する中で、県が担う役割は多様化、

高度化してきており、地域課題の解決に当たっては、これまで以上に、県民との協働の

もと、前例にとらわれず、創意工夫を凝らし、最も効果的な対応を見つけていくことが

求められています。

「いわて県民計画」長期ビジョンに掲げられた「県政運営の基本姿勢」を実現してい

くために、職員育成ビジョンアクションプログラムでは、職員に求められる能力として、

次の5つを掲げており、引き続き、これらの能力を向上させていくことが必要です。

なお、「業務遂行能力」については、どのように進行管理していくかという視点を加え

た内容としました。

担当業務の目標とスケジュールを的確に設定し、進行管理を行

い、期待される成果を生み出す能力

環境の変化を的確に捉え、課題を発見し、政策として実現する

能力

県民との協働をコーディネートし、県民、職員との信頼関係を

形成・維持できる能力

担当組織が目的に向かって的確に機能するよう運営・調整でき

る能力

主体的に目標をもって能力開発に取り組む力

業務遂行能力

政策形成能力

自己開発力

合意形成能力

組織運営能力

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Ⅴ 人材育成の基本的方向

求められる職員の能力の向上に努め、下記の基本的方向により人材育成を実施し、目指

す職員像を実現することで、より質の高い県民サービスを提供していきます。

・全庁的な人材育成推進体制の継続実施

・求められる能力の向上とキャリアビジョン

の形成支援

・職員の専門性を高める取組

・意欲と能力を発揮できる人事制度

自らの可能性を伸ばし、

挑戦し続ける職員の育成

・管理職のリーダーシップ発揮の支援

・チーム力を高める取組

・若手職員の成長への支援

・仕事を通じた人材育成(OJT)の取組

・コミュニケーションを通じた職場の

活性化

・一人ひとりのワーク・ライフ・バランス

への支援

・メンタルヘルス対策の強化

いきいきと働ける、

風通しの良い職場づくり

職員の成長を支え、

組織で成果を発揮する

組織力の向上

目指す職員像の実現

県民全体の利益を考え、専門性を発揮し、創意工夫しながら、

自ら、いわての未来を切り拓く職員

県政への安心感、信頼感を得て、

県民本位の質の高いサービスを提供

1 自らの可能性を伸ばし、挑戦し続ける職員の育成

2 職員の成長を支え、組織で成果を発揮する組織力の向上

3 いきいきと働ける、風通しの良い職場づくり

基本的方向

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Ⅵ 人材育成の取組

1 自らの可能性を伸ばし、挑戦し続ける職員の育成

基本的な考え方

〇 一日も早い復興の実現に向けて、職員一人ひとりが、志を高く掲げて仕事に

臨み、県民本位、県民全体の利益を考え行動していくことが何よりも重要です。

〇 また、厳しい財政状況や、当面、職員定数は維持(復興対応を除く)すると

いう基本的な考え方のもと、新たな行政需要やより高度化する住民ニーズに適

切に応えていくためには、職員一人ひとりの仕事に対する一層の職務能力の向

上が必要です。

〇 さらには、技術系職員の専門分野の知識・技能や豊富な経験、一般行政分野

における法規、税務、予算、会計、法人監査指導などの精通した知識が、後進

に継承されるような仕組みづくりを進めていくことも必要です。

〇 職員が、仕事のやりがいや達成感を通じて、自らのキャリアビジョンを描き

ながら、主体的に自らの可能性や能力を磨き、新たな課題に果敢に挑戦してい

くことができるように、能力開発研修の不断の見直しや柔軟で多様な人事管理

を推進していきます。

具体的な取組

(1) 全庁的な人材育成推進体制の継続実施

① 人材育成担当協議会の運営

職員の人材育成について、人事課と各部局及び各所属が能動的かつ一体的

に取り組むため、人材育成担当協議会(平成 21年度設置)を定期的に開催し、

人材育成に関する情報交換・協議を行います。

また、イントラネットで研修情報を一元化して提供し、各部局、広域振興

局等で実施する研修計画を共有し、受講可能な研修を周知することにより、

部局横断的なスキルの向上に対応していきます。

(2) 求められる能力の向上とキャリアビジョンの形成支援

① 若手職員の基礎力を養成する研修の充実

階層別に求められる能力や役割、業務遂行上の基本的な知識を明確にし、

必要な知識・スキルを習得する研修を企画・実施します。

また、採用3年目職員研修には、政策形成の基礎、中堅職員研修には、政

策形成の実践、合意形成の基礎を養う科目を導入します。

② 環境の変化に対応した多様な研修の実施

新たな地域課題に対し創造的に政策を形成し制度を組み立てる能力、多様

な主体との協働をコーディネートする能力や豊かな人間性・コミュニケーシ

ョン能力を一層養成するための研修を企画・実施します。また、eラーニン

グ研修を実施し、多くの職員が受講できる機会を提供していきます。

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③ 主体的に自己の能力を開発する意識の醸成

採用3年目職員、中堅職員、新任主査研修において、それぞれの階層にお

けるキャリアデザイン(将来の志向、必要な能力など)に関する科目を導入

し、目指す姿や目標を自ら考え、主体的に能力開発(キャリアアップ)でき

るよう支援していきます。

(3) 職員の専門性を高める取組

① 各部局における専門研修の充実

各部局において、業務を遂行していくうえで必要となる専門的な技術や知

識を明確にし、その習得ができるように、専門研修を企画・実施します。

② 「(仮称)マイスター制度」によるスキル継承の検討

ベテラン職員が培った豊かな知識・経験を伝承していくため、各分野で論

理的かつ体系的な知識・経験を有する職員をマイスターとして、各部局が認

定する仕組みを検討していきます。

汎用性のある分野(例:会計、法務、税務)については、認定した職員を

庁内に周知し、各種研修の講師や若手職員の指導役として活躍してもらいま

す。

(4) 意欲と能力を発揮できる人事制度

① 人材育成を重視した人事評価制度の活用

所属長は、新人事評価制度に基づき、部下職員との意思疎通を図りながら、

職員それぞれの目標や目標達成に向けた推進方策を共有していきます。

また、普段から組織の目標や業務の進捗状況の管理を行い、節目節目で職

員の成果を認めて褒め、助言するなど部下職員の意欲を醸成するとともに、

業務方針に大いに貢献した職員を表彰するなど、成果に対する適正な評価を

行います。

② 人事異動に係る庁内公募の取組

職員の士気の高揚と意欲の向上を図るため、職員が人事課に希望業務・希

望所属を直接申告する庁内公募を引き続き実施し、職員の希望と熱意を重視

した人事配置を行います。

公募に当たっては、公募業務における求める職員像、身につくスキルを周

知するほか、公募業務以外でも、各部局が求める人材を周知する取組などを

検討していきます。

③ 技術系・専門職種のキャリア形成支援、人事交流の拡大

高度な専門性を有する業務において、専門能力の向上と職員の計画的育成

を図るため、技術系・専門職種の職員のキャリアデザインの類型化やジョブ

ローテーションのモデル化に取り組みます。

また、技師から主査期における土木系専門職種、総合化学職など、技術系

職員の人事交流の拡大を図っていきます。

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④ 女性職員の登用、職域拡大

女性職員が、仕事と家庭を両立できる働きやすい環境の整備を引き続き進

めるとともに、幅広い職務経験を積ませ、各種研修等に派遣するなど職務に

必要な能力を育成し、より上位の職への積極的な登用を図っていきます。

⑤ 人材育成の基本情報(研修履歴)の整備

所属長等が、職員の能力開発研修の履歴を把握し、職員の能力向上を指導・

助言できるよう基本情報を整備していきます。

2 職員の成長を支え、組織で成果を発揮する組織力の向上

基本的な考え方

〇 管理職は、組織パフォーマンス向上のキーパーソンであることを自覚・認識

し、部下職員とのコミュニケーションを通じて、あるべき姿や業務方針を共有

し、リーダーシップを発揮していくことが必要です。

〇 また、迅速な意思決定や業務の繁閑に柔軟に対応できるなどの組織のフラッ

ト化・グループ制におけるメリットを生かしてチーム力を発揮していくととも

に、業務遂行上の課題等を検証し、改善を進めていくマネジメント力を向上さ

せていくことも必要です。

〇 組織パフォーマンスを向上させていくためには、職員の経験や業務能力の向

上が不可欠であり、組織全体で、学びあう姿勢や若手職員を育成していくこと

が重要です。

〇 管理職の的確なリーダーシップのもと、職員一人ひとりの強みや能力を生か

しながら、職員同士が切磋琢磨し、所属やグループが一丸となって、社会に貢

献する成果を発揮できるように、チーム力を向上させる取組や、仕事を通じて

の人材育成への支援を進めていきます。

具体的な取組

(1) 管理職のリーダーシップ発揮の支援

① 管理監督者を対象とした研修の充実

新任総括課長等研修において、リーダーシップ、リスクマネジメント、メ

ンタルヘルス対策など、新任担当課長等研修において、組織のマネジメント

(目標管理、業務進捗管理)、部下の指導・育成、人事評価の手法、マスコミ

対応など管理監督者として必要な知識・能力を習得する研修を企画・実施し

ます。

② マネジメントスキルの研鑽

主任主査から総括課長級のマネジメントスキルを向上させていくため、管

理監督者等の悩みを共有し、その対応策のヒントや工夫を情報交換したり、

民間のベンチマーキング等から学びあう機会の提供などを検討していきます。

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(2) チーム力を高める取組

① グループマネジメントの向上

グループ総括は、自身の担当業務のほかにグループ内の業務進捗管理、同

僚職員の業務チェック、若手職員の人材育成などの役割を抱え、負担感が大

きいとの声も聞かれることから、総括となっていない主任主査、主査が、そ

れをフォローする役割を担うなど、各所属において、柔軟に対応する体制を

構築していきます。

また、プレイング・マネージャー研修においては、これまで、新任のグル

ープ総括のみを対象としていましたが、当該研修を受講したことがない主任

主査にも対象を拡大していきます。

② 他自治体応援職員との交流、情報交換

復興業務で他自治体から派遣されている職員との交流や、任期付職員とし

て採用された民間経験者、自治体 OB職員の目から、本県職員の仕事ぶりを客

観的にみてもらい、本県の仕事の進め方や手順の見直しなど、仕事のレベル

アップにつなげていきます。

③ 業務のプロセス点検やチェック機能の強化

各職場においては、定期的に、事務処理過程の中で発生しうる問題点の洗

い出しなど業務プロセスの点検を行うとともに、複数の者によるチェック体

制を構築し、「誰が、何を、どのように」チェックするのか予め定めておくほ

か、マニュアルや業務標準書等の整備・点検を行います。

(3) 若手職員の成長への支援

① 若手職員育成プログラムによる育成支援

若手職員のさらなる能力の向上を図るため、管理監督者は、若手職員の業

務経験、能力、適性等を継続的に把握し、職員の意向及び状況に応じた適切

な指導を長期的に実施します。

② 新採用職員指導の充実

新採用職員研修を3期実施し、業務を進めていくうえでの心構えや必要な

基礎知識の習得を徹底していきます。また、新採用職員指導者に対し、コー

チング法の研修を実施します。

(4) 仕事を通じた人材育成(OJT)の取組

① 基本研修と連動した人材育成

基本研修の受講職員が所属する職場の上司に対し、研修内容等の情報を提

供し、受講者の意欲の持続やフォローアップしやすい環境づくりを促進して

いくとともに、OJTのノウハウや事例を紹介します。

② 主体的な職場研修の実施

各職場において、業務遂行に必要な基礎知識の習得や失敗事例を整理・共

有するなど、自主的に学び合える環境づくりを進めていきます。

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3 いきいきと働ける、風通しの良い職場づくり

基本的な考え方

〇 職員が、十分に能力を発揮していきいきと働くためには、職員同士の円滑な

コミュニケーションを通じて、職員間の十分な意思疎通を図り、自由闊達な議

論ができる職場の雰囲気づくりを進めていくことが重要です。

〇 また、職員一人ひとりのワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)に

配慮した支援を進めていく必要があります。

〇 通常業務の多様化・複雑化に加え、復興業務の増加・多忙化などにより、過

度のストレスが加わり、心身に不調を来す傾向が続いていることから、ストレ

スが緩和されるように、十分なメンタルヘルス対策に取り組んでいきます。

具体的な取組

(1) コミュニケーションを通じた職場の活性化

① 職場内のコミュニケーションの促進

上司、同僚と十分な「ホウ・レン・ソウ」を図るとともに、担当内でのデ

ィスカッションを深めながら業務を進め、職員の一体感ややりがいを醸成し、

業務の達成感を互いに共有できる職場づくりを促進します。

② セルフアセスメントを活用した業務方針の策定

各職場において、毎年度、業務方針を策定する際に、全員で、自職場の強

みや弱みなどの現状を振り返り、業務目標や達成するためのプロセスについ

て十分に話し合い、共有していきます。

③ 業務の見える化と改善の推進

各職場において、グループ内の業務内容や進捗を共有できる方法を工夫し

て、遅れや弱いところを互いに補完しあうとともに、不断にPDCAサイク

ルによる改善を進めていきます。

(2) 一人ひとりのワーク・ライフ・バランスへの支援

① 仕事と家庭の両立への支援

女性職員のみならず男性職員も育児休業制度を積極的に活用するとともに、

安心して、子育てや介護をしながら仕事に取り組める職場の環境づくりを促

進していきます。

また、育児休業中の職員も能力開発に取り組めるように、eラーニング研

修の受講の機会を提供していきます。

② 積極的な地域活動への参画

職員も地域の一員であり、ボランティア休暇制度を活用したボランティア

活動、PTAや地域イベントへの参加、伝統文化の継承、消防団などの地域

活動に積極的に参画できる職場の環境づくりを促進していきます。

Page 15: 職員育成ビジョン - 岩手県 · Ⅴ 人材育成の基本的方向 ・・・・・・・・・・・ 1 自らの可能性を伸ばし、挑戦し続ける職員の育成 2

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(3) メンタルヘルス対策の強化

① 職員のメンタルヘルス対策の充実

多様化、複雑化する通常業務や膨大な復興業務に伴う心身のストレスを軽

減していくため、日常的な健康管理を徹底するとともに、心身不調の予防・

早期発見と的確な対応ができるように、メンタルヘルスセルフチェックや管

理監督者等を対象とした各種研修、メンタルヘルス相談等を実施します。

② 派遣職員へのフォローアップの強化

他自治体から派遣されている職員や被災市町村に派遣されている職員が、

復興の即戦力として、豊富な経験や能力を発揮することができるよう、関係

機関による連絡会議の開催やメンタルヘルス対策、職員面談、各種研修会、

意見交換を行うなど必要なフォローを実施していきます。