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Syllabus of oral presentations and education lectures 1st MEETING OF JSAIMI 6th October, 2018 Fukuoka International Congress Center The JSAIMI was established in 2018 as a subsidiary study group of Japan Radiological Society, aims to conduct research and clinical application of artificial intelligence in the field of radiology. Japanese Society of Artificial Intelligence in Medical Imaging Supported by Japan Radiological Society 1日本医用画像人工知能研究会学術集会プログラム・講演シラバス ・教育講演 「これでわかるはず 画像のためのディープラーニング入門」  量研機構 量研機構放射線医学総合研究所 立花泰彦 「放射線医学分野への機械学習の適応と日本での現状」 慶應義塾大学 橋本正弘 Chairman of the 1st JSAIMI meeting : Shigeki Aoki Juntendo University ڭ 本医৷൸人ੴચ研究会 -DSDQHVH 6RFLHW\ RI $UWLILFLDO ,QWHOOLJHQFH LQ 0HGLFDO ,PDJLQJ -6$,0, ৫会ቂቇ ਊ世話人 ⻘⽊ 茂樹 順天堂大学大学院医学研究科 ଣ医学 ڭౠ⻑ 林 直人 東京大学 口 ඈ幸 国⽴国際医療研究センター病院 2 &7 WH[WXUH ෲ৷ःञཡ小තのଐபਙ༓શपउऐॊਃ༊学ಆ手১のਫ਼ୈ ി本大学医学部൸൧؞治療科 中ఓ ༫ 2 事学ಆाञञााॽগーছঝॿॵॺডーॡのૡ学ಆपॊຩᇯᯉਙ病の ୶ &7 ൧のਫ਼ୈ ਦ州大学医学部൸医学ઇ 山田 າ 2 部 )'*3(7&7 ൸पउऐॊ GHHS OHDUQLQJ ৷ःञ౮ଞਫ਼ੴ 東京大学医学部ဟര病院 ଣ科 ୨岡 ಊ平 2 ॹーউছーॽン৷ःञੳੴඪ౼ഷ 63(&7 のഷঃターンীథ 順天堂大学医学部 ଣ医学ౠ 和田 昭 ڮౠ⻑ ⻑縄 慎二 名古屋大学 ⻄澤 生 大阪医科大学 2 3URJUHVVLYH *$1 पॊ高൸২ &7 ൸ঽ生成のा 東京大学医学部 ଣ医学ౠ ந谷 ༝ষ 2 *HQHUDWLYH $GYHUVDULDO 1HWZRUN ৷ःञཡතの൸生成पणःथ 名古屋大学医学部ဟര病院 ట藤 ୬ 2 深ಽ学ಆ৷ःञ )'*3(7&7 ਫ਼ਪपउऐॊ೩ෙੳ事ଆ३५ॸの৫ 北海道大学大学院医৶学院 川内 敬 2 深ಽॽগーছঝॿॵॺডーॡ৷ःञॸय़५ॺෲपॊ ৯ႈ೩൸൧ঞএーॺলのਫ਼ୈ ਦ州大学医学部൸医学ઇ 小松 大མ ౠ⻑ 粟井 和夫 広島大学 中田 典生 東京慈恵会医科大学 2 लऽਙཡႈ೩पৌघॊ病のਙध三ઃ੪ীෲप੦तऎ 形ଙథ似 &7 ൸ਫ਼ด३५ॸの৫ 広島大学病院 ଣ൧科 田 大ᤳ 2 'HHS 5HJUHVVLRQ 1HXUDO 1HWZRUN पॊఁങ 05, のਦಀகঔॹঝঃছওタの ؟合成ॹータのापॊ学ಆपउऐॊ学ಆঃছওタのટ 広島市⽴大学大学院 ੲਾ科学研究科 医৷ੲਾ科学௧వ ੜ谷 ේ 2 81HW ৷ःञ大⍴部 &7 の൙の VHJPHQWDWLRQ 慶應義塾大学医学部ଣ科学(൧) ଶ本 ਫ弘 2 81HW उल ELO/670 ৷ःञ部ෞۉڸपउऐॊ 大ဿঽ३५ॸ৫のा 国際医療福祉大学三田病院 ଣ൧センター 岡 直 ౠ⻑ 陣崎 雅弘 慶應義塾大学 柿原 大輔 九州大学 ( ऒोदॎऊॊमङ൸のञीのॹーউছーॽンো 研ਃ༊ ଣ医学総合研究ਚ ⽴୨ ( ଣ医学ীषのਃ༊学ಆのध本दのਠ 慶應義塾大学医学部ଣ科学(൧) ଶ本 ਫ弘 ౠ⻑ 阿部 東京大学 富山 憲幸 大阪大学 %XLOGLQJ $, IRU 0HGLFDO ,PDJLQJ t DQ 8SGDWH 0DVVDFKXVHWWV *HQHUDO +RVSLWDO DQG %ULJKDP DQG :RPHQbV +RVSLWDO &HQWHU IRU &OLQLFDO 'DWD 6FLHQFH *( ঊঝ५؞४কঃン(ઙ)ಈ ൷会ቂቇ 代表幹事 本田 浩 九州大学大学院医学研究院 ਸ਼ 本医学ଣ学会 ఛಏ෫大会7KH WK $XWXPQ $VVHPEO\ RI WKH -DSDQ 5DGLRORJLFDO 6RFLHW\ 0DUN + 0LFKDOVNL 0' 量研機構 放射線医学総合研究所 立花 泰彦 はじめに 人工知能という言葉が世の中に氾濫するようになって何年か経過した。相変わらず「人工知能」とはなんと も神秘的で、人間的で、夢と可能性を感じさせる言葉であるが、一方であいまいで、必要以上に万能感が漂い、 そしてあたかも専門家以外には手が出せないと思わせる威圧感を感じさせる言葉でもある。しかし、「人工知 能」がますます医療分野に進出してくることが確定的ないま、我々医療者はこうした印象に対して過度の憧れ や畏れを抱かず、医療の専門家としてこの技術を必要な範囲で理解し、時に直接扱うことが求められているは ずだ。少しでもその助けになれればと、本講演は「画像のための人工知能」のうち最も代表的な畳み込みニュ ーラルネットワークについて、そのしくみの解説を行うことを話題の中心とした。本稿にはその内容を記載す る。 畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural NetworkCNN) CNN とは深層学習(ディープラーニング)と総称される技術のうち、画像などの2 次元以上のデータに対して 使用されるテクニックであり、画像のクラス分類、検出、セグメンテーション、画像再構成など目的に応じて 様々な機能を持たせることができる。例えば2012 年に発表されたAlexnet は入力された一般的な写真に対し て処理を行い、その写真があらかじめ用意された1000 種類のクラス(猫、犬など)のうちのどれに含まれてい るかを判定することができる(このように入力したデータをあらかじめ決められた候補クラスの中で適切と思 われるクラスへと分類するタスクが「クラス分類」である)。その精度は当時のそのほかの手法と比較して抜 きんでており、CNN を世に広めるのに大いに貢献した。ところで、深層学習の「深層」とは、クラス分類など 最終的な目的となる機能が、より単純な機能を持つアルゴリズム層を複数積み重ねることで達成されているこ とを意味している。例えば上記のAlexnet の場合は、図1 のように複数の「層」構造を持つ模式図で表現する ことができる。左の入力に例えば猫の写真を入力すると、そこからさまざまな処理が行われ、最終的に一番右 1000 個の数字が連なったベクトルが出力される。この1000 個の数字には、例えば1 番目が「画像が犬であ る確率」、2 番目が「画像が猫である確率」…のように、入力された画像が各クラスに属している確率が示さ れるようになっているため、1000 個の数字のうち一番大きな数字が何番目にあるかを見れば、入力した写真 がどのクラスに属するものと判定されたのかがわかる。つまるところ、CNN の機能とは「与えられた画像から なんらかの特徴的な形態情報を抽出し、それを目的に応じて適切に数値化(先の場合は各クラスに属する確率 を示したベクトル化)する能力」であると言える。ではなぜそのようなことができるのか。それは、積み重ね られた層のそれぞれがどのような機能を持っているかを知ることで理解することができる。猫などの自然画像 では複雑すぎるので、以下では何種類かの層が〇と×の画像の特徴をうまく抽出して弁別(2)していく様子 を例にとって解説する。 ある画像が○か×かを判定するのに最も単純な方法は、あらかじめ用意しておいた〇と×のお手本の画像と、 判定を行いたい画像の差分をとる方法であろう。つまりお手本画像と判定したい画像を1 ピクセルごとに比べ、 その差を画像全体で足し合わせる。こうすれば画像が完全に一致していれば和はゼロ、そうでなければその分 3 教育講演1 : これでわかるはず 画像のためのディープラーニング入門 だけ和が増えるので、画像が一致しているかどうか判定して〇か×かを判定できそうである。しかし、この方 法では、図 のように、お手本と少しだけ違った画像が与えられた場合には差はゼロにならない。また、その 差の大きさと画像が○か×かという問題とは必ずしも対応する関係にないことはご想像いただけるであろう。 自然画像や医療画像ではすべての画像は異なるのが当たり前なので、こうしたわずかな違いに影響されてしま う手法は役に立たない。この問題を巧みに解決してくれるのが二次元畳み込み層や二次元マックスプーリング 以降、単に畳み込み層やマックスプーリング層と書くである。 $OH[QHW の構造。 $OH[QHW はクラス分類を行うためのネットワークで、,QSXW に入力した画像に対してその画像が何で あるかをあらかじめ決められた種の答えクラスから選んで判定する。図中で&RQYROXWLRQ0D[ SRROLQJ 等と記載されている四角の一つ一つが「層/D\HU」と呼ばれる機能のモジュールであり、こ れらが積み重なることで全体としての機能を構成している。各層の数字は、その層におけるパラメータ を指し、$[$の形で書かれているのはフィルタのサイズ、RXWは出力チャネル数を示す本文参照また、白い四角の中のカンマで区切られたないし一つの数字はその層へ入力・出力されるデータ の大きさである。本稿では最終的にこの図の理解を目指す。なお、実際にはつめとつめの &RQYROXWLRQ の後には正則化とよばれる処理が入るのだが、本稿では説明しない 4 人間ならすべてを×と柔軟に判断できる が、コンピュータに同じことをさせるにはどう したらよいか。 ○と×を&11 によりどのように判別できる 放射線医学分野への 機械学習の適応と日本での現状 慶應義塾大学医学部放射線科(診断) 橋本正弘 回日本医用画像人工知能研究会 教育講演 機械学習 明示的にプログラムしなくても学習する 能力をコンピュータに与える研究分野 機械学習 ニューラルネット 深層学習 機械学習ができること 分類 回帰(計測・定量化) 検出 領域分割 画質改善(画質改変) 画像生成 分類 回帰 領域分割 画像生成 詳細不明 !:,>:;8,解析を用いた肺小結節の良悪性鑑別における機械学習手法の検討 事前学習済みたたみ込みニューラルネットワークの転移学習による肝腫瘤性病 変の造影!診断の検討 胸部!!画像における+,,7 3,(8505.を用いた異常検知 ディープラーニングを用いた認知症脳血流!の血流低下パターン分類 86.8,990<, による高解像度!画像自動生成の試み ,5,8(:0<, +<,89(80(3 ,:=682を用いた肺結節の画像生成について 深層学習を用いた!!検査における患者誤認事故防止システムの開発 深層ニューラルネットワークを用いたテキスト解析による目的疾患画像診断レ ポート抽出の検討 びまん性肺疾患に対する病変の性状と三次元的分布に基づく形態類似!画像 検索システムの開発 ,,7,.8,99065 ,;8(3,:=682による拡散の信号値モデルパラメタの 推定:合成データのみによる学習における学習パラメタの効果 ",:を用いた大腿部!の筋肉の9,.4,5:(:065 ",:および)03!を用いた胸腹部単純CTにおける大動脈径自動計測シ ステム開発の試み 画像分類問題 !:,>:;8,解析を用いた肺小結節の良悪性 鑑別における機械学習手法の検討 事前学習済みたたみ込みニューラルネット ワークの転移学習による肝腫瘤性病変の造 !診断の検討 ディープラーニングを用いた認知症脳血流 !の血流低下パターン分類 画像分類問題 深層学習では65<63;:065(3,;8(3 ,:=682の独壇場 であれば,90+;(3,:=682およびその 亜種(#0+,,9,:など)が比較的よく 用いられる では"メモリとパラメータ数の せめぎ合い 学習済みモデルが少ない ! 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Page 1: 教育講演・一般口演のシラバスを会場受付にて販売 …ニューラルネット 深層学習 機械学習ができること •分類 •回帰(計測・定量化)

Syllabus of oral presentations and education lectures

1st MEETING OF JSAIMI

6th October, 2018

Fukuoka International Congress Center

The JSAIMI was established in 2018 as a subsidiary study group of Japan Radiological Society, aims to conduct research and clinical application of artificial intelligence in the field of radiology.

Japanese Society of Artificial Intelligence in Medical Imaging

Supported by Japan Radiological Society

第1回 日本医用画像人工知能研究会 学術集会 プログラム・講演シラバス! ・教育講演! "! ! ! 「これでわかるはず 画像のためのディープラーニング入門」 "! ! ! ! ! ! !! 量研機構 量研機構放射線医学総合研究所 立花 泰彦"! ! ! 「放射線医学分野への機械学習の適応と日本での現状」 ! "! ! ! ! ! ! ! ! ! ! 慶應義塾大学  橋本 正弘

Chairman of the 1st JSAIMI meeting : Shigeki Aoki Juntendo University

本医 人 研究会

会 世話人 ⻘⽊ 茂樹 順天堂大学大学院医学研究科 医学

⻑ 林 直人 東京大学

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本医学 学会 大会

量研機構 放射線医学総合研究所 立花 泰彦

はじめに

人工知能という言葉が世の中に氾濫するようになって何年か経過した。相変わらず「人工知能」とはなんと

も神秘的で、人間的で、夢と可能性を感じさせる言葉であるが、一方であいまいで、必要以上に万能感が漂い、

そしてあたかも専門家以外には手が出せないと思わせる威圧感を感じさせる言葉でもある。しかし、「人工知

能」がますます医療分野に進出してくることが確定的ないま、我々医療者はこうした印象に対して過度の憧れ

や畏れを抱かず、医療の専門家としてこの技術を必要な範囲で理解し、時に直接扱うことが求められているは

ずだ。少しでもその助けになれればと、本講演は「画像のための人工知能」のうち最も代表的な畳み込みニュ

ーラルネットワークについて、そのしくみの解説を行うことを話題の中心とした。本稿にはその内容を記載す

る。

畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network:CNN)

CNNとは深層学習(ディープラーニング)と総称される技術のうち、画像などの 2次元以上のデータに対して

使用されるテクニックであり、画像のクラス分類、検出、セグメンテーション、画像再構成など目的に応じて

様々な機能を持たせることができる。例えば 2012 年に発表された Alexnet は入力された一般的な写真に対し

て処理を行い、その写真があらかじめ用意された 1000 種類のクラス(猫、犬など)のうちのどれに含まれてい

るかを判定することができる(このように入力したデータをあらかじめ決められた候補クラスの中で適切と思

われるクラスへと分類するタスクが「クラス分類」である)。その精度は当時のそのほかの手法と比較して抜

きんでており、CNNを世に広めるのに大いに貢献した。ところで、深層学習の「深層」とは、クラス分類など

最終的な目的となる機能が、より単純な機能を持つアルゴリズム層を複数積み重ねることで達成されているこ

とを意味している。例えば上記の Alexnetの場合は、図 1のように複数の「層」構造を持つ模式図で表現する

ことができる。左の入力に例えば猫の写真を入力すると、そこからさまざまな処理が行われ、最終的に一番右

で 1000個の数字が連なったベクトルが出力される。この 1000個の数字には、例えば 1番目が「画像が犬であ

る確率」、2 番目が「画像が猫である確率」…のように、入力された画像が各クラスに属している確率が示さ

れるようになっているため、1000 個の数字のうち一番大きな数字が何番目にあるかを見れば、入力した写真

がどのクラスに属するものと判定されたのかがわかる。つまるところ、CNNの機能とは「与えられた画像から

なんらかの特徴的な形態情報を抽出し、それを目的に応じて適切に数値化(先の場合は各クラスに属する確率

を示したベクトル化)する能力」であると言える。ではなぜそのようなことができるのか。それは、積み重ね

られた層のそれぞれがどのような機能を持っているかを知ることで理解することができる。猫などの自然画像

では複雑すぎるので、以下では何種類かの層が〇と×の画像の特徴をうまく抽出して弁別(図 2)していく様子

を例にとって解説する。

ある画像が○か×かを判定するのに最も単純な方法は、あらかじめ用意しておいた〇と×のお手本の画像と、

判定を行いたい画像の差分をとる方法であろう。つまりお手本画像と判定したい画像を 1ピクセルごとに比べ、

その差を画像全体で足し合わせる。こうすれば画像が完全に一致していれば和はゼロ、そうでなければその分

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教育講演 1 : これでわかるはず 画像のためのディープラーニング入門 ࠊ

だけ和が増えるので、画像が一致しているかどうか判定して〇か×かを判定できそうである。しかし、この方

法では、図 �のように、お手本と少しだけ違った画像が与えられた場合には差はゼロにならない。また、その

差の大きさと画像が○か×かという問題とは必ずしも対応する関係にないことはご想像いただけるであろう。

自然画像や医療画像ではすべての画像は異なるのが当たり前なので、こうしたわずかな違いに影響されてしま

う手法は役に立たない。この問題を巧みに解決してくれるのが二次元畳み込み層や二次元マックスプーリング

層�以降、単に畳み込み層やマックスプーリング層と書く�である。�

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� $OH[QHWはクラス分類を行うためのネットワークで、,QSXWに入力した画像に対してその画像が何で

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SRROLQJ等と記載されている四角の一つ一つが「層�/D\HU�」と呼ばれる機能のモジュールであり、こ

れらが積み重なることで全体としての機能を構成している。各層の数字は、その層におけるパラメータ

を指し、$�[�$の形で書かれているのはフィルタのサイズ、RXWは出力チャネル数を示す�本文参照�。

また、白い四角の中のカンマで区切られた �つ�ないし一つ�の数字はその層へ入力・出力されるデータ

の大きさである。本稿では最終的にこの図の理解を目指す。�なお、実際には �つめと �つめの

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が、コンピュータに同じことをさせるにはどう

したらよいか。�

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慶應義塾大学医学部放射線科(診断)�橋本正弘�

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機械学習�• 明示的にプログラムしなくても学習する能力をコンピュータに与える研究分野�

機械学習

ニューラルネット

深層学習

機械学習ができること�• 分類• 回帰(計測・定量化)• 検出• 領域分割• 画質改善(画質改変)• 画像生成

分類� 回帰� 領域分割� 画像生成� 詳細不明��!�:,>:;8,解析を用いた肺小結節の良悪性鑑別における機械学習手法の検討�事前学習済みたたみ込みニューラルネットワークの転移学習による肝腫瘤性病変の造影�!診断の検討�胸部������!�!画像における+,,7� 3,(8505.を用いた異常検知�ディープラーニングを用いた認知症脳血流 ���!の血流低下パターン分類��86.8,990<,����による高解像度�!画像自動生成の試み��,5,8(:0<,� �+<,89(80(3��,:=682を用いた肺結節の画像生成について�深層学習を用いた�����!��!検査における患者誤認事故防止システムの開発�深層ニューラルネットワークを用いたテキスト解析による目的疾患画像診断レポート抽出の検討�びまん性肺疾患に対する病変の性状と三次元的分布に基づく形態類似�!画像検索システムの開発��,,7��,.8,99065��,;8(3��,:=682による拡散���の信号値モデルパラメタの推定:合成データのみによる学習における学習パラメタの効果�"��,:を用いた大腿部�!の筋肉の9,.4,5:(:065�"��,:および)03�� !�を用いた胸腹部単純CTにおける大動脈径自動計測システム開発の試み

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教育講演・一般口演のシラバスを会場受付にて販売いたします。 (数量に限りがあります)

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