当院における除菌洗浄剤 qc70st、eco200の 残留性の検討...浄剤 eco-200...

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当院における除菌洗浄剤 QC70STECO200残留性の検討 信楽園病院 臨床工学科 1) 同内科 2) アムテック株式会社 3) 日機装株式会社 4) ○星野 1) 齋藤 1) 渡辺 1) 滝本泰海 1) 千田雅行 1) 遠藤信之 1) 古川 1) 阿部町子 1) 保科 1) 池田 1) 桜林 2) 宮崎 2) 鈴木正司 2) 渡邊 順己 3) 横浦 三津夫 4) 橋川 隆一 4) 松永 貴司 4)

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Page 1: 当院における除菌洗浄剤 QC70ST、ECO200の 残留性の検討...浄剤 ECO-200 との残留性の比較 及び洗浄剤内に含有される洗浄助剤の 残留性を比較検討する。

当院における除菌洗浄剤QC70ST、ECO200の

残留性の検討

 信楽園病院  臨床工学科1)  同内科2)  

                 アムテック株式会社3)日機装株式会社4)

○星野  一1)  齋藤 峻1)  渡辺 翔1)  滝本泰海1)  千田雅行1)

  遠藤信之1)  古川 守1)  阿部町子1) 保科 繁1)  池田 裕1)

  桜林 耐 2)  宮崎 滋 2) 鈴木正司2) 渡邊 順己3)横浦 三津夫4)

  橋川 隆一4)松永 貴司4)

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目 的

 当院で現在使用しているAMTEC社

 透析除菌洗浄剤QC-70STと界面活性剤不含有、低発泡性・低吸着性の透析除菌洗浄剤 ECO-200 との残留性の比較

 及び洗浄剤内に含有される洗浄助剤の

 残留性を比較検討する。

 透析装置部材に対する除菌洗浄剤の

 浸漬実験を行い、劣化影響度を比較する。

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 対象機器・配管図

PVDF配管使用

末端監視装置 a

供給装置から26m

末端監視装置 b

供給装置から38m

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 除菌洗浄剤概要

   QC70ST    ・含有成分

  次亜塩素酸ナトリウム、 6%以上

  金属キレート剤

  両性界面活性剤

  解膠剤

    ECO200     ・含有成分

  次亜塩素酸ナトリウム

  6%以上

  カルボン酸系金属キレート剤

  苛性アルカリ

  ケイ酸塩化合物

  縮合燐酸塩化合物

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方 法 1   サンプルスケジュール

監視装置a/b残留塩素電導度

QC70ST金属キレート剤

ECO200苛性アルカリ

ケイ酸塩化合物

◎ ◎

監視装置b

サンプル時間

◎ ◎

◎ ◎ ◎ ◎

○ ○

◎ ◎ ◎ ◎

○ ○ ○ ○○ ○ ○ ○

40分

水      洗

水      洗

ECO200末端希釈濃度600ppm

QC70ST末端希釈濃度600ppm

15分

20分

25分

30分

0分

2.5分

5分

7.5分

10分

 

30分

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方 法 2    測定方法

• DPD残留塩素測定方法    比色法

• 電導度測定方法    監視装置内電導度計

• 洗浄助剤測定方法  QC70ST含有:金属キレート剤

     ペルオキシ二硫酸カリウム分解-モリブデン青                  

          吸光光度法

  ECO200含有:苛性アルカリ・ケイ酸塩化合物:

               ICP発光分光法

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方 法  3 透析監視装置に対する浸漬実験

薬剤

希釈倍率

部材装置メーカ

部材名 材質 浸漬評価条件及び特性評価法

(12000ppm) (1200ppm)

QC70ST 5倍 50倍 樹脂A社

バルブ樹脂 PP1)浸漬評価条件 (有機部材) 液量:800ml 3~4日毎に新試験液に交換

  液温:50℃(恒温器)  浸漬期間:樹脂、ゴム部材…25日間(金属部材) 液温35℃×5日間  (3日毎に新液に更新)

2)劣化状態評価◎:劣化兆候なし○:僅かに劣化兆候あり○△:明らかに劣化兆候あり△:劣化あり

3)特性評価法

実体顕微鏡による表面観察

 *金属はバネ、SUS板との減少重量測

定、腐食度を比較

戻り口フィルターケース TPX

ホース接手 PES

B社 戻り口フィルターケース TPX

ECO200 5倍 50倍

ゴム

A社シリコンチューブ シリコン

      バルブ・カプラーOリング フッ素

12%次亜 10倍 100倍B社

シリコンチューブ シリコン

カプラーOリング・SW部品 フッ素

金属* A社 バネ SUS

RO水 -上記部材

上記同社

上記同部材上記同材

*PP:ポリプロピレン *TPX:ポリメチルペンテン *SUS:ステンレス鋼 *PES:ポリエーテルスルホン

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0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

0分 2.5分 5分 7.5分 10分 15分 20分 25分 30分 40分

時間(分)

QC70ST装置a

ECO200装置a

QC70ST装置b

ECO200装置b

n=4 Mean±S.D.

 結 果 1    残留塩素濃度比較

供給装置から

26m

38m

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 結 果 2      電導度比較n=4 Mean±S.D.

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

0分 2.5分 5分 7.5分 10分 15分 20分 25分 30分 40分

時間(分)

mS/cm

QC70ST装置a

ECO200装置a

QC70ST装置b

ECO200装置b

 

供給装置から

26m

38m

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 結 果 3   洗浄助剤残留比較         (監視装置b 供給装置から38m)

0

5

10

15

20

25

30

35

40

0分 2.5分 5分 7.5分 10分 15分 20分 25分 30分 40分

時間(分)

QC70ST含有 金属キレート剤

n=1 

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

0分 2.5分 5分 7.5分10分 15分 20分 25分 30分 40分

時間(分)

mg/L

0

2

4

6

8

10

12

14

16

μg/g

苛性アルカリ

ケイ酸塩化合物

n=4 Mean±S.D.

ECO200含有 洗浄助剤 

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結果4 浸漬実験部材表面画像(樹脂)

部材

装置メーカー

部材名 材質   観察法

RO水QC70ST×5倍

QC70ST×50倍

ECO200×5倍

ECO200×50倍

12%次亜×10倍

12%次亜×100倍

-12000ppm

1200ppm

12000ppm

1200ppm

12000ppm

1200ppm

樹脂

A社

バルブ樹脂 PP 実体200倍              

戻り口フィルターケース

TPX実体200倍

              

ホース接手 PES実体500倍

              

B社

戻り口フィルターケース

TPX実体200倍

              

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 結 果 5  浸漬実験部材表面画像 (ゴム)

-12000ppm

1200ppm

12000ppm

1200ppm

12000ppm

1200ppm

シリコンチューブ シリコン内表面実体

500倍

バルブフッ素ゴム

表面実体

500倍

カプラーOリング フッ素表面実体

500倍

シリコンチューブ シリコン内表面実体

500倍

カプラーOリングフッ素ゴム

表面実体

500倍

SW部品フッ素ゴム

表面実体

500倍

装置メーカー

ECO200×5倍

ECO200×50倍

12%次亜×10倍

12%次亜×100倍

QC70ST×5倍

QC70ST×50倍部

材観察法材質

RO水

ゴム

ゴム

A社

B社

部材名

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 結 果 6  浸漬実験部材表面画像 (金属)

-12000ppm

1200ppm

12000ppm

1200ppm

12000ppm

1200ppm

A社

バネ SUS実体30倍

-SUS板

(コントロール部材)

SUS実体5000倍

部材

金属

観察法材質部材名

メー

カー

12%次亜

×10倍

12%次亜

×100倍RO水

QC70ST

×5倍

QC70ST

×50倍

ECO200×5倍

ECO200

×50倍

※※

※孔食部

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RO水 QC70ST

×50倍

QC70ST

×5倍

ECO200

×50倍

ECO200

×5倍

12%次亜

×100倍

12%次亜

×10倍

0.000

0.002

0.004

0.006

0.008

0.010

0.012

腐食

度(g/(m

2・h)

1

浸漬液処方

 結 果 7  洗浄剤 SUS304板           腐食度比較

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部材装置

メーカー部材名 材質

劣化状態評価

QC/ECO 12%次亜

5倍 50倍 10倍 100倍

樹脂

A社

バルブ樹脂 PP ◎ ◎ △ ○△

戻り口フィルターケース TPX ◎ ◎ ○ ◎

ホース接手 PES ◎ ◎ ◎ ◎

B社 戻り口フィルターケース TPX ○ ◎ ○ ◎

ゴム

A社

シリコンチューブ シリコン ◎ ◎ ○△ ○

バルブ フッ素 ◎ ◎ ○ ◎

カプラーOリング フッ素 ◎ ◎ ○ ◎

B社

シリコンチューブ シリコン ◎ ◎ ○△ ○

カプラーOリング フッ素 ◎ ◎ ◎ ◎

SW部品 フッ素 ◎ ◎ ◎ ◎

金属 A社 バネ SUS ◎ ◎ ○△ ○

◎<○<○△<△の序列で劣化の影響大

 結 果 8   浸漬実験結果

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考 察残留塩素、電導度は10~15分で検出限界以下となったが、各洗浄助剤が、検出限界以下と

 なるには最低20分を要した。

移転前:QC70STの洗浄助剤及び残留塩素試験では、全てが、検出感度以下に到達するまで

 30分~60分要していた。

配管長、配管材質変更による流速変化などで時間短縮されたと考えられる。

ECO200とQC70STの透析監視装置部材への劣化影響度はほぼ同等であると思われる。

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まとめ

・ 当院におけるECO200及びQC70STの

  残留塩素濃度及び各洗浄助剤を検出限界

  以下にするためには、薬液消毒後水洗時間が

  最低20分以上必要である。

・ ECO200は、QC70STと同様に部材劣化が     

  少なく、劣化が軽減できると思われる。

・ 長期的な検討が必要である。