下肢静脈瘤患者に対する波長 1470 nm レーザーおよび...

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8 原  著 はじめに 下肢静脈瘤に対する低侵襲治療である血管内レーザー 焼灼術(endovenous laser ablation; EVLA)は,2011 年の保 険適用以来広く本邦でも行われるようになっている.し かし,EVLA の術後には治療静脈に沿った疼痛,皮下出 血,硬結やつっぱり感がしばしば認められ 1, 2,波長 980 nm レーザーの治験では皮下出血が 56.5%,疼痛が 37.1%と報告されている 3.これらの合併症を減少させ るために EVLA ではこれまでにさまざまな波長(8102000 nm)のレーザーが使用されている 4.これらのレー ザーは波長 1000 nm 以上の水に特異的に吸収される水特 異性波長(water-specific laser wavelength; WSLW)とヘモグ ロビンに特異的に吸収されるヘモグロビン特異性波長 hemoglobin-specific laser wavelength; HSLW)に分類さ 5,最近では WSLW である波長 1470 nm レーザーが 注目されている 6~8また,光ファイバーも jacket-tip fiber 9diffusion fiber 10radial fiber 11などさまざまなタイプが開発され ている.なかでも radial fiber はプリズムによってレー ザー光を偏光し,360˚ 放射状に照射する光ファイバー で,レーザー光を静脈壁に均一に直接照射できるため, 静脈の穿孔を防ぐことができる.Radial fiber と波長 1470 nm レーザーを組み合わせることによって術後皮下 出血や疼痛の減少が報告されている 12~16.しかし,radial fiber はファイバーの静脈壁への付着が起こり操作性が 低下したり,付着を解除する際にファイバーが必要以上 1 お茶の水血管外科クリニック(Tel: 03-5281-4103101-0062 東京都千代田区神田駿河台 2-1-4 ヒルクレスト御茶ノ水 5 2 福島第一病院心臓血管病センター 3 JR 仙台病院外科 4 諸國眞太郎クリニック 5 慶友会つくば血管センター 受付:2014 6 1 受理:2014 7 30 doi: 10.11401/jsvs.14-00042 下肢静脈瘤患者に対する波長 1470 nm レーザーおよび Radial 2ring fiber による血管内レーザー焼灼術の 多施設共同並行群間比較試験 広川 雅之 1 小川 智弘 2 菅原 弘光 3 諸國眞太郎 4 佐藤 彰治 5 要  旨: 【目的】本治験は下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術(EVLA)における波長 1470 nm レー ザーの有効性および安全性の評価を目的として多施設共同並行群間比較試験として実施した.【対象と方 法】 2012 9 月から 2013 3 月に EVLA を施行された下肢静脈瘤患者 113 例(113 肢)を対象とし,波長 1470 nm レーザーと radial 2ring fiber を使用した I 群(57 肢)および波長 980 nm レーザーを使用した E 56 肢)に無作為に割り付けた.術後 12 週における治療静脈の血流遮断率,術後疼痛の有無,疼痛の visual analogue scale VAS),皮下出血の有無を評価した.【結果】血流遮断率は両群 100%で,疼痛(0vs. 25.0%)および皮下出血(7.0vs. 57.1%)は I 群で有意に少なかった(p<0.0001).疼痛の VAS 最高値は I 6.3±9.6E 22.8±19.0 で,I 群で有意に低値であった(p <0.0001).疼痛の VAS の推移は術後 2 週目まで I 群で有意に低かった.有害事象は endovenous heat-induced thrombus class 2 I 1 例,E 2 例, class 3 I 1 例,E 1 例認められたが,深部静脈血栓症は認められなかった.【結論】波長 1470 nm レーザーと radial 2ring fiber による EVLA は,従来の波長 980 nm レーザーと bare-tip fiber による EVLA 比較して術後の疼痛と皮下出血を有意に減少させ,安全で低侵襲な治療であると考えられた.(日血外会 2014;23:964–971索引用語:下肢静脈瘤,血管内レーザー焼灼術,1470 nm レーザー,radial 2ring fiberVAS スコア 日血外会誌 2014;23:964–971

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■ 原  著

はじめに

 下肢静脈瘤に対する低侵襲治療である血管内レーザー焼灼術(endovenous laser ablation; EVLA)は,2011年の保険適用以来広く本邦でも行われるようになっている.しかし,EVLAの術後には治療静脈に沿った疼痛,皮下出血,硬結やつっぱり感がしばしば認められ1, 2),波長980 nmレーザーの治験では皮下出血が 56.5%,疼痛が37.1%と報告されている3).これらの合併症を減少させ

るために EVLAではこれまでにさまざまな波長(810~2000 nm)のレーザーが使用されている4).これらのレーザーは波長 1000 nm以上の水に特異的に吸収される水特異性波長(water-specific laser wavelength; WSLW)とヘモグロビンに特異的に吸収されるヘモグロビン特異性波長(hemoglobin-specific laser wavelength; HSLW)に分類され5),最近ではWSLWである波長 1470 nmレーザーが注目されている6~8). また,光ファイバーも jacket-tip fiber9),diffusion

fiber10)や radial fiber11)などさまざまなタイプが開発されている.なかでも radial fiberはプリズムによってレーザー光を偏光し,360˚放射状に照射する光ファイバーで,レーザー光を静脈壁に均一に直接照射できるため,静脈の穿孔を防ぐことができる.Radial fiberと波長1470 nmレーザーを組み合わせることによって術後皮下出血や疼痛の減少が報告されている12~16).しかし,radial

fiberはファイバーの静脈壁への付着が起こり操作性が低下したり,付着を解除する際にファイバーが必要以上

1 お茶の水血管外科クリニック(Tel: 03-5281-4103)〒 101-0062 東京都千代田区神田駿河台 2-1-4 ヒルクレスト御茶ノ水5階2 福島第一病院心臓血管病センター3 JR仙台病院外科4 諸國眞太郎クリニック5 慶友会つくば血管センター受付:2014年 6月 1日受理:2014年 7月 30日doi: 10.11401/jsvs.14-00042

下肢静脈瘤患者に対する波長 1470 nmレーザーおよび Radial 2ring fiberによる血管内レーザー焼灼術の

多施設共同並行群間比較試験

広川 雅之1  小川 智弘2  菅原 弘光3  諸國眞太郎4  佐藤 彰治5

要  旨:【目的】本治験は下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術(EVLA)における波長 1470 nmレーザーの有効性および安全性の評価を目的として多施設共同並行群間比較試験として実施した.【対象と方法】2012年 9月から 2013年 3月に EVLAを施行された下肢静脈瘤患者 113例(113肢)を対象とし,波長1470 nmレーザーと radial 2ring fiberを使用した I群(57肢)および波長 980 nmレーザーを使用した E群(56肢)に無作為に割り付けた.術後 12週における治療静脈の血流遮断率,術後疼痛の有無,疼痛の

visual analogue scale(VAS),皮下出血の有無を評価した.【結果】血流遮断率は両群 100%で,疼痛(0% vs.

25.0%)および皮下出血(7.0% vs. 57.1%)は I群で有意に少なかった(p<0.0001).疼痛の VAS最高値は I群6.3±9.6,E群 22.8±19.0で,I群で有意に低値であった(p<0.0001).疼痛の VASの推移は術後 2週目までI群で有意に低かった.有害事象は endovenous heat-induced thrombusの class 2が I群 1例,E群 2例,class 3が I群 1例,E群 1例認められたが,深部静脈血栓症は認められなかった.【結論】波長 1470 nm

レーザーと radial 2ring fiberによる EVLAは,従来の波長 980 nmレーザーと bare-tip fiberによる EVLAと比較して術後の疼痛と皮下出血を有意に減少させ,安全で低侵襲な治療であると考えられた.(日血外会誌 2014;23:964–971)

索引用語:下肢静脈瘤,血管内レーザー焼灼術,1470 nmレーザー,radial 2ring fiber,VASスコア

日血外会誌 2014;23:964–971

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965 2014年 12 月 広川ほか:1470 nmレーザー多施設共同比較試験

に移動して焼灼が不十分となる危険性がある.これを防ぐためにプリズムを 2個にした radial 2ring fiberが開発された.Radial 2ring fiberはレーザー装置近位側の照射部であらかじめ静脈を収縮させ,次に,遠位側の照射部で静脈壁の焼灼を確実に行う.レーザー光は 2つのリングから照射されるため,単位面積当たりの照射エネルギーが radial fiberの約半分となり,radial fiberで生じる静脈壁への付着を軽減させることができる. 本治験は下肢静脈瘤に対する EVLAにおける波長1470 nmレーザーと radial 2ring fiberの有効性および安全性を評価するために,波長 980 nmレーザーと従来のbare-tip fiberを対照群として多施設共同並行群間比較試験として実施した.

対象および方法

 本治験は独立行政法人医薬品医療機器総合機構に届出のうえ行われた治験(治験実施計画書番号:INT,治験の標題:下肢静脈瘤患者に対する INT02の比較臨床試験,治験依頼者:株式会社インテグラル)である.なお,本治験はヘルシンキ宣言の精神および厚生労働省の「医療機器の臨床試験の実施の基準(GCP)」を遵守し,患者に対して本治験の目的,方法および予期される不利益に関して十分に説明し,自由意志による治験への参加の同意を文書で得たうえで実施した.

1.対象 本治験は 2012年 9月から 2013年 3月に 5箇所の実施医療機関(お茶の水血管外科クリニック,福島第一病院,JR仙台病院,諸國眞太郎クリニック,守谷慶友病院)で行われた.各実施医療機関を受診した患者のうち,一次性の伏在型静脈瘤(最大血管径 20 mm以下の大伏在静脈瘤または小伏在静脈瘤)を有し,同意取得時に20歳以上で文書での同意を得られる外来患者を対象とした.以下の①~⑰の条件いずれかに抵触する患者は除外した.①静脈瘤発生の主たる原因が 2~3 mm以上の不全穿通枝による場合,②心,肺,肝,腎等の各臓器に起因して全身状態が悪く,本治験に耐えられないと治験責任医師または治験分担医師が判断した場合,③下肢蜂窩織炎を伴う感染がある場合,④深部静脈血栓症を有するまたは血栓症の既往のある患者,⑤血栓性素因を有する患者,⑥表在性血栓性静脈炎の既往のある患者,⑦下肢リンパ浮腫を伴う患者,⑧動脈性血行障害を有する患者,⑨同意取得前 1年以内に,施行対象血管に対し他の治療を受けている患者または,同意取得後から本治験終了までに予定している患者,⑩治験期間中,併用禁止療

法(EVLA,瘤切除,抜去切除術,高位結紮術および硬化療法)を行う予定の患者,⑪麻薬等,薬物依存の既往のある患者,⑫妊婦,または妊娠している可能性のある患者,⑬経口避妊薬あるいはホルモン剤を服用中の患者または,治験期間中に服用予定の患者,⑭ステロイド剤を服用している患者,⑮止血薬を服用中の患者,⑯同意取得前 3カ月以内に他の治験に参加した患者,⑰その他治験責任医師または治験分担医師が不適と判断する患者.

2.治験機器 被験機器は波長 1470 nmの半導体レーザー(Ceralas

E1470/15W, CeramOptec GmbH, Germany)および radial

2ring fiber(ELVeS Radial 2ringTM fiber, CeramOptec GmbH,

Germany)を使用した.Radial 2ring fiberは,ファイバー先端の 6 mm離れた 2個のプリズムによって,レーザー光が側面から 360˚全周性に照射される外径 1850 μmの光ファイバーである(Fig. 1).対照機器として本邦で医療機器として承認されている波長 980 nmの半導体レーザー(Ceralas E Model 15W/980 nm, CeramOptec GmbH,

Germany)および外径 1100 μm(コア径 600 μm)の bare-tip

fiberを使用した.3.被験者の登録および割付 被験機器である波長 1470 nmレーザーによる EVLA

施行患者を I群,対照機器である波長 980 nmレーザーによる EVLA施行患者を E群とした.被験機器の対照機器に対する有効性の非劣性を検証するために必要な症例数から目標症例数は各群 55例ずつの計 110例とした.治験参加の同意が得られた患者は,各施設で事前検

Fig. 1 Radial 2ring fiber. A radial 2ring fiber (ELVeS Radial 2ringTM fiber,

CeramOptec GmbH, Germany) emits the laser energy radially from two prisms at the tip, 6 mm apart.

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966 日血外会誌 23巻 7 号

査後に症例登録用紙を登録センターに送付した.登録センターで選択基準および除外基準に基づき適格と判断した症例のみを症例登録し,治験機器割付責任者が医療機関ごとの症例登録順に無作為に I群または E群を割り付けた.

4.手術方法  手術は治療対象静脈に対する EVLAのみを行い,瘤切除,抜去切除術,高位結紮術および硬化療法は併用しなかった.術前に超音波観察下に治療する伏在静脈の走行を皮膚上にマーキングした.静脈へのアクセスは基本的に伏在静脈の遠位側から超音波ガイド下穿刺による経皮アプローチにより行った.ガイドワイヤーおよびイントロデューサーシース(以下シース)を伏在静脈内に挿入し,超音波ガイド下にシース周囲に tumescent local

anesthesia(TLA麻酔)を施行した.TLA麻酔液は生理食塩水にエピネフリン添加リドカインおよび炭酸水素ナトリウムを混合して作製した3).TLA麻酔後に radial 2ring

fiberまたは bare-tip fiber(以下ファイバー)をシースに挿入し,I群ではシースを刺入部より完全に抜去し,E群ではファイバーとシースを接続した.ファイバー先端を深部静脈接合部より 1~2 cm遠位側に誘導し,両群ともレーザー出力 10 Wで照射エネルギー密度(linear

endovenous energy density; LEED)が 70~85 J/cmとなるようにファイバーを用手的に牽引しながら超音波観察下にレーザーを照射した.照射は 1回のみ行い,追加照射が必要と判断された場合は治験を中止した. 術後は,治療部位にガーゼを当て大腿部までの弾性ストッキングを装着した.手術翌日にガーゼをはずし,術後 5日までは大腿部までの弾性ストッキングを装着した.術後 6日からは膝下までの弾性ストッキングを術後4週まで装着した.鎮痛剤としてロキソプロフェンナトリウム 1回 60 mg,1日 3回を 2日間投与した.

5.評価項目1)主要評価項目  有効性の主要評価項目は術後 12週における治療静脈の血流遮断率とした.術後 1日,5日,2週,4週および 12週に超音波検査を行い血流遮断の有無を判定し,術後 12週の結果から両群の血流遮断率を算出した.安全性の主要評価項目は術後観察期間中の疼痛発生率とした.術後 1日,5日,2週,4週および 12週に疼痛の有無を判定し,観察期間中に 1度でも疼痛が認められた症例を「疼痛あり」とした.

2)副次評価項目 安全性の副次評価項目は疼痛の visual analogue scale

(VAS)と皮下出血,有害事象および術中の被験機器の不具合発生率とした.疼痛の VAS測定は術後 1日,5

日,2週,4週および 12週に行い,観察期間中の VAS

の最高値を評価した.皮下出血の有無は下肢の写真撮影によって術後 1日,5日,2週および 4週に評価し,観察期間中に 1度でも皮下出血が認められた症例を「皮下出血あり」とした.有害事象の有無は手術日と術後 1

日,5日,2週,4週および 12週に医師の診察により評価した.

6.評価方法1)有効性 治療静脈の血流遮断の判定基準は,立位にて超音波検査で治療した静脈全長を観察し,エコープローブによる圧迫で静脈が潰れない,潰れるがミルキング操作によって全く血流が確認されない,あるいは血流が確認されるがその範囲が 5 cm以下の場合を血流遮断とした17~19).

2)安全性 疼痛の評価は,疼痛の訴えがあるが自制内であった場合は「疼痛なし」,鎮痛剤の追加投与や局所のクーリングなどの処置が必要であったり,疼痛のために日常生活に支障があった場合を「疼痛あり」とした.VASは長さ100 mmの VASスケールを用いて評価した.診察時に被験者本人に疼痛の度合いを VASスケールで示してもらった.VASスケールの左端(0 mm)が「痛みなし」,右端(100 mm)が「想像できる最高の痛み」とし,左端から被験者が示した位置までの距離(mm)を測定者が読み取り VASとした.皮下出血の評価は,撮影した写真を本治験の実施医療機関以外の医師 3名によって皮下出血の有無を判定した.皮下出血が治療範囲の 20%以上に一定以上の濃さで認められた場合,あるいは 20%以下でも色が著しく濃い場合を「皮下出血あり」とした.医師 2

名以上の意見が一致した判定結果を各写真の判定結果とした.

7.統計学的手法

 統計学的検討には 2群間の比較には対応のない t検定あるいはWilcoxon検定,2群間の比率の比較には χ2検定あるいは Fisher直接法を用いて p<0.05を有意差ありとした.血流遮断率は両群の血流遮断率の差の両側95%信頼区間が,非劣性限界 −12%以上は劣らない場合を I群は E群に対し非劣性であるとした.

結  果

1.患者の内訳および背景 治験参加の同意を得られた 124名のうち,除外基準に

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967 2014年 12 月 広川ほか:1470 nmレーザー多施設共同比較試験

抵触した 9名および同意を撤回した 2名を除いた一次性下肢静脈瘤患者 113例が治験に登録され,I群に 57

例,E群に 56例が割付された(Fig. 2).全例が治験を完了し解析対象症例として採用された.患者背景は平均年齢,性別,対象静脈,静脈径および CEAP分類は両群ともほぼ同様であり有意差は認められなかった(Table 1).

2.有効性の評価 術後 12週を含む全観察時期の血流遮断率は両群とも100%であった(Table 2).したがって,群間差が算出できないため,I群が不利になるように 1例を「遮断されていない」と仮定して群間差の 95%信頼区間を算出した.その結果,群間差が −1.8%,群間差の 95%信頼区間が −5.2~1.7%となり,I群が不利になる処理をしても95%信頼区間の下限が非劣性限界値 −12%を上回り,I

群の E群に対する有効性の非劣性が認められた.

Fig. 2 Consort flow diagram of the study.

Table 1 Demographic data for patients

Group I Group E 1470 nm, radial 2ring fiber 980 nm, bare-tip fiber

P value*

Patient No. (limbs) 57 (57) 56 (56) Mean age (years), mean±SD 57.4±10.7 59.3±8.8 NSWomen (%) 84 86 NSTreated veins  GSV 52 50

NS SSV 5 6 Mean vein diameter (mm), mean±SD 6.7±1.5 6.5±1.6 NSCEAP classification  C2 33 33  C3 14 14 NS C4a 10 9

GSV, great saphenous vein; SSV, small saphenous vein; CEAP, Clinical Ethiological Anatomical Pathological classifica-tion; NS, not significant; *Unpaired t test or χ2 test

Table 2 Postoperative data

Group I Group E

Parameters (n=57) (n=56) P value*

12 weeks occlusion rate (%) 100% 100% NS

Pain, number of limbs (%) 0 14 (25.0) <0.0001

Ecchymosis, 4 (7.0) 32 (57.1) <0.0001 number of limbs (%)

Maximum VAS, mean±SD 6.3±9.6 22.8±19.0 <0.0001

VAS, visual analogue scale; NS, not significant;*Wilcoxon signed-rank test, χ2 test or Fisher’s exact test

3.安全性の評価1)主要評価項目 治療部位の疼痛は E群 14例(25.0%)に認められたが I

群では認められず(0%),I群は E群に比べ疼痛発生率が有意に低かった(p<0.0001)(Table 2).

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968 日血外会誌 23巻 7 号

2)副次評価項目(1)疼痛の VAS

 VAS最高値の平均 ±標準偏差は,I群 6.3±9.6,E群22.8±19.0で I群は E群に比べ有意に低値であった(p<0.0001)(Table 2).VASの推移は術後 1日(2.8±5.6 vs.

12.4±17.2; p =0.0007),5 日(2.5±5.9 v s . 18.1±17.9;

p<0.0001),2週(3.0±7.9 vs. 6.7±11.0; p=0.0022),4週(0.7±2.3 vs. 1.0±3.5; p=0.7407)および 12週(0.3±1.8 vs.

0.0±0.0; p=0.1656)で,E群では術後 5日にピークを認めたが I群は大きな変動はみられず,術後 1日,5日および 2週で E群に比べ有意に低値であった(Fig. 3).(2)皮下出血 皮下出血は I群 4例(7.0%),E群 32例(57.1%)に認められ,I群は E群に比べ皮下出血が有意に少なかった(p<0.0001)(Table 2).(3)有害事象(Table 3) 治験機器との因果関係が否定できない有害事象は 45

件認められた.索状感は I群 4例(7.0%),E群 8例(14.3%),圧痛は I群 0例(0%),E群 4例(7.1%),硬化は I群 1例(1.8%),E群 3例(5.4%),つっぱり感は I

群 0例(0%),E群 2例(3.6%),神経障害は I群 0例(0%),E群 1例(1.8%)で,いずれも E群に多い傾向があったが有意差は認められなかった.血栓性の有害事象は endovenous heat-induced thrombus(EHIT)の class 2がI群 1例(1.8 %),E群 2例(3.6 %),class 3が I群 1例(1.8%),E群 1例(1.8%),血栓性静脈炎が I群 1例(1.8%),E群 0例(0%),瘤内血栓が I群 1例(1.8%),E

群 1例(1.8%)に認められたが有意差はなかった.その

他,感冒,頭痛,関節痛等が I群 7例(12.3%),E群 7

例(12.5%)に認められた.(4)術中の被験機器の不具合 術中に被験機器の不具合は認められなかった.

考  察

 EVLA,高周波焼灼術(radiofrequency ablation; RFA)および硬化療法による血管内治療において,その有効性は治療静脈全長の閉塞の有無で評価される.静脈閉塞は超音波検査によって静脈の圧縮性および血流がないことで判断されるが17),radial fiberによる EVLA術後には,治療静脈の一部に圧縮性はあるが血流がない部分的開存がしばしば観察される16).また,血管内治療後には通常,深部静脈接合部に 3 cm以下の血流を伴う開存があるため,5 cm以上の開存を治療の不成功と評価する場合が多い18, 19).以上より,本治験では,圧縮性があるが血流はない場合,および血流があるがその範囲が 5 cm以下の場合を含めて血流遮断として有効性の評価を行った.術後 12週の時点で,両群とも深部静脈接合部以外の部位に圧縮性および血流が存在する症例はなく血流遮断率は 100%であり,有効性の主要評価項目である術後 12

週の血流遮断率は I群の E群に対する非劣性が認められた.術後 12週と比較的短期間であるが被験機器によるEVLAは対照機器による EVLAと比べ有効性は非劣性であった.波長 1470 nmレーザーは生体内の水に強く吸収され,ヒト静脈壁では波長 980 nmレーザーと比べ約9倍の吸収係数があるため20),静脈に直接照射した場合,波長 1470 nmレーザーは光エネルギーが効率よく吸

Fig. 3 Changes in visual analogue scale of pain. Visual analogue scale of pain was significantly lower on

postoperative day 1 (p=0.0007), day 5 (p<0.0001) and 2nd weeks (p=0.0022) in group I. Data was expressed as mean ± SD. Wilcoxon signed-rank test, NS, not signifi-cant.

Table 3 Complications

Complication, Group I Group Enumber of limbs (%) (n=57) (n=56)

P value*

Induration 4 (7.0) 8 (14.3)

Tenderness 0 4 (7.1)

Sclerosis 1 (1.8) 3 (5.4)

Pulling sensation 0 2 (3.6)

Paresthesia 0 1 (1.8) NS

EHIT Class 2 1 (1.8) 2 (3.6)

EHIT Class 3 1 (1.8) 1 (1.8)

Thrombophlebitis 1 (1.8) 0

Thrombus in the vein 1 (1.8) 1 (1.8)

Others 7 (12.3) 7 (12.5) –

EHIT, endovenous heat-induced thrombus; NS, not significant; *χ2 test or Fisher’s exact test

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969 2014年 12 月 広川ほか:1470 nmレーザー多施設共同比較試験

収されて波長 980 nmレーザーより強い熱変性を起こす.また,静脈内に血液が存在する場合でも血液中の水分に吸収されて間接的に静脈を焼灼することができる.したがって,HSLWである波長 980 nmレーザーと比べ,より強く静脈傷害を起こすと考えられる.現在まで波長の違いによって静脈閉塞率に差を認めたという報告はないが,波長 1470 nmレーザーと radial fiberによるEVLAでは静脈閉塞率は 99.6~100%8, 12~16)と,波長 980

nmレーザーによる EVLAの 88.0~100%21, 22)と同等の成績が報告されている. 安全性の主要評価項目である疼痛発生率および副次評価項目である疼痛の VASの最高値は被験群で有意に低値であった.VASの推移も被験群で術後 2週目まで対照群に比べ有意に低値であった.治療部位の疼痛はEVLA後の約 30%に認められ23),従来の HSLWレーザーによる EVLAではストリッピング手術と差はなく24),同じ血管内治療である RFAと比べ疼痛が多く認められる25).しかし,WSLWである波長 1470 nmレーザーを使用すると EVLA術後の疼痛が少なく7, 14, 15),bare-tip fiberと比べ radial fiberとの組み合わせによってより疼痛が少なくなると報告されている8, 12, 16).Doganci

ら13)は,今回の治験と同様に,波長 980 nmレーザーとbare-tip fiberによる EVLAを対照とした波長 1470 nm

レーザーと radial fiberによる EVLAの前向き無作為化比較試験を行い,波長 1470 nmレーザー群で EVLA後の疼痛の持続期間,鎮痛剤の使用が有意に少なかったと報告している.今回の検討では radial fiberと同様に radial

2ring fiberでも波長 1470 nmレーザーとの組み合わせでも EVLA術後の疼痛は少なく,低侵襲な治療が可能であることが証明された. EVLA後の治療部位の皮下出血は軽度のものまで含めるとほぼ全例に認められ,通常 2~3週間で消失しとくに後遺障害は残さない23).しかし,皮下出血は主にレーザーによる静脈壁の穿孔によって起こるため,その頻度は静脈が適切に焼灼されているかどうかの指標となる.また,女性に多い疾患である下肢静脈瘤では皮下出血の発生は術後の行動制限につながり生活の質を低下させる.皮下出血はその定義によってその頻度が大きく異なってくる.今回の治験では皮下出血を客観的に評価するために治療部位を写真撮影し,後日,治験担当医師以外の複数の医師によって評価を行った.その結果,皮下出血は被験群で対照群に比べ有意に少なかった(7.0%

vs. 57.1%,p<0.0001).興味深いことに対照群の皮下出血発生率は,前回の波長 980 nmレーザーの臨床治験に

おける皮下出血発生率(56.5%)とほぼ同じであった.波長 1470 nmレーザーは波長 980 nmレーザーと比べ静脈に直接照射した場合,穿孔を起こす平均エネルギー密度が低いが20),皮下出血の発生はレーザーの波長の違いよりも光ファイバーの形状に大きく影響される.波長1470 nmレーザーと bare-tip fiberによる EVLAでは 60%以上に皮下出血を認めるが7),radial fiberとの組み合わせでは bare-tip fiberを使用した波長 980 nm8, 13)および1470 nmレーザー16)による EVLAに比べ有意に皮下出血が少なかったと報告されている.Radial fiberはレーザー光がファイバーの側面から広い面積に照射されるため単位面積当たりの照射エネルギー(フルエンス)が通常の1/5~1/9であり静脈壁の穿孔が起こりにくい11).Radial

2ring fiberでは radial fiberよりもさらにフルエンスが低く,全周性により均一に静脈を焼灼するため26)穿孔が起こりにくく皮下出血が少なかったと考えられた. 一般的に EVLAは RFAと比べ術後の疼痛が強く,皮下出血も多いと報告されているが,今回の検討では被験機器による EVLAは RFAと同等の成績を示した.ClosureFASTカテーテルを用いた RECOVERY study27)では 10ポイントスケールによる疼痛の VASの最高値が術後 48時間で 0.7であったのに対し,今回の検討では全観察期間中の最高値の平均が 6.3(10ポイント換算0.63),術後 1日が 2.8(同 0.28)であり,皮下出血は面積25%以上が 2週間後に最高 2.3%であったのに対し,面積 20%以上が全観察期間で 7.0%であった. 安全性において高位結紮術を伴わない EVLA術後に問題となる合併症は,深部静脈血栓症(deep vein throm-

bosis; DVT)と EHITである.EHITは焼灼した静脈端から血栓が深部静脈内に伸展した状態で,Kabnickらはclass 1~4に分類している 28).EVLA術後 DVTは 0~7.7%,EHITは 0.9~2.3%に認められるが,中枢型のDVTは比較的稀であり29),今回の治験でも両群ともDVTは認められなかった.EHIT class 3が各群 1例ずつ発生したが,被験群では術後 4日目に発生し,対照群では術後 6日目に class 2であったものが術後 13日目にclass 3となり,治験審査委員会で審議した結果,治験の継続が承認され術後 12週まで観察が行われた.EHIT症例に肺塞栓症を疑わせる症状はなく,肺塞栓症の検索を行わなかったため無症候性肺塞栓症の合併は否定できないが,いずれも抗凝固療法により治験期間中に血栓の消失が確認された.その他の有害事象を含め,被験群と対照群に有意な差はなく安全性は同等であると考えられた.

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970 日血外会誌 23巻 7 号

おわりに

 本治験の有効性の主要評価項目である術後 12週の血流遮断率は,被験機器の対照機器群に対する非劣性が認められ,安全性の主要評価項目である疼痛発生率は被験群で有意に低かった.また,副次評価項目である疼痛のVASの最高値,皮下出血発生率も被験群で対照群に比べ有意に低値であり,両群の有害事象発生率に差はなく,機器の不具合もなかった.以上より,波長 1470 nm

レーザーと radial 2ring fiberによる EVLAは,従来の波長 980 nmレーザーと bare-tip fiberによる EVLAと比較して有効性は非劣性であり,従来問題となっていたEVLA術後の疼痛と皮下出血を有意に減少させ,安全で低侵襲な治療であると考えられた.

謝  辞

 最後に,本研究においてご協力いただきました諸國眞太郎クリニックの間野正之先生,慶友会つくば血管センターの久米博子先生およびお茶の水血管外科クリニックの栗原伸久先生,光岡明人先生,伴祐子先生に深く感謝いたします.

利益相反

 本治験の費用は株式会社インテグラルが負担した.広川雅之は株式会社インテグラルより顧問料および講演料を受けた.諸國眞太郎は株式会社インテグラルより講演料を受けた.小川智弘,菅原弘光,佐藤彰治は利益相反はない.

文  献

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Comparison of 1470 nm Laser and Radial 2ring Fiber with 980 nm Laser and Bare-tip Fiber in Endovenous Laser Ablation of Saphenous Varicose Veins:

A Multicenter, Prospective, Randomized, Non-blind Study

Masayuki Hirokawa,1 Tomohiro Ogawa,2 Hiromitsu Sugawara,3 Shintaro Shokoku,4 and Shoji Sato5

1 Ochanomizu Vascular and Vein Clinic 2 Cardiovascular Center, Fukushima Daiichi Hospital

3 Department of Surgery, Sendai Hospital of the East Japan Railway Company 4 Shokoku Shintaro Clinic 5 Tsukuba Vascular Center

Key words: varicose vein, radial 2ring fiber, 1470 nm laser, endovenous laser ablation, visual analogue scale

Objective: The aim of this study is to compare the clinical efficacy and safety of two laser wavelengths and fiber

types in endovenous laser ablation (EVLA) of saphenous varicose veins of the lower limb. Design: Multi-center

prospective randomized non-blind clinical trial. Patients and Methods: From January 2007 to December 2011, 113

patients (113 limbs) with primary varicose veins were randomized into two groups. They were treated with radial 2ring

fiber and 1470 nm laser in group I (57 limbs) and bare-tip fiber and 980 nm laser in group E (56 limbs) in order to ablate

the saphenous vein. Vein occlusion rates at 12 weeks and pain in treated region were recorded as primary endpoint.

Visual analogue scale (VAS) for assessment of pain, rates of bruising, complications and equipment failure were

recorded as secondary endpoint of safety. Results: Occlusion rates at 12 weeks were 100% in both groups. Rates of

pain (0% vs. 25.0%) and bruising (7.0% vs. 57.1%) were significantly lower in group I (p<0.0001). VAS of pain was

significantly lower on postoperative day 1, day 5 and 2nd weeks in group I. Conclusion: Treatment of saphenous

varicose veins by EVLA using a 1470 nm laser and a radial 2ring fiber resulted in comparable occlusion rates at 12

weeks and less postoperative pain and bruising than EVLA with a 980 nm laser and a bare-tip fiber.

(Jpn J Vasc Surg 2014;23:964–971)