計測標準と計量管理 計測標準と計量管理3号 平成26年11月18日 … ·...

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計測標準 計量管理 MEASUREMENT STANDARDS and METROLOGY MANAGEMENT 計測標準フォーラム講演会(1) 〜自動車産業を支える計測技術と計量標準〜 一般社団法人 日本計量振興協会 Japan Association For Metrology Promotion http://www.nikkeishin.or.jp 特集 C O N T E N T S 自動車生産技術と計測・計量 デジタルエンジニアリングを支える三次元計測技術 自動車の安全・安心を支える振動・衝撃加速度標準の開発と課題 自動車産業で活用される電磁波の計量標準 品質工学に基づく最初のISO規格 ―ISO16336ロバストパラメータ設計(RPD) 技能試験におけるロバスト統計処理について 新たな計量士活動について 計量・計測管理における計量士の役割と将来のあり方について 実習ゲームを通して学ぶ測定の不確かさ 産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質 アジア太平洋試験所認定協力機構(APLAC)第20回年次総会及び関連会合報告 温度指示計器のJCSS認定取得 液中粒子数濃度標準の高度化 IAJapanコーナISSN 1880-1420 平成26年11月20日 2014 Vol.64 No.3

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  • 計測標準と計量管理

    ●特集 

    計測標準フォーラム講演会⑴ 

    〜自動車産業を支える計測技術と計量標準〜

    第64巻 

    第3号 

    二〇一四年    

    計測標準と計量管理MEASUREMENT STANDARDSandMETROLOGY MANAGEMENT

    計測標準フォーラム講演会(1)〜自動車産業を支える計測技術と計量標準〜

    一般社団法人 日本計量振興協会 Japan Association For Metrology Promotionhttp://www.nikkeishin.or. jp

    特集

    C O N T E N T S

    �自動車生産技術と計測・計量�デジタルエンジニアリングを支える三次元計測技術�自動車の安全・安心を支える振動・衝撃加速度標準の開発と課題�自動車産業で活用される電磁波の計量標準�品質工学に基づく最初のISO規格

     ―ISO�16336ロバストパラメータ設計(RPD)―�技能試験におけるロバスト統計処理について�新たな計量士活動について�計量・計測管理における計量士の役割と将来のあり方について�実習ゲームを通して学ぶ測定の不確かさ�産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質�アジア太平洋試験所認定協力機構(APLAC)第20回年次総会及び関連会合報告�温度指示計器のJCSS認定取得�液中粒子数濃度標準の高度化IAJapanコーナー

    ISSN 1880-1420平成26年11月20日

    2014Vol.64No.3

    計測標準と計量管理3号    平成26年11月18日 印刷  平成26年11月20日 発行

    雑誌 03317-11 〔定価3,240円(本体3,000円+税)〕

  • 品質工学に基づく最初の ISO規格 ―ISO16336ロバストパラメータ設計(RPD)―

    独立行政法人 産業技術総合研究所 小池 昌義… 30

    技能試験におけるロバスト統計処理について

    公益財団法人 日本適合性認定協会 小島 勇夫… 35

    新たな計量士活動について

    一般社団法人 東京都計量協会 竹添 雅雄… 40

    計量・計測管理における計量士の役割と将来のあり方について

    OTプランニング株式会社 小野 威… 46

    実習ゲームを通して学ぶ測定の不確かさ 日髙計量士事務所 日髙 鉄也… 49

    産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質

    独立行政法人 産業技術総合研究所 大畑 昌輝… 55

    アジア太平洋試験所認定協力機構(APLAC)第20回年次総会及び関連会合報告

    独立行政法人 製品評価技術基盤機構 藤間 一郎… 58

    温度指示計器の JCSS認定取得 株式会社 チノーサービス 髙橋 和浩… 61

    液中粒子数濃度標準の高度化

    独立行政法人 産業技術総合研究所 坂口 孝幸… 64

    IAJapanコーナー 独立行政法人 製品評価技術基盤機構… 71

    編集後記 事 務 局… 76

    自動車生産技術と計測・計量 トヨタ自動車株式会社 大竹 英世… 2

    デジタルエンジニアリングを支える三次元計測技術

    独立行政法人 産業技術総合研究所 高辻 利之… 9

    自動車の安全・安心を支える振動・衝撃加速度標準の開発と課題

    独立行政法人 産業技術総合研究所 大田 明博… 14

    自動車産業で活用される電磁波の計量標準

    独立行政法人 産業技術総合研究所 島田 洋蔵、石居 正典、飴谷 充隆… 23

    ⑴の両脇

    8分アキは

    ⑵になった

    らトル

    計測標準フォーラム講演会 (1)~自動車産業を支える計測技術と計量標準~特集

  • は じ め に

    はじめに、私のような者に講演の機会を与えていた

    だいたことに感謝する。

    ハイブリッド車や電気自動車など進化する車。そし

    て、そんな車づくりを支える生産技術。本日の講演で

    は、計測・計量が生産技術にどう係わっていくべきか、

    計測・計量に携わる人材はどう働き方を変えていくべ

    きかを当社計測技術部の取り組みを紹介しながら、提

    言させていただく。

    トヨタ自動車の紹介

    当社は、本社を愛知県豊田市に置き、自動車の生産・

    販売を主な事業としている。創立は、1937年8月28

    日、従業員は、連結で約34万人である(図①参照)。

    国内の生産拠点は、愛知県に12工場あり、100%出

    資会社が、北海道・東北・東海・九州に各1社ある(図

    ②参照)。海外の生産拠点は、27ケ国に52の製造事業

    体があり、グローバルに事業展開をしている。また、

    トヨタ車は、海外の160ヶ国以上で販売されている

    (図③参照)。

    図④は、グローバルビジョンである。どんな企業で

    ありたいのか。どんな価値観を大切にしていくのか。

    こうした企業のあるべき姿や、目指すべき道を一本の

    木でイメージしている。

    計測標準と計量管理

    自 動 車 生 産 技 術 と 計 測 ・ 計 量

    トヨタ自動車株式会社

    計測技術部次長 大 竹 英 世

    計測標準フォーラム講演会(1)

    【基調講演】

    図①:会社概要

    図②:国内の生産拠点

    図③:海外の生産拠点

    特集

  • は じ め に

    ものづくりの世界においてデジタルエンジニアリン

    グが主流となっていることは周知の事実であろう。そ

    こでは、設計から解析、製造、検査まで全てデジタル

    データを使ってものづくりが行われる。

    デジタルエンジニアリングは効率的なものづくりを

    行うための方法であり、理想ではあるが、まだ発展途

    上の技術でもある。そこにおけるさまざまな技術的課

    題のなかでここでは、計測技術、その中でも特に長さ

    計測に関連した課題について取り上げる。

    クローズドループエンジニアリング

    高品質な工業製品を製造するためには、製品の寸法

    や形状などを高精度に測定する必要がある。簡易な検

    査ゲージから高精度なものまでさまざまな測定機が使

    われるが、デジタルエンジニアリングに最も親和性の

    高い測定機は三次元測定機(CMM)である。例えば、

    CADデータをそのまま工作機械に読み込ませたり、

    CMM に読み込ませたりすることがある程度可能であ

    り、またCADデータとCMM による測定結果を比

    照合して合否判定などに用いることもできる。このよ

    うな有用性から、今後ますますCMM が使用される頻

    度と重要性は増すであろう。

    ところが上述したような、一つのデジタルデータが

    ものづくりの一連のステップをきれいに流れて、最後

    に高品質な製品ができるような状況ばかりではない。

    実際の製品がCAEで予想していたのとは異なる振る

    舞いをして製品が不合格になったり、破損して事故を

    起こしたりすることさえ起こりうる。このようなこと

    が起こる原因の一つは、設計図通りに製品ができてい

    ないことである。程度の差はあれ図面通りに部品が加

    工されていることは決してない。したがって、製品の

    真の振る舞いをCAEによって予想するためには、

    CAEで使用する元データはCADの図面ではなく、実

    際の製品を測定してデジタルデータ化したものでなけ

    ればならない。

    以上の説明を図に表すと図①になる。つまりものづ

    くりのステップは一方向の線形なものではなく、円形

    になっている。これを我々はクローズドループエンジ

    ニアリング(CLE)と名付けた。言うまでもなくCLE

    において最も重要な技術は計測技術である。

    非接触三次元測定機の利用

    三次元測定機(CMM)は長い歴史を持つ測定機で

    ある。得られる結果は測定試料の表面を表す三次元座

    標の羅列(点群)であるが、点群から計算によりあら

    ゆる幾何学パラメータを導出することができる。

    CMM は長い間接触式プローブを使って「点」測定

    をしてきた。高精度であるけれども、測定時間がかか

    ることが最大の欠点である。前述のCLEで必要とす

    Vol.64,No.3, 2014

    デジタルエンジニアリングを支える三次元計測技術

    独立行政法人 産業技術総合研究所

    高 辻 利 之

    計測標準フォーラム講演会(1)

    【講 演】

    図①:クローズドループエンジニアリングの概念

    特集

  • は じ め に

    振動・衝撃加速度は、物体の直線的な運動を表す物

    理量であると共に、地震等の災害予知、道路や橋梁等

    のインフラ設備や発電所等のプラント施設の健全性評

    価、自動車をはじめとする工業製品の対人・対物安全

    性並びに品質安定性の確保、という観点から社会の安

    全・安心を支える重要なパラメータとして位置付けら

    れている。

    特に自動車産業における振動・衝撃加速度計測の需

    要は最も大きく、衝突安全性や静粛性を担保するため

    の手段として用いられている。例えば、衝突安全性能

    試験では、試験車を衝突させたときの運転席と助手席

    に乗せたダミーの頭部が受けた振動・衝撃加速度から

    計算される頭部傷害値(HIC)が、乗員の保護性能を

    示す重要な評価基準となっている。また、ノッキング

    センサによるエンジンの挙動測定では、5kHz~

    10kHzの周波数帯域の振動加速度の大きさが乗り心

    地を含めた性能を左右する重要な設計指針となってい

    る。

    本稿では、自動車産業で必要とされる振動・衝撃加

    速度計測器の校正法、国際規格、関連する我が国の計

    量標準の開発状況とその技術的課題について述べる。

    振動・衝撃加速度計測器と校正の必要性

    振動・衝撃加速度を計測する機器は、「被測定物に

    取り付けて測定する計測器」と「被測定物に非接触で

    測定する計測器」の2種類に大別される。接触式の計

    測器は、図①に示すように基本的にばねとおもりとダ

    ンパから成るサイズモ系を構成することにより、被測

    定物とは無関係な基準位置を作り出して、被測定物の

    振動・衝撃加速度を測定する。代表的な計測器として

    は、サーボ型加速度計(加速度検出)や圧電型加速度

    計(加速度検出)、ひずみゲージ式加速度計(加速度検

    出)がある。一方、非接触式の計測器は、絶対座標系に

    静止しているという前提条件で、被測定物との相対速

    度や相対変位を測定する。代表的な計測器としては、

    レーザドップラ式振動計(速度検出)や渦電流式振動

    計(変位検出)、静電容量式振動計(変位検出)がある。

    これらの計測器は基本的に振動・衝撃加速度及びそ

    の関連量(速度・変位)を電圧等の何らかの物理量に

    置き換えた形で出力するが、その出力信号と振動・衝

    撃加速度との間には直接的な結びつきはない。したが

    って、振動・衝撃加速度計測器には必ず校正が必要と

    なる。特に、サイズモ系を構成する接触式の計測器で

    は、機械的な共振が存在し、感度に大きく影響するこ

    とから、その周波数特性が重要なファクタとなる。

    振動・衝撃加速度計測器の校正は、図②に示すよう

    に1次校正と2次校正の2種類に大別される。

    1次校正は、加速度が時間と長さの組立量であるこ

    計測標準と計量管理

    自動車の安全・安心を支える振動・衝撃加速度標準の開発と課題

    独立行政法人 産業技術総合研究所

    イノベーション推進本部 イノベーション推進企画部

    総括企画主幹 大 田 明 博

    図①:接触式計測器(加速度計)の検出原理

    計測標準フォーラム講演会(1)

    【講 演】

    特集

    サイズモ系

    加速度レベル

    測定対象物

  • は じ め に

    自動車の高度化が進められる中で、様々な電子制御

    機器や電波利用機器が自動車に搭載されるようになっ

    た。それに伴い、自動車における電波障害を抑制し安

    全性能を保証するために、電磁環境に係るEMC(Elec-

    tromagnetic Compatibility:電磁環境両立性)試験

    や製品性能のより正しい定量的評価が必要不可欠とな

    ってきている。また、自動車内外の電磁環境がより複

    雑化し、高い信頼性を確保した評価のために、試験方

    法などに関する国際規格において、測定に使用される

    計測機器のトレーサビリティ要求が定められ、計量ト

    レーサビリティに基づく製品評価が重要となってきて

    いる。

    本稿では、自動車関連機器の電磁環境と性能評価に

    活用される電磁波領域の計量標準について、独立行政

    法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター

    (NMIJ:National Metrology Institute of Japan)

    で開発整備を進めている電磁波標準の一例について紹

    介する。なお「電磁波」は、広義の意味では周波数の

    低い電波領域から、ミリ波、光波、ガンマ線などの放

    射線領域まで含まれるが、ここでの電磁波は特に注釈

    のない限り「電波」領域を意味する用語として用いる。

    以下2章において自動車と電磁波の関係について、電

    波利用とEMCの二つの側面から概説する。3章では

    EMC試験等で重要となるアンテナ標準について紹介

    する。また、4章では自動車衝突防止用の車載レーダ

    として利用されるミリ波帯レーダの性能評価に必要な

    レーダ散乱断面積標準について紹介し、5章において

    まとめとする。

    自動車と電磁波

    最近の自動車は、ひと昔前の自動車に比べ、自動制

    御系の高機能な電子機器や、ETC(Electrical Toll

    Collection System)や GPS(Global Positioning

    System)などの電波利用機器を数多く搭載しており、

    寸法や振動などの機械系の試験評価のみならず電気系

    の試験評価も自動車の性能評価として重要となってき

    ている。その中で、自動車と電磁波の関わり合いにつ

    いて考えると、大きく二つの観点に分けられる。一つ

    は、自動車の高度化のために電波を積極的に利用する

    という立場で、電波を利用した車載機器としては、前

    述のETC、GPSの他にも、衝突防止用車載レーダ、ス

    マートエントリー、ラジオ受信器など様々なものが使

    われ開発が進められている。もう一方の観点は、携帯

    電話や通信機器等の電磁ノイズによって自動車の電子

    制御機器が誤動作を起こしたり、逆に自動車に搭載さ

    れている電子機器自体が他の電子機器に対する不要電

    磁放射の発生源になってしまったりということを防ぐ

    ため、これらの予防対策を施すことによって電磁波障

    害を防止するという立場である。

    この電波の有効利用と電磁波障害の防止という、あ

    る意味で二律背反の立場にある二つの課題を、自動車

    の利便性と信頼性の向上のために解決していかなけれ

    ばならない。そのために必要なのが、正しい計測結果

    に基づく正しい性能評価である。電磁波障害防止に関

    しては、国際的に自動車EMC基準などが作られ、製

    品(各車載機器および完成車)として基準適合性を証

    明することが要求されており、これらの客観的な評価

    のために、計量トレーサビリティに基づく試験が求め

    られている。

    電磁波の計量トレーサビリティの国家標準として整

    Vol.64,No.3, 2014

    自動車産業で活用される電磁波の計量標準独立行政法人 産業技術総合研究所

    計測標準研究部門 電磁波計測科長 島 田 洋 蔵計測標準研究部門 電磁波計測科 電磁界標準研究室

    主任研究員 石 居 正 典主任研究員 飴 谷 充 隆

    計測標準フォーラム講演会(1)

    【講 演】

    特集

  • は じ め に

    品質工学(世界ではTaguchi Methodsと呼ばれて

    いる)に基づいた初めての ISO規格が、2014年7月1

    日に発行された。この規格は、品質工学の中心的な方

    法論であるロバストパラメータ設計を規格化したもの

    であり、日本からの提案により、ISO/TC69/SC8で

    開発された。ここでは、この規格の内容と制定の経緯

    を簡単に紹介する。

    RPD規格の内容

    . 規格の名称

    新たに制定された規格 の正式名称は、

    ISO16336:2014Applications of statistical and

    related methods to new technology and product

    development process -Robust parameter design

    (RPD)

    である。日本語に訳せば、

    ISO16336:2014新技術・新製品開発プロセスのため

    の統計的および関連手法の応用 - ロバストパラメー

    タ設計(RPD)

    となる。なお、この名称は、日本語訳の JIS規格はま

    だ制定されていないので、筆者の仮訳である。以下、

    本文の紹介の中でも仮訳である。

    ロバストパラメータ設計(RPD)は、日本では単に

    「パラメータ設計」と呼称されているが、海外では「ロ

    バスト設計」とも呼ばれている。また、品質工学は

    Robust Quality Engineeringと呼ばれることがある。

    このように、品質工学は機能性(ロバストネス)を評

    価指標とすることが特徴であることから、「ロバスト」

    をタイトルに組み入れた。すなわち、ロバストネスの

    向上を目指して設計パラメータの値を設定することに

    より、設計を最適化するという設計方法の規格である。

    . 規格の適用範囲

    規格の目的を表現した適用範囲では、

    「この国際規格は、ロバストな製品を実現するため

    に、タグチメソッドに基づいた有効な最適化の方法論

    であるロバストパラメータ設計(RPD、単に、パラメ

    ータ設計ともいう)を適用するに当たっての指針を規

    定する。」

    と規定されている。平たくいえば、パラメータ設計適

    用の指針である。

    この規格では、「ロバストネス」がキーワードとなっ

    ており、その評価の定量的な指標としてSN比が規定

    されている。「ロバスト」という用語は、統計学的には

    統計的方法の結果が外れ値データなどに大きく依存し

    ない方法であることを意味するが、この規格では、製

    品などの使用段階で、ノイズレベルによらず製品や技

    術の機能が変化しないことを意味する。ロバストな製

    品や技術において、その出力は信号に敏感であるが、

    ノイズに対して鈍感となる。これがシグナル対ノイズ

    比(SN比)を最大化させる設計であるRPDの基礎で

    ある。

    RPDの適用対象は広く、機械製品、化学製品、電気

    製品、食品、日用品、ソフトウェア、新規素材、サー

    ビスなどを含む、人間が設計し製造する製品すべてに

    RPDは適用できる。また、様々な技術もRPDの適用

    対象となる。例えば、製造技術は製造プロセスにおい

    て使われる一種の製品(技術)であると考えることが

    でき、そのときの使用者はその製造工程である。RPD

    の実施については、実験によるデータ取得だけでなく、

    シミュレーションによるデータ取得の場合も含まれて

    いる。

    計測標準と計量管理

    計量管理

    品質工学に基づく最初の ISO規格―ISO 16336ロバストパラメータ設計(RPD)―

    独立行政法人 産業技術総合研究所

    小 池 昌 義

  • は じ め に

    技能試験は、試験所のパフォーマンスの評価の他に

    も、試験方法の有効性や同等性評価、試験所における

    要員の教育・訓練などの様々な目的で広く用いられる。

    試験所のパフォーマンスの評価における役割としては、

    試験所の能力を認定するための規格 JIS Q17025 の

    5.9項「試験・校正結果の品質の保証」において、“限

    定はされないが、試験所間比 又は技能試験プログラ

    ムへの参加”の要求にも示される。このため、JIS Q

    17025を基準とした試験所認定プログラムを運用する

    公益財団法人日本適合性認定協会(JAB)では、試験

    所の能力を確認する透明性が高い客観的な証拠を与え

    る手段として、試験所・校正機関等の認定において、

    少なくとも4年に1回、取得した認定範囲の内、主要

    な認定範囲毎に1つの技能試験に参加することを義務

    付けている。

    試験所認定が国際的な広がりを見せる中、ISO/IEC

    17043(JIS Q17043) による技能試験提供者の認定

    も必要性が増大している。アジア太平洋地域において

    は、米国、中国、オーストラリアなどを中心に、

    APLAC(アジア太平洋試験所認定協力機構、Asia

    Pacific Laboratory Accreditation Cooperation)の

    MRA(相互承認)に基づきすでに100を超える認定さ

    れた提供者が存在する。残念ながら、我が国の認定数

    は現在まだ1機関のみである。EU地域でも技能試験

    提供者の認定が始まっていることから、近いうちに

    ILAC(国際試験所認定協力機構、International Labo-

    ratory Accreditation Cooperation)MRAに組み込

    まれることになると考えられる。

    技能試験におけるパフォーマンス評価では適切な統

    計手法を用いることが要求される。統計手法を記述す

    る規格に ISO13528がある。この規格は、現在改訂中

    で、DIS.2版 が出版された段階であるが、すでに多く

    のユーザに利用されているようである。幅広く改訂が

    進められているが、ここでは改訂内容が大きいパフォ

    ーマンス評価に用いるロバスト統計手法に限って紹介

    したい。

    試験所のパフォーマンス評価とロバスト統計

    技能試験による試験所のパフォーマンス評価を定量

    的に表す統計量として、パーセンテージ差分 、 スコ

    ア、En数などが用いられる。パフォーマンス評価で

    は参加試験所の報告値と技能試験の付与値が比 され

    るが、多くの試験所が参加する技能試験では付与値に

    対して参照値などを用いず、参加者の合意値として統

    計処理した値を使うことが多い。報告値には計算処理

    の誤りや不適切な測定方法の適用などにより外れ値を

    含むことがあるため、規格 (ISO/IEC17043)の要求

    として外れ値が及ぼす影響を最小化することが求めら

    れ、そのためにロバスト統計手法を用いるか、統計的

    外れ値を検出するための適切なテストを行うことが要

    求される。

    参加試験所の合意値を用いる場合の評価の指標とし

    て、一般的には次式で表される zスコアが用いられる。

    =-

    σ

    ここで、 は参加試験所の報告値、 は技能試験の

    付与値、σは技能評価の標準偏差で、後者の2つのパ

    ラメータはロバスト統計法で推定する対象となる。

    スコアは、パフォーマンスの評価の判定基準とし

    て、スコアの絶対値が2以下なら満足であるが、3を

    越えると不満足、2から3の範囲は要注意のように用

    Vol.64,No.3, 2014

    計量管理

    技能試験におけるロバスト統計処理について

    公益財団法人 日本適合性認定協会

    認定センター

    審議役 小 島 勇 夫

  • は じ め に

    一般社団法人東京都計量協会に勤務する一般計量士

    (以下計量士)として、協会の理念である都民への計量

    思想の普及や計量意識の高揚、豊かで快適な生活のた

    めの適正な計量管理の推進及び計量関係者の連携を深

    め、都民の計量文化の向上に寄与することを目的とし

    て活動している。

    本稿では計量士としての法定検査業務に止まらぬ、

    新たな業務、活動内容を紹介する。通常業務である計

    量器の検査業務と協会内の部会組織である計量管理研

    究部会事務局業務に加え、製薬会社の計量管理責任者

    であった経験に基づくGMP (Good Manufacturing

    Practice:製造管理及び品質管理の基準)と計量計測

    の管理業務、そして教育・啓蒙の一環として出身大学

    の学生へ最新計量計測技術とGMPに関する講義及び

    ゼミの実施、更に協会外活動として東京計量士会の理

    事活動、一般社団法人日本計量振興協会の機関紙編集

    委員及び不確かさクラブ会員活動を通した新たな計量

    士活動の方向性や可能性についての検討等である。

    尚、本稿は平成26年2月28日に開催された第12回

    全国計量士大会で発表した同テーマの講演内容を再構

    成してまとめたものである。

    検査業務と事務局業務

    検査業務は一般社団法人東京都計量協会(以下 東京

    都計量協会)の主たる業務である指定定期検査機関と

    しての質量計検査及び代検査による質量計、血圧計の

    検査業務である。事務局業務としては東京都計量協会

    の一部会である計量管理研究部会の事務局を担当し、

    年度計画に基づき運営している。この部会は東京都計

    量協会に加盟する会員会社の主に適正計量管理事業所

    が集まった研究会組織で、現在26社が加盟し活動して

    いる。

    計量管理研究部会の事業内容

    . 適正計量管理主任者養成講習会の実施

    東京都計量検定所との共催で毎年7月(生産関係)

    と2月(流通関係)に都内各事業所の計量担当者を対

    象に開催している。生産、流通関係ともに毎回30~35

    名の受講者があり、修了者には東京都計量検定所から

    認定書が授与される(図①)。

    . 計量管理強調月間「標語」の募集及び表彰

    毎年、会員会社からの応募作品を厳正審査し、選出

    された最優秀賞2点を短冊にして東京都計量協会の全

    263社へ配布している。平成25年度は応募会社の社内

    選考を通過した全106点中から最優秀賞として2作品

    が選出された(図②)。

    . 計量記念日事業への参加

    毎年11月1日の計量記念日に新宿駅西口で開催さ

    れる「都民計量のひろば」に参加し、計量マジックを

    披露して都民の計量に対する意識の高揚を図っている。

    計測標準と計量管理

    計量管理

    新 た な 計 量 士 活 動 に つ い て

    一般社団法人 東京都計量協会 計量管理事業部

    計量士 竹 添 雅 雄

    図①:平成 年度適正計量管理主任者養成講習会(生産)

  • は じ め に

    第12回全国計量士大会が平成26年2月28日にホ

    テルインターコンチネンタル東京ベイで開催され、上

    記のテーマで講演を行ないました。以下にその講演内

    容について述べさせていただきます。

    計量・計測機器類は全ての産業の基盤を成すもので

    あり、これらの計量・計測機器類は全ての生産活動に

    不可欠のもので、これらの知識を持っている計量士の

    活躍する場所は産業界に多く存在します。これらの観

    点から計量士の活動として現状の計量管理業務から製

    造の工程管理・品質管理まで幅広い活動が可能になる

    と思われます。これらの幅広い活動を行うためには計

    量士自身の意識改革も重要になります。また、計量士

    は立派な国家資格でありますので、この資格を十分に

    活用する場合は適正管理事業所を拡大する必要があり

    ます。しかし、現状では適正管理事業所のメリットが

    少ないので、適正管理事業所の認定を受けない企業が

    多くなってきております。適正管理事業所のメリット

    を明確にし、さらに拡張していくことによって多くの

    企業が適正管理事業所の認定を受けるようにしていく

    ことが重要で、計量士の資格を活用するために計量士

    自身が各方面に働きかけていく努力が必要であります。

    計量士の将来の方向性としては、計量・計測の幅広

    い知識を生かして生産の工程管理や品質管理を含めた

    全ての管理を行なうトータルマネージメントを目指し、

    さらに計量・計測を含めた生産の技術コンサルタント

    業務等も視野に入れた活動が出来るものになると思っ

    ております。

    計量・計測管理の重要性及び必要性

    計量・計測機器類は全ての産業の基盤を成すもので

    あり、これらの計量・計測機器類は生産活動に不可欠

    のものであります。その産業界においてよい品質の製

    品を製造するためには工程管理・品質管理が非常に重

    要であり、下図に示すように計量・計測機器類は計

    量・計測管理の重要なツールとして重要な役割を担っ

    ております。

    計測標準と計量管理

    計量管理

    計量・計測管理における計量士の役割と将来のあり方について

    OTプランニング株式会社

    代表取締役社長・計量士 小 野 威

    図①

  • は じ め に

    測定の不確かさは ISO/JIS Q10012規格の要求か

    ら、測定プロセスに関わる担当者に普及を図る必要が

    あるが、不確かさは難しいとする先入観からか、その

    理解は十分ではない。そこで、モノづくりの現場で行

    われている基礎的な長さ測定を題材として、測定の不

    確かさ評価の目的と求め方をゲーム感覚で修得する実

    習課題を発案したので、その適用事例を紹介する。

    ノギスのミニ知識と測定実習

    () 学習の目的

    測定の不確かさを求める実習において、一般的な長

    さ測定の測定に使用されているノギスを使用するが、

    受講者の中には全くノギスによる測定経験が少なく、

    測定実習ができない場合があるので、ノギスのミニ知

    識と測定実習を実施している。

    () ノギスの基礎知識

    ノギスの発明から、現在までの発展の過程、図①に

    示す、アナログノギスの名称、バーニヤ目盛の読み方

    及びノギスの持ち方を紹介している。

    () 測定実習

    モノづくりにおける長さ測定の基本的な測定項目を

    想定して、外幅、内幅、高さ、及び外径の測定を行う、

    図②の示すコマと枠形状の測定サンプルによる測定実

    習課題を設定した。特にコマは保持が不安定でかつ、

    測定箇所の影響が大きく測定が難しいサンプルとして、

    設定している。

    コマ及び枠の測定サンプル毎に3か所の測定箇所に

    ついて3回の繰り返し測定を行い、その結果を測定者

    が判断している。

    Vol.64,No.3, 2014

    測定の不確かさ研修事例

    実習ゲームを通して学ぶ測定の不確かさ

    日髙計量士事務所

    日 髙 鉄 也

    図①:アナログノギスの各部の名称・目盛の読み方・持ち方

  • (独)産業技術総合研究所 計量標準総合センター

    (以下、NMIJ)では、ISO/IEC17025:2005及び ISO

    Guide34:2009に適合する品質システムに基づき、国

    家計量機関として国際的に認められる認証標準物質

    (CRM)の開発・供給を行っています。また、この品質

    システムは、(独)製品評価技術基盤機構(NITE)の認

    定センター(IAJapan)のASNITEプログラムによる

    認定を受けています。

    NMIJで開発されたCRM(NMIJ CRM)は、EPMA

    用、膜厚測定用、超微細空孔測定用、イオン注入量測

    定用、ナノ粒子計測用、ファインセラミックス分析用

    および蛍光X線分析用の材料CRM をはじめ、無機高

    純度CRM、有機CRM(純物質、標準液、臨床検査

    用)、高分子材料CRM、環境組成CRM(環境分析用、

    食品分析用、化学形態分析用標準液)、グリーン調達対

    応CRM、ガスCRM、熱物性CRM と多岐にわたり、

    これまでに200以上のCRM が開発されてきました。

    これらCRM の認証書の見本は、NMIJホームページ

    (https://www.nmij.jp/service/C/crm/)から閲覧・ダ

    ウンロードすることができます。2013年9月から、本

    ページに検索機能が追加されましたので、これまでよ

    りも簡便にNMIJ CRM を検索・閲覧して頂けるよう

    になりました。また、NMIJ認証標準物質カタログ

    2014-2015(https://www.nmij.jp/service/C/CRM

    Catalog 20140828.pdf)およびNMIJ CRM 有効期

    限・供給状況一覧(https://www.nmij.jp/service/C/

    crmlist-J20140819.pdf)も、NMIJホームページの標

    準物質のページ(https://www.nmij.jp/service/C/)か

    ら閲覧・ダウンロードすることができます。これら

    CRM は、取り扱い業者(https://www.nmij.jp/service/

    C/20140828.pdf)から購入することができます。2013

    年10月から、日本国内標準物質検索データベースの

    RMinfoと、国際標準物質データベースのCOMAR

    が、NMIJホームページから閲覧できるようになりま

    した(https://www.nmij.jp/rminfo/)。NMIJ CRM だ

    けではなく国内外の多くの標準物質について、NMIJ

    ホームページから情報が得られるようになりましたの

    で、是非ご利用頂ければと思います。また、NMIJ

    CRM とは別に、純度校正サービス(依頼試験)も2011

    年7月15日から開始しています。これは主に、定量

    NMRを用いた高純度有機標準物質について純度測定

    を行うサービスです。詳細は、https://www.nmij.jp/

    service/C/calib/またはhttps://www.nmij.jp/service/

    P/calibration/iraishiken140615.pdfの試験校正の種

    類「31.純度」をご覧頂ければと思います。2013年5

    月からは、「32.薄膜・多層膜」の「膜厚」についての校

    正サービスも新規に開始しました。また2014年度から

    は、NF ガスの校正サービスも加わる予定です。情報

    は順次更新していく予定ですが、不足、不明な点など

    ありましたら、NMIJホームページからお問い合わせ

    頂ければ幸いです(https://www.nmij.jp/inquiry/)。

    表①に、2014年度から頒布が開始された新規NMIJ

    CRM を示します(酸化チタンナノ粒子は、NMIJ標準

    物質(NMIJ RM)であり、NMIJ CRM ではありませ

    ん)。表1に示した通り、無機高純度CRM が1物質、

    ガスCRM が1物質、有機CRM(純物質)が2物質、

    有機CRM(標準液)が1物質、有機CRM(定量NMR

    用)が1物質、有機CRM(臨床検査用)が2物質、材

    料CRM(熱物性CRM を含む)が7物質(NMIJ RM

    を含む)、環境組成CRM(食品分析用および環境分析

    用)が4物質、グリーン調達対応CRM が1物質の、計

    20物質の新規NMIJ CRM が2013年度に開発・認証

    され、2014年度から頒布が開始されています(2012年

    度に開発・認証されたCRM は15物質でした)。これ

    Vol.64,No.3, 2014

    標準物質紹介

    産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質

    独立行政法人 産業技術総合研究所

    計量標準管理センター

    計量標準計画室 大 畑 昌 輝

  • は じ め に

    アジア太平洋試験所認定協力機構(APLAC)は、

    試験所、校正機関、検査機関などの認定を行う認定機

    関のアジア太平洋地域の協力組織である。総会は、通

    常毎年末頃に開催されてきたが、今年は6月にメキシ

    コのグアダラハラで開催された。

    (※APLACの概要等は⑤ (その他)を参照)

    開 催 場 所

    メキシコ合衆国グアダラハラ市のヒルトン グアダ

    ラハラ

    日 程

    6月21日(土) 理事会 (BoM)

    22日(日) 理事会 (BoM)、

    APLAC-PAC合同理事会

    23日(月) 技術委員会(TC)、

    広報委員会(PIC)、

    APLAC-PAC合同広報委員会

    24日(火) 技能試験委員会(PTC)、

    教育訓練委員会(TRC)、

    APLAC議長・各委員会議長会議

    25日(水) MRA評議会(MRAC)

    26日(木) MRA評議会(MRAC)、総会(GA)、

    APLAC-PAC合同署名式

    27日(金) APLAC-PAC合同総会、総会(GA)

    APLAC総会等概要報告

    . 出席者

    APLAC議長Nigel Jou氏 (台湾TAF)はじめ、オ

    ーストラリア、中国、香港、インド、インドネシア、

    フィリピン、日本、韓国、台湾、マレーシア、シンガ

    ポール、ニュージーランド、タイ、米国、カナダ、メ

    キシコ、ロシア、ベトナム、パプアニューギニア、モ

    ンゴル、バングラデシュ、スリランカ、サウジアラビ

    ア等の正会員及び賛助会員やAPMP、PTB等、

    APLAC関連機関が参加。また、今回はAPLAC-PAC

    第1回合同総会であったことから、PAC議長である

    Brett Abraham(オーストララシア JAS-ANZ)をは

    じめ、PAC非加盟のミャンマー、ラオス、カンボジ

    アのほか、PAC関連機関である IAF、EA、IIOC等、

    計測標準と計量管理

    海外計量事情

    アジア太平洋試験所認定協力機構(APLAC)

    第20回年次総会及び関連会合報告

    独立行政法人 製品評価技術基盤機構

    認定センター所長 藤 間 一 郎

    写真①:APLAC 写真②:APLAC-PAC合同総会

  • は じ め に

    株式会社チノーサービスは、埼玉県久喜市に本社を

    構えさらに、大阪・名古屋・福岡にも拠点を構え全国

    規模で親会社である株式会社チノーの製造・販売する

    計測制御機器・計測システム機器に対する修理、保

    守・点検・校正業務及び他社製品の校正業務を行って

    いる。

    弊社CS校正グループは2007年に組織され、当初は

    他の認定機関にて校正機関の認定を受け校正事業者と

    して運営していたが、先に JCSSに登録されている親

    会社との整合性を図るため、申請を行い。

    2014年3月に JCSSに登録された。また、同時に国

    際MRA対応事業者として認定された。

    会 社 概 要

    . 主要事業

    弊社は親会社である株式会社チノーで製造・販売さ

    れた計測制御機器・計測システム機器の修理、保守・

    点検・校正業務及び消耗品の販売を主要事業としてい

    る。

    . 沿 革

    1993年3月 株式会社チノーのサービス部門が独

    立、100%子会社株式会社チノーサー

    ビスとして設立

    株式会社チノー上福岡工場内にて業

    務開始

    1996年3月 本社を上福岡工場内から、ふじみ野市

    内に移転

    2002年10月 大阪ブランチを開設

    ISO9001を取得

    2007年4月 大阪ブランチ名古屋出張所を開設

    認定取得の為、CS校正グループを発

    2009年3月 ISO/IEC 17025校正機関認定取得

    2010年9月 株式会社チノー久喜事業所内に移転

    2012年4月 大阪ブランチ福岡出張所を開設

    2014年3月 JCSS 校正事業者として登録

    登 録 内 容

    登 録 番 号:0311

    事 業 所 の 名 称:株式会社 チノーサービス CS

    校正グループ

    所 在 地:埼玉県久喜市河原井町18番地

    登録に係る区分:温度、電気(直流・低周波)

    校正手法の区分の呼称:直流・低周波測定器等、接触式

    温度計

    恒久的施設で行う校正╱現地校正の別

    :恒久的施設で行う校正及び現地

    校正

    校正範囲及び最高測定能力(表1)

    JCSS認定取得について

    . 申請までの経緯

    親会社チノーの製造する温度調節計や温度記録計な

    どの指示計器の校正業務にて海外との取引のある客先

    より国際標準である ISO/IEC17025での認定校正が

    出来ないかとの問い合わせが有り、それに応えるため

    に2007年よりCS校正グループを発足させ取り組ん

    だ。

    しかし、当時の JCSSでの校正手法の種類には“温

    度指示計器”は無く、やむなく2008年より他の認定

    機関による ISO/IEC17025での校正機関としての申

    Vol.64,No.3, 2014

    認定事業者紹介

    温度指示計器のJCSS認定取得

    株式会社 チノーサービス CS校正グループ

    髙 橋 和 浩

  • 始 め に

    液中粒子数濃度の測定は、医用診断における血球計

    数 、注射剤や上水の汚染管理 、環境保全のための

    地表水の監視 などにおいて利用されている。液中粒

    子数濃度測定のために利用されている主な計測器とし

    て、光遮へい式粒子計数器や光散乱式粒子計数器等の

    OPC、電気検知式粒子計数器、フローサイトメーター

    などがある。これらの計測器は、試料を適切に準備し

    て計測を行えば自動的に測定結果が得られるものであ

    るが、試料中の濃度の不均一、コンタミネーションや

    気泡の混入、同時通過計数損失や装置の計数効率等濃

    度測定結果に直接影響を与える要因を試料測定結果か

    ら評価することは困難である。そのため、これらの装

    置は予め、市販のあるいは校正者自身が作成したほぼ

    単分散のポリスチレンラテックス粒子が純水中に懸濁

    された液中粒子数濃度標準液を用いて校正や試験を行

    う必要が有る 。この標準液粒子数濃度への値づけ

    方法としては、しばしば顕微鏡法が用いられてきた

    が 、液中粒子数濃度標準液の濃度測定の正確さを保

    証するためには、SIトレーサブルにできるような国家

    一次標準が必要である。注射剤の汚染管理においては、

    各国の薬局方 の中で、光遮へい式粒子計数器や顕

    微鏡法による注射薬液中の粒子数と機器の校正の基準

    が定められており、これを満たすために液中粒子数濃

    度のトレーサビリティチェーンの必要性が認識されて

    きた。また、血球計数装置の計数効率の評価に国際血

    液学標準化協議会(ICSH)による参照法 とは別に、

    標準液を用いた装置の計数効率評価の要求も存在して

    いる。これらの必要性に応えるべく、独立行政法人産

    業技術総合研究所では、液中粒子数濃度の一次標準を

    開発し 、これに基づく校正業務を立ち上げた 。校

    正サービスは、市販の液中粒子数濃度標準のメーカに

    対して標準液の濃度校正として提供されており、現時

    点では、校正対象粒子数濃度の範囲は 5×10 個/g

    から 2×10 個/g、校正対象粒子の中心粒径範囲は

    2

    m -20

    m の範囲であるが、適応粒径範囲の下方

    への拡張を検討している。

    粒子数濃度の校正方法

    粒子数濃度の校正対象とするものは、懸濁液中の粒

    子数濃度である。校正方法は、校正器物である粒子懸

    濁液(母懸濁液)を必要に応じて希釈し、希釈後懸濁

    液試料から採取した懸濁液の質量希釈率及び全数計数

    型フローサイトメーター(Total-Number-Counting-

    Type Flow Cytometer:T-FCM)による粒子数の全

    数計数値から、単位質量あたりの粒子数濃度を求める

    ものである。その概要を図①に示す。T-FCM は、計数

    用試験管中に採取された試料懸濁液中の全粒子を計数

    可能なように市販のフローサイトメーターを改造した

    もので、計数用試験管の底までほぼ届く1重のサンプ

    ル取り入れ口への変更、サンプル流路や計数用試験管

    のリンスのためのバルブの設置、全数計

    手順にお

    て必要なサンプル流速の制御やバルブ群の操作の時間

    による半自動操作のための制御プログラム(QA社製

    CyPAD)の設計等を行った。また、光源とする固体レ

    ーザの出力を 20mW から 200mW へ増強した。

    校正のトレーサビリティー体系は図②で示すように、

    希釈率を含む試料懸濁液質量を測る電子天秤は国際

    MRA対応 JCSS認定事業者による校正を、粒径範囲

    は長さ標準にトレーサブ

    な標準粒

    粒子を用いてい

    る。国際単位系(SI) には、粒子計数に直接関連す

    る単位は存在

    ないため

    液中粒子数濃度をSIトレー

    サブルに まることは の難である。 、た 在現 ところ、

    μ μ

    計測標準と計量管理

    産総研コーナー

    液 中 粒 子 数 濃 度 標 準 の 高 度 化

    独立行政法人 産業技術総合研究所 計測標準研究部門

    ナノ材料計測科 粒子計測研究室 坂 口 孝 幸

    数字と単位間の2分アキは著者指示による

  • Vol.64,No.3, 2014

    IAJapanコーナー

    独立行政法人 製品評価技術基盤機構

    認定センター

    http://www.iajapan.nite.go.jp/iajapan/

    本コーナーは、MLAP、JCSS、JNLA、ASNITEを中心に IAJapanの各認定プログラムの認定実績等につい

    てお知らせしております。

    特定計量証明事業者認定制度(MLAP)

    平成26年7月から平成26年9月末までの間に新たに認定又は認定更新された事業所は、次のとおりです。

    N-0124-01 株式会社 熊谷環境分析センター2014年6月1日 大気中のダイオキシン類

    水又は土壌中のダイオキシン類

    N-0025-01 2014年9月20日 株式会社 中国環境分析センター 大気中のダイオキシン類

    水又は土壌中のダイオキシン類

    大気中のダイオキシン類

    水又は土壌中のダイオキシン類

    2014年9月20日 株式会社 東海テクノ 環境事業部N-0029-01

    N-0028-01 株式会社 環境技研 大気中のダイオキシン類

    水又は土壌中のダイオキシン類

    2014年9月20日

    大気中のダイオキシン類

    水又は土壌中のダイオキシン類

    カナモリ技販 株式会社2014年9月20日N-0026-01

    認定又は更新日 認 定 区 分事 業 所 の 名 称認定番号

    N-0017-01 2014年7月25日 株式会社近畿分析センター

    本社・西日本事業部

    大気中のダイオキシン類

    水又は土壌中のダイオキシン類

    N-0016-01 株式会社 環境管理センター

    環境測定事業本部 分析センター

    大気中のダイオキシン類

    水又は土壌中のダイオキシン類

    2014年7月25日

    大気中のダイオキシン類

    水又は土壌中のダイオキシン類

    2014年7月25日 株式会社 東海分析化学研究所 蒲郡研究所N-0021-01

    N-0020-01 株式会社 タツタ環境分析センター 大気中のダイオキシン類

    水又は土壌中のダイオキシン類

    2014年7月25日

    大気中のダイオキシン類

    水又は土壌中のダイオキシン類

    一般財団法人 東海技術センター2014年7月25日N-0018-01

    2017年8月21日 大気中のダイオキシン類

    水又は土壌中のダイオキシン類

    株式会社 カネカテクノリサーチ 分析部

    高砂分析センター

    N-0022-01