農薬の適正使用について - maff.go.jpかつ適正な使用の確保...
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1
農薬の適正使用について
農林水産省 東海農政局
消費・安全部 安全管理課
春日井 健司
平成29年5月29日
名城大学 連携講座
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テーマ
2
農薬とは、どんなものですか?
農薬のイメージ
・人体に悪い・環境に悪い・危険な化学物質・安全性に不安・何となく嫌い
など
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目次
Ⅰ 農薬の役割
Ⅱ 農薬の安全性確保の仕組み
Ⅲ 安全な農薬の確保
Ⅳ 農薬の適正な使用
Ⅴ まとめ3
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日本の農業に対する環境
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日本はその気候や栽培方法等から病害虫(植物の病気・害虫)が発生しやすく、防除の重要度が高い
(2)施設栽培が盛ん➡ 特殊な環境と周年栽培から病害虫が多発
(3)外観が良くない収穫物を敬遠➡ 病害虫に被害を受けた収穫物は、消費・流通
サイドから敬遠されることが多い
(1)温暖多雨・多湿(ほぼ同じ緯度のカリフォルニアでは年間降水量が1/6程度)
➡ 病害虫・雑草の発生が多い(他の先進国と比較して、発生する病害虫の種類・量が多い)
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農作物は人の手が加わった環境(≠自然環境)で栽培
1箇所に特定の作物を大量栽培天敵が少ない品種改良されたものを栽培肥料を与えられて育っている
病害虫がひとたび発生すると広がりやすい雑草などとの競争にも弱い
農作物が作られる環境とは?
5
病害虫・雑草の防除が不可欠
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(1)化学的な対策農薬(化学合成されたもの) など
病気や害虫などの被害を防ぐ方法(防除方法)
6
(4)耕種的な対策病気にかかりにくい品種の利用、同じ畑で同じ作物を続けて栽培しない など
病害虫から農作物を防除する方法は多数農薬は、防除方法の1つ
(3)物理的な対策太陽光や蒸気による土壌消毒、黄色粘着板、
防虫ネット・袋かけの利用 など
(2)生物的な対策天敵(土着天敵、天敵農薬)の利用、
フェロモン剤、微生物製剤 など
黄色粘着板 防虫ネット
天敵の利用
『農薬』は、防除方法の1つ
-
農薬とは?
農薬は「農薬取締法」という法律で定められています
農薬 ・・・・ 農作物を栽培するときに、病気や害虫、
雑草を防除して農作物を保護したり、
生育を促進・抑制したりするもの
殺虫剤殺菌剤(植物を病気にするカビや細菌を防除する)除草剤殺そ剤(農作物に被害を与えるネズミを防除する)誘引剤(主として害虫をにおいなどで誘き寄せる)など
寄生バチテントウムシカブリダニ類昆虫ウイルス など
農作物を害する病害虫を退治したり、雑草を除いたり
するのに用いる薬剤
植物の生理機能を調整する薬剤
(植物成長調整剤)
発根促進剤(挿木、挿苗、種子、球根などの発根を促進させる)着果促進剤(果樹や野菜が実をつけやすいようにする)無種子果剤(種をつけないようにする)など
病害虫から農作物を守るために利用する病害虫の天敵
人工的に殖やされ、「生物農薬」として販売
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-
これって農薬?
庭の植物に使う家庭園芸用の薬剤は農薬?QA 農薬です。人が栽培管理している植物を、病害虫から守る目的で使うものはすべて農薬です。
農作物(家庭菜園も含む)や観賞用植物のほか、ゴルフ場や公園の芝生、街路樹などに使われるものも農薬です。
農薬の中に「殺虫剤」がありますが、家庭用殺虫剤も農薬?QA 農薬ではありません。家庭で使われるハエやゴキブリ退治用のものは、衛生目的で使われるもので、農薬ではありません。衣料用の防虫剤や建物のシロアリ駆除剤なども、農薬ではありません。 8
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農薬を使わなかった場合、農作物はどうなる?
病気により収穫量が減少
赤かび病菌がかび毒を産生し、
人の健康に悪影響
トマト
リンゴ
ムギ
9
シンクイムシ
赤カビ病
病害虫の発生
疫病
病害虫が発生しやすくなり、肥料も余分に必要
雑草の発生
害虫により品質が低下
その他 種なしぶどうの生産が困難(ジベレリン処理)
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農薬を使わなかった場合、収穫量はどうなる?
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資料:「病害虫と雑草による農作物の損失」( 20年6月 (社)日本植物防疫協会)
注:慣行的な管理を行った栽培試験区と防除を行わなかった栽培試験区について収量と品質を比較調査した。
農薬を使用しなかった場合の減収率
病害虫・雑草の発生により、ほとんどの作物で減収が発生し、出荷金額にも影響
作 物減 収 率(%) 出荷金額の
平均減益率(%)最大 最小 平均
水 稲 100 0 24 30
大 豆 49 7 30 34
りんご 100 90 97 99
キャベツ 100 10 67 69
きゅうり 88 11 61 60
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米づくりに必要な除草作業の労働時間の推移
出典:農林水産省「農産物生産費統計」年 度
時間/
10アール
労働時間の短縮により、生産コストを抑えられる。農薬を使わなければ人件費もかさむ。
⇒ 商品の値段に跳ね返ってくる可能性。
0
5
10
15
20
25
30
S35 40 45 50 55 60 H2 7 12 17 19 21 22 23 24
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農薬の役割(まとめ)
農薬は、品質のよい農作物を効率よく安定して生産し、生産コストを抑え、市場に供給するために不可欠なもの
つまり
12
農作物を病害虫の被害から保護し、
手作業に比べ、雑草防除に要する
種無ぶどうの生産等による
麦の赤カビ病のカビ毒などによる
農薬使用の目的
品質・収穫量を確保
労働力を軽減
生産効率の向上食品の安全性を確保
特に日本は
高温多湿で病害虫が発生しやすい
農地面積が限られている
農業従事者は年々減り、ますます高齢化
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目次
Ⅰ 農薬の役割
Ⅱ 農薬の安全性確保の仕組み
Ⅲ 安全な農薬の確保
Ⅳ 農薬の適正な使用
Ⅴ まとめ13
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農薬の安全確保の必要性
農薬は生産者によって散布される農作物という食品になり得る物に直接的あるいは間接的に散布される意図的に環境中に放出される
① 生産者(=農薬使用者)の安全
② 農薬が使用された農作物を食べた者の安全
3つの安全を確保
③ 環境(水質、水産動植物等)に対する安全14
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( と の推進)
農薬の安全確保の仕組み
「農薬の登録制度」
「農薬取締法」により、登録された農薬のみ製造、輸入、販売、使用が可能
リスク評価とそれに基づく管理措置の徹底が必要
安全な農薬の確保 農薬の適正使用
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農薬取締法
○ 目的(第1条)・法律の目的を明記
○ 定義(第1条の2)・法律の対象とする農薬・製造者・販売者などを定義
○ 農薬の登録(第2条)・農薬の製造者・輸入者は、農林水産大臣の登録を受けた農薬でなければ、
製造・加工・輸入してはならないことを規定
○ 販売者の届出(第8~9条)・農薬の販売者は、都道府県知事に届け出なければならないことを規定・農薬の販売者は、容器・包装に正しい表示がない農薬でなければ
販売してはならないことを規定
○ 使用の禁止(第11条)・登録を受けた農薬でなければ使用してはならないことを規定 16
農薬取締法 (昭和23年法律第82号)(抜粋)
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農薬取締法の目的(第1条)
○農薬取締法は、農薬について登録の制度等を設けることにより、農薬登録していないものを製造・販売・使用できないことや、農薬使用者が遵守すべき使用基準等を規定。
○これにより、農業生産の安定と国民の健康の保護や、国民の生活環境の保全に寄与。
【目的】(農薬行政の基本的視点)
・農薬の品質の適正化とその安全かつ適正な使用の確保
・農業生産の安定と国民の健康の保護
・国民の生活環境の保全に寄与
【背景】
・不正・粗悪な農薬が出回れば、農家に損害を与え、農業生産に悪影響
・農薬の不適正な使用は、国民の健康や生活環境に悪影響を及ぼすおそれ
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農薬の定義(第1条の2)
殺虫剤殺菌剤除草剤誘引剤交信かく乱剤
など
発根促進剤着果促進剤無種子化剤
など
寄生バチテントウムシカブリダニ類昆虫ウイルス
など
防除用の薬剤 成長調整剤 天敵
農作物等に使用「農作物等」に含まれるもの:
・食用作物のほか、樹木、草花、ゴルフ場や公園の芝、街路樹等
・農林産物(玄米、伐採木等)
「病害虫」に含まれるもの:
・菌、線虫、だに、昆虫、ねずみ、からす・すずめ等の鳥類、なめくじ、雑草、ウイルス等
※ ハエ、蚊などの衛生害虫の防除に用いるものは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」で規制
○ 「農薬」とは、・農作物等を害する病害虫の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤その
他の薬剤及び成長促進剤、発芽抑制剤その他の薬剤・防除のために利用される天敵
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農薬の製造・販売・使用や残留農薬のリスク管理が必要
食品としての規制
(食品衛生法)
農薬取締法の規制(生産工程の全てをカバー)
食品
農作物
使用者
販売者
輸入者・製造者
製造・販売
販売 使用 市場へ
無登録農薬の販売禁止回収命令
無登録農薬の使用禁止
無登録農薬の製造・輸入の禁止
農薬の使用基準の遵守
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農薬の安全性確保の仕組み(まとめ)
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確保しなければならない3つの安全
生産者(=農薬使用者)の安全農薬が使用された農作物を食べた者の安全
環境(水質、水産動植物等)に対する安全
そのために
農薬取締法に基づく「農薬登録制度」により農薬の安全性を確保
そのために
「安全な農薬の確保」のため、リスク評価に基づく農薬の登録審査が必要
リスク評価に基づく管理措置(リスク管理)を徹底するため、「農薬の適正使用」の推進が必要
■
■
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目次
Ⅰ 農薬の役割
Ⅱ 農薬の安全性確保の仕組み
Ⅲ 安全な農薬の確保
Ⅳ 農薬の適正な使用
Ⅴ まとめ21
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農薬の登録審査 ~国の責務~
国は、申請者が提出した試験データを評価し、農薬使用基準、農薬の残留基準を定めた上で、使ってもよい農薬を登録
< 国による審査内容 >
有効成分、補助成分の種類・含有量
製剤の物理的化学的性状
経時安定性など
病害虫や雑草の防除に効果があるかどうか使用した作物とその周辺の作物に対して害を与えないかどうか
安全性
使用者に対する安全性 … 急性毒性、皮膚や眼への刺激性など
農作物の安全性
環境に対する安全性
… 慢性毒性、発がん性、繁殖毒性、作物への残留性など
… 土壌や水中での残留性、魚類、甲殻類、有用生物等への影響など
薬効・
薬害
品
質22
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農薬登録の流れ ~関係府省等の役割~
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リスク評価機関リスク管理機関
食品安全委員会
食品中の残留基準値
の設定
厚生労働省農林水産省
農薬登録
使用基準の設定
FAMIC公共用水域の水質の基準値
の設定
告 示
環境省
告 示
登録審査
受付
((独)農林水産消費安全技術センター) ADIの設定
ARfDの設定
※食品安全基本法※食品衛生法※農薬取締法※農薬取締法
データの提出、使用基準(案)の提案
新たに登録申請された農薬は、農林水産省、環境省、厚生労働省、食品安全委員会が分担して審査され、農林水産省が登録
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農薬の登録審査 ~製造業者・輸入者の責務~
農薬の製造業者や輸入者は、その農薬が人や動物に与える影響、農作物や土壌中への残留を確かめる試験などを実施
薬効 薬としての効き目があるか
薬害 農薬使用により、農作物の外観、機能、品質等に害は出ていないか
毒性 急性毒性、中長期的影響毒性、急性中毒症の処置、動植物体内での農薬の分解経路と分解物の構造、環境への影響
残留性 農作物や土壌にどの程度残留するか
農薬の品質 農薬の見本、物理的化学的性状、処方、製造方法など
< 申請者(農薬の製造者や輸入者)が提出しなくてはならない試験データ >
約60種類の試験成績10年以上の歳月数100億円の経費新規申請書類(イメージ)
登録までたどり着いた1剤で考えてみると
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健康への悪影響を防ぐためには、
農薬ごとの毒性に応じて
食品を通じた農薬の摂取量を一定以下に抑えることが必要
健康への悪影響を防ぐためには、
農薬ごとの毒性に応じて
食品を通じた農薬の摂取量を一定以下に抑えることが必要
残留農薬のリスク管理 ~基本的な考え方~
残留農薬のリスク管理の概念
リスク = ×
健康への悪影響の程度
食品を通じた農薬の摂取量
農薬ごとにそれぞれの性質
※ 農薬を含め多くの化学物質は、摂取量がこれ以下であれば健康への悪影響は生じないと考えられる「閾値」が設定可能。 25
毒性 ばく露量
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残留農薬のリスク管理 ~農薬の分解と残効性~
農薬は、散布後、時間とともに分解・消失残効性が高い農薬ほど、病害虫の防除効果が高い
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作物や土壌に施用された農薬は、時間とともに分解・消失し、効力を失う。
・作物体内での代謝
・日光(紫外線)による分解
・土壌微生物による分解
・大気への蒸散
・土壌中への浸透・流失 など
< 農薬の分解 >
< 農薬の残効性 >農薬の有効成分が作物や土壌に残留することにより、効力が持続する。
残効性が高い農薬は、病害虫の防除効果が高い。
ただし、残効性が高い農薬は、作物にも残留しやすい。
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短期毒性(一日の摂取で健康に悪影響)
長期毒性(食べ続けると健康に悪影響)
急性参照用量:Acute reference dose (ARfD)
= 一日に摂取しても健康への悪影響が出ない量
→ 主に急性毒性試験の結果を根拠に設定
一日摂取許容量:Acceptable daily intake (ADI)
= 毎日一生食べ続けても健康に悪影響が出ない量
→ 慢性的な毒性試験の結果を根拠に設定
農薬のリスク評価 ~残留農薬の影響評価に必要な指標~
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平成26年から評価
-
農薬のリスク評価 ~ADI・ARfDの設定方法~
試験A(ラット)
試験B(ウサギ)
試験C(イヌ)
毎日投与する農薬の量
生体への影響
種差1/10
個人差1/10
ADIARfD
悪影響がない範囲
実際には、動物と人との間で100倍の感受性の差があるわけではないが、安全側に余裕をもたせている
※ 悪影響がない量が確認できない農薬は登録されない 28
動物を用いた試験ADI・ARfD算出の流れ図
長期試験の無毒性量 短期試験の無毒性量
ADI(mg/kg体重/日) ARfD(mg/kg体重)
無毒性量を安全係数(100)で割る
-
残留濃度
個別の農産物 全ての農産物
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全ての農産物からの農薬摂取量を合算 しても1日摂取許容量を
超えない
作物ごとに使用基準を守る
個別の農産物で残留基準値を
超えない
農薬の摂取量
残留基準
農産物Aからの農薬摂取量
濃度 平均摂取量
農産物Aからの農薬摂取量=A中の農薬の平均的な残留
濃度×Aの平均摂取量
ADIADI
使用量/濃度使用時期使用回数 (mg)
農薬のリスク評価 ~長期毒性(これまでも)~
農産物中の農薬の残留
濃度
(mg/kg)
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-
残留濃度
個別の農産物 食品ごと
各農産物由来の食品を大量に摂取しても
急性参照用量を超えない
作物ごとに使用基準を守る
個別の農産物で残留基準値を
超えない
農産物中の農薬の残留
濃度
農薬の摂取量
残留基準
(mg/kg)
使用量/濃度使用時期使用回数 (mg)
ARfDARfD
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農薬のリスク評価 ~短期毒性(平成26年から)~
-
健康に悪影響が生じるかどうかを判断するには
比較比較食事を通じた対象農薬の推定摂取量食事を通じた対象農薬
の推定摂取量毒性評価に基づく
許容量毒性評価に基づく
許容量
急性毒性の指標(ARfD)
慢性毒性の指標(ADI)
短期(1日)の推定摂取量
長期の推定摂取量
1日の食事
毎日食べ続けた時
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残留農薬基準の設定方法
作物残留試験を実施 残留基準の設定
農薬A(例)ぶどう:2ppm
農薬A(例)適用作物:ぶどう使用方法:散布希釈倍数:1000~2000倍使用時期:収穫7日前まで使用回数:3回以内
使用方法(注)適用農作物ごとに使用方法が定められている
最大の残留が予測される使用方法に従って実際に農薬を使用し、残留量を分析
残留試験の結果に基づいて残留基準を設定
残留農薬基準は、使用方法を遵守し、農薬を適切に使用した場合の、残留試験の結果に基づき設定。
(国際的に共通の考え方)
ADIから逆算して最大限許容される残留基準を設定するわけではない× 農薬AのADIは○○だから、ぶどうを一日平均△△g食べるとすると、残留基準は◆◆ppm
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(注)国内で使用される農薬は、農薬取締法により使用方法の遵守義務あり。赤字は、最大残留が予測される使用方法。
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残留農薬基準とは?
使用基準を守り、適切に農薬を使用すれば超過することはない基準。
管理が適切に行われているかを判断する目安であり、その食品を食べて健康に悪影響が出るか否かの
目安ではない
「基準値の○倍の農薬検出」は、ルール違反と判断される数値を○倍超えたという意味でしかない
安全面から考えるなら●●グラム食べると
ADIの○%に相当する残留濃度という捉え方が必要。
つまり
※仮にある農薬の摂取量が一時的にADIの100%を超えても、ADIは一生涯毎日摂取しても安全だとされる数値なので、健康上の問題はない。 33
-
登録された農薬の使用方法の例 ~適用表(ラベル)~
※ 上記のうち、作物名、希釈倍数、使用時期及びAを含む農薬の総使用回数が使用基準に含まれる
殺虫剤○○○の場合● 有効成分A(Aの含有量20.0 %) ● 乳剤
作物名 適用病害虫名 希釈倍数 使用液量使用時期
本剤の使用回数
使用方法
Aを含む農薬の
総使用回数
稲
コブノメイガ 1,000倍
60~150 L/10a
収穫21日前
まで3回以内 散布 3回以内
ツマグロヨコバイウンカ類イナゴ類イネドロオイムシ
1,000~2,000倍
カメムシ類 2,000倍
きゅうりコナジラミ類アブラムシ類
1,000倍 100~300 L/10a収穫前日まで
3回以内 散布 3回以内
34
-
安全な農薬の確保(まとめ)
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リスク評価に基づく農薬の登録審査が必要
国の責務として、「農薬取締法」に基づき、申請された農薬を審査(「安全性」・「薬効・薬害」・「品質」)
審査は、申請された農薬ごとに「リスク評価」を行い、「リスク管理措置」としての「農薬使用基準」や「農薬残留基準」等を定め、使用してよいと判断された農薬のみを登録
安全な農薬の確保
具体的には
登録された農薬は
農薬として必要な要件(「安全性」・「薬効・薬害」・「品質」)を満たしている。定められた使用基準どおりに使用することにより、農薬としての効果が発揮され、食品としての安全性も担保される。
-
目次
Ⅰ 農薬の役割
Ⅱ 農薬の安全性確保の仕組み
Ⅲ 安全な農薬の確保
Ⅳ 農薬の適正な使用
Ⅴ まとめ36
-
37
農薬の安全性を確保するためのルール
3つの安全(使用者・食べた者・環境)を確保
農薬は登録された方法のとおり使用しなければならない
①決められた作物以外には使用しない
②決められた使用量または濃度を超えて使用しない
③決められた使用時期(収穫前日数など)を守る
④決められた総使用回数以内で使用する など
これにより
つまり
農薬は、正しく使用する~適用表(ラベル)のとおり使用~
場合によって
農薬が基準以上に残留し、食品としての安全性を確保できないこともある
人の健康被害が発生(食品衛生法違反)
もし、正しく使用しないと
-
農薬が正しく使われるための取組
使用者の知識習得と意識向上が重要
都道府県、JA、販売業者を通じた使用者への指導
必ずラベルを確認
使用基準どおりの適正使用
使用時に農薬に暴露しないように注意
隣接作物・住宅への農薬飛散に注意 など
例えば 「しゅんぎく」と「きく」と「食用ぎく」「トマト」と「ミニトマト」
指導者への情報提供不適正使用の事例
名前や形状が似ていて、本来使えない農薬を間違って使ってしまいやすい作物の例 など
38
-
農産物中の残留農薬のチェックの仕組みは?
基準値を超えて残留する食品の販売、輸入は、食品衛生法により、禁止されている。
輸入食品
厚生労働省の検疫所がモニタリング検査を実施。違反が確認されると、その食品を廃棄または原産国に送り返す。また、検査の頻度を高めたり、違反の可能性の高い食品については、輸入の都度、検査を行う。
国産農産物
自治体(保健所等)が卸売市場や店頭に流通している農産物を持ち帰り検査。自治体の監視指導計画に基づき実施。農林水産省が出荷・流通前の農産物の残留状況をモニタリング調査。
基準値超過の場合、使用者に対して指導
39
-
40出典:平成27年度農薬の使用に伴う事故及び被害の発生状況につい(農林水産省)
23年度 24年度 25年度 26年度 27年度件数(件) 0 0 0 0 1
人数(人) 0 0 0 0 1
件数(件) 8 2 4 5 6
人数(人) 8 2 4 5 6
件数(件) 8 2 4 5 7
人数(人) 8 2 4 5 7
件数(件) 10 18 11 11 10
人数(人) 18 36 12 22 33
件数(件) 18 18 13 13 12
人数(人) 22 22 18 13 25
件数(件) 28 36 24 24 22
人数(人) 40 58 30 35 58
件数(件) 36 38 28 29 28
人数(人) 48 60 34 40 65
小計
散布中
誤用中
毒
合計
小計
散布中
誤用死
亡
農薬の使用に伴う死亡・中毒者数
-
41
保管管理不良、泥酔等
による誤飲誤食, 43%
マスク、メガネ、服装等装備不十分, 14%
農薬使用後の作業管理
不良, 13%
使用時に注意を怠った
ため本人が暴露, 6%
散布農薬の飛散による
もの, 4%
薬液運搬中の容器破損、
転倒等, 1%
その他, 4%
原因不明, 15%
原因別の農薬中毒事故の割合(平成23~27年度)
出典:平成27年度農薬の使用に伴う事故及び被害の発生状況につい(農林水産省)
人に対する事故の原因
-
42
人に対する事故の発生原因と防止策
「保管管理不良等による誤飲誤食」が 農薬中毒事故の43 %
5年間で断トツトップ!
中毒発生時の状況
■農薬がペットボトルに移し替えられていたため、飲料と間違えて誤飲■認知症の方が飲料と間違えて誤飲■農薬の希釈液をペットボトルに入れて保管していたため、水と間違えて誤飲
施錠可能な保管庫で管理
ペットボトルなど他の容器への移替えは厳禁
子供の手の届かないところへ保管発生事故
農薬ラベルを持ってすぐ病院
農薬は、正しく保管厳守
中毒事故の防止対策
食品と区別して保管
-
農薬の適正な使用 (まとめ)
43
使用前・使用時の注意
必ずラベルを確認し、使用基準どおりの適正な使用使用者は農薬に暴露しないように防護装置を着用使用にあたり、隣接する作物や住宅等に飛散しないように注意
など
日頃の注意
誤飲・誤食しないように、適切に保管不要になった場合には、適切に廃棄
など
つまり
農薬は、正しく使用する
農薬は、正しく保管する
-
農薬の適正な使用(農林水産省・県の機関)
44
● 本省・消費・安全局 農産安全管理課 農薬対策室
● 地方農政局等・北海道農政事務所 消費・安全部 安全管理課・東北・関東・北陸・東海・近畿・中国四国・九州農政局
消費・安全部 安全管理課・内閣府 沖縄総合事務局 農林水産部 消費・安全課
● 岐阜県 農政部 農産園芸課東海地方の県
● 愛知県 農林水産部 農業経営課● 三重県 農林水産部 農産園芸課
農林水産省
農林水産省は、都道府県と協力し、生産者等に対して、「農薬の適正な使用」を指導
-
45
農薬の適正な使用 (農薬に関する情報)
【農薬に関する情報】
農林水産省農薬コーナーhttp://www.maff.go.jp/j/nouyaku/index.html
(独)農林水産消費安全技術センター農薬検査部http://www.acis.famic.go.jp/index.htm
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目次
Ⅰ 農薬の役割
Ⅱ 農薬の安全性確保の仕組み
Ⅲ 安全な農薬の確保
Ⅳ 農薬の適正な使用
Ⅴ まとめ46
-
まとめ
47
農薬は、品質のよい農作物を効率よく安定して生産し、生産コストを抑え、市場に供給するために不可欠なもの。
農薬の役割
「安全な農薬の確保」のため、リスク評価に基づく農薬の登録審査が必要
リスク評価に基づく管理措置(リスク管理)を徹底するため、「農薬の適正使用」の推進が必要
農薬の安全性の仕組み
国の責務として、「農薬取締法」に基づき、申請された農薬を審査(「安全性」・「薬効・薬害」・「品質」)
審査は、申請された農薬ごとに「リスク評価」を行い、「リスク管理措置」としての「農薬使用基準」や「農薬残留基準」等を定め、使用してよいと判断された農薬のみを登録
安全な農薬の確保
農薬は、正しく使用、正しく保管
農薬の適正な使用
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テーマ
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農薬とは、どんなものですか?
農薬のイメージ
・農作物を生産する上で不可欠なもの
・農薬取締法で安全性(使用者・食べた者・環境)が確保されているもの
・正しく使わないと危ないものなど
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参考
49
参考1 農薬危害防止運動
参考2 病害虫の被害を減らすための方策(病害虫発生予察情報の提供)
参考3 東海農政局 インターンシップ
-
実 施 者 :農林水産省、厚生労働省、
環境省、都道府県等
目 的:農薬の適正使用の推進、使用者や環境に対する危害発生の未然防止
実施期間:平成29年6月~8月の3ヶ月(毎年実施)
参考1 農薬危害防止運動の概要
50
-
参考1 農薬危害防止運動の主な実施事項
1. 農薬及びその取扱いに対する正しい知識の普及啓発
2. 農薬による事故を防止するための指導等
3. 農薬の適正使用等についての指導等
4. 農薬の適正販売についての指導等
5. 有用生物や水質への影響低減対策のための関係者の連携
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参考1農薬危害防止運動のポスター(平成29年度)
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参考2 病害虫の被害を減らすための方策 (病害虫発生予察情報)
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病害虫発生予察情報の提供農林水産省と都道府県は、病害虫の発生状況、気象、作物の生育状況等を調査し、今後の病害虫発生状況を予測して、生産者を含めた関係者に情報提供
農業者が、自らのほ場・園地を確認適期防除
発生状況調査(都道府県)
栽培状況や周辺環境を踏まえて設置した調査地点
において、作物の生育状況、病害虫の発生状況等
を調査
全国の調査結果と気象予報等を取りまとめて病害虫発生予報を発出(年10回)
防除指導(都道府県)
農業者、関係機関等に対
し、病害虫防除指針及び発
生予察情報に基づく適切な
防除指導を実施
調査結果、気象予報等を取りまとめて分析
病害虫の発生を予測し、発生予察情報を作成
防除方法と併せて、関係機関、農業者等に対
し、発生予察情報を発表(月1回程度)
必要に応じて、警報、注意報、特殊報を発出
都道府県
国(農林水産省)
発生予察情報の作成・提供
防除の実践(農業者)
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参考2 病害虫発生予察情報の対象病害虫の例
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かんきつのカメムシ類
いちご灰色かび病
イネいもち病菌
葉いもち病
ハスモンヨトウ
イネの斑点米カメムシ類
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参考2 病害虫発生予察情報の種類
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国 (農林水産省)
都道府県
発生予察情報 病害虫の発生に関する情報を定期的に発表するもので、都道府県の
病害虫防除所から発表(月1回程度)
警 報 作物に重要な被害を与える病害虫が大発生することが予想され、すぐ
にでも防除する必要があるときに発表
注意報 警報には至らないが、重要な病害虫の多発生が予想され、早めの防
除が必要な場合に発表
特殊報 新しい病害虫を発見したり、あるいは、発生状況が例年と異なるなど、
特異的な現象が認められたときに発表
病害虫発生予報 都道府県の調査結果と気象予報等を取りまとめて分析し、全国におけ
る病害虫の発生に関する情報を発表(年10回)
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参考3 東海農政局 インターンシップ
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平成29年6月2日(金曜日) 必着
5.応募締切
学生が東海農政局において就業体験を行うことにより、学習意欲を喚起し、高い職業意識を育成するとともに、農林水産業、農山漁村及び農林水産行政に対する理解を深めてもらうことを目的としています。
1.目的
実習時間は、原則として月曜日から金曜日までの午前9時15分から午後5時15分までとします。
3.受入部署、期間
原則として東海農政局において、8月から9月のうち、2週間程度の間、実習生として受け入れます。
東海農政局のホームページを確認ください。4.実習内容・応募方法等
http://www.maff.go.jp/tokai/somu/jinji/recruit/internship/index.html
代表:052-201-7271(内線2226) ダイヤルイン:052-223-4613
6.問合せ先東海農政局 総務課 担当者:人事第2係
大学、大学院生等2.対象
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ご静聴ありがとうございました。