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全国健康保険協会管掌健康保険 現金給付受給者状況調査報告 令和元年度

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全国健康保険協会管掌健康保険

現金給付受給者状況調査報告

令和元年度

全 国 健 康 保 険 協 会

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第一部 傷病手当金

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Ⅰ 調査の概要

1. 調査の目的

全国健康保険協会管掌健康保険(法第 3 条第 2 項被保険者を除く。)の傷病手当金の受給

者の状況を調査し、事業運営のために必要な基礎資料を得ることを目的としている。

2. 調査の対象

令和元年 10 月の傷病手当金受給者全員を調査対象としている。

3. 調査事項調査事項

受給者の性、年齢、標準報酬月額、傷病名、支給日数、支給金額、支給回数、支給期間及

び事業所の状況。

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Ⅱ 調査結果の概要

調査対象件数は 114,520 件である。協会けんぽ月報の傷病手当金実績件数との差があるが、これは

集計時点の違いによるものである。

なお、この調査の疾病分類は社会保険表章用疾病分類表による。

1. 性別、年齢階級別の状況

性別別に支給件数の構成割合をみると、男性が 55.95%、女性が 44.05%であり、被保険者の

男女の構成割合(令和元年 10 月時点)と比べると、女性の支給件数の構成割合がわずかに高く

なっている。(表 1)

年齢階級別にみると、60~64 歳が 12.44%で最も高く、次いで 55~59 歳(12.35%)が高い。男

女別では、男性は女性に比べて 50 歳以上の階級で高くなっている。

1件当たり日数の平均は 33.75 日であり、男女別にみると、男性が 33.41 日、女性が 34.18 日とな

っており、女性の方が長くなっている。年齢階級別にみると、男性、女性ともに、おおむね年齢が高

くなるに従い期間が長くなる傾向がみられ、男性では 70 歳以上で、女性では 55 歳以上で 35 日以上

となっている。(表 2)

男 性 女 性 男 性 女 性

合 計 55.95 44.05 58.94 41.06

表1 性別別支給件数の構成割合

支 給 件 数 割 合 ( % ) (参考)被保険者数割合(%)

総 数 男 性 女 性 総 数 男 性 女 性 総 数 男 性 女 性

総 数 100.00 100.00 100.00 33.75 33.41 34.18 186,624 203,729 164,903

15~ 19歳 0.36 0.32 0.42 29.06 29.89 28.27 110,336 115,628 105,243

20~ 24歳 4.49 2.82 6.62 31.52 32.24 31.13 140,016 147,739 135,838

25~ 29歳 8.06 5.21 11.67 32.82 32.71 32.89 162,293 169,998 157,923

30~ 34歳 8.45 6.41 11.03 32.95 32.83 33.03 171,658 185,078 161,758

35~ 39歳 8.75 7.47 10.39 32.98 32.77 33.17 183,251 204,131 164,196

40~ 44歳 9.91 9.00 11.07 32.97 32.62 33.34 190,598 210,791 169,747

45~ 49歳 11.67 11.24 12.21 33.81 33.64 34.02 202,231 228,405 171,638

50~ 54歳 11.91 12.24 11.49 33.37 32.53 34.50 202,396 221,885 176,037

55~ 59歳 12.35 13.67 10.68 34.22 32.88 36.39 208,690 223,880 183,997

60~ 64歳 12.44 15.68 8.32 34.67 33.94 36.40 191,749 203,830 162,853

65~ 69歳 7.88 10.69 4.31 35.47 34.68 37.98 170,368 178,483 144,797

70歳以上 3.74 5.27 1.79 37.30 36.64 39.79 179,005 186,250 151,967

表2 性別・年齢階級別支給状況

件 数 の 割 合 ( % ) 1 件 当 た り 日 数 ( 日 ) 1 件 当 た り 金 額 ( 円 )

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傷病手当金の支給件数の年齢階級別構成割合を被保険者の年齢階級別構成割合(令和元年 10 月)

と比較したものが図 1 であり、50 歳未満では傷病手当金の支給件数の構成割合が低く、50 歳以上で

は高くなっている。特に、60 歳から 64 歳までの階級では被保険者の構成割合に比べ大幅に高くなっ

ている。その結果、被保険者千人当たり件数は若い年齢で低く、年齢が高くなるに従い増加し、65 歳

以降は緩やかな減少傾向となっている。

2. 傷病別の支給状況

傷病手当金の受給の原因となった傷病別に件数の構成割合をみると、精神及び行動の障害が

31.30%で最も高く、次いで新生物(18.63%)、筋骨格系及び結合組織の疾患(10.89%)、循環

器系の疾患(10.05%)、損傷・中毒及びその他の外因の影響(7.06%)となっている。男女別に

みると、男女ともに精神及び行動の障害が高く、男性では 28.41%、女性では 34.97%となって

いる。(表 3)

年度別に傷病手当金の受給の原因となった傷病別の件数の構成割合をみると、消化器系の疾患

は、平成 7 年は 14.64%であったが、令和元年は 3.55%と大幅に減少しており、一方、精神及び

行動の障害は、平成 7 年は 4.45%であったが、平成 15 年には 10.14%と 10%を超え、令和元年

には 31.30%と大幅に増加している。(表 4)

傷病手当金の傷病別における件数の構成割合を令和元年 10 月分の診療報酬明細書(以下「レ

セプト」と言う。)の傷病別における件数の構成割合(入院)と比較したものが図 2 である。新

生物、精神及び行動の障害、筋骨格系・結合組織の疾患は傷病手当金が高く、呼吸器系の疾患、

消化器系の疾患、腎尿路性器系の疾患の割合はレセプトが高くなっている。

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傷病手当金の傷病別における件数の構成割合を年齢階級別にみると、精神及び行動の障害が

55 歳未満の各階級で最も割合が高く 20~34 歳では 50%を超えるが、35 歳以上は年齢が高くな

るに従い減少している。逆に、新生物の割合は 40 歳未満の各階級で 10%未満であるが、年齢が

高くなるに従い増加し、55 歳以上の各階級では最も割合が高くなり 50~59 歳で 20%以上、60

歳以上は 30%以上となっている。(図 3)

1 件当たり日数を傷病別にみると、先天奇形、変形及び染色体異常が 37.65 日、新生物が 36.40

日、循環器系の疾患が 36.24 日、神経系の疾患が 35.08 日、精神及び行動の障害が 34.76 日と長

く、一方、感染症及び寄生虫症が 21.87 日、呼吸器系の疾患が 21.93 日、消化器系の疾患が 24.44

日と短くなっている。(分析表第 2 表の 2)

1 件当たり支給金額を傷病別にみると、最も高いのは循環器系の疾患(205,272 円)であり、

最も低いのは呼吸器系の疾患(117,963 円)となっている。(分析表第 2 表の 3)

(%)

総 数 男 性 女 性

総数 100.00 100.00 100.00 感染症及び寄生虫症 1.23 1.22 1.25 新生物 18.63 18.97 18.19 血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害 0.32 0.26 0.40 内分泌、栄養及び代謝疾患 1.56 1.87 1.18 精神及び行動の障害 31.30 28.41 34.97 神経系の疾患 4.00 4.19 3.75 眼及び付属器の疾患 1.06 1.27 0.78 耳及び乳様突起の疾患 0.66 0.49 0.88 循環器系の疾患 10.05 14.46 4.46 呼吸器系の疾患 2.10 2.39 1.74 消化器系の疾患 3.55 4.17 2.75 皮膚及び皮下組織の疾患 0.67 0.80 0.51 筋骨格系及び結合組織の疾患 10.89 11.15 10.57 腎尿路生殖器系の疾患 1.90 1.67 2.20 妊娠、分娩及び産じょく 3.88 - 8.82 周産期に発生した病態 0.01 - 0.03 先天奇形、変形及び染色体異常 0.23 0.17 0.29 症状、徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの 0.88 0.87 0.89 損傷、中毒及びその他の外因の影響 7.06 7.63 6.34 特殊目的用コード - - -

表3 傷病別・性別・年齢階級別 件数の構成割合

平成 7年 平成 10年 平 成 15年 平成 20年 平成 25年 平成 29年 平成 30年 令和元年総数 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 感染症及び寄生虫症 3.21 2.98 2.89 2.03 1.57 1.40 1.25 1.23 新生物 14.79 18.02 20.59 21.09 20.40 19.19 18.99 18.63 血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害 0.69 0.72 0.41 0.32 0.35 0.37 0.36 0.32 内分泌、栄養及び代謝疾患 3.36 3.15 2.61 1.98 1.89 1.70 1.62 1.56 精神及び行動の障害 4.45 5.12 10.14 21.46 25.67 28.60 29.09 31.30 神経系の疾患 3.28 3.51 4.41 4.13 4.06 4.09 4.10 4.00 眼及び付属器の疾患 1.26 1.18 1.31 1.11 1.03 1.12 1.14 1.06 耳及び乳様突起の疾患 0.64 0.67 0.66 0.55 0.66 0.63 0.66 0.66 循環器系の疾患 15.24 15.86 15.24 13.45 11.54 10.65 10.50 10.05 呼吸器系の疾患 4.20 4.04 3.16 3.62 1.93 1.97 2.01 2.10 消化器系の疾患 14.64 11.19 7.40 4.83 4.23 3.98 3.70 3.55 皮膚及び皮下組織の疾患 1.24 1.23 1.03 0.69 0.74 0.65 0.71 0.67 筋骨格系及び結合組織の疾患 15.00 14.45 13.36 11.22 11.14 11.14 11.06 10.89 腎尿路生殖器系の疾患 3.21 3.06 2.55 1.98 2.08 1.94 2.01 1.90 妊娠、分娩及び産じょく 1.60 1.77 2.41 2.66 3.93 4.30 4.26 3.88 周産期に発生した病態 0.02 0.00 0.01 0.02 0.01 0.01 0.01 0.01 先天奇形、変形及び染色体異常 0.80 0.76 0.68 0.26 0.29 0.21 0.19 0.23 症状、徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの 2.12 1.91 1.49 0.93 1.03 0.80 0.91 0.88 損傷、中毒及びその他の外因の影響 10.24 10.38 9.63 7.68 7.45 7.25 7.43 7.06 特殊目的用コード - - - - - - - -

表4 傷病別 件数の構成割合

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3. 事業所の業態、規模別の支給状況

事業所の業態別に傷病手当金の件数の割合をみると、社会保険・社会福祉・介護事業(11.64%)、

医療業・保健衛生(9.62%)が高くなっている。男女別にみると、男性ではその他運輸業(9.65%)、

道路貨物運送業(9.38%)が高く、女性では社会保険・社会福祉・介護事業(20.04%)、医療業・

保健衛生(18.09%)が高くなっている。傷病手当金の件数の割合を被保険者の業態別の構成割

合と比較すると、その他の運輸業、社会保険・社会福祉・介護事業、医療業・保健衛生は傷病手

当金の割合が高く、飲食料品以外の小売業、公務、卸売業は低くなっている。(分析表第 3 表)

産業大分類別に被保険者千人当たり件数をみたものが図 4 である。運輸業・郵便業、鉱業・採

石業・砂利採取業、医療・福祉が高く、公務、不動産業・物品賃貸業、金融・保険業が低くなっ

ている。

被保険者千人当たり件数を事業所の規模別にみると、件数割合では 100~299 人の規模が

19.91%で最も高く、次いで 500 人以上(16.74%)、50~99 人(14.00%)となっている。これ

を男女別にみると、男女ともに規模 100~299 人で最も高く、男性が 18.39%、女性が 21.84%

となっている。(表 5)

1 件当たり日数は、規模が 2 人以下の事業所では 40.41 日と最も長く、30~49 人の事業所で

は 32.84 日と最も短くなっている。(分析表第 4 表)

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4. 標準報酬等級別の支給状況

傷病手当金の支給件数について標準報酬等級別の構成割合をみると、18級(220千円)が9.81%

で最も高くなっている。男女別にみると、男性は 19 級(240 千円)が 9.34%で最も高く、女性

は 18 級(220 千円)が 11.32%で最も高くなっている。(分析表第 6 表)

被保険者の標準報酬等級別の分布と比較すると図 5 のようになり、傷病手当金の受給者は 6 級

から 21 級までは被保険者の構成割合より概ね高くなっているが、22 級以上では被保険者数の構

成割合より低くなっている。

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5. 支給日数別の支給状況

支給日数別の件数の割合をみると、31 日(26.71%)、30 日(15.68%)の割合が高くなってお

り、この両日数で4割強を占めている。1 日当たりの金額をみると、支給日数が 31 日で 5,858

円と最も高くなっている。(表 6)

6. 支給期間別の支給状況

傷病手当金の支給期間(支給開始日から令和元年 10 月の申請の支給末日までの期間)別の支

給状況をみたものが表 7 であり、平均支給期間は 164.59 日(約 5.4 ヶ月)となっている。

支給期間別の件数の割合は 30 日以下が 22.08%と最も高く、31~60 日が 14.96%、61~90 日

が 10.62%となっており、期間が長くなるに従い割合が低下する傾向がある。

支給期間を男女別にみると、平均支給期間は男性が 173.82 日、女性は 152.86 日となってお

り、男性のほうが長くなっている。

平均支給期間を傷病別にみると、精神及び行動の障害(204.25 日)、循環器系の疾患(195.12

日)、神経系の疾患(192.61 日)が長く、一方、妊娠,分娩及び産じょく(54.68 日)、感染症及

び寄生虫症(66.46 日)、周産期に発生した病態(69.38 日)は短くなっている。男女別にみると、

男性は精神及び行動の障害(206.36 日)、神経系の疾患(205.30 日)が長く、女性は精神及び行

動の障害(202.07 日)、循環器系の疾患(191.09 日)が長くなっている。(分析表第 9 表)

日数階級 件数の割合 1日当たり金額

(%) (円)

総  数 100.00 5,530

1~10日 8.11 5,128

11~20日 11.93 5,222

21~29日 12.96 5,460

30日 15.68 5,753

31日 26.71 5,858

32~40日 5.85 5,422

41~50日 4.09 5,325

51~60日 3.14 5,334

61日以上 11.53 5,338

表6 支給日数別 支給状況

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件数の割合

1件当たり金額

件数の割合

1件当たり金額

件数の割合

1件当たり金額

(%) (円) (%) (円) (%) (円)

総  数 100.00 186,624 100.00 203,729 100.00 164,903

30日以下 22.08 86,999 20.15 96,583 24.54 77,004

31~60日 14.96 188,991 13.94 207,178 16.25 169,185

61~90日 10.62 225,467 10.33 242,605 10.99 205,016

91~120日 7.00 219,264 7.23 235,392 6.72 197,239

121~150日 5.40 220,679 5.70 232,960 5.02 202,980

151~180日 4.57 231,057 4.77 247,662 4.33 207,810

181~210日 4.40 218,718 4.62 231,745 4.12 200,179

211~240日 3.88 220,960 4.15 236,363 3.54 198,012

241~270日 3.02 217,617 3.17 234,584 2.83 193,538

271~300日 2.71 223,140 2.88 238,287 2.50 200,972

301~330日 2.76 212,838 3.02 227,052 2.44 190,459

331~360日 2.69 232,156 2.89 245,282 2.43 212,362

361~390日 2.60 218,030 2.79 230,960 2.35 198,521

391~420日 2.34 210,774 2.47 224,008 2.18 191,789

421~450日 2.43 221,823 2.59 238,382 2.22 197,317

451~480日 2.31 213,466 2.50 227,725 2.05 191,390

481~510日 2.02 213,235 2.22 233,759 1.78 180,685

511~540日 1.80 215,144 2.02 228,647 1.51 192,131

541日以上 2.40 221,392 2.56 226,470 2.19 213,839

平均支給期間(日)

表7 支給期間別 支給状況

164.59 173.82 152.86

総 数 男 性 女 性

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7. 減額支給の状況

傷病手当金は労務不能になってから 3 日間は支給されず、4 日目から支給が開始される(健康保険

法第 99 条)。また、出産手当金が支給された場合や、報酬の全部または一部を受けることができる場

合には、全部または一部が支給停止される(同法第 103 条、第 108 条第 1 項)。さらに、厚生年金保

険法による障害厚生年金や障害手当金を受給できるときにも同様の措置が設けられている(同法第

108 条第 3 項)。

今回の調査客体のうち、傷病手当金の全部または一部が支給停止となっているものは 52,301 件で

あり、全体の 45.67%となっている。支給日数(一部減額されて支給された日数を含む。)は 1,629,274

日であり、全額不支給の日数は 472,381 日となっている。また、減額金額(全額不支給となった金額

は含まない。)は 59 億 5931 万円となっている。(表 8)

8. 資格喪失者及び現存者の支給状況

傷病手当金の支給件数のうち、資格喪失者に対するものは 24,302 件で全体の 21.22%、現存者に

対するものは 90,218 件で全体の 78.78%となっている。

傷病別に資格喪失者、現存者の支給状況をみると、資格喪失者の件数の構成割合では精神及び行動

の障害(52.09%)、新生物(12.22%)、循環器系の疾患(11.15%)が高くなっている。(分析表第 10

表)

傷病別に全体の件数に対する資格喪失者の件数の構成割合をみると、精神及び行動の障害

(35.31%)、神経系の疾患(29.17%)、循環器系の疾患(23.53%)が高く、妊娠,分娩及び産じょく

(0.67%)、感染症及び寄生虫症(6.30%)、消化器系の疾患(7.21%)は低くなっている。(分析表第

11 表)

減 額 事 由 件 数 日 数 金 額 減 額 金 額 不 支 給 日 数

(千円) (千円)

総  数 52,301 1,629,274 8,331,014 5,959,309 472,381

初回請求で3日間の待機期間 37,376 1,124,451 5,906,709 525,811 306,443

報酬の一部支給 5,483 169,052 916,535 176,860 49,983

障害年金受給 1,767 65,698 279,922 2,002,854 3,517

障害手当金受給 - - - - -

老齢年金または退職共済年金受給 2,845 116,541 396,390 2,766,508 4,626

労災保険法の休業補償費 1 31 165 - 62

公害補償法の補償給付 - - - - -

その他 4,828 153,436 831,042 486,091 107,750

 注1 「件数」は、減額期間または不支給期間がある者に係るものである。

  2 「日数」は、一部減額されて支給された日数を含む。(全額不支給の日数は含まれない。)

  3 「金額」は、支給された金額である。(一部支給の金額を含む。)

  4 「減額金額」は、一部減額となった金額である。(全額不支給の金額は含まない。)

  5 「不支給日数」は、全額不支給の日数である。

表8 減額事由別 減額者への支給状況

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11

9. 都道府県別の支給状況

都道府県別の支給状況をみると、件数の割合では東京が全国の 13.94%を占めていて最も高く、次

いで大阪(8.21%)、愛知(6.01%)、福岡(5.54%)、北海道(4.34%)の順となっている。

被保険者千人当たり件数を都道府県別に比較すると、沖縄(5.993 件)、長崎(5.952 件)、福岡(5.680

件)が高く、富山(3.471 件)、長野(3.948 件)、岩手(4.039 件)は低くなっている。

平均支給期間をみると、長いのは神奈川(177.00 日)、群馬(174.99 日)、大阪(173.80 日)など

であり、短いのは高知(143.68 日)、新潟(147.72 日)、長崎(149.37 日)などとなっている。

全受給者に対する減額者の割合は、高知(51.85%)、岡山(51.84%)、徳島(51.77%)の順で高く

なっており、減額者の割合が低い順では、北海道(41.24%)、神奈川(41.46%)、千葉(41.51%)と

なっている。

全受給者に対する資格喪失者の割合は、東京(25.19%)、大阪(23.88%)、鳥取(23.18%)の順で

高くなっており、長崎(16.26%)、栃木(16.62%)、新潟(16.64%)の順で低くなっている。(分析

表第 12 表)

都道府県別に全受給者の傷病別における件数の構成割合をみると、全都道府県で精神及び行動の障

害、新生物の件数割合が高くなっており、精神及び行動の障害は東京(41.91%)、京都(35.79%)、

大阪(35.69%)の順で高くなっている。(表 9)

また、資格喪失者の傷病別における件数の割合をみると、全都道府県で精神及び行動の障害の割合

が最も高くなっており、東京、沖縄、岡山など 20 都府県では、50%を超えている。(表 10)

Page 14: 全国健康保険協会管掌健康保険 · 2020. 9. 4. · 2 Ⅱ 調査結果の概要 調査対象件数は114,520 件である。協会けんぽ月報の傷病手当金実績件数との差があるが、これは

12

傷 病 件数割合 傷 病 件数割合 傷 病 件数割合

全 国 精神及び行動の障害 31.30 新生物 18.63 筋骨格系及び結合組織の疾患 10.89

北 海 道 精神及び行動の障害 26.48 新生物 21.78 筋骨格系及び結合組織の疾患 12.80

青 森 新生物 22.74 精神及び行動の障害 21.59 筋骨格系及び結合組織の疾患 12.10

岩 手 精神及び行動の障害 30.15 新生物 22.50 循環器系の疾患 10.87

宮 城 精神及び行動の障害 28.38 新生物 20.89 循環器系の疾患 11.65

秋 田 新生物 25.11 精神及び行動の障害 23.61 筋骨格系及び結合組織の疾患 11.37

山 形 精神及び行動の障害 23.84 新生物 19.53 筋骨格系及び結合組織の疾患 12.10

福 島 精神及び行動の障害 25.13 新生物 21.02 循環器系の疾患 10.91

茨 城 精神及び行動の障害 24.64 新生物 21.70 循環器系の疾患 11.94

栃 木 精神及び行動の障害 24.97 新生物 20.40 循環器系の疾患 11.13

群 馬 精神及び行動の障害 23.13 新生物 21.25 筋骨格系及び結合組織の疾患 12.78

埼 玉 精神及び行動の障害 30.22 新生物 19.13 循環器系の疾患 12.21

千 葉 精神及び行動の障害 29.00 新生物 20.94 循環器系の疾患 11.60

東 京 精神及び行動の障害 41.91 新生物 15.29 循環器系の疾患 8.64

神 奈 川 精神及び行動の障害 33.06 新生物 18.48 筋骨格系及び結合組織の疾患 10.92

新 潟 精神及び行動の障害 29.03 新生物 19.81 筋骨格系及び結合組織の疾患 11.55

富 山 精神及び行動の障害 26.14 新生物 19.02 循環器系の疾患 13.13

石 川 精神及び行動の障害 26.52 新生物 22.18 筋骨格系及び結合組織の疾患 10.49

福 井 精神及び行動の障害 28.05 新生物 21.07 筋骨格系及び結合組織の疾患 10.28

山 梨 精神及び行動の障害 33.82 新生物 20.35 筋骨格系及び結合組織の疾患 9.96

長 野 精神及び行動の障害 33.67 新生物 16.96 筋骨格系及び結合組織の疾患 10.47

岐 阜 精神及び行動の障害 27.36 新生物 20.06 筋骨格系及び結合組織の疾患 12.42

静 岡 精神及び行動の障害 27.43 新生物 19.13 筋骨格系及び結合組織の疾患 12.65

愛 知 精神及び行動の障害 36.13 新生物 16.44 筋骨格系及び結合組織の疾患 10.69

三 重 精神及び行動の障害 27.03 新生物 17.87 筋骨格系及び結合組織の疾患 14.35

滋 賀 精神及び行動の障害 32.48 新生物 13.70 循環器系の疾患 10.71

京 都 精神及び行動の障害 35.79 新生物 17.98 筋骨格系及び結合組織の疾患 10.70

大 阪 精神及び行動の障害 35.69 新生物 17.71 筋骨格系及び結合組織の疾患 9.83

兵 庫 精神及び行動の障害 29.51 新生物 19.69 筋骨格系及び結合組織の疾患 10.97

奈 良 精神及び行動の障害 29.71 新生物 18.97 筋骨格系及び結合組織の疾患 12.29

和 歌 山 精神及び行動の障害 24.44 新生物 21.22 筋骨格系及び結合組織の疾患 11.17

鳥 取 精神及び行動の障害 29.76 新生物 19.31 筋骨格系及び結合組織の疾患 10.16

島 根 精神及び行動の障害 28.30 新生物 21.09 筋骨格系及び結合組織の疾患 12.42

岡 山 精神及び行動の障害 30.17 新生物 16.56 筋骨格系及び結合組織の疾患 9.78

広 島 精神及び行動の障害 28.27 新生物 20.67 筋骨格系及び結合組織の疾患 11.16

山 口 精神及び行動の障害 22.44 新生物 21.53 循環器系の疾患 13.04

徳 島 精神及び行動の障害 25.23 新生物 19.84 筋骨格系及び結合組織の疾患 15.24

香 川 精神及び行動の障害 28.22 新生物 21.04 筋骨格系及び結合組織の疾患 12.29

愛 媛 精神及び行動の障害 27.07 新生物 19.62 筋骨格系及び結合組織の疾患 13.36

高 知 精神及び行動の障害 26.85 新生物 17.73 筋骨格系及び結合組織の疾患 12.93

福 岡 精神及び行動の障害 31.54 新生物 18.42 筋骨格系及び結合組織の疾患 11.95

佐 賀 精神及び行動の障害 29.55 新生物 18.08 筋骨格系及び結合組織の疾患 14.05

長 崎 精神及び行動の障害 26.84 新生物 19.60 筋骨格系及び結合組織の疾患 14.10

熊 本 精神及び行動の障害 25.24 新生物 18.34 筋骨格系及び結合組織の疾患 12.64

大 分 精神及び行動の障害 26.07 新生物 16.88 筋骨格系及び結合組織の疾患 13.75

宮 崎 精神及び行動の障害 24.38 新生物 20.72 筋骨格系及び結合組織の疾患 12.37

鹿 児 島 精神及び行動の障害 25.90 新生物 18.00 筋骨格系及び結合組織の疾患 11.74

沖 縄 精神及び行動の障害 30.17 新生物 14.50 循環器系の疾患 10.97

1位 2位 3位

表9 都道府県別 件数割合が高い傷病

Page 15: 全国健康保険協会管掌健康保険 · 2020. 9. 4. · 2 Ⅱ 調査結果の概要 調査対象件数は114,520 件である。協会けんぽ月報の傷病手当金実績件数との差があるが、これは

13

傷 病 件数割合 傷 病 件数割合 傷 病 件数割合

全 国 精神及び行動の障害 52.09 新生物 12.22 循環器系の疾患 11.15

北 海 道 精神及び行動の障害 47.08 循環器系の疾患 13.81 新生物 13.54

青 森 精神及び行動の障害 45.04 循環器系の疾患 14.05 新生物 10.74

岩 手 精神及び行動の障害 53.81 新生物 14.21 循環器系の疾患 11.68

宮 城 精神及び行動の障害 43.17 循環器系の疾患 20.62 新生物 14.39

秋 田 精神及び行動の障害 34.58 新生物 23.36 循環器系の疾患 18.22

山 形 精神及び行動の障害 48.97 新生物 12.89 循環器系の疾患 12.37

福 島 精神及び行動の障害 46.93新生物循環器系の疾患

13.19 神経系の疾患 7.98

茨 城 精神及び行動の障害 37.50新生物循環器系の疾患

17.19 筋骨格系及び結合組織の疾患 10.71

栃 木 精神及び行動の障害 50.20 新生物 13.55 循環器系の疾患 10.76

群 馬 精神及び行動の障害 42.20 新生物 12.28 循環器系の疾患 11.25

埼 玉 精神及び行動の障害 49.38 新生物 13.56 循環器系の疾患 13.18

千 葉 精神及び行動の障害 51.41 新生物 16.01 循環器系の疾患 11.49

東 京 精神及び行動の障害 61.24 新生物 9.62 循環器系の疾患 8.98

神 奈 川 精神及び行動の障害 51.17 新生物 14.47 循環器系の疾患 12.62

新 潟 精神及び行動の障害 49.16 新生物 14.94 循環器系の疾患 13.01

富 山 精神及び行動の障害 47.09 新生物 15.12 循環器系の疾患 12.21

石 川 精神及び行動の障害 44.44 新生物 16.16 循環器系の疾患 15.66

福 井 精神及び行動の障害 50.00 新生物 19.08 循環器系の疾患 10.53

山 梨 精神及び行動の障害 53.60 新生物 16.80 筋骨格系及び結合組織の疾患 7.20

長 野 精神及び行動の障害 54.57 循環器系の疾患 10.91 筋骨格系及び結合組織の疾患 7.67

岐 阜 精神及び行動の障害 47.81 循環器系の疾患 15.42 新生物 11.83

静 岡 精神及び行動の障害 47.76 筋骨格系及び結合組織の疾患 12.70 循環器系の疾患 11.63

愛 知 精神及び行動の障害 56.07 循環器系の疾患 10.15 新生物 10.08

三 重 精神及び行動の障害 40.07 筋骨格系及び結合組織の疾患 16.29 新生物 13.36

滋 賀 精神及び行動の障害 51.36 筋骨格系及び結合組織の疾患 11.67 循環器系の疾患 10.51

京 都 精神及び行動の障害 55.60 新生物 12.16 筋骨格系及び結合組織の疾患 8.11

大 阪 精神及び行動の障害 56.50 新生物 12.20 循環器系の疾患 9.80

兵 庫 精神及び行動の障害 52.15 新生物 11.76 筋骨格系及び結合組織の疾患 10.48

奈 良 精神及び行動の障害 48.78 筋骨格系及び結合組織の疾患 15.85 新生物 12.20

和 歌 山 精神及び行動の障害 44.16 神経系の疾患 12.34 筋骨格系及び結合組織の疾患 11.04

鳥 取 精神及び行動の障害 43.83 新生物 17.90 筋骨格系及び結合組織の疾患 16.67

島 根 精神及び行動の障害 46.94 筋骨格系及び結合組織の疾患 12.93 新生物 12.24

岡 山 精神及び行動の障害 56.85 循環器系の疾患 10.85 新生物 8.27

広 島 精神及び行動の障害 47.62 新生物 15.93 循環器系の疾患 12.32

山 口 精神及び行動の障害 40.89 循環器系の疾患 17.24 新生物 15.27

徳 島 精神及び行動の障害 41.03 循環器系の疾患 17.95 新生物 16.03

香 川 精神及び行動の障害 52.76新生物循環器系の疾患

12.06 筋骨格系及び結合組織の疾患 11.56

愛 媛 精神及び行動の障害 44.23 新生物 13.78 循環器系の疾患 11.86

高 知 精神及び行動の障害 48.59 筋骨格系及び結合組織の疾患 13.38 循環器系の疾患 11.97

福 岡 精神及び行動の障害 53.67 新生物 9.81 筋骨格系及び結合組織の疾患 9.28

佐 賀 精神及び行動の障害 50.00 新生物 17.20 筋骨格系及び結合組織の疾患 14.52

長 崎 精神及び行動の障害 52.85 新生物 13.69循環器系の疾患

10.65

熊 本 精神及び行動の障害 50.84 新生物 14.04 筋骨格系及び結合組織の疾患 9.83

大 分 精神及び行動の障害 46.22 筋骨格系及び結合組織の疾患 12.18 新生物 10.50

宮 崎 精神及び行動の障害 48.46 新生物 15.77 循環器系の疾患 11.54

鹿 児 島 精神及び行動の障害 45.54 循環器系の疾患 14.94 新生物 11.57

沖 縄 精神及び行動の障害 58.64 循環器系の疾患 13.35 新生物 10.47

3位1位 2位

表10 都道府県別 資格喪失者の件数割合が高い傷病