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曲げを受ける鉄筋コンクリート部材 (その2) コンクリート工学研究室 子田 康弘

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曲げを受ける鉄筋コンクリート部材(その2)

コンクリート工学研究室  子田 康弘

+ 曲げを受ける鉄筋コンクリートはり  (曲げモーメントが作用するRCはりを考える)

+曲げを受ける鉄筋コンクリートはり(状態Ⅱ) n ひび割れ発生後の状態Ⅱにおける断面に生じる応力とひずみの算定

n 荷重レベルが低いことから,部材が弾性的な挙動を示すと仮定し,弾性理論に基づく計算方法が用いられる.

n 応力の計算において以下の仮定が設けられる.

①  維ひずみは,断面の中立軸からの距離に比例する.これを平面保持の仮定という.

②  コンクリートと鉄筋の弾性係数は,一定である.

③  コンクリートの引張応力は,一般に無視する. ○鉄筋コンクリート部材においては,コンクリートのヤング係数Ecを基準として,鉄筋のヤング係数Esとのヤング係数比n(n=Es/Ec)より鉄筋の断面積を実際の断面積のn倍と置き換える.

+曲げを受ける鉄筋コンクリートはり(状態Ⅱ)

  鉄筋コンクリートの曲げ応力は,平面保持の仮定に基づくひずみの適合条件と部材内部の力の釣合条件を用いて解析する.

↑   鉄筋コンクリートのように力学的性質の異なった材料を組み合わせた複合構造材料の断面解析法の特徴

+曲げを受ける鉄筋コンクリートはり(状態Ⅱ)  -­‐単鉄筋長方形断面の曲げ応力-­‐

引張側のみに鉄筋が配置された長方形断面が曲げモーメントMの作用を受けた断面の状態 →圧縮縁コンクリートの曲げ応力σ’cと引張鉄筋の曲げ応力σsを求める.

中立軸

+曲げを受ける鉄筋コンクリートはり(状態Ⅱ)  -­‐単鉄筋長方形断面の曲げ応力-­‐

(1)適合条件式の誘導

中立軸

x : !σ c = y : !σ cy ∴ !σ cy =!σ c

xy

x : !σ c = d − x( ) :σ s / n ∴σ s =n !σ c

xd − x( )

+曲げを受ける鉄筋コンクリートはり(状態Ⅱ)  -­‐単鉄筋長方形断面の曲げ応力-­‐

(2)水平方向の力の釣合条件式の誘導

圧縮側コンクリートの圧縮合力C’c

引張側鉄筋の引張力T

ΣH=0より,C’c=T

中立軸

!Cc = !σ cyA∫ d !Ac = !σ cyA∫ bdy = !σ c

xb ydy =0

x

∫ "σ c

xb y2

2!

"#

$

%&0

x

=bx2

!σ c

T = Asσ s = Asn !σ c

xd − x( )

bx2

!σ c = Asn !σ c

xd − x( )

+曲げを受ける鉄筋コンクリートはり(状態Ⅱ)  -­‐単鉄筋長方形断面の曲げ応力-­‐

(2)水平方向の力の釣合条件式の誘導:中立軸xを求める.

中立軸

bx2 + 2nAsx − 2nAsd = 0

x =−2nAs + 2nAs( )2 +8nAsbd

2b

+曲げを受ける鉄筋コンクリートはり(状態Ⅱ)  -­‐単鉄筋長方形断面の曲げ応力-­‐

(3)モーメントの釣合条件式の誘導

C’c=Tより

中立軸

M = !σ cyA∫ d !A !c y+T d − x( ) =!σ c

xb y2 dy+ !Cc0

x

∫ d − x( ) = bx2

3!σ c +

bx2

!σ c d − x( )

∴M =bx2

!σ c d − x3

%

&'

(

)*

+曲げを受ける鉄筋コンクリートはり(状態Ⅱ)  -­‐単鉄筋長方形断面の曲げ応力-­‐

(4)圧縮縁コンクリートの曲げ応力σ’cと引張鉄筋の曲げ応力σs

中立軸

!σ c =2M

bx d − x3

#

$%

&

'(, σ s =

n !σ c

xd − x( )

+曲げを受ける鉄筋コンクリートはり(状態Ⅱ)  -­‐単鉄筋長方形断面の曲げ応力-­‐

コンクリートの圧縮合力C’c C’cの合力位置はx/3の位置より,モーメントの釣合条件式は下記の通り.

中立軸

,

!Cc =!σ c × x2

×b

M = !Cc ⋅23x +T d − x( )

23x

+曲げを受ける鉄筋コンクリートはり(状態Ⅱ)  -­‐単鉄筋長方形断面の曲げ応力-­‐

コンクリートの圧縮応力(C‘c=Tより)

中立軸

,

M = !Cc23x + d − x( )

#

$%&

'(= !Cc d − x

3)

*+

,

-.=

bx2

!σ c d − x3

)

*+

,

-.

∴ !σ c =2M

bx d − x3

)

*+

,

-.

23x

+曲げを受ける鉄筋コンクリートはり(状態Ⅱ)  -­‐単鉄筋長方形断面の曲げ応力-­‐

鉄筋の引張応力(C‘c=Tより)

中立軸

,

M = T 23x + d − x( )

"

#$%

&'= T d − x

3(

)*

+

,-= Asσ s d −

x3

(

)*

+

,-

∴σ s =M

As d −x3

(

)*

+

,-

23x

演 習 d=800mm,b=400mm,As=8D16という単鉄筋長方形はりが,曲げモーメントM=147kN•mを受ける場合の圧縮縁コンクリートおよび引張鉄筋に生じる曲げ応力を求めよ. ただし,コンクリートの圧縮強度は24MPa,コンクリートのヤング率Ec=25GPa,鉄筋のヤング率Es=200GPaとする.