防炎ニュース188号web用 - jfra防炎ニュースno.188(2011年10月)...

30

Upload: others

Post on 28-Jan-2021

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    10年ほど前、NHKで関東地方向けの情報番組を担当していた頃、よく地震が起きました。生放送中、スタジオの照明が大きく揺れて驚きました。震度4の揺れがあった時には、番組を中断して地震情報を伝え続けたこともありました。地震が起こった時には、必ず津波に関する情報も入ってきましたが、ほとんどが、「この地震による津波の心配はありませ

    ん」あるいは、「念のため、津波にご注意ください」というコメントでした。ですから、3月11日は、驚天動地の出来事でした。津波の怖さを思い知らされ、成す術もなくテレビの画面を食い入るように見つめるだけでした。私は、全国の公民館の応援団と言える「全国公民館連合会」の理事をし

    ています。講演をさせていただいたことのある東北各地の公民館が、津波で流されたり、被災を免れても避難所になったりしていることを知り、「月刊公民館」の取材班として、震災から1か月後に被災地に入りました。たくさんの支援物資を車に積み込み、現地で情報を集め、何か所も公民

    館を訪ねました。そのなかのひとつ、気仙沼市の黒岩公民館では、さまざまなことを教わりました。黒岩公民館は、地元の方たちが指定管理者となり運営しています。地震

    直後、館長は、大勢の人が避難してくることを見越して、近所の方たちにお米を分けて欲しいと頼み、停電に備えお寺でロウソクを分けてもらい、更にレンタルトイレを手配したそうです。すると、津波のなかを命からが

    〔巻頭言〕

    「地域のつながりが命を守る」

    元NHKキャスター 村松真貴子

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    ら生き延びてきた人達が大勢詰めかけてきました。夜になっても、高台にある公民館に避難しようと地域の人達がやってきたそうです。停電、断水のなか、無事だった地域の人達が駆けつけて、炊き出しをしてくれました。温かいご飯にお塩をつけただけのおむすびを、分け合って食べたそうです。不安ななかで食べたおむすびの味は忘れられないと、皆さん、おっしゃっていました。「どこそこの、誰々さんは無事なのか」「あの家には、おばあちゃんがいるはずだけど、どうしたかしら」。地域の人達が運営している公民館なので、普段から足を運ぶ人も多いし、地域の人同士のつながりがあるので、災害が起こった時、安否情報もつかみやすいのです。いざという時、地域のつながりがいかに大事であるかということを実感しました。阪神淡路大震災の時も、つぶれたままの家の前に、佇んでいるお年寄り

    がいたので声をかけたら、「ここには、囲碁の仲間が住んでいる。まだ見つからない。無事を祈って、毎日ここへきているけれど、もうダメかもしれない」。そう言ってため息をつきました。被害に遭った方達が口々に言っていたこと、それは、いざという時力に

    なってくれたのは、地域の人、そこに居合わせた近所の人達だったそうです。「この家には、おばあちゃんがいるはずだから、手を貸してください」。道行く人に、そう呼びかけて、崩れた家からお年寄りを救い出したという話も聞きました。消防や救急、自衛隊など公の機関が被災地に入るまでには、時間がかかります。いざという時、命を救ってくれるのは、地域の人達なのです。だからこそ、日ごろからのつながりが大事なのです。都会では、マンションが屹立し、隣にどんな人が住んでいるのかもわか

    らないし、知りたくないという人さえいます。電話やメールが通信の要となり、益々顔を合わせなくても済んでしまうような社会形成が進んでいます。町内会もなく、回覧板を回すこともしなくなったところもあると聞きます。未曾有の大震災を機に、もう一度地域作りに目を向ける必要があります。顔と顔をあわせて挨拶をすることの大切さ、心地よさを見直しましょう。「こんにちは」という挨拶を大事にすることが、いざという時、命を守ることにつながっていくのですから。

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    <予防行政の取組み紹介>

    鳥取県西部地区の予防行政

    鳥取県西部広域行政管理組合消防局予防課長 舩越 聡

    1 はじめに

    鳥取県西部広域行政管理組合消防局は、山陰地方にある鳥取県の西部に位置し、管轄するエリアは南北55㎞・東西40㎞、管轄面積1,200裄、日

    本海沿岸部から中国山地まで至り県境に接しています。西は島根県に、南は中国山地で広島県と岡山県に接しています。昭和51年5月に、米子市・境港市の2

    市と、周辺の12町村(現在7町村)の常備消防を担う一部事務組合の広域消防として誕生しました。

    米子市は、この地域における行政・交通・教育・文化など多面的な中枢機能をもつ商業都市で、境港市は、日本海に面する重要港湾境港により海外貿易・沖合漁業の基地として、そして、鬼太郎ロードのある街としても知られています。また、鳥取県西部地区は、島根県の松

    江市、安来市と隣接しており、県境を越

    えた人・文化・経済の交流が活発に行われている地域です。

    2 予防体制

    当消防局の組織体制は、消防局を米子市に置き、4消防署6出張所を配置し、約300名の職員で消防業務に当たっています。予防業務の体制は、消防局予防課に3

    係を、各消防署に予防係を配置し、出張所にも予防担当を置き業務を行っております。消防署に、予防業務に専従する職員を十分配置することが困難であるため、予防事務や立入検査業務について、予防担当職員のほか、消防隊員等の多くが兼務する形で行っています。常備消防のみ受け持つ消防組織である

    ことから、消防団に関することは一部事務組合を構成する市町村が所管しています。予防業務の推進には、様々な面で構成市町村との連携が必要ですので、その

    米子市の皆生温泉から大山を望む

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    連携の上において鳥取県西部地区が一体となる予防行政の推進に努めているところです。特に予防業務における地域の防火・防

    災体制の推進には、消防団、自主防災組織、民間防火団体等の協力が不可欠ですので、構成市町村を軸に消防団等との協力関係を構築し、鳥取県西部地区の防火・防災活動の推進を図っています。

    3 火災の調査

    盧 火災の発生状況

    火災件数は、過去5年間全体では減少傾向にありますが、建物火災は微減の状況にあります。

    平成23年にはいってから、上半期に焼死者が7名発生しています。そのうち逃げ遅れによる死者が5名発生しており、いずれも在宅高齢者と子供が犠牲となっています。改めて住宅火災による焼死者防止対策に努めているところです。

    盪 火災調査体制

    火災調査は予防部門が所管していますが、専従の火災調査員の配置は困難なため、消防隊による火災調査が主力となっています。各所属に、予防係長を補佐する立場の火災調査指導員を指名し、現場での調査技術の指導、調査書類の作成などについて職員の指導に当たらせています。しかし、より高い調査技術に関する教育の場の提供、また、火災調査体制の強化が強く望まれているところです。

    4 住宅防火対策

    住宅防火は、まずは出火の防止、住宅用火災警報器による早期発見と早期避難、誰でも使える初期消火器具の準備、カーテン・寝具等の防炎化による火災の拡大抑制を基本に、一体のものとして進めています。盧 住宅用火災警報器の設置普及

    既存住宅の住宅用火災警報器の設置義務化は、今年6月1日の施行でしたが、消防庁の最新(平成23年6月発表)の推計情報によると、普及率は鳥取県内平均が58.3%、当地区は47.8%と、全国平均に比べ極めて低い状況となっています。このような状況となっていますが、住

    民の方の意識を取りまとめてみますと、台所への設置が最も必要との考え方であることが判明し、実際に最初の1個目を台所に取り付けられた方が多かったこともわかり、義務化部分と併せた設置普及活動を行ってきました。現在も、台所も併せた義務化部分への確実な取り付けを引き続き進めているところですが、9月

    消防団女性分団の活動

    過去5年間の火災件数

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    1日現在の独自調査では、完全設置が60%に至る状況となっています。盪 市町村との連携

    住宅用火災警報器の設置普及、取付け支援を進めるには、構成市町村の協力のもと消防団、自治会、自主防災組織、民間防火団体等と連携をしていくことが必要ですが、国の住宅用火災警報器普及促進事業等の活用、消防団の活用、自治会等への働きかけが市町村により違うため、異なる連携体制の積み上げで、当地区全体の普及促進を進めてきています。蘯 消防局の取り組み

    全国各地で開催されています住宅防火対策推進シンポジウムですが、平成20年度には当地区の米子市で共催し、今年度は鳥取市において県内で2回目となるシンポジウムが開催されました。

    県内の多くの住民の方や職場の方、消防団・民間防火団体の方などに参加して頂き、火災に対する住宅の弱点、早期発見・避難の大切さ、寝具・衣類の防炎化の効果などについて学んで頂きました。当消防局独自の取り組みとしては、消

    防署長を委員とした住宅用火災警報器設置促進実行委員会を組織し、各地区担当の設置促進責任者を指名して、構成市町村、自治会、自主防災組織等への働きかけや、住宅用火災警報器の取付け研修会、共同購入の勧めを行っています。設置義

    務化の期限は過ぎましたが、設置促進責任者は、担当地域のすべての自治会をローラー作戦でまわることを目指して、現在も頑張っています。盻 高齢化と住宅防火

    全国的に高齢化が進んでいますが、ここ鳥取県は過疎化と高齢化の先進県でもあります。鳥取県の調査では、県内の高齢化率(平成21年10月現在)は26 .1%となっていますが、当消防局管内では市部は24%台ですが、山間部では高齢化率が40%を越えるところが2町あります。当地区の火災による死傷者も、高齢者

    が多くを占めています。焼死者の原因の中にもみられますが、負傷者の発生原因として着衣に着火して負傷するケースが多くみられます。特に高齢者にこの傾向が強く、高齢者の衣類・寝具の防炎化の必要性を改めて啓発しているところです。また、高齢者には自力で避難すること

    が困難な方も多いのが現実です。一人暮らしの老人世帯や高齢者同士の世帯で、住宅用火災警報器の鳴動や火災が発生した場合に、近隣居住者の方が駆けつけて、高齢者の避難や初期消火に協力して頂ける体制を築くことに努めています。

    5 事業所の防火対策

    盧 指導体制

    鳥取県西部地区は、防火対象物や危険物製造所等の市部への偏りが大きく地域差が著しいため、消防署単位で地域の特徴に対応する指導体制を組んでいます。しかし、市部をかかえる消防署では予

    防担当職員の数が不足しており、特別査察を行う場合などは、消防局の応援、他の消防署から一時的に予防担当職員を派遣するなどの方法で対処しています。立入検査において、消防法令違反を発

    見した場合は、是正指導や追跡調査の実施により速やかな違反解消を目指しています。関係者が防火対策に理解を示すこ

    H23.08住宅防火対策推進シンポジウム

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    員に、社員研修の一環として防火・防災の端緒を学んで頂いています。

    とを目的とし、粘り強く指導を行うことを基本としています。反面、毅然として違反処理へ移行する必要性もあり、重大違反が継続する場合は必要な対処を行っていますが、違反処理体制は十分とは言えず課題として残っています。盪 福祉施設、小規模事業所の防火対策

    相次いだ社会福祉施設の火災、カラオケ・個室型店舗の火災、雑居ビル内の飲食店火災など、小規模な施設であるからこそ存在し解決しづらい課題があります。既存の社会福祉施設の、フルスペック

    又は特定施設水道連結型のスプリンクラー設備の設置工事は完了しましたが、高齢化の進んだ県であるが故、小規模多機能施設、マンション等の一部を利用したケアホームやグループホーム、住宅改造型の福祉施設、建物の一部のみ用途利用する小さな福祉施設などが増加してきています。これらの施設の避難対策や防火対策について、施設関係者と協議をしながら取り組んでいるところです。一方、用途判定において、福祉施設と

    他の用途の境界線上にある施設も増えてきており、入居者の実情に適した消防用設備等の設置や避難対策の指導にも取り組んでいるところです。カラオケ、個室型店舗などに対する消

    防用設備等の設置や避難通路対策、パチンコ店における警報音の対策については、重点的な立入検査の実施によりハード面はクリアしましたが、防火管理上の課題については引き続き取り組んでいるところです。蘯 防火防災研修

    毎年春に、当地区事業所の新入社員を対象として、消火設備や避難設備を実際に使用する実技研修会を消防局で開催し、多数の参加を頂いているところです。事業所に消防用設備等はあっても、実際に使用して訓練を行うことは、なかなか難しい面もあり、実務に就く前の新入社

    6 予防担当職員の育成

    広域消防の特徴でもありますが、広域化する際に大量に採用した職員の退職が、目前に迫っています。予防業務に関して経験豊かな職員が一挙に退職することにより、予防業務担当者に大きな世代の空白が生じることになります。数万㎡を超える防火対象物や特定・準

    特定屋外タンクを消防署管内に持つ予防担当職員と他の予防担当職員には、業務を通じて得る知識・技術の差は大きなものがあります。より多くの予防業務の経験が積めるよう様々な手段を講じ、予防技術者の認定制度の活用や、多様な実務研修を行ってはいますが、次の世代を担う予防業務担当者を育てることが直面する課題となっています。

    7 おわりに

    以上、鳥取県西部地区の予防行政の一端をご紹介しました。管轄エリアが広く、地域によって取り巻く環境が大きく異なっています。単独市の消防と異なり、一部事務組合では消防業務を進める上で、構成する複数の市町村の合意を得ることが必要となりますが、地域全体が一体となる火災予防を進めていきます。

    新入社員研修会

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    「快適で安全・安心な居住空間の創造へ防炎商品への取り組み」

    住江織物株式会社商品部 山中尚哉

    ■会社概要

    住江織物株式会社は、1883年に緞通作りを開始、1891年の帝国議事堂開設のときに緞通を納入して以来、常に技術の向上を図り、徹底した品質管理のもと、日本のインテリアのパイオニアメーカーとして120年以上にわたり、より良い商品を追求してまいりました。現在では、国会議事堂、迎賓館、首相

    官邸、ホテル、オフィスビルといった著名な建築物から一般のご家庭まで、多彩なインテリア商品を幅広くご提供しております。

    本社外観

    トヨタ ALPHARD 内装

    また、インテリア事業とともに自動車内装材、鉄道、バス、船舶、航空機内装材、機能資材、美術工芸織物など幅広い分野で事業を展開しております。

    ■環境への取り組み

    当社は、KKR+A=「K健康」「K環境」「Rリサイクル」+「Aアメニティ」を基本理念として、室内環境改善やリサイクルの活用、環境負荷の低減など環境保全への取り組みにより、快適で安全・安心な居住空間の創造・提供を推進しております。

    JR東海、JR西日本 N700系新幹線

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    <環境基本理念>

    近年、地球環境の悪化が急速に進んでいます。その地球にくらしている私たち人類が地球環境の維持と改善に努め、美しい自然を子孫に譲り渡すことは人類共通の使命であります。住江織物はこのことを認識し、従業員全員が環境保全に積極的に取り組むことによって、住みよい豊かな社会をつくります。<行動指針>

    1.私たちは、企業活動全般にわたって環境を汚染することのないように配慮しつつ、積極的に省エネ・省資源・リサイクルを推進します。

    2.私たちは、環境に配慮した技術と商品を開発することにより、生産から販売、廃棄に至るまで商品ライフサイクルを通して環境保全に努めます。

    3.私たちは、地域社会とのコミュニケーションを通じて社会との共生をはかり、全従業員が小さなことでもできることから行動を起こします。

    4.私たちは、環境保全推進にための社内体制の整備と、全従業員の環境意識の高揚に努めます。

    <住江織物グループ環境対策宣言>

    1.室内環境を改善し、快適な空間を実現します。

    2.循環型社会に対応し、リサイクル材を積極的に採用します。

    3.CO 2削減と環境負荷を低減させる製

    品を提供します。4.安心・安全な素材を使用し、健康と

    環境に配慮します。5.製造から製品に至るまで、省資源・

    省エネルギーに取り組みます。6.最新情報に基づき、環境負荷物質の

    適正管理を推進します。7.エコを意識した製品を提案・提供し

    ます。

    ■当社の防炎商品について

    住江織物は、カーテン・カーペットの分野で防炎商品を製造販売してまいりました。

    びわ湖ホール

    国立劇場 大劇場四季草花図

    公的機関、公共施設、学校、ホテル、病院などの各種施設を中心に、防炎商品が採用されてまいりましたが、近年では、マンションなどの高層住宅や一般住宅においても防炎商品のニーズが高まってお

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    ります。消防法では、高層住宅の11階または31

    m以上の一般居住者にも防炎商品を義務づけており、私たちメーカーが幅広い商品を提供していく必要があると考えております。カーテン分野では、総合版「mode S」、普及版「U Life」、各種施設向け「Face」

    の3つのブランドを販売しております。各種施設向け「Face」は全商品が防炎対応しており、一般住宅も含めた幅広いニーズに対応する「mode S」と「U Life」も、見本帳掲載商品の防炎比率がこの10年間で66%から92%へと大幅に向上しております。

    なかでも、一般住宅を主な用途としている「U Life」は、34%から79%へと大きく増加しております。また、2001年に

    84%だった総合版「mode S」も、2010年より全品防炎対応となっております。原材料が高騰し、価格優先の商品が求

    カーテン 各種施工例

    主力ブランドカーテンの防炎品の構成比率

    発売年度U Life mode S 合計

    防炎比率アイテム数 防炎比率 アイテム数 防炎比率2000年 340 34%2001年 580 84% 66%2002年 340 46% 70%2003年 600 91% 75%2004年 320 70% 84%2005年 600 97% 88%2006年 350 83% 92%2007年 620 97% 92%2008年 350 78% 90%2009年 592 100% 92%2010年 360 79% 92%

    (各ブランドは約2年ごと交互に改訂しています。)

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    住江織物は、「快適で安全・安心な居住空間の創造」を目指して、お客様に広く商品をお選びいただけるよう、防炎商

    品の充実と品質管理に今後とも努めてまいります。

    Piece ソフトプラン

    められる厳しい状況が続いておりますが、当社では防炎という安全にかかわる機能を重視して商品企画を進めています。

    カーペット分野では、各種施設向けに防炎商品を多数販売しておりますが、一般住宅向けでも、カーテン同様に防炎比率のアップを進めております。「ピースカーペット」…江戸間、本間などの既成カーペット

    「ビッグサイズラグ」…サイズバリエーションに富んだラグカーペット

    「カラーパレット」…お客様のお部屋のジャストサイズに加工できるカーペット

    この3つの見本帳掲載商品の防炎品比率は、2004年では20%でしたが、2010年には75%にまで増加しております。特に「カラーパレット」では100%、「ピースカーペット」では92%に達しております。

    機能資材 スミトロン糸

    BIG スミトロンハーモニーベージュ カラーパレット ウールメール

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    防炎製品の有効性に関する検証結果

    東京消防庁防災部防災安全課

    1 目的

    消防機関は、寝たばこ等に起因する寝具類の延焼拡大の防止策として、防炎製品の普及に努めてきたが、寝具全てを防炎製品とすると、非防炎製品に比べ価格が高い等の理由1)から普及は進んでいないのが現状である。そこで本検証では、たばこを着火源、寝具類を着火物とした時に、着火物が全て非防炎製品の場合とシーツやカバーのみを防炎製品にした場合の二通りについて、燃焼性の比較を行い、部分的に防炎製品を使用した時の有効性を確認し、その結果を防炎製品普及のための一助とすることを目的とした。

    2 検証方法

    盧 モデル布団片を用いた小スケールの基礎検証重さや大きさを揃えた布団片(以下、

    「モデル布団片」という。)を作成し、以下の検証を行った。ア たばこをモデル布団片の上に水平に置いた場合

    a 断熱板上に、中綿(大きさ:20㎝×20㎝×1㎝、重さ:9g、綿100%)を2枚重ね、図1のように、側地(綿100%)裏面、裏面から1㎝及び2㎝内部の位置にアルメル―クロメルK熱電対(以下、「熱電対」という。)を設定した。

    b aのモデル布団片上に着火したタバコを水平に置いて燃焼させ、このときの側地裏面及び中綿内部の温度変化から、それぞれの部位の最高温度を測定した。測定回数は4回とし、その平均値を測定値とした。

    c 検証にシーツとして使用した生地は、表1のもの及び綿100%のもので、それぞれ前bの方法で実験した。

    イ たばこをモデル布団片で挟んだ場合a 前アaと同様の熱電対を設置したモデル布団片を2組作成し、シ

    表1 使用した防炎生地

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    ーツの面を合わせて重ねて設定した。

    b 着火したたばこを、その布団片のシーツ間に挟み込み燃焼させ、両布団の側地裏面及び中綿内部の温度変化から、それぞれの部位の最高温度を測定した。測定回数は4回とし、その平均値を測定値とした。

    ウ 洗濯回数による布団内部温度の比較a 前ア、イで使用した防炎生地を、洗濯機を用いて、洗濯・乾燥を所定回数(5回及び10回)繰り返し、試料とした。

    b 前イと同様の方法で行った。盪 マネキンを用いた実大スケール検証ア 非防炎品の布団一式は枕の側地がポリエステル100%の材質が使用されている他は、全て綿100%の材質の寝具を使用した。

    イ 熱電対を設置したマネキンを布団に横たわらせ、着火したたばこを枕元付近の敷き布団と掛け布団の間に置き、寝たばこ火災を想定したモデル火災を発生させた。

    ウ 前アの一式のうち、掛け布団に防炎製品の布団カバー、敷き布団に防炎製品のシーツ、枕に防炎製品の枕カバーをそれぞれかぶせ、前イと同様に測定し比較した。なお、使用した防炎製品の材質は全て綿70%+難燃性アクリル系繊維30%である。

    3 検証結果

    盧 モデル布団片を用いた小スケールの基礎検証

    図1 検証イメージ

    図2 たばこを布団の上に水平に置いた場合

    図3 たばこをモデル布団片で挟んだ場合

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    盪 マネキンを用いた実大スケール検証

    図4 モデル布団片でたばこを挟んだ場合の燃焼状況

    図5 洗濯回数の違いによる温度変化

    図6 寝具全てが非防炎品の場合の実大スケール検証の結果

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    図7 寝具の一部に防炎製品を使用した場合の実大スケール検証の結果

    4 おわりに

    盧 モデル布団片を用いた小スケールの基礎検証において、たばこを布団上に水平に設定して燃焼させた場合、非防炎品のシーツ及び各防炎生地を用いたことによる燃焼性状の差はほとんどなかった。

    盪 たばこを布団片に挟んで燃焼させた場合、以下のことがわかった。ア 非防炎品のシーツでは無炎燃焼が起こっていた。

    イ 綿系+難燃性アクリル系繊維の防炎生地①及び防炎生地②では、測定値及びたばこ周辺の燃焼状況から、無炎燃焼が発生しにくくなっている。これは、難燃性アクリル系繊維に含まれる塩素と難燃剤として添加されている三酸化アンチモンの反応による難燃効果であると考えられる。

    ウ 綿を薬剤で防炎処理した防炎生地③では、測定値およびたばこ周辺、布団の中綿の燃焼状況から、無炎燃

    焼が発生する可能性がある。エ ポリエステル系+難燃性アクリル系繊維の防炎生地④および難燃性アクリル系繊維の防炎生地⑤では、たばこがフィルターまで燃焼しないことから、たばこの燃焼そのものを抑制する効果がある。

    蘯 実際の布団を用いた実大スケール検証では、非防炎品のみで検証した場合、無炎燃焼が発生し、有炎燃焼へ遷移した。しかし、シーツ・カバー類のみを防炎製品にした場合、無炎燃焼は発生しなかった。

    以上のことから、布団の表面を部分防炎するだけでも、最終的には火災発生の防止が期待できるものと考えられる。

    参考文献

    1) 東京消防庁指導広報部広報課:消防に関する世論調査、平成17年11月

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    防炎技術講座(9)

    ~薬剤編~

    1.はじめに

    前回、防炎の理論を中心にご説明しましたが、今回は防炎を施す対象繊維の性質を見極め、「それによって防炎剤をどのように選択していくか?」を考えてみます。

    2.繊維の熱分解過程とその燃焼特性

    まず、繊維の燃焼特性からみていきましょう。①セルロース系及び天然繊維(綿、レーヨン、麻、羊毛など)繊維→分解→着火

    ②合成繊維Ⅰ(アクリル、アセテート、ビニロン)繊維→軟化→分解→着火

    ③合成繊維Ⅱ(ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、)繊維→軟化→溶融→分解→着火

    このように、繊維はその種類によって燃焼の過程が異なります。従って、それによる防炎剤の選択も自ずと変わってきます。

    3.繊維の発火温度と燃焼熱

    次に代表的な繊維個別の発火温度と燃焼熱をグラフに表しました。

    図1 代表的な繊維の発火温度

    ポリプロピレン、アクリル、ナイロン、アセテート、ポリエステル等の合成繊維は発火温度が高く着火し難いのですが、木綿・レーヨンなどのセルロース繊維は着火し易くなります。

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    合成繊維は一旦火が着くと燃焼熱が大きいため、火災の拡大に繋がります。しかし、綿・レーヨンなどセルロース繊維は着火し易いのですが、燃焼熱は大きくないため、初期の防炎に重点を置くことで、火災の拡大は抑えられます。また、羊毛は着火し難く燃焼熱も低いため、他の繊維に比べると燃え難いことが判ります。また、高熱で繊維が燃えると、どのようなガスが発生するかを調べることも、防炎剤

    の選択においては重要なことです。例えば、ポリエステル繊維については下記 表1のようになります。

    図2 代表的な繊維の燃焼熱

    表1 500℃に於けるポリエステル繊維の熱分解生成ガス

    分解生成ガス ㎎/gCO2 CO CH4 C2H4 C2H2 C2H6 ベンゼン トルエン CH3CHO

    290 85 1.7 2.7 2.7 0.14 2.7 0.23 14

    試料100㎎分解温度500℃

    空気流量裨/min

    220

    4.酸素指数による繊維の難燃性

    燃焼の三大要素の一つである酸素量を変えることにより、繊維の難燃性を数値で比較することができます。

    繊維の種類羊毛綿

    レーヨンポリエステルナイロンアクリル難燃アクリルポリプロピレンビニロン

    LOI値24~2617~2017~2020~2220~2218~2028~3718~2018~20

    表2 主な繊維のLOI値

    ポリクラール※

    ポリ塩化ビニル※ポリクラール:ポリビニルアルコールと

    塩化ビニルの共重合物27~3435~37

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    <LOI値>

    LOI値とは限界酸素指数のことで、窒素と酸素の混合気体中で物質が燃え続けるために必要な最小の酸素量のことです。次の計算式で表されます。

    LOI値が高いほど燃えにくく、低いほど燃え易いことになります。空気中の酸素濃度は約21%です。一般にLOI値26以上が難燃性と言われています。このように、繊維素材の燃焼特性を知ることが、防炎剤を選択する上で大切な鍵とな

    ります。

    5.防炎剤の種類

    次に、防炎剤の種類について主要元素を中心に種類分けしました。①リン系防炎剤…リン酸メラミン、リン酸グアニジン、リン酸グアニル尿素、縮合リン酸カルバメート、ポリリン酸アンモニウム、縮合リン酸エステル、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、ハロアルキル燐酸エステル

    ②ハロゲン系防炎剤…塩素化パラフィン、ヘキサブロモシクロドデカン、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン

    ③硫黄系防炎剤…ポリ硫酸カルバメート、スルファミン酸アンモニウム、スルファミン酸グアニジン、チオ尿素樹脂

    ④無機系防炎剤…燐酸アンモニウム、燐酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモ二ウム、ホウ砂、ケイ酸ソーダ、三酸化アンチモン、フッ化チタニウムカリウム、フッ化ジルコニウムカリウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム

    繊維の特性に合わせてこれらの防炎剤を単独、あるいは併用で使用します。

    6.繊維素材別適応防炎剤の分類

    A 単一繊維素材(100%繊維)1)紙、麻、レーヨン、絹、羊毛、キュプラ……燐酸系+ホウ素系2)ビニロン……燐酸系、ハロゲン系+アンチモン3)アクリル……ハロゲン化リン酸系、臭化アンモン系4)ナイロン……チオ尿素系、スルファミン酸系5)ポリエステル……燐酸系、ハロゲン化リン酸系6)アセテート……ハロゲン化リン酸系7)ポリプロピレン……ハロゲン化リン酸系B 混紡・混織繊維素材1) 羊毛/レーヨン、綿/レーヨン……燐酸系2) ポリエステル/レーヨン……ハロゲン化リン酸系

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    3) ポリエステル/綿……ハロゲン化リン酸系4) アクリル/レーヨン……ハロゲン化リン酸系5) ビニロン/綿……燐酸系C 木質(合板等)……ポリ燐酸系D プラスチック、ゴム等……有機ハロゲン系+アンチモン系、水酸化アルミ系E 樹脂コーティング……有機ハロゲン系+アンチモン系、水酸化アルミ系

    対象素材の種類によってこのように防炎剤が選択されます。ここに挙げていますのは代表的な防炎剤で用途・目的・加工方法に応じて多種多様な選択が考えられます。

    7.セルロースと合成繊維の混紡・混織について

    セルロース繊維や合成繊維の単品は簡単に防炎できたとしても、両者の混紡・混織になると燃え易くなり、防炎が難しくなります。防炎剤の量を多くするとか、効果の強力な防炎剤を使用する等、工夫が必要です。前回のロウソクにおける燃焼例で説明しますと、ロウソクはロウ単独では着火し難いのですが、芯があることによって着火し易くなり、燃焼が継続します。このような現象を燃焼の足場(scaffolding)現象と言います。綿とかレーヨンがロウソクの芯としますと、合成繊維はロウの働きをし、セルロース・合成繊維単独より燃焼が激しくなります。従って、両者の混紡あるいは混織品は単独に比べて防炎がかなり難しくなります。

    8.バランスについて

    ここまで防炎剤の選択を学びますと、簡単に防炎剤を作れそうですが、その用途や目的に応じて調整をする必要があり、ここが一番難しいところです。

    上記、図3のように、防炎剤の添加量と各種繊維の物性は相反します。また、防炎効果を上げようとすると、価格も上がってきます。その他、作業性・熱安定性・毒性・化学構造などあらゆるファクターを考慮の上、防炎剤を選択する必要があります。結果的には、全てのファクターを満足させる事は困難だとしても、繊維の種類・用途・必要性・価格等に応じた防炎剤の設定が必要です。

    <引用文献>・譛日本防炎協会「防炎加工専門技術者講習会テキスト」繊維及び防炎の知識・譛東京連合防火協会「火と煙と有毒ガス」

    図3

    (丸菱油化工業株式会社 研究本部 主席研究員 菅 保一)

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    日本防炎協会の研修に参加して

    大妻女子大学家政学部被服学科

    平成23年8月22日(月)から25日(木)までの4日間、今年も大妻女子大学家政学部被服科学生5名の「衣料管理士実習」の一環として研修を行いました。研修内容は、主に繊維の燃焼挙動と防炎化技術、消防法と防炎協会、防炎物品と防炎

    製品の違い、燃焼試験の実習や防炎品の普及・広報活動など協会全体の業務内容について実施しました。研修終了後に5名の学生の皆さんに研修についての感想、ご意見などをいただきまし

    たので、ご紹介いたします。

    大植 萌

    譛日本防炎協会での実習を経て、私は防炎の素晴らしさを実感しました。ここ、日本防炎協会の主な業務として

    ラベル付けがあります。このラベルが付けられている物は絶対的な安全と信用性があります。私の身近な物でこのラベルが付いてい

    る物は防災頭巾でした。綿製なので災害にあった時火がついて危険なのではないかと正直この実習をするまで、安全なのか半心半疑でした。しかし、このラベルが付いているもの

    は全て試験室による厳密な試験を繰り返し行われて私たち消費者の元へ回ってきているものでした。実際にあらゆる防炎

    品の燃焼試験を行いましたが、全ての製品が自己消火性があり、燃えにくいことが分かりました。非防炎品と比較するとその差は一目瞭然で非防炎品は一瞬にして燃えつきました。この防炎品ラベルが付けられた物がいかに私たちの命を守ってくれる物かが一目で分かったと共に、今まで防炎の凄さに無知だった自分が情けなく感じました。現在、消防法で義務付けられた防炎物

    品と防炎協会で認定されている防炎製品24品が私たちの身近における防炎品として出回っています。しかし、この防炎製品の使用は義務付けられていないことから使用率は低いそうです。防炎の必要性を感じていない消費者は多いが、防炎の重要性と認知度を向上させ、防炎製品が多くの消費者にいきわたる日が早く来てほしいものです。このような認知度を上げるためにも、まずは身近な人たちにこの防炎協会で学んだことを広めたいです。さらに衣住生活をしている以上、これ

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    闍柳 彩佳

    今回4日間実習として譛日本防炎協会で勉強をさせていただき、とても沢山の

    ことを学ぶことができました。この実習まで防炎という意味もあまり

    理解していませんでした。しかし講義を受けていく中で、防炎の意味や重要性、可能性を知りとても驚きました。事故が大きくなる前に防ぐことの大切

    さを感じました。これは何の不自由もなく生活している私たちにとっても意味のあることですが、何よりも老人ホームや

    荻原 瑞生

    実習するまで「防炎」という言葉をあまり聞いたことがなかったため、どんなことをしているのだろう? とわからないことばかりでした。ですが4日間の実習を経て防炎につい

    て沢山の知識を得ることができました。普段のニュースでの火事や今年は東北の災害もそうですが、いつ何が起こるかわからない状況の中でいかに自分たちの身を守れるかは、とても大切なことであると感じました。火災の中で一番多いものは住宅火災で年齢別だと高齢者の方の死者数が多いということを聞き、死者数を減らすにはまず高齢者の方への対策をすることが大切だなと感じました。そして実習をして防炎の大切さを知り得た私にまず出来ることは、お母さんやお父さん

    など身近な人に教えてあげることだと思いました。こういったささいなことから始めて一人でも多くの人に防炎について知ってもらえたら、より良いなあと思いました。防炎物品のラベルは交付率が高いのに対し防炎製品のラベルは交付率が低い理由として防炎製品の方は義務づけられていないためというのを聞いてもっともっと普及させられたらいいなあと思いました。防炎協会の人が「多くの人に名前を間

    違われる」「宣伝の手段も難しい」とおっしゃっているのを聞いて実習をふまえて私も「沢山の人に防炎協会について知って欲しい」と感じました。実際に試験もし自分たちの目で防炎品のすごさを見たり体験させてもらい知らなかったことを知る楽しさを得られた4日間でした。何もわからない私たちに丁寧に教えてくださり、もっと知りたいと毎日が楽しみでした。この実習で得たものを自分たちの生活に活かしていけたらいいなあと思いました。4日間、防炎協会の皆さんありがとうございました。

    からは防炎品を購入しようと思います。今回の実習やVTRを見たりしてその

    効果に驚いてばかりでした。このような

    貴重な実習をさせていただきありがとうございました。

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    田中 理子

    私は4日間という短い間でしたが日本防炎協会で様々なことを学ばせていただきました。私は「防炎」という言葉を大学の授業

    で教えてもらい知ってはいましたが詳しいことは知りませんでしたし、防炎ラベルを気にしたこともありませんでした。防炎について様々なことを学び、自分

    のあまりの無知ぶりを思い知りました。防炎品と非防炎品の燃焼比較の映像や写真を見た時は火災の恐ろしさを感じ、火災に対する意識の低さも感じました。私自身も防炎品を使用したいと思いましたし、周りの人にも勧めたいと思いました。

    また、火災についてももっと考えるべきだと感じました。防炎性能試験の実習では実際に体験さ

    せていただきました。試験は結果だけではなく、燃焼の様子を見ていたり、1つの試験体、例えばカーテン1枚を調べるにも普通の状態、洗たくをした状態、ドライクリーニングをした状態等、パターンを変えて試験したりと試験の細やかさや厳しさを知りました。私は防炎ラベルの重みを感じました。世に出すのだから、きちんとした試験が行われているとは思っていましたが、実際に体験したり、お話を伺って防炎ラベルがついている品の凄さを感じ、数日前と防炎ラベルを見る目が変わりました。そのような素晴らしい品があるのに防

    炎について知っている人がほとんどいないということ、よく「防災」と間違えられると職員の方はおっしゃっていました。確かに私自身も知りませんでしたし、

    病院、寝たきりで過ごしている人にとって安心感に代わるものであると思うし、もっと広く社会に浸透していけばいいと、とても思いました。今回の実習では、防炎についての概要

    をはじめ、防炎物品や防炎製品の違い、使用される繊維についてや防炎性能試験について学ばせていただきました。防炎性能試験については実際に防炎加

    工のされている寝具やじゅうたんの燃焼試験もさせていただきました。きちとしたデータをとり判定するために、しっかりと試験をされているのを実際に見てみて、防炎品の安全性をとても感じました。その反面で講義の資料やパンフレット、DVDをみていて炎の怖さ、火災の恐ろしさを改めて実感させられました。一瞬の気のゆるみが命を奪いかねない

    火災に発展しうること、生活が豊かになることで家での住宅火災は今後増えていくものだと思います。それを防ぐためにももっと防炎という

    考えが広まるべきだと思います。広報の方もおっしゃっていたように一

    般に広まり活用されるようになるにはまず防炎という言葉や意味が多くの人に認知されることが大切だと感じます。そのためにも小さな力ではありますが、

    この4日間の実習で学んだことや感じたことを家族や友人に少しでも話をしていきたいと思います。そしてこれからは意識をして防炎ラベルを見ることでしっかりと学んだことを覚えていたいと思います。今回4日間、譛日本防炎協会で学ぶことができてとても良かったです。本当にありがとうございました。

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    松岡 沙紀

    私は今までこのような実習を受けたことがなかったのですが、譛日本防炎協会で沢山のお話を伺い4日間という短い期間の中でも、とても良い経験ができました。実習前は防炎に対する知識がほとんど

    なく授業で消防法などに触れたことがあるくらいでした。この実習で「防炎」という言葉の意味から、防炎物品と防炎製品の違い、防炎品の普及や試験方法など数多くのことを学ばせていただきました。また。実際に使用している防炎性能試験の機械を使って実習させていただいたことは、特に印象に残っています。細かな基準が多いのできっと大規模に機械化されているのだろうと思っていたのですが、試験室での試験は人の手で行っていることが多く驚きました。その中でも秒単位、ミリ単位で少しで

    も誤ってしまうと防炎性能のないものが防炎品として出回ってしまうので厳しく正確に試験が行われていました。このような厳しい試験をクリアして、初めて防

    炎品として認められ、非防炎品との性能の違いは明らかなのに防炎製品の普及は思うようにいかないことも教えていただきました。その背景には法律で義務化されていないことがあり、実際に私も今まで火災を防ぐために防炎品を意識して購入したことがありませんでした。ですが、住宅火災の着火物別死者数を見た時に寝具類や衣服類が上位にあることを知って、改めて防炎性能の必要性を感じました。家にタバコを吸う人がいなくても安心できないと思います。私は70歳を超える祖父母と一緒にくら

    していて祖母は毎日料理もしています。また、女性である私たちは将来子供が出来た時、まだ火に対する危機意識が低い子供を守らなければなりません。誰もが火災に遭遇する可能性があるのだと思います。この実習で防炎について学んだことを

    活かし今頃から防炎に対する意識を高めて家族や友人にも話たいと思っています。この4日間、譛日本防炎協会の方々が

    とても優しく、そして詳しく私たちに防炎について教えていただきました。今回吸収した多くの経験を今後の学び

    や生活に活かしていきたいと思います。短い間でしたが大変お世話になりまし

    た。ありがとうございました。

    周りの人も知っているようにあまり思えません。職員の方々はそのことについて残念そうに話されていましたし、防炎について知った今、私もそう思います。私もより多くの人に防炎について知ってもらいたいと思いますので、まずは周りの人に学んだことを伝えようと思います。

    今回の実習を通してまだ一部分かもしれませんが「防炎」という新たな知識を得ることができ、貴重な体験となりました。親切に分かりやすく教えて下さった日

    本防炎協会の方々には感謝の気持ちでいっぱいです。お世話になりました。本当にありがとうございました。

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    <協会からのお知らせ>

    防炎広報ポスター 作成・配布のお知らせ

    譛日本防炎協会広報室

    日本防炎協会では、消防関係団体のご協力を得て、防炎品普及啓発のため、住宅防火対策の一環として防炎品の必要性や防火・防炎意識の高揚を図る目的で毎年「防炎ポスター」を作成しています。住宅火災予防のために防炎品は自己消火性があるので燃え広がらない“火災から身を

    守る”“逃げる時間をかせげる”ことが出来ることを周知し、防炎品を確認するにはラベルが目印だということを訴えるポスターになっています。

    ポスターは、10月初旬より順次掲出していただくよう、関係各位、各所の皆様には特段のご協力をお願いいたします。今年のポスターのモデルには陸上女子100mアジア大会金メダリストで100m・200m

    日本記録保持者であり、来年のロンドンオリンピックでの活躍も期待される福島千里さん(北海道ハイテクAC)を起用させていただきました。

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    予 防 広 報 委 員 会 開催される

    譛日本防炎協会

    日本防炎協会は、7月21日(木)、16時から第13回「予防広報委員会」を東京・ルポール麹町において開催しました。同委員会は、我が国における防火対象物の火災予防対策の一環として、防炎業務の役

    割及びその普及方法について検討するため、協会が設置したものです。委員会では、澤井理事長の挨拶の後、議題に従い説明と意見の交換が行われました。

    <協会からのお知らせ>

    1 議題について

    盧 平成22年度事業報告及び平成23年度事業計画の概要について盪 防炎品の普及広報活動について蘯 住宅防火対策の推進盻 その他の防炎製品に関する取組み眈 各都市の防炎物品の設置及び防炎製品の普及に関する取組みと防炎品の奏功事例について

    眇 その他

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    2 委員会出席について

    出席委員は、以下の通りです。

    委員長  澤 井 安 勇  財団法人日本防炎協会理事長委 員  佐々木  昇   札幌市消防局予防部長

    豎 委 員  佐 藤 和 博  仙台市消防局主幹兼指導係長豎 委 員  根 岸  勇   さいたま市消防局予防部次長豎 委 員  安 藤  勝   千葉市消防局参事兼予防課長委 員  有 賀 雄一郎  東京消防庁予防部長委 員  岡 田 康 裕  横浜市消防局予防部長委 員  南 部 浩 一  川崎市消防局予防部長

    豎 委 員  関   文 男  相模原市消防局予防課担当課長委 員  米 田  修   新潟市消防局次長

    豎 委 員  石 田 和 久  静岡市消防局予防課長委 員  香 川  誠   浜松市消防局消防次長兼予防課長

    豎 委 員  石 川  悟   名古屋市消防局指導課長委 員  一本木 正 行  京都市消防局予防部長委 員  和 田 敏 章  大阪市消防局予防部長委 員  村 尾 隆 司  堺市消防局予防部長委 員  岡 田  勇   神戸市消防局予防部長委 員  小 川 正 志  岡山市消防局次長兼予防課長委 員  小 川 健 司  広島市消防局予防部長委 員  佐 藤 幸 秀  北九州市消防局予防部長委 員  笠   俊 夫  福岡市消防局予防部長委 員  梅 原  直   財団法人日本防炎協会常務理事委 員  砂 田 圭之助  財団法人日本防炎協会理事・管理部長委 員  後 藤 恭 助  財団法人日本防炎協会理事・技術部長オブザーバー 渡 邉 洋 己  消防庁予防課長※( )内は代理出席

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    防炎製品「寝具類」の性能試験基準改正と「作業服」「襖紙・障子紙等」の認定開始

    <協会からのお知らせ>

    譛日本防炎協会

    この度、防炎製品性能試験基準改正と関連規程・基準を改正し、平成23年9月1日より施行しました。改正内容は以下の通りです。

    「寝具類」の性能試験基準改正

    防炎製品「寝具類」の性能試験基準見直しについては、平成22年度防炎協会の事業計画として防炎性能基準の検証試験に取組み、平成22年5月10日並びに平成23年5月11日の二度に亘る防炎製品認定委員会(菅原委員長:東京理科大学大学院教授)の審議を経て、9月1日より改正基準を施行しました。改正点は次の2点です。◇寝具類の性能試験基準のうち詰物に関しての規定を削除し、ふとん完成品の認定要件から詰物類単独の試験をなくし、これまで通りのふとんの側地試験と完成品試験のみとしました。なお、完成品試験の45°メセナミン法における炭化長の測定は、炭化範囲が詰物内部で拡大した部分も透視的に見た最大長さとしました。

    ◇同じく寝具類側地類のうち、敷布・ふとんカバーは新たに設定した非防炎の標準ふとん(側地;綿100%、詰物;綿100%)との組合せによるふとん完成品試験としました。標準ふとんは防炎協会が準備しますので、縦横27㎝の袋状に縫製した試験体9体を提出してください。

    以上の改正により、ふとん完成品の詰物材料は防炎・非防炎どちらでも良く、新たなふとん材料の組合せにより安価で多様なバリエーションの防炎ふとんが普及することを期待しています。また敷布・ふとんカバーについては非防炎のふとんとの組合せで防炎性能を評価することにより、現に一般家庭や病院・介護施設などで広く使用されている普通のふとんに防炎の敷布・ふとんカバーを被せる形で使用され、寝具類着火による火災減少に繋がることを期待しています。

    新規防炎製品「作業服」の認定開始

    これまで一般工場で着用される防炎の作業服は、申請があれば防炎製品「衣服類」として試験し認定していましたが、火災危険のある作業現場で使用されている作業服を製造する業界及びこれらを使用する業界からの要望もあり、「作業服」の防炎製品化の検討を進めてきました。本件は平成23年5月11日に開催された「防炎製品認定委員会」で審議のうえ作業服の防炎製品性能試験基準が承認され、9月1日より認定を開始しました。対象となる作業服は、連続的に使用することを意図する作業服で、激しくない又は発

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    生確率の低い火災に対し、身体の一部分を防護する作業服で、炉用(断熱性能)、溶接用(耐溶融金属飛沫)等の特殊な作業環境下で着用する作業服は対象とせず、一般作業服に防炎性能を付与したものとしています。新たに設定しました防炎性能基準は国際基準と整合性のある基準としました。

    表 防炎製品「作業服」の性能試験基準

    作業服の性能要求項目 試験方法 性能基準

    防炎性 ISO 15025 A法(JIS T 8022)表面接炎 10秒

    残炎時間 2秒以下残じん時間 2秒以下端部への火炎伝播・貫通・溶融or滴下しないこと

    耐熱性 JIS T 8023 180℃×5分 熱収縮率5%以下

    防炎製品「襖紙・障子紙等」の認定開始

    平成22年度防炎協会事業計画のテーマとして「建具類」の新規防炎製品化を検討してきましたが、一般住宅における木製材料を主体とした構造体としての防炎建具の需要、供給側の取組状況、燃焼試験の困難さ等から総合的に判断し、新規防炎製品「建具類」としてではなく、最も着火・拡大しやすい表面の紙を防炎化することが住宅防火対策として有効と位置付けました。そこで住宅火災の着火物原因建具関係の中で第1位にある襖(フスマ)の襖紙を現行の防炎製品「障子紙」と合わせ「襖紙・障子紙等」として対象拡大を図ることとし、9月1日より認定を開始しました。防炎製品性能試験基準は、現行の「障子紙」と同様の基準です。

    事業者の皆様には新しい防炎製品の開発を進めていただき、広く社会に防炎品が普及拡大していくことを願っています。これらの基準や手続き及び申請様式等は、協会のホームページ(http : //www. jfra .or . jp)に掲載されていますのでご利用ください。またご不明な点があれば、協会本部技術部にお問い合せください。

    引張強さ(ニット地を除く)

    JIS L 1096 A法(ラベルドストリップ法)

    ボトム・ジャケット300N以上シャツ地200N以上

    引裂強さ(ニット地を除く)

    JIS L 1096 A‐1法(シングルタング法)or D法(ペンジュラム法)

    ボトム・ジャケット13N以上シャツ地10N以上

    破裂強さ(ニット地のみ)

    JIS L 1096 A法(ミューレン形法)

    200kPa以上

    帯電性 JIS L 1094 C法摩擦帯電電荷量測定法

    帯電電荷量7μC/㎡以下

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    じゅうたん等に係る指定検査機関制度の廃止について

    <協会からのお知らせ>

    譛日本防炎協会

    当協会では、これまで検査機関として財団法人毛製品検査協会(現「一般財団法人ケケン試験認証センタ-」)を指定し、同センターが実施したじゅうたん等に関する防炎性能測定に係る試験データを活用した防炎性能試験を行ってきたところであります。この制度につきましては、登録確認機関として確認試験の実施体制の管理を徹底し、

    確認結果についての責任を全うする観点から見直すこととなり、今般、公益財団法人への移行認定申請の機会に併せて、本年9月末をもって本制度を廃止することといたしました。したがって、本年10月1日からは、じゅうたん等の防炎性能確認申請の際に必要となる防炎性能試験については、全て協会が直接行うこととなりますので、本年10月1日以降のじゅうたん等に係る防炎性能試験申請につきましては、直接協会に行っていただくようお願いします。

    防炎物品(カーテン、暗幕、どん帳、布製ブラインド、じゅうたん、

    展示用合板、舞台において使用する幕および大道具用の合板、工事

    用シート)、防炎製品(寝具類、衣服類、テント類、シート類、幕類、

    自動車・バイク等のボディカバー、布張家具、防護用ネット等)の

    普及活動事例及び火災をくい止めた実例を「防炎ニュース」誌上で

    ご紹介したいので、ぜひご一報ください。

    (財)日本防炎協会 広報室〒103‐0022 東京都中央区日本橋室町4‐1‐5 共同ビルTEL 03‐3246‐1661 FAX 03‐3271‐1692

    防炎物品・防炎製品の普及・奏効例を☆お知らせください☆

    消 防 機 関 の 皆 さ ま へ

  • 防炎ニュースNo.188(2011年10月)

    別府市グループホーム連絡協議会「防災講話」開催

    大分県別府市消防本部は、小規模福祉施設における防火・防災に対する知識の向上を目的として、下記のとおり研修会を実施しました。

    記【実施日時】 平成23年7月26日貂18:30

    ~20:00【会  場】 別府市消防本部4階会議室【参 加 者】 別府市グループホーム連絡

    協議会宮脇命人会長以下55名が参加しました。

    【研修項目】1 防火対策盧小規模社会福祉施設における訓練マニュアルの説明

    盪ビデオ研修「火災時、あなたはどうする!」

    蘯住宅用火災警報器・防炎製品について・ビデオ研修「防炎製品について」・燃焼比較実験機材(簡易セット)による燃焼実験

    2 防災対策盧地震発生時における避難誘導について

    盪ビデオ研修「津波から生き延びるために」※時間の都合により割愛、後日、各施設への貸出し受付けとした。

    3 質疑応答

    (大分県)別府市消防本部

    【所感】 3月11日に発生した東日本大震災は、未曾有の大災害となったことから、研修会に参加した各施設の関係者は、安全対策を習得したいという思いが強く感じられ、終始、熱心に公聴している姿勢がうかがえました。その際、別府市グループホーム連絡協

    議会が実施したアンケート調査においても、防火・防災に対する近隣の協力関係の必要性といったご意見とともに防炎製品に対する関心の高さを感じた研修会でありました。研修会終了後も、消防本部予防課に防

    炎製品に関する電話による問合せが複数あり、改めて関心の高さを再認識したところであります。別府市消防本部では、財団法人日本防

    火協会共催事業として、「第36回市民と消防のつどい」を11月20日(日)に開催する予定で、例年2万5千人を超える多くの市民が来場しています。今年は、会場内に防炎製品の特設コー

    ナーを設けて啓発活動を行う計画としています。今後とも、住宅用火災警報器の設置推

    進と併せ、防炎製品の必需性を訴え「安心・安全」に尽力していきたいと考えています。

    燃焼試験による防炎品の有効性の確認