乳幼児健診の発達評価項目の再検討 ーコミュニケー...

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広島県立保健福祉大学誌 人間と科学 5 (1) 53 -65 2005 乳幼児健診の発達評価項目の再検討 ーコミュニケーション障害児の早期発見のために一 福田登美子*1 山崎和子*1 玉井ふみ*1 堀江真由美*1 武内和弘*1 李福南*2 *1 広島県立保健福祉大学コミュニケーション障害学科 *2 広島県立保健福祉大学研究生 2004 910 日受付 2004 12 13 日受理 抄録 コミュニケーション障害児の早期発見のために 4か月乳幼児健診を活用する目的で 4か月健診時の発達評価項 目試案を作成して調査した。評価項目は従来から用いられていた 23 項目に新たに 27 項を追加した 50 項目から 構成された。この試案を 4 か月健診を受診した,第 1 子の母親 68 名,第 2 子以上の母親 97 名に実施した。評 定方法は「はい,時々,まだ(いいえ)J 3 段階で行った。項目の妥当性の検討は「はい」と回答した項目の 通過率で行った。通過率は 60% 以上とし, 60% 以下については 40% 以上"-' 60 %未満, 40% 未満として検討し た。結果は以下の通りであった。 1 試案に用いた 50 項目の通過率は, 60% 以上は 29 項目, 40% 以上"-' 60 %未満は 11 項目, 40% 未満は 10 項目であった。 2 1 子の母親と第 2 子以上の母親の評価項目の通過率による比較では,全体で 7 項目に有意差があり,第 2 子以上の母親の方が通過率が高かった。 3 従来の項目と追加した項目の通過率による比較では,前者には 60% 以上の通過率の項目が多く,後者には 40% 以上"-' 60 %未満に該当する項目の割合が多かった。 以上の結果から,今回調査した試案の中から 35 項目を抽出して 4 か月健診時の発達評価項目改訂版を作成し た。今後は,実施追跡例を増やすとともに,コミュニケーション障害の疑われる乳幼児についての経過追跡調査 も検討する予定である。 キーワード:コミュニケーション障害児, 4か月健診,発達評価項目の作成(改訂版) 円〈 U Fhu

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広島県立保健福祉大学誌 人間と科学 5 (1) 53 -65 2005

乳幼児健診の発達評価項目の再検討

ーコミュニケーション障害児の早期発見のために一

福田登美子*1

山崎和子*1

玉 井 ふ み*1

堀江真由美*1

武内和弘*1

李 福 南*2

*1 広島県立保健福祉大学コミュニケーション障害学科

*2 広島県立保健福祉大学研究生

2004年 9月10日受付

2004年12月13日受理

抄録

コミュニケーション障害児の早期発見のために 4か月乳幼児健診を活用する目的で4か月健診時の発達評価項

目試案を作成して調査した。評価項目は従来から用いられていた 23項目に新たに 27項を追加した 50項目から

構成された。この試案を 4か月健診を受診した,第 1子の母親 68名,第2子以上の母親 97名に実施した。評

定方法は「はい,時々,まだ(いいえ)J の3段階で行った。項目の妥当性の検討は「はい」と回答した項目の

通過率で行った。通過率は 60%以上とし, 60%以下については40%以上"-'60 %未満, 40%未満として検討し

た。結果は以下の通りであった。

1 試案に用いた 50項目の通過率は, 60%以上は 29項目, 40%以上"-'60 %未満は 11項目, 40%未満は 10

項目であった。

2 第 1子の母親と第2子以上の母親の評価項目の通過率による比較では,全体で 7項目に有意差があり,第2

子以上の母親の方が通過率が高かった。

3 従来の項目と追加した項目の通過率による比較では,前者には 60%以上の通過率の項目が多く,後者には

40%以上"-'60 %未満に該当する項目の割合が多かった。

以上の結果から,今回調査した試案の中から 35項目を抽出して4か月健診時の発達評価項目改訂版を作成し

た。今後は,実施追跡例を増やすとともに,コミュニケーション障害の疑われる乳幼児についての経過追跡調査

も検討する予定である。

キーワード:コミュニケーション障害児, 4か月健診,発達評価項目の作成(改訂版)

円〈

U

Fhu

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広島県立保健福祉大学誌 人間と科学 5(1) 53-65 2005

緒言

知的障害,自閉症(広汎性発達障害),特異的言語

発達障害等,いわゆるコミュニケーション障害児の健

全育成の基本は,問題の発生する徴候を可及的早期に

発見するとともに 発見後の支援・指導・訓練を関係

領域が連携して継続できる体制のもとで進めていくこ

とである。このうちの早期発見の手段としては,全国

市町村で実施されている乳幼児健康診査(以下,乳幼

児健診とする)が有効活用されており,乳幼児健診の

全国的受診率は 1か月 4か月, 1歳6か月, 3歳児

健診では平均 80%以上1)の高い報告がみられる。

乳幼児健診は,医師,保健師,栄養士,心理士等が

担当して,子供に対する理学的診査および母親による

子供の発達評価の情報に基づいて,子供の問題の有無

のチェックならびに育児に関する助言が行われている。

短時間で行われる健診現場では母親からの情報は子供

の発達状態を把握する際の重要な判断資料となると考

えられるが,従来使用されている発達評価項目は,実

際にどのような評定がだされているのか,母親が質問

の意味を正しく理解して評定できる表現となっている

か,育児経験の差が評定に影響していないか,評定回

答することで子供の発達を理解するのを助けるような

内容であるかは再検討する必要があると考えられる。

将来コミュニケーションに問題をきたす子供では,母

親が子供の発達過程を理解することによって要注意の

徴候を早期に気づいたり 相談の必要性や対策を考え

ることもできる。

そこで,本研究では4か月健診時の発達評価項目を

再検討することにした。 4か月健診を取り上げた理由

は,子供の成長の過程で生後4か月ころは急激に大脳

皮質の組織化が進み 知覚・運動など多くの神経運動

が分化する一つの転換期として重要な位置を占める

key年齢とされているからである 2)。

われわれはコミュニケーション障害児の早期発見お

よび母親の育児に役立つ発達評価項目を考える目的で,

従来から用いられてきた母親による乳幼児発達評価項

目を基盤にして,コミュニケーションの発達と関連す

る項目を追加した4か月健診用評価項目の試案を作成

した。それを用いて乳幼児健診時に調査を行い項目の

妥当性を検討し,改訂版を作成した。

11 研究方法

1 対象および方法

対象は,広島県東部の某市総合福祉健康センターで

実施されている 4か月健診を,平成 15年4月および

5月に受診した子供の母親 165名とした。母親の年

齢は 20"-'30歳代で第 1子の母親(初産婦)は 68名,

第2子以上の母親(経産婦)は 97名であった。子供

の平均月齢は4か月 10日 (3か月 25日"-'5か月 3日)

で,全児とも 4か月健診までは特に発達上の問題点は

指摘されていない。

われわれは健診現場に赴き,受診のために来所した

全母親に直接趣旨説明を行い評定回答への協力を要請

し,全員から承諾を得て待ち時間内に評定を実施して

もらった。回答は無記名で行った。

2 調査項目

本学附属診療センターに通所しているコミュニケー

ション障害児が在住する市町村 20箇所に, 4か月乳

幼児健診で用いている発達評価項目(問診票)の提供

を依頼した。 16市町村から送付された項目数は,市

町村によって表現の多少異なるものも含めて全項目は

23項目となり,これを従来の評価項目とした。

新たに追加する発達評価項目は,本学ですでに作成

した乳幼児発達評価チェックリスト 3)および、その他2.4)

の発達評価表から,今回の試案作成のための評価項目

として 27項目を抽出した。試案に用いる評価項目は,

コミュニケーションの発達と関連すると考えられる項

目を「社会・言語Jr知覚・認知・適応Jr運動Jにつ

いて抽出しその他Jとして子供の発達に問題を疑

わせる徴候をチェックするための項目も加えた。

追加項目の選択基準は 子供の行動全般の発達につ

いて4か月児に出現しているとされている項目を中心

に,その前後の月齢項目も含めて段階的に,かつ,評

価行動が具体的に表現されていて評定しやすいと考え

られる項目とした。「社会・言語」については,主に

人への興味や愛着行動,音声言語行動の基礎となる機

能や口腔機能に関する項目を加えた。「知覚・認知・

適応」では,主に自と手の協応運動の発達を通して知

覚や認知の発達および、物への興味や遊びの広がりを見

る項目を加えた。「運動」では,頭部の統御機能や手

足の機能について4か月より高い月齢の項目も加えた。

「その他」の項目については 従来の項目にはない口

腔機能について 1項目加えた。

評定回答は「はい 時々 まだ(いいえ)Jの3段

階とした。各領域における従来の項目数と新たに追加

した項目数の関係は表 1のとおりであった。

表 1 発達評価項目試案に用いた 50項目の内訳

総項目数従来項目追加項目

「社会・言語」に関する項目 18 6 12

「知覚・認知・適応j に関する項目 18 9 9

「運動j に関する項目 9 4 5

「その他」に関する項目 5 4

計 50 23 27

4

Fhu

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3 分析方法

検討に用いた評価項目の妥当性は,各項目について

「はい」と回答した母親の割合(以下その項目の通過

率とする)を算出した。「その他」の項目は i(まだ)・

いいえ」を集計した。通過率は表2に示す基準で区分

し,本研究の通過率は 60%以上とし, 60%未満につ

いては 40%以上'"'-'60%未満 40%未満に区分して

検討した。通過率の統計処理は χ2検定を用いた。

試案の項目を用いて 165人から得た評定回答は以

下の 4点から分析した。

1)領域別に全項目の通過率の分布状況

2) 第 1子の母親と第 2子以上の母親の通過率の比較

検討

3)従来の 23項目と追加した 27項目の通過率の比較

検討

4) 以上を踏まえて改訂版作成のための検討

表2 通過率の基準

・通過率 60%以上の項目:

月齢に合った発達を調べるのに妥当な項目

-通過率 40%~ 60%未満の項目:

この範鴎に入る項目を通過しない子どもは,発達

が遅れているわけではないが,その後の発達経過を

みたり母親指導をするポイントとなる項目

-通過率 40%未満の項目:

月齢に適していない項目 健常児には出現率が低

い項目

川 研究結果

1)試案の項目について 領域別にみた全項目の通過

率の分布状況

結果は表 3および、図 1に示した。

「社会・言語」領域の 18項目について

通過率 60%以上の項目は 12項目 (1'"'-' 5, 7 '"'-' 9,

11, 12, 16, 1 7) で,通過率は 61.2% "-' 97.5 %の

範囲にあり, 80'"'-' 90%台が 7項目と多かった。これ

らの項目を,乳幼児発達評価項目リスト他に示された

月齢段階でみると 12項目すべてが 1'"'-'4か月段階

の項目であった。そのうち 1'"'-'3か月段階の項目が 9

項目含まれていた。 40%以上"-'60%未満は4項目 (10,

13'"'-' 15)で,通過率は41.2%"-' 58.1 %の範囲にあり,

月齢段階は 1"-'4か月段階であった。 40%未満は 2

項目 (6,18)で,いずれも通過率は 30%台であった。

月齢段階は4および5か月段階であった。

「知覚・認知・適応」領域の 18項目について

広島県立保健福祉大学誌 人間と科学 5(1) 53-65 2005

通過率60%以上の項目は 11項目 (19'"'-' 22, 24, 25,

28, 30, 33 '"'-' 35) で,通過率は 61.8%'"'-'98.7%

の範囲にあり, 60%'"'-' 70%台が 9項目と多かった。

通過率 98.7%は項目 20で 50項目中最も高い通過

率であった。 11項目の月齢段階は 3'"'-'4か月が 10項

目と多く, 5か月が 1項目であった。通過率 40%以

上'"'-'60%未満の項目は 3項目 (29,32, 36) で,

通過率は40.6%'"'-'53.9%の範囲にあり,月齢段階は4,

5, 6か月に各 1項目ずつであった。 40%未満の項

目は 4項目 (23,26, 27, 31)で,通過率が 26.6

% '"'-' 39.9%の範囲にあり 月齢段階は 4か月および

6か月段階が各2項目ずつであった。

「運動」領域の 9項目について

通過率 60%以上の項目は 5項目 (37"-' 40, 43)で,

通過率は 61.2%'"'-'83.0%の範囲であり,通過率は

80%台が 1項目, 70%台は 2項目, 60%台は 2項目

であった。月齢段階は 1および2か月段階が各 1項目,

4か月が 3項目であった。 40%以上'"'-'60%未満の項

目は 2項目 (42,44) で,通過率は 44.2,56.3%で

あり, 4か月, 5か月段階の項目であった。 40%未

満の項目は 2項目 (41,45) で,通過率は 38.7%お

よび 8.4%であった。 8.4%は項目 45で 50項目中最

も低い通過率であった。 2項目の月齢段階は 5,6か

月であった。

「その他」領域の 5項目について

60%以上の項目は項目 50の 1項目で,通過率は

67.2%であった。これは項目 50に対し「いいえ」と

評定した母親が 67.2%いたことを示している。 40%

以上'"'-'60%未満は2項目 (46,48)で通過率は43.0%,

58.7%であった。 40%未満は 2項目 (47,49) で

12.1 %, 24.8%であった。すなわち そのような行動

はないと評定する母親の割合は 1項目を除いて 60%

未満しかいなかった。

以上のように社会・言語Ji知覚・認知・適応Ji運

動」の 3領域について試案に用いた項目の通過率は,

60%以上の項目では,領域順に 12項目 (66%),11

項目 (61%に 5項目 (55%) で,それらの月齢段階

は,領域順に 12項目すべてが 1'"'-'4か月, 11項目中

10項目が 3'"'-'4か月 5項目すべてが 1"-'4か月で

あった。すなわち 試案に用いた項目で通過率を 60

%以上とした場合には,項目の月齢段階が 1"-'4か月

の項目であれば62%の乳児が通過していたことになる。

40%以上,......60%未満の項目に含まれる月齢段階は,

4'"'-'6か月の項目が 8項目, 1か月段階が 1項目と,

ここには月齢段階の高い項目が含まれていた。通過率

40%未満の項目の月齢段階も,全て 4'"'-'6か月の項

目であった。「その他Jの領域では 60%以上が 1項目

に留まり,他の項目の通過率は 10%台から 50%台に

分散していた。

FhU

Fhu

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2005 53-65 5 (1) 人間と科学広島県立保健福祉大学誌

4ヵ月健診用発達評価項目試案と通過率

号通番一

1

表 3

令階一

1

月段一O

通過率

(%)

61.2

68.4

67.8

41.2

68.4

89.6

83.6

86.6

83.6

52.7

46.0

95.2

58.1

97.5

92.1

38:1

• • •

• 口

• •

• • • 口

0:2

0:3

0:4

0:4

0:4

0:4

0:4

0:1

0:3

0:3

0:4

0:3

0:3

0:5

0:1

2.

7.

10.

13.

15.

16.

11.

12.

14.

8.

9.

3.

4.

5.

6.

領域

社会・言語(口腔機能も含む)

62.4

36.9

76.9

98.7

• 口

• 口

0:3

0:4

0:3

0:3

17.

18.

20.

19.

0:3 21. 73.3

48.4

88.4

73.3

61.8

70.9

36.9

39.9

78.7

35.1

触ろうとするように両

おもちゃを見その人の手をじっと見る,

• ロ

• ロ

• • 口

0:4

0:4

0:4

0:4

0:4

0:4

0:4

0:6

円。ハU

0:5

22.

25.

29.

30.

31.

23.

24.

26.

27.

28.

知覚・認知・適応(探索・操作)

26.6

53.9

75.7

61.8

61.8

音に耳

40.6

72.1

自分の足や髪や衣服等をさわって遊んでいますか

音楽や音のする方向に顔を向けますか

子どもの耳から 15センチほど離れたところで鈴を鳴らすと,

を傾けるような様子をしますか

音に対して,顔をしかめる,まばたきをする,ほほ笑むなどをしますか

物(おもちゃ,晴乳びん,食べ物など)を見せると 欲しそうに(うれしそうに)体

をパタパタさせますか

目覚めているときには,手のひらを軽く聞いていますか

うつぶせに寝かせると 頭を持ち上げますか

うつぶせに寝かせると,足を伸ばして 頭をまっすぐにして 2"'3秒以上頭を持ち上

体の動きが止り,

• 口

• ロ

項目

区分

泣いているとき,お母さんの声がすると泣き止みますか

あやすと笑いますか

お母さんの顔をじっと見て,目があうとにっこりしますか

話しかけると声を出して喜びますか

人の顔を見て,自分から笑いかけてきますか

怒った顔にもほほ笑みかけてきますか

目覚めているとき,傍を歩くお母さんの動きを目で追って,反対側まで頭を動かしますか

お母さんと他の人の違いがわかってきていると思いますか

抱いてあげると,アーウーなどの声を出したり笑ったりしますか

降ろすとまた泣きますか

目覚めているとき,一人でアーウーなどの声を出していますか

自分の声の高さや長さを変化させていますか

自分の出した声を聞いているように,声を止めたり出したりしますか

手に持っているおもちゃを取り上げようとすると手に力が入って抵抗しますか

目の前の物(おもちゃとか晴乳びん,食べ物)に興味をもっと,緊張し,呼吸が速くなっ

たり深く吸い込んだり 唇をつぼめたり 声を出したり 大きな声で笑ったりしますか

お乳を見て欲しそうな声を出したり,体を動かしますか

お乳を飲んでいる時間が短くなってきましたか

スプーンで液体が飲めますか

目覚めているとき,自分の手をじっと見つめていますか

自分の手を見つめたり しゃぶったりしますか

ガラガラなど(おもちゃ類)を手にもって 2"'3秒見つめていますか

ガラガラなど(おもちゃ類)を口に持っていこうとしますか

体のそばにおもちゃを見つけると手を出しますか

着物を引っ張って自分の顔の上にかけたりしますか

手に触れた物をつかみますか

ガラガラなど(おもちゃ類)を振って遊びますか

物に手を出したり,振ったりの同じ行動を繰り返しますか

顔のうえとか胸の上で,両手を触れあわせますか

寝かせた状態で,子どもの胸の上におもちゃをつりさげると,

手を動かしますか

動くものを目で追いますか

椅子に座らせて目の前におもちゃを置くと,

るそれから手を出して触ろうとしますか

0:5

0:4

0:4

0:3

32.

33.

34.

35.

• 口

0:6

0:1

36.

37.

83.0 口0:2 38.

76.3

hU

F円U

げていられますか• 0:4 39.

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広島県立保健福祉大学誌 人間と科学 5 (1) 53 -65 2005

40. 0:4 • 上を向いて寝かせると,頭をまっすぐにして両手を広げて大の字のような格好をしますか 64.8

41. 0:5 口 足を左右両方とも同じ程度に動かして,足の裏をすり合わせたりしますか 38.7

42. 0:4 • 支え座りをさせると,ほんのちょっとの間頭が垂れていますが,それから顔を上げて56.3

運 笑ったり,声を出したりしますか

動 43. 0:4 ロ 首がすわっていますか 61.2

44. 0:5 • 臓の下を支えて立たせると,少しの間つま先で、立ったり,つま先を曲げて足を持ち上44.2

げたりしますか

45. 0:6 • 人の支えなしでも数秒間座ることができますか 8.4

46. 口 音もしていないのに驚いたり 音に敏感すぎると思うようすがみられますか 43.0

そ 47. 口 少しの音にもビクとしますか 12.1

の 48. • お乳を飲む時間がかかりすぎますか 58.7

他 49. 口 抱いているとき後ろへ反り返りますか 24.8

50. 口 抱きにくいですか 67.2

口従来の項目を示す・追加項目を示す, 項目 46"'-50は「いいえ」と評定した

率を示す

(%)

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 O

社会・言語 (18項目)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 (項目)

(%) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0

知覚・認知・適応 (18項目)

19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36(項目)

.:追加項目

(%) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 o

運動 (9項目)

37 38 39 40 41 42 43 44 45 (項目

(%) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0

その他 (5項目)

46 47 48 49 50 (項目)

~:従来の項目

図 1 評価項目通過率 (n=165)

2 )第 1子の母親と第2子以上の母親の通過率による

比較検討

結果は図 2に示した。

「社会・言語」領域の 18項目について 18項目中,

項目 1, 3, 4の「泣いているとき,お母さんの声が

すると泣き止みますかJrお母さんの顔をじっとみて,

目があうとにっこりしますかJr話しかけると声を出

J'「「U

して喜び、ますかJには有意差があり 第 2子以上の母

親の通過率が高かった。有意差はみられなかったが,

第 1子の母親の方が高い傾向にあったのは,項目 18

の「スプーンで液体が飲めますかJのみであった。

「知覚・認知・適応」領域の 18項目について

18項目中,項目 30の「動くものを目で追いますかJ

の 1項目に有意差がみられ 第 2子以上の母親の通過

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広島県立保健福祉大学誌 人間と科学 5(1) 53-65 2005

(%) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 O

社会・言語 (18項目)

** (%) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0

運動 (9項目)

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 37 38 39 40 41 42 43 44 45 (項目) (項目)

(%) 知覚・認知・適応 項目) (%) その他 (5項目)100 100 90 ト一一一 90 80← 80 70 70 60 60 50 50 40 トー 40 30 トー

t 30

20 トー 20 10 トー ー 10 。 。

19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 3S 36 46 47 48 49 50 (項目) (項目)

口第 1子・:第2子以上*P < 0.05

図2 第 1子と第 2子以上の母親の通過率の比較

率が高かった。

「運動」領域の 9項目について

9項目中,項目 43の「首がすわっていますか」の

1項目に有意差がみられ 第 2子以上の母親の通過率

が高かった。

「その他J領域の 5項目について

5項目中,項目 47,49の「少しの音にもビクとし

ますかJI抱いているとき後ろへ反り返りますかJに

有意差があり,第2子以上の母親の通過率が高かった。

すなわち,全体をとおして 7項目に第 1子の母親と第

2子以上の母親の通過率に有意差が認められた。

3)従来の 23項目と追加した 27項目の通過率の比

較検討

結果は表4に示した。

「社会・言語」領域の 18項目について

この領域の従来の項目は 6項目 追加項目は 12項

目であった。従来の 6項目のうち通過率 60%以上の

項目は 5項目あり 項目 2 Iあやすと笑いますか」が

95.2%,項目 3 Iお母さんの顔をじっと見て,目があ

うとにっこりしますか」が 89.6% 項目 7 I目覚め

ているとき,傍を歩くお母さんの動きを目で追って,

反対側まで頭を動かしますか」が 92.1%,項目 8 Iお

母さんと他の人の違いがわかってきていると思います

かJ68.4%,項目 11 I目覚めているとき,一人でア

ーウーなどの声を出していますかJ97.5%であった。

すなわち, 90%以上の高い通過率の項目が 3項目と

多かった。 1項目のみは項目 18Iスプーンで液体が

飲めますか」の 36.9%であった。

追加項目 12項目のうち 60%以上の項目は 7項目

で,項目 1 I泣いているとき,お母さんの声がすると

泣きやみますかJ61.2% 項目 4 I話しかけると声を

出して喜び、ますかJ86.6%,項目 5 I人の顔をみて,

自分から笑いかけてきますかJ86.6%,項目 9 I抱い

てあげると,アーウーなどの声を出したり笑ったりし

ますかJ83.6%,項目 12I自分の声の高さや長さを

変化させていますかJ67.8% 項目 16Iお乳を見て

欲しそうな声を出したり,体を動かしますかJ68.4%,

項目 17Iお乳を飲んでいる時間が短くなってきまし

たかJ62.4%で, 60%台の通過率の項目が4項目,

80%台は 3項目であった。 40%以上'"60%未満は4

表4 従来の 23項目と追加した 27項目の

通過率の比較

60% 40%以上 40% 以上 60%未満 未満

従来項目 23

追加項目 275

4一9

1

1一2

6

4一ω

oo

Fhu

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項目で,項目 10r (抱いていた子どもを)降ろすとま

た泣きますかJ58.1%,項目 13r自分の出した声を

聞いているように 声を止めたり出したりしますか」

52.7%,項目 14r手に持っているおもちゃを取り上

げようとすると手に力が入って抵抗しますかJ46.0%,

項目 15r目の前の物(おもちゃとか晴乳びん,食べ物)

に興味をもっと,緊張し,呼吸が速くなったり深く吸

い込んだり,唇をつぼめたり,声を出したり,大きな

声で笑ったりしますかJ41.2 %で, この区分には

50%台と 40%台の通過率が 2項目ずつであった。 40

%未満は 1項目で項目 6 r怒った顔にもほほ笑みかけ

てきますか」は 38.1%と低かった。

「知覚・認知・適応」領域の 18項目について

従来の項目は 9項目,追加項目も 9項目であった。

従来の項目のうち 通過率が 60%以上の項目は 6項

目で,項目 20r自分の手を見つめたり, しゃぶった

りしますかJ98.7% 項目 21rガラガラなど(おも

ちゃ類)を手に持って 2"""3秒見つめていますかJ

73.3%,項目 25 r手に触れた物をつかみますかJ

70.9%,項目 28r顔のうえとか胸の上で,両手を触

れあわせますかJ78.7% 項目 30r動くものを目で

追いますかJ88.4%,項目 34r子どもの耳から 15

センチほど離れたところで鈴を鳴らすと,体の動きが

止り,音に耳を傾けるような様子をしますかJ61.8%

で,通過率が 90%台, 80%台, 60%台が各 1項目で,

70%台が 3項目であった。通過率40%以上"""60%未

満は 1項目で,項目 32r自分の足や髪や衣服等を触

って遊んでいますか」の 53.9%であった。 40%未満

の項目は 2項目で 項目 23r体のそばにおもちゃを

見つけると手を出しますかJ35.1%,項目 26rガラ

ガラなど(おもちゃ類)を振って遊びますかJ36.9%

であった。

追加項目のうち 60%以上の項目は 5項目で,項目

19 r目覚めているとき 自分の手をじっと見つめて

いますかJ76.9% 項目 22rガラガラなど(おもち

ゃ類)を口に持っていこうとしますかJ73.3%,項目

24 r着物を引っ張って自分の顔の上にかけたりしま

すかJ6l.8%,項目 33r音楽や音のする方向に顔を

向けますかJ75.7%,項目 35r音に対して,顔をし

かめる,まばたきをする,ほほ笑むなどをしますか」

61.8%であり, 70%台の通過率が 3項目, 60%台が

2項目であった。 40%以上"""60%未満は 2項目で,

項目 29r寝かせた状態で,子どもの胸の上におもち

ゃをつりさげると 触ろうとするように両手を動かし

ますかJ48.4%,項目 36r物(おもちゃ,日甫乳びん,

食べ物など)を見せると 欲しそうに(うれしそうに)

体をパタバタさせますかJ40.6%であった。 40%未

満の項目は 2項目で,項目 27r物に手を出したり,

振ったりの同じ行動を繰り返しますかJ39.9%,項目

広島県立保健福祉大学誌 人間と科学 5 (1) 53 -65 2005

31の「椅子に座らせて目の前におもちゃを置くと,

その人の手をじっと見る,おもちゃを見る,それから

手を出して触ろうとしますかJ26.6%であった。

「運動」領域の 9項目について

従来の項目は4項目,追加項目は 5項目であった。

従来の項目のうち 60%以上の項目は 3項目で,項目

37 r目覚めているときは,手のひらを軽く開いてい

ますかJ72.1%,項目 38rうつぶせに寝かせると,

頭を持ち上げますかJ83.0 % 項目 43r首がすわっ

ていますかJ61.2%であった。 40%未満は項目 41r足

を左右両方とも同じ程度に動かして,足の裏をすり合

わせたりしますかJ38.7%の1項目であった。

追加項目のうち 60%以上の項目は 2項目で,項目

39 rうつぶせに寝かせると,足を伸ばして,頭をま

っすぐにして 2"""3秒以上頭を持ち上げていられます

かJ76.3%,項目 40r上を向いて寝かせると,頭を

まっすぐにして両手を広げて大の字のような格好をし

ますかJ64.8%であった。 40%以上"""60%未満の項

目は 2項目で,項目 42r支え座りをさせると,ほん

のちょっとの間頭が垂れていますが それから顔を上

げて笑ったり,声を出したりしますかJ56.3%,項目

44 r肢の下を支えて立たせると,少しの間つま先で

立ったり,つま先を曲げて足を持ち上げたりしますかJ

44.2%あった。 40%未満の項目は 1項目で,項目 45

「人の支えなしでも数秒間座ることができますかJ8.4

%であった。

「その他」領域の 5項目について

従来の項目は4項目,追加項目は 1項目であった。

従来の項目のうち 60%以上の項目は 1項目で,項目

50 r抱きにくいですか」に対し「いいえJと評定し

た母親が 67.2%であった。 40%以上"""60%未満は 1

項目で,項目 46 音もしないのに驚いたり,音に敏

感すぎると思うようすがみられますかJ43.0%, 40

%未満は 2項目で項目 47r少しの音にもビクとしま

すかJ12.1%,項目 49r抱いているとき後ろへ反り

返りますかJ24.8%であった。

追加項目は項目 48の「お乳を飲む時間がかかりす

ぎますか」が 58.7%の1項目であった。

従来の 23項目を通過率からみると, 60%以上に該

当する項目が多く,追加した 27項目では 40%以上~

60%未満に該当する項目の追加が多い傾向にあった。

4)改訂版作成のための検討

改訂版は表 5に示した。

試案からコミュニケーション障害児の早期発見のた

めの 4か月健診用改訂版の作成を検討した。基本的に

は通過率 60%以上の項目となるが 60%未満でも項

目の月齢段階やコミュニケーションに関わる内容等か

ら改訂版用項目を抽出した。また,通過率が 60%以

Q.υ F同

U

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広島県立保健福祉大学誌 人間と科学 5 (1) 53 -65 2005

表 5 4ヵ月健診用発達評価項目(改訂版)

通 し月令

番号 段 階

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

0

1

2

1

2

3

4

5

6

7

8

9

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

2

2

2

0:1 泣いているとき,お母さんの声がすると泣き止みますか

0:2 あやすと笑いますか

0:3 話しかけると声を出して喜びますか

0:4 人の顔を見て,自分から笑いかけてきますか

0:3 目覚めている時,傍を歩くお母さんの動きを目で追って,反対側まで頭を動かしますか

0:4 お母さんと他の人の違いがわかってきていると思いますか

0:1 抱いてあげると,アーウーなどの声を出したり笑ったりしますか

0:3 目覚めているとき 一人でアーウーなどの声を出していますか

0:3 自分の声の高さや長さを変化させていますか

0:4 自分の出した声を聞いているように,声を止めたり出したりしますか

0:4 手に持っているおもちゃを取り上げようすると手に力が入って抵抗しますか

0:4 お乳を見て欲しそうな声を出したり,体を動かしますか

0:3 お乳を飲んでいる時間が短くなってきましたか

0:3 自分の手を見つめたり,しゃぶったりしますか

0:3 ガラガラなど(おもちゃ類)を手にもって 2"'3秒見つめていますか

0:4 体のそばにおもちゃを見つけると手を出しますか

0:4 着物を引っ張って自分の顔の上にかけたりしますか

0:5 手に触れた物をつかみますか

0:4 顔のうえとか胸の上で,両手を触れあわせますか

0:4 動くものを目で追いますか

0:3 音楽や音のする方向に顔を向けますか

0:4 子どもの耳から 15センチほど離れたところで鈴を鳴らすと,体の動きが止り,音に耳を傾けるよう

な様子をしますか

0:4 音に対して,顔をしかめる,まばたきをする,ほほ笑むなどをしますか

0:6 物(おもちゃ,晴乳びん,食べ物など)を見せると,欲しそうに(うれしそうに)体をバタパタさせ

ますか

0:1 目覚めている時には,手のひらを軽く聞いていますか

0:2 うつぶせに寝かせると,頭を持ち上げますか

0:4 うつぶせに寝かせると,足を伸ばして,頭をまっすぐにして 2"'3秒以上頭を持ち上げていられますか

0:4 上を向いて寝かせると,頭をまっ直ぐにして両手を広げて大の字のような格好をしますか

0:4 支え座りをさせると,ほんのちょっとの間頭が垂れていますが,それから顔を上げて笑ったり,声を

出したりしますか

0:4 首が座っていますか

音もしていないのに驚いたり,音に敏感すぎると思うようすがみられますか

少しの音にもビクとしますか

お乳を飲む時間がかかりすぎますか

抱いているとき後ろへ反り返りますか

抱きにくいですか

通過率

(%)

61.2

95.2

83.6

86.6

92.1

68.4

83.6

97.5

67.8

52.7

46.0

68.4

62.4

98.7

73.3

35.1

61.8

70.9

78.7

88.4

75.7

61.8

61.8

40.6

72.1

83

76.3

64.8

56.3

61.2

*43.0

*12.1

*58.7

*24.8

*67.2

23.

24.

25.

26.

27.

28.

29.

30.

31.

32.

33.

34.

35.

* rいいえ」と評定した率を示す

-60-

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上の項目でも全体のバランスから項目を削除した。「社

会・言語」領域から,項目 3は通過率は 80%台と高

いが,項目 4および5と同程度の通過率であり,人へ

のより積極的反応行動を表現した項目 4および5で評

価できるとして改訂版用項目からは削除した。項目 9

----13は音声言語行動に関連する項目であり,特に項

目13は通過率は 52.7%であったが前言語期の評価に

必要な項目であるので改訂版項目とした。項目 14は

通過率は 46.0%と低かったが,外部刺激に対する反

応を評価する項目として選んだ。したがって, この領

域から改訂版用項目としては, 60%以上の 11項目に

60%未満の2項目を加えて 13項目とした(項目 1,2,

4, 5, 7 ----9, 11 ----14, 16, 17)。

「知覚・認知・適応」領域からは,項目 19は項目

20の内容を簡潔にして追加したが 20の通過率が高か

ったので, 19は改訂版項目からは削除した。項目 22

は通過率は 73.3%と高かったが, 20および 21で評

価できるので削除した。項目 23は通過率は 35.1%と

低かったが,物への興味の広がりや認知の発達,手の

機能の発達を評価する項目として選択した。項目 36

は通過率が 40%台であったが 子どもの物への関心

や認知,予測能力を測定できる項目であり,また本人

の意思を全身で表現している内容であり,言語理解力

の基礎能力となる項目として選択した。したがって,

この領域からは通過率 60%以上の 9項目と 60%未満

の2項目を加えて 11項目を選んだ(項目 20,21,

23 ----25, 28, 30, 33 ----35および36)。

「運動J領域は,項目 42の通過率は 50%台であっ

たが, 4か月児では頭部の発達評価が必須であること

から次の 43の項目の前の段階として項目に加えた。

したがって, この領域では 60%以上の 5項目に 60%

未満の 1項目を加えた6項目を改訂版項目とした。(項

目37----40, 42, 43)。

「その他」からは, 5項目中 4項目の通過率が 60

%未満であったが これらの評価項目は子どもの発達

の個人差を示すのか健常児には出現率が低い,いわゆ

る将来起こりうるコミュニケーションに関わる問題点

を示す徴候かを評定する項目として不可欠であること

から, 10%台の項目も含めて全 5項目を改訂版項目

とした。

最終的には総数 35項目の 4か月乳幼児健診発達評

価項目の改訂版を作成した。従来の項目から 18項目,

追加項目からは 17項目を選択した。

IV 考察

4か月健診時の発達評価項目改訂版作成の理由に

ついて

乳幼児健診は,母子保健サービスとして平成 9年か

らは市町村に一元化された業務となり,実施にあたっ

広島県立保健福祉大学誌 人間と科学 5(1) 53-65 2005

ては各市町村の工夫が求められることにもなる。生後

間もない新生児では 問題があったとしても表面的に

はほとんど問題の存在は見えないことが多く,親も具

体的な問題についての不安をもっているとは考えにく

いが, 1か月健診の受診率の高いことから考えると,

母親の育児に対する不安要因はさまざまな形で存在し

ており,健診を受診することは母親の安心感に強く繋

がると考えられ,この意味から乳幼児健診の活用は意

義がある。

本研究で4か月健診に着目した理由は,生後4か月

ころは,運動機能の分化の出発点として首がすわる,

体の左右対称的な動きができはじめる,手の機能の分

化により目と手の協応運動がはじまる,自分の手を道

具として実際に用いることが可能になること等から,

4か月児の行動の変化は母親や家族に見えるものが増

加し,親が子供の発達に関して関心や心配を抱える最

初の時期となると考えられる。また, 4か月児は,全

身の運動機能の分化とともに コミュニケーションの

基礎能力となる人や物への興味・愛着・適応能力等情

緒・社会性の発達や 感覚機能特に聴覚機能の発達

により音への関心が増し,音の聞き分け,響きの美し

い音への関心から人の声の聞き分け等が急速に増して

くる成長の目覚ましい時期である。それらの行動や行

動の芽生えがバランスよく子供に現われているか否か

を親は子供との接触を通して観察し,次にはどのよう

な行動に繋がるかを期待し子供の発達に関する知識を

深め,種々の刺激を与えながら子供の行動を確認する

ことが,将来出現するかもしれない問題の早期発見に

繋がることになる。

コミュニケーション障害児といってもその種類や種

類別出現率,症状や症状の出現時期は多様で,比較的

早期に気づきゃすいもの 気づきにくいものなどさま

ざまであり,発見の時期が定まっているわけではない

ので,何時何が出現するかを知るには日々の成長をと

おして母親や周囲の者が子供を観察することが最重要

である。そのために子供を観察するときの客観的で分

かりやすい指標は必要である。

乳幼児健診の有効性 子供にみられる問題点のチェ

ックおよび母親の育児に関する不安等に関しては実に

多くの研究が報告されている。それらによると, 1か

月およびそれ未満に行う健診は母親の育児不安の軽減

に有効であり 5) 4か月健診に関する報告では,母親

への支援と子どもの将来の発達に関する問題をチェッ

クできる機会であることが報告されていえる。 6,7,8)

一方, 4か月健診で「首のすわり」に関して経過観察

となった乳児が 1か月後には全員異常なしと評価され

たことから, 4か月健診で扱う項目は 90%以上の乳

児にできる項目を用いたチェックが望ましいとする報

告 10)や「首のすわりJ i追視・注視J iあやしかけに

E-A

pnu

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広島県立保健福祉大学誌 人間と科学 5 (1) 53 -65 2005

対する微笑」を検討したところ,これらの認められな

い乳児では,将来正常児として発達する場合と精神発

達遅滞児となっていく場合が認められるとする報告も

ある 8)。このように 4か月健診に関して種々の見方や

問題点の指摘がみられることは 4か月健診が子供の

発達過程にきわめて重要な時期であることを示すもの

であり,それゆえに子供の全身の発達が見えるような

評価項目が必要となり 評価項目の決定には慎重な対

応が求められる。

一般的に,子供のコミュニケーションや言語能力の

発達について親や周囲の者が問題視するのは 1"'2歳

ころであるが, これらの機能は言語理解や発語のみら

れない前言語期の基礎能力に支えられるもので,それ

が基盤となって音声言語によるコミュニケーション能

力が成立することを考えると 周囲の者はこの時期か

ら子供の発達を理解し,わず、かな徴候にも気づき,配

慮すべき事柄に手を打つべきで 発達支援は4か月健

診という早期から始まっているといえる。

2 第 1子の母親と第 2子以上の母親の通過率による

比較検討について

第 1子の母親と第2子以上の母親の評定で有意差の

あった項目は全部で 7項目みられた。すべて第2子以

上の母親の通過率が高かった。このような項目は一般

的には評定がしやすいと考えられ またほとんどの乳

幼児健診時の項目にみられるものであるが,今回の調

査から母親の評定基準に育児経験による差異の生じる

可能性が示された。項目 1 r泣いているとき,お母さ

んの声がすると泣きやみますか」は 1か月の項目であ

るにもかかわらず 6l.2%と以外に低かった。項目 43

「首が座っていますか」も 61.2%と低かった。特に低

かったのは項目 47r少しの音にもビクとしますかJ

12.1 %,項目 49r抱いているとき後ろへ反り返りま

すかJ24.8%でこれらは全体の通過率も低く,さらに

第 1子と第2子以上の母親で差があることは,これら

はどの母親も評価に迷いがあり 「いいえ」とはいえ

ない「時々」と評価したことで通過率として表れなか

ったものと考えられる。すなわち 母親自身が評価基

準をもっていなければ回答できない項目では,第 1子

の母親では第 2子以上の母親よりも評価が困難になっ

たものと考えられる。項目 3 rお母さんの顔をじっと

見て,目が合うとにっこりしますかJ,項目 4 r話し

かけると声を出して喜び、ますか」 項目 30r動くもの

を目で追いますかJは 80%以上の高い項目であり,

笑うとか見るとか子供の行動を見れば評価できる項目

は,どの母親も比較的評価しやすいことが示されたが,

なお第 1子の母親と第2子以上の母親では有意差があ

ることは,子供の発達の理解は経験から学ぶ要因が多

いことを示しているといえる。

他の報告でも第 1子の母親は第 2子以上の母親に比

べ育児不安は有意に高く しかも不安が早期に出現す

る,子供の泣きに対しても非受容的傾向があると報告

されている 7,9)。以上から考えると,母親に記入を依

頼するこのような評価 あるいは生育歴調査などでも

母親への質問方法には 育児経験の差が回答結果に反

映する可能性のあることを認識して工夫と配慮が必要

であるとともに,第 1子の母親への育児支援は特に必

要であることを示しているといえる。

3 試案の評価項目の通過率による検討

4か月乳幼児健診では,どの程度の項目数が適切で

あるかは,実施目的,項目の内容,評価の方法,評定

者,さらに評定者の負担等により決定される必要があ

る。本研究の目的はコミュニケーション障害児の早期

発見を考慮に入れた評価項目の検討であることから,

子供の発達全体が把握できる 同一行動に関しても連

続性・順序性を追って項目を設ける,コミュニケーシ

ョン機能に関連する項目を入れる 子どもの実態が反

映されやすくするために母親が評定を行いやすい表現

である等を考えたことから 試案の項目は従来から行

われている項目数よりかなり多い 50項目となった。

「社会・言語」の領域で笑いに関する項目は,従来

の健診では2項目であったが3項目を追加したのはあ

やすと笑う」のと話しかけると声を出して喜ぶJr人の顔を見て, 自分から笑いかける」や「怒った顔にも

ほほ笑みかけてくる」とでは行動の意味, レベルが異

なることを考慮して月齢段階も広げて加えたが,項目

2"'5においては従来の項目と追加項目では通過率は

いずれも高く変わらなかったことは,子供の笑顔は母

親には最も心地よい反応であり観察がきめ細かく行わ

れているものと考えられる。一方,項目 6の「怒った

顔にもほほ笑みかけてきますか」の意図は,相手にな

ってもらうことを喜ぶ対人関係の発達を測ることを目

的で加えたが,評定に迷う表現となっていたこと,月

齢段階が 5か月と高かったこと 日常生活で4か月児

に怒った顔はあまりしない等から通過率が 38.1%に

留まったものと考えられ,表現に工夫が必要な項目で

あると考えている。

本研究は,特にコミュニケーション機能を支える基

礎能力の評価項目を追加した。「社会・言語」の項目

12"'13, 16および 17等では 3"'4か月の項目であ

り,これらはほぼ60%以上の通過率であった。一方,

項目 14は外部刺激に対する反応を評価するのに重要

な項目であり,通過率は 60%以上であると予測され

たが, 40%台であった。項目 15も子供自身が外部へ

働きかける行動として重要項目であるが40%台の通

過率であったことは 項目の表現が複雑すぎたことに

も問題があったのではないかと考える。

つ山pnu

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「知覚・認知・適応」の領域は,主に日と手の協応

運動を評定する項目で 5か月 6か月段階の 5項目

を含めた。項目 26,27は安定した力強い手の機能の

発達は外界の探索手段として発展し,物をもって振っ

たりたたいたりして自分で音を出して聞くというコミ

ュニケーションを支える機能の評定であったが通過率

は低く改訂版項目として選択しなかった。項目 23は

通過率は低かったが物を見て認識して触ろうとする行

動の芽生えを評価する項目として選択した。これは項

目31と関連するものであるが 単に目に入った物を

無差別に触るのではなく,手を見る,おもちゃを見る,

そして手を出して触る行動,すなわち,物を注視する

行動は,のちに目の前に物がなくても物の存在が分か

る認知機能に連なる行動で, この年齢の子供の発達を

評価する重要な項目となる。しかし,項目 31は通過

率が 26.6%と低く,今回の改訂版からは削除した。

発達上重要な項目でも通過率の低かったことは,この

ような行動の有無の確認は親から子供へ刺激を与えた

り,子供をよく観察しなければ見えないものであり,

そのような確認は日々の育児では行われることが少な

いのかもしれない。

「運動」の項目は 9項目中 7項目を改訂版の項目と

した。項目 44,45は 5か月, 6か月の項目でもあり

特に 45は 8.4%の最低の通過率であり,試案項目と

しても適切な項目選択ではなかったと考えられる。

「その他」の中で項目 47の「少しの音にもビクと

しますか」の通過率が 12.1%と低かったのは母親に

とって「少しの音」や「敏感すぎる」のとらえ方は異

なり,評定のむずかしい表現の項目であったと考えら

れる。

以上のように,試案の 50項目には通過率からみて

検討を要する項目も認められたが,従来の項目には少

なかったコミュニケーションに関連する機能を評価す

る項目を追加できたと考えられる。

本研究では通過率を 60%と設定したが,他の研究

では 60"'75%が用いられている。今回 60%にした

理由は,通過率を 60%より高くすれば項目の妥当性

は高くなるが評価できる内容が限られて要注意,要観

察児を見付けることが出来にくくなる可能性がある。

一方,低くすれば要観察児も多く通過してしまうこと

になる。本研究の目的の 1つが子供の発達を総合的に

見つめ,もしも問題の徴候があれば効率良く,より早

期に発見できるようにすることであったことから考え

ると,今回用いた 60%が妥当であろうと考えている。

しかし, 40%以上 60%未満の項目やそれ以下の項目

も内容的な必要性から改訂版に入れることになったこ

とは,通過率は 50%程度も視野に入れることも必要で,

この点は今後の追跡例を踏まえて再度項目を検討する

必要がある。「その他」の 5項目は,通過率の基準に

広島県立保健福祉大学誌 人間と科学 5(1) 53-65 2005

も示したように,項目がその年齢に適さない場合と健

常児では発現の低い内容の両方を示すと考えられるが,

これらの項目の今回の通過率は以外に低かったといえ

る。この通過率に留まったことの原因はいろいろある

と考えられるが,健診現場で、行った実施方法も 1つの

原因であったかもしれない。いずれにしても子供の発

達に問題を疑わせる徴候をチェックするための項目で

あり,今後コミュニケーション障害児の早期発見に活

用できる項目を選りすくw って改編を継続する必要があ

る。

今回の通過率と他の報告 4) を比較すると,項目 1

で今回の通過率が61.2%に対して他の報告では 96.4%,

項目 8では今回の通過率が 68.4%であるのに対して

16.2%,項目 15および 16では今回の通過率が41.2

%と 68.45 %であるのに対して他の報告では 26%,

項目 18では今回の通過率が 36.9%であるのに対して

69.9%とかなり相違のある項目があった。項目 43の

「首がすわっていますか」では今回は 61.2%の通過率

であったが他の報告では 3か月で 100%であるなどの

相違も見られた。この理由については,他の報告では

子どもの行動を実際に具体的に記録して評定を行って

いるのに対し,本研究は評価項目表で母親が健診時に

評定することから母親の判断基準や評定時の迷いが影

響して「はいJと「時々Jの評定基準に一貫性がなか

った現われかもしれないと考えられ,記入時の説明の

あり方や母親教室などによる説明への配慮,実施方法

の工夫などが必要であると考えられる。

V まとめ

コミュニケーション障害児の早期発見のために, 4

か月乳幼児健診を活用する目的で 4か月健診時の発達

評価項目試案を作成して調査した。評価項目は従来か

ら用いられていた 23項目に新たに 27項目を追加し

た 50項目から構成された。この試案を 4か月健診を

受診した,第 1子の母親 68名,第2子以上の母親 97

名に実施した。評定方法は「はい,時々,まだ(いい

え)J の3段階で、行った。項目の妥当性の検討は「はい」

と回答した項目の通過率で行った。通過率は 60%以

上とし, 60%以下については 40%以上'"60%未満,

40%未満として検討した。結果は以下の通りであった。

1.試案に用いた 50項目の通過率は, 60%以上は 29

項目, 40%以上'"60 %未満は 11項目, 40%未

満は 10項目であった。

2. 第 1子の母親と第2子以上の母親の評価項目の通

過率による比較では,全体で7項目に有意差があり,

第 2子以上の母親の方が通過率が高かった。

3. 従来の項目と追加した項目の通過率による比較では,

円〈

UFO

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広島県立保健福祉大学誌 人間と科学 5 (1) 53 -65 2005

前者には 60%以上の通過率の項目が多く,後者

には 40%以上'""'-'60%未満に該当する項目の追加

の割合が多かった。

以上の結果から,今回調査した試案の中から 35項

目を抽出して4か月健診時の発達評価項目改訂版を作

成した。今後は,実施追跡例を増やすとともに,コミ

ュニケーション障害の疑いのみられる乳幼児について

の経過追跡調査も検討する予定である。

文献

1)社団法人日本小児保健協会「平成 12年幼児健康度

調査報告書J,2001

2) Gesell,A. and Amatruda,C.S.: Developmental

Diagnosis -Normal and Abnormal Child

Development -新井清三郎 佐野保訳.発達

診断学. 日本小児医事出版社, 3-49, 1958

3)進藤美津子,玉井ふみほか.前言語期における認

知・コミュニケーション行動の発達評価チェック

リスト(試案)の作成.広島県立保健福祉短期大

学紀要, 4:93-101,1999

4)津守真,稲毛教子.乳幼児精神発達診断法. 0才

"""--3才まで.大日本図書, 1995

5)松尾泰孝.生後 2週間健診の有用性について.小

児保健研究, 61: 814-819, 2002

6) 薗部友良. 1ヵ月健診時のスクリーニング項目.

産科と婦人科, 69: 191-196, 2002

7)都筑千景,金子克子.出産後から産後4か月まで

の子をもっ母親に生じた育児上の不安とその解消

方法一第 1子の母親と第 2子以上の母親における

比較 日本地域看護学会誌, 3: 193-198,

2001

8) 藤野英俊,西原睦子ほか. 4か月健診で追視を認

めなかった児の発達.小児保健研究, 57: 553-557,

1998

9) 田淵紀子,島田啓子ほか.生後 1か月児の泣きに

対する母親の感情・情動反応.金沢医保紀要, 24:

105-112. 2000

10)奥野亜紀子.保健所の乳幼児経過観察健診におけ

る頚定の実態調査~育児不安の軽減をめざして

チャイルドヘルス, 5: 40-43, 2002

-64-

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Joumal of Hiroshima Prefectural College of Health Sciences Humanity and Science 5 (1) 53 -65 2005

Review of a Developmental Assessment Form

for Use During the Standard Infant Medical Checkup

-A Proposal to Aid in the Early Detection of the

Communication-handicapped Child-

Torniko FUKUDA 牢1 Furni TA 乱MAI:f埼吋f

Ka況zukoYA 恥MASAKI*埼*叶lド吋之寸1 Mayurni HORIE*叶}ド毛吐1 Lee BOKNA 乱M申勺2

キ1Department of Communication Disorders, Hiroshima Prefectural College of Health Sciences

*2 Research student, Hiroshima Prefectural College of Health Sciences

Abstract

A developmental assessment form (tentative plan) for the standard four-month medical checkup was created in order to

better utilize the infant medical checkup sessions to aid in the early detection of communication disorders. This proposal

contained a total of 50 items, consisting of 27 newly chosen items and 23 items from an earlier questionnaire, which the

mother fills out at the time of the infant medical checkup. This tentative plan was carried out for 68 mothers who had their

first child and for 97 mothers who had their second child or more, and who came for a four-month medical checkup. They

were asked to answer “always, sometimes, or not yet" for each of the 50 items.

The number of times “always" (NTA) was used as an answer was divided into three parts: High (more than 60%), Middle

(from 40% to 60%), and Low (less than 40%). We evaluated the validity of the contents of an item from the NT A of the

item. The results are as follows.

1 For the NT A for all of the 50 items, 29 items were classified as High, 11 as Middle, 10 as Low.

2 For the comparison of the NT A for each evaluation criteria between the mothers who had their first child and the mothers

who had their second child or more: the latter mothers had a NT A significantly high for seven items.

3 For the comparison ofthe NTA between the conventional items and the newly chosen items: many items in the middle

range were the newly chosen items.

4 We developed our final proposal for a four-month infant medical checkup developmental assessment from the 35 items,

out of the 50 original items.

In conclusion, although it is thought that this tentative plan is appropriate as a tool for infants at their four-month medical

checkup, it is necessary to increase the number of trial cases and to continue further study, which may help in the early

detection of communication disorders.

Key words communication disorder, developmental assessment, form (tentative plan), four-month medical

checkup.

F

ヘuphu