高効率で省電力なiot・ビッグデータ処理基盤 ·...

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高効率で省電力な IoT・ビッグデータ処理基盤 研究代表者 甲藤 二郎 (基幹理工学部 情報通信学科 教授) 1. 研究課題 各種センサ、スマートフォン、自動車、列車、移動ロボット等、IoT (Internet of Things) デバイ スは多岐に渡り、またそのセンシングデータも、加速度、温度等の小容量データから高精細映像等 の大容量データまで、あるいは、SNS (Social Networking Service)等の遅延要求の緩いものから自 動運転、Industry 4.0 等の遅延要求の厳しいものまで、これまた多岐に渡っている。また、災害時 や大きなイベント時にはバースト的に大量のデータが発生するが、どのような環境下でも安全かつ 高信頼なセンシングを確保すると共に、適切な情報を抽出できるデータ処理技術の確立が求められ ている。さらには、東日本大震災時の反省に基づき、電力供給が限られた中でも長時間動作可能な 省電力化技術の確立が求められている。 そこで本申請では、高効率(高スループット)、低消費電力、低遅延、かつ安全な IoT センシング データの収集技術、センシングデータが爆発的に発生した場合にも柔軟に対応可能な階層化モバイ ルクラウドの構築技術、ならびにそれらの研究成果の有効性実証のための高機能テストベッドの開 発、に関する研究開発を進める。最終的には、プロトタイプ実装を通じて提案方式の有効性を実証 し、具体的な出口としての東京オリンピック、運輸・自動車、医療・健康、農業・林業等の社会的 課題の解決と産業貢献、ならびに、安心・安全な IoT・ビッグデータ処理基盤の構築に資すること を目標としている。 2018 年度の研究成果としては、複数の IoT アプリケーションや IoT プラットフォームを相互運用 可能な形で効率良く実現するために、マイクロサービスと Publish/Subscribe メッセージングモデ ルを用いたプラットフォームの開発や、徒歩、バス、電車等のユーザの移動状態推定が通信品質予 測の精度向上やモバイルアプリケーションの QoS (Quality of Services) 向上に繋がると期待した, 通信品質のみを用いたユーザの移動状態を推定する手法の検討等を進めた。 2. 主な研究成果 2.1. IoT におけるリソース有効活用に向けた適応制御プラットフォーム 2.1.1. はじめに 近年、Internet of Things (IoT)と呼ばれるパラダイムの研究が進んでいる。IoT においては、身の回り の様々なモノ(Things)をインターネットに接続し、それらからデータの収集または制御を行う事で個 人の健康管理から社会インフラ、自然環境の調査、監視など様々なタスクを実行する。 IoT においては、デバイス、ネットワーク、アプリケーションなどにおいて、多様な環境が存在する。 例えばデバイスにおいては、比較的少量のデータを生成する温度・湿度などのセンサから、カメラやマ イクなどの大容量のデータを生成するものが存在する。また、そのネットワークにおいても、狭帯域、 広範囲を扱う Low Power Wide Area (LPWA)から、広帯域・広範囲となる 5G などが存在する。さらに、 これらを用いて実行されるアプリケーションにおいても、比較的低負荷な統計処理から、深層学習によ

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高効率で省電力な IoT・ビッグデータ処理基盤

研究代表者 甲藤 二郎

(基幹理工学部 情報通信学科 教授)

1. 研究課題

各種センサ、スマートフォン、自動車、列車、移動ロボット等、IoT (Internet of Things) デバイ

スは多岐に渡り、またそのセンシングデータも、加速度、温度等の小容量データから高精細映像等

の大容量データまで、あるいは、SNS (Social Networking Service)等の遅延要求の緩いものから自

動運転、Industry 4.0 等の遅延要求の厳しいものまで、これまた多岐に渡っている。また、災害時

や大きなイベント時にはバースト的に大量のデータが発生するが、どのような環境下でも安全かつ

高信頼なセンシングを確保すると共に、適切な情報を抽出できるデータ処理技術の確立が求められ

ている。さらには、東日本大震災時の反省に基づき、電力供給が限られた中でも長時間動作可能な

省電力化技術の確立が求められている。

そこで本申請では、高効率(高スループット)、低消費電力、低遅延、かつ安全な IoT センシング

データの収集技術、センシングデータが爆発的に発生した場合にも柔軟に対応可能な階層化モバイ

ルクラウドの構築技術、ならびにそれらの研究成果の有効性実証のための高機能テストベッドの開

発、に関する研究開発を進める。最終的には、プロトタイプ実装を通じて提案方式の有効性を実証

し、具体的な出口としての東京オリンピック、運輸・自動車、医療・健康、農業・林業等の社会的

課題の解決と産業貢献、ならびに、安心・安全な IoT・ビッグデータ処理基盤の構築に資すること

を目標としている。

2018 年度の研究成果としては、複数の IoT アプリケーションや IoT プラットフォームを相互運用

可能な形で効率良く実現するために、マイクロサービスと Publish/Subscribe メッセージングモデ

ルを用いたプラットフォームの開発や、徒歩、バス、電車等のユーザの移動状態推定が通信品質予

測の精度向上やモバイルアプリケーションの QoS (Quality of Services) 向上に繋がると期待した,

通信品質のみを用いたユーザの移動状態を推定する手法の検討等を進めた。

2. 主な研究成果

2.1. IoT におけるリソース有効活用に向けた適応制御プラットフォーム

2.1.1. はじめに

近年、Internet of Things (IoT)と呼ばれるパラダイムの研究が進んでいる。IoT においては、身の回り

の様々なモノ(Things)をインターネットに接続し、それらからデータの収集または制御を行う事で個

人の健康管理から社会インフラ、自然環境の調査、監視など様々なタスクを実行する。

IoT においては、デバイス、ネットワーク、アプリケーションなどにおいて、多様な環境が存在する。

例えばデバイスにおいては、比較的少量のデータを生成する温度・湿度などのセンサから、カメラやマ

イクなどの大容量のデータを生成するものが存在する。また、そのネットワークにおいても、狭帯域、

広範囲を扱う Low Power Wide Area (LPWA)から、広帯域・広範囲となる 5G などが存在する。さらに、

これらを用いて実行されるアプリケーションにおいても、比較的低負荷な統計処理から、深層学習によ

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る画像処理などの高負荷なものまで存在する。

このような状況下において、複数のアプリケーション・プラットフォームが混在するスマートシティの

ような環境下において、IoT デバイスを効率的にネットワーク内に収容し、さらにアプリケーションを

低遅延で処理、配信する IoT プラットフォームの需要が高まっている。

これらの背景を踏まえ、本研究では複数の IoT アプリケーション、IoT プラットフォームを相互運用可

能な形で効率良く実現するために、マイクロサービスと Publish/Subscribe メッセージングモデルを用

いたプラットフォームを提案する。提案プラットフォームにおいては、IoT アプリケーションの処理を

ファンクション(マイクロサービス)という形に分割し、これを連結(チェイニング)させて処理を行

う。そして複数の計算資源とアプリケーションが存在する中で、ファンクションの実行環境や実行場所

を制御することにより、より効率の良い動作を行う。そして、提案プラットフォームのプロトタイプを

作成し、アプリケーションを配備、実行することでその性能について評価を行う。

2.1.2. リソース有効活用のための仮想化技術を用いた IoT プラットフォーム

本章では、IoT デバイス仮想化を用いたリソース有効活用のための IoT プラットフォームについて説明

する。まず、IoT デバイス仮想化について説明する。図 1 に IoT デバイス仮想化の概要を示す。まず、

IoT デバイス仮想化における最初の目標は IoT デバイスとサービスファンクション(マイクロサービス)

を異なるスマートシティアプリケーション間で共有することである。この点により、ネットワークと計

算資源の利用効率向上、さらにはアプリケーション品質の向上を実現する。図 1 に示したように、提案

システムはデバイス、アプリケーションの間にゲートウェイ、ファンクションという 2 つのノードを追

加する。ゲートウェイノードはセンサ経由で得られるデータの保持、ファンクションノードはセンサデ

ータに対する平均値取得や画像処理などの(前)処理および結果の保持を行う。プラットフォームはフ

ァンクションノードにアクセスするために、利用者(アプリケーションの開発者、提供者)に REST など

の共通 API を提供する。これにより、利用者はデバイスへの接続方法を知る必要がなくなる。そしてデ

バイスに対してファンクションノードがデータの取得や処理を行うため、利用者がこれを利用すること

で異なるアプリケーションでも効率良く IoT デバイスの共有を行うことができる。さらに、サービスフ

ァンクション仮想化(または NFV)技術をファンクションノードで用いる事で、これらのノードは利用

者から柔軟に配置、サイズの変更が可能になる。

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図 1. IoT デバイス仮想化の概要図

提案プラットフォームにおいて、配置されたファンクションはマイクロサービスとして管理される。こ

のとき、配置され、起動したマイクロサービス(コンテナ)間でのデータの交換や処理結果の配信には、

Apache Kafka や MQTT といった Publish/Subscribe 型メッセージングモデルを用いる。通信モデル

の概要図を図 2 に示す。

図 2 Pub./Sub.型ファンクションチェイニング概要図

提案プラットフォームにおいて、ファンクションノードは互いに共有や結合(チェイニング)が動的に

行われる。よって、通信経路もこれに合わせて動的に変化する。Publish/Subscribe 型メッセージング

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モデルにおいては、通信経路は topic というラベルを用いて容易に管理することができる。ファンクシ

ョンノードが配置される際に、Broker ノード(Orchestration ノード)が基本となる Publish topic、

Subscribe topic を指定する。そして、ファンクションノードをチェイニングする際には、このトピック

名を結合して設定する。例えば、Function A と Function B をチェイニングする場合、トピック名は”

DeviceID/FunctionA/FunctionB”のようになる。この命名規則は、Content Centric Networking (CCN)

や Named Data Networking (NDN) と似たものになっている。よって、この通信プロトコルは CCN や

NDN も代替可能な候補となる。

2.1.3. 性能評価

本章では、図 3 に示すように Docker, Kubernetes を用いた提案プラットフォームのプロトタイプを作

成し、1 つの IoT デバイスを複数のマイクロサービスにて共有するシナリオについて評価を行う。実験

環境において、まず、Kubernetes master として Desktop PC (CPU: Intel Core i7-4770T 2.50 GHz,

Memory: 16 GB) を1つ用いる。また、Kubernetes nodeとして1台のクラウドサーバ (CPU: Intel Xeon

E5-2650 v3 2.30 GHz, Memory: 220 GB)、1 台のエッジサーバ (CPU: Intel Core i7-7700 3.60GHz,

Memory: 32 GB, GPU: NVIDIA GeForce GTX 1080 Ti)、2 台の IoT デバイス(Raspberry Pi 3 B+ with

USB Camera logicool C920R HD PRO Web camera, Camera A: resolution is 640 x 480, Camera B:

resolution is 1280 x 720)を用いる。

実行する IoT サービスは、マイクロサービスとして”Detect object”、”Detect garbage”、”Detect road

damage“の 3 種類をエッジサーバにて実行する。これらのマイクロサービスはそれぞれ YOLO v3 [1]、

SpotGarbage [2], , RoadDamageDetector [3]を元に Docker コンテナを作成し、あらかじめエッジサー

バに配置する。

この環境にて、表1に示すシナリオのように実行するマイクロサービスの数を時間と共に増加させ、そ

れぞれのマイクロサービスに割り当てる CPU 資源量を制御する。そして Raspberry Pi に接続された

USB カメラから画像を取得し処理を行う。また、本評価の比較対象として IoT デバイスをそれぞれのサ

ービスが個別に利用した場合を用いる。

表 1 評価シナリオ

Time (min) CPU (millicores) Running applications0 – 1 3000 Detect object

1 – 230001000

Detect objectDetect garbage

2 – 3300010002000

Detect objectDetect garbage

Detect road damage

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図 3. 実験環境

2.1.4. 結果

まず、複数マイクロサービスに対して動的にリソースを割り当てた場合の、処理時間の結果を図4に示

す。結果より、処理時間は複数のマイクロサービスが実行されている場合においても一定であることが

わかる。このことから、動的なリソースの割り当てが不必要なリソースの占有を避けられていることが

わかり、よって余分となるリソースを他のマイクロサービスに割り当てることも可能であることがわか

る。

図 4. 動的にリソースを割り当てた場合の複数マイクロサービス実行時間の結果

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次に、IoT デバイス、ブローカー、マイクロサービス間のネットワーク通信量を図 5 に示す。この結果

より、IoT デバイスとブローカー間の通信がデバイス仮想化・共有によって削減できていることがわか

る。

図 5. IoT デバイス、ブローカー、マイクロサービス間のネットワーク通信量

2.1.5. まとめ

本稿では、はじめに、IoT におけるリソース有効活用を目的とした IoT デバイス仮想化を用いるプラッ

トフォームを提案した。次に、提案プラットフォームの評価として、Docker、Kubernetes を用いてス

マートシティアプリケーションを想定したプロトタイプを作成した。そして、作成したプロトタイプの

評価として、複数のマイクロサービスを実行した場合の実行時間と通信量について評価を行った。結果

から、複数サービスが同一のデバイスを用いる場合に、デバイス仮想化を用いる事で通信量が削減でき

ていること、またそのときに実行時間が増加していないことが確認できた。

2.1.6. 参考文献

[1] "YOLO: Real-Time Object Detection," [Online]. Available: https://pjreddie.com/darknet/yolo/.

[2] G.Mittal, K.B.Yagnik, M.Garg , N.C.Krishnan, “SpotGarbage: Smartphone App to Detect

Garbage Using Deep Learning,” ACM International Joint Conference on Pervasive and

Ubiquitous Computing, pp. 940-945, 2016.

[3] H.Maeda, Y.Sekimoto, T.Seto, T.Kashiyama and H.Omata, "Road Damage Detection Using

Deep Neural Networks with Images Captured Through a Smartphone," Computer‐Aided Civil

and Infrastructure Engineering, vol. 33, pp. 1127-1141, 2018.

2.2. 通信品質を活用したユーザ移動状態推定

2.2.1. はじめに

近年,スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末が急増していることから,無線リソースの効率

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的な利用が非常に重要であると言われている.また Cisco は,映像トラフィックをはじめとするモバイ

ルトラフィック量が急激に増加すると予測している[1].これには,Long Term Evolution (LTE)などの

無線通信技術の発達によって,ユーザは,歩行時をはじめ,自転車,バス,電車に乗っている時など,

いつでもどこでもモバイルアプリケーションを利用できるようになっているという背景もある.

しかし,通信品質は,本質的には不安定であり,時間や位置,移動速度といったユーザを取り巻く状況

に強く影響を受けやすく,通信帯域の劣化,遅延の増大を引き起こす.それゆえ,4K 映像配信や Virtual

Reality (VR)/Augmented Reality (AR)といったアプリケーションの高度化,大容量化に伴い,あらゆる

環境下において,常に快適なサービスを提供することは課題である.これらの背景を踏まえると,限ら

れた無線リソースの中で高品質・高信頼なアプリケーションをユーザに提供するため,次の二つの技術

に注目する.

①通信品質の予測技術

②モバイルユーザの状態推定技術

[2]において,TCP スループットの高精度な予測は,モバイルアプリケーションの QoS 向上に繋がるこ

とが示されている.本研究では,高精度なユーザの状態推定が通信品質の予測技術の精度向上およびモ

バイルアプリケーションの QoS 向上に繋がると期待し,通信品質のみを用いたユーザの移動状態を推定

する手法の提案を行い,シナリオごとの精度評価を行う.

2.2.2. 通信品質による移動状態推定手法

通信品質を用いた移動状態推定における提案システムの全体像を図 1 に示す.図 1 に示すように,クラ

ウド(あるいはエッジ)サーバにおいて,モバイルユーザから収集された通信品質情報を収集し,機械学

習を適用することで,移動状態の推定を行う.さらに,スループット予測を行い,これらの結果を,映

像配信におけるバッファ制御などモバイルアプリケーションの品質制御に活用し,限られた無線リソー

スの中でモバイルアプリケーションの QoS を向上することを目標とする.中でも,本研究では,移動状

態の高精度推定技術に焦点を当てる.無線リソースやユーザ端末のバッテリーが有限であるので,移動

状態を推定するために新たな

情報(GPS 情報や加速度センサー情報など)を生成することは避けることとし,スループット,RSSI,セ

ル ID といった通信品質から移動状態を推定する手法を提案する.筆者らの知る限りでは,通信品質を

用いた移動状態推定手法に関する先行研究は存在しない.通信品質は,LTE を介して,映像配信サービ

スをユーザが利用している際に収集されるものと想定している.

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図 1.提案システムの概要

2.2.3. 評価実験

2.2.3.1. 通信品質を使用した移動状態推定

収集エリアとして早稲田大学周辺を対象とし,スループット,RSSI,セル ID の計測を行う.計測には

最大 3 台のスマートフォンを使用し,ユーザの移動状態は,静止,徒歩,自転車,バス,電車の 5 状態

を対象とする.バス,電車,地下鉄に関しては,一路線のみであるため,移動ルートが固定される.収

集エリアにおいてバス,電車の所要時間はおおよそ 20 分,5 分である.その他の移動状態では,任意の

経路を移動するものとする.この条件の下で,複数回にわたるデータ収集を行う.データ収集時に各移

動状態をアプリ上で登録しラベルの付与を行う.表 1 にデータセット概要を示す.

状態推定は,データ収集時に付与したラベルを用いて,多クラス分類問題として扱う.学習には

scikit-learn と TensorFlow を使用し,データセットのうち 75%を訓練データとして,残りの 25%をテ

ストデータとする.なお,学習アルゴリズムには,SVM, k-NN, RF, SVM を使用しアルゴリズムごとの

精度評価を行う.

評価結果を図 2 に示す.なお,学習に使用するデータセットには,スループット,RSSI,セル ID が特

徴量として含まれているものとする.

表 1. データセット概要

Time Users Device Total sample05:00-23:00 3 3 735,000

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図 2. アルゴリズム毎の推定精度比較

この比較結果から,通信品質を使用した移動状態推定は可能であり,SVM, k-NN, RF を使用する場合

でも一定の精度が保証できるが,CNN を適用することでより精度向上を実現できることがわかる.ま

た,RF を使用し算出した各特徴量の相対的な寄与度(割合)では,セル ID が 0.58,RSSI が 0.22,スル

ープットが 0.20 となり,セル ID が最も重要な特徴量であると考えられる.

2.2.3.2. 新規ルートへの適用

本節では,移動経路が事前の学習データセットに含まれていない場合の精度評価について考察する.使

用する特徴量は 3.1 節と同様とし,映像視聴時の通信品質を使用するシナリオを考える.視聴コンテン

ツは,解像度2Kで,ビットレートが1Mbpsの10分間のものである.スマートフォンにはXperia SO-03H

を使用し,静止,徒歩,電車の三つの状態にて,10 分間の映像視聴による測定を複数回行った.訓練デ

ータの収集エリアは,自宅から大学までの通学路とする.訓練データは通信品質収集専用のアプリで取

集し,サンプリングレートが 1 秒で固定とする.

テストデータの収集条件には下記 3 つを定義した.(a)訓練データの経路外を徒歩で移動,(b)訓練データ

内では電車で移動している経路を徒歩で移動,(c)訓練データの経路外を電車で移動の 3パターンである.

テストデータは映像視聴時の通信品質を対象としていて,サンプリングレートはバッファ補充の周期に

依存する.表 2 にデータセットの概要を示す.

表 2. データセット概要

Data set Total samplesTraining data 117,000

Test data1 2,938Test data2 3,501Test data3 2,915

また,収集した通信品質情報を 4 種類の手法で CNN を用いて評価する.手法 1 は,筆者らのこれまで

の提案手法[1],手法 3 は,スループットとセル ID の変化量を用いる手法,手法 2, 4 は手法 1, 3 に対し

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て転移学習を適用した手法である.転移学習のモデルは VGG16 を利用し,全結合層とその直前の畳み

込み層を再学習させている.

図 3. 各テストデータに対してそれぞれの評価手法で状態推定を行った際の F 値の比較

図 3 に,先ほどの条件(a)から(c)で収集したテストデータを,4 つの評価手法で CNN を使用して各状態

を推定した際の F 値を示す.手法 1 では,新規ルートに対して低い結果を示しているが,転移学習を適

用した手法 2 では精度が向上している.また,スループットの変化量とセル ID のハンドオーバーに着

目した手法 3 では,より高い精度となり,これに転移学習を適用した手法 4 を利用することで,新規ル

ートにおける移動状態の推定が十分可能な精度を示す結果となった.

2.2.3.3. まとめ

本稿では,通信品質を用いた移動状態推定手法の提案をし,5 状態におけるデータ収集,推定精度評価

を行った.その結果,先行研究で示されている加速度センサーを用いる手法と同等の精度で推定が可能

であり,CNN が最も有効であることを確認した.また,映像視聴時の移動状態推定にシナリオを拡張

し,訓練データに一切含まれない経路での収集データを用いた評価を行った.その結果,通信品質の変

動を考慮したデータ加工を施し,さらに転移学習を適用させることにより,未知のルートに対しても,

一定以上の精度で状態を推定することに成功した.今後は,提案した移動状態推定手法を実アプリケー

ションに適用し,QoS/QoE の向上を目指す予定である.

2.2.3.4. 参考文献

[1] Cisco Visual Network Index, “Mobile traffic share 2015-2020”, 2016

[2] X. Yin, et al., “A control-theoretic approach for dynamic adaptive video streaming over

HTTP,” ACM SIGCOMM Comput. Commun. Rev., vol.45, no.4, pp.325-338, 2015.

[3] Jahangiri, et al., “Applying Machine Learning Techniques” IEEE Trans. Intell. Transp. Syst.,

Vol.16, No.5, pp.2406-2417, 2015.

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3. 共同研究者

佐藤 拓朗(早稲田大学・教授)

亀山 渉(早稲田大学・教授)

津田 俊隆(早稲田大学・客員教授)

金井 謙治(早稲田大学・助教)

山崎 恭(北九州市立大学・准教授)

市野 将嗣(電気通信大学・助教)

4. 研究業績

論文誌:

[1] Zhengxue Cheng, Masaru Takeuchi, Kenji Kanai and Jiro Katto: “A Fully-blind and Fast Image

Quality Predictor with Convolutional Neural Networks,” IEICE Trans. on Fundamentals

Vol.E101-A, No.9, pp.1557-1566, Sep.2018.

[2] Bo Wei, Kenji Kanai, Wataru Kawakami and Jiro Katto: “HOAH: A Hybrid TCP Throughput

Prediction with Autoregressive Model and Hidden Markov Model for Mobile Networks,” IEICE

Trans. on Comm., Vol.E101-B, No.7, pp.1612-1624, July.2018.

[3] Kenji Kanai, Sakiko Takenaka, Jiro Katto and Tutomu Murase: “Energy-efficient Mobile Video

Delivery utilizing Moving Route Navigation and Video Playout Buffer Control,” IEICE Trans.

on Comm., Vol. E101-B, No.7, pp.1635-1644, July.2018.

[4] Yohei Hasegawa and Jiro Katto: “A Transmission Control Protocol for Long Distance

High-Speed Wireless Communications,” IEICE Trans. on Comm., Vol.E101-B, No.4,

pp.1045-1054, Apr.2018.

国際学会:

[1] Keigo Ogawa, Kenji Kanai, Kenichi Nakamura, Jiro Katto and Hidenori Nakazato: “IoT

Device Virtualization for Efficient Resource Utilization in Smart City IoT Platform,” IEEE

PerCom 2019, WiP, Mar.2019.

[2] Reham Abobeah, Marwan Torki, Amin Shoukry and Jiro Katto: “Bi-Directional Attention

Flow for Video Alignment,” VISAPP 2019, Feb.2019.

[3] M.Yasumaru, Z.Cheng, R.Yokoyama, K.Kanai and J.Katto: “Accuracy Evaluations of

Contact-Free Heart Rate Measurement Methods Using 4K Facial Images,” IEEE ICCE

2019, Jan.2019.

[4] K.Hirao, Z.Cheng, M.Takeuchi and J.Katto: “Convolutional Neural Network Based Inverse

Tone Mapping for High Dynamic Range Display Using LUCORE,” IEEE ICCE 2019,

Jan.2019.

[5] Y.Sakamoto, R.Yokoyama, M.Takeuchi, Y.Matsuo and J.Katto: “Improvement of

H.265/HEVC Encoding for 8K UHDTV by GOP Size and Prediction Mode Selection,” IEEE

ICCE 2019, Jan.2019.

[6] Yusuke Sakamoto, Shintaro Saika, Masaru Takeuchi, Tatsuya Nagashima, Zhengxue

Cheng, Kenji Kanai, Jiro Katto, Kaijin Wei, Ju Zengwei and Xu Wei: “Acceleration of

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Perceptual Quality Driven Adaptive Video Coding for Live Streaming,” IEEE ISM 2018,

Dec.2018.

[7] Bo Wei, Wataru Kawakami, Kenji Kanai, Jiro Katto and Shangguang Wang: “TRUST: A

TCP Throughput Prediction Method in Mobile Networks,” IEEE Globecom 2018, Dec.2018.

[8] Suphakit Awiphan, Kanin Poobai and Jiro Katto: “Adaptive Video Streaming on Named

Data Networking with IoT-Assisted Content Delivery,” ICSEC 2018, Nov.2018.

[9] K.Hirao, Z.Cheng, M.Takeuchi and J.Katto: “Deep Inverse Tone Mapping Optimized for

High Dynamic Range Display,” ICTC 2018, Oct.2018.

[10]Wataru Kawakami, Kenji Kanai, Bo Wei and Jiro Katto: “Machine Learning based

Transportation Modes Recognition using Mobile Communication Quality,” IEEE ICME

2018, July 2018.

[11]Zhengxue Cheng, Masaru Takeuchi, Kenji Kanai, and Jiro Katto: “A Fast No-Reference

Screen Content Image Quality Prediction using Convolutional Neural Networks,” IEEE

MLAI Workshop in ICME 2018, July 2018.

[12]Masaru Takeuchi, Shintaro Saika, Yusuke Sakamoto, Tatsuya Nagashima, Zhengxue

Cheng, Kenji Kanai, Jiro Katto, Kaijin Wei, Ju Zengwei and Xu Wei: “Perceptual Quality

Driven Adaptive Video Coding Using JND Estimation,” PCS 2018, June.2018.

[13]Zhengxue Cheng, Heming Sun, Masaru Takeuchi and Jiro Katto: “A Deep Convolutional

AutoEncoder-based Lossy Image Compression,” PCS 2018, June.2018.

[14]Zhengxue Cheng, Heming Sun, Masaru Takeuchi and Jiro Katto: “Performance

Comparison of Convolutional AutoEncoders, Generative Adversarial Networks and

Super-Resolution for Image Compression,” CLIC, IEEE CVPR Workshop, June.2018.

[15]Airi Sakaushi, Mayuko Okano, Kenji Kanai and Jiro Katto: “Performance Evaluations of

Software-Defined Acoustic MIMO-OFDM transmission,” IEEE WCNC 2018, Apr.2018.

[16]Suphakit Awiphan, Kanin Poobai, Kenji Kanai and Jiro Katto: “Proactive Interest

Adaptation and Content Caching for Adaptive Bit-Rate Video Streaming Over NDN,”

ICCCS 2018, Apr.2018.

国内講演:

[1] 魏博, 宋航, 金井謙治, 川上航, 甲藤二郎: “適応ビットレート制御のためのスループット予測

の評価,” 電子情報通信学会総合大会, Mar.2019.

[2] 河上晃司, 金井謙治, 甲藤二郎: “DASH 配信時の ON-OFF 状態を考慮したビットレート選択

手法,” 電子情報通信学会総合大会, Mar.2019.

[3] 長島達哉・金井謙治・甲藤二郎・坂本雄輔・竹内 健: “主観画質に基づく符号化方式を用い

た DASH 配信手法の QoE 評価,” 電子情報通信学会総合大会, Mar.2019.

[4] 前林伸治・金井謙治・甲藤二郎: “無線ネットワーク環境下における TCP Veno に基づく

Multipath TCP 輻輳制御の性能評価,” 電子情報通信学会総合大会, Mar.2019.

[5] 関根 響・金井謙治・甲藤二郎: “IoT ネットワーク環境下における IoT 向け通信プロトコル

の遅延特性評価,” 電子情報通信学会総合大会, Mar.2019.

[6] 白崎智美・金井謙治・甲藤二郎: “音楽動画視聴時における生体センシングによる感情推定の

精度評価,” 電子情報通信学会総合大会, Mar.2019.

Page 13: 高効率で省電力なIoT・ビッグデータ処理基盤 · これらのマイクロサービスはそれぞれYOLO v3 [1]、 SpotGarbage [2], , RoadDamageDetector [3]を元にDocker

[7] 篠原裕矢・白崎智美・呉 益妍・金井謙治・甲藤二郎: “360 度映像配信における視聴移動の

クラスタリングと予測精度評価,” 電子情報通信学会総合大会, Mar.2019.

[8] 川上 航・金井謙治・Bo Wei・甲藤二郎: “転移学習を用いた映像視聴時の通信品質に基づく

ユーザ移動状態推定手法の精度評価,” 電子情報通信学会総合大会, Mar.2019.

[9] 甲藤二郎・竹内 健・金井謙治・孫 鶴鳴: “スマート自転車を活用した道路インフラ観測シ

ステム,” 電子情報通信学会総合大会, Mar.2019.

[10]坂本悠輔・横山怜汰・竹内 健・松尾康孝・甲藤二郎: “事前の画像解析を用いた 8K 映像の

H.265/HEVC 符号化における GOP サイズおよび intra/inter モード切替の推定,” 電子情報通

信学会総合大会, Mar.2019.

[11]田原雅彦・金井謙治・甲藤二郎: “IM2GPS を利用した画像に基づく地理的な位置情報推定の

精度評価,” 電子情報通信学会総合大会, Mar.2019.

[12]白崎智美・金井謙治・甲藤二郎: “パーソナルな音楽動画推薦のための生体センシングによる

感情推定手法” 信学会 CQ 研究会, Mar.2019.

[13]坂本悠輔・横山怜汰・竹内 健・松尾康孝・甲藤二郎: “空間と動きの事前解析を用いた 8K

映像の H.265/HEVC 符号化おける GOP サイズ推定,” 信学会 IE 研究会, Mar.2019.

[14]長島達哉・坂本雄輔・竹内 健・金井謙治・甲藤二郎: “主観品質に基づく適応符号化方式を

活用した映像配信手法の性能評価,” 信学会 CQ 研究会, Mar.2019.

[15]Rige Su・ Zhengxue Cheng・ Jiro Katto: “ Recurrent Neural Network based Image

Compression,” 信学会 IE 研究会, Mar.2019.

[16]安丸昌輝・横山怜汰・程 正雪・金井謙治・甲藤二郎: “4K 顔画像を活用した JadeICA 心拍

計測法の精度評価,” 信学会 IE 研究会, Mar.2019.

[17]田原雅彦・金井謙治・甲藤二郎: “画像に基づく地理的位置情報推定手法の特性評価とその適

用例検討,” 信学会 IE 研究会, Mar.2019.

[18]関根 響・金井謙治・甲藤二郎: “IoT ネットワーク環境下における IoT 向け通信プロトコル

の遅延特性評価,” 信学会 NS 研究会, Mar.2019.

[19]小川啓吾・金井謙治・中村健一・金光永煥・甲藤二郎・中里秀則: “リソース有効活用のため

の IoT デバイス仮想化を用いたプラットフォームの性能評価”, 信学会 NS 研究会, Mar.2019.

[20]魏 博・宋 航・金井謙治・川上 航・甲藤二郎: “トレースによるエミュレーションを利用

した動画配信におけるスループット予測方法の性能評価,” 信学会 NS 研究会, Mar.2019.

[21]前林伸治・金井謙治・甲藤二郎:: “TCP Veno に基づく無線ネットワークにおける Multipath

TCP 輻輳制御の提案とその特性評価.” 信学会 NS 研究会, Mar.2019.

[22]金井謙治・中里秀則・金光永煥・田崎創・中村健一・上杉充・横谷哲也・向井宏明・甲藤二郎:

“異なる IoT プラットフォームの相互運用を実現する仮想 IoT-クラウド連携基盤(Fed4IoT)

の研究開発プロジェクトの紹介,” 信学会 NS 研究会, Dec.2018.

[23]木下裕介・武啓二郎・岡村敦・岩澤永照・野末道子・金井謙治・甲藤二郎・亀山渉・津田俊隆・

加辺徹: 鉄道等の社会インフラが抱える課題の解決を支える通信ネットワーク基盤,” 信学会

NS 研究会, Dec.2018

[24]川上航・金井謙治・Wei Bo・甲藤二郎: “映像配信時の通信品質を利用したユーザ移動状態推

定手法の特性評価,” 信学会 CS 研究会, Nov.2018.

[25]金井謙治・中里秀則・金光永煥・田崎創・中村健一・上杉充・横谷哲也・向井宏明・甲藤二郎:

“スマートシティアプリケーションに拡張性と相互運用性をもたらす仮想 IoT-クラウド連携基

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盤の研究開発 ~ 全体構想と今後の展望 ~,” 信学会 CS 研究会, Nov.2018.

[26]岡野真由子・長谷川洋平・金井謙治・Bo Wei・甲藤二郎: “屋内駅を想定した移動時の 5G ス

ループット特性および 4K 映像配信特性評価,” 信学会 CS 研究会, Nov.2018.

[27]安丸昌輝,横山怜汰,程正雪,金井謙治,甲藤二郎: “UHD 顔画像を用いた非接触心拍計測

法の精度評価,” PCSJ/IMPS 2018, Nov.2018.

[28]横山 怜汰,坂本 悠輔,竹内 健,松尾 康孝,甲藤 二郎 : “Neural Network を用いた

Intra/Inter モード切替による H.265/HEVC 符号化,” PCSJ/IMPS 2018, Nov.2018.

[29]坂本 悠輔,雑賀 新太郎,竹内 健,長島 達也,程 正雪,金井 謙治,甲藤 二郎, Kaijin Wei,

Ju Zengwei, Xu Wei: “主観画質を考慮したライブストリーミング配信のための動画像圧縮符

号化,” PCSJ/IMPS 2018, Nov.2018.

[30]竹内 健,坂本 悠輔,雑賀 新太郎,長島 達也,程 正雪,金井 謙治,甲藤 二郎,Kaijin Wei,

Ju Zengwei, Xu Wei: “JND 推定を用いた知覚品質主導の適応的動画像圧縮符号化 ,”

PCSJ/IMPS 2018, Nov.2018.

[31]一原 賢吾,竹内 健,金井 謙治,甲藤 二郎: “監視カメラ映像からの人物の姿勢推定等を用

いた異常行動検知システム,” PCSJ/IMPS 2018, Nov.2018.

[32]Zhengxue Cheng, Heming Sun, Jiro Katto: “A Water Wave Removal Approach for Efficient

Video Coding,” PCSJ/IMPS 2018, Nov.2018.

[33]坂本悠輔・竹内健・雑賀新太郎・長島達也・程正雪・金井謙治・甲藤二郎・Kaijin Wei・Ju

Zengwei・Xu Wei:“主観画質を考慮したインターネット動画配信のための動画像圧縮符号化,”

信学会 IE 研究会, Oct.2018.

[34]中里秀則・金井謙治・甲藤二郎・金光永煥・小川啓吾・吉井宏希・白岩善昭・津田俊隆: “有

無線ネットワーク仮想化の自動制御に向けた IoT 指向ファンクション・オーケストレーション,”

信学会 CS 研究会, Oct.2018.

[35]岡野真由子・金井謙治・甲藤二郎: “MATLAB を活用した 5G のスループット特性評価,” 信

学ソ大、Sep.2018.

[36]川上 航・金井謙治・Bo Wei・甲藤二郎: “CNN を活用したモバイルアプリケーション利用

時のユーザ移動状態推定の精度評価,” 信学ソ大、Sep.2018.

[37]小川啓吾・金井謙治・甲藤二郎・中里秀則:“IoT サービスのための資源最適化に向けた Docker

コンテナによるマイクロサービスの性能評価,” 信学ソ大、Sep.2018.

[38]篠原裕矢・金井謙治・甲藤二郎: “SVR による 360 度映像視聴時の視野移動予測の精度評価,”

信学ソ大、Sep.2018.

[39]長島達哉・金井謙治・甲藤二郎:“Q 学習と OpenFlow を用いた DASH 配信手法の QoE 評価,”

信学ソ大、Sep.2018.

[40]中里秀則・金井謙治・甲藤二郎・金光永煥・小川啓吾・吉井宏希・白岩善昭・津田俊隆: “有

無線ネットワーク仮想化の自動制御に向けた IoT 指向ファンクション・オーケストレーション,”

信学会 NS/CS 研究会, Sep.2018.

[41]Bo Wei, Kenji Kanai,・Wataru Kawakami,and・Jiro Katto:“Throughput Prediction Method

based on machine learning in Mobile Networks,” IEICE Tech Report, NS-2018-42,

Jul.2018.

[42]川上航・金井謙治・Wei Bo・甲藤二郎: “通信品質を利用した CNN によるユーザ移動状態推

定の精度評価,” 信学会 NS 研究会, NS2018-65, Jul.2018.

Page 15: 高効率で省電力なIoT・ビッグデータ処理基盤 · これらのマイクロサービスはそれぞれYOLO v3 [1]、 SpotGarbage [2], , RoadDamageDetector [3]を元にDocker

[43]長島達哉・坂本悠輔・竹内健・金井謙治・甲藤二郎: “高品質性とデータ量削減を両立する映

像配信手法の性能評価,” 信学会 NS 研究会, NS2018-83, Jul.2018.

[44]小川啓吾・金井謙治・甲藤二郎・中里秀則: “Pub/Sub ベースによる IoT サービスファンクシ

ョンチェイニングの アーキテクチャ提案,” 信学会 NS 研究会, NS2018-84, Jul.2018.

[45]平尾 克彦・竹内 健・甲藤 二郎: “Deep Neural Networks を用いた Inverse tone mapping,”

情報処理学会 AVM 研究会, June 2018.

[46]程 正雪・孫 鶴鳴・竹内 健・甲藤 二郎: “ディープコンボリューションオートエンコーダに

よる画像圧縮,” 情報処理学会 AVM 研究会, June 2018.

[47]坂本 悠輔・雑賀 新太郎・竹内 健・松尾 康孝・甲藤 二郎: “画像解析を用いた H.265/HEVC

符号化における画面間予測の切替に関する一検討,” 情報処理学会 AVM 研究会, June 2018.

[48]安丸 昌輝・竹内 健・金井 謙治・甲藤 二郎: “顔映像の脈波測定を活用した感情推定,” 情

報処理学会 AVM 研究会, June 2018.

[49]原田臨太朗・雑賀新太郎・竹内 健・金井謙治・松尾康孝・甲藤二郎: “MPEG-DASH を用い

た映像配信サービスの特性・品質評価について,”信学会 CQ 研究会, Apr.2018 (特別招待講演).

5. 研究活動の課題と展望

今後の課題として以下が挙げられる。

第一に、自転車を移動する IoT デバイスとして活用し、路面調査や混雑度検知等の社会インフラ観

測システムのプロトタイプ作成を試みる。プラットフォームとして市販の電動アシスト自転車を想

定し、スマートフォン、および、専用演算器を装着したスマート自転車の試作と観測実験を試みる。

第二に、カメラを IoT デバイスとして活用し、深層学習を活用した画像圧縮と映像配信に関する研

究開発を進める。具体的には、従来方式を凌ぐ圧縮性能が報告されている深層学習による画像圧縮

の数学的基盤の検討や、報告例が少ない深層学習による動画像圧縮への拡張の検討を進める。