下水道管きょの更生工法-鞘管工法- rpc工法 - jacic...技術の概要...

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954 2 0 2 5 3 3 1 建設技術審査証明書 [開発目標型] 技術名称:RPC工法 (下水道管きょの更生工法- 鞘管工法 -) (開発の趣旨) 都市部の下水道管きょの中には,漏水や腐食等により機能低下や構造上の健全性に欠けるものが増加し,陥没等により生活環境の安全性 が懸念されている。円形管きょにおける更生工法は,種々開発されているものの矩形きょの更生工法は少ない。さらに,矩形きょは開きょ に蓋掛けをしたものや埋設土かぶりが浅いものが多く,自立管による更生が求められる場合がある。 鉄筋コンクリート製のプレキャストブロックは,自立管として構造上の安全性評価は十分であるが,ブロックの厚みによる流下断面の縮 小を抑えるため,既設矩形きょ内部に最小限の隙間でブロックを据付ける必要がある。さらに下水の流れている状態を止めることや場所に よっては地上部の交通への影響が大きくなる開削工法は極力避ける必要がある。 そこで,下水を流しながら大部分を非開削にて,既設矩形きょ内部に最小限の隙間で更生できる自立管きょの鞘管工法を開発した。 (開 標) 本技術の開発目標は,次に示すとおりである。 (1)施工性:次の条件下で本管部の施工ができること。 1)ブロック搬送電動式台車の走行性は,以下の条件での施工。 ①屈曲角 10°以下の継手部 ②下水供用下での走行性(水深 20 cm 以下,流速 1.0 m/s) 2)ブロックの据付性は,以下の条件での施工。 ①屈曲角 10°以下の継手部 ②下水供用下の据付(水深 20 cm 以下,流速 1.0 m/s) ③ブロックに一定勾配をつけての据付 ④既設管と更生管の最小隙間幅 30 mm での据付 ⑤目地の施工性 (2)耐荷能力,一体性:RPC ブロックおよび RPC(FRP 装着)ブロックは,自立管であること。ブロックの耐荷能力は,曲げひび割れ耐力 (ひび割れ荷重)を上回ること。また,RPC(FRP 装着)ブロックの FRP ボードは,ひび割れ荷重までに FRP ボードが剥離しないこと。 (3)可とう性:RPC ブロックおよび RPC(FRP 装着)ブロックは,継手部で 0.06 MPa の水圧に耐える水密性を有すること。 (4)耐震性:RPCブロックおよびRPC(FRP装着)ブロックは,「下水道施設耐震計算例-管路施設編-」((公社)日本下水道協会)に基 づく,レベル1地震動およびレベル2地震動の耐震計算による,目地開き量(初期値より+5mm)の変位を生じても継手部で 0.06 MPa の水密性を確保する耐震性を有すること。 (5)固着性:RPC(FRP 装着)ブロックの FRP ボードは,コンクリートと固着性を有すること。 (6)耐薬品性:RPC(FRP 装着)ブロックの FRP ボードは,「下水道用強化プラスチック複合管(JSWAS K-2)」と同等以上の耐薬品性を有 すること。 (7)防食性能:RPC(FRP 装着)ブロックの FRP ボードおよび目地材は,「下水道コンクリート構造物の腐食抑制技術及び防食技術マニュ アル」(平成 29 年 12 月(地共)日本下水道事業団)シートライニング工法「D種」の品質規格に適合する品質を有すること。 (8)耐摩耗性:RPC(FRP 装着)ブロックの FRP ボードおよび目地材は,高強度コンクリート以上の耐摩耗性を有すること。 (9)耐衝撃性:RPC(FRP 装着)ブロックの FRP ボードは,漂流物によって破損しない耐衝撃性を有すること。 (公財)日本下水道新技術機構の建設技術審査証明事業(下水道技術)実施要領に基づき,依頼のあった 「RPC工法」の技術内容について下記のとおり証明する。 なお,この技術は2005年3月3日に審査証明を取得し,更新された技術である。 2020 3 17 建設技術審査証明事業実施機関 公益財団法人 日本下水道新技術機構 理事長 1.審 査 の 結 果 上記すべての開発目標を満たしていると認められる。 2.審査証明の前提 (1)提出された資料には事実に反する記載がないものとする。 (2)本技術に使用する材料は,適正な品質管理のもとで製造されたものとする。 (3)本技術の施工は,RPC工法施工マニュアルに従い,適正な施工管理のもとで行われるものとする。 3.審査証明の範囲 審査証明は,依頼者から提出のあった開発目標に対して設定した審査方法により確認した範囲とする。 4.留意事項および付言 (1)本技術の施工にあたっては,RPC工法施工マニュアルに基づいた施工を行うこと。 (2)本技術の施工にあたっては,施工前に管きょ内の酸素濃度等の測定を行うとともに,換気等の十分な安全対策を講じるものとする。 (3)雨水が流入する下水道管路内で施工する場合は,「局所的な大雨に対する下水道管渠内工事等 安全対策の手引き(案)」(平成 20 年 10 月)に基づいて安全管理計画を立て,施工計画書等に記載し,局所的な大雨に対する安全対策を施すものとする。 5.審査証明の詳細 ( 建設技術審査証明(下水道技術)報告書参照 ) 6.審査証明の有効期限 2025 3 31 7.審査証明の依頼者 株 式 会 社 竹 中 土 木 (東京都江東区新砂一丁目 1 番 1 号) 鶴見コンクリート株式会社 (神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央三丁目十番四十四号) RPC 工法 下水道管きょの更生工法-鞘管工法- 令和元年度 建設技術審査証明事業(下水道技術) 技術概要書

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Page 1: 下水道管きょの更生工法-鞘管工法- RPC工法 - JACIC...技術の概要 RPC工法は,中口径から大口径の下水道の既設矩形きょに自立型更生管きょを再構築する更生工法

建設技術審査証明事業

 下水道技術

 第1954号                     有

効期

限20

25年

3月31

(公財) 日本下水道新技術機構

建設技術審査証明書[開発目標型]

技術名称:RPC工法(下水道管きょの更生工法-鞘管工法-)

( 開 発 の 趣 旨 ) 都市部の下水道管きょの中には,漏水や腐食等により機能低下や構造上の健全性に欠けるものが増加し,陥没等により生活環境の安全性が懸念されている。円形管きょにおける更生工法は,種々開発されているものの矩形きょの更生工法は少ない。さらに,矩形きょは開きょに蓋掛けをしたものや埋設土かぶりが浅いものが多く,自立管による更生が求められる場合がある。 鉄筋コンクリート製のプレキャストブロックは,自立管として構造上の安全性評価は十分であるが,ブロックの厚みによる流下断面の縮小を抑えるため,既設矩形きょ内部に最小限の隙間でブロックを据付ける必要がある。さらに下水の流れている状態を止めることや場所によっては地上部の交通への影響が大きくなる開削工法は極力避ける必要がある。 そこで,下水を流しながら大部分を非開削にて,既設矩形きょ内部に最小限の隙間で更生できる自立管きょの鞘管工法を開発した。

( 開 発 目 標 ) 本技術の開発目標は,次に示すとおりである。(1)施工性:次の条件下で本管部の施工ができること。

1)ブロック搬送電動式台車の走行性は,以下の条件での施工。①屈曲角 10°以下の継手部②下水供用下での走行性(水深 20 cm 以下,流速 1.0 m/s)

2)ブロックの据付性は,以下の条件での施工。①屈曲角 10°以下の継手部②下水供用下の据付(水深 20 cm 以下,流速 1.0 m/s)③ブロックに一定勾配をつけての据付④既設管と更生管の最小隙間幅 30 mm での据付⑤目地の施工性

(2)耐荷能力,一体性:RPC ブロックおよび RPC(FRP 装着)ブロックは,自立管であること。ブロックの耐荷能力は,曲げひび割れ耐力(ひび割れ荷重)を上回ること。また,RPC(FRP 装着)ブロックの FRP ボードは,ひび割れ荷重までに FRP ボードが剥離しないこと。

(3)可とう性:RPC ブロックおよび RPC(FRP 装着)ブロックは,継手部で 0.06 MPa の水圧に耐える水密性を有すること。(4)耐震性:RPC ブロックおよび RPC(FRP 装着)ブロックは,「下水道施設耐震計算例-管路施設編-」((公社)日本下水道協会)に基

づく,レベル1地震動およびレベル2地震動の耐震計算による,目地開き量(初期値より+5mm)の変位を生じても継手部で 0.06 MPa の水密性を確保する耐震性を有すること。

(5)固着性:RPC(FRP 装着)ブロックの FRP ボードは,コンクリートと固着性を有すること。(6)耐薬品性:RPC(FRP 装着)ブロックの FRP ボードは,「下水道用強化プラスチック複合管(JSWAS K-2)」と同等以上の耐薬品性を有

すること。(7)防食性能:RPC(FRP 装着)ブロックの FRP ボードおよび目地材は,「下水道コンクリート構造物の腐食抑制技術及び防食技術マニュ

アル」(平成 29 年 12 月(地共)日本下水道事業団)シートライニング工法「D種」の品質規格に適合する品質を有すること。(8)耐摩耗性:RPC(FRP 装着)ブロックの FRP ボードおよび目地材は,高強度コンクリート以上の耐摩耗性を有すること。(9)耐衝撃性:RPC(FRP 装着)ブロックの FRP ボードは,漂流物によって破損しない耐衝撃性を有すること。

(公財)日本下水道新技術機構の建設技術審査証明事業(下水道技術)実施要領に基づき,依頼のあった「RPC工法」の技術内容について下記のとおり証明する。なお,この技術は2005年3月3日に審査証明を取得し,更新された技術である。

2020年 3月 17日

建設技術審査証明事業実施機関公益財団法人 日本下水道新技術機構

理事長

記1.審 査 の 結 果

上記すべての開発目標を満たしていると認められる。2.審査証明の前提

(1)提出された資料には事実に反する記載がないものとする。(2)本技術に使用する材料は,適正な品質管理のもとで製造されたものとする。(3)本技術の施工は,RPC工法施工マニュアルに従い,適正な施工管理のもとで行われるものとする。

3.審査証明の範囲審査証明は,依頼者から提出のあった開発目標に対して設定した審査方法により確認した範囲とする。

4.留意事項および付言(1)本技術の施工にあたっては,RPC工法施工マニュアルに基づいた施工を行うこと。(2)本技術の施工にあたっては,施工前に管きょ内の酸素濃度等の測定を行うとともに,換気等の十分な安全対策を講じるものとする。(3)雨水が流入する下水道管路内で施工する場合は,「局所的な大雨に対する下水道管渠内工事等 安全対策の手引き(案)」(平成

20 年 10 月)に基づいて安全管理計画を立て,施工計画書等に記載し,局所的な大雨に対する安全対策を施すものとする。5.審査証明の詳細    (建設技術審査証明(下水道技術)報告書参照 )6.審査証明の有効期限  2025 年 3月 31日7.審査証明の依頼者

株 式 会 社 竹 中 土 木  (東京都江東区新砂一丁目 1番 1号)鶴見コンクリート株式会社  (神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央三丁目十番四十四号)

RPC工法下水道管きょの更生工法-鞘管工法-

令和元年度 建設技術審査証明事業(下水道技術)

技術概要書

Page 2: 下水道管きょの更生工法-鞘管工法- RPC工法 - JACIC...技術の概要 RPC工法は,中口径から大口径の下水道の既設矩形きょに自立型更生管きょを再構築する更生工法

技術の概要

RPC工法は,中口径から大口径の下水道の既設矩形きょに自立型更生管きょを再構築する更生工法

である。本技術は,既設矩形きょ上部に設けた立孔から,下水を供用しながら更生ブロックを投入・搬

送し,自立管きょを構築する工法である。ブロックは,平面的に平行四辺形としたボックスカルバート

を上下二分割としている。これにより,限られたスペースの既設矩形きょ内部での施工が可能である。

更生ブロックが鉄筋コンクリート製であることから,耐荷重性が高く,耐震性や最小土かぶりの確保等

に優れている。また,鉄筋コンクリート製の RPC ブロックに加え,流下能力・耐摩耗性・耐薬品性・耐

衝撃性・下水道腐食に対する耐久性等を高めるため,FRP ボードを内面に被覆した RPC(FRP 装着)ブロ

ックの2種類がある。

写真-1 RPC ブロック

図-1 RPC工法概要図

既存管き ょ

プレキャスト部材

充填材

充填材

目地

既存管き ょ

プレキャスト部材

充填材

FRPボード 充填材

目地

RPC ブロック RPC(FRP 装着)ブロック

図-2 RPC工法構造図

写真-2 コンクリートとの一体化状況 写真-3 FRP ボードの裏面

FRP ボード部

FRP ボード部

ウェーブネット部 ウェーブネット部

コンクリート

技術の概要

Page 3: 下水道管きょの更生工法-鞘管工法- RPC工法 - JACIC...技術の概要 RPC工法は,中口径から大口径の下水道の既設矩形きょに自立型更生管きょを再構築する更生工法

技術の特長

技術の特長を以下に示す。 (1)施工性

次の条件下で本管部の施工ができる。

1)ブロック搬送電動式台車の走行性は,以下の条件での施工。

① 屈曲角 10°以下の継手部

② 下水供用下での走行性(水深 20 cm 以下,流速 1.0 m/s)

2)ブロックの据付性は,以下の条件での施工。

① 屈曲角 10°以下の継手部

② 下水供用下の据付(水深 20 cm 以下,流速 1.0 m/s)

③ ブロックに一定勾配をつけての据付

④ 既設管と更生管の最小隙間幅 30 mm での据付

⑤ 目地の施工性

(2)耐荷性能,一体性

RPC ブロックおよび RPC(FRP 装着)ブロックは,自立管である。

ブロックの耐荷能力は,曲げひび割れ耐力(ひび割れ荷重)を上回る。

RPC(FRP 装着)ブロックの FRP ボードは,ひび割れ荷重までに FRP ボードが剥離しない。

(3)可とう性

RPC ブロックおよび RPC(FRP 装着)ブロックは,継手部で 0.06 MPa の水圧に耐える水密性を

有する。

(4)耐震性

RPC ブロックおよび RPC(FRP 装着)ブロックは,「下水道施設耐震計算例-管路施設編-」((公

社)日本下水道協会)に基づく,レベル1地震動およびレベル2地震動の耐震計算による,目地

開き量(初期値より+5 mm)の変位を生じても継手部で 0.06 MPa の水密性を確保する耐震性を

有する。

(5)固着性

RPC(FRP 装着)ブロックの FRP ボードは,コンクリートと固着性を有する。

(6)耐薬品性

RPC(FRP 装着)ブロックの FRP ボードは,「下水道用強化プラスチック複合管(JSWAS K-2)」

と同等以上の耐薬品性を有する。

(7)防食性能

RPC(FRP 装着)ブロックの FRP ボードおよび目地材は,「下水道コンクリート構造物の腐食抑

制技術及び防食技術マニュアル」(平成 29 年 12 月(地共)日本下水道事業団)シートライニン

グ工法「D種」の品質規格に適合する品質を有する。

(8)耐磨耗性 RPC(FRP 装着)ブロックの FRP ボードおよび目地材は,高強度コンクリート以上の耐摩耗性を

有する。

(9)耐衝撃性 RPC(FRP 装着)ブロックの FRP ボードは,漂流物によって破損しない耐衝撃性を有する。

技術の特長

Page 4: 下水道管きょの更生工法-鞘管工法- RPC工法 - JACIC...技術の概要 RPC工法は,中口径から大口径の下水道の既設矩形きょに自立型更生管きょを再構築する更生工法

技術の適用範囲

既 設 管 種 : 鉄筋コンクリート管きょ,蓋掛け水路

既 設 管 形 状 : 矩形きょ

更 生 管 径 : 内幅 1500 mm×内高 1000 mm~内幅 3000 mm×内高 3000 mm

標準施工延長 : 100 m~300 m

更 生 管 種 : 鉄筋コンクリート管きょ :RPC ブロック

:RPC(FRP 装着)ブロック

施工実績(抜粋)

施工年月 施工場所 工事件名 工事内容

平成 13 年 12 月 東京都 文京区根津2丁目付近再構築その3工事 矩形きょの更生工法

平成 15 年 3 月 東京都 地蔵堀幹線再構築工事 矩形きょの更生工法

平成 15 年 12 月 東京都 地蔵堀幹線再構築工事その 2 矩形きょの更生工法

平成 17 年 12 月 東京都 湯島幹線改良その 2 工事 矩形きょの更生工法

平成 18 年 11 月 東京都 真島町幹線再構築その 4 工事 矩形きょの更生工法

平成 20 年 10 月 東京都 真島町幹線再構築その 6 工事 矩形きょの更生工法

平成 26 年 8 月 東京都 雑司ヶ谷幹線再構築その 10 工事 矩形きょの更生工法

技術保有会社および連絡先

【技術保有会社】 株式会社竹中土木 http://www.takenaka-doboku.co.jp/

鶴見コンクリート株式会社 http://www.tsuru-con.co.jp/ 【問合せ先】 鶴見コンクリート株式会社 TEL 045-503-5626

審査証明有効年月日

2020 年3月 17 日~2025 年3月 31 日

インターネットによる情報公開

・公益財団法人 日本下水道新技術機構 https://www.jiwet.or.jp/

・建設技術審査証明協議会 http://www.jacic.or.jp/sinsa/

施工実績(抜粋)

技術保有会社および連絡先

審査証明有効年月日

インターネットによる情報公開

技術の適用範囲