雫石町における観光サインの実用化と 新しいロゴマークの開発に...
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平成 24 年度地域課題解決プログラム
雫石町における観光サインの実用化と
新しいロゴマークの開発による魅力向上研究
岩手大学教育学部芸術文化課程 学生代表:牧野美菜子、指導教員:本村健太
序
本研究課題への着手に先立って、前年度までに岩手大学教育学部芸術文化課程映像メディ
ア研究室(指導教員:本村健太)の学生により、研究課題「雫石町における観光サインのデ
ザイン研究と観光ルートの魅力向上研究 ~ますますおもしろい!観光ルート「長山街道」
をモデルとして~」を実施し、デザイン案(歓迎塔と案内板)の提案を行っている。今年度
は引き続き、雫石町の魅力を向上するための実用的な具体例の提案を検討するものである。
図:昨年度の成果(歓迎塔と案内板のデザイン案)
I.本研究課題について
雫石町からは前年度の成果を踏襲し、当初は次の3点が課題とされていた。
1. 前回研究成果である歓迎塔及び案内板の各観光サインの設置箇所について
観光サインを設置する際、限られた数のサインの効果的な設置箇所について実用化に向け
た具体的な提案を求めている。出来るだけ町の現地調査を行ない、現地の特徴やその場に合
わせた実用的な観光サイン設置計画を策定すること。
2. 案内板の言語表記をより詳しく示した実用的な具体例の研究
言語表記については、日本語、英語、韓国語等々が考えられるが、他の言語での標記の提
案をすること。
以上の2点については、前回の研究成果から実用化可能な具体案を求める。
3. 雫石町におけるロゴマークのデザイン研究
ロゴマークは、雫石町フォントデザインと町をイメージできるロゴマークの2パターンの
デザインを進める。詳細については、雫石ロゴマーク要項を参照のうえ、雫石町で考える方
向性にもとづいたデザイン案を作成すること。
以上の3点をふまえ踏まえ、大きく分けて、前年度の観光サインを基に具体的な活用方法
の策定を進めること、そして雫石町におけるロゴデザイン案の検討を行うという二つの方向
性での研究を行う。
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研究課題の内容毎の設定は以下の通りである。
1. 歓迎塔及び案内板の具体的な活用方法
・研究員による現地調査を実施し、設置箇所を選定する。
・総合的に実用化する場合を考慮し、設置場所並びに設置する観光サインの検討。
・検討結果から設置看板(案)を策定し、設置場所との統合を図る。
・研究成果として実用的な観光サインの策定。
2. 歓迎塔及び案内板の言語表記を検討
・具体的な活用方法と併せて進める必要がある。
・設置看板(案)の策定とあわせて言語標記の検討も同時に進める。
・研究成果としては実用的観光サインとあわせて策定。
3. 雫石町に係るロゴマークデザインの策定
・雫石町ロゴマーク要項を参考にデザインを作成
・デザインは「雫石町」のフォントデザインとイメージロゴマーク
・研究成果としてロゴマークの策定
II.今年度における研究活動の経過について
雫石町側と今年度の研究計画・内容についての打ち合わせを、2012 年 6 月 28 日、岩手大
学教育学部3号館映像メディア演習室にて行った。(雫石町観光商工課主査・下川原正之氏、
主任・大坪正人氏)以下に、まずロゴマークについての活動経過を記す。
○ロゴマークの策定
・7月 10日、雫石町より参考資料として、50周年記念ロゴマークのイメージが送付された。
図:雫石町 50 周年記念ロゴマーク
・7月 31日、一般募集されていた雫石町の新しいキャッチフレーズ「あなたの心に思い出の
一滴(ひとしずく)を」が決定したという連絡があった。選考理由には、「一滴」を「ひとし
ずく」と読んだ時しずくいしが強調されることや、清涼感溢れる作品であり、「滴」と「雫」
が町のイメージアップを引きたて、若年層や女性にもPRできることなどがあった。
昨年度の作業過程を踏襲し、まず、夏季休業期間中に研究室所属学生全員に「第一段階:
アイデアのスケッチおよびメモ(ラフの構想)」(各人配布用紙2枚分)を実施した。
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図:「第一段階:アイデアのスケッチおよびメモ(ラフの構想)」事例
平成 24 年度地域課題解決プログラム
図:「第一段階:アイデアのスケッチおよびメモ(ラフの構想)」事例
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後期になり、映像メディア研究室に所属する3年生を中心に、第2段階としてデザイン案
の選定と洗練を実施した。
図:「第2段階:デザイン案の選定と洗練」事例
このデザイン選定の段階で、再度、雫石町役場との打ち合わせ及び中間報告を 2012 年 11
月 1日に教育学部3号館映像メディア演習室にて実施した。(雫石町観光商工課課長・川崎寿
博氏、主査・下川原正之氏、主任・大坪正人氏)しかしながら、雫石町ではすでに新しいロ
ゴマークを外注し、決定済みであるとの報告を受けた。
[参考] 観光キャッチフレーズロゴデザインの決定について(雫石町公式 Webサイト):
http://www.town.shizukuishi.iwate.jp/modules/etc/index.php/content1666.html
したがって、ロゴマークについての現実的な目的は失われてしまったことになる。しかし
ながら、このまま本課題を終了してしまうのも惜しいので、とりあえず、デザイン原案の「第
2段階:デザイン案の選定と洗練」までは進めることとした。もちろん、制作に際しての動
機づけを失ってしまっており、これ以上の労力をこの課題につぎ込むことは難しい状況とな
ったため、最終案までの洗練及び提案は実施しないこととした。
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図:「第2段階:デザイン案の選定と洗練」で途中終了の事例
11月の打ち合わせ・中間報告では、ロゴマークについてはその後の活動は必要なくなるが、
歓迎塔及び案内板の設置については、より具体的に提案をするように要請された。(この課題
については、次の「III.本研究課題の結果報告」にまとめる。)また、映像メディア研究室
4年生の牧野美菜子が、卒業研究として雫石町の魅力向上と観光を促すことを目的としたサ
イト制作を(個人サイトとして)実施中であることを改めて報告した。
III.本研究課題の結果報告
まず、雫石町歓迎塔・案内板言語表記案については、4 年生の齋藤歌織・鳴海友絵をリー
ダーとする検討グループによって議論し、結果的には日本語以外の言語表記は英語のみとし
た。なぜなら、外国人観光客はツアーでの観光が多く、歓迎塔・案内板の側をツアーバス等
で通る場合、言語表記が多いと見づらく、分かりづらいからである。また、観光客としては
中国(台湾)・韓国が多いが、世界共通言語である英語にしぼることにした。
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図:雫石町歓迎塔・案内板言語表記案
平成 24 年度地域課題解決プログラム
図:案内板デザイン案
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次に歓迎塔及び案内板の設置場所については、牧野美菜子をリーダーとし、具体案を事前
の現地調査のもとで検討した。以下はその結果である。
1. 歓迎塔設置場所について
歓迎塔の設置は盛岡方面に一ヶ所、以前設置されていた場所と同位置に設置。
2. 案内板の優先設置場所、材質について
○案内板の優先設置場所
雫石町谷地の交差点(網張方面)に優先的に設置。
詳細地図(Googleマップ):http://goo.gl/maps/9ZDl2
国道であり、観光客が網張方面へ向かう際に一番わかりやすい交差点にも関わらず、観光
地の案内板が一切設置されていないことが理由である。
○案内板の材質
基板:アルミニウム合金板
基礎:コンクリート、鉄筋
支柱:アルミニウムまたは鋼管、ボルト
塗料:アクリルシリコン樹脂
※ 材質は一般的な交通標識に使用されているものを参考
3. 長山街道入口について
看板の設置(谷地の交差点とは別に長山街道を観光ルートにしたい人のために)
長山街道は道が大きくないので、案内板は谷地に設置し、長山には入口に目印となるため、
看板のみの設置を検討した。
図:看板は案内板と同デザインの縮小版(仮デザイン)
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また、牧野美菜子による「雫石かんこう+(プラス)」という Webサイトは、以下のような
成果となった。
設定としては、「雫石にどんなものがあるか知って」→「気になるところに行って」→「感想を共有」
するという流れを意図し、雫石町の魅力向上と観光推進を目的として制作した「ファンサイト」とし
ている。
このサイトにおいて、例えば、「Map」(観光案内)のページにおいては、施設名をクリックすると説
明が表示されるようになっている。また、「Share」(Twitter で感想を共有しませんか?)のページで
は、Twitter のシステムを活用した情報共有の提案がなされている。
このサイトが雫石へ観光する際のプラス要素となれば幸いである。
「雫石かんこう+(プラス)」URL:
http://shizukuishikanko.web.fc2.com/index.html
図:「雫石かんこう+(プラス)」ホームページ・観光案内のページ
本研究課題を体験して - 学生の主な感想
・ロゴマーク:統一感を出すこと・色を決めることが難しく感じた。 ・ロゴマーク:集めたデザインをよりすぐりデザインを洗練させていくのは大変でしたが、ソフトに
も慣れることができたし何より満足いくロゴマークが完成したので楽しい作業でした。先方とのすれ
違いがあったのが残念でならないです。
・ロゴマーク:全体の意見がなかなかまとまらないことが一番大変でした。結果的に、複数のデザイ
ンを提案し、それぞれ制作することにしました。複数作ることで、それぞれ個性的な形になったので、
良かったと思います。
・雫石町に関しての 1 回目のプレゼンで案内板の表記に関するデータ制作とプレゼンを行いました。
地方の観光地への観光客の変動など、知ることができて良かったと思います。
・雫石に対して私たち学生が客観的に持つ雫石のイメージと、実際に雫石に住んでいる職員さんが持
つイメージとに差があり非常に難しかったです。