血管形状に基づく肝臓領域の自動抽出saitoh/paper/2003_05_saitoh_ieice.pdf2....

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づく Automatic Segmentation of Liver Region Based on Extracted Blood Vessels Takeshi SAITOH , Yuta TAMURA , and Toyohisa KANEKO あらまし CT Computed Tomography)スキャナ により,4 を第 1 った を第 2 った を第 3 を第 4 1 mm スライス CT 臓がん われるように ってきた. 4 CT うち第 1 3 CT いて, した づいた について る. するしきい いて 3 ラベリン グにより する. 臓に する胃 ,し きい により した 域に対して 3 フォロジー演 Erosion すこ により すこ きる. に,より 域を るた めに, より 域を する.こ 域より 域を し ,し きい め, する.8 による された した 域に めて いこ が確 され , える. キーワード 3 モフォロジー,マルチスライス CT 1. まえがき CT スキャナ により CT が医 いられ, するこ により, いたマルチスライス CT られるように ってきた. いる 4 1 った第 2 った第 3 めた第 4 CT ,スライス 20 cm 800 り,患 CT し, 影医 に大きく る. するため システム CAD システム) 待されている. 3 いて, [1], [2][3], [4][5][7][8], [9][10] びがん する われてきている. 1 ように, 囲に じよう つ臓 (胃 学大学 Department of Information and Computer Sciences, Toyohashi University of Technology, 1-1 Hibarigaoka, Tem- paku, Toyohashi-shi, 441–8580 Japan 臓)に囲まれて しているこ 多く, されているが, より,こ 題に対 する われつつある [8], [11][17].一 にしきい するこ により 域を する いられる [12], [13].そ ほかに 郭モデル [18]域拡 いた [14] ある.これら 域を するため に, から られた だけを ている.こ ため CT している ,臓 するため ふめいりょう ため ある.また, いる えられる. 3 して 1 [19] Fig. 1 Organs in abdominal region. 電子情報通信学会論文誌 D–II Vol. J86–D–II No. 5 pp. 633–641 2003 5 633

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Page 1: 血管形状に基づく肝臓領域の自動抽出saitoh/paper/2003_05_saitoh_IEICE.pdf2. 基本処理 2.1 2 値化処理 本論文ではCT 画像に対し血管領域の抽出や臓器の

論 文

血管形状に基づく肝臓領域の自動抽出

齊藤 剛史† 田村 雄太† 金子 豊久†

Automatic Segmentation of Liver Region Based on Extracted Blood Vessels

Takeshi SAITOH†, Yuta TAMURA†, and Toyohisa KANEKO†

あらまし 近年の CT(Computed Tomography)スキャナの急速な進展により,4 時相(造影剤のないものを第 1時相,造影剤が少し入った早期相を第 2時相,造影剤が十分に入ったものを第 3時相,造影剤が抜け始めたものを第 4 時相と呼ぶ)1mm スライスの CT 画像が肝臓がんの診断に使われるようになってきた.本論文は4 時相 CT 画像のうち第 1 時相と第 3 時相 CT 画像を用いて,下大静脈及び肝臓内の血管を追跡した結果に基づいた肝臓領域の自動抽出について述べる.最初に肝臓と血管を分離するしきい値を用いて 3 次元的なラベリングにより血管を追跡する.次に肝臓に接触する胃や

ひ脾臓は,しきい値処理により抽出した領域に対して 3 次元モ

フォロジー演算の Erosion処理を施すことにより切り離すことができる.最後に,より正確な肝臓領域を得るために,血管抽出結果より近似肝臓領域を構築する.この領域より観測領域を設定し,しきい値を求め,肝臓領域を抽出する.8 症例による実験の結果,抽出された肝臓領域は目視で抽出した肝臓領域に極めて近いことが確認され,本手法は有効な手法と考える.

キーワード 血管追跡,肝臓領域自動抽出,3 次元モフォロジー,マルチスライス CT 画像

1. ま えが き

近年,CT スキャナの急速な発展により高解像度の

CT画像が医療診断に用いられ,特に肝臓の診断では

造影剤を注入することにより,造影剤循環の時間経過

情報を用いたマルチスライス CT画像が診断用に用い

られるようになってきた.本論文で用いる 4時相(造

影剤なしの第 1 時相,造影剤の少し入った第 2 時相,

造影剤が十分入った第 3時相,造影剤が抜け始めた第

4時相)の CT画像の場合,スライス枚数は肝臓の厚

さ 20 cmで約 800枚となり,患者当りの CT画像枚数

が増加し,読影医師への負担が飛躍的に大きくなる.

医師の負担を軽減するための計算機支援診断システム

(CADシステム)の開発が期待されている.

従来,3 次元医用画像を用いて,脳 [1], [2],乳房

[3], [4],肺 [5]~[7],腹部臓器 [8], [9],腎臓 [10]など様々

な臓器の領域抽出及びがんや腫瘍の認識に関する研究

が行われてきている.肝臓領域の抽出は図 1 に示す

ように,周囲に同じような濃度値をもつ臓器(胃及び

†豊橋技術科学大学情報工学系,豊橋市Department of Information and Computer Sciences,

Toyohashi University of Technology, 1-1 Hibarigaoka, Tem-

paku, Toyohashi-shi, 441–8580 Japan

脾臓)に囲まれて相互に接触していることも多く,困

難な問題とされているが,数年前より,この課題に対

する研究も行われつつある [8], [11]~[17].一般に肝臓

領域の自動抽出は,濃度値にしきい値を設定すること

により領域を抽出する手法が用いられる [12], [13].そ

のほかに動的輪郭モデル [18],領域拡張法を用いた報

告 [14] もある.これらの手法は領域を抽出するため

に,濃淡画像情報から得られた形状情報だけを利用し

ている.このため肝臓とその周辺臓器の CT値が非常

に類似している場合,臓器を分離するための境界線が

ふめいりょうなため抽出は困難である.また,血管を

用いる方法が考えられる.血管の 3次元構造に関して

図 1 人体腹部の臓器 [19]

Fig. 1 Organs in abdominal region.

電子情報通信学会論文誌 D–II Vol. J86–D–II No. 5 pp. 633–641 2003 年 5 月 633

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電子情報通信学会論文誌 2003/5 Vol. J86–D–II No. 5

は肺の研究例 [6], [7]があるが,肝臓に関する報告は少

ない.

1. 1 本方法の概要

本論文では,3次元的な血管構造を用いることによ

り,“血液が実際に流れている”という機能を利用して

肝臓領域を抽出する手法を提案する.本手法の概要は

以下のとおりである.肝臓は下大静脈(肝臓から心臓

への静脈)と門脈(小腸から吸収した栄養分を肝臓へ

運ぶ静脈)によって支配される領域であることに着目

し,これらの血管を抽出すれば肝臓の概形を得ること

ができる.まず肺を含む CT画像より下大静脈領域を

抽出した後,3次元ラベル付け処理により,門脈系の

血管も含めて肝臓内血管を追跡する.そして 3次元モ

フォロジー演算の Dilation 処理を用いて血管領域を

拡大し,近似肝臓領域と最大肝臓領域を得る.近似肝

臓領域はほぼ真の肝臓領域に近いものであり,最大肝

臓領域は肝臓領域を覆う領域である.次に肺と肝臓,

右腎と肝臓を含む領域をそれぞれ観測し,しきい値を

計算する.このしきい値を用いてより正確な肝臓領域

を得る.しかし,ここで生じる問題は,胃やすい

膵臓など

は濃度値が類似しているため,誤って抽出してしまう.

そこで,接触臓器の有無を最大肝臓領域を用いて判断

する.すなわち,肝臓内血管からある程度離れた領域

は肝臓ではないといえるため,上記肝臓領域から最大

肝臓領域外の差分をとり,残りの領域の体積が大きけ

れば,接触臓器があるものと判断できる.接触臓器は

モフォロジー演算の Erosion 処理の後 Dilation 処理

を行うことにより,切り離すことができる.このよう

に,本論文で提案する血管追跡法を用いることにより,

接触臓器を容易に取り除くことができる利点をもつこ

とを強調しておく.

本論文の構成は次のとおりである.まず 2. で提案

手法で用いる基本処理である 2 値化処理と 3 次元モ

フォロジー演算について述べる.そして 3. で提案手

法を述べ,4. で実験結果を示す.最後に 5. で本論文

をまとめる.

2. 基 本 処 理

2. 1 2値化処理

本論文では CT画像に対し血管領域の抽出や臓器の

分離を行うために,四つのしきい値(t1, t2, t3, t4)を

用いる.各しきい値の用途は以下のとおりである.

t1:下大静脈領域を抽出する.

t2:肝臓内血管とその他の肝臓領域を分離する.

図 2 双峰性をもつ二つのヒストグラムFig. 2 Typical histograms.

t3:肺と肝臓領域を分離する.

t4:右腎と肝臓領域を分離する.

適合したしきい値を得るには,CT画像にある大きさ

の観測領域を設定し,この領域内の濃度ヒストグラム

を求める.このとき本論文ではヒストグラムの分布に

応じて二つのしきい値法を適用する.ヒストグラムが

双峰性をもつ場合,二つの分布が近い場合(図 2 (a))

と離れている場合(図 2 (b))が考えられる.前者の

場合,しきい値は谷間 t に決定されることが望まし

い.また二つの分布がなるべく 50%ずつになるように

観測領域の設定には十分留意する.図 2 (a)のような

場合のしきい値の設定手法として大津の判別基準に基

づくしきい値選定法 [20](以後,しきい値選定法と呼

ぶ)を用いる.一方図 2 (b)のような場合に対してし

きい値選定法を施すと,分布間の平らな位置 t にしき

い値が決定される場合がある.図 2 (b)のような場合,

本研究では抽出したい分布が平らになる付近 t′ にし

きい値が求まる方が望ましい.そこで第 2の手法とし

て,検出対象の分布を正規分布と仮定してしきい値を

求める(以後,正規化しきい値処理と呼ぶ)ことにす

る.具体的には,対象分布の頂点を求め,これより平

均 µ と標準偏差 σ を求め,µ − 2.5σ の位置をしきい

値とする.

2. 2 モフォロジー演算

本研究で用いるモフォロジー演算は,2次元モフォロ

ジー演算を拡張した 3次元モフォロジー演算である [21].

本論文では特に拡大(Dilation)と縮小(Erosion)を

用いる.更に臓器形状が滑らかな曲面で構成されてい

ることを考慮して,球状構造要素(半径 r)を適用す

る.ここで構造要素は外側と内側のボクセルに分ける

ことができる.本論文では外側ボクセルのみを考慮し

た中空構造要素を適用することにより,重複演算回数

を回避し計算時間の向上を図る [22].

また本論文で用いるCT画像の解像度は平面(X,Y

方向)と体軸方向(Z方向)で異なる.そこで構造要素

は,実空間で当方な演算を行えるように配慮する.例え

ば平面方向で 0.625mm,体軸方向で 1.0 mmの解像度

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論文/血管形状に基づく肝臓領域の自動抽出

の場合,構造要素の比率を X : Y : Z = 1 : 1 : 0.625

とする.

3. 方 法

表 1 に本論文で用いる 4 時相 8 症例の CT画像の

枚数とその解像度を示す.また各時相において同位置

で撮影された肝臓領域を含むCT画像の一例を図 3に

示す.造影剤の影響により肝臓内血管の濃度値が,各

時相において異なることがわかる.提案手法は,最初

の骨領域のみ第 1時相を用いるが,後の処理はすべて

造影剤の影響が濃度値に最も反映されている第 3時相

を用いて抽出処理を行う.

次に提案手法の手順を説明する.

1) 3次元座標系の設定及び正規化:第 1時相を用い

表 1 実験に用いる 4 時相 8 症例の CT 画像Table 1 Eight CT data with four phases.

number of resolution

each phase slice [mm/pixel]

1st 2nd 3rd 4th X-Y Z

#1 158 175 218 168 0.549 1.00

#2 177 181 252 181 0.625 1.00

#3 185 183 257 190 0.625 1.00

#4 154 163 228 166 0.625 1.00

#5 183 175 219 181 0.625 1.00

#6 164 164 200 164 0.625 1.00

#7 211 216 211 216 0.625 1.00

#8 186 185 206 186 0.625 1.00

図 3 4 時相 CT 画像Fig. 3 Four phase CT images.

た骨領域の抽出

2)血管追跡の開始点検出:下大静脈検出のためのし

きい値 t1 の設定

3) 血管追跡:肝臓内血管検出のためのしきい値 t2

の設定及び,3次元血管追跡

4) 仮肝臓領域の構築:血管追跡結果に Dilation,

Erosion処理を適用してできる最大肝臓領域と近似肝

臓領域と,しきい値 t3, t4 を用いて抽出する肝臓領域

の三つの仮肝臓領域の構築

5)接触臓器の切離し:三つの仮肝臓領域と Erosion

処理による接触臓器の分離

6)肝臓領域の再構築:Dilation処理による肝臓領域

の復元

以下この順に詳細を説明する.

3. 1 3次元座標系の設定及び正規化

人体臓器の位置は,大きな変動はないもののある程

度個人差はある.また体型や時相に依存して,スライ

ス枚数が異なることもある.そこで次に述べる方法に

より座標系の正規化を行う.この方法の詳細は参照論

文 [9]に述べられているのでここでは要点のみを記述

する.

第 1時相の CT画像では造影剤がないために骨領域

のみ濃度値が高い(図 3 (a)).そこでしきい値を用い

て骨領域を抽出する.第 3時相では造影剤の影響で骨

領域と血管領域の濃度値も高い(図 3 (c)).そこでま

ず第 1時相を用いてしきい値処理により骨領域を抽出

し,抽出した骨の位置情報より第 3時相の骨領域を同

定する.

求めた骨領域よりスライス中央の下側に位置する脊

柱領域を抽出する.脊椎は各スライスの脊柱面積を Z

軸に投影し,分布の谷の部分にあたる椎間板で分割す

ることにより決定する.

次に 3次元座標の基準点 P を設定する.P は第 12

胸椎の重心点とする(図 4 (a)).この胸椎を基準に設

図 4 正規化した 3 次元座標系Fig. 4 The normalized coordinate system.

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電子情報通信学会論文誌 2003/5 Vol. J86–D–II No. 5

定したのは,肋骨の最低位を占める第 12肋骨 2本に

接続しているため同定が容易なためである.次に,P

を中心として正規化を行う.Z 軸は,P の二つ上の第

10胸椎と P から三つ下の第 3腰椎の重心点をそれぞ

れ求め,この区間を [0,1]とする.また X,Y 軸は骨

領域の外接方形を求め,この区間を [0,1]に設定する

(図 4 (b)).

3. 2 下大静脈の検出

1. 1 で述べたように,肝臓は下大静脈と連結してい

る臓器である.そこで最初に下大静脈を検出し,肝臓

に流れ込む下大静脈の位置 S を決定する.

まず心臓付近に存在する下大静脈が含まれる方形領

域を設定する.領域の設定をするために,全症例に対

して下大静脈の観測を行った.下大静脈の中心座標及

びその横幅と縦幅を表 2に示す.これらの平均値を考

慮して,X 軸で [0.30, 0.50],Y 軸で [0.35, 0.60] を

観測範囲とすれば,必ず下大静脈の断面は方形領域に

含まれる.次にこの領域内で濃度ヒストグラムを観測

する.設定した方形領域とそのヒストグラムの例をそ

れぞれ図 5,図 6 に示す.ヒストグラムより低濃度値

側に脂肪や肺領域,高濃度値側に血管領域の分布を確

認できる.このヒストグラムは双峰性を示しているが,

ピークの間が広いため,第 2のしきい値処理を適用し,

しきい値 t1 を決定する.

次に t1 を用いて観測領域を 2 値化する.心臓付近

に存在する下大静脈の断面は概して円形である.そこ

で各領域における円形度を計算し,最大円形度をもつ

領域を下大静脈とする.

3. 3 肝臓内血管の検出

下大静脈は図 7 (a)に示すように肝臓近くで分岐し

て水平方向に流れ始める場所がある.本論文では下大

静脈が肝臓に流れ込む位置を S とする.前処理によ

り検出された下大静脈を開始点として,Z 軸正方向

表 2 下大静脈の中心座標及び大きさTable 2 The center coordinate and size of vein.

center size

x y width/2 height/2

#1 0.407 0.434 0.0663 0.0593

#2 0.441 0.524 0.0684 0.0515

#3 0.448 0.526 0.0682 0.0612

#4 0.462 0.444 0.0435 0.0466

#5 0.417 0.464 0.0538 0.0552

#6 0.448 0.445 0.0375 0.0386

#7 0.406 0.393 0.0429 0.0390

#8 0.450 0.408 0.0570 0.0299

average 0.435 0.459 0.0547 0.0477

に血管追跡を行うことにより S を決定する.全症例

に対して S の位置の観測を行った.観測より S に到

達するまでの下大静脈の長径は 35~70画素(すなわ

ち 2.2~4.4 cm)に分布しているのに対し,S に達す

ると長径は少なくとも 85 画素(5.3 cm)以上に増加

する.そこで本論文では図 7 に示すようにスライス

slicei における下大静脈と連結している領域の長径を

ai とし,ai > 80 となる場所を S とする.

次に S を始点として肝臓内血管の抽出処理を行う.

既に求めた t1 では造影剤の影響により濃度値が変化

した肝臓内血管と,その他の肝臓領域を区別するのに

適していない.そこでこの両者を分離するためのしき

図 5 t1 観測領域Fig. 5 The t1 observe region.

図 6 t1 設定のヒストグラムFig. 6 A histogram of the t1 observe region.

図 7 下大静脈が肝臓に流れ込む様子Fig. 7 Blood stream in the liver.

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論文/血管形状に基づく肝臓領域の自動抽出

い値 t2 を求める.t2 は S とその上側 4 枚の合計 5

枚の CT画像において図 8 (a)のように観測領域を設

定する.観測領域は t1 より求まる下大静脈の外接方

形に対し,幅 aと高さ bをそれぞれ 1.5倍した領域で

ある.図 8 (a)の観測領域の拡大図を同図 (b)に示す.

これは肝臓と下大静脈をほぼ均等に含むようにしてい

る.この領域でヒストグラムを観測すると図 9 にな

る.低濃度値側に肝臓領域,反対側に造影剤により強

調された肝臓内血管領域の分布が現れる.ヒストグラ

ムのピークの間隔は狭いので第 1のしきい値選定法を

適用することにより t2 を求める.求めたしきい値 t2

を用いて全スライスに 2値化処理をする.2値化した

だけでは下大静脈に連結していないノイズ成分と考え

られる領域が存在する.そこで次の処理により,これ

らの領域を取り除く.

ノイズ領域の除去は,2値化結果に対して 3次元ラ

ベル付け処理を行う.次に追跡開始点 S を含むラベ

ル領域を血管領域とする.この操作により下大静脈系

と門脈系の血管を含めた肝臓内の血管抽出を実現する.

血管抽出結果を図 10 に示す.ここで下大静脈に接続

されていない門脈系の血管も抽出されるのは,両血管

が肝臓内で接近しているため 2 値化処理により両血

管が接続して抽出されるためである.しかし本研究は

図 8 t2 観測領域Fig. 8 The t2 observe region.

図 9 t2 設定のヒストグラムFig. 9 A histogram of the t2 observer region.

血管領域をもとに肝臓領域を抽出することを目的とし

ている.このため,門脈系の血管も抽出されても問題

ない.

3. 4 最大肝臓領域と近似肝臓領域の設定

3. 4. 1 最大肝臓領域

本領域は肝臓を覆う領域であり,接触臓器の有無の

判定と切出し処理に用いる.血管追跡により検出され

た領域に対し半径 r の Dilation処理を施し最大肝臓

領域を得る.ここで r を決定するために,手動で抽出

した肝臓領域と Dilation 処理により得られる領域の

関係を半径 r を 12から 26ボクセルまで変えて調べ

た.その結果 r = 24 のときに肝臓領域を覆う領域に

なることがわかった.手動で抽出した肝臓領域との面

積誤差はほぼ 3%であった.図 10 に対して本処理を

適用した結果を図 11 に示す.

3. 4. 2 近似肝臓領域

最大肝臓領域に半径 r の Erosion 処理を施すこと

により近似肝臓領域を得る.上と同様に半径 r を変

化させ真の肝臓領域と比較する実験を行い,r = 9 で

真の肝臓領域に最も近くなることがわかった.図 11

に対して本処理を適用した結果を 3次元化したものを

図 12 に示す.

また CT断面における最大,近似肝臓領域の設定例

を図 13 に示す.図中,前者は破線,後者は実線で示

している.近似領域が真の領域にかなり近く,最大領

域はそれより大きいことがわかる.

図 10 肝臓内血管の追跡結果Fig. 10 Results of tracing blood vessels.

図 11 最大肝臓領域Fig. 11 The maximum liver region.

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電子情報通信学会論文誌 2003/5 Vol. J86–D–II No. 5

図 12 近似肝臓領域Fig. 12 The approximate liver region.

図 13 仮肝臓領域に対する最大肝臓領域(破線)と近似肝臓領域(実線)の投影

Fig. 13 The projection of maximum and approximate

liver region to temporary liver.

3. 5 しきい値処理による肝臓領域

3. 3 で抽出した血管領域は,正確な肝臓領域より当

然小さい領域である.この領域に対しモフォロジー処

理を施しても,正確な肝臓領域を構築することは難し

い.毛細血管まで正確に抽出が可能ならばかなり真の

肝臓領域に近い領域が得られると推定するが,現在の

CT画像の解像度では不可能である.そこで本論文で

は血管抽出で得られた領域をもとにして,別のしきい

値処理により求まる肝臓領域を求め,両者を相補する

ことにより正確な肝臓領域を決定する.

これまで求めたしきい値 t1, t2 はともに血管を抽出

するためのものである.ここでは肝臓領域を抽出する

ために新たに t3 と t4 を決定する.t3 は肺と肝臓領

域を分離するためのしきい値であり,次の処理により

求める.一般に肝臓の上側に隣接する肺領域の濃度値

は −900 ∼ −300 であり,肝臓領域は 100 ∼ 150 で

ある.そこで 3. 2 で決定した下大静脈が肝臓領域に

流れ込む位置 S を含むスライスを中心に上下 2 スラ

イスにおいて図 14 のような観測領域を設定する.こ

の領域は 30× 30 画素の大きさで,近似肝臓領域を用

いて肺と肝臓をほぼ均等に含む位置とする.この領域

よりヒストグラムを求めると図 15 になる.このヒス

トグラムで右側(濃度値の高い方)の峰が肝臓領域で

ある.この峰の最大値に相当する値を平均値 µ とし,

図 14 t3 観測領域Fig. 14 The t3 observe region.

図 15 t3 設定のヒストグラムFig. 15 A histogram of the t3 observe region.

表 3 肝臓と右腎の隣接場所Table 3 The positions of the liver and right kidney.

contiguity range relative distance of S

S upper lower upper lower

#1 0.133 0.544 0.760 0.411 0.627

#2 0.246 0.689 0.796 0.443 0.551

#3 0.175 0.639 0.771 0.465 0.596

#4 0.227 0.600 0.753 0.373 0.527

#5 0.059 0.606 0.759 0.547 0.700

#6 0.104 0.598 0.768 0.494 0.665

#7 0.169 0.609 0.755 0.440 0.587

#8 0.120 0.513 0.753 0.392 0.633

標準偏差 σ を求めて t3 = µ − 2.5σ により t3 を求め

る.基本的に,このしきい値 t3 により得られた領域

が肝臓領域であるが,同時に肝臓に隣接する臓器も抽

出してしまう.

次に隣接する臓器において,より濃度値の高い右腎

をしきい値 t4 により分離する.全症例において,右腎

と肝臓領域が近接するスライスの範囲を,目視により

確認した.その結果を表 3 に示す.表中の S は 3. 2

で決定した下大静脈が肝臓内に流れ込む位置であり,

隣接範囲は目視により確認した右腎と肝臓の隣接する

範囲である.この S より Z 軸下側の [0.50, 0.55] 区

間に 100 × 70 画素の観測領域(図 16)を設定するこ

とにより,我々の問題を満足することがわかった.こ

の領域よりヒストグラムを求め(図 17),しきい値選

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論文/血管形状に基づく肝臓領域の自動抽出

図 16 t4 観測領域Fig. 16 The t4 observe region.

図 17 t4 設定のヒストグラムFig. 17 A histogram of the t4 observe region.

図 18 しきい値処理による肝臓領域Fig. 18 The liver region from thresholding t3 and t4.

定法により t4 を決定する(近似肝臓領域の上端と下

端を用いる方法を当初考慮したが,これらは真の領域

から異なることもあり,S の位置の方がより正確であ

ることがわかった).

次に t3, t4 を用いて CT画像を 2値化する.スライ

ス z の座標 (x, y) における濃度値を f(x, y, z),出力

画像を g(x, y, z) と記述すると,

g(x, y, z) =

(1 if t3 < f(x, y, z) < t4

0 else

とする.求めた g(x, y, z) を 3次元可視化した結果を

図 18 に示す.図中,胃や脾臓,左腎などの周辺臓器

も検出されている.また右上には心臓の一部が検出さ

れている.

3. 6 血管の境界

門脈は肝臓に流れ込み,静脈は肝臓から流れ出す.

これらの肝臓との境界は概して明確ではない.そこで

図 19 接触臓器の切離し結果Fig. 19 Result of separated touching organs.

図 20 肝 臓 領 域Fig. 20 Result of removed other organs.

本論文では,下大静脈の場合,体軸の上から下へのス

ライスで下大静脈が肝臓へ分岐する場所から肝臓内と

する.正確にいえば,図 7に示す断面の中,上から 4

と 5番目に示す楕円形(下大静脈)から左へ分岐する

場所.門脈は肝臓付近で湾曲するため,湾曲の最上部

の後を肝臓内とする.

3. 7 接触臓器の切離し

腎臓は肝臓より濃度値が高いことを利用して分離し

たが,接触している胃,脾臓など濃度値が肝臓に極め

て近いためしきい値による分離は困難である.そこで,

抽出した肝臓領域に対し,Erosion処理を適用するこ

とにより切り離しを実現する.また,検出されたすべ

ての領域に対して Erosion処理を行うのではなく,特

定の領域のみに処理を行うことにより計算量の削減を

図る.ここで処理対象領域は図 13 に示す最大肝臓領

域と近似肝臓領域の間の領域とする.次にこの領域に

対し Erosion処理を適用する.図 18 より接触臓器を

切り離した結果を図 19 に示す.更に肝臓領域のみを

抽出した結果を図 20 に示す.

3. 8 肝臓領域の再構築

接触臓器を切り離した状態では,Erosion処理の半

径だけ収縮された領域となっている.そのため同一半

径で Dilation処理を行うことにより,肝臓領域を復元

する.図 20に対して本処理を適用した結果を図 22 (a)

に示す.

4. 実 験

本論文では表 1 に示した 8症例について実験を行っ

た.これらは国立がんセンター東病院で撮影された

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電子情報通信学会論文誌 2003/5 Vol. J86–D–II No. 5

図 21 肝臓領域内の血管抽出結果Fig. 21 Extracted results of blood vessels.

図 22 肝臓領域の抽出結果Fig. 22 Extracted results of the liver.

表 4 各症例のしきい値と処理時間(単位:分)Table 4 Threshold values and process time (minutes).

t1 t2 t3 t4 (1) (2) (3) total

#1 117 156 102 165 9.61 1.45 9.34 20.4

#2 123 142 71 141 9.73 1.21 6.96 17.9

#3 111 122 65 134 30.2 3.75 13.3 47.3

#4 183 160 102 193 9.31 1.40 4.96 15.7

#5 115 124 56 155 11.4 1.87 7.48 20.7

#6 133 157 83 160 7.87 1.02 7.49 16.4

#7 102 140 55 153 11.0 1.22 10.9 23.2

#8 128 142 77 164 7.20 1.05 7.91 16.2

(1) Blood vessel tracing

(2) Extraction of liver regions

(3) Removal of touched organs

total = (1) + (2) + (3)

CT画像であり,#1~#4が健常者,#5~#8ががん

患者のものである.

血管領域と肝臓領域の抽出結果を図 21 と図 22

に示す.表 4 に各症例の四つのしきい値と処理時間

を示す.ここで,本実験で使用した計算機は CPU:

Athlon 1.2 GHz,Memory:768Mbytesである.平

均処理時間は 22分程度であるが,本方法をもとの解

像度(512× 512)で実行した場合であり,処理を低解

像度(例えば半分)で実行したり,また血管追跡に用

いたラベル付けに更なる高速化を図り計算時間の短縮

を行う予定である.

図 23 肝臓領域抽出結果Fig. 23 Extracted results.

また提案手法の抽出結果を定量的に評価するために,

スライスごとに自動的に得られた領域を CT画像に重

ね合わせ,目視で抽出した領域とどれほど異なるかを

計測した.図 23 に一例を示すが,ほとんどのスライ

スで自動的に抽出した領域はほぼ目視で得られた領域

と合致することが判明した.定量的に評価するために,

肝臓の上下 10%を除いた 80%の領域において手動で

抽出した肝臓領域と比較した結果,面積の誤差は平均

5%であった.

5. む す び

肝臓領域の抽出は胃や膵臓のような類似の濃度値を

もつ臓器が接触しているため,困難な問題とされてい

る.本論文では新たな肝臓領域の抽出法として,血管

追跡に基づく手法を提案した.本手法は血管追跡に基

づいているため,形ではなく機能的に肝臓領域の抽出

が可能である点が特長である.この特長により,肝臓

に接触している臓器の有無の判別が容易となり,接触

臓器を分離することを示した.またより正確な肝臓領

域の抽出にはしきい値法を併用した.健常者 4例とが

ん患者 4の 8症例に対して実験を行い,良好な結果を

得た.目視で得られた領域との差はほとんどなく(定

量的には平均 5%),本手法の有効性を示すことがで

きた.

本手法はしきい値を求めるために正規化した観測領

域を設定した.しかし極端に臓器形状が変化している

症例などに対しては,対応できない可能性がある.こ

のように多くの多様な症例に対応できるアルゴリズム

の改良と計算時間の短縮,更に血管追跡に基づいた肝

臓がんの認識が今後の課題である.

謝辞 本研究の CT画像を提供して頂いた国立がん

センター東病院の放射線部関口隆三医師と縄野繁医師

に深く感謝致します.

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論文/血管形状に基づく肝臓領域の自動抽出

文 献

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(平成 14 年 4 月 17 日受付,10 月 11 日再受付)

齊藤 剛史 (学生員)

平 11 豊橋技科大・工・情報卒.現在,同大大学院博士後期課程在学中.画像処理,認識の研究に従事.

田村 雄太 (学生員)

平 12 豊橋技科大・工・情報卒.現在,同大大学院修士課程在学中.コンピュータグラフィックス,医用画像の研究に従事.

金子 豊久 (正員)

昭 37 東大・工・電気卒.昭 39 同大大学院修士課程了.昭 45プリンストン大・工・電気・博士課程了.Ph.D.昭 45 米 IBM

ワトソン研究所・研究員.昭 57 日本 IBM

東京基礎研究所,昭 60 東京サイエンティフィックセンター長.平 6 より豊橋技術科

学大学情報工学系教授.専門は画像処理,認識,コンピュータグラフィックスなど.ACM,IEEE,情報処理学会各会員.

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