海外への農産物輸出 - international university of...
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農林水産省での職務経験
4
1988~93年:農水省
1993~95年:イギリス(大学院留学)
1995~99年:農水省
1999~02年:フランス(在外公館)
2002~04年:農水省(WTO交渉)
2004~07年:イタリア(国連職員)
2007~13年:農水省(TPP交渉等)
リンゴ輸出に関する実態調査
(2013年8月:山形県朝日町)
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天狗マークを商標登録し、密入りリンゴのブランドを確立
台湾を中心に、2010年には37トンを輸出
タイ、香港、フィリピンにも輸出を拡大
町長や農協組合長が自ら海外でトップセールスを実施
日本の農産物貿易の特徴
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日本の特徴
世界最大の農産物の純輸入国(輸入額-輸出額)
ただし、輸入額自体は世界で第4位に過ぎない
輸出額が極端に少ないため、純輸入額で世界第1位
他国との比較
米国、中国、ドイツ等は、輸入も多いが輸出も多い
日本の輸出額は、農地面積が半分以下のオランダやベルギーよりも少ない
特にオランダは世界最大の農産物の純輸出国で、生産額ベースの自給率はほぼ100%
農産物輸入額上位10カ国の純輸入額の比較(2010年)
12
-4.5
-6.8
-4.4
-2.6
-6.4
-3.5 -2.7
-4.0
-7.4
-3.9
0.3
3.0 2.0
0.5
5.5
3.0 3.0
5.1
9.9
6.4
-4.2 -3.8 -2.4 -2.2
-0.9 -0.5 0.4
1.1 2.5 2.5
-10
-8
-6
-4
-2
0
2
4
6
8
10
(兆円)
輸入額 輸出額 純輸入額
資料:国際連合・食料農業機関調べ
農地面積の国際比較(2011年)
13
2,909
456
190 136
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
フランス 日本 オランダ ベルギー
(万ヘクタール)
資料:農林水産省調べ
食料自給率の国際比較(2003年)
14
102 101 96
70
40
128 122
58
40
70
0
20
40
60
80
100
120
140
米国 フランス オランダ 日本 英国
(%)
生産額ベース カロリーベース
資料:農林水産省調べ
日本の農産物輸出の動向
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輸出額
加工食品を含む農林水産物の輸出額は、2013年に5,500億円を突破し過去最高
政府は2020年までに1兆円の目標を設定
国別の内訳
アジア向けが7割を占め、特に香港や台湾が多い
品目別の内訳
水産物や加工食品が多く、未加工の農産物は少ない
農林水産物の輸出額の推移と目標
17
3,609 4,008
4,490 5,160 5,078
4,454 4,920
4,511 4,497
5,506
10,000
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
8,000
9,000
10,000
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2020
(億円)
資料:農林水産省(2014)「農林水産物・食品の輸出促進対策の概要」
農林水産物の輸出額内訳の推移
18
2,038 2,168 2,359 2,678 2,883 2,637 2,865 2,652 2,680 3,137
88 92 90
104 118
93 106
123 118
152 1,482
1,748 2,040
2,378 2,077 1,724
1,950 1,736 1,698
2,217
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(億円)
農産物 林産物 水産物
資料:農林水産省(2014)「農林水産物・食品の輸出促進対策の概要」
農産物の輸出が注目される背景
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積極的な意義
世界的な日本食ブームの広がり
「和食」の世界文化遺産への登録
アジア諸国における富裕層の増加
その他の背景
少子高齢化による国内市場の縮小
TPP交渉参加の正当化
海外の日本食レストランの推移
23
24,000
30,000
55,000
0
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
2006 2010 2013
(店舗数)
資料:農林水産省(2014)「農林水産物・食品の輸出促進対策の概要」
好きな外国料理(複数回答)
25
84
65 60
42 39
29 29
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
(%)
資料:ジェトロ(2013)「日本食品に対する海外消費者調査」
世界の食の市場規模
26
340
680
82
229
0
100
200
300
400
500
600
700
800
2009年(実績) 2020年(予測)
(兆円)
世界 アジア
資料:農林水産省(2013)「日本食・食文化の海外普及について」
アジア諸国の1人当たり所得の推移
27
414
190 172
90
22 5 2
350
279
353
164
36 35 11
0
100
200
300
400
(万円)
1990 2010
資料:世界銀行調べ
有望な輸出品目
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コメや野菜・果物等の農産物より加工食品
新興国でも食の外部化・簡便化が進展
輸出の際に検疫や規制の制約が少ない
輸出額の増加が見込まれる品目
調味料類等(1,600億円)
菓子類等(1,400億円)
レトルト食品、めん類等(2,000億円)
日本酒等のコメ加工品(600億円)
良いものを「より高く」
地場の加工で付加価値を上げ儲けを増やす
輸出相手国の検疫条件
32
リンゴ イチゴ ナガイモ コメ 緑茶
香港 ○ ○ ○ ○ ○
米国 △ △ △ ○ ○
台湾 △ ○ ○ ○ ○
中国 △ × × △ ○
韓国 × ○ ○ ○ ○
タイ ○ ○ ○ ○ ○
ベトナム △ △ △ △ △
EU ○ ○ ○ ○ ○
シンガポール ○ ○ ○ ○ ○
資料:農林水産省(2009)「農林水産物・食品の輸出についてのヒント集」
有望な輸出先
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新興市場
アジア:タイ、ベトナム、シンガポール、フィリピン、インドネシア、マレーシア、インド
ヨーロッパ:EU、ロシア
その他:中東、ブラジル
安定市場
アジア:香港、台湾、中国、韓国
米国
農産物輸出の流れ
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準備
• 輸出相手先の情報収集
• パートナーの検討
• 販売戦略の立案
試験
• 契約の締結
• 販売促進・広報の実施
• テスト販売
継続
• 契約の締結
• 販売促進・広報の実施
• 継続的販売
資料:農林水産省(2009)「日本産米輸出ハンドブック」
輸出成功のヒント
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有望な輸出先に足を運んでみる
新興国のダイナミックな発展を体感
地元の農産物・食品の強みを把握
国内とは嗜好が異なる輸出先を見つける
例:大玉のリンゴ(中国)
例:太物のナガイモ(台湾)
和食用の食材という固定概念を捨てる
現地の嗜好を踏まえ、和・洋・中の幅広い食材に応用するレシピを提案
例:抹茶パウダー
日本産リンゴの輸出先別の単価
43
558 588
563
492
558 614
702
295 299 278 245
286 342 344
0
100
200
300
400
500
600
700
800
2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
(円/㎏)
中国 タイ 香港 台湾
資料:財務省(2014)「貿易統計」
農産物輸出の問題点と対策
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• 当初から海外の市場に合わせた生産や販売
需給調整のために余剰品を輸出
• 主要な産地の連携による海外での通年供給
輸出先が集中し産地同士で足の引っ張り合い
• 共同輸送や混載等による物流費の抑制
品目が小口で物流費が高い
資料:農林水産省(2013)「農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略」
農産物輸出に関する情報源
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農林水産省「農林水産物・食品の輸出促進対策」
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/index.html
日本貿易振興機構「農林水産物・食品輸出相談窓口」
http://www.jetro.go.jp/services/advice/agri_foods/
日本貿易振興機構・新潟貿易情報センター
http://www.jetro.go.jp/jetro/japan/niigata/
にいがた産業創造機構
http://www.nico.or.jp/