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第三回 生産設計との関連事項

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第三回生産設計との関連事項

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軸と穴のはめあい公差

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1.軸と穴のはめあいの考え方

すきまばめ しまりばめ 中間ばめ

軸穴

軸 軸穴 穴

隙間干渉状態隙間状態 干渉

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2.軸直径のはめあい公差域の定義

基準線

軸の基準線

公差等級IT

a~zc

基準線

Φ100h6

Φ100f7

Φ100d7

最大値

最小値Φ100

Φ100

Φ100

0-0.022

-0.036-0.071

-0.155-0.12

公差域の位置

公差域(6,7など)

軸の中心線

基準寸法

一般的に軸に“-”公差を与える

よく使用される公差域の範囲

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3.穴直径のはめあい公差域の定義

基準線

穴の基準線

公差等級IT

A~ZC

最大値

最小値

Φ100H7

Φ100G8

Φ100D8

+0.035Φ100

+0.066+0.012

+0.174+0.120

Φ100

Φ100

0

基準寸法

公差域の位置

穴の中心線

一般的に穴に“+”公差を与える

よく使用される公差域の範囲

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4.軸のはめあい公差例と穴のはめあい公差例穴の場合軸の場合基準寸法=100(Φ:円の直径)上の寸法許容差=+0.035

下の寸法許容差=+0.015

基準寸法=100(Φ:円の直径)上の寸法許容差=-0.045

下の寸法許容差=-0.015

∅100+0.015

+0.035

∅100−0.045

−0.015

Φ100H7

Φ100G8

Φ100D8

+0.035Φ100

+0.066+0.012

+0.174+0.120

Φ100

Φ100

0Φ100h6

Φ100f7

Φ100d7

Φ100

Φ100

Φ100

0-0.022

-0.036-0.071

-0.155-0.12

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5.軸と穴がはめあう時の公差例

基準線

基準線

Φ100H7

h7

Φ:直径100:軸(穴)の基準寸法H7:穴の公差h7:軸の公差

穴の公差

軸の公差

はめあい公差例

Φ100H7

h7

隙間ばめ領域 しまりばめ領域

+0.0350

-0.0350

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部品の表面性状(面粗さ、面粗度)

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1.表面粗さの定義:𝑅𝑧 , 𝑅𝑎 ,と𝑅𝑞

𝑹𝒛:最大高さ粗さ:基準長さにおける粗さ曲線の山高さの最大値と谷深さの最大値の和

𝑹𝒂:算術平均粗さ:基準長さにおける縦座標値𝑍(𝑥)の絶対値の平均。

𝑹𝒒:二乗平均平方根粗さ:

基準長さにおける縦座標値𝑍(𝑥)の二乗平均平方根、粗さ曲線の標準偏差に相当する。

𝑍(𝑥)

𝑅𝑎 =1

𝑙𝑟න0

𝑙𝑟

𝑍(𝑥) 𝑑𝑥

𝑅𝑞 =1

𝑙𝑟න0

𝑙𝑟

𝑍2 𝑥 𝑑𝑥

基準長さ

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2.表面粗さの表し方

Ra 3.2

Ra 0.8

Ra 0.4

研磨

G

Ra 0.8

旋削

実際に使用する場合:

a:表面性状パラメータ、その管理項目b:二番目以後のパラメータの指示c:加工方法・表面処理d:筋目とその方向(=、⊥、×、M、C、R、P)e:削り代(mm)

H1=1.4×h d’=0.1×h

H2=3×h h:文字の高さ

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3.面粗さの測定機

ミツトヨの小型表面粗さ測定器

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第四章:締 結ねじ、ピンと溶接継手

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1.三角ねじの各部名称

めねじ

おねじ ピッチ:Pとがり山の高さ:H=0.866025P

ひっかかりの高さ:H1=0.541266P

おねじの外径 :d(呼び径)おねじの有効径:d2=d-0.649519P

おねじの谷の径:d1=d-1.082532P

めねじの谷の径:D=d

めねじの有効径:D2=d2

めねじの内径: D1=d1

ピッチ

参考書:図学(つるまき線面)太い実線=基準山形

めねじ

めねじ谷底

おねじ

山頂

フランク角𝛼

フランク角𝛼

ピッチ(𝑝)

おねじ

谷の径𝐷

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2.三角ねじの種類

(1)メートルねじ

(2)ユニファイねじ

(3)管(くだ)用ねじ

ねじ山の角度=60°; ピッチを(mm)で表示

並目ねじ:ねじ山、リード角は通常のものである細目ねじ:ねじ山、リード角は小さくしたものである(緩み対策に効く)

ねじ山の角度=60°; ピッチは1インチ当たりの山数で表示。

並目ねじと細目ねじがある。航空機使用に限定。

ねじ山の角度=55°; ピッチは1インチ当たりの山数で表示。

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3.ねじの表記法

ねじの種類 ねじの種類と記号 ねじの表し方の例

メートル並目ねじ

メートル細目ねじM M8

M8×1

ミニチュアねじ S S0.5

ユニファイ並目ねじ

ユニファイ細目ねじUNCUNF

3/8-16 UNCNo.8-36 UNF

メートル台形ねじ Tr Tr10×2

管用テーパねじ

テーパおねじ R R3/4

テーパめねじ Rc Rc3/4

平行めねじ Rp Rp3/4

管用平行ねじ G、PT G1/2

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4.ねじ部品及び座金

ナットとボルト 座金

平座金

ばね座金

歯付き座金

ナット

六角ボルト

六角穴付きボルト

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5.ボルトの使い方と緩み防止対策

通しボルト 押えボルト 植込みボルト

平座金(緩み防止)

部品1

部品2

部品1

部品2

部品1

部品2

部品2にねじ

部品2にねじ

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6.ねじの加工工程

下穴の加工 ねじ切り

Step1 Step2

Step1 Step2

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7.ボルトの締め付け方法(対角線法)

1

① ボルトを対角線的順序(図2参照)で締め付けることが推奨される

② 1回目は規定トルクの50%程度で順番に締め付ける

③ 2回目は75%程度のトルクで順番に締め付ける

④ 3回目は規定トルクで順番に締め付ける

2

3

4

5

6

7 8

図2 ボルトの締め付け順番

量産品の場合

電動トルクレンチ

インパクトレンチ

出典:https://www.uedakanamono.co.jp/blog/impact-driver

充電インパクトドライバー

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8.ボルトの許容伝達トルクの計算

D1

T

摩擦力F

ピンの併用

D2

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9.ボルト締結部の許容伝達トルクの計算式

ここで𝑇1:ボルトの許容伝達トルク(kgf-mm)𝐹: ボルトの締付力(kgf)𝐷1:ボルト取付けP.C.D(mm)𝜇: 摩擦係数𝜇 = 0.15(合せ面が脱脂)𝑛1:ボルト本数

(2)ピンのみの許容伝達トルク

ここで𝑇2:ピンの許容伝達トルク(kgf-mm)𝑑: ピン径(mm)𝜏: ピン許容せん断応力(kgf/mm2)「𝜏=20、ピン材質、S45C-Q」

𝐷2:ピン取付けP.C.D.(mm)𝑛2:ピン数

𝑇 = 𝑇1 + 𝑇2

(1)ボルトのみの許容伝達トルク

(3)(ボルト+ピン)の許容伝達トルクT:

(1) (2)

(3)

𝑇1 = 𝐹 ×𝐷12× 𝜇 × 𝑛1 𝑇2 =

𝜋 × 𝑑2

4× 𝜏 ×

𝐷22× 𝑛2

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10.ピンの種類と用途

平行ピン

テーパピン(位置決め用)

先割りテーパピン(抜け落ち防止)

割りピン(緩み止め用)

スプリングピン

固定用

ピン

ピン

過負荷防止安全装置

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11.ピンのせん断強度計算

「例題」 動力伝達系に右図に示すシャー ピンを使用することにより、伝達トルクTが400N.mで動力伝達を遮断したい。ピンせん断部の軸径dを決定せよ。ただし、ピンは伝達軸中心より距離r=100mmの位置に取り付けており、ピン材料はせん断応力𝜏𝐵=380MPaでせん断破断する。

「解」 ピンに作用するせん断力Fは、

F = Τ𝑇 𝑅 = Τ400 0.1 = 400𝑁

よって

𝐹 = 𝑟2𝜋𝜏 =𝑑

2

2

𝜋𝜏

𝑑 =4𝐹

𝜋𝜏=

4 × 4000

380 × 106𝜋= 3.66 × 10−3𝑚 = 3.66𝑚𝑚

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12.溶接継手ののど断面及びのど断面積の計算

のど断面積=理論のど厚×有効溶接長さ

有効溶接長さ=実際の溶接長さ-2×理論のど厚

突合わせ すみ肉(へこみ) すみ肉(とつ)

理論のど厚の考え方

理論のど厚 理論のど厚

理論のど厚

理論のど厚

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13.溶接のど断面の応力計算

のど断面積 A = ℎ × (𝑙 − 2ℎ)

のど断面積A = ℎ × 𝑏 = ℎ × (𝑙 − 2ℎ)

垂直応力𝜎 = Τ𝑃 𝐴

せん断応力 τ = Τ𝑃 𝐴

曲げ応力𝜎 = Τ𝑀 𝑍 = Τ𝑃𝐿𝑍

断面積係数𝑍 = ൗ𝑏ℎ26 = ൗ(𝑙−2ℎ)ℎ2

6

𝑙 =実際の溶接長さ

𝑙 =実際の溶接長さ

曲げ応力を計算する場合:

垂直応力を計算する場合: