学校臨床における描画法の導入 - nara-edu.ac.jpmandala...

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341 1.はじめに 描画活動を生徒理解や支援の方法として学校現場に 適切に取り入れることは、言葉で内面を表現しにくい 児童生徒たちの心理状態の把握に役立ち、また制作自 体が治療的な作用を持つために有効な支援の方法であ ると考える。 日本描画テスト・描画療法学会発行の「臨床描画研 究」の中では 2000 年に「学校と描画」の特集が組まれ、 スクールカウンセラーや養護教諭らが、学校現場に描 画法を用い、奏功したケースが報告された。 そのような中で、特に感情表現に重点を置いた描画 療法の手法を学校現場に導入したものに岡田(2010) の研究がある。岡田は、小学校の中学年の学級に向け 週 1 回 10 ~ 20 分程度で学級で朝学活の時間に「お絵 かき遊び」を実施し、子ども達が今の気分を自由に描 けるような実践を行った。その結果、「お描き遊び」 は「快体験を伴って自己表現を促進し、児童はカタル シスや代償行為による満足を得る等、心理的安定を図 る こ と が で き る。( 岡 田 , 2010 p6)」 と し、 児 童 の SOS の早期発見や対応に役立ち、学級の雰囲気や学習 意欲の向上、関係性の改善に好影響を与えるとしてい る。 学校臨床の方法として、市来 (2009, 2010, 2011) もま た描画療法の手法を用いて研究を進めてきた。中でも、 個人の表出活動に重きを置いて、学校現場で使える アートセラピーを応用した様々なワークシートを開発 してきた。 そこでは、保健室登校の児童生徒を対象として個別 で使用できるようなワークシートを開発し、保健室登 校支援に必要と考えられる次の 4 つ段階の支援に基づ いて作成した。 1 )こころの居場所づくりへ向けた課 題 2 )自己内省、自己理解を促進する課題 3 )社会 化の課程を支援する課題 4 )カラダに関する課題 これらのワークシートを小学校の保健室で養護教諭 が、頻回来室の児童に使用したところ、描画による介 入が子ども理解に加えて、2 者関係をつなぐ媒体機能 を持ち、相互関係を賦活する作用を持ったことが明ら 学校臨床における描画法の導入 −「円枠描画法」の開発にあたって− 市来百合子・大久保千惠 (奈良教育大学 次世代教員養成センター(ESD・課題探究教育部門)) 小野はぎ・櫻本豊巳 (奈良教育大学附属小学校) The application of Circle drawing for prevention of School Problems Yuriko ICHIKI, Chie OKUBO (Teacher Education Center for Future Generation, Nara University of Education) Hagi ONO, Toyomi SAKURAMOTO (Elementary School Attached to Nara University of Education) 要旨:本報告は、学校臨床における支援の方法として開発した描画法(円枠描画法)とその適用について検討したも のである。円枠描画法の起源となる Mandala drawing は、円枠によって促進される自己の統合機能を生かした描画 法であり Kellogg は Great Round と称してその象徴的解釈を理論化した。この円枠描画法を、日本の学校現場に適し た支援法となるように現実的な使用条件を整え、児童生徒が安全に感情表現を促進できるように開発を行った。特に 教員とスクールカウンセラーの継続的なコンサルテーションにより、発達年齢や状況に応じた提供の方法を検討した り、描かれた内容を吟味すること、そして自己表現が暴露的にならないような配慮ができる教員のカウンセリングマ インドが重要であることが示唆された。本稿ではその作成の過程と留意点、実践と今後の課題について報告した。 キーワード:円枠描画法 Circle Drawing マンダラ描画 Mandala drawing 学校カウンセリング School counseling

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Page 1: 学校臨床における描画法の導入 - nara-edu.ac.jpMandala drawingをクライエントに施行することを許 された。 彼女は何百と言うマンダラ描画を検証し、ライフサ

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1.はじめに

 描画活動を生徒理解や支援の方法として学校現場に適切に取り入れることは、言葉で内面を表現しにくい児童生徒たちの心理状態の把握に役立ち、また制作自体が治療的な作用を持つために有効な支援の方法であると考える。 日本描画テスト・描画療法学会発行の「臨床描画研究」の中では2000年に「学校と描画」の特集が組まれ、スクールカウンセラーや養護教諭らが、学校現場に描画法を用い、奏功したケースが報告された。 そのような中で、特に感情表現に重点を置いた描画療法の手法を学校現場に導入したものに岡田(2010)の研究がある。岡田は、小学校の中学年の学級に向け週1回10~20分程度で学級で朝学活の時間に「お絵かき遊び」を実施し、子ども達が今の気分を自由に描けるような実践を行った。その結果、「お描き遊び」は「快体験を伴って自己表現を促進し、児童はカタルシスや代償行為による満足を得る等、心理的安定を図

ることができる。(岡田, 2010 p6)」とし、児童のSOSの早期発見や対応に役立ち、学級の雰囲気や学習意欲の向上、関係性の改善に好影響を与えるとしている。 学校臨床の方法として、市来(2009, 2010, 2011)もまた描画療法の手法を用いて研究を進めてきた。中でも、個人の表出活動に重きを置いて、学校現場で使えるアートセラピーを応用した様々なワークシートを開発してきた。 そこでは、保健室登校の児童生徒を対象として個別で使用できるようなワークシートを開発し、保健室登校支援に必要と考えられる次の4つ段階の支援に基づいて作成した。 1 )こころの居場所づくりへ向けた課題 2 )自己内省、自己理解を促進する課題 3 )社会化の課程を支援する課題 4 )カラダに関する課題 これらのワークシートを小学校の保健室で養護教諭が、頻回来室の児童に使用したところ、描画による介入が子ども理解に加えて、2者関係をつなぐ媒体機能を持ち、相互関係を賦活する作用を持ったことが明ら

学校臨床における描画法の導入−「円枠描画法」の開発にあたって−

市来百合子・大久保千惠(奈良教育大学 次世代教員養成センター(ESD・課題探究教育部門))

小野はぎ・櫻本豊巳(奈良教育大学附属小学校)

The application of Circle drawing for prevention of School Problems

Yuriko ICHIKI, Chie OKUBO(Teacher Education Center for Future Generation, Nara University of Education)

Hagi ONO, Toyomi SAKURAMOTO(Elementary School Attached to Nara University of Education)

要旨:本報告は、学校臨床における支援の方法として開発した描画法(円枠描画法)とその適用について検討したものである。円枠描画法の起源となるMandala drawingは、円枠によって促進される自己の統合機能を生かした描画法でありKelloggはGreat Roundと称してその象徴的解釈を理論化した。この円枠描画法を、日本の学校現場に適した支援法となるように現実的な使用条件を整え、児童生徒が安全に感情表現を促進できるように開発を行った。特に教員とスクールカウンセラーの継続的なコンサルテーションにより、発達年齢や状況に応じた提供の方法を検討したり、描かれた内容を吟味すること、そして自己表現が暴露的にならないような配慮ができる教員のカウンセリングマインドが重要であることが示唆された。本稿ではその作成の過程と留意点、実践と今後の課題について報告した。

キーワード:円枠描画法 Circle Drawing      マンダラ描画 Mandala drawing      学校カウンセリング School counseling

Page 2: 学校臨床における描画法の導入 - nara-edu.ac.jpMandala drawingをクライエントに施行することを許 された。 彼女は何百と言うマンダラ描画を検証し、ライフサ

市来 百合子・大久保 千惠・小野 はぎ・櫻本 豊巳

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かになった。また市来(2010)の第3報では、ワークシートを個別の使用ではなく、担任が一斉授業で、学級づくりや感情表現のトレーニングのための方法として活用できる可能性を示唆している。 筆者は、近年、小中学校での教育相談に関わる教員研修の中で描画による子ども理解の可能性について提示したところ、多くの担任が学級で使ってみたいという希望を出された。学級担任の多くは、子どもの日日の気分の変動を表情や様子から感覚的に把握し、気になる場合は、適切な支援をしたいと願っている。にもかかわらず、「何か嫌なことがあったと、わかっていても支援する方法がわからない」「個別の時間がとれない」「なんと言って話しかけていいのかわからない」などの声がきかれることが多かった。 そこで実態として1対1で用いるワークシートに加えて、普通学級で担任が集団で使用できる技法の開発の必要性が見えてきた。また、保健室登校の児童生徒の場合は、関係性が定着していく中で、同じ技法を毎回使うことでその変化が読み取りやすいという意見が聞かれるようになった。 このような背景の下に、学校臨床の中で実施可能な円枠描画法を開発するに至ったので、本稿でその概要と実践について検討していきたい。

2.Mandala drawing (マンダラドローイング)

 円枠描画法は、市来(2010, 2011)の作成したワークシートの一枚であるが、元々米国のアートセラピストであるKellogg(1993)がユング心理学をベースに理論化し、技法として開発したMandala drawingの考え方を基本としている。Jung(1965)は、自身が精神的な危機に面している時にマンダラを作成していたが、同時に、彼の患者もまた状態の悪い時や新しい段階へ入る時に、マンダラ様の絵を描くことを見出した。Jungによると、最も力強い元的イメージとはまさ に こ の マ ン ダ ラ で あ り、 そ れ は 超 越 的 自 己

(transcendent self)のシンボルであり、セルフを読み解くためのCryptograms(暗号)である。 Kellogg(1993)は、アートセラピー領域の黎明期である1970年初頭、Maryland Psychiatric Research Centerで、アーティストとしてまた、研究者として雇用され、新しい薬物治療の効果検証の1つとしてMandala drawingをクライエントに施行することを許された。 彼女は何百と言うマンダラ描画を検証し、ライフサイクルに照らして繰り返し表れる形やパターンや色があることに気づき、それをGreat Round(1993)と呼んだ。そして、マンダラ作品の形状のパターンと作者の身体的、情緒的、霊的(spiritual)な状態が呼応していることを示した。

 Kelloggが標準的に行っていたMandala drawingとは、直径10.5インチ(約26cm)の円が画用紙の中心に鉛筆で描かれた紙とオイルパステル(クレヨン)が手渡され、 しばらく閉眼し落ち着いた状態で、思い浮かんだイメージを自由画で描くというものである。 Kelloggの提唱したMandala drawing の実践は、現在でもアメリカでは、様々な臨床現場で用いられている。子どもへの適用について、Brown & Church(1996)は、注意欠如・多動性障害(ADHD)の子どもたちに、セッションのはじめにMandala drawingを導入した実験群と統制郡の比較から、Mandala drawingによって、集中力、衝動性、自己決定や作業の完了、発達レベル、創作への興味などにおいて好影響がみられたことを見いだした。またThayer(2000)は、解離性障害のクライエントのグループセラピーでMandala drawingを用い、KelloggのGreat Roundの理論を用いて多重人格と描画表現の関係について論じた。

3.円枠描画法の開発について このMandala drawingは、中央の円枠によって、安全な表現環境が保障され、自己(SELF)の統合機能が促される技法である。 描画法における治療的な枠づけに関しては、中井

(1974)の枠づけ法が知られている。中井は、統合失調症者への描画療法のなかで、画用紙の内側に黒い枠づけをして渡すことで表現内容が変わること、そして

「枠」が心的表現を制限し、拘束する役割と保護し、開放する役割を合わせ持つことについて論じた。またBurns(1990)は、円枠家族描画法を提唱しており、家族メンバーを円の中心に描かせ、その周辺に自由連想による様々なシンボルを描かせた。Burnsは、重要なシンボルを中心に置く事によって、情緒的に深い反応あるいは洞察と治癒をもたらせるとしている。 このように円枠自体には、表現の安全を保障する意味とイメージの中心への焦点づけによる収束、感情の統合の意味があると考え、今回筆者はそれらを重視してこの円枠を技法として取り入れることにした。 この円枠描画法で描く内容については、Mandala drawingのような自由画でなく、「気持ちの絵(feeling picture)」とした。Mandala drawingの場合は、深呼吸で落ち着いた後に、即興的に想起した視覚イメージを描くように指示され、その行為こそがイニシエーションであるという前提で象徴的な解釈を行う。しかし学校場面で教員が主体で描画法を行う場合は、描画行動の持つ「無意識の表出」よりも「自我強化」の意味に重きを置き、子ども達自身が感情表現に主体的に取り組む装置としてそれを提供すべきであると考える。つまり学校臨床に導入する描画法は、心理教育=(繰り返し取り組むことによる自己表現への慣れとトレーニング)であるという意味に目を向ける必要がある。

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学校臨床における描画法の導入

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 しかしながら描画が、無意識の表出か認知的活動の結果かなどと二分できるものではなく、描画は常に意識的-無意識的イメージの往還によって作り進められるものである。また芸術療法の治療環境を表す言葉である「非日常性」も、現実原則に則った学校場面で行う創作活動にはあてはまらないかもしれない。 教育相談の一方法として行う描画法を考える場合、いずれにせよ重要な点は、感情表現という課題が、子どもにとって強制とならないように、実施者が必要なルールを設定し、カウンセリングマインドに基づいて十分に個人の心理的表出に注意を払うことである。 実際、円枠描画法の使用にあたっては、教員が体験学習を伴う研修を受け、その意義を知るとともに、臨床心理学的な観点からも検討できるようにスクールカウンセラーとともに実施するべきであると考える。描画の投影法的意義を理解しないで使用すると、子どもの感情表現は、望まない形で暴露され、その後一切閉ざされてしまう可能性がある。 また学校場面に適用する場合には、現実的な作業時間やその過程への留意の必要がある。本法で「絵を描く意味」は図工や美術と同じではないために、それを伝えるための事前学習も必要となる。教室で集団実施する場合は、A4の半分の中に、10cm程度の直径の円を描いた紙を「円枠描画法」の標準的なサイズとする。また円枠の下に「つぶやき(今日の一言)・・」欄を作り、視覚的に表現したものを、意識的な言語に落とし、大人が理解できるような工夫が必要である。

 なお、本法をMandalaではなく、「円枠」としたのは、上記のような教示の違いによる意図の相違、および

「Mandala」と命名することにより持たれる先入観を排除するためである。

4.円枠描画法の実践

 ここでは、保健室登校を続けていた中2女子の個別ケースと小学校中学年の学級での実施について述べる。 臨床心理士である筆者は、学校支援を行う立場で参入し、教員の実践を、継続的にサポートしながらコン

サルテーションにあたった。紙面の関係で、導入の経緯や子どもの特徴、事前学習の内容などの詳細は他稿に譲り、ここではその概要に留める。

4.1.不登校傾向で保健室登校の女子生徒 A子は中1から不登校傾向が始まり、2年ではさみだれ登校が続き、学校に来るときは保健室でほとんどの時間を過ごしていた。 保健室では、養護教諭が対応していたが昼夜逆転となってしばらく来ないこともあり、たまに来た時の本人の心身の状況がつかめずにいた。少しでも本人の意思確認をして自己指導力によって前に進めるように、養護教諭は円枠描画をとり入れて、図2のようなシートを独自に作成し、来室ごとに記入させ学校生活に取り組ませた。このシートは、市来(2010)のワークシートの中の「カラダに関する課題」と円枠描画法を養護教諭が個人に合わせて1枚のシートに再編したものである。来校時、まず体調をチェックさせ、その日にどれだけの活動をするかを自己決定させ、思考と感情を整理するために円枠描画を行うこととした。図2は、ある日の日報 (筆者による模写)であるが、A子が養護教諭とのコミュニケーションを意識して「楽しみなこと」と書いている。 養護教諭は、A子の心身の様子を視覚的に理解し、

「つぶやき」から、会話の糸口を紐解き、コミュニケーションを図ることができた。

4.2.小学校中学年における担任による実践 小学校4年生担任は、学級の雰囲気を「消極的でリーダーがいない」「指示まちで、もうひとつ自分の表現ができない」と感じており、もっと自分を表現できるように、また互いに共感できるような関係づくりを目指したいと願っていた。 さらに、学級の中には、情緒的な課題を持つと思われる気になる児童もおり、その児童らがどのような思

つぶやき・・・

月   日

のりしろ

A4の半分

図1 教室で用いる場合の円枠描画法

10cm程度の直径

図 2 保健室登校生徒のための日報の例(筆者の模写による)

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市来 百合子・大久保 千惠・小野 はぎ・櫻本 豊巳

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いでいるのかを知り、支援したいと感じていた。 そこでまず事前学習として1時間「気持ちの表現について」の授業を行い、気持ちは色や線で表わせることや他者の表現を大切に扱うことなどを伝え、導入を行った。その後、「帰りの会」で週3,4回,1回10分程度、「円枠描画法」を行った。描画が描けたら児童は自分で糊付けしてファイリングを行い、各自で担任に手渡すようにした。 筆者は担任や特別支援コーディネーターとともに、描画内容や進め方について1~2/月ごとにふりかえり、検討を行った。担任は、本活動について「児童自身の気持ちの整理・沈静化」や「教師による子どもたちの状態の把握」が大きな効果であると述べたが、何よりも一番の利点を「子どもがうれしそうに実行する」とした。また、子どもが描き終わった絵を手渡すときの表情や絵の変化から、その場で直感的に子どもの状態をつかむことができるとし、その上で、気になった絵に対してどのように対応していくかについては今後の課題であると述べられた。

5.まとめ と今後の課題

 本稿では学校現場で、子供たちの感情表現を安全に促進する装置としての円枠描画法の開発の過程とその実践について述べてきた。上記の実践の概要から「円枠描画法」の効果を要約すると以下のとおりになる。1 )感情の気づきと表現の機会の提供 2 )子どもたちの心理的な状態の日々の把握 3 )教員と児童とのコミュニケーションの媒体機能 4 )情緒的な問題が増幅しないための(いじめ等)予防的な働きかけ 今後に向けての課題は以下のとおりである。 1 )描画の理解についての一定のアプローチの方法を担任に示すこと 2 )子どもの描画に対する返し方(PDI)、その時期に関すること 3 )描画を利用した後の校内連携および教育相談などへのつなぎ方に関する検討 4 )集団内の相互理解の機会への発展的活用 描画法の導入には、前述したようにネガティブな感情表出も想定される。しかしそこから介入の糸口が見つかる可能性もあり、様々な学校問題の予防的な介入の契機となるであろう。そのためには、教員とスクールカウンセラー等が協働して描画法に取りくみ、子どもたちの心身のチェックを定期的に行い、継続的な支援を行っていくことが必要ではないかと考える。

謝 辞

 本研究にあたり、ご協力いただきました鹿児島県鹿児島市中学校の貞光さおり先生をはじめ、香芝市立志都美小学校の教職員のみなさま、児童・生徒たちに感謝申し上げます。

引用文献

1 )Brown, V. S. , Church, R.P. 1996 Mandala Drawing: Facilitating Creative Growth in Children with ADD or ADHD Art Therapy: J ourna l o f the Amer i can Ar t the rapy Association, 13(4) 252-262.

2 )Burns, R.C. 1990 A guide to Family-Centered Circle Drawing with Symbol Probes and Visual Free Association. (バーンズ, R.C. 加藤孝正・江口昇勇(訳) 1991 円枠家族描画法入門 金剛出版)

3 )市来百合子, 生田周二,上田光枝 2009 保健室におけるアートセラピー的手法の導入に関する開発的研究−アートブック作成に向けての検討(第1報)−奈良教育大学教育実践センター紀要, 18, 241-246.

5 )市来百合子, 生田周二,上田光枝 2010 保健室におけるアートセラピー的手法の導入に関する開発的研究(第2報)−保健室登校支援のためのアートブック導入の意義と内容の検討−奈良教育大学教育実践センター紀要, 19, 19-26.

6 )市来百合子, 上田光枝,堂上禎子, 大久保千恵 2011保健室におけるアートセラピー的手法の導入に関する開発的研究(第3報)−ワークシート作成過程と試用に関する報告−奈良教育大学教育実践センター紀要, 20, 321-326.

7 )Jung, C.G. 1965 Memories, dreams, reflections. (A. Jaffe, Ed.). New York: Vintage Books.

8 )Kellogg, J. 1993. Mandala: Path of beauty(7th ed.). Belleair, FL: ATMA, Inc.

9 )中井久夫 1974 枠付け覚え書 芸術療法, 5, 15-19.

10)日本描画テスト・描画療法学会編 2001 学校臨床と描画 臨床描画研究XV.

11)岡田珠江 2010 学級で心を育む「お絵かき遊び」に関する臨床心理学的研究 平成20年度 日本女子大学教育文化振興桜楓会奨学金受賞 研究成果報告書

12)Thayer, C.C., Cohen, B.M. 2000 Mandala artwork by clients with DID: Clinical Observations Based on Two Theoretical Models. Art Therapy: Journa l o f the Amer ican Art Therapy Association, 17(3), 195-201.