調査報告書 - minister of economy, trade and industry1800 1900 2000...

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平成 30 年度⼯業標準化推進事業委託費(戦略的国際標準化加速事業:新規 分野の国際ルールインテリジェンスに関する調査(寝具等の睡眠最適化に 係る評価⽅法の基準策定に向けた課題分析に関する調査)) 調査報告書 平成 31 年 3 ⽉ 29 ⽇ ⻄川株式会社

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Page 1: 調査報告書 - Minister of Economy, Trade and Industry1800 1900 2000 技術の複雑性・相互互換性のメリット •モノのインターネット化/製造業のサービス化

平成 30 年度⼯業標準化推進事業委託費(戦略的国際標準化加速事業:新規分野の国際ルールインテリジェンスに関する調査(寝具等の睡眠最適化に係る評価⽅法の基準策定に向けた課題分析に関する調査))

調査報告書

平成 31 年 3 ⽉ 29 ⽇

⻄川株式会社

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⽬次 1 はじめに ....................................................................................................................... 3

① 寝具類をめぐる快適な睡眠に対する需要の⾼まり .................................................. 3 ② 本調査報告書の概要 .................................................................................................. 4

2 国内外における寝具等の睡眠最適化の研究開発の動向に関する整理 ......................... 4 ① スマート寝具等の開発動向 ....................................................................................... 4 ② 睡眠の快適性に関する研究動向 ............................................................................... 7 ③ スマート寝具等に関する基準の調査 ...................................................................... 22

3 寝具等の睡眠最適化に係る評価⽅法の国際標準の整理 ............................................. 23 ① 評価⽅法の国際標準の整理についての検討 ........................................................... 23 ② 寝具や睡眠環境の評価に⽤いる項⽬についての整理 ............................................. 24 ③ 敷き寝具の評価基準について:寝姿勢の保持と体圧分散についての追記 ............ 25

4. 寝具等の睡眠最適化に係る標準化に係る指標の調査・検討 ..................................... 27 ① 睡眠深度等における定義の統⼀および⽤語の整理 ................................................ 27 ② 機能及び能⼒の堅牢性を維持する材質等のグレード ............................................. 30 ③ ノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルと脳波計測定結果とのマッチング ............... 32 ④ 快適睡眠ライン・睡眠姿勢 ..................................................................................... 33

5. 寝具等の睡眠最適化に関する市場可能性に関する調査 ............................................. 34 ① ホテル需要について ................................................................................................ 34 ② 病院や介護施設について ........................................................................................ 41 ③ 消費者向けについて(今回実施 Web アンケート結果より) ................................ 43

6. 快適な睡眠に関する指標に係るデータの集積及び必要性 ......................................... 51 7. 適切な競争の阻害 ........................................................................................................ 52

① 寝具類の問題点 ....................................................................................................... 52 ② データの集積について ............................................................................................ 53 ③ 活⽤の可能性について ............................................................................................ 53

8. おわりに ...................................................................................................................... 54

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1 はじめに ① 寝具類をめぐる快適な睡眠に対する需要の⾼まり

研究において得られるデータを活⽤した新製品の開発だけでなく、近年では、第四次産業⾰命下における通信技術の発達等により、リアルタイムで⼤量のデータを取得・送信し、処理能⼒が向上したコンピュータやAIの発達等により、広く当該サービス等を利⽤する顧客から⽇常的に⼤量のデータをリアルタイムで集めることが可能となっている。このような技術⾰新により、様々な情報の接続により新たな付加価値を創出する産業社会である“Connected Industries”の実現に向けた取組が進められている。消費者の快適な睡眠に対するニーズの⾼まりに対して、寝具類を販売する事業者において、消費者の快適な睡眠の提供のためのコンサルティングに⼒を⼊れることで需要に沿った商品の提供を⾏う動きが⾒られる。快適な睡眠の実現のために、ウェアラブルデバイスを⽤いた⽣体情報を取得しながらデータを集め、分析結果を消費者に対して提供するサービスを始めとして、顧客に対してビッグデータに基づく健康状態の分析や、個々の顧客に適した寝具・寝装品を提供することが可能になっている。今後、このような寝具等の取り組みにより、データがサービス等の競争⼒に与える影響が顕在化しつつあるといえる。更に、先進国を中⼼とした健康意識の向上により、消費者においては睡眠時の⽣体情報の取得や睡眠の可視化が可能な寝具等の需要が⾼まっている。医療介護分野においては寝具等に睡眠時の快適性・最適化といった課題解決を求める動きがみられる等、多様な分野において寝具の⾼付加価値化市場が⽴ち上がりつつある。しかしながら、寝具等による睡眠の質を適切に⽐較する指標がなく、市場において海外の競合品や低価格品との差別化が困難な現状にあり、消費者が希望する商品を選択することが難しい状況にある。

技術・産業の変遷と標準化の重要性

1800 1900 2000

技術

の複雑

性・相

互互

換性

のメリッ

ト⼤

• モノのインターネット化/製造業のサービス化• 相互互換性・ネットワーク経済性の重要性⼤

Industry 4.0/ Connected Industries

21世紀〜

Big Data

ISO/IEC JTC 1WG 9サービス

スマートマニュファクチャリングスマートグリッド/

エナジー/シティIEC SMB/SyC(Smart city) (Smart Energy)

エネルギー 製造プロセス

World Wide Web Consortium(W3C)

Web of Things (WoT)

Web技術(共通基盤)

Internetof Things

ISO/IEC/JTC1/SC41

IEC SMB/SEG 7 ISO TMB/Coordinating Committee

蒸気機関の導⼊による軽⼯業化

⽣産効率向上 のための標準

(例:ねじの標準)

エレクトロニクスによる⽣産⼯程⾃動化

分業・合理化の ための標準

(例︓インテルによるパソコンマザーボード標準化)

Industry 1.018世紀後半

Industry 2.019世紀後半

Industry 3.020世紀後半〜

電⼒を活⽤した製造・⼤量⽣産の開始

⼤量⽣産のための標準

(例︓フォードの部品規格)

様々なつながりによる新たな付加価値を創出する“Connected Industries”を実現する 上で、あらゆるモノやサービスをつなぐための国際標準化が極めて重要になっている。

第4次産業⾰命時代の鍵を握る国際標準化

「新たな基準認証の在り⽅について」平成 29 年 8 ⽉経済産業省産業技術環境局

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② 本調査報告書の概要 上記のような状況に対して本事業では、睡眠の最適化に関する評価⼿法及び基準を定

め、消費者の求める指標について定量・⽐較が可能となる。グレード別に基準を設けることで、睡眠の質の⾼まりを求める消費者に対してより分かり易く、適切な商品の供給が可能となる素地を形成することを⽬的とした。具体的な調査項⽬として、上記事業⽬的を達成するため主に以下を実施した。

・国内外における寝具等の睡眠最適化の研究開発の動向に関する整理 ・寝具等の睡眠最適化に係る評価⽅法の整理 ・寝具等の睡眠最適化に係る標準化に係る指標の調査検討 ・寝具等の睡眠最適化に関する市場可能性に関する調査

寝具等の睡眠最適化に関する市場動向調査及び消費者需要調査を⾏った結果、測定機器の技術の向上により、負担なく有⽤な⽣体情報が得られる環境が整いつつある。今回の消費者需要調査により得られた情報ニーズを抽出し、また市場動向調査結果に基づいて測定⽅法及び測定器による収集データのグレードを分類することで、寝具等の睡眠最適化に係る指標を標準化する道筋が整備し得ることが明らかとなった。 2 国内外における寝具等の睡眠最適化の研究開発の動向に関する整理

① スマート寝具等の開発動向 A) 現在、スマート寝具等1で開発、販売されている商品は主に A:睡眠状態につい

て様々なセンサで測定し記録後分析するものと B:その結果を基に寝具や寝室などの環境を変化させ快適な状態となるように必要な機器を制御する機能を持つものまでがある。

1 スマート寝具等:IoT 技術により、睡眠時の就寝者の状態を、客観的・定量的に把握す

る機能を付与した寝具類。機能性寝具。

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B) 前者 A では、接触型と⾮接触型があり、接触型では頭部や顔に装着し脳波を測定するもの、腕や腹部に装着するいわゆるウェアラブル端末と呼ばれるものがあり、PC やスマートフォンと無線などで接続でき、データの管理や分析ができるようになっているものが主流である。

C) B の⾮接触型では、主に寝具の下に敷く形が多く、このタイプは各種センサにて睡眠時の状態(⼼拍数、呼吸数、体動、いびき、睡眠時間、睡眠深度など)を測定し、A と同様に PC やスマートフォンと無線などで接続でき、データの

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管理や分析ができるようになっている。

D) さらに寝具:マットレス型の商品があり(図 1-3)、これは各種測定結果を基に寝具内温度やマットレスの傾斜、中の温度管理、さらにスマートフォンなどのシステムと連携してエアコンや照明などの制御を⾃動で⾏うことまで出来るものが登場している。

E) 「スマート寝具」という⾔葉通りの商品は、図 1-3 における 14〜19 の 6 つが該当すると考えられる。寝具としてマットレスおよびそれに類する形の商品となっている。現状は商品毎に測定する内容や制御するものがバラバラで統

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⼀されていない状況である。また数量では、現状は睡眠状態などを測定するセンサおよびそのデータを管理、分析することが中⼼となっていることから、スマート寝具としての開発動向はまだ初期段階で明確な定義なく開発されている状況といえる。

F) また、いびき対策ベッドなどのように、本⼈の快眠だけではなく、同室など近くで寝ている家族などの快眠を対象としたものがあることが興味深い。

② 睡眠の快適性に関する研究動向 A) 今回、寝具等の睡眠最適化に資する研究の事例を収集した結果、マットレスを

中⼼とした睡眠最適化へ効果とそれによる健康などへの影響についていつかの検証がなされていることが判明した。

B) 体圧分散効果が期待できるマットレス、寝姿勢が理想的(⽴位に近い)となる枕との組合せにより、睡眠の質(深睡眠の徐波睡眠の持続など)が改善し、主観的な睡眠満⾜度(OSA 睡眠調査票 MA 版による因⼦Ⅳ:疲労回復因⼦の⾼さ)も⾼まることが検証されている。またその結果、アンチエイジング効果(成⻑ホルモン分泌量の増加、酸化ストレスの軽減、HDL コレステロール値の増加)、糖尿病予防(「HbA1c」の値が減少し糖代謝が改善)が期待出来る結果を得ている。

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現状では体圧分散効果などにより理想となる⽴位に近い寝姿勢を取る為に有⽤な寝具が睡眠の快適性に直接的に影響を与えることが検証されているのみである。寝具はマットレスだけではないことはいうまでもなく、今後様々な寝具の組合せによる睡眠最適化に期待できる効果をより研究し商品開発や情報提供に活⽤されることが望ましいと考える。 〇睡眠の快適性に関する研究事例〜まとめ表〜

研究テーマ 研究機関など 結果概要 研究事例①:体圧分散性など機能性に優れたマットレスの使⽤(⻄川、4 層特殊⽴体構造マットレス)による睡眠の質向上に繋がる検証結果

筑波⼤学・国際統合睡眠医科学研究機構 柳沢正史教授と⻄川産業株式会社⽇本睡眠科学研究所との共同研究結果(2017 年 7 ⽉発表資料)

4 層特殊⽴体構造マットレスを使⽤することで、睡眠の質の向上に繋がる次の可能性が⽰唆された。① 最も深い眠り“徐波睡眠”の分断が改善し⻑く持続、② 記憶の固定に関連がある “デルタパワー”が有意に増加、③ 体圧が分散され肩や腰部にかかる負担を軽減、④ 睡眠の質向上を主観的に実感

研究事例②:体圧分散性など機能性に優れたマットレスの使⽤(⻄川、4 層特殊⽴体構造マットレス)による睡眠の質に対する効果を⾃⽴神経医学的観点からの検証

順天堂⼤学医学部 ⼩林弘幸教授との⻄川産業株式会社⽇本睡眠科学研究所との共同研究(2016 年 10 ⽉発表資料)

4 層特殊⽴体構造マットレスを使⽤することで、唾液成分(コルチゾール、メラトニン)による概⽇リズム、⾃律神経機能、主睡眠判定、いずれの評価項⽬で改善作⽤が認められ、睡眠の質を向上させる可能性が⽰唆された。

研究事例③:体圧分散性など機能性に優れたマットレスの使⽤(⻄川、4 層特殊⽴体構造マットレス)による睡眠の質の改善と睡眠のアンチエイジング等の効果を科学的に検証

同⽀社⼤学アンチエイジングリサーチセンター ⽶井嘉⼀教授と⻄川産業株式会社⽇本睡眠科学研究所との共同研究(2016 年 10 ⽉発表資料)

睡眠の質改善が有り、成⻑ホルモン分泌量増加、酸化ストレス減少、善⽟コレステロール値上昇する試験結果が得られた。

研究事例④:体圧分散性など機能性に優れたマットレスの使⽤(⻄川、4 層特殊⽴体構造マットレス)による睡眠の

同⽀社⼤学アンチエイジングリサーチセンター ⽶井嘉⼀教授と⻄川産業株式会社⽇本睡

4 層特殊⽴体構造マットレスの使⽤により睡眠の質が⾼まり、過去3〜4週間の⾎糖状態を表す「HbA1c」の値が減少し、糖代謝

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質の改善と糖尿病予防に繋がることを⽰唆

眠科学研究所との共同研究(2017 年 10 ⽉ 16⽇発表資料)

の改善が⾒られた。これにより糖尿病予防につながる効果が⽰唆されたと考える。

研究事例⑤:⾝体に合わせた敷き寝具(枕とマットの組合せ)を使⽤することで睡眠の質を改善し、⽇中の疲労を軽減することを科学的に実証

⼤阪市⽴⼤学 梶本修⾝特任教授と⻄川リビング株式会社との共同研究(2016 年 1 ⽉ 29⽇発表資料)

⾝体に合わせた敷き寝具(枕とマット)は、睡眠の質を改善し、さらに⽇中の疲労軽減効果を有する有⽤な製品であると、科学的に実証された。

研究事例⑥:マットの材質(弾⼒特性)および枕の⾼さが睡眠時の脊椎⾻構築に及ぼす影響とその最適化の検討

⼤阪⼤学⼤学院医学系研究科運動器バイオマテリアル学寄付講座、⻄川産業株式会社、チームラボボディ株式会社の共同研究(2018 年⽇本睡眠学会第 43 回定期学術集会 抄録集抜粋)

弾⼒特性の違いによって脊椎⾻の配列が全く異なることが明らかになった。ほぼすべての症例にてAir を使⽤した場合に脊椎⾻配列は⽴位での脊椎⾻配列に近似していた。⼀⽅、枕の⾼さの違いにより頸椎のみならず脊椎⾻配列にも⼤きな影響を及ぼすことが初めて明らかになった。多くの症例で枕の⾼さ 60 ミリで最適な脊椎⾻配列が獲得された。

研究事例⑦:ベッドマットレスの硬さが睡眠に与える影響

久保博⼦、⽊佐貫美穂、奈良⼥⼦⼤学(⼀般社団法⼈⽇本家政学会研究発表要旨集、2012 年 64 回⼤会)

寝姿勢回数や⼿⾜の微細な移動において、男性でソフトとハードで差が認められたが OSA 睡眠調査票や脳波測定からの睡眠深度出現割合からは、有意な差は⾒受けられない結果と理解している。その為、マットレスの硬さや反発度合だけでは睡眠の質に影響を与えているかは明確ではないと考える。

研究事例⑧:⾮接触のドップラ式のマイクロ波センサを利⽤した睡眠状態の測定精度向上に向けた実験(⾻⼦の抜粋)

マイクロ波センサによる睡眠状態可視化技術:横⼭雄太、⼭地隆⾏(「マルチメディア、分散、協調とモバイルシンポジウム」、平成26 年 7 ⽉)

体動による睡眠状態であることのみの判定(REM、NonREM(ステージ1〜4)の⼀致度は⾼く、脳波測定をしなくても⼀定の睡眠判定に使⽤できる。

注)法⼈名などは、発表当時のままの記載としている。

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研究事例の詳細(全 8 ケース) 研究事例①:体圧分散性など機能性に優れたマットレスの使⽤(⻄川、4 層特殊⽴体構造マットレス)による睡眠の質向上に繋がる検証結果 筑波⼤学・国際統合睡眠医科学研究機構 柳沢正史教授と⻄川産業株式会社⽇本睡眠科学研究所との共同研究結果(2017 年 7 ⽉発表資料) 結果の概要:4 層特殊⽴体構造マットレスを使⽤することで、睡眠の質の向上に繋がる以下の可能性が⽰唆された。 ① 最も深い眠り“徐波睡眠”の分断が改善し⻑く持続、② 記憶の固定に関連がある “デルタパワー”が有意に増加、③ 体圧が分散され肩や腰部にかかる負担を軽減、④ 睡眠の質向上を主観的に実感 体圧分散性など機能性に優れたマットレスの使⽤(⻄川、4 層特殊⽴体構造マットレス)による睡眠の質向上に繋がる検証結果 ① 睡眠の質における評価対象の⼀つである徐波睡眠の増加に繋がる、徐波睡眠の分断が改善

し⻑く持続した (ア) 睡眠中は、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しており、ノンレム睡眠の中で最も深い

眠りを徐波睡眠という。 (イ) ⼀般的には、徐波睡眠という深い眠りに⼊っても、浅い睡眠との間を⾏き来すること

があり、徐波睡眠が分断されることがある。 (ウ) 睡眠の質としては、徐波睡眠の分断が少なく、⻑い時間安定した徐波睡眠の回数が多

い⽅が⾼いと考えられている。 (エ) 試験結果:

徐波睡眠の時間を測定。対象マットレスでは徐波睡眠の継続時間が 0.5〜1 分ほどの回数が 50 回以上になるのに⽐べ 4 層特殊⽴体構造マットレスはその回数は⼤幅に検証し、30 分以上の安定した徐波睡眠の回数が増加した。

② 質の⾼い睡眠による効果として期待できる紀北の固定や認知パフォーマンスに関連がある

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デルタパワーが有意に増加 (ア) デルタパワーとは、徐波睡眠中によく出る脳波、デルタ波(除波)の強さを指す。 (イ) 試験結果:

睡眠時脳波の周波数解析によってデルタパワーを算出。終夜の脳波全体におけるデルタパワーの割合は、対象マットレスの 77.5±1.4%に⽐べ、4 層特殊⽴体構造マットレスでは 78.7±1.3%と有意に増加した。

③ 体圧が分散され肩や腹部にかかる負担を軽減 (ア) 睡眠中の体圧は肩や腰部に集中しやすく、腰痛などの原因になることもある。東京⻄

川の 4 層特殊⽴体構㐀マットレスを使⽤することで体圧が分散され、肩や腰部への負担が軽減された。

(イ) 試験結果 (ウ) 4 層特殊⽴体構㐀マットレスの平均体圧は以下となり、被験者 10 名全員、どの体位に

おいても平均体圧が低いことが⽰された。 仰臥位 18.9±3.0mmHg (対照マットレス:24.1±5.2mmHg) 左側臥位 22.7±3.7mmHg (対照マットレス:29.7±5.6mmHg) 右側臥位 22.5±3.6mmHg (対照マットレス:28.8±6.0mmHg)

④ 主観的な睡眠感の測定により睡眠の質向上を実感 (ア) 起床時の睡眠内省を評価する⼼理尺度「OSA 睡眠調査票(MA 版)」によって主観的睡

眠感を⽐較。東京⻄川の 4 層特殊⽴体構㐀マットレスを使⽤することで、疲労回復の主観評価が有意に改善された。

(イ) 試験結果

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(ウ) OSA 睡眠調査票による起床時の主観的睡眠感は、因⼦ IV(疲労回復)で 4 層特殊⽴体構㐀マットレスにおける得点が有意に⾼くなった。

研究事例②:体圧分散性など機能性に優れたマットレスの使⽤(⻄川、4 層特殊⽴体構造マットレス)による睡眠の質に対する効果を⾃⽴神経医学的観点からの検証 順天堂⼤学医学部 ⼩林弘幸教授との⻄川産業株式会社⽇本睡眠科学研究所との共同研究(2016 年 10 ⽉発表資料) 結果概要:⻄川の 4 層特殊⽴体構造マットレスを使⽤することで、唾液成分(コルチゾール、メラトニン)による概⽇リズム、⾃律神経機能、主睡眠判定、いずれの評価項⽬で改善作⽤が認められ、睡眠の質を向上させる可能性が⽰唆された。 ① メラトニンとコルチゾール分泌の概⽇リズム評価により、乱れていた分泌周期が⼤幅に改

善 (ア) 眠りを促すホルモンである“メラトニン”は、東京⻄川の 4 層特殊⽴体構造マットレス

を使⽤することで、夜眠る時は“メラトニン”の分泌量が増加し、⽇中の活動時は分泌量が減少。乱れていた分泌周期が⼤幅に改善された。また、活⼒の源となり、ストレスに敏感に反応するホルモンの“コルチゾール”は、1 ⽇の分泌リズムが理想的な状態に近づいた。

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② 交感神経・副交感神経バランス、⽇内変動の評価により、⾃律神経のバランスが⼤幅に改善 (ア) 不規則な⽣活やストレスによって⾃律神経が乱れると、⾝体や精神の様々な不調に繫

がる。今回の検証では、4 層特殊⽴体構造マットレスを使⽤することで睡眠の質の改善が⽰唆され、⾃律神経のバランスが⼤幅に改善。活動時に働く交感神経が⽇中に活性化し、夜間にはリラックスした時や就寝時に働く副交感神経が優位となった。

③ 主睡眠判定と睡眠の質に対する評価により、中途覚醒時間の⼤幅な減少と睡眠効率の改善 (ア) 4 層特殊⽴体構造マットレスを使⽤後には、総睡眠時間は 6.7 分減り、睡眠効率は 2.4%

上昇、夜に⽬覚めてしまう中途覚醒時間も⼤幅に減少。より短い睡眠時間で、全体的に睡眠の改善傾向がみられた。

研究事例③:体圧分散性など機能性に優れたマットレスの使⽤(⻄川、4 層特殊⽴体構造マットレス)による睡眠の質の改善と睡眠のアンチエイジング等の効果を科学的に検証 同志社⼤学アンチエイジングリサーチセンター ⽶井嘉⼀教授と⻄川産業株式会社⽇本睡眠科学研究所との共同研究(2016 年 10 ⽉発表資料) 結果の概要:睡眠の質改善が有り、成⻑ホルモン分泌量増加、酸化ストレス減少、善⽟コレステ

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ロール値上昇する試験結果が得られた。 ① 成⻑ホルモン分泌量の増加

(ア) 成⻑ホルモンは、⼊眠後 2 時間前後で分泌される睡眠関連ホルモン。タンパク質合成や軟⾻発育の促進、脂肪分解作⽤など多くの働きを持ち、“若返りのホルモン”とも呼ばれている。成⻑ホルモンは加齢と共に減少するため、分泌量の増加は睡眠の質が改善によるアンチエイジング効果が期待される結果となった。

(イ) 試験結果

成⻑ホルモンのセカンドメッセンジャーである⾎中 IGF-1 が有意に上昇(+10.2%) (p=0.008) ※⾎中 IGF-1 は、成⻑ホルモンの刺激により肝臓から分泌され、成⻑ホルモンの分泌量を反映している。

② 酸化ストレスの減少 (ア) 酸化とは、体内の細胞やタンパク質などが活性酸素と結合することでサビてしまい、

正常に働かなくなる反応。癌、アルツハイマー病、糖尿病など多くの疾病の原因となり得る、⽼化の⼤きな要因の 1 つである。酸化ストレスが減少し、睡眠の質の改善で抗酸化機能が上がる可能性が⽰唆された。

(イ) 試験結果 酸化ストレスの指標:尿中 8-OHdG(クレアチニン補正値)が有意に減少(−27.8%)(p=0.006)尿中 8-OHdG は、活性酸素による遺伝⼦の酸化度合を⽰す。

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※クレアチニン補正:尿量は⽔分や⾷事摂取、発汗等により⼤きく変動。1 ⽇の排泄量がほぼ⼀定であるクレアチニンで補正し正しい濃度を算出。

③ HDL-コレステロール値の上昇 (ア) HDL-コレステロール値は、 “善⽟コレステロール”とも呼ばれ、全⾝の細胞内や⾎液

中の余分なコレステロールを肝臓に送る働きを持ち、動脈硬化を予防する。運動や⾝体活動により上昇するという報告が過去にあったが、今回の検証では新たに良質な睡眠によって HDL-コレステロール値が増える可能性が得られた。今後はメカニズムの解明に期待が持たれる。

(イ) 試験結果

⾎中 HDL-コレステロール濃度が有意に上昇 (+7.5%)(p=0.006) ※基準値内の上昇

④ ⾃覚症状による睡眠の質改善 (ア) 睡眠障害の評価に⽤いられる「ピッツバーグ睡眠質問票」の結果では、睡眠の質、⼊眠

時間、睡眠困難、⽇中覚醒困難の主観評価が有意に改善された。また、起床時の睡眠内省を評価する⼼理尺度「OSA 睡眠調査票 MA 版」の結果では、起床時眠気、⼊眠と睡眠維持、疲労回復の主観評価が有意に改善された。

(イ) ピッツバーグ睡眠質問票 試験結果 PSQI 総合得点(PSQIG)が⾼度障害(9.5±0.4)から軽度障害(7.1±0.7)に改善(P=0.005)

(ウ) OSA 睡眠調査票 MA 版 試験結果

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「起床時眠気」「⼊眠と睡眠維持」「疲労回復」の主観評価が有意に改善(p=0.036、p=0.014、p=0.048)

研究事例④:体圧分散性など機能性に優れたマットレスの使⽤(⻄川、4 層特殊⽴体構造マットレス)による睡眠の質の改善と糖尿病予防に繋がることを⽰唆 同志社⼤学アンチエイジングリサーチセンター ⽶井嘉⼀教授と⻄川産業株式会社⽇本睡眠科学研究所との共同研究(2017 年 10 ⽉ 16 ⽇発表資料) 結果概要:4 層特殊⽴体構造マットレスの使⽤により睡眠の質が⾼まり、過去3〜4週間の⾎糖状態を表す「HbA1c」の値が減少し、糖代謝の改善が⾒られた。これにより糖尿病予防につながる効果が⽰唆されたと考える。 ① 糖化ストレスの減少

(ア) 糖化とは、⾷事等からとった余分な糖質が、体内の脂肪やたんぱく質と結合して「AGEs」へと変化し、⽣体の様々な組織・器官への悪影響を及ぼす反応である。糖尿病をはじめ、脳梗塞、⾻粗鬆症などの原因となり得る。糖化ストレスが減少することで、これらの病気の予防が期待される結果となった。

(イ) 試験結果 ⾎中 HbA1c が有意に減少(-2.3%,p=0.003)

② ⼼⾝ストレスの減少

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(ア) コルチゾールは、⽇中の⼼理的ストレスや、社会的ストレスなどの⼤きさを反映するストレス関連ホルモンである。⼼⾝ストレスによって、⾝体の⾼覚醒状態が⽇中から夜間にまで維持されることで、不眠や睡眠の質低下が引き起こされると⾔われている。

(イ) 試験結果 ⾎中コルチゾールが有意に減少(-15.7%,p=0.025)

③ 成⻑ホルモン分泌量増加傾向 (ア) 成⻑ホルモンは、⼊眠後 2 時間前後で分泌される睡眠関連ホルモン。タンパク質合成

や軟⾻発育の促進、脂肪分解作⽤など多くの働きを持ち、“若返りのホルモン”と呼ばれている。成⻑ホルモンは加齢と共に減少するが、本実験では分泌量の増加傾向が⽰唆され、アンチエイジング効果が期待される結果となった。

(イ) 試験結果 成⻑ホルモンのセカンドメッセンジャーである⾎中 IGF-1 が増加傾向にあった(+6.8%,p=0.083)

④ ⾃覚症状による睡眠の質改善 (ア) 睡眠障害の評価に⽤いられる「ピッツバーグ睡眠質問票」の結果では、睡眠の質、⼊眠

時間、睡眠時間、睡眠困難、⽇中覚醒困難の主観評価が有意に改善された。

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(イ) ピッツバーグ睡眠質問票 試験結果 PSQI 総合得点(PSQIG)が 9.0±1.7 から 3.9±2.1 に改善(p=0.005)

研究事例⑤:⾝体に合わせた敷き寝具(枕とマットの組合せ)を使⽤することにより睡眠の質を改善し、⽇中の疲労を軽減することを科学的に実証 ⼤阪市⽴⼤学 梶本修⾝特任教授と⻄川リビング株式会社との共同研究(2016 年 1 ⽉ 29 ⽇発表資料) 結果の概要:⾝体に合わせた敷き寝具(枕とマット)は、睡眠の質を改善し、さらに⽇中の疲労軽減効果を有する有⽤な製品であると、科学的に実証された。 ① “理想的な寝姿勢”のための「⾝体に合わせた敷き寝具」〜枕とマットの組み合わせ

(ア) ⼈間にとって疲れにくい姿勢とは、バランスのとれた無理のない状態であり、⽴位においては「⾃然⽴位の姿勢」と考えられている。睡眠時には、この⾃然⽴位をほぼそのまま横にした姿勢が理想的な寝姿勢だと考えられており、この寝姿勢を保つには「⾝体に合わせた敷き寝具」が必要である。「⾝体に合わせた敷き寝具」は、⼀⼈ひとり異なる⾃然⽴位の背⾯と側⾯の形状を測定、BMI を加味し算出されたデータを基に作られた枕とマットの組み合わせを指す。

② ⽇中の疲労軽減効果について (ア) ⾃律神経機能のバランスから、疲労の度合いをみることができる。疲労状態になると、

⾃律神経のバランスが乱れ、リラックス状態を⽰す副交感神経の割合が下がり、緊張状態を⽰す交感神経が優位になる。

(イ) 被験者にはそれぞれの試料で 7 時間の睡眠をとってもらい、起床後に精神作業負荷を実施、その際に⾃律神経機能評価(加速度脈波 a-a 間隔の周波数解析)を実施した。

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(ウ) 試験結果 ⾝体に合わせた敷き寝具を使⽤して眠った場合、翌⽇に精神作業負荷をしていく過程で、疲労の度合いを⽰す指標(HF%、LF/HF)の変化が抑えられ、「⽇中の疲労を起こしにくくする」ことが実証された。

③ 睡眠の質改善について (ア) 起床時に実施した OSA 睡眠調査票 MA 版とセントマリー病院睡眠質問票の結果か

ら、⾝体に合わせた敷き寝具は、⼊眠がしやすく、寝続けやすく(グラフ③)、また起床時の爽快感(グラフ④)、睡眠の満⾜感(グラフ⑤)が⾼く⽰されている。

(イ) さらに感覚の程度を数値化できる VAS による主観的評価をみると、就寝前からの変化で、疲労感(グラフ⑥)、肩こり(グラフ⑦)の感じ⽅が軽減しており、2 種類の質問票と VAS による評価から「睡眠の質が改善」している事が実証された。

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研究事例⑥:マットの材質(弾⼒特性)および枕の⾼さが睡眠時の脊椎⾻構築に及ぼす影響とその最適化の検討 ⼤阪⼤学⼤学院医学系研究科運動器バイオマテリアル学寄付講座、⻄川産業株式会社、チームラボボディ株式会社の共同研究(2018 年⽇本睡眠学会第 43 回定期学術集会 抄録集抜粋) (はじめに)良好な睡眠を獲得するためのマットの材質(弾⼒特性)や枕の⾼さの違いが脊椎⾻構築(背⾻の配列状況)にどのように影響するのかを客観的に評価した報告はこれまでにない。我々は弾⼒特性の異なる 3 種類のマットを使⽤して、1)弾⼒特性の違いが脊椎⾻の配列にどのように影響するのか?2)最適な脊椎⾻の配列はどの条件で獲得されるのか?を仰臥位と側臥位にて検討した。また3)枕の⾼さが脊椎⾻の配列にどのように影響するのか?4)最適な脊椎⾻の配列はどの条件で獲得されるのか?も検討を⾏った。本研究は⼤阪⼤学の倫理審査で承認されている。 (⽅法)対象は脊椎に特に疾患を持たない 20 代の⼥性 7 ⼈とした。被験者に対して 1.低反発マット、2.Air(⻄川)、3.⾼反発マットの 3 種類のマットを使⽤した。それぞれに対して、仰臥位と側臥位で各マットの使⽤下に頭部から仙⾻までの全脊椎⾻の MRI 撮影(T1 強調画像、1mm厚の⽮状断)を⾏い、各脊椎⾻の 3 次元モデルを作成した。それらのデータから脊椎⾻配列を計測した。また、Air 試⽤下で 0,30,60,90 ミリの異なる⾼さの枕で、仰臥位と側臥位でMRI 撮影(T1 強調画像、1mm厚の⽮状断)を⾏い、同様にそれらのデータから脊椎⾻配列を3 次元的に計測した。 (結果)弾⼒特性の違いによって脊椎⾻の配列が全く異なることが明らかになった。ほぼすべての症例にて Air を使⽤した場合に脊椎⾻配列は⽴位での脊椎⾻配列に近似していた。⼀⽅、枕の⾼さの違いにより頸椎のみならず脊椎⾻配列にも⼤きな影響を及ぼすことが初めて明らかになった。多くの症例で枕の⾼さ 60 ミリで最適な脊椎⾻配列が獲得された。 研究事例⑦:ベッドマットレスの硬さが睡眠に与える影響 久保博⼦、⽊佐貫美穂、奈良⼥⼦⼤学(⼀般社団法⼈⽇本家政学会研究発表要旨集、2012 年 64回⼤会) ⽬的: 快適な睡眠を得るために寝具は⼤きな役割を果たしており、毎⽇⻑時間の連続使⽤をおこなっているが、寝具による睡眠への影響に関する知⾒は少なく明確ではない。そこで、本研究ではベッドマットレスの硬さが異なる場合の終夜睡眠時の寝姿勢・体動、⽣理⼼理反応を明らかにすることを⽬的とし、前報に引き続き、男⼥を被験者として終夜睡眠実験を⾏った。 ⽅法: 健康な若齢者⼥性 8 名、男性 7 名を被験者とし、奈良⼥⼦⼤学⼈⼯気候室にて 23 時〜翌朝 7 時まで 8 時間の終夜睡眠をとらせた。実験は、実験中は被験者の好みの気温に設定した。ベッドマットレスは硬さの異なる 3 種類 (A:90±19N、B:130±23N、C:50±15N 低反発素材)を⽤いた。測定項⽬は寝姿勢・体圧分布、⽣理反応として⼼拍数・体動回数・脳波など、⼼理反

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応として睡眠前後に寝⼼地評価・快適感評価など、起床時に OSA 睡眠調査票による睡眠感評価である。その他⽇常睡眠に関するアンケート、⾝体計測を⾏った。 結果 (1)男性では寝姿勢回数は A、⼿⾜の微細な体動は B において有意に多かった。起床時には B において「硬い」「寝⼼地が悪い」と評価した。(2)⼥性では寝姿勢の変換回数はBで最も多く、A 及び C では同⼀の寝姿勢が⻑く持続し、⼿⾜の微細な体動は多い傾向が認められた。Cでは、OSA 睡眠調査票において睡眠維持の因⼦の得点が有意に低く、起床時に「重々しい」と評価した。(3)男性では⼥性に⽐べ寝姿勢変換回数が多かった。また、OSA 睡眠調査票による評価では⼥性の得点が低い傾向にあった。(4)男⼥とも、脳波計測から求めた睡眠深度出現割合、⼼拍数等には有意な差は認められなかった。 ⽂献:⽊佐貫美穂、久保博⼦:ベッドマットレスの硬さが終夜睡眠時の寝姿勢・体圧分布に及ぼす影響、家政学会⼤会要旨集、2012 結果の概要:寝姿勢回数や⼿⾜の微細な移動において、男性でソフトとハードで差が認められたが OSA 睡眠調査票や脳波測定からの睡眠深度出現割合からは、有意な差は⾒受けられない結果と理解している。その為、マットレスの硬さや反発度合だけでは睡眠の質に影響を与えているかは明確ではないと考える。 研究事例⑧:⾮接触のドップラ式のマイクロ波センサを利⽤した睡眠状態の測定精度向上に向けた実験(⾻⼦の抜粋) マイクロ波センサによる睡眠状態可視化技術:横⼭雄太、⼭地隆⾏(「マルチメディア、分散、協調とモバイルシンポジウム」、平成 26 年 7 ⽉) 結果サマリー:睡眠を正しく測定する機器であるポリソムノグラフィ(PSG)との⽐較により、体動について、睡眠の判定精度は被験者 2 名とも 96%以上となり、精度よく判定できている。⼀⽅、覚醒の判定精度は 50%前後となっており、睡眠に⽐べ低くなっておる。⼼拍数について、睡眠全体の変化傾向を捉えることは出来るが、寝返りなど⼤きい体の動きが⽣じたときに、⼀時的に⼼拍数があがる状態に追従できず、算出結果にずれが出てしまっている。 呼吸数についても⼼拍数同様に、体の動きによる影響がみられる。また、体位によっては、⼼拍、呼吸の動きによる成分を捉えにくい状態も確認しており、体動による急な変化への対応も含め、今後の課題である。 ⾮接触による睡眠状態の計測としてマイクロ波センサを⽤いたセンシング技術を開発した。実験により睡眠時の体動による覚醒、睡眠の判定、⼼拍数、呼吸数を算出し、体動はリファレンスに対して、⾼精度で⼀致していることを確認し、⼼拍数、呼吸数については全体の変化傾向を捉えていることを確認した。 結果の概要:体動による睡眠状態であることのみの判定(REM、NonREM(ステージ1〜4)の⼀致度は⾼く、脳波測定をしなくても⼀定の睡眠判定に使⽤できる。

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③ スマート寝具等に関する基準の調査 A) スマート寝具等に関する基準や評価⽅法の表⽰が⾏われている事例を調査し、

その基準や評価⽅法について検証し整理する。 B) 「スマート寝具」に関するワードの国内外の使⽤例を調査した内容は以下の

表の通りである。 商品名など 主表現ワード使⽤例 使⽤ワードの例 (1)RestOn Z400T/Sleepace 社

「スマートスリープモニター」(=Comprehensive collection of sleep data,Individual smart analysis,Sleepadvice,Tips for improvement)

プロフェッショナルで性格な⾮装着睡眠モニター/睡眠データの包括的な取集/個別スマート分析/睡眠アドバイス/改善のためのヒント

(2)スマートベッドシステム/パラマウントベッド社

スマートベッドシステム」(=当社独⾃のセンサを搭載したベッドにより、⼼拍数や呼吸数、睡眠・覚醒、離在床などを連続的に測定・検知し、ベッドサイドやスタッフステーションの端末に表⽰させ、関係者間で共有できるシステム)

⽣活の中で、患者様の状態をリアルタイムに把握することにより、安⼼と安全な療養環境づくりを⽀援する。

(3)エムール スリープ ドット、エムール スマートヘッドフォン/エムール社

「次世代スリープギア」(=IT とデータを駆使することで睡眠を可視化し、⼊眠と起床をサポートしようとする)

IT、データを駆使し、市⺠の質を 4 段階に分けてその発⽣率を可視化し、就寝や起床のタイミングの改善に繋げる。リラックス効果の⾼い⾳楽の再⽣・⾃動停⽌や寝覚めの良いタイミングで⾃然に起こしてくれるアラーム機能などがある。

(4)sleep number 360 「スマートベッド」 あなたの動きを感知

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smart bed/sleep number 社

(=to sense your movements then automatically adjusts firmness, comfort and support to keep you both sleeping blissfully, all night long.)

し、⾃動的に硬さ、快適さ、サポートを調整。 いびきを感知し、軽減する為に⾃動的に頭を上げる。 ⾃動的に⾜元を温めておくことで⼊眠をより早くする。

(5)LUNA 「スマートマットレスカバー」(=Luna is a cover that fits over your mattress. It then automatically tracks your sleep, sending the data to both the Luna app and to other Internet-connected devices at home.)

寝室やベッドの中の環境、照明、室内と寝具内の温度、そして⾳楽を⾃動的に制御する。 睡眠の状態のデータを測定し、接続されているスマートホームデバイスに送信することにより制御される。

※各社 HP より抜粋し作成

C) 結果、まだスマート寝具が⼀般化しておらず、各メーカーが⾃社の訴求ポイントを中⼼とした表現ワードとなっている状態である。その為、基準や評価⽅法に関する客観的な情報は把握できていない。

3 寝具等の睡眠最適化に係る評価⽅法の国際標準の整理

① 評価⽅法の国際標準の整理についての検討 A) 寝具等の睡眠最適化に係る睡眠の快適性の評価基準、睡眠サイクルのアルゴ

リズム、体圧分散、体圧分布、寝床内環境等の標準を定める必要があると考えられるが、前述の 2-②の通り、快適な睡眠状態や健康影響に関する先⾏研究が⾏われている。

B) このような睡眠と健康影響に関する研究結果から、睡眠環境や寝具等の評価項⽬は概ね明確であり、その実現に向けて季節や状態、個⼈差などのよる変化が⼤きい部分と寝具等の機能要件にて改善される部分が⼤きいことから、国際標準などが明確に提⽰されていないことが現状と考える。

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C) しかしながら、体圧分散と寝姿勢の保持が睡眠の質を⾼め、健康への好影響が期待できることが前述の研究事例から明確になっていることから、睡眠の質を測定するセンサ精度などとマットレスなど敷き寝具類の評価については国際標準を作成することが消費者に対して利益となる指標と考える。

② 寝具や睡眠環境の評価に⽤いる項⽬についての整理 A) 以下の項⽬の状態を以下の内容に近づけることで、睡眠を妨げる要因を排除

できるといわれている。

項⽬ 基準内容 補⾜ 寝 室 環境

室内温度 冬:10℃以上、夏 28℃以下で、理想は 22℃〜25℃

室内湿度 50%RH 程度 照度 0.3〜1.0lux 程度 0.3lux=⽉明りに障⼦程度、

1.0lux=⽉あかり程度 ⾳ 30〜40dB 図書館(40db 以下)

寝 床 内環境

温度 33℃±1℃ 湿度 50±5%RH

寝具等 掛け寝具 軽く、あたたかく、フィット性に優れたもの

保温性、吸透湿性、放湿性、かさ⾼性、ドレープ性(フィット感)、掛け⼼地(軽さ)、⼿⼊れの容易さで評価

敷き寝具 ⾃然で無理のない寝姿勢をやさしく保持し、体圧分散してくれるもの

体圧分散性、寝姿勢保持性、保温性、吸透湿性、放湿性、取り扱いやすさ(軽さ)、⼿⼊れの容易さで評価

まくら 頭と頸椎を⾃然な姿勢で⽀えるもの

個⼈差対応への柔軟性(⾸を⽀える、後頭部にフィット、仰向けと横向きどちらも対応、横幅が⼗分、⾼さ調節可能)で評価

参考資料)⻄川産業 inLife Vol.8, ⼀般社団法⼈ ⽇本寝具寝装品協会(JBA) HP「眠りと健康、厚⽣労働省 ⽣活習慣病予防のための健康情報サイトを参考 ⽂献:「睡眠と環境-季節による寝床気候と睡眠経過-」柳瀬度⼦ 奈良⼥⼦⼤学家政学部 住居学科(1985 年 5 ⽉ 18 ⽇受付)

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③ 敷き寝具の評価基準について:寝姿勢の保持と体圧分散についての追記 B) 「寝姿勢」とは、

1. 寝ている間の⾝体の物理的な姿勢を⾔う。⼈はまっすぐに⽴っている時、背⾻がなだらかな S 字を描いているが、横になっている状態でもこれに近い姿勢を保つことこそが、睡眠時に⾝体に掛かる負担を減らす重要なポイントである。尚、⼈の⾃然な⽴ち姿勢は、⼈体をレントゲン撮影した際の背⾻(脊椎⾻)の並びで確かめることができる。

2. この寝姿勢保持に⼤きな役割を果たすのが敷き寝具やマットレス、枕の存在である。寝姿勢を保持するためには、まず⾝体をしっかり⽀えることが重要である。そこで、敷き寝具は⾝体が沈みこまない、硬めのタイプが良いと提唱され主流になりつつある。また、⾃然な⽴ち姿勢では、横から⾒ると⾸が前に出ているため、⾸部分の頸椎は S 字型にくぼんでいる。敷き寝具と⾸筋の間の隙間を埋めることが出来る枕を選ぶことも、寝姿勢保持の重要な要素となる。

C) 「体圧分散」とは 3. ⼈体は部位により重さが異なるため、横になった時に荷重が掛かる度合

いも部位によって違いる。上述したように、寝姿勢を保持するためには、⾝体をしっかり⽀え沈みこみ過ぎない硬めの敷き寝具が良いと⾔われているが、硬いだけでは腰部など特に荷重の掛かりやすい部分を圧迫し負担となってしまう。そこで今度はほどよいクッション性で⾝体を受けとめ、バランスよく体圧を分散することが重要になる。敷き寝具におけるこの考え⽅が「体圧分散」で、⼀般的には柔らかい敷き寝具のほうが体圧分散性が⾼いと⾔える。

4. また病院や介護施設などで褥瘡が危惧される場合には、⼀般的には接触圧が 40mmHg 以下であれば褥瘡は発⽣しにくいとされており、適切な体圧分散マットレスを⽤いることが重要である。(⽇本⽪膚科学会ガイドラインより抜粋)

D) 相反する「寝姿勢保持」と「体圧分散」 5. 柔らかすぎる敷き寝具を選べば、寝姿勢が崩れ、お尻など重い部分が沈み

込んで腰痛などにつながりやすい。しかし、硬すぎる敷き寝具を選ぶと、

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肩やお尻などの⼈体の凸部だけで⾝体を⽀えることになり、寝ているうちにその部分が痛くなってしまいがちである。つまり、「寝姿勢保持」と「体圧分散」は相反する関係にある。

6. また、⼈は⼀晩に 20〜30 回の寝返りをうつと⾔われている。同じ姿勢でいると⾎⾏が悪くなったり体温が上昇したりするため、⾝体の向きを変えることでそれらを調整している。さらに、⽇中⽣じた⾝体の歪みや疲労をリセットする役⽬がある。柔らかすぎる敷き寝具ではこの寝返りがしにくくなってしまい、硬すぎれば逆に寝返りが多くなり過ぎ、快眠を妨げる原因にもなる。⼤切なのは、適度に沈み、仰向けに寝ても、横向きに寝てもまっすぐに⽴っている時のような⾃然な姿勢が崩れないことである。

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4. 寝具等の睡眠最適化に係る標準化に係る指標の調査・検討 3 の結果に基づいて、寝具等の睡眠最適化において必要性が⾼い指標調査し検証を⾏う。現時点において検討が必要と考えられる事項や指標は、以下の①〜④であるが、これらについて整理したうえで、重要性が⾼いと考えられている指標を 3 の結果から精査し評価を⾏う。 ① 睡眠深度等における定義の統⼀および⽤語の整理

A) 学術的な睡眠深度の判定⽅法 1. 学術的な睡眠深度(睡眠段階)の判定⽅法においては、睡眠ポリグラフ

検査(polysomnography : PSG)の記録法や判定基準について標準化されたマニュアルが発表されている。

2. 睡眠ポリグラフ検査(PSG)とは、睡眠・呼吸・神経・循環の各種⽣理現象を客観的かつ総合的に評価するための検査である。睡眠評価には脳波・眼球運動・オトガイ筋筋電図を、呼吸⽣理現象の評価には⿐⼝の気流・呼吸運動・動脈⾎酸素飽和度(SpO2)・呼気終末 CO2、経⽪ CO2、いびき・⾷道内圧などを、神経⽣理現象の評価として前脛⾻筋筋電図などの四肢の筋電図記録を、循環⽣理現象記録として⼼電図や脈波を、また睡眠時随伴症の診断にはビデオ録画なども⾏い、睡眠障害の診断やその治療効果の判定に⽤いる検査である。

3. 睡眠段階判定のマニュアルは、まず Rechtschaffen and Kales(R&K)により 1968 年に発表されたものと 2007 年に American Academy of Sleep Medicine(AASM)により発表された睡眠とそれに付随する各種イベントのスコアリングマニュアルの 2 種類が現在も採⽤されている。AASMマニュアルは定期的に更新され 2018 年 10 ⽉時点では Version2.5 が最新版となっており、現在では PSG における睡眠段階(睡眠深度)判定の⽇常臨床におけるスコアリングとしては、AASM マニュアルが主流となっていると考えられる。

4. 通常の PSG は⼊院の上、専⾨検査技師がセンサなどを装着して⾏う必要があり、被検者はオンライン時には⾃由に動くことが出来ない。近年オフラインによる脳波測定装置も開発されているが、脳波を測定する限り⼊院する必要がある。

5. 2014 年より末梢動脈圧センサ(ウォッチパット:パルスオキシメータやいびき・体位センサを追加して、脳波を記録せずに睡眠(覚醒、浅睡眠、深睡眠、REM 睡眠)と呼吸ができる装置が保険収載され、⼊院以外の検査による睡眠段階判断への移⾏が進むことが予想される。既に欧⽶では⼊院以外検査が主流との話もある。

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6. R&K と AASM(2007 年)の各マニュアルにおける睡眠段階評価の判定表は以下の通りである。睡眠深度は「脳波(EEG)」「眼電図(EOG)」「(オトガイ筋)筋電図(EMG)」から判定する。 ※睡眠深度の判定表

R&K AASM 脳波(EGG) 眼電図(EOG) オトガイ筋筋電図(EMG)

覚醒 Awake W α派(8-13Hz) 後頭優位 緊張時抑制 開眼時抑制

⼊眠直前 閉眼時 SEMs 開眼時 REMs 瞬⽬

⾼レベル

睡眠 段階

Stage1 N1 α波 50%未満 vertex sharp wave *LVMF 体動後

SEMs(+) 緩徐眼球運動

⾼レベル

Stage2 N2 K-complex Spindle *LVMF(背景波) δ波(0.5~2.0Hz,75μV) 20%未満

SEMs(-) 安定

⾼レベル

Stage3 N3 δ波 20〜50% Spindle(+or-)

δ波 (+)

低レベル

Stage4 N3 δ波 50%以上 δ波(++) 低レベル REM R Saw tooth wave

(鋸⻭状態)Stage1 に近い *LVMF α波も

REMs 最低レベル Twich

運動 時間

MT 削除 粗体動で 50%以上判定不能 直後の睡眠に合わせる 直後が覚醒なら W

*LVMF:low voltage mixed frequency(⽐較的低電位の様々な波が混在したパターン) 出典:「睡眠ポリグラフ検査(PSG)」川名ふさ江_睡眠医療(2014)

B) 平易な表現における睡眠の構造とその解説 1. 睡眠の満⾜度における評価は、主観的にならざるを得なく睡眠の構造と

質の⾼さとの関係については⼗分な解明がなされていない状況である。ただし、主な構成項⽬としては睡眠の⻑さ(個⼈差や年齢の影響が⼤)、

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質(浅いか深いか)、睡眠分断の程度(夜中に何回⽬が覚めたか)が上げられる。

2. 睡眠の段階は⼤きく①レム睡眠と②ノンレム睡眠の浅睡眠、③ノンレム睡眠の深睡眠に分けられ、それぞれの特性や役割の概要は以下の通りである。

時間割合 機能 ノンレム睡眠:浅睡眠

睡眠段階1 10%~20% ⾃律神経活動(交感神経)が休息し、⼼拍数と呼吸数の減少、⾎圧の低下が⽣じる。 ⾃覚的なリフレッシュ感は段階2以上の睡眠がある程度持続することに得られる。 深睡眠は体の回復には⾮常に重要で、同化(代謝)が最も⾏われている状態であり、プロテインの製造、細胞の成⻑や修復、免疫・神経・⾻・筋⾁などの活性化を⾏う。

睡眠段階2 40%〜50%

ノンレム睡眠:深睡眠

睡眠段階3 15%程度 睡眠段階4 15%程度

レム睡眠 10〜20% 眠りとしては浅く、脳波所⾒は覚醒している時に⾮常に近い。 抗重⼒筋の活動がまったく停⽌するなど筋⾁活動の低下、記憶回路の成⻑・活性化、交感神経活動はむしろ亢進する。 ⾦縛りや夢を⾒るのはこの状態。 レム睡眠はメンタルの回復に重要で、この間はシナプスの接続が再構築され、学習⼒、記憶⼒などを回復させる。

出典:「いばらき睡眠プログラム 保険指導の⼿引き Ⅳ睡眠に関する基礎知識」平成 15 年 3 ⽉ 茨城

県 茨城県健康科学センター

3. レム/ノンレム睡眠の両⽅を⼗分にとることが重要であり、⼀晩の睡眠経過においては、成⼈でだいたい 90 分〜120 分周期で、レム/ノンレム睡眠が繰り返される。⼗分な睡眠は成⼈で 7-8 時間と⾔われており、約 4~5周期繰り返すことになる。

C) ⾮接触型の睡眠追跡モニター商品である、フィンランドの「Emfit QS」では、睡眠段階を主に⼀晩中の⼼拍数変動(HRV)、⾃律神経系(ANS)バランスを

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測定し、それを基に 3 段階睡眠分類(REM、ディープ、ライト、アウェイク)に判定した上で、それを基に独⾃の睡眠スコアにて睡眠の質を数値化している。 睡眠スコア=(睡眠時間+レム睡眠時間×0.5+深睡眠時間×1.5)-(覚醒時間/3,600×0.5+覚醒回数÷15)で算出され、最⼤ 100 となる指標である。通常80 前後、それ以上が良い睡眠としている。 睡眠深度の判定ロジックは未開⽰であり、脳波測定による結果との整合性、合致率なども不明であることに留意する必要がある。

D) 現状の課題についての検討 1. 睡眠深度の判定には、学術的に睡眠ポリグラフ検査(PSG)にて⾏うこと

が最も精度が⾼いことは現状では疑いようがない。しかしながら、⼊院が必要なことによる被検者の負荷や⾼コストなどが課題である。

2. その解決策として⽇常的な⽣活の質の向上に寄与するレベルであれば⾮接触かつ病院などの施設以外(主に⾃宅)で簡易に測定・判定できる各種センサや解析アプリなどのスマート寝具的な商品に期待が⾼まっている。

3. しかしながら、判断基準が明確なセンサが少ないこと、センサにより測定値などが異なること、脳波による測定結果との合致度が不明瞭であることが散⾒しており、今後その検証作業を⾏い標準化していくことが必要と考える。

② 機能及び能⼒の堅牢性を維持する材質等のグレード 寝具類を⻑期使⽤する際に、機能及び能⼒が経年変化する可能性がある。機能や能⼒の堅牢性の維持に関する材質や構造に関するグレード区分に関する調査を⾏う。 A) グレード区分の現状

1. メーカーの品質管理基準があり、商品ラベルは家庭⽤品品質表⽰法に基づいて作成し商品に添付されている。

2. しかしながら、消費者が商品の検討や購⼊をする時点で、機能や能⼒の堅牢性の維持に関する材料や構造に関する検討・判断基準となる(想起できる)グレード区分とはなり得ていないことが現状である。 (ア) メーカーの品質管理基準例、ふとん類のふとん:抜粋(⻄川株式会社

の例) ① JIS に則り試験を⾏い、明確な判定基準にて品質検査を実施して

いる。 ② しかしながら、「ちゃんとした良い製品だろう」という以上の意

味を消費者が想起できないことが容易に想像できる。

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※⻄川株式会社の品質管理基準表例(⼀部抜粋)

判定単位 試験方法

JIS L 1030 △ 規格に対して適正であること

耐光 級以上 JIS L 0842  第三露光法 〇 4〔3〕

級以上 変退色 〇 4

級以上 汚染 〇 3

級以上 洗液 △ 3

級以上 変退色 △ 4

級以上 汚染 △ 4

級以上 変退色 〇 4

級以上 汚染 〇 3

級以上 乾燥 〇 4〔3〕

級以上 湿潤 〇 3〔2〕

級以上 変退色 〇 4

級以上 汚染 〇 4

酸素系漂白剤洗濯 級以上 JIS L 0889 変退色 △ 3-4

色泣き(ブリード) 級以上 大丸法 Ⅰ法 汚染 △ 4ー5

変退色 △ 4

汚染 △ 3-4

羽毛 〇 2.0

羽毛(洗濯処理後) △ 3.0

羊毛 〇 4.0

合繊 〇 20.0

引張強さ N以上 JIS L 1096 A法(ストリップ法) 織物 〇 200〔120〕

引裂強さ N以上JIS L 1096

A-1法(シングルタング法)又は D法(ペンジュラム法)織物 〇 7

破裂強さ kPa以上 JIS L 1096 A法(ミューレン形法) 編物・タオル織物 〇 400〔350〕

ピリング 級以上 JIS L 1076 A法 △ 3〔2〕

織物 〇 ±5

編物・ガーゼ 〇 ±7

cN/パイル以上 タオル検法 〇 1.6

N以上 JIS L 1075 B法(引張試験機法) 〇 1

スナッグ 級以上 JIS L 1058 D-1法(研磨布) フィラメント糸 〇 3

中わた吹き出し 目視 ボーケン法 △ 目立たないこと

毛羽付着(毛羽抜け) 級以上 西川法 〇 3〔4〕

摩擦による毛羽脱落 目視 西川法(摩擦試験機法 又は 500回摩擦試験法) △ 異常がないこと

JIS L 1030 〇 規格に対して適正であること

JIS L 1096 〇 規格通りであること

〇 異常がないこと

〇 適正であること

外観・風合・縫製 〇 異常がないこと

寸法変化率 %以内 〇 ±5〔±7〕

染色堅ろう度 級以上 変退色 〇 4

N以上 JIS L 1093 グラブ法 織物 △ 100

kPa以上 JIS L 1093 破裂法 編物 △ 400

μg/g以下 子供・大人 △ 75

吸光度差A-A0(以下)

乳幼児 〇 0.03

〇 法律法規・行政指導に従うこと

物性

縫目強さ

安全性

ホルムアルデヒド厚生省令第34号

アセチルアセトン法 (製品に限る)

薬剤加工および、その他有害物質

表示組成・取り扱い表示・寸法・詰めもの重量・原産国・会社名・連絡先 など

耐洗濯性

JIS L 1930 又は JIS L 1931により選定する。もしくは取扱表示に基づく

パイル保持性(パイル引抜抵抗力)

(いずれかの方法で試験)ループパイル織物

品質表示他

組成

番手・密度・組織・サイズ・重量、等

外観

㎤/㎠/sec以下 JIS L 1096 A法

寸法変化率 %以内JIS L 1096 G法

(操作はJIS L 1930 C4M・吊)

ドライクリーニング JIS L 0860 B-1法

昇華 級以上 JIS L 0854

水 JIS L 0846

汗 JIS L 0848

組成混用率

生  地  検  査

染色堅ろう度

洗濯 JIS L 0844 A-1又はA-2法

摩擦 JIS L 0849 Ⅱ形法

物   性

通気度

試験項目 判定基準

細目・適用範囲掛けふとん、かいまきふとん、わた入り毛布、わた入りキルトケット、敷きふとん、ベッドパッド、マットレス用側生地

ふとん類 ふとん

実施項目  必須:○ 任意:△

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32

(イ) 商品ラベルの実例(⻄川株式会社の例) ① 商品ラベルにも法的に必要最低限の表記であり、堅牢性の維持

に関する材質や構造に関するグレード区分が消費者に伝わる内容とはなっていない状況である。

(ウ) 通信販売やネット販売での表⽰内容について

① 訴求ポイントやキャッチコピーなどの表現部分を除くと、主に「商品名」「柄番」「側⽣地(表地、側⾯・裏地)」「詰め物」「⽣産地」「特徴(織り⽅や消臭加⼯等)」「配⾊」「サイズ」「重さ」「本体価格」などが提⽰されている。

③ ノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルと脳波計測定結果とのマッチング 睡眠状態の推測のため、脳波計を⽤いたノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルの把握が有効であるが、その他の⼼電⼜は脈拍等の⽣体情報を⽤いて計測し、アルゴリズムにより推測することも可能である。様々な計測⽅法の脳波計とのマッチング率について調査し、グレードの基準の検討を⾏う。 A) 様々な計測⽅法による睡眠深度の判定と脳波計による判定結果とのマッチン

グ率について 1. マッチング率は低く、その結果が公表されていない状況である。各種セン

サや解析プログラムによる各商品は上市段階で⼗分な検証を⾏うことが必須で、仮に精度が粗い場合でもそのマッチング率の数字と取り扱い上意味を提⽰するような規制は必要と考える。

2. 検証調査の⼀例

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33

(ア) 簡易脳波計及び各種睡眠センサを同時に測定し、各測定機器による判定結果を⽐較した。簡易脳波計で判定された睡眠段階に対して、各睡眠センサで判定された睡眠段階の⼀致率及び、各睡眠段階の検出率を算出した結果、簡易脳波計と各睡眠センサの睡眠段階の⼀致率はおよそ 40〜50%であった(⻄川株式会社⽇本睡眠科学研究所調べ)。

④ 快適睡眠ライン・睡眠姿勢

A) 体圧分散、圧⼒分散範囲等 睡眠時のリラックス状態を評価として、体圧分散、圧⼒分布範囲等の指標の検証を⾏う。 1. 前述の理想的な体圧分布を⽬標とした場合の敷き寝具類の性能評価につ

いてその試験⽅法や評価⽅法を確⽴すること、同様に体圧分散の実際についての性能評価における試験⽅法や評価⽅法を確⽴し、表⽰ルールを制定することが必要と考える。

B) 寝床内環境の測定⽅法の調査 寝具内の⾝体の周辺の寝床内環境の指標として、温度、湿度、照度、脳波等が重要であると⼀般的に評価されているが、寝床内環境の重要な指標について、定量的に検証を⾏う。 1. 寝床内環境指標である温度や湿度については、各種センサ類で現状でも

⾼い精度で測定することが可能と考えられる。また、適正範囲も明確になっていることから、建物構造、季節や室内空調環境、個⼈差などの影響と掛け布団の組合せについての定量的な検証に必要なデータが容易に収集し分析できる可能性が⾼いと考える。

2. 同様に寝室内環境における温度、湿度、照度、⾳の測定およびデータ収集、

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34

分析も容易になることと考える。 3. さらにその先にある睡眠深度や睡眠の質への影響を検証する為には、簡

易な睡眠測定センサの睡眠深度の判定における精度向上が不可⽋である。その為、前述の通り、各種センサにおける脳波とのマッチング率の検証は必須であり、その取組みを⼗分⾏えるような何らかの⽀援は必要と考える。

5. 寝具等の睡眠最適化に関する市場可能性に関する調査 睡眠に関する関⼼の⾼まりにより、ホテル・旅館や病院・介護施設におけるスマート寝具等を導⼊し、快適な睡眠を提供する事例が増えている。 国内外のスマート寝具の開発動向や流通の実態を調査し、将来の供給者や市場動向のサプライサイドの⾒通しを把握する。また、スマート寝具等を導⼊する可能性、国際標準に基づいて客観的に性能を評価されたことがスマート寝具等を選定する際の判断材料となり得るかどうか及びどのような指標で評価することが有益かどうかを調査するため、⼀般消費者、ホテル・旅館、病院や介護施設等の潜在的な消費者における導⼊可能性やニーズを調査し、今後の市場の⾒通しや動向について検討する。 ① ホテル需要について

A) 結果:ユーザーサイドのニーズが顕在化してきており、施設サイドもそれに対応することが付加価値要素や差別化要素となると認識している。ただ実際の市場はまだ⼩さく宿泊施設全体ではニッチレベルである。現状はユーザーサイドの将来ニーズが先⾏しているように⾒受けられることから、施設側が早急に導⼊を⾏うことは施設側にもメリットがあると想定される。

B) 現在の提供事例について 1. ⼤⼿宿泊検索サイト 2 社において、「快眠」検索を⾏ったところ、以下の

通りの結果であり、ビジネスユーザーが多いと推察されるサイト X は、約 3%とニッチ市場としての⼀定の存在割合を有している。また、「快眠」の内容では商品として特定の機能商品の採⽤をそのまま提⽰しているところが多く⾒受けられ、サイト X では快眠内シェア 30%弱を獲得している状況である。

「快眠」プラン有の施設数

全施設数 割合 内特定の機能商品導⼊数

「快眠」内シェア

サイト X 754 件 26,234 件 2.9% 212 件 28.1% サイト Y 178 件 14,769 件 1.2% - -

(2019 年 3 ⽉時点) 2. 他に快眠ルームを構成する要素としては、複数の枕を⽤意、アロマや⼊浴

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35

剤、飲料などの環境要素的快眠グッズの提供から、快眠に特化した特別な部屋を数は少ないが設置するなどの動きが⾒受けられる。

3. さらに、快眠を意識したベッドを採⽤し、そのベッドの寝⼼地を訴求する⼤⼿ホテルチェーンは複数⾒受けられる。

4. スマート寝具の導⼊事例も既にあり、「変なホテル:快眠プラン」がふとんコンディショナー「ふとコン」(前述、2-①、図 1-3 の 19 番)を採⽤している。

5. また新たな動きとして、快眠にこだわった新業態ホテルを開発し、展開している「レム」が順調に事業成⻑していると⾒受けられる。 ※レムホテルの概要

「もっとよい眠りを」その思いをコンセプトにした阪急阪神第⼀ホテルグループのホテルブランド。レムの時間/空間は五感を通じて「よい眠り」を実感していただけるよう、デザインされています。客室に⾼品質オリジナルベッド、レインシャワー、マッサージチェアを完備するほか、アメニティグッズや⾹りにいたるまで眠りにこだわりました。客室ではなく「寝室」、⾃分の部屋のようにお寛ぎください。

⽇⽐⾕:客室総数 255 室 秋葉原:客室総数 260 室 六本⽊:客室総数 400 室 東京京橋(4 ⽉ 3 ⽇開業):客室数 272 室 新⼤阪:客室総数 296 室 ⿅児島:客室総数 251 室 全客室総数:1,734 室(予定を含む) 出所:HP より引⽤

C) ホテルサイドの現状の受容性や今後のニーズについてヒアリングを⾏った結果、現状はリクエスト⽤まくらの⽤意や⾼機能マットレスの⼀部導⼊などがあり、今後はより拡充したいというニーズが確認できた。 ※ヒアリング結果(個票)

法⼈顧客名 A ホテル 業種 リゾートホテル 質問 1. 宿泊者の「快眠」に対する施策について、法⼈顧客が実施していることを教えて頂けますか。 過去に実施 回答:リクエスト⽤まくらの導⼊ 現在実施 回答:ピローコーディネーター制度を利⽤したピローギャラリー展開 今後の⽅針 回答:導⼊後しばらくたったため、メンテナンス 質問 2. 特に今後の⽅針について教えて頂けますか。 実施内容 回答:売り場のメンテナンス、対応スタッフの拡充 想定導⼊率 回答:―

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36

予算制約 回答:不明

法⼈顧客名 B ホテル 業種 シティホテル 質問 1. 宿泊者の「快眠」に対する施策について、法⼈顧客が実施していることを教えて頂けますか。 過去に実施 回答: ― 現在実施 回答:東京⻄川コラボレーションルームとして、AiR マットレス、快眠

枕、⻄川ダウンを使ったハイランクの⽻⽑ふとん体感ルームを展開 今後の⽅針 回答:展開店舗の拡⼤、アイテム拡充 質問 2. 特に今後の⽅針について教えて頂けますか。 実施内容 回答:展開店舗を増やし、アロマやハーブティーなど寝具以外の快眠グ

ッズも展開 想定導⼊率 回答:特別室 予算制約 回答:不明

法⼈顧客名 C ホテル 業種 ビジネスホテル 質問 1. 宿泊者の「快眠」に対する施策について、法⼈顧客が実施していることを教えて頂けますか。 過去に実施 回答:貸出まくらのラインナップ拡充 現在実施 回答:ピローアドバイザーサービスの展開 今後の⽅針 回答:快眠計画としてさらに寝⼼地のよい寝具の導⼊ 質問 2. 特に今後の⽅針について教えて頂けますか。 実施内容 回答:特殊構造のウレタンマットレス導⼊・拡充 想定導⼊率 回答:主に特別室 予算制約 回答:

法⼈顧客名 D ホテル 業種 ホテル 質問 1. 宿泊者の「快眠」に対する施策について、法⼈顧客が実施していることを教えて頂けますか。 過去に実施 回答:AiR ソファの導⼊ 現在実施 回答:AiR ソファをフロントにおいて快眠の取り組みアピール 今後の⽅針 回答:快眠に対する取り組みの宿泊客へのアピールを強化 質問 2. 特に今後の⽅針について教えて頂けますか。 実施内容 回答:快眠に関する広告の展開、快眠セミナーの実施

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37

想定導⼊率 回答:― 予算制約 回答:未定

法⼈顧客名 E ホテル 業種 ホテル 質問 1. 宿泊者の「快眠」に対する施策について、法⼈顧客が実施していることを教えて頂けますか。 過去に実施 回答:保温性の⾼い⻄川ダウンデュベを導⼊ 現在実施 回答:デュベの継続使⽤、敷き寝具のランクアップ検討 今後の⽅針 回答:将来的に睡眠計などを導⼊した施設を作りたい 質問 2. 特に今後の⽅針について教えて頂けますか。 実施内容 回答:睡眠計などを使⽤し、快眠できているか可視化したい 想定導⼊率 回答:未定 予算制約 回答:

その他:ヒアリング情報 ・F ホテル:快眠計画→ピローアドバイザーの研修をスタッフの⽅に受けていただき、資

格を取得、宿泊客それぞれに合ったまくらの⾼さを測定し、貸出す枕を導⼊。 ・G 観光ホテル:ピローコーディネーター資格取得、貸出まくらを展開 ・H ホテル:快眠も含め施設リニューアル→ピローコーディネーター資格取得、ピロー

ギャラリーを展開し、宿泊客に合った枕を貸出。 ・I ホテル:快眠宿泊プラン→AiR モバイルマット、枕などを特別室に展開。AIR シリー

ズ⼀式を体感していただき、購⼊して家庭でも使っていただけるようなイベントを開催。

・J ホテル:快眠にこだわったオリジナル構造のウレタンマットレスを全室に、トッパーを特別室に導⼊

・K ホテル:快眠ルーム→東京⻄川コラボレーションルームとして、AiR マットレス、快眠枕、⻄川ダウンを使った⽻⽑ふとん体感ルームを展開

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D) ユーザーニーズについて(今回実施 Web アンケートより) 1. 旅⾏や出張時のホテル選択時重視点としては他の要素が⼤きく⾼品質の

マットレスやベッドへのこだわりだけでは選ばれていない状態である。

2. ただし、⾏った先で枕が選べるときには 40 代 50 代はちゃんと選びたい

しそうしている。

n= (%)

(155)

男性 (66)

女性 (89)

20代 (31)

30代 (31)

40代 (31)

50代 (31)

60代 (31)

全体

性別

割付セル

7.1 

10.6 

4.5 

30.3 

28.8 

31.5 

43.9 

36.4 

49.4 

18.7 

24.2 

14.6 

全くそう思うまぁそう思うあまりそう思わない

3.2 

6.5 

9.7 

6.5 

9.7 

35.5 

25.8 

25.8 

35.5 

29.0 

38.7 

51.6 

45.2 

38.7 

45.2 

22.6 

16.1 

19.4 

19.4 

16.1 

Q3 以下の内容について、あなたの考えに近いものをお知らせください。(それぞれ一つずつ)

【旅行、出張の際にホテルを選ぶ場合には、高品質のマットレスなどベッドにこだわっているところ

を選びたい(選ぶようにしている)】

n= (%)

(155)

男性 (66)

女性 (89)

20代 (31)

30代 (31)

40代 (31)

50代 (31)

60代 (31)

全体

性別

割付セル

11.0 

15.2 

7.9 

45.2 

40.9 

48.3 

27.7 

28.8 

27.0 

16.1 

15.2 

16.9 

全くそう思うまぁそう思うあまりそう思わない

6.5 

22.6 

16.1 

9.7 

48.4 

48.4 

35.5 

45.2 

48.4 

19.4 

35.5 

22.6 

29.0 

32.3 

25.8 

16.1 

19.4 

9.7 

9.7 

Q3 以下の内容について、あなたの考えに近いものをお知らせください。(それぞれ一つずつ)

【旅行、出張の際にホテルで枕が複数種類から選べるときには、自分の好みで選ぶようにしたい(そ

うしている)】

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3. 睡眠の質が悪く不満を持った場合には、50 代と 40 代では次回以降の利⽤拒否に繋がる可能性が⾼い。

4. 快眠対応の寝具類を⽤意した部屋であれば多少値段が⾼くても利⽤した

い以上の⼈たちは 32.9%で付加価値として⼗分成⽴する受容である。特に 30 代が⾼いことが特徴的である。

n= (%)

(155)

男性 (66)

女性 (89)

20代 (31)

30代 (31)

40代 (31)

50代 (31)

60代 (31)

全体

性別

割付セル

7.1 

7.6 

6.7 

25.8 

25.8 

25.8 

59.4 

57.6 

60.7 

7.7 

9.1 

6.7 

こちらを必ず利用したい

多少値段が高くても予算内であれば利用したい

同じ料金であれば利用したい

どちらともいえない

9.7 

6.5 

6.5 

6.5 

6.5 

19.4 

41.9 

19.4 

25.8 

22.6 

64.5 

45.2 

61.3 

61.3 

64.5 

6.5 

6.5 

12.9 

6.5 

6.5 

Q8 以下の説明文を読んでのあなたの考えに最も近いものをお知らせください。(一つ)

【【A】快眠、高い眠りの質が期待できる高品質マットレス、掛布団、選べる枕などを用意した部屋

【B】特に快眠に配慮していない部屋】

n= (%)

(155)

男性 (66)

女性 (89)

20代 (31)

30代 (31)

40代 (31)

50代 (31)

60代 (31)

全体

性別

割付セル

12.3 

15.2 

10.1 

46.5 

45.5 

47.2 

31.0 

28.8 

32.6 

10.3 

10.6 

10.1 

全くそう思うまぁそう思うあまりそう思わない

6.5 

6.5 

16.1 

19.4 

12.9 

48.4 

54.8 

45.2 

41.9 

41.9 

25.8 

29.0 

25.8 

35.5 

38.7 

19.4 

9.7 

12.9 

3.2 

6.5 

Q3 以下の内容について、あなたの考えに近いものをお知らせください。(それぞれ一つずつ)

【ホテルや旅館を利用した際に睡眠が浅かったり、寝心地が悪かったりすると、そこを次は利用したく

なくなる】

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40

5. 睡眠環境を⾃動的に提供してくれる部屋の場合では、多少値段が⾼くても利⽤したい以上の⼈たちが 25.1%とこれも付加価値として⼗分な受容性を得ている。これも 30 代が最も⾼いことが特徴的である。

6. 快眠対応寝具と快適な睡眠環境⾃動調整の両⽅が揃った場合も当然受容性は⾼いが、寝具のみの⽅が⾼い結果となってしまっている。これは、両⽅というよりも快眠対応寝具に対する受容性が⾼く、まずはこれだけでいいという意識と考えられる。

n= (%)

(155)

男性 (66)

女性 (89)

20代 (31)

30代 (31)

40代 (31)

50代 (31)

60代 (31)

全体

性別

割付セル

Q8 以下の説明文を読んでのあなたの考えに最も近いものをお知らせください。(一つ)

【【A】あなたの眠りの状態を各種センサーで測定し、部屋の空調や照明を自動的に調整し快適な睡

眠環境を提供できる部屋

【B】特に快眠に配慮していない部屋】

7.7 

9.1 

6.7 

17.4 

16.7 

18.0 

58.7 

54.5 

61.8 

16.1 

19.7 

13.5 

こちらを必ず利用したい

多少値段が高くても予算内であれば利用したい

同じ料金であれば利用したい

どちらともいえない

6.5 

9.7 

12.9 

3.2 

6.5 

12.9 

32.3 

16.1 

12.9 

12.9 

71.0 

48.4 

54.8 

67.7 

51.6 

9.7 

9.7 

16.1 

16.1 

29.0 

n= (%)

(155)

男性 (66)

女性 (89)

20代 (31)

30代 (31)

40代 (31)

50代 (31)

60代 (31)

全体

性別

割付セル

7.1 

6.1 

7.9 

25.2 

28.8 

22.5 

56.8 

47.0 

64.0 

11.0 

18.2 

5.6 

こちらを必ず利用したい

多少値段が高くても予算内であれば利用したい

同じ料金であれば利用したい

どちらともいえない

6.5 

9.7 

6.5 

6.5 

6.5 

29.0 

35.5 

25.8 

19.4 

16.1 

61.3 

48.4 

51.6 

64.5 

58.1 

3.2 

6.5 

16.1 

9.7 

19.4 

Q8 以下の説明文を読んでのあなたの考えに最も近いものをお知らせください。(一つ)

【【A】上記、1の寝具と2の快適な睡眠環境自動調整の両方を備えている部屋

【B】特に快眠に配慮していない部屋】

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② 病院や介護施設について

A) 現状の導⼊状況について 1. 病院や介護施設においては、患者さんや利⽤者のニーズは存在している

ことが確認できたことから、施設側のコスト対応への課題はあるが特に⻑期間となる⼊院施設や介護施設での導⼊機会があると想定される。

2. 統計的なデータが存在せず、現在のスマート寝具等の導⼊状況については定量的な確認は得られなかった。

3. 医療・介護⽤ベッドの⼤⼿メーカーの IR 資料や介護事業者へのヒアリング結果から、患者さんなどへの安⼼材料、事故予防、施設スタッフの負担軽減や⼯数削減に効果が期待できるものであれば導⼊する意向はあることが確認できた。

B) ユーザーサイドのニーズについて(今回実施 Web アンケートより) 1. 快眠対応の寝具類を⽤意している病院や介護施設に多少値段が⾼くても

いい以上の⼈たちは、全体で 34.2%と付加価値条件として受容される。50 代が最も⾼いことが特徴的である。

n= (%)

(155)

男性 (66)

女性 (89)

20代 (31)

30代 (31)

40代 (31)

50代 (31)

60代 (31)

全体

性別

割付セル

9.7 

10.6 

9.0 

24.5 

25.8 

23.6 

50.3 

45.5 

53.9 

15.5 

18.2 

13.5 

こちらを必ず利用したい/利用させたい

多少値段が高くても利用したい/利用させたい

同じ料金であれば利用したい/利用させたい

どちらともいえない

12.9 

12.9 

9.7 

6.5 

6.5 

19.4 

25.8 

22.6 

38.7 

16.1 

54.8 

45.2 

48.4 

45.2 

58.1 

12.9 

16.1 

19.4 

9.7 

19.4 

Q9 あなたの考えに最も近いものをお知らせください。(一つ)

※1電動リクライニング、医療的に必要なデータ測定とその表示機能は

標準的に備わっていることとしてお答えください。

※2病院への入院における「差額ベッド代」の条件などは一旦無視してお答えください。

【【A】快眠、高い眠りの質、褥瘡(じょくそう)予防が期待できる高品質マットレス、選べる掛布団や枕など

を用意している病院や介護施設

【B】特に快眠に配慮していない病院や介護施設】

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42

2. 快適な睡眠環境を実現の場合には、若⼲受容性が下がり、多少値段が⾼くても利⽤したい以上の⼈たちは全体で 28.4%である。やはり 50 代が最も⾼いことが特徴的である。

3. 両⽅が揃っている場合には、多少値段が⾼くても利⽤したい以上の⼈たちは全体で 32.6%、快眠対応寝具のみよりも若⼲低くなる。ただし、必ず利⽤したい⼈/させたい⼈たちが 40 代で 16.1%と⾼い受容性であることが特徴的である。

n= (%)

(155)

男性 (66)

女性 (89)

20代 (31)

30代 (31)

40代 (31)

50代 (31)

60代 (31)

全体

性別

割付セル

9.0 

10.6 

7.9 

17.4 

19.7 

15.7 

56.1 

48.5 

61.8 

17.4 

21.2 

14.6 

こちらを必ず利用したい/利用させたい

多少値段が高くても利用したい/利用させたい

同じ料金であれば利用したい/利用させたい

どちらともいえない

9.7 

9.7 

12.9 

6.5 

6.5 

12.9 

19.4 

16.1 

25.8 

12.9 

64.5 

58.1 

45.2 

61.3 

51.6 

12.9 

12.9 

25.8 

6.5 

29.0 

Q9 あなたの考えに最も近いものをお知らせください。(一つ)

※1電動リクライニング、医療的に必要なデータ測定とその表示機能は

標準的に備わっていることとしてお答えください。

※2病院への入院における「差額ベッド代」の条件などは一旦無視してお答えください。

【【A】あなたの眠りの状態を各種センサーで測定し、部屋の空調や照明を自動的に調整し快適な睡

眠環境を個室や個人のベッド周辺で実現する病院や介護施設

【B】特に快眠に配慮していない病院や介護施設】

n= (%)

(155)

男性 (66)

女性 (89)

20代 (31)

30代 (31)

40代 (31)

50代 (31)

60代 (31)

全体

性別

割付セル

9.7 

10.6 

9.0 

21.9 

19.7 

23.6 

52.9 

47.0 

57.3 

15.5 

22.7 

10.1 

こちらを必ず利用したい/利用させたい

多少値段が高くても利用したい/利用させたい

同じ料金であれば利用したい/利用させたい

どちらともいえない

9.7 

9.7 

16.1 

6.5 

6.5 

29.0 

25.8 

19.4 

16.1 

19.4 

54.8 

51.6 

38.7 

67.7 

51.6 

6.5 

12.9 

25.8 

9.7 

22.6 

Q9 あなたの考えに最も近いものをお知らせください。(一つ)

※1電動リクライニング、医療的に必要なデータ測定とその表示機能は

標準的に備わっていることとしてお答えください。

※2病院への入院における「差額ベッド代」の条件などは一旦無視してお答えください。

【【A】上記、1の寝具と2の快適な睡眠環境自動調整の両方を備えている病院や介護施設

【B】特に快眠に配慮していない病院や介護施設】

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43

③ 消費者向けについて(今回実施 Web アンケート結果より) A) まとめ

1. 現状の寝具類に対する消費者の満⾜度は可もなく不可もなくで、これは現状での商品への期待値が変化なく安定していると⾔え、何らかの新しい商品・サービスの提供・提案により消費者の寝具類への期待値が変化することが望まれる状況である。

2. ⼀⽅で快眠を求める意識は⾼く、様々な対応を⾃ら⾏う意識が⾼い⼈たちが⼀定数以上存在しており、スマート寝具的なセンサやアプリなどのシステムへのニーズも 20 代から 40 代では⾼く存在している。

3. また、寝具類の選択時における重視点においても、科学的な根拠、よく眠れる機能や⼯夫があること、⾃分の体に合っていることが 20%以上で基本機能、価格や清潔維持に次いで⾼く、無視できない要件となっていることが注⽬できる。

4. ⼀⽅で、睡眠状態を測定する商品についての浸透状況は、知名から理解、興味まではあるが、実利⽤までのハードルが⾼い状態である。浸透度合いは 20 代が最も⾼く、次は 40 代である。このことは、スマホ世代と快眠への欲求が⾼い層で浸透が⾼いと考えられるため、この年代に対して実利⽤を促進していくことが、今後のスマート寝具などの普及の鍵となると考えられる。

B) 基本ニーズ 1. 現在の寝具への満⾜度は、⼤きな満⾜も不満もない状態である。50 代で

満⾜と不満の両⽅が、40 代では不満が強い⼈たちが全体に⽐して⾼いことが特徴的である。

n= (%)

(155)

男性 (66)

女性 (89)

20代 (31)

30代 (31)

40代 (31)

50代 (31)

60代 (31)

全体

性別

割付セル

10.3 

13.6 

7.9 

41.9 

34.8 

47.2 

36.1 

39.4 

33.7 

11.6 

12.1 

11.2 

全くそう思うまぁそう思うあまりそう思わない

6.5 

12.9 

9.7 

16.1 

6.5 

45.2 

48.4 

38.7 

32.3 

45.2 

38.7 

29.0 

35.5 

35.5 

41.9 

9.7 

9.7 

16.1 

16.1 

6.5 

Q3 以下の内容について、あなたの考えに近いものをお知らせください。(それぞれ一つずつ)

【自分の現在の寝室の環境や寝具には十分満足していて、よく眠れている】

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44

2. 快眠対応を積極的に⾏う意識は、トップボックスで男性>⼥性、20 代が最も⾼く、40 代も全体に⽐して⾼いことが特徴である。

n= (%)

(155)

男性 (66)

女性 (89)

20代 (31)

30代 (31)

40代 (31)

50代 (31)

60代 (31)

全体

性別

割付セル

13.5 

16.7 

11.2 

54.8 

53.0 

56.2 

27.7 

24.2 

30.3 

3.9 

6.1 

2.2 

全くそう思うまぁそう思うあまりそう思わない

25.8 

9.7 

16.1 

6.5 

9.7 

41.9 

77.4 

38.7 

67.7 

48.4 

22.6 

12.9 

35.5 

25.8 

41.9 

9.7 

9.7 

Q3 以下の内容について、あなたの考えに近いものをお知らせください。(それぞれ一つずつ)

【よく眠れ、疲れが取れ、スッキリ目覚めるために効果があることを積極的に試したいし、そうするよ

うにしている】

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45

3. 「スマート寝具」的なシステムに対する基本ニーズは全体でもトップボックスで約 17%と⾼く、男性>⼥性、20 代〜40 代では 20%を超えて⾼いことが特徴的である。

4. ⾃分の睡眠をモニタリングしたいニーズは 20 代でトップボックスが最も

⾼く、次いで 40 代が全体に⽐して⾼いことが特徴的である。

n= (%)

(155)

男性 (66)

女性 (89)

20代 (31)

30代 (31)

40代 (31)

50代 (31)

60代 (31)

全体

性別

割付セル

16.8 

19.7 

14.6 

49.7 

42.4 

55.1 

29.7 

30.3 

29.2 

3.9 

7.6 

1.1 

全くそう思うまぁそう思うあまりそう思わない

22.6 

22.6 

25.8 

6.5 

6.5 

58.1 

61.3 

22.6 

67.7 

38.7 

16.1 

16.1 

41.9 

25.8 

48.4 

3.2 

9.7 

6.5 

Q3 以下の内容について、あなたの考えに近いものをお知らせください。(それぞれ一つずつ)

【季節、自分の体調や状態に合わせて寝室環境や寝具の状態を自動でコントロールして快適にで

きるシステムが欲しい】

n= (%)

(155)

男性 (66)

女性 (89)

20代 (31)

30代 (31)

40代 (31)

50代 (31)

60代 (31)

全体

性別

割付セル

14.8 

15.2 

14.6 

40.6 

37.9 

42.7 

32.9 

36.4 

30.3 

11.6 

10.6 

12.4 

全くそう思うまぁそう思うあまりそう思わない

25.8 

16.1 

22.6 

6.5 

3.2 

45.2 

38.7 

35.5 

45.2 

38.7 

16.1 

38.7 

29.0 

38.7 

41.9 

12.9 

6.5 

12.9 

9.7 

16.1 

Q3 以下の内容について、あなたの考えに近いものをお知らせください。(それぞれ一つずつ)

【自分の睡眠時における状態や質を測定して日々自分が見られる状態にしたい(既にそうしている)】

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46

C) 寝具類選択時の重視点 1. 寝具類の選択重視点は、まず実際に試して⾃分に合っていると感じるこ

と、次いで価格が安いこと、⾼級であること、中⾝の素材が⾼品質であること、⽣地や柄のデザインがいいことが⾼く、その次のレベルに抗菌加⼯や洗い易いことといった清潔の維持に対する機能性が、そして科学的な根拠があること、よく眠れる機能や⼯夫があること、が全体で 20%を超えて⾼く、特に 40 代で全体に⽐して⾼い数字を獲得している。このことからよく眠れる機能や⼯夫を重視することは付加価値的重視点となっていると考えられる。

お店などで試して自分

に合っ

ていると感じた

こと

価格が安いこと

高級であること

中身の素材が高品質で

あること

表地などの生地の柄や

デザインがいいこと

抗菌加工されているこ

と 洗い易いこと

科学的な根拠があるこ

と よく眠れる機能や工夫

があること

自分の身体に合っ

てい

ること

寝ている姿勢などをサ

ポー

トする機能がある

こと

寝心地がいいこと

肌ざわりや手触りがい

いこと

有名なメー

カー

である

こと

店員などの勧めがある

こと

ネッ

トなどでの口コミ

がいいこと

アスリー

トなどスポー

ツ選手が使っ

ているこ

と 丈夫、

耐久性が高いこ

と 当てはまるものがない

n=

(155) 48.4 43.2 42.6 41.3 36.8 28.4 24.5 21.9 20.0 19.4 16.8 15.5 14.8 11.6 6.5 5.8 4.5 3.9 3.2

男性 (66) 43.9 36.4 34.8 34.8 33.3 34.8 28.8 24.2 15.2 18.2 18.2 10.6 22.7 12.1 9.1 4.5 6.1 3.0 4.5

女性 (89) 51.7 48.3 48.3 46.1 39.3 23.6 21.3 20.2 23.6 20.2 15.7 19.1 9.0 11.2 4.5 6.7 3.4 4.5 2.2

20代 (31) 41.9 35.5 48.4 61.3 48.4 19.4 25.8 16.1 29.0 22.6 25.8 19.4 16.1 12.9 9.7 6.5 3.2 9.7 6.5

30代 (31) 54.8 51.6 45.2 48.4 41.9 29.0 12.9 22.6 9.7 16.1 6.5 12.9 9.7 16.1 0.0 6.5 0.0 6.5 9.7

40代 (31) 48.4 41.9 41.9 32.3 38.7 35.5 32.3 35.5 32.3 19.4 19.4 12.9 19.4 9.7 9.7 3.2 3.2 0.0 0.0

50代 (31) 41.9 51.6 38.7 32.3 25.8 25.8 29.0 16.1 6.5 32.3 22.6 22.6 12.9 9.7 9.7 6.5 6.5 0.0 0.0

60代 (31) 54.8 35.5 38.7 32.3 29.0 32.3 22.6 19.4 22.6 6.5 9.7 9.7 16.1 9.7 3.2 6.5 9.7 3.2 0.0

全体

性別

割付セル

以下の項目についてあなたが寝具など(マットレス/敷布団、枕、掛布団など)を購入する際に

重視することにあてはまるもの全てをお知らせください。(いくつでも)

48.4 43.2 42.6 41.3

36.8

28.4 24.5

21.9 20.0 19.4 16.8 15.5 14.8

11.6 6.5 5.8 4.5 3.9 3.2

0%

20%

40%

60%

80%

100%

Q5

n=30以上の場合

[比率の差]

全体 +10 ポイント

全体 +5 ポイント

全体 -5 ポイント

全体 -10 ポイント

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47

D) スマート寝具類の浸透状況 1. ウェアラブル端末の浸透状況は、知名は⼗分なレベルで、理解や興味も持

たれているが、利⽤経験がまだ⼩さい状況である。⼩さいながらも利⽤経験者が現在利⽤している率は⾼いことから、トライアルが進むことが普及の条件である。20 代への浸透度が⾼く、スマホとの連携が想像される。また 40 代・50 代も興味までは浸透している状況である。

名前を知っ

ている

どんなものか理解し

ている

興味がある

利用したことがある

現在、

利用している

今後(

も)

利用した

い 左記にあてはまるも

のはない

利用経験率

現在利用率

n=

(155) 53.5 39.4 29.7 3.9 2.6 1.9 46.5 7.2% 66.7%

男性 (66) 56.1 43.9 28.8 7.6 4.5 3.0 43.9 13.5% 60.0%

女性 (89) 51.7 36.0 30.3 1.1 1.1 1.1 48.3 2.2% 100.0%

20代 (31) 64.5 48.4 45.2 12.9 9.7 6.5 35.5 20.0% 75.0%

30代 (31) 38.7 32.3 32.3 6.5 3.2 3.2 61.3 16.7% 50.0%

40代 (31) 61.3 41.9 22.6 0.0 0.0 0.0 38.7 0.0% 0.0%

50代 (31) 54.8 45.2 29.0 0.0 0.0 0.0 45.2 0.0% 0.0%

60代 (31) 48.4 29.0 19.4 0.0 0.0 0.0 51.6 0.0% 0.0%

全体

性別

割付セル

Q6 次の項目について、あなたご自身にあてまるものをすべてお知らせください。(それぞれいくつ

でも)

【ウェアラブル端末(手首に巻くなど)のセンサーによる睡眠状態や睡眠の質測定】

53.5

39.4

29.7

3.9 2.6 1.9

46.5

0%

20%

40%

60%

80%

100%

n=30以上の場合

[比率の差]

全体 +10 ポイント

全体 +5 ポイント

全体 -5 ポイント

全体 -10 ポイント

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2. 寝具などに取り付けるタイプのセンサによる睡眠状態や睡眠の質の測定は知名率 40%ちょっととまだあまり知られていない状況である。ただし、知っている⼈は理解しているし、興味度が⾼く、⼀度利⽤した⼈は継続利⽤する率が⾼いことから、知名率の向上を意識しつつもトライアルを増やすことで浸透していくことが想定される。20 代にはよく浸透しており、40 代と 50 代は聞いたことはあるレベルである。

名前を知っ

ている

どんなものか理解して

いる

興味がある

利用したことがある

現在、

利用している

今後(

も)

利用したい

左記にあてはまるもの

はない

利用経験率

現在利用率

n=

(155) 40.6 34.8 28.4 2.6 1.3 1.3 59.4 6.3% 50.0%

男性 (66) 42.4 33.3 24.2 4.5 1.5 3.0 57.6 10.7% 33.3%

女性 (89) 39.3 36.0 31.5 1.1 1.1 0.0 60.7 2.9% 100.0%

20代 (31) 64.5 51.6 41.9 12.9 6.5 3.2 35.5 20.0% 50.0%

30代 (31) 32.3 29.0 29.0 0.0 0.0 3.2 67.7 0.0% 0.0%

40代 (31) 41.9 35.5 29.0 0.0 0.0 0.0 58.1 0.0% 0.0%

50代 (31) 45.2 38.7 25.8 0.0 0.0 0.0 54.8 0.0% 0.0%

60代 (31) 19.4 19.4 16.1 0.0 0.0 0.0 80.6 0.0% 0.0%

全体

性別

割付セル

Q6 次の項目について、あなたご自身にあてまるものをすべてお知らせください。(それぞれいくつでも)

【寝具などに取り付けるセンサーによる睡眠状態や睡眠の質測定】

40.6 34.8

28.4

2.6 1.3 1.3

59.4

0%

20%

40%

60%

80%

100%

n=30以上の場合

[比率の差]

全体 +10 ポイント

全体 +5 ポイント

全体 -5 ポイント

全体 -10 ポイント

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3. スマート寝具の浸透状況は、全体ではまだ知名率が低い状況である。さすがに 20 代には浸透しており、50 代も聞いたことはあるようである。

名前を知っ

ている

どんなものか理解して

いる

興味がある

利用したことがある

現在、

利用している

今後(

も)

利用したい

左記にあてはまるもの

はない

利用経験率

現在利用率

n=

(155) 36.1 26.5 24.5 2.6 1.3 0.6 63.9 7.1% 50.0%

男性 (66) 40.9 28.8 25.8 6.1 3.0 1.5 59.1 14.8% 50.0%

女性 (89) 32.6 24.7 23.6 0.0 0.0 0.0 67.4 0.0% 0.0%

20代 (31) 54.8 38.7 32.3 6.5 6.5 3.2 45.2 11.8% 100.0%

30代 (31) 29.0 22.6 22.6 3.2 0.0 0.0 71.0 11.1% 0.0%

40代 (31) 29.0 19.4 19.4 3.2 0.0 0.0 71.0 0.0% 0.0%

50代 (31) 45.2 32.3 29.0 0.0 0.0 0.0 54.8 0.0% 0.0%

60代 (31) 22.6 19.4 19.4 0.0 0.0 0.0 77.4 0.0% 0.0%

全体

性別

割付セル

Q6 次の項目について、あなたご自身にあてまるものをすべてお知らせください。(それぞれいくつでも)

【スマート寝具】

36.1

26.5 24.5

2.6 1.3 0.6

63.9

0%

20%

40%

60%

80%

100%

n=30以上の場合

[比率の差]

全体 +10 ポイント

全体 +5 ポイント

全体 -5 ポイント

全体 -10 ポイント

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50

E) スマート寝具関連商品サービス・コンセプト(説明⽂)の受容性(利⽤意向) 1. 睡眠状態を測定・管理すること、寝床環境を⾃動で制御するマットレス、

科学的根拠に基づいた⾃分⽤マットレスの受容性が全体で⾼い。 20 代は全ての利⽤意向が⾼く、60 代は全てで低いことが特徴的である。

1 2 3 4 5 6 7 8

あなたの眠っている間の脳波を測定することで、睡眠時間だけではなく睡眠の質を判定して記録する機械です。記録したデータはスマホやパソコンで⾒ることができます

あなたの眠っている間の状態を、⼼拍数、睡眠時間、睡眠深度(浅い、深い、覚醒、レムなど)、寝返り回数、呼吸数などをセンサーで測定し、記録する機械です。記録したデータはスマホやパソコンで⾒ることができます

あなたの眠っている状態を測定し、⼊眠・睡眠中の温度を制御し快適な眠りをサポートし、起床時には温度上昇や振動等でのアラーム機能で快適な起床をサポートするマットレスです

いびきを感知し、ベッドの傾斜の制御や表⾯温度を制御することでいびきを防⽌し、快適な睡眠をサポートするマットレスです

あなたの眠っている状態(⼼拍数、呼吸数、睡眠時間、睡眠スコアなど)を測定し、お部屋の照明やエアコンなどを⾃動で制御するホームシステムと連携して快適な睡眠環境を⾃動で実現するマットレスカバーです

あなたの眠っている状態(⼼拍数、体温、室温、睡眠状態など)を測定し、サスペンションの硬さや温度を⾃動制御することで快適な睡眠を実現するマットレスです

眠っている間のふとんの中の温度を測定し、中を快適温度(33±1℃)となるように⾃動で制御し快適な眠りを実現するマットレスです。また起床時間をセットすれば徐々に温度が上昇しスムーズな起床をサポートします

測定器を⽤い、あなたの⾝体を測定し、その結果を基にしたオーダーメイドマットレスです。横になったとき⾝体がマットレスにどれだけ沈んでいるか、腰のそり具合や全⾝の傾きなどのデータをもとに、⾝体の部位に合わせてカスタマイズします。あなただけに最適なマットレスです

18.1 18.7 21.9 15.5 13.5 14.8 19.4 18.1男性 15.2 21.2 21.2 18.2 16.7 19.7 19.7 19.7⼥性 20.2 16.9 22.5 13.5 11.2 11.2 19.1 16.920代 29.0 25.8 38.7 29.0 25.8 29.0 29.0 35.530代 25.8 16.1 19.4 12.9 16.1 16.1 12.9 16.140代 16.1 22.6 22.6 6.5 9.7 12.9 25.8 16.150代 16.1 19.4 19.4 22.6 9.7 9.7 19.4 16.160代 3.2 9.7 9.7 6.5 6.5 6.5 9.7 6.5

全体性別

割付セル

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51

<今回実施、⽣活者 Web アンケートの調査概要> ⻄川株式会社調べ、調査委託先:マクロミル 調査名 : 睡眠や寝具に関するアンケート 調査⽅法 : 登録モニターを利⽤した Web アンケート調査 事前調査 : 次の寝具などについてあなたが過去 5 年以内にご⾃⾝で選んで、購⼊したま

たは購⼊してもらった⽅が対象者(1.マットレス 2.枕 3.敷布団 4.掛布団 5.⽑布 6.タオルケット 7.シーツやカバーなど)

回答者属性 : 全国、男⼥ 20 才〜69 歳、性別×年齢 10 刻み均等割付 実施期間 : 2019 年 03 ⽉ 08 ⽇(⾦) 〜 2019 年 03 ⽉ 09 ⽇(⼟)

性別 % 年齢 % 地域 % 1 男性 42.6 1 12 才未満 0.0 1 北海道 3.9 2 ⼥性 57.4 2 12 才〜19 才 0.0 2 東北地⽅ 9.0 全体 100.0 3 20 才〜24 才 8.4 3 関東地⽅ 40.0 4 25 才〜29 才 11.6 4 中部地⽅ 20.6 5 30 才〜34 才 9.7 5 近畿地⽅ 11.0 6 35 才〜39 才 10.3 6 中国地⽅ 5.2 7 40 才〜44 才 10.3 7 四国地⽅ 3.2 8 45 才〜49 才 9.7 8 九州地⽅ 7.1 9 50 才〜54 才 9.7 全体 100.0 10 55 才〜59 才 10.3 11 60 才以上 20.0 全体 100.0

6. 快適な睡眠に関する指標に係るデータの集積及び必要性

現在、ホテル・旅館や病院・介護施設においてスマート寝具が導⼊され、データの取得及び利活⽤が進展している。ビッグデータが集積され、睡眠の快適性に関する指標化や保健分野の研究成果と照らし合わせることで、新たなデータ活⽤ビジネスモデルが構築されることが期待できる。データを活⽤したビジネスモデルの構築には、以下のような全体像が想定される。 (ⅰ)単独成⻑型及び(ⅱ)付随提供型 ⽇常⽣活において、必ず睡眠時には寝具類を使⽤することから、消費者に対して定点観測データを提供することが可能である。寝具類のコンサルティングを通じて、測定されるデータ

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の信頼性の向上を⾏うことが可能であり、併せて、消費者の選択したメニューに応じて、信頼性が⾼く応⽤性のある計測が可能となる。 (ⅲ)多⾯活⽤型から (ⅳ)多⾯連動型 寝具類による⽣体データ取得は、取り組みの初期にあり、睡眠の快適性のデータ取得や健康度との相関性について、2.②で⽰した“〇睡眠の快適性に関する研究事例〜まとめ表〜”における研究事例①〜⑧にあるように、現在、寝具と健康に関する研究が進められている。このような、データを活⽤したサービスに加え、将来的には得られたデータを研究に活⽤したり、その応⽤のための寝具類へのフィードバック等の多⾯的な連携が想定される。 第四次産業⾰命に向けた競争政策の在り⽅に関する研究会 Connected Industry の実現に向けて 経済産業省(平成 29 年 6 ⽉ 28 ⽇)

7. 適切な競争の阻害

① 寝具類の問題点 ホテル等におけるスマート寝具に対する需要の⾼まりが確認できる⼀⽅で、寝具類は機能や健康に関する情報の判別が難しく、家庭⽤医療布団等の連鎖販売取引に係る紛争が⽣じ、訪問販売における家庭⽤医療布団の消費者相談が多数寄せられている。また、販売者が主観的な指標を設定して効果が明確ではない製品を販売し、効果がないために医療機関へ相談する事例も増えている。現在、寝具類の費⽤対効果が明確でないために、特定の効⽤に対する競争ではなく、独⾃の基準が乱⽴して消費者にたいしてわかりやすい指標が提供できていない⾯がみられる。健康に対する効果について、医学的な研究に基づいて取り扱うデータを合理化し、得られたデータを医学的に検証し、消費者に対してフィードバックするためのルール作りを進め、企業間で連携してコンソーシアムを形成し、データの客観的な検証を加えることで、消費者に対する指標が⼀本化され、適切な競争を促進しやすい環境を整備

➢ データの集積・活用の方法に 着目し、以

下の4つに分類。

(i) 単独成長型

(ii) 付随提供型

(iii) 他面活用型

(iv) 多面連動型

➢ 右上の分類に進むほど複雑な 活用形態

となるが、その分データの価値が高く、他

者に追随されにくい、高い競争力を 有す

るモデルと考えられる。

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することが可能と考えられる。特に、医療・福祉分野との連携が進むことで、より質の⾼いデータ集積が可能となり、新たなサービスを形成できると考えられる。

② データの集積について 寝具類は買替頻度が低いため、集積するデータは普遍的なものが適し⼀本化することが消費者への利益として適している。寝具類は消費者ごとに⻑期的に就寝時に⾝を置く場所でもあるため、定点観測による質の⾼いデータ取得に適した製品である。

③ 活⽤の可能性について 睡眠学会における研究成果や医師間のネットワークが形成され、⽇本寝具寝装品協会やふとん協会における睡眠に関する啓蒙活動により、睡眠に関する研究について消費者に対する啓蒙活動が⾏われ、健康や快適な睡眠に関するデータが体系的に整理され共有されている。このような既存のネットワークを背景として、客観的な指標を⽰し、グレード分類を設定し、測定⽅法を⽰すことで、客観的な評価軸に基づく競争が促進され、様々な測定器機器の開発や、効率的な測定⽅法の検証が⾏われると⾒込まれる。

標準化(国際/国内) 規制・認証への紐付け・普及

諸外国に普及

国内規制に引⽤

ISO/IEC迅速に整合

JIS

○産業界の標準化活動⽀援・標準化⽀援の抜本強化・標準化を担う⺠間機関、国研の強化・標準化⼈材の育成

○JIS審議の迅速化(★)・指定⺠間機関の審議が調査会審議を代替することによる迅速化

○国内規制・認証への紐付け・国際整合性も担保した規制と標準の連携を推進

・認証機関の規格開発への参画を促進

○ソフトローとしての活⽤(★)・シェアリングエコノミー等、サービス分野の標準化、各省連携の強化

(★)は⼯業標準化法改正関連事項

○諸外国への普及・標準化機関との連携や技術⽀援を通

じ、⽇本に有利な国際標準・JISを現 地に普及(規制引⽤を含む。)

○国際連携の推進・⽇独協⼒(スマートものづくり)、⽇英協⼒(サービス分野)等

今後の国際標準化体制(案)

重点分野の特定・戦略の構築

ルールインテリジェンス

コンソーシアム情報(企業)⺠共有

各国規制情報(国) 官戦略を共有

○業種横断分野の体制強化・産総研等、国⽴研究開発法⼈を活⽤し、業種横断分野の標準化に対応

○官⺠の体制強化・基準認証戦略室(新設)が各国規制・標準情報を収集し産業界と共有

・産業界の、国際標準を⾒据えたコンソーシアム活動を⽀援

・企業におけるCSO設置を推進

○重点分野の特定・政府全体で重点分野を特定し共有する体制を整備し、産業界と連携

「新たな基準認証の在り⽅について」平成 29 年 8 ⽉経済産業省産業技術環境局

体制論:標準化体制の具体策

ルールインテリジェンスに基づく重点分野の戦略構築から、規制や認証における活⽤までを⾒据えた国際標準化体制の整備により、⽇本の産業の国際競争⼒を強化し、技術の社会実装を促す。

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8. おわりに

本調査では、寝具等の睡眠最適化に関する市場動向調査及び消費者需要調査を⾏った結果、測定機器の技術の向上により、負担なく有⽤な⽣体情報が得られる環境が整いつつある。今回の消費者需要調査により得られた情報ニーズを抽出し、また市場動向調査結果に基づいて測定⽅法及び測定器による収集データのグレードを分類することで、寝具等の睡眠最適化に係る指標を標準化する道筋が整備し得ることが明らかとなった。 今後の取組予定として、消費者や医療・介護関係者との会話のなかで、寝具から得られる⽣体情報を精査し、寝具に適⽤可能な検出器との擦合せをおこないつつ、国内外の機能性製品の⽬的別グレード分類をおこなう。 ⽶国やアジア地域での機能性製品の事例も参考にしつつ、寝具製造・販売事業者の対話を深めながら、規格において⽤いる指標及びそのグレードの⽐較・検証を深めてゆくこととする。

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二次利用未承諾リスト

報告書の題名 平成 30 年度工業標準

化推進事業委託費(戦略的国際標準

化加速事業:新規分野の国際ルール

インテリジェンスに関する調査(寝

具等の睡眠最適化に係る評価方法の

基準策定に向けた課題分析に関する

調査))

委託事業名 平成 30 年度工業標準化

推進事業

受注事業者名 西川株式会社

頁 図表番号 タイトル

27 全体 仰臥位における荷重割合の検証実験

35 全体 各種睡眠測定センサー比較表