図鑑 -...

この面を表にして教室に掲示してください 担当する部門は「都市計画局」「まち づくり局」など。住民の意見を吸い上 げながら、地元の歴史や未来像を踏 まえてどんな「まち」をつくりたいかを 提案。都市整備や建築に関わるさま ざまな法律や条令と照らし合わせて 開発計画の遂行管理も行う。 地方自治体 ビルや商業施設のほか、周辺の公園 まで含むランドスケープ(景観)のデ ザイン・設計を行う。コンセプトに沿っ てまちの機能やイメージを形作る役割 を担う。建築、構造、設備、土木、ラン ドスケープ、それぞれの分野の設計 の専門家が活躍。 建築設計事務所 建築、土木、都市工学、地域コミュニ ティ、ビジネスなどまちづくりに関係す る幅広い知識を生かして、都市開発 のコンセプトや事業計画の立案に携 わる。地元住民や自治体、会社の間 で意見や利害の調整をし、計画を実 現化していく。 都市計画プランナー 工事の進捗状況や予算の状況など を管理するプロジェクトのまとめ役。 社内外の関係者とコミュニケーション をとって、円滑にプロジェクトが進めら れるよう指示。工事の遅れや予算不 足などの問題が起きたときは解決に 向け調整役になる。 プロジェクトマネージャー 不動産開発会社。開発に必要な土 地の取得のほか、都市計画そのもの のコンセプトづくり、中心となる商業施 設の企画、資金調達、開発後の施設 運営などを幅広く担当することが多 い。鉄道会社の不動産開発部門も沿 線の都市開発で同様の役割を担う。 デベロッパー ゼネコンとは、元請けとなる建設会社 のこと。開発プランに沿ってビルや商 業施設、公園などの工事の計画を立 て、必要な専門工事会社に依頼し、 工事の進行を管理する。大手ゼネコ ンが中心となって都市開発のコンセ プトづくりから手掛けることも。 ゼネコン 大規模商業施設をメインにした都市 開発では、コンセプトに沿った魅力的 なテナントを集めることも重 要な仕 事。候補となる店を選び、出店を交渉 するなど、商業施設をプロデュースす る役割を担う。テナント企画を専門と する会社もある。 テナント企画 現場の工事を担うのは、ゼネコンから 依頼を受けた中小の専門工事会 社。ビル工事を専門とする建築職人 が集まる会社や、配管を扱う会社、空 調などの機械設備を扱う会社、造園 会社から、ベンチなどを作る会社まで 数多くの会社が都市開発に関わる。 専門工事会社 民間主導で行う大規模な都市開発 プロジェクトには安定した資金が不 可欠。それを支えるのが銀行などの 金融機関だ。開発後の収益性などを 見極めながらプロジェクトへの融資を 行っていく。都市開発を専門に公的 な資金を貸し付ける機関もある。 金融機関 ビルや商業施設などを設計。外観や 内観、機能面をデザイン・設計する意 匠設計、地震や荷重に耐えられる建 物の骨組みを設計する構造設計、電 気設備や配管設備を設計する設備 設計に役割分担される。一級建築士 や技術士などの資格が必要。 建築設計 道路や橋、公園、河川などを設計す る仕事。地盤や地質など土木工学 の専門知識が求められ、土による圧 力や、地盤が支えることができる荷重 などを計算して、安全なインフラを設 計する。土木専門の設計会社で活 躍する人も多い。 土木設計 大規模建築物を建てる際には環境 への影響も懸念材料。そのため、工 事中の大気汚染や騒音・振動、完成 後の日照や風の変化などを環境計 量士などの資格をもつ専門家が事前 に調査する。活躍の場は環境コンサ ルタント会社や設計事務所など。 環境調査 施工計画を立て、現場の安全、工程 の進捗状況、工事のクオリティ、予算 などを総合的に管理する仕事。現場 監督としての仕事のほか、デスクワー クも多い。関連資格は施工管理技 士。建築、土木、造園などの部門別 に試験が行われる。 施工管理 公園や庭園などを造る職人。都市開 発ではビルの屋上庭園や壁面の緑 化なども手掛ける。公園・庭園などの デザイン・設計から、工事のプランニ ングや管理、整地、樹木や花の選定、 植栽、剪定までを行う。造園会社など で活躍。 造園職人 ビルなどの建築現場で活躍する職 人。高所に足場を組んで鉄骨の組み 立てなどを行う鳶(とび)工、タワーク レーンを操作するオペレーター、鉄筋 を加工する鉄筋工、コンクリートを流 し込む型枠を作る型枠大工などさまざ まな仕事がある。 建築職人 都市空間や公園、街並みなどをデザ イン・設計する仕事。ビルなどの建物 や周囲の風景と調和した景観と、人 が快適に過ごせる屋外空間をつくり 出す。建築に関する知識のほか、造 園の知識なども必要。ランドスケープ 専門の設計会社もある。 ランドスケープアーキテクト 都市開発とは、一定のコンセプトの下にビルや商業施設、屋外スペースなどで構成される 都市空間をつくること。複数の企業や専門家が参加するプロジェクトで魅力ある「まちづく り」に取り組むスケールの大きな仕事だ。全体的な方向性を決める職種から現場の職人ま で関わる人たちの専門性もさまざま。それぞれの仕事の中身をチェックしよう。 多数のエキスパートが協力して 魅力ある都市空間を創造する! プロジェクト 仕事がわかる! 業界 図鑑 使使10 退職種 PICK UP!! 使調調環境や省エネに配慮した スマートシティに注目! 大都市東京では再開発ラッシュが続いてい る。現在は、渋谷、虎ノ門、品川~田町エリア などで大規模なプロジェクトが進行中だ。また、 新たな潮流として注目されているのが環境や 省エネに配慮したスマートシティ。 IT や新エネ ルギーを活 用して、エリア全 体で電力の有 効 利用を図る新しいタイプのまちづくりで、エネル ギー系、 IT 系の企業も参加した新たな取り組 みが各地で動き出している。また、日本企業が 新興国の都市開発に参加する例も増加。グロ ーバル展開の広がりにも注目だ。 最新の業界事情 岡山県立岡山城東高校、神戸大学工学部建築 学科卒業。大学では建築史を中心に学ぶ。卒業 後、日建設計に就職し、現在5年目。 株式会社日建設計 プロジェクト開発部門 都市デザイングループ ランドスケープ設計部 岩田友紀さん (29歳) ランドスケープ アーキテクト 融資 取材・文/伊藤敬太郎 撮影/田中史彦 イラスト/桔川 伸 街の活性化やコミュニティづくりに貢献する 都市開発プロジェクトに 関わる主な会社・組織 都市開発プロジェクトで 活躍する主な仕事 都市開発は複数の企業が参加するプロジェクトとして進めら れるのが一般的。左に挙げたのが、その中心となる会社・組織 だ。このほか、地域住民や有識者・コンサルタントなどの意見 も採り入れていく。開発が自然環境に悪影響を及ぼさないよ う、環境コンサルタント会社なども参加。 :デベロッパーで活躍する仕事 :ゼネコンで活躍する仕事 :建築設計事務所で活躍する仕事 :専門工事会社で活躍する仕事 :地方自治体で活躍する仕事

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Page 1: 図鑑 - リクルート進学総研souken.shingakunet.com/career_g/2016/class/2016_ccvol34_02.pdf · などを計算して、安全なインフラを設 計する。土木専門の設計会社で活

この面を表にして教室に掲示してください

担当する部門は「都市計画局」「まちづくり局」など。住民の意見を吸い上げながら、地元の歴史や未来像を踏まえてどんな「まち」をつくりたいかを提案。都市整備や建築に関わるさまざまな法律や条令と照らし合わせて開発計画の遂行管理も行う。

地方自治体

ビルや商業施設のほか、周辺の公園まで含むランドスケープ(景観)のデザイン・設計を行う。コンセプトに沿ってまちの機能やイメージを形作る役割を担う。建築、構造、設備、土木、ランドスケープ、それぞれの分野の設計の専門家が活躍。

建築設計事務所

建築、土木、都市工学、地域コミュニティ、ビジネスなどまちづくりに関係する幅広い知識を生かして、都市開発のコンセプトや事業計画の立案に携わる。地元住民や自治体、会社の間で意見や利害の調整をし、計画を実現化していく。 デ ゼ 建 自

都市計画プランナー

工事の進捗状況や予算の状況などを管理するプロジェクトのまとめ役。社内外の関係者とコミュニケーションをとって、円滑にプロジェクトが進められるよう指示。工事の遅れや予算不足などの問題が起きたときは解決に向け調整役になる。 デ ゼ 建

プロジェクトマネージャー

不動産開発会社。開発に必要な土地の取得のほか、都市計画そのもののコンセプトづくり、中心となる商業施設の企画、資金調達、開発後の施設運営などを幅広く担当することが多い。鉄道会社の不動産開発部門も沿線の都市開発で同様の役割を担う。

デベロッパー

ゼネコンとは、元請けとなる建設会社のこと。開発プランに沿ってビルや商業施設、公園などの工事の計画を立て、必要な専門工事会社に依頼し、工事の進行を管理する。大手ゼネコンが中心となって都市開発のコンセプトづくりから手掛けることも。

ゼネコン

大規模商業施設をメインにした都市開発では、コンセプトに沿った魅力的なテナントを集めることも重要な仕事。候補となる店を選び、出店を交渉するなど、商業施設をプロデュースする役割を担う。テナント企画を専門とする会社もある。 デ

テナント企画

現場の工事を担うのは、ゼネコンから依頼を受けた中小の専門工事会社。ビル工事を専門とする建築職人が集まる会社や、配管を扱う会社、空調などの機械設備を扱う会社、造園会社から、ベンチなどを作る会社まで数多くの会社が都市開発に関わる。

専門工事会社民間主導で行う大規模な都市開発プロジェクトには安定した資金が不可欠。それを支えるのが銀行などの金融機関だ。開発後の収益性などを見極めながらプロジェクトへの融資を行っていく。都市開発を専門に公的な資金を貸し付ける機関もある。

金融機関

ビルや商業施設などを設計。外観や内観、機能面をデザイン・設計する意匠設計、地震や荷重に耐えられる建物の骨組みを設計する構造設計、電気設備や配管設備を設計する設備設計に役割分担される。一級建築士や技術士などの資格が必要。 デ 建

建築設計道路や橋、公園、河川などを設計する仕事。地盤や地質など土木工学の専門知識が求められ、土による圧力や、地盤が支えることができる荷重などを計算して、安全なインフラを設計する。土木専門の設計会社で活躍する人も多い。 デ 建

土木設計

大規模建築物を建てる際には環境への影響も懸念材料。そのため、工事中の大気汚染や騒音・振動、完成後の日照や風の変化などを環境計量士などの資格をもつ専門家が事前に調査する。活躍の場は環境コンサルタント会社や設計事務所など。 建

環境調査

施工計画を立て、現場の安全、工程の進捗状況、工事のクオリティ、予算などを総合的に管理する仕事。現場監督としての仕事のほか、デスクワークも多い。関連資格は施工管理技士。建築、土木、造園などの部門別に試験が行われる。 ゼ 専

施工管理

公園や庭園などを造る職人。都市開発ではビルの屋上庭園や壁面の緑化なども手掛ける。公園・庭園などのデザイン・設計から、工事のプランニングや管理、整地、樹木や花の選定、植栽、剪定までを行う。造園会社などで活躍。 専

造園職人

ビルなどの建築現場で活躍する職人。高所に足場を組んで鉄骨の組み立てなどを行う鳶(とび)工、タワークレーンを操作するオペレーター、鉄筋を加工する鉄筋工、コンクリートを流し込む型枠を作る型枠大工などさまざまな仕事がある。 専

建築職人

都市空間や公園、街並みなどをデザイン・設計する仕事。ビルなどの建物や周囲の風景と調和した景観と、人が快適に過ごせる屋外空間をつくり出す。建築に関する知識のほか、造園の知識なども必要。ランドスケープ専門の設計会社もある。 デ 建

ランドスケープアーキテクト

都市開発とは、一定のコンセプトの下にビルや商業施設、屋外スペースなどで構成される都市空間をつくること。複数の企業や専門家が参加するプロジェクトで魅力ある「まちづくり」に取り組むスケールの大きな仕事だ。全体的な方向性を決める職種から現場の職人まで関わる人たちの専門性もさまざま。それぞれの仕事の中身をチェックしよう。

多数のエキスパートが協力して魅力ある都市空間を創造する!

プロジェクト

仕事がわかる!

業界図鑑

たまりができないよう勾配を細か

く計算する作業などを経て、CAD

(製図用ソフト)で図面に。その後は

現場を回って工事の監理も行う。

「自分のスケッチが形になって、実

際に人が過ごしているのを見られる

のがこの仕事の醍醐味。人がその

場所をどう使うのかを考え、〝こん

な使い方もできるんだ!〞という発

見がある設計を目指しています」

出社は9〜10時ころ。施工中の現場に

出向く日は、午前中に書類を準備し、

午後は現場へ。4〜5時間かけて設計

通りに工事が進んでいるかを確認。社

内にいる日は打ち合わせが多い。忙し

いと退社が8時を過ぎることも。

岩田さんの「一日」

職種 PICK UP!!人が使うことを意識して

街と調和した空間を設計

 

岩田さんがランドスケープに関心

をもったのは大学3年の時。

「授業の課題で取り組んで、季節や

時間の経過で変化するところに魅

力を感じたんです」

 

現在、岩田さんが手掛けるのは、

ビルの足元に広がるオープンスペー

スの設計など。常時6〜7件の案

件を抱えているという。以前は中国

の案件に携わったことも。

 

ランドスケープの設計はどのよう

に進められていくのだろう。

「建築設計の担当者などチームの

メンバーと話し合いながら考えてい

きます。ビルの外観とのデザイン的

なつながりはもちろん、機能面での

役割分担も大事。打ち合わせは非

常に多いですね。会話の中でいろん

なアイデアが生まれますし、まさに

コラボレーション作業です」

 

リサーチも入念だ。その土地の

風景に加え、歴史なども理解して、

街の雰囲気との調和を大切にした

デザインを考える。アイデアがまと

まってきたら全体の精密なスケッチ

を描き、ウッドデッキやベンチなど

の構造や寸法まで設計。さらに水

大学・短大・専門学校の建築系・

芸術系・環境系・造園系・都市計

画系の学部・学科などにランドス

ケープデザインに特化した専攻コ

ースが設けられている。また、右

記の学部・学科でデザインや設計

の基礎を学んでいれば、ランドス

ケープについては就職してから習

得することも可能。まちづくり

や環境、文化などに関する幅広

い知識も身に付けておきたい。

環境や省エネに配慮したスマートシティに注目!

 大都市東京では再開発ラッシュが続いている。現在は、渋谷、虎ノ門、品川~田町エリアなどで大規模なプロジェクトが進行中だ。また、新たな潮流として注目されているのが環境や省エネに配慮したスマートシティ。ITや新エネルギーを活用して、エリア全体で電力の有効利用を図る新しいタイプのまちづくりで、エネルギー系、IT系の企業も参加した新たな取り組みが各地で動き出している。また、日本企業が新興国の都市開発に参加する例も増加。グローバル展開の広がりにも注目だ。

最新の業界事情

この職業に就くには

岡山県立岡山城東高校、神戸大学工学部建築学科卒業。大学では建築史を中心に学ぶ。卒業後、日建設計に就職し、現在5年目。

株式会社日建設計プロジェクト開発部門都市デザイングループランドスケープ設計部

岩田友紀さん(29歳)

ランドスケープアーキテクト

融資

取材・文/伊藤敬太郎 撮影/田中史彦 イラスト/桔川 伸

街の活性化やコミュニティづくりに貢献する

都市開発プロジェクトに関わる主な会社・組織

都市開発プロジェクトで活躍する主な仕事

都市開発は複数の企業が参加するプロジェクトとして進められるのが一般的。左に挙げたのが、その中心となる会社・組織だ。このほか、地域住民や有識者・コンサルタントなどの意見も採り入れていく。開発が自然環境に悪影響を及ぼさないよう、環境コンサルタント会社なども参加。

デ:デベロッパーで活躍する仕事

ゼ:ゼネコンで活躍する仕事

建:建築設計事務所で活躍する仕事

専:専門工事会社で活躍する仕事

自:地方自治体で活躍する仕事